汎用アプリケーションを管理するためのOracle Grid Infrastructureのインストール

汎用アプリケーションまたは単一サーバー・ローリング・データベース・メンテナンスを管理するためのOracle Grid Infrastructureソフトウェアをインストールおよび構成するには、この手順を実行します。

  1. gridユーザーとして、Oracle Grid Infrastructureのイメージ・ファイルをダウンロードし、そのファイルをGridホームに展開します。次に例を示します。
    mkdir -p /u01/app/23.0.0/grid
    chown grid:oinstall /u01/app/23.0.0/grid
    cd /u01/app/23.0.0/grid
    unzip -q download_location/grid.zip

    grid.zipはOracle Grid Infrastructureイメージのzipファイルの名前です。

    ノート:

    • このzipイメージ・ソフトウェアは、Gridホームを配置するディレクトリに展開する必要があります。

    • Oracle Grid Infrastructureのイメージ・ファイルをダウンロードし、ローカル・ノードにのみコピーします。インストール中に、ソフトウェアはクラスタの他のすべてのノードにコピーおよびインストールされます。

    • OracleホームまたはOracleベースをsymlinksにすることも、その親ディレクトリをrootディレクトリまで作成することもできません。

  2. 共有ディスクをOracle ASMフィルタ・ドライバとともに使用するように構成します。
    1. rootユーザーとしてログインし、環境変数ORACLE_HOMEをGridホームの場所に設定します。

      Cシェルの場合:

      su root
      setenv ORACLE_HOME /u01/app/23.0.0/grid
      

      bashシェルの場合:

      su root
      export ORACLE_HOME=/u01/app/23.0.0/grid
      
    2. Oracle ASMコマンドライン・ツール(ASMCMD)を使用して、ディスク・デバイスをOracle ASMフィルタ・ドライバとともに使用するようにプロビジョニングします。
      cd /u01/app/23.0.0/grid/bin
      ./asmcmd afd_label DATA1 /dev/sdb --init
      ./asmcmd afd_label DATA2 /dev/sdc --init
      ./asmcmd afd_label DATA3 /dev/sdd --init
    3. デバイスがOracle ASMFDとともに使用するようにマークされていることを確認します。
      ./asmcmd afd_lslbl /dev/sdb
      ./asmcmd afd_lslbl /dev/sdc
      ./asmcmd afd_lslbl /dev/sdd
  3. gridユーザーとしてログインし、次のコマンドを実行して、Oracle Grid Infrastructureインストーラを起動します。
    /u01/app/23.0.0/grid/gridSetup.sh

    ノート:

    gridSetup.shコマンドを、oracle_install_crs_AHF_InstallLoc=pathおよびoracle_install_crs_AHF_RepositoryLoc=pathフラグを指定して実行して、Autonomous Health Framework (AHF)のインストール場所およびリポジトリの場所をそれぞれ変更できます。
    インストーラが起動し、構成オプションの選択ウィンドウが表示されます。
  4. 「新しいクラスタ用のOracle Grid Infrastructureの構成」オプションを選択し、「次へ」をクリックします。
    「クラスタ構成の選択」ウィンドウが表示されます。
  5. 「汎用アプリケーションを管理するためのクラスタの構成」オプションを選択し、クラスタの名前を指定して、「次へ」をクリックします。
    「拡張クラスタとして構成」オプションを選択して、それぞれに独自の記憶域を備えた2つ以上の個別のサイトにまたがるようにクラスタを拡張します。
    「クラスタ・ノード情報」ウィンドウが表示されます。
  6. クラスタ・ノードの表の「パブリック・ホスト名」列に、node1.example.comなどのローカル・ノードが表示されます。

    次に、ノード・パブリック・ホスト名に関する追加情報を示します。

    • ローカル・ノードの場合のみ、OUIによってパブリック・ホスト名フィールドが自動的に書き込まれます。パブリック・ノード名の入力には、各ノードのプライマリ・ホスト名を使用します。この名前は、/bin/hostnameコマンドによって表示される名前です。

    • 仮想ホスト名は必要ありません。Oracle ASM、プライベート・インターコネクトおよびパブリック通信に単一のネットワーク・インタフェースを使用できます。

    1. 「追加」をクリックして、他のノードをクラスタに追加します。
    2. 2番目のノードのパブリック名(node2)を入力して、「OK」をクリックします。
      クラスタ・ノード情報ウィンドウに戻ります。クラスタ・ノードの表にすべてのノードが表示されます。
    3. すべてのノードが選択されていることを確認して、ウィンドウ下部にある「SSH接続」ボタンをクリックします。
      ウィンドウの下部パネルに、「SSH接続」情報が表示されます。
    4. Oracleソフトウェア所有者(grid)に対するオペレーティング・システムのユーザー名およびパスワードを入力します。ノード間のSSH接続が構成されている場合は、「ユーザー・ホームに存在するプライベートおよびパブリック・キーを再使用します」オプションを選択します。「設定」をクリックします。
      ノード間のSSH接続の構成に数分かかる可能性があること示すメッセージ・ウィンドウが表示されます。しばらくすると、クラスタ・ノード間にパスワード不要のSSH接続が確立したことを示す別のメッセージ・ウィンドウが表示されます。「OK」をクリックして続行します。
    5. クラスタ・ノード情報ウィンドウに戻ったら、「次へ」をクリックして続行します。
    ネットワーク・インタフェースの使用方法の指定ウィンドウが表示されます。
  7. 1つのネットワーク・インタフェースの使用方法として「パブリック」、「プライベートおよびASM」を選択します。

    ノート:

    Oracle Grid Infrastructureデプロイメントで汎用アプリケーションを管理するために使用できるネットワーク・インタフェースは1つのみです。追加のネットワーク・インタフェースがある場合は、これらのネットワーク・インタフェース・タイプを「使用しない」に設定します。
    「次へ」をクリックします。記憶域オプション情報ウィンドウが表示されます。
  8. Oracle Cluster Registry (OCR)および投票ファイルの記憶域オプションを選択します。
    1. 「OracleフレックスのASMを記憶域として使用」を選択して、OCRと投票ファイルをOracle ASMディスク・グループに格納します。
      OCRのバックアップを格納するための個別のディスク・グループの構成を選択して、OCRバックアップ用の別のOracle ASMディスク・グループを作成することもできます。
    2. 「ASMクライアント・クラスタとして構成」を選択して、ストレージ・サーバー・クラスタ上に構成されているOracle ASMディスク・グループにOCRおよび投票ファイルを格納します。「ASMクライアント・データ」フィールドに、ASMクライアント・データ・ファイルへの完全なパスを指定します。
    3. OCRおよび投票ファイルを共有ファイル・システムに格納するには、「共有ファイル・システムの使用」を選択します。
    「次へ」をクリックします。ASMディスク・グループの作成ウィンドウが表示されます。
  9. Oracle ASMディスク・グループの名前および仕様を指定してください。
    1. 「ディスク・グループ名」フィールドに、ディスク・グループの名前を入力します(たとえば、DATA)。
    2. このディスク・グループの冗長レベルを選択します。「標準」が推奨オプションです。
    3. 「ディスクの選択」セクションで、このディスク・グループに追加するディスクを選択します。

      「ディスクの追加」セクションには、ステップ2でラベル付けしたディスクが表示されます。ディスクが表示されない場合、「検出パスの変更」ボタンをクリックして、ディスクのパスおよびパターン・マッチを指定します。たとえば、ローカルOracle ASMディスクの場合は/dev/sd*、NVMe over Fabricsディスクの場合はn:/*/*です。

      インストール中、Oracle ASMFDディスクまたはOracle ASMLIBディスクとしてラベル付けされたディスクは、デフォルト検出文字列の使用時に候補ディスクとして示されます。ただし、MEMBERというヘッダー・ステータスのディスクは、候補ディスクではありません。

    4. Oracle ASM Filter Driver (Oracle ASMFD)を使用してOracle ASMディスク・デバイスを管理する場合、オプション「Oracle ASMフィルタ・ドライバの構成」を選択します。
      Linuxシステムにインストールする場合で、かつOracle ASM Filter Driver (Oracle ASMFD)を使用してOracle ASMディスク・デバイスを管理する場合、Oracle Grid Infrastructureのインストールを開始する前にOracle ASMライブラリ・ドライバ(Oracle ASMLIB)を削除する必要があります。
    ディスク・グループの情報を入力し終わったら、「次へ」をクリックします。
  10. ステップ8でASMクライアント・クラスタの使用を選択した場合は、「ASMクライアント記憶域オプション」ウィンドウが表示されます。OCRおよび投票ファイルを格納するには、ストレージ・サーバー・クラスタからOracle ASMディスク・グループを選択します。
  11. OCRバックアップに別のディスク・グループを使用することを選択した場合は、バックアップ・データ・ディスク・グループ・ウィンドウが表示されます。OCRバックアップ・ディスク・グループの名前および仕様を入力します。
    1. 「ディスク・グループ名」フィールドに、ディスク・グループの名前を入力します(たとえば、RECO)。
    2. このディスク・グループの冗長レベルを選択します。「標準」が推奨オプションです。
    3. 「ディスクの追加」セクションで、このディスク・グループに追加するディスクを選択します。
    ディスク・グループの情報を入力し終わったら、「次へ」をクリックします。
    ASMパスワードの指定ウィンドウが表示されます。
  12. Oracle ASM SYSおよびASMSNMPアカウントに同じパスワードを選択するか、または各アカウントに異なるパスワードを指定して、「次へ」をクリックします。
    「自動自己訂正」ウィンドウが表示されます。
  13. インストールの自動自己訂正を構成する場合は、「自動自己訂正の有効化」オプションを選択し、「次へ」をクリックします。
    構成検証ユーティリティ(CVU)の自動修正フレームワークは、構成エラーを特定して修正します。
    障害の分離のサポート・ウィンドウが表示されます。
  14. オプション「Intelligent Platform Management Interface (IPMI)を使用しない」を選択し、「次へ」をクリックします。
    管理オプションの指定ウィンドウが表示されます。
  15. エンタープライズにEnterprise Manager Cloud Controlがインストールされている場合、オプション「Enterprise Manager (EM) Cloud Controlへの登録」を選択し、EM構成情報を指定します。エンタープライズにEnterprise Manager Cloud Controlがインストールされていない場合は、「次へ」をクリックして続行します。
    「権限のあるオペレーティング・システム・グループ」ウィンドウが表示されます。
  16. Oracle ASM管理用のデフォルトのオペレーティング・システム・グループ名を受け入れ、「次へ」をクリックします。
    「インストール場所の指定」ウィンドウが表示されます。
  17. Oracle Grid InfrastructureインストールのOracleベースに使用するディレクトリを指定し、「次へ」をクリックします。OracleベースのディレクトリはOracleホームのディレクトリとは別である必要があります。
    ステップ1で指示されたとおりにOracle Gridホーム・ディレクトリにOracle Grid Infrastructureインストール・ファイルをコピーしている場合、Oracleベース・ディレクトリのデフォルトの場所が/u01/app/gridとして表示されます。
    このコンピュータにOracleソフトウェアを一度もインストールしたことがない場合は、インベントリの作成ウィンドウが表示されます。
  18. 必要に応じて、インベントリ・ディレクトリのパスを変更します。その後、「次へ」をクリックします。
    このマニュアルの例と同じディレクトリ名を使用している場合は、値は/u01/app/oraInventoryとなります。oraInventoryディレクトリのグループ名は、oinstallとなります。
    「rootスクリプトの実行構成」ウィンドウが表示されます。
  19. 「構成スクリプトを自動的に実行」するオプションを選択します。rootユーザーまたはsudoアカウントの資格証明を入力し、「次へ」をクリックします。
    その他の方法として、インストール・プロセスの最後にインストーラで求められたときに、rootユーザーとしてスクリプトを手動で実行できます。
    「前提条件チェックの実行」ウィンドウが表示されます。
  20. ステータスが「失敗」のチェックがあり「修正可能」ではない場合は、この問題を手動で修正する必要があります。問題を修正した後、「再チェック」ボタンをクリックしてインストーラで要件を再確認し、ステータスを更新できます。すべてのチェックのステータスが「成功」になるまで必要な回数繰り返します。「次へ」をクリックします。

    「サマリー」ウィンドウが表示されます。

  21. サマリー・ウィンドウの内容を確認して「インストール」をクリックします。
    進捗インジケータが表示され、インストール・プロセスを監視できます。
  22. rootスクリプトの自動化を構成しなかった場合は、「構成スクリプトの実行」ウィンドウで指定された特定のスクリプトをrootユーザーとして実行する必要があります。すべてのスクリプトを実行するまで、「OK」はクリックしないでください。そのスクリプトをすべてのノードで、表示された順序で指示どおりに実行します。

    たとえば、Oracle Linux上では次のステップを実行します(この例では、説明をわかりやすくするために、プロンプトの現在のユーザー、ノードおよびディレクトリを示しています)。

    1. node1gridユーザーとして端末ウィンドウを開き、次のコマンドを入力します。

      cd /u01/app/oraInventory
      su
      
    2. rootユーザーのパスワードを入力し、次のコマンドを入力して最初のスクリプトをnode1で実行します。

      ./orainstRoot.sh
      
    3. node1orainstRoot.shスクリプトが終了した後、別の端末ウィンドウを開き、gridユーザーとして次のコマンドを入力します。

      ssh node2
      cd /u01/app/oraInventory
      su
      
    4. rootユーザーのパスワードを入力し、次のコマンドを入力して最初のスクリプトをnode2で実行します。

      ./orainstRoot.sh
      
    5. node2orainstRoot.shスクリプトが終了した後、このステップのパートaで開いた端末ウィンドウに移動します。node1rootユーザーとして次のコマンドを入力し、2番目のスクリプトであるroot.shを実行します。

      cd /u01/app/23.0.0/grid
      ./root.sh
      

      プロンプトに対して[Enter]キーを押してデフォルト値のままにします。

      ノート:

      最初のノードでroot.shスクリプトを実行し、完了するまで待機する必要があります。スクリプトを実行した最後のノードを除いて、他のすべてのノードでroot.shスクリプトを同時に実行できます。最後のノードでは、最初のノードと同様に、root.shスクリプトを個別に実行する必要があります。

    6. node1root.shスクリプトが終了した後、このステップのパートcで開いた端末ウィンドウに移動します。node2rootユーザーとして、次のコマンドを入力します。

      cd /u01/app/23.0.0/grid
      ./root.sh
      

      root.shスクリプトが終了した後、orainstRoot.shおよびroot.shスクリプトの実行を求められたOracle Universal Installerのウィンドウに戻ります。「OK」をクリックします。

      ソフトウェア・インストールの監視ウィンドウが表示されます。

  23. 「終了」ウィンドウが表示されるまで、インストールの監視を続けます。次に、「閉じる」をクリックし、インストール・プロセスを完了してインストーラを終了します。

注意:

インストールの完了後、Oracleソフトウェアがサーバーで動作している間は、/tmp/.oracleまたは/var/tmp/.oracleディレクトリ、またはそれらのディレクトにあるファイルを手動またはcronジョブの実行によって削除しないでください。これらのファイルを削除すると、Oracleソフトウェアが断続的に遅延する場合があります。Oracle Clusterwareのインストールが失敗し、次のエラーが表示されることがあります。

CRS-0184: CRSデーモンと通信できません。

Oracle Grid Infrastructureのインストールが完了した後、高可用性のためにOracle Databaseや他の汎用アプリケーションをクラスタ・ノード上にインストールできます。

単一サーバー・データベースのローリング・メンテナンスのために単一インスタンス・データベースの変換手順に従っている場合は、変換手順の次のステップに進むことができます。