ネストした表
データベース内では、ネストした表は、特に順序を付けずに数が指定されていない行を格納する列型になります。
ネストした表の値をデータベースから取り出してPL/SQLのネストした表の変数に入れると、PL/SQLにより1から始まる連続した索引が行に付けられます。これらの索引を使用して、ネストした表の変数の個々の行にアクセスできます。構文はvariable_name
(
index
)
です。ネストした表の索引と行の順序は、ネストした表をデータベースに格納したりデータベースから取り出したときに変わる可能性があります。
ネストした表の変数に占有されるメモリー量は、要素の追加または削除に応じて動的に増減します。
初期化されていないネストした表の変数は、NULLのコレクションです。空にするかNULL
以外の値を代入して初期化する必要があります。詳細は、「コレクションのコンストラクタ」および「コレクション変数への値の代入」を参照してください。
ここでのトピック
関連項目:
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表6-1に、ネストした表の特性の概要を示します
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ネストした表型の定義の構文は、「nested_table_type_def ::=」を参照してください
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スタンドアロン型のネストした表型の作成の詳細は、「CREATE TYPE文」を参照してください
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ネストした表のビューの列を更新するトリガーの詳細は、「INSTEAD OF DMLトリガー」を参照してください
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ネストした表の詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。
例6-5 ローカル型のネストした表
この例では、ローカルのネストした表型を定義した後に、この型の変数を宣言(コンストラクタを使用して初期化)し、このネストした表を出力するプロシージャを定義します。(このプロシージャでは、コレクション・メソッドFIRST
およびLAST
を使用しています。詳細は「コレクション・メソッド」を参照してください。)この例では、このプロシージャを3回起動します(変数を初期化した後、1つの要素の値を変更した後、コンストラクタを使用してすべての要素の値を変更した後に1回ずつ)。2回目にコンストラクタを起動した後は、ネストした表の要素が2つのみになります。要素3を参照すると、エラーORA-06533が発生します。
Live SQL:
この例は、Oracle Live SQLの「ローカル型のネストした表」で表示および実行できます
DECLARE
TYPE Roster IS TABLE OF VARCHAR2(15); -- nested table type
-- nested table variable initialized with constructor:
names Roster := Roster('D Caruso', 'J Hamil', 'D Piro', 'R Singh');
PROCEDURE print_names (heading VARCHAR2) IS
BEGIN
DBMS_OUTPUT.PUT_LINE(heading);
FOR i IN names.FIRST .. names.LAST LOOP -- For first to last element
DBMS_OUTPUT.PUT_LINE(names(i));
END LOOP;
DBMS_OUTPUT.PUT_LINE('---');
END;
BEGIN
print_names('Initial Values:');
names(3) := 'P Perez'; -- Change value of one element
print_names('Current Values:');
names := Roster('A Jansen', 'B Gupta'); -- Change entire table
print_names('Current Values:');
END;
/
結果:
Initial Values:
D Caruso
J Hamil
D Piro
R Singh
---
Current Values:
D Caruso
J Hamil
P Perez
R Singh
---
Current Values:
A Jansen
B Gupta
例6-6 スタンドアロン型のネストした表
この例では、スタンドアロン型のネストした表型nt_type
を定義し、この型の変数を出力するスタンドアロン・プロシージャprint_nt
を定義します。無名ブロックで型nt_type
の変数を宣言し、この変数をコンストラクタで空に初期化してから、print_nt
を2回起動します(変数を初期化した後、およびコンストラクタですべての要素の値を変更した後に1回ずつ)。
Live SQL:
この例は、Oracle Live SQLの「スタンドアロン型のネストした表」で表示および実行できます
CREATE OR REPLACE TYPE nt_type IS TABLE OF NUMBER;
/
CREATE OR REPLACE PROCEDURE print_nt (nt nt_type) AUTHID DEFINER IS
i NUMBER;
BEGIN
i := nt.FIRST;
IF i IS NULL THEN
DBMS_OUTPUT.PUT_LINE('nt is empty');
ELSE
WHILE i IS NOT NULL LOOP
DBMS_OUTPUT.PUT('nt.(' || i || ') = ');
DBMS_OUTPUT.PUT_LINE(NVL(TO_CHAR(nt(i)), 'NULL'));
i := nt.NEXT(i);
END LOOP;
END IF;
DBMS_OUTPUT.PUT_LINE('---');
END print_nt;
/
DECLARE
nt nt_type := nt_type(); -- nested table variable initialized to empty
BEGIN
print_nt(nt);
nt := nt_type(90, 9, 29, 58);
print_nt(nt);
END;
/
結果:
nt is empty
---
nt.(1) = 90
nt.(2) = 9
nt.(3) = 29
nt.(4) = 58
---
ネストした表と配列の重要な相違点
概念上、ネストした表は任意の数の要素がある1次元配列に似ています。ただし、ネストした表と配列には次の重要な相違点があります。
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配列では要素の数が宣言されますが、ネストした表では宣言されません。ネストした表のサイズは動的に増やすことができます。
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配列は常に密です。ネストした表は、最初は密であっても、要素を削除できるため、疎になる可能性があります。
図6-2は、ネストした表と配列の重要な相違点を示しています。
ネストした表の適切な使用方法
ネストした表は、次のような場合に適切です。
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要素の数が設定されていない。
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索引の値が連続していない。
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すべての要素を同時にではなく、一部の要素を削除または更新する必要がある。
ネストした表のデータは、別の記憶域表(システム生成によるデータベース表)に格納されます。ネストした表にアクセスすると、データベースによってその表がデータベースの記憶域表に結合されます。この記憶域表によって、ネストした表は、コレクションの一部の要素にのみ影響を与える問合せと更新に適した内容になります。
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メインの表の各行に複数のエントリを含む個別の参照表を作成し、結合問合せを介してその表にアクセスする。