C.3 SQL Developerを使用したRDFセマンティク・ネットワークの操作

SQL Developerを使用して、RDFデータを操作するためのRDFセマンティック・ネットワークを作成できます。

接続に関連付けられたデータベース・スキーマで使用可能なネットワークを表示するには、「RDFセマンティック・グラフ」ツリーの「ネットワーク」ノードを展開します。

リリース19c以降、ユーザー・スキーマとMDSYSスキーマの両方で、RDFセマンティック・ネットワークがサポートされています。データベース・バージョンに応じて推奨されるセマンティク・ネットワーク・タイプを判断するには、次の表を参照してください。

表C-2 推奨されるセマンティク・ネットワーク・タイプ

データベースのリリース サポートされているネットワーク 推奨されるネットワーク
18c以前 すべてのRDFメタデータは、MDSYSネットワークにのみ属します。 MDSYSネットワーク
19c以降
  • MDSYSネットワーク
  • スキーマプライベート・ネットワーク
スキーマプライベート・ネットワーク

C.3.1 SQL Developerを使用したRDFセマンティク・ネットワークの作成

「ネットワーク」ノードで、1つ以上のRDFセマンティク・ネットワークを作成できます。

新しいセマンティク・ネットワークを作成するには:

  1. 「ネットワーク」を右クリックし、「セマンティック・ネットワークの作成」を選択します。

    この操作は、使用するOracle DatabaseのバージョンおよびSQL Developerのバージョンに応じてユーザーが使用できます。詳細は、次の表を参照してください。

    表C-3 セマンティク・ネットワークを作成するためのリリース固有の手順

    Oracle DBのリリース SQL Developerのバージョン ユーザー要件
    18c以前 任意 DBAロールを持つユーザーのみが、MDSYSネットワークを作成できます。
    リリース19c - 19.3より前 任意 DBAロールを持つユーザーのみが、スキーマプライベート・ネットワークを作成できます。
    19.3以降 20.3より前 DBAロールを持つユーザーのみが、スキーマプライベート・ネットワークを作成できます。
    19.3以降 20.3以降 すべてのデータベース・ユーザーがスキーマプライベート・ネットワークを直接作成できます。

    「セマンティック・ネットワークの作成」ウィンドウが次のように開きます。

    図C-3 セマンティック・ネットワークの作成

    図C-3の説明が続きます
    「図C-3 セマンティック・ネットワークの作成」の説明
  2. ネットワーク所有者、つまり、ネットワークの所有者になるデータベース・スキーマを選択します。
    • リリース18c以前の場合、所有者は常にMDSYSです。
    • 19.3より前のリリース19cの場合は、ネットワーク所有者を選択します。
    • リリース19.3以降の場合、ネットワーク所有者は常に接続ユーザー・スキーマです。
  3. ネットワーク名を入力します。

    ノート:

    リリース18c以前の場合、このフィールドは空白で、編集できません。
  4. ネットワークに関連付けられる表領域を選択します。(セマンティク・ネットワークに必要な表領域がまだ存在しない場合は、「SQL Developerを使用したセマンティク・ネットワーク用の表領域の作成」を参照してください。)
  5. 「適用」をクリックします。

    RDFセマンティク・ネットワークが作成されます。

    作成したネットワーク下に次の子ノードが表示されると、RDFセマンティク・ネットワークの作成を確認できます。

    • REGULAR_MODELS
    • VIRTUAL_MODELS
    • RDF_VIEWS
    • RULEBASES
    • ENTAILMENTS
    • NETWORK_INDEXES (RDF_LINK$)
    • DATATYPE_INDEXES (RDF_VALUE$)
    • BULK_LOAD_TRACES

これで、作成した各ネットワークで次の操作を実行できます。

  • 統計の収集
  • セマンティク・ネットワーク索引のリフレッシュ
  • 未使用値のパージ
  • セマンティク・ネットワークの削除

C.3.1.1 SQL Developerを使用したセマンティク・ネットワーク用の表領域の作成

セマンティク・ネットワークに必要な表領域がまだ存在しない場合は、作成できます。

セマンティク・ネットワークの設定操作の一部として自動的に作成された表領域を調整できます。

「RDFセマンティック・グラフ」には次の3つの表領域を使用することをお薦めします。

  • RDF記憶域の表領域(RDFTBSという名前の新しい表領域を作成)

  • 一時データの表領域(TEMPTBSという名前の新しい表領域を作成)

  • 他のユーザー・データの表領域(USERSという名前の既存の表領域を使用)

DBAナビゲータ(「接続」ナビゲータではない)で、システム接続について「記憶域」「表領域」の順にクリックします。新しい表領域の場合(右クリックして「新規作成」を選択)、目的の名前を選択します(ここにリストされているものは単なる例です)。デフォルト値を受け入れるか、目的のオプションを指定します。

  1. RDFデータの格納用にRDFTBSを作成します。

    名前(表領域名): RDFTBS

    表領域タイプ: 永続

    「ファイル仕様」では、名前: 'RDFTBS.DBF'

    ディレクトリ: 目的のファイル・システム・ディレクトリ。たとえば: /u01/app/oracle/oradata/orcl12c/orcl

    ファイル・サイズ: 目的の初期ファイル・サイズ。たとえば: 1 G

    「再使用」および「自動拡張オン」を選択します。

    次のサイズ: 拡張の各増分に必要なサイズ。たとえば: 512 M

    最大サイズ: 目的の最大ファイル・サイズ。たとえば: 10 G

    「OK」をクリックします。

  2. 一時作業領域用にTEMPTBSを作成します。

    右クリックして、「新規作成」を選択します。

    名前(表領域名): TEMPTBS

    表領域タイプ: 一時

    「ファイル仕様」では、名前: 'TEMPTBS.DBF'

    ディレクトリ: 目的のファイル・システム・ディレクトリ。たとえば: /u01/app/oracle/oradata/orcl12c/orcl

    ファイル・サイズ: 目的の初期ファイル・サイズ。たとえば: 1 G

    「再使用」および「自動拡張オン」を選択します。

    次のサイズ: 拡張の各増分に必要なサイズ。たとえば: 256 M

    最大サイズ: 目的の最大ファイル・サイズ。たとえば: 8 G

  3. システム接続のSQLワークシートを使用して次の文を実行することで、TEMPTBSをデータベースのデフォルト一時表領域にします。

    SQL> alter database default temporary tablespace TEMPTBS;

C.3.2 SQL Developerを使用したセマンティク・ネットワーク索引のリフレッシュ

RDFで使用されるセマンティク・ネットワーク索引(一部は自動的に作成される)をリフレッシュできます。

必要に応じて追加のセマンティク索引を作成したり、自動的に作成された索引を調整したりできます。

次の列に、複数列のBツリー・セマンティク索引を示します。

  • S - 主語

  • P - 述語

  • C - 正規オブジェクト

  • G - グラフ

  • M - モデル

デフォルトでは、PCSGMおよびPSCGMという2つの索引が作成されます。ただし、S、PおよびCの組合せをよりカバーするために、3索引設定(PSCGM、SPCGMおよびCSPGM)を使用できます。

「接続」ナビゲータ(DBAナビゲータではない)で、システム接続を展開し、「RDFセマンティック・グラフ」を展開してから、「ネットワーク索引(RDF_LINK$)」をクリックします。

  1. SPCGM索引を追加します。

    右クリックして、「セマンティック索引の作成」を選択します。推奨される索引コード: SPCGM

    「OK」をクリックします。

  2. CSPGM索引を追加します。

    右クリックして、「セマンティック索引の作成」を選択します。推奨される索引コード: CSPGM

    「OK」をクリックします。

  3. PSCGM索引を削除します。

    「RDF_LINK_PSCGM_IDX」を右クリックして、「セマンティック索引の削除」を選択します。

結果は、次の3つの索引になります。

  • RDF_LINK_PSCGM_IDX

  • RDF_LINK_SPCGM_IDX

  • RDF_LINK_CSPGM_IDX

C.3.3 SQL Developerを使用したRDF統計の収集

RDFおよびOWL表とその索引に関する統計を収集できます。

セマンティク・ネットワークに関する統計を収集するには、ネットワーク名を右クリックして「統計の収集」を選択します。

ダイアログ・ボックスで次のパラメータを定義できます。

ネットワーク所有者: 接続ユーザー(編集不可)。

ネットワーク名: ネットワークの名前(編集不可)。

値についてのみ: 有効化(選択)すると、トリプルの字句の値を含む表のみに関する統計を収集します。無効化(選択解除)すると、RDFおよびOWLデータの記憶域に関連したすべての主要な表に関する統計を収集します。

並列度: 操作に関連付けられるパラレル実行サーバーの数。

ネットワークの作成を完了するには、「適用」をクリックします。

C.3.4 SQL Developerを使用したネットワークからの未使用値のパージ

未使用の(無効な)ジオメトリ・リテラル値をセマンティク・ネットワークからパージできます。

時間の経過に伴うトリプルの削除によって、RDF_VALUE$表の値のサブセットは、現在セマンティク・ネットワークに含まれるどのRDFトリプルまたはルールでも使用されなくなる可能性があります。このような未使用値をRDF_VALUE$表から削除するには、ネットワーク名を右クリックして未使用値のパージを選択します。

ダイアログ・ボックスで次のパラメータを定義できます。

ネットワーク所有者: 接続ユーザー(編集不可)。

ネットワーク名: ネットワークの名前(編集不可)。

MBV_METHOD=SHADOW: 有効化(選択)すると、大量の値をパージする必要がある場合に、処理がより高速になる可能性があります。

並列度: 操作に関連付けられるパラレル実行サーバーの数。

PUV_COMPUTE_VIDS_USED: 有効化(選択)すると、ほとんどの値がパージされると予測される場合に、処理がより高速になる可能性があります。

追加フラグ: 実行されるSEM_APIS.PURGE_UNUSED_VALUESプロシージャのflagsパラメータに追加するキーワードと値を指定します(完全なSQL文を表示するには、「SQL」タブをクリックします)。

操作を実行するには、「適用」をクリックします。

C.3.5 SQL Developerを使用したセマンティク・ネットワークの削除

セマンティク・ネットワークを削除すると、セマンティク・データの永続的な記憶域に使用した構造が削除されます。

セマンティク・ネットワークを削除するには、ネットワーク名を右クリックしてセマンティック・ネットワークの削除を選択します。

ダイアログ・ボックスで次のパラメータを定義できます。

ネットワーク所有者: 接続ユーザー(編集不可)。

ネットワーク名: ネットワークの名前(編集不可)。

カスケード: 有効化(選択)すると、ネットワークの既存のセマンティク・テクノロジ・モデルとルールベースも削除して、ネットワークのセマンティク・データの永続的な記憶域に使用される構造を削除します。無効化(選択解除)すると、ネットワークにセマンティク・テクノロジ・モデルまたはルールベースが存在する場合に、操作が失敗します。

操作を実行するには、「適用」をクリックします。