5 DG PDBブローカ構成のメンバーの管理

DG PDBブローカ構成を管理する方法とDG PDBの状態を監視する方法を説明します。

ノート:

DB PDB構成でサポートされる保護モードは、最大パフォーマンス・モードのみです。

この章のトピックは、次のとおりです:

ブローカ構成メンバーの管理

ブローカは構成ファイルの情報を使用して、DG PDB構成のメンバーの状態を管理および監視します。

ソース・データベースとターゲット・データベースのCOMPATIBLE初期化パラメータを21.1以上に設定する必要があります。

構成プロパティの設定、構成ファイルの作成、Data Guard Brokerの起動、ブローカ構成の有効化または無効化など、CDB構成に対して実行されるタスクは、DG PDB構成にも適用されます。

ノート:

すでにスタンバイ・データベースがあるCDBの一部であるPDBに対してDG PDBを構成できますが、このようなPDBとそのDG PDBの間でロールが変更されると、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベース間でPDB構成が一貫しなくなります。同様に、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベース間のロール変更によって、ソースPDBがなくなったためDG PDBは孤立します。Data Guard Brokerを使用してData Guardのプライマリ・データベースおよびスタンバイ・データベースを管理する場合、このようなシナリオでのDG PDBの作成は許可されません。

Data Guard環境の管理にData Guard Brokerを使用しない場合は、PDBが属するコンテナにData Guardスタンバイ・データベースがすでに含まれていたら、そのPDBをData Guard保護のために設定しないようにすることをお薦めします。

ブローカ構成メンバーの状態管理

DG PDB構成のスタンバイPDBは、APPLY-ONまたはAPPLY-OFF状態です。

DG PDB構成内のスタンバイPDBは、次の表で示すように、APPLY-ONまたはAPPLY-OFF状態にできます。

表5-1 DG PDB構成のデータベースの状態と説明

データベース・ロール 状態名 説明
ターゲットPDB APPLY-ON

REDO Applyは、ターゲット構成内のターゲットPDBで開始されます。

これがOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)インスタンスの場合、REDO Applyはコマンドが実行されているインスタンスでのみ開始されます。リカバリが実行中の場合、PDBはオープンできません。リカバリを開始するコマンドの実行時にPDBがオープンしている場合、PDBはクローズされます。

ターゲットPDB APPLY-OFF

ターゲットPDBでREDO Applyが停止します。

DG PDBの状態遷移

DGMGRL EDIT DATABASEコマンドを使用して、スタンバイPDBの状態を明示的に変更します。すべてのPDBを含め、データベース全体の状態のみを変更できます。

EDIT PLUGGABLE DATABASEコマンドを使用して、スタンバイPDBの状態を変更します。たとえば、次のコマンドでは、ターゲット・スタンバイnyc_salesの状態がAPPLY-OFFに変更されます:

DGMGRL > EDIT PLUGGABLE DATABASE 'target-prim' SET STATE = 'APPLY-OFF';
Succeeded.

DG PDB構成でのデータベース・プロパティの管理

DG PDB構成のメンバーのデータベース・プロパティには、監視可能なプロパティまたは構成可能なプロパティの2つのタイプがあります。

監視可能なプロパティを使用して、構成メンバーに関連するランタイム情報を表示します。監視可能なプロパティは、メンバーが有効になっている場合にのみ表示できます。すべての監視可能なプロパティを表示するには、SHOW DATABASE VERBOSEコマンドを使用します。特定のプロパティの詳細を表示するには、SHOW DATABASEコマンドを使用します。ソースPDBまたはターゲットPDBに関する情報を表示するには、SHOW PLUGGABLE DATABASEコマンドを使用します。

構成可能プロパティは、データベースの操作や構成に影響を与えます。構成可能なプロパティを使用して、構成メンバーに関連する情報を表示および動的に更新します。メンバーの状態に関係なく、プロパティを編集できます。プロパティの編集時にメンバーが無効になっている場合、プロパティ値は、メンバーまたは構成が有効化された後に適宜有効になります。

EDIT DATABASEコマンドを使用して、ソース・データベースまたはターゲット・データベースのプロパティを更新します。EDIT PLUGGABLE DATABASEコマンドを使用して、ソースPDBまたはターゲットPDBの状態を更新します。

SHOW DATABASEコマンドは、PDBレベルでData Guardに関する情報を表示するように拡張されました。DG PDB構成では、SHOW DATABASE出力に、データベースにソースPDBまたはターゲットPDBがあるかどうか、および各ロール内のPDBの数が表示されます。

例5-1 ソース・データベースのプロパティの表示(SHOW DATABASEの出力)

DGMGRL> SHOW DATABASE boston;
 
Database - boston
  Role: PRIMARY
  Intended State: TRANSPORT-ON
  Redo Rate:           (unknown)
  PDB Data Guard Role: SOURCE 
  Data Guard Source PDB(s): 1
  Instance(s):
    boston
  
  
Database Status:
SUCCESS

例5-2 個々のPDBのプロパティの表示(SHOW PLUGGABLE DATABASEの出力)

この例では、SHOW PLUGGABLE DATABASEコマンドを使用して、ターゲットPDB nyc_salesに関する情報を表示します。

DGMGRL> show pluggable database nyc_sales at newyork;

Pluggable database - NYC_SALES at newyork

  Data Guard Role:     Physical Standby
  Con_ID:              3
  Source:              con_id 3 at boston
  Transport Lag:       0 seconds (computed 0 second ago)
  Apply Lag:           14 seconds (computed 0 second ago)
  Intended State:      APPLY-OFF
  Apply State:         Not Running

Pluggable Database Status:
SUCCESS

DG PDBのREDO転送の監視

レプリケーションのために少なくとも1つのPDBを指定すると、ブローカによってソース・データベースとターゲット・データベースの間のREDO転送サービスが自動的に開始されます。

転送ラグおよび適用ラグの表示

転送ラグは、REDO転送でソース・データベースからターゲット・データベースにREDOデータが送信されていない度合いを示すものです。適用ラグは、ターゲット・データベースで受け取られたREDOがREDO Applyによって適用されていない度合いを示すものです。

REDO転送サービスは、ソース・データベースからターゲット・データベースにREDOデータを転送します。個々のターゲットPDBのログ適用サービスは、ターゲットPDBをこのREDOデータで更新するため、ターゲットPDBはソースPDBと一貫性が保たれます。各ターゲットPDBには独自のログ適用サービスがあります。アーカイブREDOログ・ファイルとスタンバイREDOログ・ファイルには、リカバリ不能な変更や記録されていない変更を除き、すべてのデータベース変更が含まれています。

転送ラグ

転送ラグは、SHOW PLUGGABLE DATABASEコマンドの出力に表示されます。このラグは、指定されたDG PDBのターゲットCDBによって受信されていないREDOデータの量を秒単位で表します。

平均適用率

「適用状態」が「実行中」の場合、平均適用率がSHOW PLUGGABLE DATABASEコマンドの出力に表示されます。平均適用率は、特定のDG PDBに関するものです。

DG PDB構成の監視

構成のステータスおよびそのメンバーを監視して、統計や診断情報を表示したり、問題を検出したり、必要な処理を迅速に実行します。

DG PDB構成を有効にすると、ブローカは個々のメンバーに対して自動健全性チェックをスケジュールします。REDO転送およびリカバリの進行状況に関する問題を監視およびレポートします。診断情報はブローカ・ログ・ファイル(drc*.log)に書き込まれ、DGMGRLコマンドを使用して表示できます。

DG PDB構成でのデータベース・ステータスの問合せ

DGMGRLを使用して、DG PDB構成およびそのメンバーに関する情報を問い合せます。

DG PDB構成のステータス、およびソース・データベースとターゲット・データベースに関する詳細情報を表示できます。

例5-3 DG PDB構成の情報の表示

次のコマンドを使用すると、DG PDB構成に関する情報を表示できます:

DGMGRL> SHOW CONFIGURATION;

Configuration - Boston

  Protection Mode: MaxPerformance
  Members:
  boston  - Primary database
    newyork - Primary database in NewYork configuration 

Data Guard for PDB:   Enabled in SOURCE role

Configuration Status:
SUCCESS   (status updated 7 seconds ago)

DGMGRL> SHOW ALL PLUGGABLE DATABASE AT boston;

PDB Name         PDB ID   Data Guard Role    Data Guard Partner

BOS_SALES           3     Primary            NYC_SALES (con_id 3) at newyork
BOS_ACCT            4     None               None
BOS_FINANCE         5     None               None

DGMGRL> SHOW ALL PLUGGABLE DATABASE AT newyork;

PDB Name         PDB ID   Data Guard Role    Data Guard Partner

NYC_SALES           3     Physical Standby   BOS_SALES (con_id 3) at boston