1.5 バンド、レイヤーおよびメタデータ

GeoRasterでは、バンドレイヤーの概念は異なります。

バンドは、多次元ラスター・データ・セットの物理次元で、セル空間内の座標の1つです。たとえば、セル空間には行、列およびバンドという座標が存在する場合があります。バンドには、0からn-1の番号が付けられ、nは、最上位のレイヤー番号です。レイヤーは、GeoRasterデータ・モデル内の論理概念です。レイヤーは、バンドにマップされます。通常、1つのレイヤーは1つのバンドに対応し、rowDimensionSizecolumnDimensionSizeのサイズの2次元マトリックスで構成されます。レイヤーには、1からnの番号が付けられ、この番号は、layerNumber = bandNumber + 1として算出されます。

GeoRasterオブジェクトは、複数のバンド(複数のレイヤー)を含むことができます。たとえば、リモート・センシング・デバイスからの電磁波データは、特定の数のチャネルにグループ化されます(使用可能なチャネル数は、センシング・デバイスの性能によって異なります)。マルチスペクトル・イメージは複数のチャネルを含み、ハイパースペクトル・イメージは非常に多く(50以上)のチャネルを含みます。すべてのチャネルは、それぞれGeoRasterバンドにマップされ、これらのバンドはレイヤーに関連付けられます。

ラスターGISアプリケーションでは、データ・セットは複数のラスター・レイヤーを含むことができ、各レイヤーは、主題と呼ばれます。たとえば、ラスターに人口密度レイヤーを含めることができ、1平方マイルまたは1平方km当たりの平均住民数に応じて異なるセル値を使用します。その他の主題の例には、平均所得水準、土地利用(農地、宅地、工場用地など)、海抜標高などがあります。ラスターGISの複数の主題は、個別のGeoRasterオブジェクトまたは1つのGeoRasterオブジェクトに格納でき、各主題は、1つのレイヤーとしてモデル化されます。ラスターの主題およびマルチスペクトル・イメージ・チャネルも、それらが同じ次元を持つ場合は、1つのGeoRasterオブジェクトの個別のレイヤーとして格納できます。

図1-5に、複数のレイヤーおよび1つのラスター・データ表を持つイメージを示します。各レイヤーには複数のブロックが含まれ、各ブロックには通常多くのセルが含まれます。各ブロックに対応するエントリが、ラスター・データ表に含まれます。図1-5に示すとおり、GeoRasterではレイヤー番号は1から始まり、バンド番号は0(ゼロ)から始まることに注意してください。

図1-5 レイヤー、バンドおよびラスター・データ表

図1-5の説明が続きます
「図1-5 レイヤー、バンドおよびラスター・データ表」の説明

GeoRaster XMLメタデータは、オブジェクト・レイヤーおよび複数のレイヤーを参照します。オブジェクト・レイヤーは、GeoRasterオブジェクトが複数のレイヤーを含むか含まないかにかかわらず、そのオブジェクト全体を参照します。GeoRasterオブジェクトが複数のレイヤーを含む場合、各レイヤーはオブジェクト・レイヤーのサブレイヤーであり、1つのバンドを参照します。

各レイヤーには、オプションのメタデータ・セットを関連付けることができます。レイヤーのメタデータ項目は、ユーザー定義のレイヤーID、説明、ビットマップ・マスク、NODATA値および値範囲、スケール変更ファンクション、ビン・ファンクション、統計データ・セット(ヒストグラムなど)、グレースケール参照表、カラーマップ(疑似カラー参照表(PCT))などです。メタデータ項目は、GeoRasterメタデータのXMLスキーマで定義されます(「GeoRasterメタデータのXMLスキーマ」「SDO_GEOR_HISTOGRAMオブジェクト型」のSDO_GEOR_HISTOGRAMオブジェクト型、「SDO_GEOR_COLORMAPオブジェクト型」のSDO_GEOR_COLORMAPオブジェクト型、「SDO_GEOR_GRAYSCALEオブジェクト型」のSDO_GEOR_GRAYSCALEオブジェクト型および「SDO_GEOR_SRSオブジェクト型」のSDO_GEOR_SRSオブジェクト型を参照してください)。

オブジェクト・レイヤーに関連付けられたメタデータは、GeoRasterオブジェクト全体に適用されます。1つのレイヤーに関連付けられたメタデータは、そのレイヤーのみに適用されます。たとえば、オブジェクト・レイヤーの統計データ・セットは、オブジェクトに含まれるレイヤーの数に関係なく、GeoRasterオブジェクトのすべてのセルに基づいて計算されますが、1つのレイヤーの統計データは、そのレイヤー内のセルのみに基づいて計算されます。

オブジェクト・レイヤーおよび他のレイヤーのメタデータは、<layerInfo>要素を使用してGeoRaster XMLメタデータに格納されますが、カラーマップ表やヒストグラム表など、個別の表に格納される場合もあります。GeoRaster XMLメタデータに格納されたメタデータは、GeoRasterによって管理され、ユーザーはGeoRaster APIを使用して、このメタデータを取得および変更できます。個別の表に格納されたメタデータの場合は、その表の名前をGeoRaster XMLスキーマに登録できます(この場合、アプリケーションで表の名前を取得できます)。ただし、GeoRasterでは、その表の存在または妥当性についてはチェックされず、その表に対して操作を行うこともできません。

インターリーブは、BSQ (順次バンド)、BIL (ライン単位のバンド・インターリーブ)およびBIP (ピクセル単位のバンド・インターリーブ)の3つのタイプがサポートされています。インターリーブは、バンド間またはレイヤー間のみに適用されます。また、GeoRasterオブジェクトの各ブロック内のセルのインターリーブのみに制限されています。これは、GeoRasterが常に、最初にGeoRasterオブジェクトのブロック化を実行し、次にブロックごとにインターリーブを実行することを意味します。ただし、同じGeoRasterオブジェクト内の各ブロックのインターリーブは、同じタイプになります。データをより効率的に処理および使用するために、SDO_GEOR.changeFormatCopyプロシージャをコールしてGeoRasterオブジェクトのコピーのインターリーブ・タイプを変更できます。