2.2 Oracle Autonomous DatabaseのRDFデータを使用するためのクイック・スタート

Autonomous DatabaseでRDFデータを使用するには、次のいずれかのオプションを使用します。

  • Oracle GraphのRDF機能は、共有と専用の両方のデプロイメントにおける、すべてのバージョンのOracle Autonomous Data WarehouseおよびOracle Autonomous Transaction Processingに含まれています。
  • RDFグラフ・サーバーおよび問合せUIは、共有と専用の両方のデプロイメントにおける、すべてのバージョンのOracle Autonomous Data WarehouseおよびOracle Autonomous Transaction Processingでサポートされています。RDFグラフ・サーバーにより、SPARQLエンドポイントを作成することや、問合せUIを使用してその他のRDFグラフ・データ管理操作を実行することができます。
  • 共有デプロイメントでのAutonomous DatabaseのコンポーネントであるGraph Studioでは、RDFグラフを簡単に作成、管理、問合せ、分析およびビジュアル化できます。このWebベースのグラフ・インタフェースは、Data WarehouseとTransaction Processingのどちらのワークロード・タイプでもサポートされています。

2.2.1 Oracle Autonomous DatabaseでのRDFデータに関するスタート・ガイド

このチュートリアルでは、Autonomous DatabaseでRDFデータを初めて使用する場合のために簡単な方法を説明します。

各ステップで示しているSQL文は、次のいずれかのオプションを使用して実行できます。
  1. 管理権限を持つユーザーとして自律型データベース・インスタンスに接続し、ネットワーク所有者ユーザーを作成します。
    CREATE USER rdfuser
    IDENTIFIED BY <password-for-rdfuser>
    QUOTA 5G ON DATA;

    ノート:

    データベース・アクションを使用している場合は、新しいユーザーがデータベース・アクションにアクセスできるようにするために、ユーザーをREST対応にする必要があります。詳細は、ユーザーの作成を参照してください。
  2. 新しく作成されたネットワーク所有者ユーザーに必要な権限を付与します。
    次の文を実行するには、管理権限があるユーザーとして接続している必要があります。
    GRANT CONNECT, RESOURCE, CREATE VIEW TO rdfuser;

    ノート:

    前のステップで新しいユーザーを作成するためにデータベース・アクションを使用している場合、CONNECTおよびRESOURCE権限がデフォルトで提供されます。したがって、CREATE VIEW権限は新しいユーザーにのみ付与する必要があります。
  3. ネットワーク所有者ユーザーとして接続します。
    CONNECT rdfuser/<password-for-rdfuser>
  4. SEM_APIS.CREATE_RDF_NETWORKをコールして、RDFネットワークを作成します。

    表領域DATA上に、スキーマプライベート・ネットワークの意図した所有者としてRDFネットワークを作成する必要があります。

    次の例では、DATA表領域を使用して、ネットワーク所有者ユーザーrdfuserが所有するnet1というスキーマプライベートRDFネットワークを作成します。

    EXECUTE SEM_APIS.CREATE_RDF_NETWORK('DATA', network_owner=>'rdfuser', network_name=>'net1');
  5. SEM_APIS.CREATE_RDF_GRAPHをコールして、RDFグラフを作成します。
    次の例は、net1スキーマプライベート・ネットワークにarticlesというRDFグラフを作成します。
    EXECUTE SEM_APIS.CREATE_RDF_GRAPH('articles', NULL, NULL, network_owner=>'rdfuser', network_name=>'net1');
    
  6. 次のいずれかのオプションを使用して、RDFグラフにトリプルを挿入します。
    • SEM_APIS.UPDATE_RDF_GRAPHプロシージャを使用してデータを挿入します:

      ノート:

      SEM_APIS.UPDATE_RDF_GRAPH関数は、Oracle Autonomous Databaseサーバーレス・デプロイメントでOracle JVMが有効になっている場合にのみサポートされます。Oracle JVMを有効にするには、Oracle Autonomous Databaseサーバーレスの使用Oracle Javaの使用で詳細を参照してください。

      「RDFグラフ管理の例(PL/SQLおよびJava)」に示すように、SEM_APIS.UPDATE_RDF_GRAPHを使用してトリプルをRDFグラフに挿入できます。

    • SQLのINSERT文を使用してデータを挿入します。

      たとえば、次のようにします。

      INSERT INTO rdfuser.net1#rdft_articles(triple) VALUES (
        SDO_RDF_TRIPLE_S ('articles','<http://nature.example.com/Article1>',
          '<http://purl.org/dc/elements/1.1/title>','"All about XYZ"',
          network_owner=>'RDFUSER', network_name=>'NET1'));
      
      INSERT INTO rdfuser.net1#rdft_articles(triple) VALUES (
        SDO_RDF_TRIPLE_S ('articles','<http://nature.example.com/Article1>',
          '<http://purl.org/dc/elements/1.1/creator>','"Jane Smith"',
          network_owner=>'RDFUSER', network_name=>'NET1'));
      
      INSERT INTO rdfuser.net1#rdft_articles(triple) VALUES (
        SDO_RDF_TRIPLE_S ('articles',
          '<http://nature.example.com/Article1>',
          '<http://purl.org/dc/terms/references>',
          '<http://nature.example.com/Article2>',
          network_owner=>'RDFUSER', network_name=>'NET1'));
      
      INSERT INTO rdfuser.net1#rdft_articles(triple) VALUES (
        SDO_RDF_TRIPLE_S ('articles','<http://nature.example.com/Article2>',
          '<http://purl.org/dc/elements/1.1/title>','"A review of ABC"',
          network_owner=>'RDFUSER', network_name=>'NET1'));
      
      INSERT INTO rdfuser.net1#rdft_articles(triple) VALUES (
        SDO_RDF_TRIPLE_S ('articles','<http://nature.example.com/Article2>',
          '<http://purl.org/dc/elements/1.1/creator>','"Joe Bloggs"',
          network_owner=>'RDFUSER', network_name=>'NET1'));
      
      INSERT INTO rdfuser.net1#rdft_articles(triple) VALUES (
        SDO_RDF_TRIPLE_S ('articles',
          '<http://nature.example.com/Article2>',
          '<http://purl.org/dc/terms/references>',
          '<http://nature.example.com/Article3>',
          network_owner=>'RDFUSER', network_name=>'NET1'));
  7. 必要に応じて、次のいずれかのオプションを使用して、挿入したデータに対してSPARQL問合せを実行します。
    • SEM_MATCH表関数を使用してRDFデータを問い合せます:

      ノート:

      SEM_MATCH表関数は、Oracle Autonomous Databaseサーバーレス・デプロイメントでOracle JVMが有効になっている場合にのみサポートされます。Oracle JVMを有効にするには、Oracle Autonomous Databaseサーバーレスの使用Oracle Javaの使用で詳細を参照してください。

      RDFグラフ管理の例(PL/SQLおよびJava)で示しているように、SEM_MATCH表関数を使用して、挿入したトリプル・データを問合せできます。

    • RDFグラフ・サーバーおよび問合せUIを使用したRDFデータの問合せ:

      RDF問合せUIアプリケーションを起動するには、Oracle Cloud MarketplaceからのRDFグラフ・サーバーおよび問合せUIのデプロイを参照してください。

      挿入されたデータを問い合せるには、RDFグラフ問合せUIのSPARQL問合せページでSPARQL問合せを実行します。

      図2-1 RDFグラフ問合せUIでのSPARQL問合せの実行

      RDF問合せUIでのSPARQL問合せの実行
    • SQL DeveloperでのSPARQLエディタを使用した問合せ:

      SQL Developerで、SPARQLエディタを使用してSPARQL問合せを実行することもできます。

      ノート:

      21.2より前のSQL Developerバージョンは、Oracle Autonomous Databaseサーバーレス・デプロイメントでOracle JVMが有効になっている場合にのみサポートされます。Oracle JVMを有効にするには、Oracle Autonomous Databaseサーバーレスの使用Oracle Javaの使用で詳細を参照してください。

      クラウド・ウォレットを使用して自律型データベース・インスタンスへの接続を作成するには、「Oracle SQL Developerとウォレットの接続」を参照してください。

2.2.2 Oracle Cloud MarketplaceからのRDFグラフ・サーバーおよび問合せUIのデプロイ

Oracle Cloud Marketplaceイメージを使用して、Autonomous DatabaseインスタンスでRDFグラフ・サーバーおよび問合せUIを設定できます。
前提条件として、次を作成しておく必要があります。
  • Oracle Cloudアカウントを使用して作成されたOracle Autonomous Database (共有または専用インフラストラクチャ)
  • テナンシ内の仮想クラウド・ネットワーク(VCN)
  • スタック・インスタンスを作成するためのOCIコンパートメント
  • インスタンスへのsshアクセス用のSSHキー・ペア
Oracle Cloud Infrastructure (OCI) Marketplaceには、Oracle RDFグラフ・サーバーおよび問合せUIの2つのリストが表示されます。ただし、デプロイメントは、次のように価格設定モデルによって異なります。
  • 無料: Apache Tomcatサーバー・デプロイメント
  • BYOL: Oracle WebLogic Serverデプロイメント

次のステップは、Autonomous Databaseに適用可能なAutonomous Data WarehouseとAutonomous Transaction Processingの両方のワークロード・タイプに適用されます。

  1. OCIコンソールにサインインし、Marketplaceに移動します。
  2. Cloud Marketplaceページで「RDF」を検索し、適用されるRDFグラフ・サーバーおよび問合せUIリストをクリックします。
  3. 「オラクル社標準の条件および規制」を確認して同意し、「スタックの起動」をクリックします。
    「スタック」設定ウィザードが起動します。
  4. 適切なメタデータを入力し、コンピュート・インスタンスの作成に必要なオプションを選択し、インスタンス・ネットワーク変数を構成します。
  5. 「拡張構成」に、アプリケーション・サーバーのADMINユーザー資格証明を入力します。
  6. 情報を確認し、「作成」をクリックします
    スタック・デプロイメントが呼び出され、「ジョブ詳細」ページでジョブの進捗状況をモニターできます。

    ジョブが完了し、スタックが正常に作成されたら、「ジョブ詳細」ページにステータスが「成功」と表示されます。

    これで、RDFグラフ・サーバーおよび問合せUIインスタンスがプロビジョニングされました。

  7. ログ・セクションの下部までスクロール・ダウンし、RDFグラフ・サーバーおよび問合せUIを起動するためのパブリックURLを書き留めます。
    URLの形式は次のとおりです。
    • Apache Tomcatデプロイメント: https://<public_IP>:4040/orardf
    • WebLogic Serverデプロイメント: https://<public_IP>:8001/orardf
  8. ブラウザでRDFグラフ・サーバーおよび問合せUIアプリケーションを起動します。
    RDFグラフ・ログイン画面が表示されます。詳細は、「RDFグラフ・サーバーおよび問合せUI」を参照してください。