16.7.2 トレース・パラメータの設定

トレースする情報のタイプと量やファイルを格納する場所など、トレースを制御するパラメータは、表16-19に示すように、ネットワーク・コンポーネントごとの構成ファイルで設定します。

表16-19 トレース・パラメータの位置

構成ファイル 構成要素

cman.ora

Oracle Connection Managerプロセス

listener.ora

リスナー

sqlnet.ora

クライアント

データベース・サーバー

TNSPINGユーティリティ

この項では、次の項目について説明します。

関連項目:

これらのパラメータの詳細は、『Oracle Database Net Servicesリファレンス』を参照してください。

16.7.2.1 cman.oraのトレース・パラメータ

cman.oraファイルで設定できるOracle Connection Manager用のトレース・パラメータの設定を確認します。

表16-20 cman.oraのトレース・パラメータ

cman.oraのパラメータ 説明

TRACE_DIRECTORY

トレース・ファイルの作成先となるディレクトリ。

デフォルトのディレクトリはORACLE_HOME/network/traceです。

TRACE_FILELEN

トレース・ファイルのサイズ(KB単位)。指定のサイズに到達すると、トレース情報は次のファイルに書き込まれます。ファイルの数は、TRACE_FILENOパラメータで指定します。

TRACE_FILENO

トレース用トレース・ファイルの数。このパラメータをTRACE_FILELENパラメータとともに設定すると、トレース・ファイルは循環方式で使用されます。最初のファイルがいっぱいになると、2番目のファイルが使用され、順番にファイルが使用されます。最後のファイルがいっぱいになると、最初のファイルが再利用され、再度、順番にファイルが使用されます。

トレース・ファイル名は、順序番号によって識別されます。たとえば、このパラメータを3に設定すると、ゲートウェイ・プロセス用のOracle Connection Managerのトレース・ファイル名は、instance-name_cmgw1_pid.trcinstance-name_cmgw2_pid.trcおよびinstance-name_cmgw3_pid.trcになります。

また、トレース・ファイル内のトレース・イベントの前には、そのファイルの順序番号が付きます。

TRACE_LEVEL

トレース機能によりリスナーで記録される詳細レベル。次のいずれかのトレース・レベル値を指定します。

  • off(0と同じ)はトレースを実行しません。

  • user(4と同じ)はユーザーによるエラー条件を特定するためのトレースを実行します。

  • admin(10と同じ)はインストレーション固有の問題を特定するためのトレースを実行します。

  • support (16と同じ)は、Oracleサポート・サービスによるトラブルシューティングのトレース情報を提供します。

Oracle Connection Managerでは、リスナー、ゲートウェイおよびCMADMINの各プロセスで、LinuxとMicrosoft Windowsの両方にトレース・ファイルが作成されます。

TRACE_TIMESTAMP

TRACINGパラメータが有効な場合、リスナー・トレース・ファイルのすべてのトレース・イベントに対して、タイムスタンプ(dd-mon-yyyy hh:mi:ss:milの書式)が作成されます。

16.7.2.2 listener.oraのトレース・パラメータ

listener.oraファイルで設定できるリスナー用のトレース・パラメータの設定を確認します。

表16-21 listener.oraのトレース・パラメータ

listener.oraのパラメータ Oracle Enterprise Manager Cloud Control/Oracle Net Managerのフィールド 説明

TRACE_LEVEL_listener_name

「トレース・レベルを選択します」/「トレース・レベル」

トレース機能によりリスナーで記録される詳細レベル。トレース・レベルは、0 (ゼロ)から16までの数値(0はトレースなし、16は最大限のトレースを表す)か、次のいずれかの値を指定します。

  • off(0と同じ)はトレースを実行しません。

  • user(4と同じ)はユーザーによるエラー条件を特定するためのトレースを実行します。

  • admin(6と同じ)はインストレーション固有の問題を特定するためのトレースを実行します。

  • support (16と同じ)は、Oracleサポート・サービスによるトラブルシューティングのトレース情報を提供します。

TRACE_DIRECTORY_listener_name

TRACE_FILE_listener_name

トレース・ファイル

トレース・ファイルの作成先となるディレクトリとファイル。デフォルトのディレクトリはORACLE_HOME/network/trace、デフォルトのファイル名はlistener.trcです。

TRACE_FILEAGE_listener_name

このパラメータは手動で設定する必要があります。

リスナー・トレース・ファイルの最大保持期間(分単位)。保持期間制限に達すると、トレース情報は次のファイルに書き込まれます。ファイルの数は、TRACE_FILENO_listener_nameパラメータで指定します。

TRACE_FILEAGE_SERVER

このパラメータは手動で設定する必要があります。

トレース・ファイルの最大保持期間を分単位で指定します。保持期間制限に達すると、トレース情報は次のファイルに書き込まれます。ファイルの数は、TRACE_FILENO_SERVERパラメータで指定します。

TRACE_FILELEN_listener_name

このパラメータは手動で設定する必要があります。

リスナー・トレース・ファイルのサイズ(KB単位)。指定のサイズに到達すると、トレース情報は次のファイルに書き込まれます。ファイルの数は、TRACE_FILENO_listener_nameパラメータで指定します。

TRACE_FILENO_listener_name

このパラメータは手動で設定する必要があります。

リスナーのトレース用トレース・ファイルの数。このパラメータがTRACE_FILELEN_listener_nameパラメータとともに設定されている場合、トレース・ファイルは循環方式で使用されます。最初のファイルがいっぱいになると、2番目のファイルが使用され、順番にファイルが使用されます。最後のファイルがいっぱいになると、最初のファイルが再利用され、再度、順番にファイルが使用されます。

トレース・ファイル名は、順序番号によって識別されます。たとえば、デフォルトのトレース・ファイルlistener.trcを使用し、このパラメータを3に設定すると、トレース・ファイル名はlistener1.trclistener2.trcおよびlistener3.trcになります。

また、トレース・ファイル内のトレース・イベントの前には、そのファイルの順序番号が付きます。

このパラメータがTRACE_FILEAGE_listener_nameパラメータとともに設定されている場合、トレース・ファイルはトレース・ファイルの保持期間に基づいて循環されます。最初のファイルが保持期間制限に達するまで使用されると、2番目のファイルが使用され、以降、同様に繰り返されます。最後のファイルの保持期間制限に達すると、最初のファイルが再利用され、以降、同様に繰り返されます。

このパラメータがTRACE_FILELEN_listener_nameTRACE_FILEAGE_listener_nameの両方のパラメータとともに設定されている場合、トレース・ファイルはサイズ制限または保持期間制限に達したときに循環されます。

TRACE_TIMESTAMP_listener_name

このパラメータは手動で設定する必要があります。

リスナー・トレース・ファイルのすべてのトレース・イベントのタイムスタンプ(dd-mon-yyyy hh:mi:ss:milの書式を使用)。

16.7.2.3 sqlnet.oraのトレース・パラメータ

sqlnet.oraファイルで設定できるトレース・パラメータの設定を確認します。

表16-22 sqlnet.oraのトレース・パラメータ

sqlnet.oraのパラメータ Oracle Net Managerのフィールド 説明

TRACE_DIRECTORY_CLIENT

「クライアント情報: トレース・ディレクトリ」

クライアント・トレース出力の作成先となるディレクトリ。デフォルトのクライアント・ディレクトリはORACLE_HOME/network/traceです。

TRACE_DIRECTORY_SERVER

「サーバー情報: トレース・ディレクトリ」

データベース・サーバー・トレース出力の作成先となるディレクトリ。デフォルトのサーバー・ディレクトリはORACLE_HOME/network/traceです。

TRACE_FILE_CLIENT

「クライアント情報: トレース・ファイル」

クライアントのトレース・ファイルの名前。デフォルトのトレース・ファイル名はsqlnet.trcです。

TRACE_FILE_SERVER

「サーバー情報: トレース・ファイル」

データベース・サーバーのトレース・ファイルの名前。デフォルトのトレース・ファイル名はsvr_pid.trcです。

TRACE_FILEAGE_CLIENT

このパラメータは手動で設定する必要があります。

クライアント・トレース・ファイルの最大保持期間を分単位で指定します。保持期間制限に達すると、トレース情報は次のファイルに書き込まれます。ファイルの数は、TRACE_FILENO_CLIENTパラメータで指定します。

TRACE_FILEAGE_SERVER

このパラメータは手動で設定する必要があります。

トレース・ファイルの最大保持期間を分単位で指定します。保持期間制限に達すると、トレース情報は次のファイルに書き込まれます。ファイルの数は、TRACE_FILENO_SERVERパラメータで指定します。

TRACE_FILELEN_CLIENT

このパラメータは手動で設定する必要があります。

クライアント・トレース・ファイルのサイズ(KB単位)。指定のサイズに到達すると、トレース情報は次のファイルに書き込まれます。ファイルの数は、TRACE_FILENO_CLIENTパラメータで指定します。

TRACE_FILELEN_SERVER

このパラメータは手動で設定する必要があります。

データベース・サーバー・トレース・ファイルのサイズ(KB単位)。指定のサイズに到達すると、トレース情報は次のファイルに書き込まれます。ファイルの数は、TRACE_FILENO_SERVERパラメータで指定します。

TRACE_FILENO_CLIENT

このパラメータは手動で設定する必要があります。

クライアント・トレース用のトレース・ファイルの数。このパラメータをTRACE_FILELEN_CLIENTパラメータとともに設定すると、トレース・ファイルは循環方式で使用されます。最初のファイルがいっぱいになると、2番目のファイルが使用され、順番にファイルが使用されます。最後のファイルがいっぱいになると、最初のファイルが再利用され、再度、順番にファイルが使用されます。

トレース・ファイル名は、順序番号によって識別されます。たとえば、デフォルトのトレース・ファイルsqlnet.trcを使用し、このパラメータを3に設定すると、トレース・ファイル名はsqlnet1_pid.trcsqlnet2_pid.trcおよびsqlnet3_pid.trcになります。

また、トレース・ファイル内のトレース・イベントの前には、そのファイルの順序番号が付きます。

このパラメータがTRACE_FILEAGE_CLIENTパラメータとともに設定されている場合、トレース・ファイルはトレース・ファイルの保持期間に基づいて循環されます。最初のファイルが保持期間制限に達するまで使用されると、2番目のファイルが使用され、以降、同様に繰り返されます。最後のファイルの保持期間制限に達すると、最初のファイルが再利用され、以降、同様に繰り返されます。

このパラメータがTRACE_FILELEN_CLIENTTRACE_FILEAGE_CLIENTの両方のパラメータとともに設定されている場合、トレース・ファイルはサイズ制限または保持期間制限に達したときに循環されます。

TRACE_FILENO_SERVER

このパラメータは手動で設定する必要があります。

データベース・サーバーのトレース用トレース・ファイルの数。このパラメータをTRACE_FILELEN_SERVERパラメータとともに設定すると、トレース・ファイルは循環方式で使用されます。最初のファイルがいっぱいになると、2番目のファイルが使用され、順番にファイルが使用されます。最後のファイルがいっぱいになると、最初のファイルが再利用され、再度、順番にファイルが使用されます。

トレース・ファイル名は、順序番号によって識別されます。たとえば、デフォルトのトレース・ファイルsvr_pid.trcを使用し、このパラメータを3に設定すると、トレース・ファイル名はsvr1_pid.trcsvr2_pid.trcおよびsvr3_pid.trcになります。

また、トレース・ファイル内のトレース・イベントの前には、そのファイルの順序番号が付きます。

このパラメータがTRACE_FILEAGE_SERVERパラメータとともに設定されている場合、トレース・ファイルはトレース・ファイルの保持期間に基づいて循環されます。最初のファイルが保持期間制限に達するまで使用されると、2番目のファイルが使用され、以降、同様に繰り返されます。最後のファイルの保持期間制限に達すると、最初のファイルが再利用され、以降、同様に繰り返されます。

このパラメータがTRACE_FILELEN_SERVERTRACE_FILEAGE_SERVERの両方のパラメータとともに設定されている場合、トレース・ファイルはサイズ制限または保持期間制限に達したときに循環されます。

TRACE_LEVEL_CLIENT

「クライアント情報: トレース・レベル」

トレース機能によりクライアントで記録される詳細レベル。

トレース・レベルは、0 (ゼロ)から16までの数値(0はトレースなし、16は最大限のトレースを表す)か、次のいずれかの値を指定します。

  • off(0と同じ)はトレースを実行しません。

  • user(4と同じ)はユーザーによるエラー条件を特定するためのトレースを実行します。

  • admin(6と同じ)はインストレーション固有の問題を特定するためのトレースを実行します。

  • support (16と同じ)は、Oracleサポート・サービスによるトラブルシューティングのトレース情報を提供します。

TRACE_LEVEL_SERVER

「サーバー情報: トレース・レベル」

トレース機能によりデータベース・サーバーで記録される詳細レベル。トレース・レベルは、0 (ゼロ)から16までの数値(0はトレースなし、16は最大限のトレースを表す)か、次のいずれかの値を指定します。

  • off(0と同じ)はトレースを実行しません。

  • user(4と同じ)はユーザーによるエラー条件を特定するためのトレースを実行します。

  • admin(6と同じ)はインストレーション固有の問題を特定するためのトレースを実行します。

  • support (16と同じ)は、Oracleサポート・サービスによるトラブルシューティングのトレース情報を提供します。

TRACE_TIMESTAMP_CLIENT

このパラメータは手動で設定する必要があります。

クライアント・トレース・ファイルsqlnet.trcのすべてのトレース・イベントのタイムスタンプ(dd-mon-yyyy hh:mi:ss:milの書式を使用)。

TRACE_TIMESTAMP_SERVER

このパラメータは手動で設定する必要があります。

クライアント・トレース・ファイルsqlnet.trcのすべてのトレース・イベントのタイムスタンプ(dd-mon-yyyy hh:mi:ss:milの書式を使用)。

TRACE_UNIQUE_CLIENT

「クライアント情報: 一意のトレース・ファイル名」

値をonに設定すると、複数のファイルが共存できるように、生成された各トレース・ファイルの名前にプロセス識別子が付加され、トレース・セッションごとに一意なファイル名がOracle Netによって作成されます。たとえば、デフォルトのトレース・ファイル名sqlnet.trcを使用すると、トレース・ファイルsqlnetpid.trcが作成されます。値をoffに設定すると、新規クライアント・トレース・セッションからのデータによって、既存のファイルが上書きされます。

TNSPINGユーティリティのトレース・パラメータ(表16-23を参照)は、手動でsqlnet.oraファイルに追加できます。TNSPINGユーティリティでは、Oracle Netネットワーク上のサービス(データベース、その他のTNSサービスなど)に正常に到達できるかどうか判断します。

表16-23 TNSPINGのトレース・パラメータ

sqlnet.oraのパラメータ 説明

TNSPING.TRACE_DIRECTORY

TNSPINGトレース・ファイルtnsping.trcの作成先となるディレクトリ。デフォルトのディレクトリはORACLE_HOME/network/traceです。

TNSPING.TRACE_LEVEL

トレース機能によりTNSPINGユーティリティで記録される詳細レベル。トレース・レベルは、0 (ゼロ)から16までの数値(0はトレースなし、16は最大限のトレースを表す)か、次のいずれかの値を指定します。

  • off(0と同じ)はトレースを実行しません。

  • user(4と同じ)はユーザーによるエラー条件を特定するためのトレースを実行します。

  • admin(6と同じ)はインストレーション固有の問題を特定するためのトレースを実行します。

  • support (16と同じ)は、Oracleサポート・サービスによるトラブルシューティングのトレース情報を提供します。

16.7.2.4 構成ファイルのトレース・パラメータの設定

sqlnet.oraファイルのトレース・パラメータはOracle Net Managerで設定し、listener.oraファイルのトレース・パラメータはOracle Enterprise Manager Cloud ControlまたはOracle Net Managerで設定します。cman.oraファイルのトレース・パラメータは、手動で設定する必要があります。

16.7.2.4.1 Oracle Net Managerを使用したsqlnet.oraファイルのトレース・パラメータの設定

次の手順では、Oracle Net Managerを使用してsqlnet.oraファイルでトレース・パラメータを設定する方法について説明します。

  1. Oracle Net Managerを起動します。

  2. ナビゲータ・ペインで、「ローカル」見出しから「プロファイル」を展開します。

  3. 右ペインのリストから、「一般」を選択します。

  4. 「トレース」タブをクリックします。

  5. 設定を指定します。

  6. 「ファイル」メニューから「ネットワーク構成の保存」を選択します。

クライアントのトレース・ファイルの名前はsqlnet.trcです。サーバーのトレース・ファイルの名前はsvr_pid.trcです。

16.7.2.4.2 Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用したリスナーのトレース・パラメータの設定

次の手順では、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用してリスナーのトレース・パラメータを設定する方法について説明します。

  1. Oracle Enterprise Manager Cloud Controlの「Net Services管理」ページにアクセスします。

  2. 「管理」リストから「リスナー」を選択し、構成ファイルの場所を含むOracleホームを選択します。

  3. 「実行」をクリックし、「リスナー」ページを表示します。

  4. リスナーを選択し、「編集」をクリックし、「リスナーの編集」ページを表示します。

  5. 「ロギングとトレース」タブをクリックします。

  6. 設定を指定します。

  7. 「OK」をクリックします。

トレース・ファイルの名前はlistener.trcです。

16.7.2.4.3 Oracle Net Managerを使用したリスナーのトレース・パラメータの設定

次の手順では、Oracle Net Managerを使用してリスナーのトレース・パラメータを設定する方法について説明します。

  1. Oracle Net Managerを起動します。

  2. ナビゲータ・ペインで、「ローカル」見出しから「リスナー」を展開します。

  3. リスナーを選択します。

  4. 右ペインのリストから、「一般」を選択します。

  5. 「ロギングとトレース」タブをクリックします。

  6. 設定を指定します。

  7. 「ファイル」メニューから「ネットワーク構成の保存」を選択します。