10.9 Oracle Connection Managerの機能強化

Oracle Connection Managerは、Oracle Databaseサーバーへのリクエストをプロキシおよび選別します。

  • Oracle Connection Managerは、Transport Layer Security (TLS)プロトコルをサポートすることにより、サーバーへのより安全なアクセスを提供します。このサポートにより、データベース・クライアントは、Oracle Connection Managerを経由したTCPSプロトコルによるサーバーとの通信が可能になります。Oracle Connection Managerを構成して、一方の側にTLS接続を、もう一方の側に非TLS接続を設定することもできます。これは、外部クライアント向けの内部データベース・サーバーをインターネットから隠すための安全策としても機能します。

    多重化: データベース・クライアントがリクエストしたエンドポイントに、すでにゲートウェイがTCPS接続している場合、新しい接続はゲートウェイによって同じ接続で多重化されます。

  • 複数のプロトコル・アドレス上でのリッスンが可能になっています。複数のリスニング・エンドポイントにより、Oracle Connection ManagerはTCPとTCPSの両方を同時にサポートできるようになりました。従来の単一プロトコル・アドレスの構成も引き続きサポートされます。たとえば:
    CMAN_ALIAS=
     (configuration=
     (address_list=
     (address=(protocol=TCP)(host=a.b.c.d)(port=12522))
     (address=(protocol=TCPS)(host=a.b.c.d)(port=12523))
    )
    ..
    )
    
  • ネットワーク・データの圧縮機能も追加されています。これにより、ネットワーク・スループットが向上し、Oracle DatabaseクライアントとOracle Databaseサーバーとの間のデータ転送が高速化されます。これは、データベース・クライアント、データベース・サーバー、およびネクスト・ホップの圧縮機能に応じて、様々な方法で実現されます。圧縮は、あらゆる2つのノード間でネゴシエートされたときに有効化されます。

    連続した3つ以上のノードが圧縮をサポートしていてネゴシエートした場合、このケースは、中間ノードが圧縮解除を実行することなく単に圧縮されたデータを中継するという方法で処理されます。

    圧縮は、Oracle DatabaseクライアントがOracle Database 12cリリース以前で圧縮をサポートできない場合でも、Oracle Connection Managerとサーバーとの間でサポートされます。

  • 最大2 MBのSDUがサポートされているため、Oracle DatabaseクライアントとOracle Databaseサーバーは、Oracle Connection Managerによって接続を確立するときに、より高いSDUをネゴシエートできます。

  • このリリースから、登録に対する有効ノード・チェックがOracle Connection Managerのデフォルトで有効化されます。デフォルトでは、Oracle Connection Managerに登録できるデータベースは、ローカル・ノード上にあるデータベースにかぎられます。リモート・ノード上のデータベースは、パラメータのREGISTRATION_INVITED_NODESREGISTRATION_EXCLUDED_NODESを使用することで、Oracle Connection Managerへの登録を許可または拒否できます。

  • Oracle Database 21c以降では、Oracle Connection Managerを使用して、サービス全体での帯域幅の配分を管理できます。

    Oracle Connection Managerには、次のような機能拡張があります。

    • CMCTLコマンドのREST API
    • ルールのGROUP構文
    • サービス・レベルでの1秒当たりのバイト数で示すBANDWIDTH