2.5 データ・ポンプ・エクスポートの対話方式コマンド・モードで使用可能なコマンド

データ・ポンプ・エクスポートを対話方式コマンド・モードで使用するときに使用可能なコマンド・オプションを確認します。

2.5.1 Oracle Data Pump Exportの対話方式コマンド・モードについて

現行のジョブの実行中にOracle Data Pump Exportの対話方式コマンド・モードで使用可能なコマンドについて学習します。

対話方式コマンド・モードでは、現行のジョブは継続して続行されますが、端末へのロギングは一時停止され、エクスポート・プロンプト(Export>)が表示されます。

対話方式コマンド・モードを開始するには、次のいずれかの方法を使用します。

  • 接続されたクライアントから、[Ctrl]を押しながら[C]を押します。

  • ジョブを実行している端末以外の端末から、expdpコマンドでATTACHパラメータを指定してジョブに接続します。ATTACHは、ある場所で開始したジョブを、後で別の場所から確認する必要がある場合に有効な機能です。

次の表に、現行のジョブに対して対話方式コマンド・モードでデータ・ポンプ・エクスポート・プロンプトから実行できる操作を示します。

表2-1 データ・ポンプ・エクスポートの対話方式コマンド・モードでサポートされているコマンド

操作 使用するコマンド

追加ダンプ・ファイルを追加する。

ADD_FILE

対話方式モードを終了し、ロギング・モードに切り替える。

CONTINUE_CLIENT

ジョブは続行したままエクスポート・クライアント・セッションを停止する。

EXIT_CLIENT

ダンプ・ファイルのデフォルト・サイズを再定義して、その後のすべてのダンプ・ファイルに適用する。

FILESIZE

使用可能なコマンドの概要を表示する。

HELP

現在接続中のすべてのクライアント・セッションを切断し、現行のジョブを停止する。

KILL_JOB

現行のジョブに対するアクティブなワーカー・プロセスの数を増減する。このコマンドは、Oracle Database 11g以上のEnterprise Editionでのみ有効。

PARALLEL

接続している停止ジョブを再開する。

START_JOB

現行のジョブの詳細な状態を表示したり、状態の表示周期を設定する。

STATUS

後で再開するために、現行のジョブを停止する。

STOP_JOB

2.5.2 ADD_FILE

Oracle Data Pump Exportの対話方式コマンド・モードのADD_FILEパラメータにより、エクスポート・ダンプ・ファイル・セットに、さらにファイルまたは置換変数を追加します。

用途

エクスポート・ダンプ・ファイル・セットに、追加ファイルまたは置換変数を追加します。

構文および説明

ADD_FILE=[directory_object:]file_name [,...]

各ファイル名に、異なるディレクトリ・オブジェクトを指定できます。ディレクトリ・オブジェクトを指定しない場合は、デフォルトが使用されます。

file_nameに、ディレクトリ・パスの情報を含めないでください。ただし、置換変数(%U)を含めることはできます。この置換変数は、指定されたファイル名をテンプレートとして使用し、複数のファイルが生成できることを示します。

追加されるファイルのサイズは、FILESIZEパラメータの設定によって決定されます。

次の例では、2つのダンプ・ファイルをダンプ・ファイル・セットに追加します。ダンプ・ファイルhr2.dmpに、ディレクトリ・オブジェクトが指定されていないため、ジョブに対するデフォルトのディレクトリ・オブジェクトを使用するとします。別のディレクトリ・オブジェクトdpump_dir2が、ダンプ・ファイルhr3.dmpに指定されています。

Export> ADD_FILE=hr2.dmp, dpump_dir2:hr3.dmp

2.5.3 CONTINUE_CLIENT

Oracle Data Pump Exportの対話方式コマンド・モードのCONTINUE_CLIENTパラメータにより、対話方式コマンド・モードからロギング・モードに変更します。

用途

エクスポート・モードを、対話方式コマンド・モードからロギング・モードに変更します。

構文および説明

CONTINUE_CLIENT

ロギング・モードでは、状態が端末に継続的に出力されます。ジョブが現在停止している場合、CONTINUE_CLIENTを指定すると、クライアントがジョブの開始を試みます。

Export> CONTINUE_CLIENT

2.5.4 EXIT_CLIENT

Oracle Data Pump Exportの対話方式コマンド・モードのEXIT_CLIENTパラメータにより、エクスポート・クライアント・セッションを停止し、エクスポート・ユーティリティを終了して、端末へのロギングを中断します。ただし、現行のジョブの実行は続行します。

用途

エクスポート・クライアント・セッションを停止し、エクスポート・ユーティリティを終了して、端末へのロギングを中断します。ただし、現行のジョブの実行は続行します。

構文および説明

EXIT_CLIENT

EXIT_CLIENTでは、ジョブが実行されたままになるため、後でこのジョブに接続できます。ジョブの状態を確認するには、ジョブのログ・ファイルを監視するか、USER_DATAPUMP_JOBSビューまたはV$SESSION_LONGOPSビューを問い合せることができます。

Export> EXIT_CLIENT

2.5.5 FILESIZE

Oracle Data Pump Exportの対話方式コマンド・モードのFILESIZEパラメータでは、後のダンプ・ファイルの最大サイズを再定義します。

用途

後のダンプ・ファイルの最大サイズを再定義します。ダンプ・ファイル・セット内にあるダンプ・ファイルが最大サイズになると、そのファイルはクローズされ、ファイル指定に置換変数が含まれている場合または追加ダンプ・ファイルがジョブに追加されている場合は、新しいファイルが作成されます。

構文および説明

FILESIZE=integer[B | KB | MB | GB | TB]

integerの後に(スペースを挿入しない)、BKBMBGBまたはTB(それぞれバイト、キロバイト、メガバイト、ギガバイト、テラバイトを示す)を指定できます。デフォルトは、B(バイト)です。作成されるファイルの実際のサイズは、ダンプ・ファイル内で使用されている内部ブロックのサイズと一致するように切り捨てられる場合があります。

ファイル・サイズ0は最大ファイル・サイズの16TBと同じです。

制限事項

  • ファイルの最小サイズは、デフォルトのOracle Data Pumpブロック・サイズの10倍、つまり4KBです。
  • ファイルの最大サイズは16TBです。

Export> FILESIZE=100MB

2.5.6 HELP

Oracle Data Pump Exportの対話方式コマンド・モードのHELPパラメータにより、対話方式コマンド・モードで使用可能なデータ・ポンプ・エクスポート・コマンドの情報を表示します。

用途

対話方式コマンド・モードで使用可能なOracle Data Pump Exportコマンドの情報を表示します。

構文および説明

HELP

対話方式コマンド・モードで使用可能なコマンドの情報を表示します。

Export> HELP

2.5.7 KILL_JOB

Oracle Data Pumpエクスポートの対話方式コマンド・モードのKILL_JOBパラメータでは、現在接続中のすべてのワーカー・クライアント・セッションを切断してから、現行のジョブを終了します。エクスポート・ユーティリティを終了し、端末プロンプトに戻します。

用途

現在接続中のすべての子クライアント・セッションを切断してから、現行のジョブを停止します。エクスポート・ユーティリティを終了し、端末プロンプトに戻します。

構文および説明

KILL_JOB

KILL_JOBを使用して中断されたジョブは、再開できません。接続中のすべてのクライアント(KILL_JOBコマンドを発行しているクライアントを含む)は、現在のユーザーがジョブを停止しているという警告を受け取った後、切断されます。すべての子クライアントが切断されると、ジョブのプロセス構造がただちに停止し、データ・ポンプ制御ジョブ表およびダンプ・ファイルが削除されます。ログ・ファイルは、削除されません。

Export> KILL_JOB

2.5.8 PARALLEL

エクスポート・インタラクティブ・コマンド・モードのPARALLELパラメータを使用すると、現在のジョブのアクティブなプロセス(子プロセスおよびパラレル子プロセス)の数を増減できます。

用途

現在のジョブのアクティブなプロセス(子プロセスおよびパラレル子プロセス)の数を増減できます。

構文および説明

PARALLEL=integer

PARALLELは、コマンドライン・パラメータおよび対話方式コマンド・モードのパラメータとして使用可能です。必要な数のパラレル・プロセス(子プロセスおよびパラレル子プロセス)に設定します。増加処理は、ファイルとリソースが十分にある場合は即時に実行されます。減少処理は、既存のプロセスが現行のタスクを終了してから実行されます。値が減少すると、子プロセスはアイドル状態になりますが、ジョブが終了するまで削除されません。

制限事項

  • このパラメータは、Oracle Database 11g以降のリリースのEnterprise Editionでのみ有効です。
  • トランスポータブル表領域のメタデータは、パラレルでインポートできません。
  • NETWORK_LINKパラメータが使用されていると、メタデータはパラレルでインポートできなくなります。

また、次のオブジェクトもパラレルでインポートできません。

  • TRIGGER
  • VIEW
  • OBJECT_GRANT
  • SEQUENCE
  • CONSTRAINT
  • REF_CONSTRAINT

Export> PARALLEL=10

関連トピック

2.5.9 START_JOB

Oracle Data Pumpエクスポートの対話方式コマンド・モードのSTART_JOBパラメータでは、接続している現行のジョブを開始します。

用途

接続している現行のジョブを開始します。

構文および説明

START_JOB

START_JOBコマンドは、接続先の現在のジョブを再起動します。コマンドの入力時にジョブを実行することはできません。ダンプ・ファイル・セットおよび親ジョブ表が元のまま変更されていない場合は、予期しない障害またはSTOP_JOBコマンドの発行後に、データの損失や破損なしにジョブが再開されます。

Export> START_JOB

2.5.10 STATUS

Oracle Data Pump Exportの対話方式コマンドのSTATUSパラメータにより、エクスポートに関する状態情報を表示し、ロギング・モードの状態を表示する間隔を再設定できます。

用途

ジョブの累積的な状態、現行の操作の説明および推定完了率を表示します。ロギング・モードの状態を表示する間隔を再設定することもできます。

構文および説明

STATUS[=integer]

ロギング・モードでのこの状態の表示頻度を秒単位で指定できるオプションがあります。値を入力しなかった場合またはデフォルト値の0を使用した場合は、状態の定期表示はオフになり、状態は1回のみ表示されます。

この状態情報は、標準出力デバイスのみに書き込まれ、ログ・ファイルには(使用可能な場合でも)書き込まれません。

次に、現行のジョブの状態を表示し、ロギング・モードの表示間隔を5分(300秒)に変更する例を示します。

Export> STATUS=300

2.5.11 STOP_JOB

Oracle Data Pumpエクスポートの対話型コマンド・モードのSTOP_JOBパラメータは、現在のジョブを停止します。ジョブを即時にまたは手順に従って停止し、エクスポートを終了します。

用途

現行のジョブを即時にまたは手順に従って停止し、エクスポートを終了します。

構文および説明

STOP_JOB[=IMMEDIATE]

STOP_JOBコマンド発行時または発行後にデータ・ポンプ制御ジョブ表およびダンプ・ファイル・セットに障害が発生していない場合は、そのジョブに接続し、START_JOBコマンドを使用して再開できます。

手順に従って停止する場合は、関連する値を指定しないでSTOP_JOBを使用します。確認を要求する警告が発行されます。手順に従った停止では、ワーカー・プロセスで現行のタスクが終了した後、ジョブが停止されます。

即時に停止するには、STOP_JOB=IMMEDIATEを指定します。確認を要求する警告が発行されます。接続中のすべてのクライアント(STOP_JOBコマンドを発行しているクライアントを含む)は、現在のユーザーがジョブを停止および切断中であるという警告を受け取ります。すべてのクライアントが切断されると、ジョブのプロセス構造が即時に停止されます。つまり、データ・ポンプ制御ジョブ・プロセスは、子プロセスが現在のタスクを終了するまで待機しません。STOP_JOB=IMMEDIATEを指定した場合、データ破損やデータ損失の危険性はありません。ただし、停止時に完了しなかった一部のタスクは、再開時に再実行する必要があります。

Export> STOP_JOB=IMMEDIATE