31 Oracle Database Backup Cloud Service

Oracle Database Backup Cloud Serviceは、Oracle DatabaseをOracle Cloudにバックアップするためのセキュアでスケーラブルなオンデマンド・ストレージ・ソリューションです。このサービスは、パブリック・クラウドにオフサイト・ストレージの場所を提供することにより、既存のバックアップ戦略を補完します。

31.1 Oracle Database Backup Cloud Serviceについて

Oracle Database Backup Cloud Serviceは、OracleデータベースをOracle Cloudにバックアップするためのセキュアでスケーラブルなオンデマンド・ストレージ・ソリューションです。このサービスは、パブリック・クラウドにオフサイト・ストレージの場所を提供することにより、既存のバックアップ戦略を補完します。

Oracle Database Backup Cloud Serviceを使用するには、サービスをサブスクライブし、Oracle Database Cloud Backup Moduleをインストールします。その後、クラウドにバックアップを送信する環境を構成します。その後、Recovery Manager (RMAN)の慣れたコマンドを使用して、バックアップ、リストア、リカバリおよびメンテナンスの各操作を実行できます。クラウドのバックアップには他のツールも使用できます。

Oracle Database Backup Cloud Serviceを使用すると、クラウドのバックアップはインターネットから常にアクセス可能で、必要なときにすぐリカバリに使用できます。データは複数のストレージ・ノード間でレプリケートされ、ハードウェア障害やデータ破損に対して保護されます。

Oracle Database Backup Cloud Serviceは、Oracle Databaseのバックアップのみを格納する場合に使用されます。他のタイプのデータを格納するには、Oracle Cloud Infrastructure Object Storageを使用します。

詳細については、以下を参照:

31.2 Oracle Database Backup Cloud Serviceを使用したバックアップおよびリカバリについて

Oracle Databaseは、Oracle Database Backup Cloud Serviceを使用してOracle Cloudにバックアップできます。Oracle Cloudに格納されているバックアップを使用してデータベースのリストアおよびリカバリを実行するには、RMANを使用できます。

Oracle Database Backup Cloud Serviceは、次のものを使用してバックアップおよびリカバリを実行できます:

  • Oracle Cloud Infrastructure

    Oracle Cloud Infrastructureにバックアップを作成するには、Oracle Cloud Serviceのサブスクリプションがあり、Oracle Database Cloud Backup Module for OCIをインストールする必要があります。バックアップ・モジュール・インストーラ・ファイル(oci_installer.zip)には、Oracleホーム・ディレクトリからアクセスできます。

  • Swift APIを使用したOracle Cloud Infrastructure Object Storage Service

    Swift APIを使用してOracle Cloud Infrastructure Object Storage Serviceにバックアップを作成するには、Oracle Cloud Serviceのサブスクリプションがあり、Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicをインストールする必要があります。バックアップ・モジュール・インストーラ・ファイル(opc_installer.zip)には、Oracleホーム・ディレクトリからアクセスできます。

Oracle Database Backup Cloud ServiceでサポートされているOracle Databaseの最適化

Oracle Database Backup Cloud Serviceでは、次のOracle Databaseの最適化がサポートされます:

  • RMANバックアップの暗号化

    RMANの暗号化を使用すると、データがソース側で暗号化され、クラウドに安全に転送され、クラウド内に安全に格納されます。キーは、クラウドではなくサイトに保管されます。

  • すべてのRMANバックアップ圧縮アルゴリズム

    RMANバックアップの圧縮を使用すると、格納のためにクラウドに送信する前にバックアップのサイズを小さくすることで帯域幅の使用を抑えて、パフォーマンスを向上させることができます。

これらの最適化のライセンス情報については、『Oracle Databaseライセンス情報ユーザー・マニュアル』Oracle Database Backup Cloud Serviceを参照してください

31.3 Oracle Database Cloud Backup Module for OCIについて

Oracle Database Cloud Backup Module for OCIを使用すると、Oracle Cloud Infrastructureを使用してバックアップおよびリストアを実行できます。バックアップはOracle Cloud Infrastructure Object Storageに格納されます。

Oracle Database Cloud Backup Module for OCIは、Recovery Manager (RMAN)に統合されたテープへのシステム・バックアップ(SBT)のインタフェースです。標準のRMANコマンドを使用して、バックアップ、リストア、リカバリおよびメンテナンス操作を実行できます。

Oracleホーム・ディレクトリにあるoci_installer.zipファイルを使用して、Oracle Database Cloud Backup Module for OCIをインストールします。ターゲット・データベース・サーバーにバックアップ・モジュールをインストールします。複数のデータベース・バージョンおよびオペレーティング・システムがサポートされています。

モジュールをインストールして使用するには、Oracle Cloudの資格証明が必要です。モジュールがインストールされると、認証キーがOracleウォレットに安全に格納され、Oracle Cloud Infrastructure Object Storageを使用したバックアップ・モジュール操作の認証に使用されます。

31.4 Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicについて

Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicでは、Swift API (以前はOCI Object Storage Classicと呼ばれていました)を使用してOracle Cloud Infrastructure (OCI) Object Storage Serviceでクラウドのバックアップおよびリストアを実行できます。

Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicは、Recovery Manager (RMAN)と緊密に統合されたテープへのシステム・バックアップ(SBT)のインタフェースです。つまり、新しいツールやコマンドを学習する必要はありません。すべてのバックアップ、リストア、リカバリおよび管理操作で、標準のRMANコマンドを引き続き使用できます。

Oracleホーム・ディレクトリにあるopc_installer.zipファイルを使用して、Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicをインストールする必要があります。ターゲット・データベース・サーバーにバックアップ・モジュールをインストールします。複数のデータベース・バージョンおよびオペレーティング・システムがサポートされています。

31.5 Oracle Database Backup Cloud Serviceのサブスクリプションに関する重要な情報

Oracle Database Backup Cloud Serviceの試用をリクエストすると、実際にOracle Storage Cloud Serviceを試用することになります。Oracle Database Backup Cloud Serviceは、Oracle Storage Cloud Serviceを使用してクラウドのバックアップを格納します。

Oracle Database Backup Cloud Serviceを試用するには、Oracle Cloud Infrastructure (OCI)にアクセスし、OCIを無料で試すをクリックします。

Oracle Database Backup Cloud Serviceの試用および有料サブスクリプションの場合、サービスはCloudポータルにOracle Storage Cloud Serviceとしてリストされます。オラクルから送信される電子メールで、Oracle Storage Cloud Serviceを参照できます。

31.6 Oracle Database Backup Cloud Serviceの試用サブスクリプションまたは有料サブスクリプションのリクエスト

Oracle Database Backup Cloud Serviceのサブスクリプションの使用を開始する方法について説明します。

  1. 次のいずれかの方法を使用して、Oracle Database Backup Cloud Serviceの試用をリクエストするか、サブスクリプションを購入します:

    Oracle Database Backup Cloud Serviceの試用および有料サブスクリプションは、Oracle Storage Cloud Serviceのサブスクリプションとして表示されます。「Oracle Database Backup Cloud Serviceのサブスクリプションに関する重要な情報」を参照してください。

  2. サービスをアクティブ化して検証します。『Oracle Cloudスタート・ガイド』注文のアクティブ化を参照してください。
  3. アクティブ化を確認します。『Oracle Cloudスタート・ガイド』サービスの準備ができていることの確認を参照してください。

  4. 重要:サービスのデータ・センターを選択します。Oracle Cloud Infrastructure Object Storage Classicの使用を参照してください。

    手順に記載されているようにストレージ・コンテナを作成する必要はありません。Oracle Database Backup Cloud Serviceで使用されるバックアップ・モジュールをインストールするときに、デフォルトのストレージ・コンテナが自動的に作成されます。

    ジオレプリケーションを有効にすると、ソース・データ・センターとターゲット・データ・センターの両方で使用されている容量について請求されます。

    バックアップ・モジュールのインストーラを実行する前に、レプリケーション・ポリシーを設定する必要があります。そうしないと、Could not authenticate to Oracle Database Cloud Backup Module403 Forbiddenなどのエラーが表示されます。レプリケーション・ポリシーを設定し、同期が完了するまで少なくとも10分間待ってから、インストールを再試行します。

  5. ユーザーのアカウントを作成し、適切な権限とロールを割り当てます。『Oracle Cloudの管理とモニタリング』ユーザー・アカウントの管理およびユーザー・ロール管理を参照してください。

    ノート:

    Oracle Database Public Cloud Servicesサブスクリプションの場合、クラウドにバックアップするには、ストレージ管理者ロールまたはデータベース・バックアップ管理者ロールがユーザーに付与されている必要があります。

ノート:

Oracle Database Backup Cloud Serviceに関するよくある質問(FAQ)の回答は、My Oracle SupportのNote 1640149.1を参照してください。

31.7 Oracle Database Backup Cloud Serviceのソフトウェアの前提条件

Oracle Database Backup Cloud Serviceをインストールする前に、次の最小要件を確認してください。

次の表に、Oracle Cloud InfrastructureおよびSwift APIを使用したOracle Cloud Infrastructure Object Storage Serviceの操作でサポートされるデータベース・バージョン、オペレーティング・システムおよび前提条件を示します。Recovery Manager (RMAN)の圧縮および暗号化オプションを確認することもできます。

表31-1 Oracle Database Cloud Backup Module for OCIおよびOCI ClassicでサポートされるOracle Databaseのバージョン、オペレーティング・システムおよびRMANオプション

システム サポートされているバージョン

Oracle Database

Enterprise Edition: 11gリリース2 (11.2.0.4)以降

Standard Edition (SE、SE1、SE2): 11gリリース2 (11.2.0.4)以降

*サポートされていないOracle Databaseバージョンは、非推奨モードです。最新のサポート・マトリックスについては、My Oracle SupportのNote 1640149.1を参照してください。

Oracle Database Backup Cloud Serviceのサブスクリプションおよびアカウント。
  • Oracle Database Cloud Backup Module for OCI

    Oracle Cloud Infrastructure Object Storageへのアクセス権を持つOracle Cloudアカウント

    Oracle Cloud Infrastructure API署名キー、テナントOCIDおよびユーザーOCID。

  • Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classic

    Oracle Database Backup Cloud Serviceアカウントのユーザー名、パスワードおよびストレージ容量。

Java SE Development Kit (JDK)

ターゲットのOracle DatabaseリリースでサポートされているデフォルトのJDKバージョン。

Oracle DatabaseのStandard Editionを使用している場合に必要なパッチ

My Oracle SupportのNote 1640149.1を参照してください。

Oracle Database Cloud Backup Moduleインストーラの実行に必要なパラメータの値。

インストーラを実行する前に、必須パラメータを確認し、それらの値を編集します。

RMAN圧縮

HIGH、MEDIUM、BASIC、LOW

RMANの暗号化

Enterprise Edition: パスワード、Transparent Data Encryption (TDE)、デュアル・モード。

Standard Edition: パスワード、TDE、デュアル・モード。パッチが必要です。

My Oracle SupportのNote 1640149.1を参照してください。

ノート:

  • データベース・サーバーに複数のOracleホームがある場合は、各ORACLE_HOMEにOracle Database Cloud Backup Module for OCIをインストールする必要があります。または、データベース・サーバー内のすべてのデータベースのバックアップに同じクラウド資格証明を使用している場合は、opcSID.ora構成ファイルを他のOracleホームの場所にコピーできます。
  • クラウドにバックアップするデータベース・インスタンスごとに、opcSID.oraファイルをコピーして名前を変更します。ここで、SIDは、データベース・インスタンスのSIDに一致します。

31.8 Oracle Database Cloud Backup Module for OCIのインストール

Oracle Cloud Infrastructureにバックアップする前に、ターゲット・データベース・サーバーにOracle Database Cloud Backup Module for OCIをインストールする必要があります。

Oracle Databaseをインストールすると、バックアップ・モジュール・インストーラ・ファイル(oci_installer.zip)がOracleホーム・ディレクトリに配置されます。

表31-2 OCIバックアップ・モジュール・インストーラ・ファイルの名前と場所

Oracle Database Cloud Backup Module for OCIインストーラ・ファイル UNIXおよびLinuxシステム上の場所 Windowsシステム上の場所

oci_installer.zip

$ORACLE_HOME/lib

%ORACLE_HOME%\lib

31.8.1 Oracle Database Cloud Backup Module for OCIを実行するためのパラメータ

Oracle Database Cloud Backup Module for OCIを実行する前に、必須パラメータを確認し、それらの値を編集します。

Oracle Databaseをインストールすると、バックアップ・モジュール・インストーラ・ファイル(oci_installer.zip)がOracleホーム・ディレクトリに配置されます(表31-2を参照)。

oci_installer.zipファイルを任意のサブディレクトリに解凍します。インストール・パラメータをプレビューするには、解凍したインストーラ・ファイルを含むサブディレクトリから次のコマンドを実行します。
$ java -jar oci_install.jar

必須パラメータには、Oracle Cloud Infrastructureアカウントのホスト名およびOracle Cloud Infrastructure APIリクエストの署名に使用される秘密キーが含まれます。たとえば:

java -jar oci_install.jar
-host https://objectstorage.us-phoenix-1.oraclecloud.com
-pvtKeyFile oci_private_key -pubFingerPrint oci_public_fingerprint 
-uOCID user_ocid -tOCID tenancy_ocid
-walletDir /wallet_directory

例31-1 Oracle Database Cloud Backup Module for OCIの解凍およびインストール・パラメータのプレビュー(UNIXおよびLinuxシステムの場合)

この例では、oci_installer.zipファイルの内容をocimoduleサブディレクトリに解凍します。
$ mkdir -p $ORACLE_HOME/lib/ocimodule
$ cd $ORACLE_HOME/lib/ocimodule
unzip -q $ORACLE_HOME/lib/oci_installer.zip

インストール・パラメータをプレビューするには、解凍されたファイルを含むocimoduleサブディレクトリから次のコマンドを実行します。

$ java -jar oci_install.jar

表31-3 Oracle Database Cloud Backup Module for OCIのインストールに必要なパラメータ

パラメータ 説明 必須またはオプション

-host

Oracle Cloud Infrastructureアカウントのエンド・ポイント。アカウントのネイティブなOracle Cloud Service Object Storage APIエンドポイントの詳細は、Oracle Cloud Infrastructureドキュメントのオブジェクト・ストレージのFAQを参照してください。

必須

-pvtKeyFile

Oracle Cloud InfrastructureのAPIリクエストの認証に使用される秘密キーを含むファイル。キー・ファイルはPEM形式であることが必要です。API署名キーの生成の詳細は、Oracle Cloud Infrastructureドキュメント必要なキーおよびOCIDを参照してください。

この秘密キーは、インストーラが実行されているコンピュータの外部には転送されません。

必須

-pubFingerPrint

指定された秘密キーとペアになった公開キーのフィンガープリント。フィンガープリントは、APIリクエストの認証に使用される秘密キーと公開キーのペアをOracle Cloud Infrastructureに通知します

必須

-tOCID

Oracle Cloud InfrastructureアカウントのテナンシのOCID。tOCIDおよびuOCIDの取得の詳細は、Oracle Cloud Infrastructureドキュメント必要なキーおよびOCIDを参照してください。

必須

-uOCID

Oracle Cloud InfrastructureアカウントのユーザーOCID。

必須

-bucket

バックアップが格納されるバケットの名前。このバケットが存在しない場合は、インストーラによって作成されます。

このパラメータを省略すると、バックアップを格納するためのデフォルト・バケットが自動的に作成されます。

バックアップ・モジュールで不変バケットにバックアップを作成する場合は、-bucketパラメータをスキップします。

オプション

-immutable-bucket

不変バックアップを格納するために作成した規制準拠のクラウド・バケットの名前。

Oracle Cloud Infrastructure Object Storageでは、不変バケットは、時間制限のある保持ルールによって管理されるバックアップ・ストレージの場所であり、指定した期間にバックアップが変更または削除されることから保護されます。

バックアップ・モジュールを使用して不変バックアップを作成するには、最初に2つのバケットをOracle Cloud Infrastructure Object Storageに作成する必要があります:
  • 保持ルールおよびルール・ロック(必要な場合)を使用して構成された規制準拠バケット
  • 保存ルールまたは保存設定のない一時メタデータ・バケット

インストーラを実行するときに、-bucketパラメータをスキップし、-immutable-bucketおよび-temp-metadata-bucketパラメータの値を指定します。

一時メタデータ・バケットは、バックアップ操作中に生成されたメタデータおよび一時ファイルの格納に使用されます。

Oracle Cloud Infrastructure Object Storageのバケットおよび保持ルールの詳細は、Oracle Cloud Infrastructureドキュメントの保持ルールを使用したデータの保持を参照してください。

オプション

バックアップ・モジュールで、デフォルト・バケットではなく不変バケットにバックアップを作成する場合は、このパラメータを指定します。

-temp-metadata-bucket

不変バックアップに関連付けられたメタデータおよび一時ファイルを含むバケットの名前。バックアップ・モジュールには、バックアップ操作のための一時メタデータ・バケットが必要です。

インストーラを実行する前に、保存ルールまたは保存設定なしでオブジェクト・ストレージ/バケットを作成します。-temp-metadata-bucketパラメータでバケット名を指定して、インストーラを実行します。

Oracle Cloud Infrastructure Object Storageのバケットおよび保持ルールの詳細は、Oracle Cloud Infrastructureドキュメントの保持ルールを使用したデータの保持を参照してください。

バックアップ・モジュールで不変バックアップを作成する場合、および-immutable-bucketパラメータの値を指定した場合は必須です。

-cOCID

Oracle Cloud Infrastructureアカウントのリソース・コンパートメントID。指定しない場合、デフォルト値はテナンシOCIDです。

オプション

-newRSAKeyPair

認証用の公開RSAキーと秘密RSAキーの新しいペアを設定します。指定した場合、インストーラは2048ビットのランダムなRSA秘密キーと公開キーのペアを生成し、指定されたOracleウォレット・ディレクトリに格納します。

オプション

-walletDir

Oracle Cloud Infrastructure Object Storageの資格証明が格納されているディレクトリ。

LinuxおよびUNIXシステム上の推奨される場所:

$ORACLE_HOME/dbs/opc_wallet

Windowsシステム上の推奨される場所:

%ORACLE_HOME%\database\opc_wallet

指定されたウォレット・ディレクトリが存在しない場合(opc_walletなど)、インストーラによってディレクトリが作成されます。

必須

-configFile

バックアップ・モジュール構成ファイルのカスタム・ファイル名および場所を指定します。たとえば、-configFile=/myfiles/OCIconfig.oraです。

インストーラによって選択されるデフォルトの場所に構成ファイルを作成する場合は、-configFileパラメータをスキップします。
  • UNIXおよびLinuxシステム上のデフォルトの場所: $ORACLE_HOME/dbs
  • Windowsシステム上のデフォルトの場所: %ORACLE_HOME%\database

構成ファイルのデフォルト名はopcSID.oraです。ここで、SIDは、Oracle Cloud Infrastructure Object Storage ServiceにバックアップされるOracle Databaseのシステム識別子です。

オプション

-trustedCerts

ウォレットに追加する必要があるSSL証明書のカンマ区切りリスト。インストーラがローカルのJavaトラストストアからSSL接続に必要な証明書を取得できない場合、このパラメータで指定されたこのSSL証明書がインポートされます。すべてのSSL証明書はPEM形式である必要があります。

オプション

-import-all-trustcerts

JavaトラストストアからすべてのX509証明書をインポートします。

オプション

-proxyHost

HTTPプロキシ・サーバーのホスト名

オプション

-proxyPort

HTTPプロキシ・サーバーのポート番号

オプション

-proxyId

必要に応じて、HTTPプロキシ・サーバーのユーザー名。

オプション

-proxyPass

必要に応じて、HTTPプロキシ・サーバーのパスワード。

オプション

-argFile

指定されたファイルからパラメータを読み込む必要があることを示します。たとえば、arguments.txtという名前のファイルには、次の内容が含まれている場合があります:

-opcID 'myAccount@myCompany.com'
-opcPass 'abc123$'
-host https://objectstorage.us-phoenix-1.oraclecloud.com
-libDir /home/oracle/OPC/lib
-walletDir /home/oracle/OPC/wallet

たとえば、次のコマンドはファイルで指定されたパラメータを使用してOracle Database Backup Module for OCIをインストールします:

java -jar oci_install.jar -argFile arguments.txt

オプション

-enableArchiving

バックアップを標準のオブジェクト・ストレージ・バケットからアーカイブ・ストレージに自動的に移動する必要があるかどうか。デフォルト値は、FALSEです。このパラメータをTRUEに設定すると、バックアップの自動アーカイブが有効になります。

バックアップは、バックアップを含むバケットに関連付けられたオブジェクト・ライフサイクル・ポリシー・ルールによって設定された基準を満たす場合、自動的にアーカイブ・ストレージに移動されます。インストーラは、archiveAfterBackupおよびretainAfterRestoreパラメータの値を使用して適切なライフサイクル・ポリシー・ルールを作成します。このポリシー・ルールは変更しないでください。

バックアップのアーカイブを有効にするには、リージョン内のオブジェクト・ストレージ・サービスにオブジェクトを管理する権限を付与する必要があります。Oracle Cloud Infrastructureドキュメントオブジェクト・ライフサイクル管理の使用を参照してください。

オプション
-archiveAfterBackup

バックアップが標準のオブジェクト・ストレージからアーカイブ・ストレージに移動されるまでの期間(日数または年数)。デフォルトは0日です。これは、バックアップが作成されて0から24時間の間にアーカイブ・ストレージに移動されることを意味します。例:

-archiveAfterBackup "25 days"
-archiveAfterBackup "1 year"
オプション
-retainAfterRestore

アーカイブ・ストレージから標準のオブジェクト・ストレージにリストアされたバックアップがオブジェクト・ストレージ・バケットで保持される期間(時間)。デフォルトは、48時間です。例:

-retainAfterRestore "24 hours"

アーカイブ・バックアップを使用してリストアする場合、まずアーカイブ・ストレージからバックアップをリコールする必要があります。リコールされたバックアップは、retainAfterRestoreで指定された期間、オブジェクト・ストレージに保持されます。指定した時間が経過すると、バックアップはアーカイブ・ストレージに戻ります。

オプション

31.8.2 Backup Module for OCIインストーラの実行

ターゲット・データベース・サーバーにOracle Database Cloud Backup Module for OCIをインストールするには、次の手順を使用します。

開始する前に、前提条件を確認し、Oracle Database Cloud Backup Module for OCIの実行に必要なパラメータ値を編集したことを確認します。
  1. OCIバックアップ・モジュール・インストーラのzipファイル(oci_installer.zip)は、Oracleホーム・ディレクトリにあります(表31-2を参照)。

    oci_installer.zipファイルを任意のサブディレクトリに解凍します。この例では、インストーラ・ファイルをocimoduleサブディレクトリに解凍します。

    $ mkdir -p $ORACLE_HOME/lib/ocimodule
    $ cd $ORACLE_HOME/lib/ocimodule
    unzip -q $ORACLE_HOME/lib/oci_installer.zip
  2. (オプション)標準のオブジェクト・ストレージからアーカイブ・ストレージへのバックアップの自動的な移動を構成するには、オブジェクト・ストレージ・サービスがバックアップをアーカイブ・ストレージに移動することを認可します。
    Oracle Cloud Infrastructureドキュメントの必要なIAMポリシーの項のサービス権限を参照してください
  3. OCIバックアップ・モジュールのインストーラ・ファイルを解凍したディレクトリに移動します。この例では、ocimoduleディレクトリにoci_install.jarファイルとREADMEファイル(oci_readme.txt)が含まれています。
    $ cd $ORACLE_HOME/lib/ocimodule
  4. OCIバックアップ・モジュールのインストーラ・ファイル(oci_install.jar)を実行します。この例に示すように、パラメータと値を指定します。
    サンプル・パラメータ値を使用したOCIバックアップ・モジュール・インストーラの実行例を次に示します。
    java -jar oci_install.jar -host https://objectstorage.us-ashburn-1.oraclecloud.com 
    -bucket DBOCIbackups 
    -pvtKeyFile /oracle/dbs/oci_wallet/oci_pvt 
    -pubFingerPrint 2c:22:f3:v3:e2:2w:21:55:76:98:55:e7:65:bn:tg:98 
    -tOCID ocid1.tenancy.oc1..aaaaaaaa754pijuwheaq67t7t7z7aibtusjxwxyv3gfa 
    -uOCID ocid1.user.oc1..aaaaaaaap4fvkch3arjfdizhfigpiliifieyl6wn4yceelo6job2du7f4r4q 
    -cOCID ocid1.compartment.oc1..aaaaaaaaxslrgbvo5gh7t5iljdmydfolgfygwdpnrq7vtt5cj4ksb3lvwu67 
    -walletDir /oracle/dbs/oci_wallet                                                                                                                             
    この出力例は、インストーラがOracle Database Backup Cloud Serviceの識別子および資格証明を含むウォレットを自動的に作成し、バックアップ・モジュール構成ファイル(opc<ORACLE_SID>.ora)を作成する方法を示しています。
    Oracle Database Cloud Backup Module Setup Tool, build 23.8.0.25.04
    Oracle Database Cloud Backup Module credentials are valid.
    Backups would be sent to bucket DBOCIbackups.
    Oracle Database Cloud Backup Module wallet created in directory /oracle/dbs/oci_wallet.
    Oracle Database Cloud Backup Module initialization file oracle/dbs/opcsbt.ora created.
    Skipping library download because option -libDir is not specified.
    

例31-2 Oracle Database Cloud Backup Module for OCIのインストール時のバックアップの自動アーカイブの有効化

この例では、Oracle Database Cloud Backup Module for OCIをインストールし、アーカイブを有効にしてbackup_archival_60という名前の標準バケットを作成しています。このバケットに格納されたバックアップは、作成後60日で標準のオブジェクト・ストレージからアーカイブ・ストレージに自動的に移動されます。リストア操作中、アーカイブ・ストレージからリコールされたバックアップは、オブジェクト・ストレージ・バケットに72時間保持されます。オブジェクト・ライフサイクル・ポリシーが作成され、バケットbackup_archival_60に関連付けられます。-archiveAfterBackupおよび-retainAfterRestoreパラメータで指定された情報は、このオブジェクト・ライフサイクル・ポリシーに格納されます。

インストーラを実行する前に、ステップ3の説明に従って、オブジェクト・ストレージ・サービスがバックアップをアーカイブ・ストレージに移動することを認可してください。

java -jar oci_install.jar -host https://objectstorage.us-ashburn-1.oraclecloud.com 
-pvtKeyFile /oracle/dbs/oci_wallet/oci_pvt 
-pubFingerPrint 2c:22:f3:v3:e2:2w:21:55:76:98:55:e7:65:bn:tg:98  
-tOCID ocid1.tenancy.oc1..aaaaaaaa754pijuwheaq67t7t7z7aibtusjxwxyv3gfa 
-uOCID ocid1.user.oc1..aaaaaaaap4fvkch3arjfdizhfigpiliifieyl6wn4yceelo6job2du7f4r4q 
-cOCID ocid1.compartment.oc1..aaaaaaaaxslrgbvo5gh7t5iljdmydfolgfygwdpnrq7vtt5cj4ksb3lvwu67 
-walletDir /oracle/dbs/oci_wallet 
 -enableArchiving true 
 -archiveAfterBackup "60 days" -retainAfterRestore "72 hours" 
 -bucket backup_archival_60 
 -configFile /oracle/dbs/oci_config.ora

出力例を確認します。

Oracle Database Cloud Backup Module Setup Tool, build MAIN_2025-02-28
Oracle Database Cloud Backup Module credentials are valid.
Backups would be sent to bucket backup_archival_60.
Oracle Database Cloud Backup Module wallet created in directory /oracle/dbs/oci_wallet.
Oracle Database Cloud Backup Module initialization file /oracle/dbs/oci_config.ora created.
Skipping library download because option -libDir is not specified.

31.8.3 Oracle Database Cloud Backup Module for OCIインストーラによって作成されるファイル

Oracle Database Cloud Backup Module for OCIのインストーラを実行した後、必要なファイルがターゲット・データベース・サーバーに作成されていることを確認します。

表31-4 Oracle Database Cloud Backup Module for OCIインストーラによって作成されるファイル

ファイル 場所 目的

opcSID.ora

Oracle Database Cloud Backup Module for OCIのインストーラの実行時に—configFileパラメータに指定したとおり。

UNIXおよびLinuxシステム上のデフォルトの場所:

$ORACLE_HOME/dbs

Windowsシステム上のデフォルトの場所:

%ORACLE_HOME%\database

Oracle Cloud Infrastructure Object StorageバケットURLおよび資格証明ウォレットの場所を含む構成ファイル。ここで、SIDは、Oracle Cloud InfrastructureにバックアップされるOracleデータベースのシステム識別子です。

cwallet.sso

Oracle Database Cloud Backup Module for OCIインストーラの実行時に—walletDirパラメータに指定したとおり。

  • UNIXおよびLinuxシステム上の場所:

    $ORACLE_HOME/dbs/opc_wallet

  • Windowsシステム上の場所:

    %ORACLE_HOME%\database\opc_wallet

Oracle Cloud Infrastructureオブジェクト・ストレージの資格証明を安全に格納するためのOracleウォレット・ファイル。このファイルは、Recovery Manager (RMAN)によるバックアップおよびリストア操作中に使用され、Oracle Cloud Infrastructure Object Storageのウォレット・ディレクトリ(opc_walletなど)に格納されます。

31.9 Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicのインストール

Swift APIを使用してOracle Cloud Infrastructure Object Storage Serviceにバックアップする前に、クラウド・バックアップ・モジュールをターゲット・データベース・サーバーにインストールする必要があります。

Oracle Databaseをインストールすると、バックアップ・モジュール・インストーラ・ファイル(opc_installer.zip)がOracleホーム・ディレクトリに配置されます。

表31-5 Backup Module for OCI Classicインストーラのファイル名および場所

Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicインストーラのファイル名 UNIXおよびLinuxシステム上の場所 Windowsシステム上の場所

opc_installer.zip

$ORACLE_HOME/lib

%ORACLE_HOME%\lib

31.9.1 Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicインストーラを実行するためのパラメータ

Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicモジュールをインストールする前に、必須パラメータを確認し、それらの値を編集します。パラメータには、ホスト(RESTエンドポイント)およびアカウント資格証明が含まれています。

Oracle Databaseをインストールすると、Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicのzipファイル(opc_installer.zip)がOracleホーム・ディレクトリに配置されます。

opc_installer.zipファイルを任意のサブディレクトリに解凍します。インストール・パラメータをプレビューするには、解凍されたファイルを含むサブディレクトリから次のコマンドを実行します。
$ java -jar opc_install.jar

例31-3 Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicインストーラ・ファイルの解凍およびインストール・パラメータのプレビュー

この例では、opc_installer.zipファイルの内容をOCIclassicサブディレクトリに抽出しています。
$ mkdir -p $ORACLE_HOME/lib/OCIclassic
$ cd $ORACLE_HOME/lib/OCIclassic
unzip -q $ORACLE_HOME/lib/opc_installer.zip
インストール・パラメータをプレビューするには、解凍されたインストーラ・ファイルを含むOCIclassicサブディレクトリから次のコマンドを実行します。
$ java -jar opc_install.jar

表31-6 Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicインストーラで使用されるパラメータ

パラメータ 説明 必須またはオプション

-host

サービスの詳細ページにリストされているサービスのRESTエンドポイント。たとえば:

https://swiftobjectstorage.us-ashburn-1.oraclecloud.com/v1/hr-abc

アカウントのURLの詳細は、Oracle Cloud Infrastructure Object Storage Classicの使用のドキュメントを参照してください。

必須

—opcId

Oracle Database Backup Cloud Serviceアカウントのユーザー名。

ユーザー名は、'myAccount@myCompany.com'のように一重引用符で囲みます。Windowsシステムでは、ユーザー名に特殊文字が含まれる場合は二重引用符を使用します。

必須

—opcPass

—opcIdで指定されたOracle Database Backup Cloud Serviceアカウントのパスワード。

パスワードは、'opc_password'のように一重引用符で囲みます。Windowsシステムでは、パスワードに特殊文字が含まれる場合は二重引用符を使用します。

必須

—walletDir

Oracle Database Backup Cloud Serviceの資格証明が格納されているディレクトリ。

LinuxおよびUNIXシステム上の推奨される場所:

$ORACLE_HOME/dbs/opc_wallet

Windowsシステム上の推奨される場所:

%ORACLE_HOME%\database\opc_wallet

指定されたウォレット・ディレクトリが存在しない場合(opc_walletなど)、インストーラによってディレクトリが作成されます。

必須

—container

Oracle Database Backup Cloud Serviceとは別に、バックアップを格納するために作成したカスタム・コンテナ。省略した場合、バックアップは、バックアップ・モジュールのインストールで作成されたデフォルトのコンテナに格納されます。「カスタムの場所へのバックアップの格納」を参照してください。

ノート: Recovery Manager (RMAN)で使用されるコンテナでは、サーバー側の暗号化を有効にできません。RMANバックアップはクライアント側ですでに暗号化されているため、サーバー側の暗号化は必要ありません。

バックアップ・モジュールで不変コンテナにバックアップを作成する場合は、-containerパラメータをスキップします。

オプション

-immutable-container

不変バックアップを格納するために作成された規制準拠のクラウド・コンテナの名前。

Oracle Cloud Infrastructure Object Storageでは、不変コンテナは、時間制限のある保持ルールによって管理されるバックアップ・ストレージの場所であり、指定した期間にバックアップが変更または削除されることから保護されます。

バックアップ・モジュールを使用して不変バックアップを作成するには、最初に2つのコンテナをOracle Cloud Infrastructure Object Storageに作成する必要があります:
  • 保持ルールおよびルール・ロック(必要な場合)を使用して構成された規制準拠コンテナ
  • 保存ルールまたは保存設定のない一時メタデータ・コンテナ

インストーラを実行するときに、-containerパラメータをスキップし、-immutable-containerおよび-temp-metadata-containerパラメータの値を指定します。

一時メタデータ・コンテナは、バックアップ操作中に生成されたメタデータおよび一時ファイルの格納に使用されます。

オプション

このパラメータは、バックアップ・モジュールで、デフォルト・コンテナではなく不変コンテナにバックアップを作成する場合に指定します。デフォルトのコンテナは、インストーラの実行時に作成されます。

-temp-metadata-container

不変バックアップに関連付けられたメタデータおよび一時ファイルを格納するコンテナの名前。バックアップ・モジュールには、バックアップ操作のための一時メタデータ・コンテナが必要です。

インストーラを実行する前に、保存ルールまたは保存設定なしでオブジェクト・ストレージ・コンテナを作成します。-temp-metadata-containerパラメータでコンテナ名を指定して、インストーラを実行します。

バックアップ・モジュールで不変バックアップを作成する場合、および-immutable-containerパラメータの値を指定した場合は必須です。

-containerClass

カスタム・コンテナのストレージ・クラス。このパラメータに対する有効な値は次のとおりです。

  • Standard: 標準ストレージ・コンテナを表します。

  • Tiering: ライフサイクル階層化ポリシーが設定されている標準ストレージ・コンテナを表します。

    このオプションでは、自動アーカイブが有効なコンテナが作成されます。階層化ポリシーによって、このコンテナに格納されているオブジェクトのアーカイブ頻度が制御されます。Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicは、階層化ポリシーのデフォルト・パラメータを設定します。デフォルトの階層化ポリシーでは、XMLファイルが除外され、バックアップがすぐにアーカイブ・ストレージに移動されます。

このパラメータを省略すると、デフォルトはStandard、または-containerを使用して指定されたコンテナのストレージ・クラス(コンテナが存在する場合)のいずれかになります。

オプション

-containerLTP

ライフサイクル階層化ポリシー(LTP)ファイルの名前。このファイルは、ストレージ・コンテナ内のオブジェクトがアーカイブ層に移動されるまでの時間と、アーカイブから除外できるオブジェクトのタイプを指定するJSONドキュメントです。

アーカイブ・バックアップを作成するには、-containerLTPパラメータを使用して、ストレージ・コンテナのアーカイブ・ポリシーを定義するLTPファイルの名前を指定します。オプションで、-containerClassTieringに設定できます。

ノート: ライフサイクル階層化ポリシー・ファイルでは、XMLファイルを除外する必要があります。これを行わないと、Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicのインストール時と使用時の両方でエラーが表示されます。ポリシーのexclusionsフィールドは、例31-5に示すフィールドのようにする必要があります。

オプション

—configFile

OCI Classic構成ファイルのカスタムの名前および場所を指定します。たとえば、-configFile=/myfiles/OCIClassicConfig.oraです。

インストーラによって選択されるデフォルトの場所に構成ファイルを作成する場合は、configFileパラメータをスキップします。
  • UNIXおよびLinuxシステム上のデフォルトの場所: $ORACLE_HOME/dbs
  • Windowsシステム上のデフォルトの場所: %ORACLE_HOME%\database

構成ファイルのデフォルト名はopcSID.oraです。ここで、SIDは、Oracle Database Backup Cloud ServiceにバックアップされるOracle Databaseのシステム識別子です。

オプション

—proxyHost

HTTPプロキシ・サーバーのホスト名

オプション

—proxyPort

HTTPプロキシ・サーバーのポート番号

オプション

—proxyId

必要に応じて、HTTPプロキシ・サーバーのユーザー名

オプション

—proxyPass

必要に応じて、HTTPプロキシ・サーバーのパスワード

オプション

—argFile

指定されたファイルからパラメータを読み込む必要があることを示します。たとえば、arguments.txtという名前のファイルには、次の内容が含まれている場合があります:

-opcID 'myAccount@myCompany.com'
-opcPass 'abc123$'
-host https://swiftobjectstorage.us-ashburn-1.oraclecloud.com/v1/hr-abc
-libDir /home/oracle/OPC/lib
-walletDir /home/oracle/OPC/wallet

たとえば、次のコマンドはファイルで指定されたパラメータを使用してOracle Database Backup Module for OCI Classicをインストールします:

java -jar opc_install.jar -argFile arguments.txt

オプション

31.9.2 Backup Module for OCI Classicインストーラの実行

ターゲット・データベース・サーバーにOracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicをインストールするには、次の手順を使用します。

開始する前に、前提条件を確認し、Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicの実行に必要なパラメータ値を編集したことを確認します。
  1. OCI Classicバックアップ・モジュール・インストーラ・ファイル(opc_install.zip)は、Oracleホーム・ディレクトリにあります(表31-5を参照)。
    opc_install.zipファイルの内容を任意のサブディレクトリに解凍します。この例では、インストーラ・ファイルをOCIclassicサブディレクトリに解凍します。
    $ mkdir -p $ORACLE_HOME/lib/OCIclassic
    $ cd $ORACLE_HOME/lib/OCIclassic
    unzip -q $ORACLE_HOME/lib/opc_installer.zip
  2. OCI Classicバックアップ・モジュールのインストーラ・ファイルを解凍したディレクトリに移動します。この例では、OCIclassicディレクトリにopc_installer.jarインストーラ・ファイルとREADMEファイル(opc_readme.txt)が含まれています。
    $ cd $ORACLE_HOME/lib/OCIclassic
  3. OCI Classicバックアップ・モジュール・インストーラ(opc_install.jar)を実行します。パラメータと値を指定します。
    java -jar opc_install.jar -host https://swiftobjectstorage.us-ashburn-1.oraclecloud.com/v1/hr-abc
    -opcId 'myAccount@myCompany.com' -opcPass 'opc_pswd1'
    -walletDir /home/oracle/OPC/wallet
    この実行出力例は、インストーラがOracle Database Backup Cloud Serviceの識別子および資格証明を含むウォレットを自動的に作成し、Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicの構成ファイル(opc<ORACLE_SID>.ora)を作成する方法を示しています。
    Oracle Database Cloud Backup Module Install Tool, build 23.8.0.25.04
    Oracle Database Cloud Backup Module credentials are valid.
    Oracle Database Cloud Backup Module wallet created in directory /home/oracle/OPC/wallet.
    Oracle Database Cloud Backup Module initialization file /orclhome/dbs/opcsalesDB.ora created.

    ノート:

    RMANでOCIオブジェクト・ストレージを使用してバックアップを実行するには、oracle.oci SBTライブラリが必要です。Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicをインストールしたら、必ずRMAN SBTチャネルを構成し、oracle.oci SBTライブラリを指定します。

例31-4 Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicをインストールする場合の階層化コンテナの作成

この例では、Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicをインストールし、自動アーカイブが有効になっているarchive_containerという名前のコンテナを作成します。自動アーカイブを使用するコンテナを作成するには、containerClassTieringを指定する必要があります。デフォルトのライフサイクル階層化ポリシーがこのコンテナに関連付けられ、階層化ポリシーで指定された値によって、このコンテナに格納されているバックアップがアーカイブ・ストレージに移動されるタイミングが制御されます。

% java -jar opc_install.jar -host https://swiftobjectstorage.us-ashburn-1.oraclecloud.com/v1/hr-abc 
  -opcId 'myAccount@myCompany.com' -opcPass 'opc_pswd1' 
  -walletDir /home/oracle/opc/opc_wallet  
  -containerClass Tiering -container archive_container
Oracle Database Cloud Backup Module Install Tool, build 23.8.0.25.04
Oracle Database Cloud Backup Module credentials are valid.
Backups would be sent to container archive_container.
Oracle Database Cloud Backup Module wallet created in directory /home/oracle/opc/opc_wallet.
Oracle Database Cloud Backup Module initialization file /orclhome/dbs/opcSALESDB.ora created.

例31-5 ライフサイクル階層化ポリシー・ファイルのJSONドキュメント

次の例は、アーカイブ・コンテナのライフサイクル階層化ポリシーの定義に必要な情報を含むJSONドキュメントを示しています。このJSONドキュメントを使用して設定されたライフサイクル階層化ポリシーは、すべてのXMLファイルをバックアップから除外し、バックアップを7日後にアーカイブ層に移動します。

{
   "archiveAfter":
   {
     "timeUnit":"DAYS",
     "time":7
   },
   "exclusions":[{"exclusionType":"REGEX","exclusionFilter":"\\.xml"}]
}

ノート:

archiveAfterに0より大きい値を指定できるのは、限られたデータ・センターのみです。

31.9.3 Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicのインストール時に作成されるファイル

Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicの実行後、必要なファイルがデータベース・サーバー上に作成されていることを確認します。

表31-7 Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicインストーラによって作成されるファイル

ファイル 場所 目的

opcSID.ora

Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicインストーラの実行時に—configFileパラメータに指定したとおり。

LinuxおよびUNIXシステム上のデフォルトの場所:

$ORACLE_HOME/dbs

Windowsシステム上のデフォルトの場所:

$ORACLE_HOME\database

Oracle Database Backup Cloud ServiceコンテナのURLと資格証明ウォレットの場所が含まれている構成ファイルです。ここで、SIDは、Oracle Database Backup Cloud ServiceにバックアップされるOracleデータベースのシステム識別子です。

ノート: Recovery Manager (RMAN)で使用されるコンテナでは、サーバー側の暗号化を有効にできません。RMANバックアップはクライアント側ですでに暗号化されているため、サーバー側の暗号化は必要ありません。

cwallet.sso

Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicインストーラの実行時に—walletDirパラメータに指定したとおり。

場所の例:

ORACLE_HOME/dbs/opc_wallet

Oracle Database Backup Cloud Serviceの資格証明を安全に格納するためのOracleウォレット・ファイル。このファイルは、Recovery Manager (RMAN)によるバックアップおよびリストア操作中に使用され、Oracle Database Backup Cloud Serviceのウォレット・ディレクトリ(opc_walletなど)に格納されます。

31.10 Oracle Cloud (OCI)用のSBTチャネルの構成

RMANがデータベース・バックアップをOracle Cloudに直接送信できるように、自動SBTチャネルを構成します。

Oracle Cloud InfrastructureおよびOracle Cloud Infrastructure Classicへのバックアップ用に別のSBTチャネルを作成します。両方のチャネルのSBT_LIBRARYとしてoracle.ociを指定します。デフォルトのバックアップの場所は、RMAN構成で現在設定されているSBTチャネルによって決まります。たとえば、SBT_LIBRARYoracle.ociで、SBT_PARMSがOracle Database Cloud Backup Module for OCIの構成ファイルに設定されているSBTチャネルを使用するようにRMAN環境が現在構成されている場合、RMANはデフォルトでバックアップをOracle Cloud Infrastructure Object Storageに送信します。Swift APIを使用したOracle Cloud Infrastructure Object Storage Serviceなど、別の場所にバックアップするには、Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicの構成に対応する別のSBTチャネルを構成します。

Oracle Cloudへのバックアップ用の自動SBTチャネルを構成するには、次の手順を使用します。

  1. RMANを起動し、ターゲット・データベースに接続します。
  2. CONFIGUREコマンドを使用して、自動SBTチャネルを構成します。Oracle CloudでのRMANのバックアップおよびリストア操作を可能にするoracle.oci SBTライブラリを指定するには、SBT_LIBRARYパラメータを含める必要があります。Oracleホーム・ディレクトリにあるライブラリ・ファイルへの絶対パスを指定することもできます。
    RMAN> CONFIGURE CHANNEL DEVICE TYPE 'SBT'
          PARMS 'SBT_LIBRARY=oracle.oci,
          ENV=(OPC_PFILE=/myfiles/opc<ORACLE_SID>.ora)';
    

    次に示すように、ライブラリ別名のかわりにネイティブSBTライブラリ・パスをオプションで指定できます。

    RMAN> CONFIGURE CHANNEL DEVICE TYPE 'SBT'
    PARMS 'SBT_LIBRARY=$ORACLE_HOME/lib/libopc.so, 
    ENV=(OPC_PFILE=/myfiles/opc<ORACLE_SID>.ora)';
    RMAN> CONFIGURE CHANNEL DEVICE TYPE 'SBT'
    PARMS 'SBT_LIBRARY=oracle.oci, 
    SBT_PARMS=(OPC_PFILE=C:\myfiles\opc<ORACLE_SID>.ora)';

    次に示すように、ライブラリ別名のかわりにネイティブSBTライブラリ・パスをオプションで指定できます。

    RMAN> CONFIGURE CHANNEL DEVICE TYPE 'SBT'
    PARMS 'SBT_LIBRARY=%ORACLE_HOME%\bin\oraopc.dll, 
    SBT_PARMS=(OPC_PFILE=C:\myfiles\opc<ORACLE_SID>.ora)';
    この例では、SBTチャネルを構成します。SBT_LIBRARYパラメータは、oracle.oci SBTライブラリを指定します。ENVパラメータ(UNIXおよびLinuxの場合)またはSBT_PARMSパラメータ(Windowsの場合)は、RMANジョブに必要なパラメータを提供するOracle Database Cloud Backup Module for OCIの構成ファイル(opc<ORACLE_SID>.ora)を指定します。<ORACLE_SID>は、Oracle Database Cloud Backup Module for OCIにバックアップされるターゲットOracle Databaseのシステム識別子です。
  3. SHOW ALL CHANGEDコマンドを使用して、RMAN構成を確認し、Oracle Cloudが構成済のバックアップの保存先であることを確認します。

    ノート:

    Windowsシステムでバックアップの実行時にシステム・エラーまたはメディア管理のロード・エラーが表示された場合は、Windows環境でバックアップ・モジュールに必要なCライブラリが欠落している可能性があります。Visual Studio 2013の再配布可能パッケージをダウンロードします。64ビット・バージョンを選択し、ダウンロードしたEXEファイルを実行します。これで問題が解決されます。Windows環境では、SBT_PARMSを使用して、ORACLE_HOMEをパラメータとしてチャネルに渡します。

31.11 Oracle Database Backup Cloud Serviceを使用するためのその他のオプション

この項では、Oracle Database Backup Cloud Serviceで使用できる様々なバックアップおよびリカバリのオプションについて説明します。

31.11.1 OCIバックアップの暗号化の構成

バックアップは、Oracle Database Backup Cloud Serviceに送信する前に暗号化しておく必要があります。

作成するすべてのRMANバックアップのデフォルトの暗号化アルゴリズムを構成するには、CONFIGUREコマンドを使用します。または、SETコマンドを使用して、バックアップの実行時に暗号化を明示的に指定します。

暗号化の方法および暗号化アルゴリズムの選択の詳細は、「バックアップの暗号化の構成」を参照してください。

バックアップが暗号化されていない場合、OCIへのバックアップを試行すると、RMANによって次のエラー・メッセージが報告されます。

RMAN-03009: failure of backup command on ORA_SBT_TAPE_1 channel at 08/15/2014 14:00:43
ORA-27030: skgfwrt: sbtwrite2 returned error
ORA-19511: non RMAN, but media manager or vendor specific failure, error text:
   KBHS-01602: backup piece 14p0jso8_1_1 is not encrypted

Recovery Manager (RMAN)の暗号化バックアップは、クラウドに安全に作成、転送および格納されます。次のいずれかのRMAN暗号化モードを使用して、バックアップを暗号化します:

  • パスワード暗号化

  • 透過的データ暗号化(TDE)

  • デュアル・モード暗号化(パスワードおよびTDEの組合せ)

31.11.2 Oracle Cloud Infrastructureへの自動アーカイブの構成

あまりアクセスされないが長期間保存する必要があるバックアップは、アーカイブ・ストレージに移動できます。コールド・データの保存の場合、アーカイブ・ストレージを使用すると、オブジェクト・ストレージよりもコスト効率がよくなります。

新しいバケットを作成するか、既存のバケットを使用して、アーカイブ・ストレージに自動的に移動する必要があるバックアップを格納できます。

Oracle Cloud Infrastructure Archive Storageへのバックアップの自動アーカイブを構成するには:
  1. オブジェクト・ストレージ・サービスがバックアップをアーカイブ・ストレージに移動することを認可します。Oracle Cloud Infrastructureドキュメントオブジェクト・ライフサイクル管理の使用サービス権限を参照してください。
  2. 既存のバケットを使用するには、バケットの自動アーカイブが有効になっていることを確認します。
    1. バケットの詳細を表示して、自動アーカイブが有効かどうかを確認します。Oracle Cloud Infrastructureドキュメントバケットの管理を参照してください。
    2. 自動アーカイブが有効になっていない場合は、-enableArchivingパラメータを指定してインストーラを実行し、バケットのアーカイブを有効にします。

      インストーラを実行するコマンドは、「Backup Module for OCIインストーラの実行」のコマンドと似ています。-bucketパラメータでは、既存のバケットの名前を指定する必要があります。-archiveAfterBackupおよび-retainAfterRestoreパラメータが指定されていない場合は、デフォルト値が使用されます。

      アーカイブ・ルールは、バケット内のすべての既存オブジェクトに適用されます。たとえば、オブジェクトを含む既存のバケットに2週間後にアーカイブするライフサイクル・ポリシーを適用すると、2週間より古いすべてのオブジェクトがアーカイブされます。

  3. 新しいバケットを作成するには、-bucketおよび-enableArchivingパラメータを指定してインストーラを実行します。
    例については、「Backup Module for OCIインストーラの実行」を参照してください。
  4. Oracle Database Cloud Backup Module for OCIに対応するRMANチャネルを構成します。「Oracle Cloud (OCI)用のSBTチャネルの構成」を参照してください。

31.11.3 Swift APIを使用したOracle Cloud Infrastructure Object Storage Serviceへの自動アーカイブの構成

使用頻度の低いバックアップは、標準ストレージからアーカイブ・ストレージに、指定した日数の経過後に移動できます。これにより、新しいバックアップ用に標準ストレージの領域が解放されます。

バックアップをアーカイブするには、ライフサイクル階層化ポリシー(LTP)に関連付けられている標準コンテナに格納する必要があります。LTPは、標準コンテナに関連付けられる階層化のタイプを定義するコンテナ・ポリシーです。LTPで指定された日数が経過すると、標準コンテナに格納されているバックアップが自動的にアーカイブされます。特定のオブジェクトが自動的にアーカイブされないように明示的に除外できます。

Swift APIを使用したOracle Cloud Infrastructure Object Storage Serviceへのバックアップの自動アーカイブを構成するには:

  1. Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicをインストールする場合は、次のいずれかの方法を使用して、バックアップをアーカイブする必要があるコンテナを指定します:

    • LTPに関連付けられる標準コンテナの作成

      -containerパラメータを使用して、新しい標準コンテナに使用する必要がある名前を指定します。-containerClassパラメータをTieringに設定します。ユーザー定義のLTPを指定するには、-containerLTPパラメータを使用します。このパラメータを省略すると、デフォルトのLTPが新しいコンテナに関連付けられます。

      「Backup Module for OCI Classicインストーラの実行」を参照してください。

      たとえば:

      -container PAYROLL_ARC
      -containerClass Tiering

      指定した名前の標準コンテナが作成され、デフォルトのLTPが割り当てられます。LTPで指定された日数が経過すると、XMLオブジェクトを除くすべてのバックアップがアーカイブされます。これにより、OPC_CONTAINERおよびOPC_CONTAINER_CLASSパラメータがopcSID .oraファイルに自動的に追加され、これらの設定がバックアップに使用されます。

    • コンテナ・クラスのみの指定

      -containerClassTieringに設定します。

      opc SID .ora構成ファイルのOPC_CONTAINER_CLASSパラメータがTieringに設定されます。Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicインストーラは、LTPに関連付けられた既存の標準コンテナを見つけようとします。そのようなコンテナが見つからない場合は、デフォルトのLTPを使用して新しい標準コンテナが作成されます。新しいコンテナに使用される命名規則は、oracle-data-account_name-indexです。

    • LTPに関連付けられている既存の標準コンテナの使用

      LTPに関連付けられている既存の標準コンテナの名前を指定した-containerパラメータを含めます。

      たとえば:

      -container PAYROLL_ARC

      これにより、指定したコンテナがバックアップの格納に使用されるように、OPC_CONTAINERパラメータがopcSID.ora構成ファイルに自動的に追加されます。

  2. Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicに対応するRMANチャネルを構成します。「Oracle Cloud (OCI)用のSBTチャネルの構成」を参照してください。

31.11.4 OCI不変バケットへのバックアップの格納

OCI不変バケットにバックアップを格納するようにOracle Database Cloud Backup Moduleを構成する方法について説明します。

Oracle Cloud Infrastructure (OCI) Object Storageでは、不変バケットは、時間制限のある保持ルールによって管理されるストレージの場所であり、指定した期間にデータが変更または削除されることから保護されます。各ターゲット・データベースに柔軟なバックアップ保持戦略を実装し、バックアップへの変更を防止するには、不変バケットを使用します。

Oracle Database Cloud Backup Moduleでは、OCIで作成した不変バケットにバックアップを格納できます。

不変バケットにバックアップを格納するには、まずOCIオブジェクト・ストレージに次のバケットを作成する必要があります:

  • 保持ルールおよびルール・ロック(必要な場合)を使用して構成された規制準拠バケット

    保存ルールに関連付けられた既存のバケットを再利用することもできます。

  • 保存ルールまたは保存設定のない一時メタデータ・バケット

    バックアップ操作中は、一時バケットを使用してバックアップ・メタデータおよびファイルが一時的に格納されます。

ノート:

データベース・バックアップを既存の通常のバケットに格納した場合は、不変バックアップを格納するように同じバケットを構成できます。この場合、まず、opcSID.ora構成ファイルで既存のバケットおよび一時バケットを指定(またはバックアップ・モジュール・インストーラを再度実行)してから、OCIのバケットに保持ルールを適用します。これにより、保存ルールで定義された期間、既存のバックアップも保護されます。

ノート:

データベースには、バックアップ保持に対する様々な要求がある場合があります。ベスト・プラクティスとして、ターゲット・データベースごとに個別の不変バケットおよび対応する一意の一時メタデータ・バケットを保持することをお薦めします。

たとえば、sales_dbという名前の不変バケットを作成する場合は、sales_db_tempという名前の一時メタデータ・バケットを作成します。

複数のターゲット・データベースで現在使用されている既存のOCIバケットを再利用する場合は、推奨されるベスト・プラクティスに従ってバケットを再構成してください。

バケットおよび保持ルールの作成の詳細は、OCIオブジェクト・ストレージのドキュメントを参照してください。

Oracle Database Cloud Backup Module for OCIを使用して不変バックアップを格納するには

  1. Oracle Database Cloud Backup Moduleをデータベース・サーバーにインストールします。「Oracle Database Cloud Backup Module for OCIのインストール」を参照してください。
    バックアップ・モジュールを実行する場合は、既存のバケットまたはOCIで作成した新しい不変バケットの名前を使用して、-bucketパラメータを指定します。
  2. バックアップ・モジュールをインストールした後、OPC_CONTAINERパラメータ、OPC_TEMP_CONTAINERパラメータおよびバケット名をopcSID.oraに追加します。
    次の例では、opcSID.oraファイルの不変バケット(sales_db)および一時メタデータ・バケット(sales_db_temp)を指定しています:
    OPC_CONTAINER=sales_db
    OPC_TEMP_CONTAINER=sales_db_temp
  3. OCIコンソールで、不変バケットに適用された保持ルールを確認し、バックアップの変更を防止する正確な期間を指定していることを確認します。必要に応じてルールをロックします。

ノート:

保存ルールで指定する期間がRMANリカバリ・ウィンドウ期間より短いことを確認してください。存在している期限切れのバックアップを保存期間内に削除しようとすると、RMANでエラーが発行されます。
Oracle Database Backup Cloud Service Module for OCI Classicを使用する場合は、同様の手順を使用してバックアップ・モジュールをインストールし、OPC_CONTAINERパラメータ、OPC_TEMP_CONTAINERパラメータおよびコンテナ名をopcSID.oraに追加します。

31.11.5 カスタムの場所へのバックアップの格納

Oracle Database Cloud Backup Module for OCIまたはOracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicをインストールすると、デフォルトの場所が作成され、バックアップはこの場所にオブジェクトとして格納されます。ユーザー自身が作成したカスタムの場所にバックアップを格納することもできます。

Oracle Database Cloud Backup Module for OCIでは、デフォルトのバケットが作成されます。Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicでは、デフォルトのストレージ・コンテナが作成されます。

カスタム・コンテナおよびカスタム・バケットは、RESTコールまたはCloudBerry Explorerなどのサードパーティ製ツールを使用して作成できます。

REST APIを使用してコンテナを作成するには、Oracle Cloud Infrastructure Object Storage Classic: REST APIを使用したコンテナの作成のチュートリアルを参照してください。関連するOracle Cloud Infrastructure Object Storage Classic Serviceのドキュメントについては、コンテナの作成を参照してください。

REST APIまたはOCIコンソールを使用してバケットを作成するには、バケットの管理を参照してください。

ノート:

Oracle Cloud Infrastructure Object StorageまたはOracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructureを使用していて、クラウド・ストレージにバックアップを自動的に格納する場合は、データベース・デプロイメントを作成する前に、バケットまたはコンテナを作成する必要があります。クラウドへのデプロイメントのバックアップの詳細は、OCIオブジェクト・ストレージまたはOracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructureでのデータベースのバックアップおよびリカバリの管理を参照してください。

ノート:

Recovery Manager (RMAN)で使用されるコンテナでは、サーバー側の暗号化を有効にできません。RMANバックアップはクライアント側ですでに暗号化されているため、サーバー側の暗号化は必要ありません。

例31-6 Oracle Cloud Infrastructureでのカスタム・バケットの使用

Oracle Database Cloud Backup Module for OCIのインストール時またはインストール後に、バックアップをカスタム・コンテナに格納する必要があることを指定できます。

  • Oracle Database Cloud Backup Module for OCIインストーラの実行時に、次の例に示すように、-bucketパラメータおよびカスタム・バケット名を含めます。
    -bucket SALES_DB

    これにより、OPC_CONTAINERパラメータがopcSID.ora構成ファイルに自動的に追加され、カスタム・バケットがバックアップに使用されます。ここで、SIDは、Oracle Database Backup Cloud ServiceにバックアップされるOracle Databaseのシステム識別子です。

  • Oracle Database Cloud Backup Module for OCIを設定してからカスタム・コンテナを指定する場合は、次の例に示すように、OPC_CONTAINERパラメータおよびバケット名をopcSID.oraに追加します。
    OPC_CONTAINER=SALES_DB

例31-7 Oracle Cloud Infrastructure Classicでのカスタム・コンテナの使用

Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicのインストール時またはインストール後に、バックアップをカスタム・コンテナに格納する必要があることを指定します。

  • Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicインストーラの実行時に、次の例に示すように、—containerパラメータおよびカスタム・コンテナ名を含めます。
    -container PAYROLL_DB

    これにより、OPC_CONTAINERパラメータがopcSID.ora構成ファイルに自動的に追加され、カスタム・コンテナがックアップに使用されます。ここで、SIDは、Oracle Database Backup Cloud ServiceにバックアップされるOracle Databaseのシステム識別子です。

  • Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicをインストールしてからカスタム・コンテナを指定する場合は、次の例に示すように、OPC_CONTAINERパラメータおよびコンテナ名をopcSID.oraに追加します。
    OPC_CONTAINER=PAYROLL_DB

インストーラで使用されるパラメータの詳細は、「Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicインストーラを実行するためのパラメータ」を参照してください。

opcSID.ora構成ファイルの詳細は、「Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicのインストール時に作成されるファイル」を参照してください。

31.12 Oracle Database Backup Cloud Serviceへのバックアップ

必要なバックアップ・モジュールをインストールし、Recovery Manager (RMAN)設定を構成したら、使い慣れたRMANコマンドを使用してバックアップを作成できます。

クラウド・バックアップに関する情報は、データベース制御ファイルおよびリカバリ・カタログ(使用している場合)に保持されます。

Oracle Database Backup Cloud Serviceにバックアップするには暗号化する必要があります。パスワード暗号化、透過的データ暗号化(TDE)、またはパスワードとTDEの組合せであるデュアル・モード暗号化を使用できます。

ノート:

RMANの並列処理および圧縮、およびその他のベスト・プラクティスを使用すると、クラウドのバックアップおよびリストアの処理速度を上げることができます。パフォーマンスの最適化の詳細は、「クラウドのバックアップ速度を最適化するためのベスト・プラクティス」に記載されているガイドラインを参照してください。

様々なタイプのバックアップおよびリストア操作の実行の詳細は、「データのバックアップとアーカイブ」を参照してください。

RMANコマンドの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』RMANコマンドについてを参照してください。

31.12.1 Oracle Database Backup Cloud Serviceを使用したバックアップおよびリストアの前提条件

Oracle Database Backup Cloud Serviceでバックアップまたはリストアする前に、特定の前提条件の手順を完了する必要があります。

前提条件

31.12.2 パスワード暗号化を使用したOracle Database Backup Cloud Serviceへのバックアップ

パスワード暗号化を使用して、Oracle Database Backup Cloud Serviceにバックアップできます。パスワードは、バックアップおよびリストアするたびに、指定する必要があります。

手順

  1. バックアップの暗号化に使用する必要があるパスワードを指定します。SET ENCRYPTIONコマンドを使用します。
  2. BACKUP DATABASEコマンドを使用して、データベースをバックアップします。必要に応じて、アーカイブREDOログ・ファイルを含めます。

ノート:

パスワードを忘れた場合、または紛失した場合は、バックアップをリストアできません。

次の例では、バックアップのためのパスワード暗号化を構成し、データベース全体のバックアップを作成します:

RMAN> SET ENCRYPTION ON IDENTIFIED BY 'my_pswd' ONLY;
RMAN> BACKUP DEVICE TYPE sbt DATABASE;

バックアップのリストアとリカバリの詳細は、「Oracle Database Backup Cloud Serviceからのバックアップのリストア」を参照してください。

31.12.3 デュアルモード暗号化を使用したOracle Database Backup Cloud Serviceへのバックアップ

デュアルモード暗号化を使用して、Oracle Database Backup Cloud Serviceにバックアップできます。デュアル・モード暗号化は、パスワード暗号化および透過的データ暗号化(TDE)の組合せです。

手順

  1. SET ENCRYPTIONコマンドを使用して、暗号化を有効にします。

    バックアップするOracle DatabaseにTDEが構成されている場合、バックアップがパスワードおよび構成済の透過性暗号化の両方で保護されていることを示すために、SET ENCRYPTIONコマンドのONLYキーワードを省略します。

  2. BACKUP DATABASEコマンドを使用して、データベースをバックアップします。必要に応じて、アーカイブREDOログ・ファイルを含めます。

ノート:

パスワードを忘れた場合、または紛失した場合は、バックアップをリストアできません。

バックアップのリストアとリカバリの詳細は、「Oracle Database Backup Cloud Serviceからのバックアップのリストア」を参照してください。

次のコマンドは、デュアルモード暗号化を使用してデータベース全体のバックアップを作成します。

RMAN> SET ENCRYPTION ON IDENTIFIED BY 'my_pswd';
RMAN> BACKUP DEVICE TYPE sbt DATABASE;

31.12.4 透過的データ暗号化(TDE)を使用したOracle Database Backup Cloud Serviceへのバックアップ

透過的データ暗号化(TDE)を使用して、Oracle Database Backup Cloud Serviceにバックアップできます。TDEを使用する場合、バックアップを作成またはリストアするたびにパスワードを指定する必要はありません。

前提条件

TDEを使用してバックアップするには、TDEウォレット(TDEキーストア)が必要です。これは、Oracle Database Backup Cloud Serviceの資格証明を格納するOPCウォレットとは異なります。

前提条件の詳細は、「Oracle Database Backup Cloud Serviceを使用したバックアップおよびリストアの前提条件」を参照してください。

手順

TDEウォレットをまだ持っていない場合にTDEウォレットを作成するには:

  1. sqlnet.oraファイルに次の行を追加します。

    ENCRYPTION_WALLET_LOCATION=
      (SOURCE=(METHOD=FILE)(METHOD_DATA=
        (DIRECTORY=path_to_TDE_wallet)))
    

    ここで、path_to_TDE_walletはTDEウォレットが作成される場所です。これは、OPCウォレットの場所とは異なる必要があります。

  2. sysとしてSQL*Plusを起動します:

    sqlplus / as sysdba
  3. sqlnet.oraで指定されている場所にTDEウォレットを作成します:

    SQLPLUS> alter system set encryption key identified by "TDE-password";

    ここで、TDE-passwordはTDEウォレットを開くために必要とされるパスワードです。

  4. データベースが再起動されるたびに、次のコマンドを使用してTDEウォレットを開きます:

    SQLPLUS> alter system set encryption wallet open identified by "TDE-password";

TDEに関する完全な情報は、『Oracle Database Advanced Securityガイド』透過的データ暗号化の使用を参照してください。

TDEを使用するOracle Databaseをバックアップするには:

  1. バックアップするターゲット・データベースにRecovery Manager (RMAN)を接続し、データベースの暗号化を構成します:

    RMAN> SET ENCRYPTION ON;
  2. データベースのバックアップ:

    RMAN> BACKUP DATABASE;

バックアップのリストアとリカバリの詳細は、「Oracle Database Backup Cloud Serviceからのバックアップのリストア」を参照してください。

31.12.5 高速リカバリ領域(FRA)からOracle Database Backup Cloud Serviceへのバックアップ

イメージ・コピーやバックアップ・セットを高速リカバリ領域(FRA)からOracle Database Backup Cloud Serviceにバックアップできます。

手順

FRAからOracle Database Backup Cloud Serviceにイメージ・コピーをバックアップするには、次のコマンドを使用します:

RMAN> BACKUP RECOVERY AREA;
RMAN> BACKUP DEVICE TYPE sbt COPY OF DATABASE;
RMAN> BACKUP RECOVERY FILES;
RMAN> BACKUP RECOVERY FILE DESTINATION;

FRAからOracle Database Backup Cloud Serviceにバックアップ・セットをバックアップするには、次のコマンドを使用します:

RMAN> BACKUP DEVICE TYPE sbt BACKUPSET ALL;

バックアップのリストアとリカバリの詳細は、「Oracle Database Backup Cloud Serviceからのバックアップのリストア」を参照してください。

31.12.6 週次完全バックアップ計画および日次増分バックアップ計画の使用

週次完全バックアップ計画および日次増分バックアップ計画は1回設定します。バックアップは無期限に作成され、必要に応じてリストアまたはリカバリ操作の実行に使用できます。

週次完全バックアップ計画および日次増分バックアップ計画を構成するには:
  1. バックアップの保存先に対応するRMANチャネルを構成します。「Oracle Cloud (OCI)用のSBTチャネルの構成」を参照してください。
  2. 制御ファイルの自動バックアップを構成します。「自動バックアップの構成」を参照してください。
  3. 圧縮、並列化、マルチセクション・バックアップなどの追加の最適化を構成します。「クラウドのバックアップ速度を最適化するためのベスト・プラクティス」を参照してください。
  4. 次のコマンドを使用して、バックアップ計画を設定します:
    BACKUP INCREMENTAL LEVEL 0 DATABASE PLUS ARCHIVELOG NOT BACKED UP DELETE INPUT;
    BACKUP INCREMENTAL LEVEL 1 DATABASE PLUS ARCHIVELOG NOT BACKED UP DELETE INPUT;
    

31.12.7 ストレージ容量の監視

Oracle Database Backup Cloud Serviceをサブスクライブする場合、バックアップに必要なストレージ容量を購入します。ストレージ容量の上限に達して、データベースのバックアップを試みると、バックアップは失敗します。

オンデマンドで容量を追加購入することで、上限をすばやく増やすことができます。容量を追加購入したら、バックアップを継続できます。また、RMANを使用して不要なバックアップを削除し、領域を解放することもできます。

使用状況に関する詳細なメトリックを表示することで、使用済のストレージ容量を監視できます。バックアップがObject Storage Classicに格納されている場合は、Infrastructure Classicコンソールを使用します。バックアップがオブジェクト・ストレージに格納されている場合は、コスト分析ツールを使用します。『Oracle Cloud Oracle Cloudの管理およびモニタリング』請求データの監視またはOracle Cloud Infrastructureドキュメントの残高と使用状況の確認を参照してください。

cURLを使用して、アカウントまたはコンテナで使用された容量を確認することもできます。

Oracle Cloud Infrastructure Classicのコマンド例:

# curl -v -s -X GET
       -H "X-Storage-User: service-identitydomain:userid"
       -H "X-Storage-Pass: password"
       https://identitydomain.storage.oraclecloud.com/auth/v1.0

ヘッダー情報を取得するには、Auth—Tokenエントリを使用します:

# curl -v -X HEAD
       -H "X-Auth-Token: auth-token"
       https://identitydomain.storage.oraclecloud.com/v1/service-identitydomain

出力例(関連する詳細が太字で表示されています):

< HTTP/1.1 204 No Content
< X-Account-Container-Count: 2
< X-Account-Object-Count: 567
* Server Oracle-Storage-Cloud-Service is not blacklisted
< Server: Oracle-Storage-Cloud-Service
< X-Account-Meta-Policy-Georeplication: us2
< X-Account-Meta-Policy-Archive: arch-us2
< X-Timestamp: 1446492266.33718
< X-Account-Bytes-Used: 7884540569
< X-Account-Meta-Quota-Bytes: 536870912000
< Accept-Ranges: bytes
< X-Trans-Id: txeb611621958647a681cd6-0056a4404bga
< Date: Sun, 24 Jan 2016 03:08:59 GMT
< Connection: keep-alive
< X-Storage-Class: Standard
< X-Container-Meta-Policy-Georeplication: us2
< X-Last-Modified-Timestamp: 1446492266.33718
< Content-Type: text/plain;charset=UTF-8

階層化コンテナの出力例(関連する詳細が太字で表示されています):

< HTTP/1.1 204 No Content
< X-Container-Object-Count: 0
< X-Container-Write: myIdentity4.Storage.Storage_ReadWriteGroup
< Accept-Ranges: bytes
< X-Timestamp: 1531949125.70314
< X-Container-Read: myIdentity4.Storage.Storage_ReadOnlyGroup,myIdentity3.Storage.Storage_ReadWriteGroup
< X-Container-Bytes-Used: 0
< X-Trans-Id: tx0d71e235b8814b94b197b-005b4fb04ega
< Date: Wed, 18 Jul 2018 21:25:34 GMT
< Connection: keep-alive
< X-Storage-Class: Standard
< Container-Meta-Policy-Georeplication: uscom-central-1
< Container-Policies-Enabled: tiering
< Last-Modified-Timestamp: 1531949125.70314
< Content-Type: text/plain;charset=utf-8
< Server: Oracle-Storage-Cloud-Service

31.12.8 OCIオブジェクト・ストレージからのバックアップ・メタデータの抽出

OCI Object Storageからバックアップ・メタデータを抽出し、その情報をXMLファイルに格納するには、この手順を使用します。

データベース・バックアップがOCIオブジェクト・ストレージに格納されている場合は、odbsrmt.pyツールを使用して、バックアップ・メタデータをXMLファイルに手動で抽出できます。

odbsrmt.pyファイルと関連するREADMEは、どちらもターゲット・データベースのOracleホーム・ディレクトリ(ORACLE_HOME/rdbms/admin)にあります。

  1. Swiftエンドポイントを使用してオブジェクト・ストレージにアクセスする場合は、データベース・サーバーにOracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicモジュールをインストールします。OCIネイティブ・エンドポイントを使用している場合は、Oracle Database Cloud Backup Module for OCIモジュールをインストールします。
  2. 必須のパラメータとその値を指定して、データベース・サーバーでodbsrmt.pyツールを実行します。
    • Swiftエンドポイントを使用してオブジェクト・ストレージ・バケットにアクセスする場合は、これらの必須パラメータと値を指定して、バックアップ・メタデータのXMLファイルを生成します。
      
      --mode=rman-listfile
      --ocitype=classic
      --credential=user name for your cloud backup module for OCI Classic account/password
      --host=REST endpoint for the OCI Object Storage Service with Swift APIs
      --container=Name of the storage container that contains the source database backups
      --forcename=Specify a name for the metadata XML file
      --dir=Directory to store the metadata XML file
      --dbid=The DBID of the source database
      --prefix=The common prefix used in the backup piece names
    • OCIネイティブAPIを使用してオブジェクト・ストレージ・バケットにアクセスする場合は、次の必須パラメータと値を指定して、バックアップ・メタデータXMLファイルを生成します。
      
      --mode=rman-listfile
      --ocitype=bmc
      --uocid=User OCID for the Oracle Cloud Infrastructure account
      --tocid=Tenancy OCID for the Oracle Cloud Infrastructure account
      --pubfingerprint=public key fingerprint
      --pvtkeyfile=private key used to authenticate OCI API requests
      --host=REST endpoint for the OCI account
      --container=Name of the bucket that contains the source database backups
      --forcename=Specify a name for the metadata XML file
      --dir=Directory to store the metadata XML file
      --dbid=The DBID of the source database
      --prefix=The common prefix used in the backup piece names
    • rman-listfileモードでは、バックアップ・メタデータがXMLファイルに生成されます。このファイルは、ソース・データベースのDUPLCIATE操作を実行するためにRMANで読み取ることができます。BACKUP LOCATION FROM FILE backup_list_file句を指定してDUPLICATEコマンドを実行すると、複製に必要なXMLファイルを指定できます。詳細は、バックアップおよびリカバリ・リファレンスを参照してください。
    • odbsrmt.pyツールは、指定したprefixで始まるバックアップ・ピース名をバケットまたはコンテナで検索します。
    次の例は、odbsrmt.pyツールで、オブジェクト・ストレージ・コンテナ(PRODBACKUPS)に格納されているデータベース・バックアップのバックアップ・メタデータ・ファイル(duplicate.xml)を作成する方法を示しています
    
    $ $ORACLE_HOME/bin/python /home/oracle/OPC/lib/odbsrmt.py 
    --mode=rman-listfile
    --host= https://swiftobjectstorage.us-ashburn-1.oraclecloud.com/v1/hr-abc
    --ocitype=classic
    --credential='myAccount@myCompany.com'/'account-password'
    --container=PRODBACKUPS
    --forcename=duplicate.xml 
    --dir=/home/oracle/OPC 
    --dbid=2500571935
    --prefix=CloudBkp
    
    odbsrmt.pl: ALL report output will be written to [/home/oracle/OPC/duplicate.xml]
    odbsrmt.pm: gathering information from container PRODBACKUPS...
    odbsrmt.pm: object count = 10 in container PRODBACKUPS
    odbsrmt.pm: scanned all entries in PRODBACKUPS
    odbsrmt.pl: ALL report output has been written to [/home/oracle/OPC/duplicate.xml]
    odbsrmt.pl: Reporting completed
    
    この例は、odbsrmt.pyツールで、オブジェクト・ストレージ・バケット(OCIBACKUPS)に格納されているデータベース・バックアップのバックアップ・メタデータ・ファイル(duplicate.xml)を作成する方法を示しています
    python ./ocilib/odbsrmt.py 
    --mode=rman-listfile
    --host=https://objectstorage.us-ashburn-1.oraclecloud.com 
    --ocitype=bmc
    --uocid=ocid1.user.oc1..aaaaaaaasd754pijuwheaq67t7tninefkn7z7aibtusj7jqac5lpm7wm37va 
    --tocid=ocid1.tenancy.oc1..aaaaaaaavjhvwf4c7q2ozzyduh7njrft58i6ts3ryjk7v83w7q4wdr2ka 
    --pubfingerprint=e5:10:06:b1:fb:24:ef:db:46:21:16:20:46:jk:th:35 
    --pvtkeyfile=./oci_api_key.pem 
    --container=OCIBACKUPS 
    --dbid=2275063903 
    --forcename=duplicate.xml 
    --dir=/home/oracle 
    
    この例は、バックアップ・メタデータを含むXMLファイルの内容の例を示しています。
    <MetaData>
       <File>
          <Filename>6GJ28IEKFL_07CEC18D372F4D29E06379624664E053</Filename>
          <SetStamp>1150345378</SetStamp>
          <IsSpfile>NO</IsSpfile>
          <IsControlFile>NO</IsControlFile>  
          <PieceNo>1</PieceNo>
          <Dbname>SALESDB</Dbname>
          <Dbid>3483424530</Dbid>          
       </File>
       <File>
          <Filename>6GJ28IEKFL_07CEC18D374B4D29E06379624664E053</Filename>
          <SetStamp>1150345398</SetStamp>
          <IsSpfile>NO</IsSpfile>
          <IsControlFile>NO</IsControlFile>  
          <PieceNo>1</PieceNo>
          <Dbname>SALESDB</Dbname>
          <Dbid>3483424530</Dbid>          
       </File>
       <File>
          <Filename>6GJ28IEKFL_07CEC1A625064D36E0637962466444CD</Filename>
          <SetStamp>1150345378</SetStamp>
          <IsSpfile>NO</IsSpfile>
          <IsControlFile>NO</IsControlFile>  
          <PieceNo>1</PieceNo>
          <Dbname>SALESDB</Dbname>
          <Dbid>3483424530</Dbid>          
       </File>
       <File>
          <Filename>6GJ28IEKFL_07CEC1A6254D4D36E0637962466444CD</Filename>
          <SetStamp>1150345451</SetStamp>
          <IsSpfile>NO</IsSpfile>
          <IsControlFile>NO</IsControlFile>  
          <PieceNo>1</PieceNo>
          <Dbname>SALESDB</Dbname>
          <Dbid>3483424530</Dbid>          
       </File>
    </MetaData>
    

31.13 Oracle Database Backup Cloud Serviceからのバックアップのリストア

Recovery Manager (RMAN)の標準コマンドを使用して、Oracle Database Backup Cloud Serviceからリストアおよびリカバリの操作を実行できます。RMANを使用して、保存ポリシーの指定、クロスチェックの実行、およびバックアップの削除を行うこともできます。

ここでは、いくつかの考えられるシナリオについて説明します。RMANを使用した様々なタイプのリストアおよびリカバリ操作の実行の詳細は、「RMANのデータ修復の概要」を参照してください。

RMANコマンドの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』RMANコマンドについてを参照してください。

これらのRMANガイドで説明する概念およびコマンドは、Oracle Database Backup Cloud Serviceにバックアップされたデータベースに適用されます。

31.13.1 Oracle Cloudバックアップを使用したリストアおよびリカバリ

Oracleクラウドに格納されたOracle Databaseのバックアップは、Recovery Manager (RMAN)を使用してリストアおよびリカバリできます。すべてのRMANリストアおよびリカバリ操作は、クラウド・バックアップでサポートされています。

バックアップをリストアする前に、リストアする必要があるバックアップが格納されている場所に対応するRMANチャネルを構成します。バックアップは、Oracle Cloud Infrastructure Object StorageまたはOracle Cloud Infrastructure Object Storage Classicに格納できます。チャネルの構成の詳細は、「Oracle Cloud (OCI)用のSBTチャネルの構成」を参照してください。

たとえば、パスワード暗号化を使用してバックアップを暗号化した場合、データベース全体の一般的なリストアのコマンドは、バックアップの暗号化で使用したパスワードを指定して、次のようになります:

RMAN> SET DECRYPTION IDENTIFIED BY 'my_pswd';
RMAN> RESTORE DATABASE;
RMAN> RECOVER DATABASE;

バックアップの暗号化に透過的データ暗号化(TDE)が使用された場合は、このコマンドを使用してリストアおよびリカバリを実行します:

RMAN> SET ENCRYPTION ON;
RMAN> RESTORE DATABASE;
RMAN> RECOVER DATABASE;

31.13.2 OCIアーカイブ・ストレージからのデータベースのリカバリ

アーカイブ・ストレージに格納されているOracle Databaseのバックアップは、Recovery Manager (RMAN)を使用してリストアおよびリカバリできます。

バックアップは、Oracle Cloud Infrastructure Archive StorageまたはOracle Cloud Infrastructure Classicのアーカイブ・ストレージに格納できます。アーカイブ・ストレージに格納されたバックアップは、リストアする前にリコールする必要があります。アーカイブ・ストレージに格納されているバックアップを使用したリストアおよびリカバリ操作については、事前に計画する必要があります。必要なバックアップのリコール操作を開始するには、RESTORE DATABASE PREVIEW … RECALLを使用します。リストア操作を開始した後、アーカイブ・ストレージからバックアップをまだ読み取ることができない場合、リストア操作は必要なバックアップが使用可能になるまで待機します。これにより、リストア操作が遅くなる可能性があります。

アーカイブ・ストレージからのバックアップを使用してデータベースをリカバリするには:
  1. RMANを起動し、ターゲット・データベースに接続します。
  2. データベースがマウントされていない場合は、データベースをマウントします。ただし、オープンはしません。
    たとえば、次のコマンドを入力します。
    STARTUP MOUNT;
  3. バックアップの格納場所に応じて、Oracle Database Cloud Backup Module for OCIまたはOracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicに対応するRMANチャネルを構成します。「自動バックアップの構成」を参照してください。
  4. バックアップの復号化に必要な情報を指定します。
    • パスワードまたはデュアルモード暗号化を使用してバックアップを作成した場合は、次の構文を使用して暗号化パスワードを指定します:

      RMAN> SET DECRYPTION IDENTIFIED BY encryption_password;
    • 透過的データ暗号化(TDE)をパスワードで保護されたソフトウェア・キーストアとともに使用してバックアップを作成した場合は、暗号化キーを含むキーストアが開いていることを確認します。

      SQL*Plusで次のコマンドを実行すると、パスワードで保護されたキーストアが開きます:

      ADMINISTER KEY MANAGEMENT SET KEYSTORE OPEN IDENTIFIED BY 'password';
  5. RESTOREコマンドのPREVIEWオプションを使用して、リストア操作に必要なバックアップをプレビューします。

    次のコマンドは、リストア操作に使用されるバックアップをプレビューします:

    RESTORE DATABASE PREVIEW;

    出力には、リストア操作に使用されるバックアップ・ピースの詳細なリストと、これらのバックアップ・ピースの場所(標準のオブジェクト・ストレージまたはアーカイブ・ストレージ)が表示されます。アーカイブ・ストレージにバックアップ・ピースがある場合、出力にはそれらがリモート・ファイルであることが示されます。

  6. RESTOREコマンドでRECALLオプションを使用して、アーカイブ・ストレージから必要なバックアップをリコールします。

    次のコマンドは、アーカイブ・ストレージからデータベース・バックアップをリコールします:

    RESTORE DATABASE PREVIEW RECALL;
  7. 次のコマンドを使用してデータベースをリストアおよびリカバリします:
    RESTORE DATABASE;
    RECOVER DATABASE;

31.13.3 新しいデータベース・ホストへのOCIバックアップのリストア

サイトに障害があり、データベース・サーバーが停止している場合、クラウド内のバックアップを使用して新しいホストにリストアできます。次の例は、Oracle Database Backup Cloud Serviceから新しいホストへのバックアップのリストア方法を示しています。

ノート:

データベースをOracle Database Cloud Serviceデータベース・デプロイメント(仮想イメージ以外)にリストアする場合は、Oracle Database Cloud Serviceの使用クラウド・バックアップを使用したデータベース・デプロイメントの作成を参照してください。それ以外の場合は、次の手順を使用して新しいホストにリストアします。次の手順を使用してOracle Database Cloud Service - Virtual Imageデータベース・デプロイメントにリストアすることもできます。

この例のステップを実行する場合、新しいホストには次のものがある必要があります:

  • Oracle Database Backup Cloud Serviceに接続するためのインターネット接続

  • ソース・ホストと同一のエンディアン形式を持つ、互換性のあるオペレーティング・システム

  • ソース・ホストと同一バージョンのOracle Databaseソフトウェア

    新しいホストにより新しいバージョンのOracleソフトウェアがある場合、ソース・ホストと宛先ホストのOracle Databaseバージョン間でサポートされているアップグレード・パスがあることを確認します。次に、RMANのリストア後にターゲット・データベースをアップグレードするために必要な手順を実行します。

次の情報も理解しておく必要があります:

  • ソース・データベースのDBID

  • パスワードベースの暗号化を使用している場合、バックアップの暗号化に使用したパスワード

  • TDE暗号化を使用した場合、ソース・データベースからのTDE暗号化ウォレット

Oracle Cloud InfrastructureまたはOracle Cloud Infrastructure Classicを使用して格納されたクラウド・バックアップから新しいホストにリストアするには:

  1. バックアップに使用したものと同じサブスクリプション資格証明およびカスタム・コンテナ(ある場合)を使用して、Oracle Database Cloud Backup Module for OCIまたはOracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicを新しいホストにインストールします。モジュールのインストールの詳細は、「Backup Module for OCIインストーラの実行」または「Backup Module for OCI Classicインストーラの実行」を参照してください。

    たとえば、Oracle Cloud Infrastructure Classicでは、カスタム・コンテナを使用した場合、サービス名(-serviceName)、アイデンティティ・ドメイン(-identityDomain)、ユーザー名(-opcId)、パスワード(-opcPass)およびコンテナ名(-container)は同じである必要があります。Oracle Cloud Infrastructureでは、カスタム・バケットを使用している場合、テナンシOCID (-tOCID)、ユーザーOCID (-uOCID)およびバケット(-bucket)が同じである必要があります。

  2. 新しいホストで、Recovery Manager (RMAN)に接続し、復号用のパスワードを設定して、DBIDを設定し、SPFILEをリストアします。

    たとえば:

    rman target /
    RMAN> STARTUP NOMOUNT;
    RMAN> SET DECRYPTION IDENTIFIED BY 'my_bkup_pwd';
    RMAN> SET DBID=3389098001;
    RMAN> RUN {
    ALLOCATE CHANNEL t1 DEVICE TYPE sbt PARMS 'SBT_LIBRARY=libopc.so ENV=(OPC_PFILE=/u01/app/oracle/product/12.1.0/dbhome_1/dbs/opcDUP.ora)';
    RESTORE SPFILE TO PFILE '/u01/app/oracle/product/12.1.0/dbhome_1/dbs/initDUP.ora' FROM AUTOBACKUP;
    }

    バックアップの暗号化で使用したパスワードをリストアおよびリカバリ操作で使用する必要があります。

    TDEウォレットを使用してバックアップを暗号化した場合、リストアを開始する前に、ウォレットを新しいホストにコピーし、ウォレットの場所をsqlnet.oraファイルに設定する必要があります。また、前述の例に示されているSET DECRYPTION IDENTIFIED BY 'my_bkup_pwd';のかわりに、SET ENCRYPTION ON;を使用することもできます。

    My Oracle SupportのNote 1560327.1を参照してください。

  3. PFILEを編集し、制御ファイルの場所、リカバリ・ファイルの保存先、および監査ファイルの保存先を変更して、新しいホストを反映します。たとえば、すべての宛先が正しくなるように*_destパラメータを変更し、control_filesパラメータを変更するなどです。必要に応じて、新しいホスト上に関連するディレクトリを作成します。

  4. 新しいホスト上のターゲット・データベース・インスタンスを停止し、インスタンスをNOMOUNT状態で再起動して、コントロール・ファイルをリストアし、データベースをマウントします。

    たとえば:

    RMAN> SHUTDOWN IMMEDIATE;
    RMAN> STARTUP NOMOUNT;
    RMAN> RUN {
    ALLOCATE CHANNEL t1 DEVICE TYPE sbt PARMS 'SBT_LIBRARY=libopc.so ENV=(OPC_PFILE=/u01/app/oracle/product/12.1.0/dbhome_1/dbs/opcDUP.ora)';
    RESTORE CONTROLFILE FROM AUTOBACKUP;
    }
    RMAN> ALTER DATABASE MOUNT; 
  5. 必要に応じて、SET NEWNAMESコマンドを使用してリストア済データファイル (Oracle Database 10g以降)またはデータベース (Oracle Database 11g以降)の新しい場所を定義してから、リストアおよびリカバリを起動します。

    たとえば:

    RMAN> RUN {
    SET NEWNAME FOR DATABASE TO '/u02/app/oracle/oradata/DUP/%U';
    ALLOCATE CHANNEL t1 DEVICE TYPE sbt PARMS 'SBT_LIBRARY=libopc.so ENV=(OPC_PFILE=/u01/app/oracle/product/12.1.0/dbhome_1/dbs/opcDUP.ora)';
    ALLOCATE CHANNEL t2 DEVICE TYPE sbt PARMS 'SBT_LIBRARY=libopc.so ENV=(OPC_PFILE=/u01/app/oracle/product/12.1.0/dbhome_1/dbs/opcDUP.ora)';
    ALLOCATE CHANNEL t3 DEVICE TYPE sbt PARMS 'SBT_LIBRARY=libopc.so ENV=(OPC_PFILE=/u01/app/oracle/product/12.1.0/dbhome_1/dbs/opcDUP.ora)';
    RESTORE DATABASE;
    SWITCH DATAFILE ALL;
    SQL "ALTER DATABASE RENAME FILE ''+DATA/ASMDEMO1/ONLINELOG/group_3.263.873380343'' TO ''/u04/app/oracle/redo/redo03.log''";
    SQL "ALTER DATABASE RENAME FILE ''+FRA/ASMDEMO1/ONLINELOG/group_3.260.873380343'' TO ''/u04/app/oracle/redo/redo01.log''";
    SQL "ALTER DATABASE RENAME FILE ''+DATA/ASMDEMO1/ONLINELOG/group_2.262.873380341'' TO ''/u04/app/oracle/redo/redo02.log''";
    SQL "ALTER DATABASE RENAME FILE ''+FRA/ASMDEMO1/ONLINELOG/group_2.259.873380341'' TO ''/u04/app/oracle/redo/redo04.log''";
    SQL "ALTER DATABASE RENAME FILE ''+DATA/ASMDEMO1/ONLINELOG/group_1.261.873380341'' TO ''/u04/app/oracle/redo/redo05.log''";
    SQL "ALTER DATABASE RENAME FILE ''+FRA/ASMDEMO1/ONLINELOG/group_1.258.873380341'' TO ''/u04/app/oracle/redo/redo06.log''";
    }
  6. データベースが一貫性を持つように、システム変更番号(SCN)を見つけます:

    RMAN> RESTORE DATABASE PREVIEW DEVICE TYPE SBT;

    出力には、データベースのリストア時に使用されるバックアップ・ピースの名前と場所が含まれています。

  7. アーカイブされた必要なバックアップ・ピースをリコールします。

    RESTORE...PREVIEWコマンドの出力にList of remote backup filesというセクションが含まれている場合は、必要なバックアップ・ピースの一部がアーカイブされていることを意味します。次のコマンドを使用して、これらのバックアップ・ピースをリコールします:

    RMAN> RESTORE DATABASE PREVIEW RECALL DEVICE TYPE SBT;
  8. 次のコマンドを使用して、データベースをリストアします。
    RESTORE DATABASE DEVICE TYPE SBT;
  9. データベースをその時点までリカバリします:

    RMAN> RECOVER DATABASE DEVICE TYPE SBT UNTIL SCN scn;

    ここで、scnは、前述のステップで識別したSCNです。

    Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以上の場合は、RECOVER DATABASE UNTIL AVAILABLE REDOコマンドを使用できます。

  10. リストアおよびリカバリの終了後、RESETLOGSオプションを使用してデータベースを開きます:

    RMAN> ALTER DATABASE OPEN RESETLOGS;

31.13.4 Oracle CloudでのData Guardスタンバイ・データベースの作成

Oracle Database Cloud ServiceまたはOracle Database Exadata Cloud Serviceを使用して、オンプレミス本番データベースのディザスタ・リカバリ・サイトをデプロイするには、Oracle Data GuardまたはOracle Active Data Guardで使用するスタンバイ・データベースをクラウドに作成する必要があります。

スタンバイ・データベースを作成する1つの方法は、オンプレミスの本番データベースから実行したバックアップをリストアすることです。

31.14 Oracle Database Backup Cloud Serviceのトラブルシューティング

Oracle Database Backup Cloud Serviceの使用時にいくつかの問題が生じる場合があります。

この項では、一般的な問題およびその実行可能な解決策を示します。詳細は、次を参照してください。

31.14.1 バックアップ・モジュールのインストールに関する問題

次の解決策は、Oracle Database Cloud Backup Moduleのインストールで問題が生じた場合に適用されます。

インストールに関する一般的な情報は、「Oracle Database Cloud Backup Module for OCIのインストール」または「Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicのインストール」を参照してください。

ノート:

この項の情報を確認する前に、次の追加項目を確認してください:
  • Java SE開発キット: ターゲットOracle DatabaseリリースでサポートされているデフォルトのJDKバージョン。

  • アイデンティティ・ドメイン名またはサービス名: ドメイン名またはサービス名のスペルが正しく設定されていることを確認します。

  • バックアップ・モジュール: ターゲット・データベース・サーバーにOracle Database Cloud Backup Moduleがインストールされていることを確認します。

  • プロキシまたはファイアウォールの問題: プロキシが正しく設定されていること、およびシステムから一般的なURLに到達できることを確認します

Request to set the lifecycle policy failedというエラーが発生する

該当するエラー:

Exception in thread "main" java.lang.RuntimeException: 
SetBucketLCP: 400 Bad Request. at oracle.backup.opc.install.BmcConfig.SetBucketLCP(BmcConfig.java:851) 
  at oracle.backup.opc.install.BmcConfig.setBucket(BmcConfig.java:620) 
  at oracle.backup.opc.install.BmcConfig.doBmcConfig(BmcConfig.java:236) 
  at oracle.backup.opc.install.BmcConfig.main(BmcConfig.java:219)
Failed: 1 ()

SetbucketLCPは、バケットのライフサイクル・ポリシーを設定しています。これは、enableArchiveがTrueに設定されていたことを意味します。ただし、リージョン内のオブジェクト・ストレージ・サービスは、オブジェクトを管理する権限が付与されていないため、ライフサイクル・ポリシーを設定するリクエストに失敗しました。

オブジェクト・ストレージ・サービスがバックアップをアーカイブ・ストレージに移動することを認可します。Oracle Cloud Infrastructureドキュメントの必要なIAMポリシーの項のサービス権限を参照してください。

Oracle Cloud Infrastructure Classicのインストーラを実行すると、HTTP response codeというエラーが発生する

該当するエラー:

Server returned HTTP response code: 504 for URL:
https://identityDomain.storage.oraclecloud.com/v1/storage-identityDomain/?format=xml

インストーラの実行時に、-serviceNameおよび-identityDomainパラメータのかわりに-hostパラメータを使用します。たとえば:

https://swiftobjectstorage.us-ashburn-1.oraclecloud.com/v1/hr-abc

URLの末尾の/?format=xmlを除外します。これらのパラメータの詳細は、「Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicインストーラを実行するためのパラメータ」を参照してください。

インストーラを実行すると、ConfigFile was not specifiedというエラーが発生する

該当するエラー:

ConfigFile was not specified, and a default location could not be
determined because ORACLE_HOME and ORACLE_SID are not both set.

ORACLE_HOMEおよびORACLE_SIDを設定し、インストーラを再度実行します。

インストーラを実行すると、Specified directory does not existというエラーが発生する

該当するエラー:

Specified directory /home/oracle/OPC/lib does not exist.

-libDirパラメータで指定したディレクトリが存在しません。ディレクトリを作成し、インストーラを再度実行します。

インストーラを実行すると、java.io.IOExceptionエラーまたはjava.io.FileNotFoundエラーが発生する

たとえば:

java.io.IOException: Server returned HTTP response code: 401 for
the URL URL-name

指定された情報を使用して、インストーラがOracle Cloudに接続できません。次の方法を試してみてください:

  • インストーラの実行に使用されるユーザー名、パスワード、サービス名およびアイデンティティ・ドメインが正しいことを確認してください。Oracle Cloud Infrastructureで、ユーザーOCID、テナンシOCID、フィンガープリントおよびキーが正しいことを確認してください。

    ユーザー名とパスワードは一重引用符で囲みます。たとえば、'myAccount@myCompany.com'および'opc_pswd'です。Windowsシステムでは、ユーザー名またはパスワードに特殊文字が含まれる場合は二重引用符を使用します。

    エラーを修正し、インストーラを再度実行します。指定した情報が正しい場合は、Oracleサポートに連絡し、アカウント情報を確認してください。

    ノート:

    Oracle Cloud Infrastructure Classicの前払い従量制サブスクリプションを保有している場合、デフォルトのサービス名はStorageです(大/小文字が区別されます)。これはバックアップ・モジュールをインストールするときに-serviceNameパラメータに使用する名前です。
  • 接続をチェックし、データベース・サーバーからクラウド・ストレージ・エンドポイントURLに到達できるかどうか確認します。たとえば:

    $ ping storage.us2.oraclecloud.com
    PING storage.us2.oraclecloud.com (160.34.0.51): 56 data bytes
    64 bytes from 160.34.0.51: icmp_seq=0 ttl=239 time=63.738 ms
    64 bytes from 160.34.0.51: icmp_seq=1 ttl=239 time=67.288 ms

Oracle Cloud Infrastructure Classicのインストーラを実行すると、Could not authenticateまたは403 Forbiddenというエラーが発生する

これは、データ・センターを選択する必要があるためである可能性があります。「Oracle Database Backup Cloud Serviceの試用サブスクリプションまたは有料サブスクリプションのリクエスト」を参照してください

バックアップ・モジュールのインストーラを実行する前に、レプリケーション・ポリシーを設定する必要があります。そうしないと、Could not authenticate to Oracle Database Cloud Backup Module403 Forbiddenなどのエラーが表示されます。レプリケーション・ポリシーを設定し、同期が完了するまで少なくとも10分間待ってから、インストールを再試行します。

Failed to load Media Management Libraryというエラーが発生する

Windowsシステムでシステム・エラーまたはメディア管理のロード・エラーが継続的に表示される場合は、Windows環境でRMANバックアップ・モジュールに必要なCライブラリが欠落している可能性があります。Visual Studio 2013の再配布可能なパッケージをhttps://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=40784からダウンロードします。64ビット・バージョンを選択し、ダウンロードしたEXEファイルを実行します。これで問題が解決されます。

問題が解決されない場合は、次のオペレーティング・システム・コマンドを実行します(すべてのプラットフォーム):

sbttest -f foo.txt -libname full-path-to-libopc|oraopc-library

モジュールがロードされない原因が、出力に表示されます。

Solaris 64ビット・オペレーティング・システムを使用していて、ORA-27211 - Failed to load Media Management Libraryというエラーが継続的に発生する

インストールが失敗するのは、多くの場合、libc.so.1ファイルが環境に存在しないためです。次のオペレーティング・システム・コマンドを実行して、これを確認します:

sbttool -f foo.txt -libname full-path-to-libopc.so

この問題を解決するには、オペレーティング・システム変数LD_LIBRARY_PATH_64を、libc.so.1ファイルがある64ビット・ライブラリ・パスに設定します。これにより問題が解決せず、Solaris 10 Update 10 (s10u10)より以前のOracle Solarisリリースを使用している場合、システムを少なくともs10u10にアップグレードします。

インストーラを実行すると、Exception in threadというエラーが発生する

該当するエラー:

Exception in thread "main" java.io.FileNotFoundException:
orclhome/dbs/opcdb1210.ora (No such file or directory)

インストーラが、ORACLE_HOME/dbsディレクトリに構成ファイルを作成できません。ディレクトリにアクセス可能であることを確認します。また、ORACLE_HOMEのパスが正しく設定されていることを確認してください。

インストーラを実行すると、PKIX path building failed: unable to find valid certification path to requested targetというエラーが発生する

データベース・サーバーのJavaキーストアにOracle CloudのSSL証明書が存在しません。この問題は、コマンドラインで-no-check-certificateオプションを使用することで回避できます。

インストーラでウォレット・ディレクトリが作成されない

指定したパスが正しく、ユーザー・アカウント(oracleなど)にそのパスへの読込み/書込み/実行アクセスがあることを確認してください。または、ウォレット・ディレクトリを作成し、–walletDirパラメータの場所として使用します。

前払い従量制サブスクリプションを保有しているが、Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicのインストールに使用するサービス名がわからない

前払い従量制サブスクリプションの場合、サービス名はStorage (大文字と小文字を区別する)です。これはバックアップ・モジュールをインストールするときに-serviceNameパラメータに使用する名前です。

31.14.2 バックアップとリストアに関する問題

次の解決策は、クラウドのバックアップとリストアの操作で問題が生じた場合に適用されます。

クラウドのバックアップおよびリストアの詳細は、「Oracle Database Backup Cloud Serviceへのバックアップ」および「Oracle Database Backup Cloud Serviceからのバックアップのリストア」を参照してください。

バックアップしようとすると、RMAN暗号化エラーが発生する

該当するエラー:

RMAN-03009: failure of backup command on ORA_SBT_TAPE_1 channel at 08/15/2014 14:00:43
ORA-27030: skgfwrt: sbtwrite2 returned error
ORA-19511: non RMAN, but media manager or vendor specific failure, error text:
   KBHS-01602: backup piece 14p0jso8_1_1 is not encrypted

バックアップをクラウドに送信する前に、バックアップを暗号化する必要があります。暗号化を指定し、再度バックアップを試行します。

Oracle Cloudのパスワードを変更したら、Oracle Cloud Infrastructure Classicへのバックアップが失敗するようになった

Oracle Cloudのパスワードを変更する場合は、Oracle Cloud Infrastructure Classicへのバックアップに使用するウォレットのパスワードも更新する必要があります。ウォレットの資格証明は、バックアップ・データの送信前にクラウドで認証するために使用されます。ウォレットのパスワードを更新しないと、パスワードが正しくないためにバックアップが失敗します。

ウォレットのパスワードを更新するには、Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicインストーラを新しい資格証明で再実行します。「Backup Module for OCI Classicインストーラの実行」を参照してください。

Oracle Database Cloud ServiceまたはOracle Database Exadata Cloud Serviceを使用していて、オブジェクト・ストレージをバックアップに使用する場合は、Oracle Cloudのパスワードを変更した後に、バックアップに使用されるパスワードを更新する必要があります。Database Cloud Serviceの場合は、Oracle Database Cloud Serviceの使用ストレージ・クラウドへのバックアップ用のパスワードの更新を参照してください。Exadata Cloud Serviceの場合は、Oracle Database Exadata Cloud Serviceの使用ストレージ・クラウドへのバックアップ用のパスワードの更新を参照してください。

バックアップしようとすると、Request Entity Too Largeというエラーが発生する

Oracle Database Backup Cloud Serviceをサブスクライブする場合、必要なストレージ容量を購入しますストレージ容量の上限に達して、データベースのバックアップを試みると、バックアップは失敗します。これに関連するエラーは、次のように表示されます:

RMAN-00571: ===========================================================
RMAN-00569: =============== ERROR MESSAGE STACK FOLLOWS ===============
RMAN-00571: ===========================================================
RMAN-03009: failure of backup command on c1 channel at 12/02/2014 16:35:58
ORA-27030: skgfwrt: sbtwrite2 returned error
ORA-19511: Error received from media manager layer, error text:
KBHS-01404: See trace file /u01/app/oracle/admin/proddb/diag/rdbms/proddb/trace/
sbtio_5884_123456.log for details
KBHS-00700: HTTP response error 'Request Entity Too Large'

オンデマンドでストレージ容量を追加購入することで、上限をすばやく増やすことができます。容量を追加購入したら、バックアップを継続できます。RMANのDELETE操作を使用して領域を解放することもできます。ベスト・プラクティスとして、適切な保持期間を設定し、CROSSCHECKOBSOLETEDELETEなどのRMANバックアップ管理操作を定期的に実行してください。

詳細なメトリックを表示することで、使用したストレージ容量を監視できます。cURLを使用して、アカウントまたはコンテナで使用された容量を確認することもできます。「ストレージ容量の監視」を参照してください。

Windowsシステムでバックアップしようとすると、システム・エラーまたはメディア管理のロード・エラーが継続的に発生します。これはどのようにして解決すればよいですか。

RMANバックアップ・モジュールで必要なCライブラリがWindows環境に存在しない可能性があります。Visual Studio 2013の再配布可能なパッケージをhttps://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=40784からダウンロードします。64ビット・バージョンを選択し、ダウンロードしたEXEファイルを実行します。これで問題が解決されます。

バックアップが失敗した場合、詳細を入手するにはどうすればよいですか。

次のパラメータをopcSID.ora構成ファイルに追加してトレースを有効化し、RMANコマンドを再度実行します:

_OPC_TRACE_LEVEL=100

これにより、トレース・データがsbtio.logファイルに追加されます。トレースを無効化するには、_OPC_TRACE_LEVELパラメータを削除するか、値を0に設定します。

opcSID.ora構成ファイルの詳細は、「Oracle Database Cloud Backup Module for OCI Classicのインストール時に作成されるファイル」を参照してください。

バックアップにパスワード・ベースの暗号化を使用するとエラーが発生する

該当するエラー:

RMAN-03009: failure of backup command on ORA_SBT_TAPE_1 channel at 08/15/2014 11:10:57
ORA-19914: unable to encrypt backup
ORA-28361: master key not yet set

パスワード暗号化を指定したときに、ONLYパラメータを含めなかった可能性があります。次のようにする必要があります:

RMAN> SET ENCRYPTION ON IDENTIFIED BY 'my_pswd' ONLY;

バックアップにパスワード・ベースの暗号化を使用し、パスワードを忘れました。バックアップをリストアするにはどうすればよいですか。

パスワードを忘れた場合、または紛失した場合は、バックアップをリストアできません。バックアップの暗号化で使用したパスワードをリストアおよびリカバリ操作でそれを復号化するときにも使用する必要があります。

RMANがクラウドではなく別の場所からリストアする

SHOW ALLを使用し、バックアップの保存先としてOracle Database Backup Cloud Serviceを使用するようにRMANが構成されていることを確認します。「自動バックアップの構成」を参照してください。また、構文が正しいかどうか確認します。

31.14.3 接続の問題

次の解決策は、Oracle Database Backup Cloud Serviceへの接続の試行で問題が生じた場合に適用されます。

データベース・サーバーから接続エラーを受け取る

これは、ネットワーク帯域幅の問題、不適切なプロキシ設定など様々な要因で発生することがあります。使用しているシステムから、一般的なURLに到達できるかどうかテストします。