2.4 データ・ポンプ・エクスポート・コマンドライン・モードで使用可能なパラメータ
データ・エクスポートを管理するには、エクスポート(expdp)用のOracle Data Pumpパラメータを使用します。
- Oracle Data Pump Exportのパラメータについて
大/小文字の区別、引用符、エスケープ文字、使用方法の例に関する情報など、コマンドライン・モードでOracle Data Pump Exportのパラメータを使用する方法について説明します。 - ABORT_STEP
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのABORT_STEPパラメータは、ジョブが初期化された後にジョブを停止します。 - ACCESS_METHOD
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのACCESS_METHODパラメータでは、エクスポートで特定のメソッドを使用してデータをアンロードするように指定します。 - ATTACH
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのATTACHパラメータでは、ワーカーまたはクライアント・セッションを既存のエクスポート・ジョブに接続し、自動的に対話方式コマンド・インタフェースに移動します。 - CHECKSUM
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCHECKSUMパラメータを使用すると、エクスポート・ユーティリティでエクスポートのチェックサム検証を実行できます。 - CHECKSUM_ALGORITHM
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCHECKSUM_ALGORITHMパラメータでは、チェックサムの計算に使用するチェックサム・アルゴリズムを指定します。 - CLUSTER
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCLUSTERパラメータでは、データ・ポンプでOracle RACリソースを使用できるかどうかと、ワーカーを他のOracle RACインスタンス上で開始できるかどうかを指定します。 - COMPRESSION
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCOMPRESSIONパラメータでは、ダンプ・ファイル・セットに書き込む前に圧縮するデータを指定します。 - COMPRESSION_ALGORITHM
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCOMPRESSION_ALGORITHMパラメータでは、ダンプ・ファイル・データの圧縮時に使用する圧縮アルゴリズムを指定します。 - CONTENT
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCONTENTパラメータを使用すると、エクスポートでアンロードする内容を、データのみ、メタデータのみ(あるいはその両方)でフィルタ処理できます。 - CREDENTIAL
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCREDENTIALパラメータを使用すると、オブジェクト・ストアに格納されるデータをエクスポート・ユーティリティで書き込めるようになります。 - DATA_OPTIONS
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのDATA_OPTIONSパラメータでは、特定のデータ型に対するエクスポート操作中の処理方法を指定します。 - DIRECTORY
Oracle Data Pump Exportコマンドライン・ユーティリティのDIRECTORYパラメータでは、エクスポートによるダンプ・ファイル・セットおよびログ・ファイルのデフォルトの書込み場所を指定します。 - DUMPFILE
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのDUMPFILEパラメータでは、エクスポート・ジョブのダンプ・ファイルの名前を指定し、オプションで、これらのディレクトリ・オブジェクトを指定します。 - ENABLE_SECURE_ROLES
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのENABLE_SECURE_ROLESパラメータは、エクスポート時に保護されたロールを誤って使用しないようにします。 - ENCRYPTION
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのENCRYPTIONパラメータでは、ダンプ・ファイル・セットに書き込む前にデータを暗号化するかどうかを指定します。 - ENCRYPTION_ALGORITHM
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのENCRYPTION_ALGORITHMパラメータでは、暗号化の実行に使用する必要のある暗号化アルゴリズムを指定します。 - ENCRYPTION_MODE
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのENCRYPTION_MODEパラメータでは、暗号化および復号化を実行する際に使用するセキュリティ・タイプを指定します。 - ENCRYPTION_PASSWORD
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのENCRYPTION_PASSWORDパラメータにより、暗号化されたダンプ・ファイル・セットへの不正なアクセスを防ぎます。 - ENCRYPTION_PWD_PROMPT
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのENCRYPTION_PWD_PROMPTでは、Oracle Data Pumpによって暗号化パスワードの入力を要求するかどうかを指定します。 - ESTIMATE
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのESTIMATEパラメータでは、エクスポート・ジョブ内の各表で使用されるディスク領域(バイト単位)を見積もる場合にエクスポートで使用される方法を指定します。 - ESTIMATE_ONLY
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのESTIMATE_ONLYパラメータでは、エクスポートによって、実際のエクスポート操作を実行することなく、ジョブが消費する領域が見積もられるように指定します。 - EXCLUDE
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのEXCLUDEパラメータを使用すると、エクスポート操作から除外するオブジェクトおよびオブジェクト型を指定して、エクスポート対象のメタデータをフィルタ処理できます。 - FILESIZE
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのFILESIZEパラメータでは、各ダンプ・ファイルの最大サイズを指定します。 - FLASHBACK_SCN
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのFLASHBACK_SCNパラメータでは、エクスポートで使用されるシステム変更番号(SCN)を指定して、フラッシュバック問合せユーティリティを使用可能にします。 - FLASHBACK_TIME
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのFLASHBACK_TIMEパラメータにより、指定した時間に最も近いSCNを検索します。 - FULL
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのFULLパラメータにより、全データベース・モードでのエクスポートの実行を指定します。 - HELP
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのHELPパラメータにより、エクスポート・ユーティリティのオンライン・ヘルプを表示します。 - INCLUDE
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのINCLUDEパラメータを使用すると、現行のエクスポート・モードにオブジェクトおよびオブジェクト型を指定して、エクスポート対象のメタデータをフィルタ処理できます。 - JOB_NAME
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのJOB_NAMEパラメータにより、後続処理でのエクスポート・ジョブを指定します。 - KEEP_MASTER
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのKEEP_MASTERパラメータは、正常に完了したOracle Data Pumpジョブの最後に、データ・ポンプ制御ジョブ表を削除するか、保持するかを指定します。 - LOGFILE
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのLOGFILEパラメータにより、エクスポート・ジョブのログ・ファイルの名前を指定し、オプションで、そのログ・ファイルのディレクトリを指定します。 - LOGTIME
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのLOGTIMEパラメータでは、エクスポート操作中に表示されるメッセージにタイムスタンプを付けることを指定します。 - METRICS
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのMETRICSパラメータでは、ジョブに関する詳細情報をデータ・ポンプ・ログ・ファイルに記録するかどうかを指定します。 - NETWORK_LINK
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのNETWORK_LINKパラメータを使用すると、有効なデータベース・リンクで識別された(ソース)データベースからエクスポートできます。 - NOLOGFILE
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのNOLOGFILEパラメータにより、ログ・ファイルを作成するかどうかを指定します。 - PARALLEL
Oracle Data Pumpのエクスポート・コマンドライン・ユーティリティのPARALLELパラメータでは、エクスポート・ジョブのために動作するアクティブな実行プロセスの最大数を指定します。 - PARALLEL_THRESHOLD
Oracle Data Pumpのエクスポート・コマンドライン・ユーティリティのPARALLEL_THRESHOLDパラメータでは、表サイズに基づいてデータ・ポンプが潜在的なパラレルDMLを計算するために使用する除数のサイズを指定します。 - PARFILE
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのPARFILEパラメータは、エクスポート・パラメータ・ファイルの名前を指定します。 - QUERY
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのQUERYパラメータを使用すると、エクスポート対象となるデータをフィルタ処理するために使用する問合せ句を指定できます。 - REMAP_DATA
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのREMAP_DATAパラメータを使用すると再マップ・ファンクションを指定できます。これにより、指定した列の元の値をソースとして再マップした値を返し、ダンプ・ファイル内の元の値をこの値に置き換えます。 - REUSE_DUMPFILES
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのREUSE_DUMPFILESパラメータでは、既存のダンプ・ファイルを上書きするかどうかを指定します。 - SAMPLE
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのSAMPLEパラメータでは、ソース・データベースからサンプリングおよびアンロードするデータ行の割合を指定します。 - SCHEMAS
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのSCHEMASパラメータでは、スキーマ・モード・エクスポートを実行することを指定します。 - SERVICE_NAME
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのSERVICE_NAMEパラメータは、CLUSTERパラメータと組み合せることで使用するサービス名を指定します。 - SOURCE_EDITION
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのSOURCE_EDITIONパラメータでは、オブジェクトのエクスポート元のデータベース・エディションを指定します。 - STATUS
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのSTATUSパラメータでは、ジョブの状態の表示が更新される頻度を指定します。 - TABLES
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのTABLESパラメータでは、表モード・エクスポートを実行することを指定します。 - TABLESPACES
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのTABLESPACESパラメータでは、表領域モードでエクスポートする表領域名のリストを指定します。 - TRANSPORT_DATAFILES_LOG
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・モードのTRANSPORT_DATAFILES_LOGパラメータでは、トランスポータブル・エクスポートに関連付けられたデータファイルのリストが書き込まれるファイルを指定します。 - TRANSPORT_FULL_CHECK
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのTRANSPORT_FULL_CHECKパラメータでは、オブジェクト間の依存性をチェックするかどうかを指定します - TRANSPORT_TABLESPACES
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのTRANSPORT_TABLESPACESパラメータでは、トランスポータブル表領域モードでのエクスポートを実行することを指定します。 - TRANSPORTABLE
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのTRANSPORTABLEパラメータでは、表モード・エクスポートまたは全体モード・エクスポート中にトランスポータブル・オプションを使用する必要があるかどうかを指定します。 - TTS_CLOSURE_CHECK
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・モードのTTS_CLOSURE_CHECKパラメータは、データ・ポンプのトランスポータブル表領域操作の一部として実行されるクローズ・チェックの程度を示すために使用されます。 - VERSION
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのVERSIONパラメータでは、エクスポートするデータベース・オブジェクトのバージョンを指定します。 - VIEWS_AS_TABLES
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのVIEWS_AS_TABLESパラメータでは、1つ以上のビューを表としてエクスポートすることを指定します。
親トピック: Oracle Data Pumpエクスポート
2.4.1 Oracle Data Pump Exportのパラメータについて
大/小文字の区別、引用符、エスケープ文字、使用方法の例に関する情報など、コマンドライン・モードでOracle Data Pump Exportパラメータを使用する方法について学習します。
次の例を使用して、コマンドラインでOracle Data Pumpエクスポートを使用する方法を理解してください。
エクスポート・パラメータの指定
値を複数個指定できるパラメータでは、カンマまたは空白で値を区切ることができます。たとえば、TABLES=employees,jobsまたはTABLES=employees jobsのように指定できます。
入力するパラメータごとに、等号(=)と値を入力する必要があります。それ以外の方法では、1つ前のパラメータ指定がどこで完了し、新しいパラメータ指定がどこから始まるかをデータ・ポンプに伝えることができません。たとえば、次のコマンドラインの場合、NOLOGFILEは有効なパラメータですが、エクスポートでは、この文字列がDUMPFILEパラメータに対する別のダンプ・ファイル名として解釈されます。
expdp DIRECTORY=dpumpdir DUMPFILE=test.dmp NOLOGFILE TABLES=employees
結果として、このコマンドによりtest.dmpおよびnologfile.dmpという2つのダンプ・ファイルが作成されることになります。
この結果を回避するには、NOLOGFILE=YESまたはNOLOGFILE=NOのいずれかを指定します。
パラメータ値を指定する場合の大/小文字の区別
パラメータ値として入力される表領域名、スキーマ名、表名などについて、Oracle Data Pumpは、小文字または大/小文字混在で入力された値をデフォルトで大文字に変更します。たとえば、TABLE=hr.employeesと入力すると、それはTABLE=HR.EMPLOYEESに変更されます。大/小文字を維持するには、引用符で値を囲む必要があります。たとえば、TABLE="hr.employees"とすると、表名がすべて小文字のまま維持されます。入力する名前は、データベースに格納されている名前と完全に一致する必要があります。
データ・ポンプ・コマンドラインでの引用符の使用
一部のオペレーティング・システムでは、特殊文字として引用符が処理されます。したがって、これらのオペレーティング・システムでは、引用符の前にバックスラッシュ(\)などのエスケープ文字を付けないかぎり、引用符はアプリケーションに渡されません。この要件は、コマンドラインとパラメータ・ファイル内の両方に当てはまります。また、オペレーティング・システムによっては、コマンドラインで、特殊文字を含むパラメータ値全体を一重引用符または二重引用符で囲む必要があります。
次の例では、これらの概念を説明します。特定のオペレーティング・システムでは、要件が異なる場合があります。ドキュメント例では、各ユーザーに固有のオペレーティング環境を完全に予測することはできません。
この例では、パラメータ・ファイルにTABLESパラメータが指定されています。
TABLES = \"MixedCaseTableName\"
コマンドラインでその値を指定する場合、一部のオペレーティング・システムでは、次のように一重引用符を使用してパラメータ・ファイル名を囲む必要があります。
TABLES = '\"MixedCaseTableName\"'
コマンドラインで追加の引用符を指定せずに手順を続行するには、パラメータ・ファイルを使用することをお薦めします。また、パラメータ・ファイルを使用し、指定するパラメータ値の文字列の最初の文字に引用符を使用しない場合(たとえば、TABLES=scott."EmP")は、エスケープ文字の使用が不要になるシステムがあることに注意してください。
エクスポート・パラメータの使用例
各項に示す例を試行する場合は、次の内容に注意してください。
-
例に示すようにユーザー名およびパラメータを入力した後、エクスポートが起動され、パスワードの入力を求められます。データベース接続が行われる前に、パスワードを入力する必要があります。
-
ここに示す例の多くは、Oracle Databaseのインストール時にデフォルトでインストールされるシード・データベースのサンプル・スキーマを使用しています。特に、人事管理(
hr)スキーマを頻繁に使用します。 -
この例では、ディレクトリ・オブジェクト
dpump_dir1およびdpump_dir2がすでに存在し、これらのディレクトリ・オブジェクトについてのREAD権限およびWRITE権限が、hrユーザーに付与されているものとします。 -
一部の例では、
DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASEロールおよびDATAPUMP_IMP_FULL_DATABASEロールが必要です。その例では、hrユーザーにこれらのロールが付与されているものとします。
必要に応じて、これらのディレクトリ・オブジェクトの作成と、必要な権限やロールの割当てをDBAに依頼します。
特に指定がないかぎり、これらのパラメータはパラメータ・ファイルでも指定できます。
関連トピック
関連項目:
システムでの特殊文字および予約文字の処理方法の詳細は、ご使用のオペレーティング・システム固有のドキュメントを参照してください。
2.4.2 ABORT_STEP
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのABORT_STEPパラメータでは、ジョブの初期化後に、そのジョブを停止します。
デフォルト
Null
用途
ジョブの初期化後に、そのジョブを停止する場合に使用します。ジョブを初期化後に停止すると、データがエクスポートされる前に問い合せるデータ・ポンプ制御ジョブ表を問い合せることができます。
構文および説明
ABORT_STEP=[n | -1]
可能な値は、データ・ポンプ制御ジョブ表のプロセス順序番号に対応します。各番号の使用結果は次のとおりです。
-
n: 値が0以上の場合は、エクスポート操作が開始され、対応するプロセス・オーダー番号を持つ、データ・ポンプ制御ジョブ表に格納されているオブジェクトでジョブが停止されます。 -
-1: 値が負の1 (-1)の場合は、ジョブの設定後(ただし、オブジェクトまたはデータのエクスポート前)に、ジョブが中断されます。
制限事項
-
なし
例
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=expdat.dmp SCHEMAS=hr ABORT_STEP=-12.4.3 ACCESS_METHOD
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのACCESS_METHODパラメータでは、エクスポートで特定のメソッドを使用してデータをアンロードするように指定します。
デフォルト
AUTOMATIC
用途
エクスポート・ユーティリティで特定のメソッドを使用してデータをアンロードするように指定します。
構文および説明
ACCESS_METHOD=[AUTOMATIC | DIRECT_PATH | EXTERNAL_TABLE]
デフォルトのメソッドがなんらかの理由で動作しない場合に別のネイティブ・メソッドを試行できるように、ACCESS_METHODパラメータが提供されます。ネットワーク・エクスポートでは、すべての方法を指定できます。指定したアクセス方法で表のデータをアンロードできない場合は、データに表のエラーが表示され、次の作業項目に進みます。
-
AUTOMATIC—それぞれの表について、データをアップロードする最適な方法がOracle Data Pumpによって判断されます。できるだけAUTOMATICを使用することをお薦めします。これは、データ・ポンプが最も効果的な方法を自動的に選択できるようになるためです。 -
DIRECT_PATH—Oracle Data Pumpによって、すべての表に対して、ダイレクト・パス・アンロードが使用されます。 -
EXTERNAL_TABLE—Oracle Data Pumpによって、SQL文CREATE TABLE AS SELECTを使用して、ダンプ・ファイルに格納されているデータを使用する外部表が作成されます。SELECT句では、アンロードする表から読み取ります。
制限事項
-
ネットワーク・エクスポートで
ACCESS_METHODパラメータを使用するには、Oracle Database 12c リリース2 (12.2.0.1)以上を使用している必要があります。 -
Oracle Data Pumpエクスポートの
ACCESS_METHODパラメータは、トランスポータブル表領域のジョブに対して有効ではありません。
例
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=expdat.dmp SCHEMAS=hr
ACCESS_METHOD=EXTERNAL_TABLE 2.4.4 ATTACH
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのATTACHパラメータでは、ワーカーまたはクライアント・セッションを既存のエクスポート・ジョブに接続し、自動的に対話方式コマンド・インタフェースに移動します。
デフォルト
デフォルトは、ユーザー・スキーマに現在存在するジョブです(ジョブが存在する場合)。
用途
ワーカー・セッションを既存のデータ・ポンプ制御エクスポート・ジョブにアタッチし、対話方式コマンド・インタフェースに自動的に配置します。接続先のジョブの説明およびエクスポート・プロンプトが表示されます。
構文および説明
ATTACH [=[schema_name.]job_name]
schema_nameは、オプションです。自分のスキーマ以外のスキーマを指定するには、DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASEロールが必要です。
job_nameは、スキーマに対応するエクスポート・ジョブが1つのみで、そのジョブがアクティブの場合はオプションです。停止しているジョブに接続する場合は、このジョブ名を指定する必要があります。DBA_DATAPUMP_JOBSビューまたはUSER_DATAPUMP_JOBSビューを問い合せて、データ・ポンプ・ジョブ名の一覧を表示できます。
ジョブに接続している場合、エクスポート・ユーティリティでは、ジョブの説明が表示され、次にエクスポート・プロンプトが表示されます。
制限事項
-
ATTACHパラメータを指定する場合、コマンドラインで他に指定できるデータ・ポンプ・パラメータは、ENCRYPTION_PASSWORDのみです。 -
接続するジョブが最初に暗号化パスワードを使用して起動している場合、そのジョブへの接続時に、コマンドライン上の
ENCRYPTION_PASSWORDパラメータを再入力してそのパスワードを再指定する必要があります。この要件の唯一の例外は、ジョブが最初にENCRYPTION=ENCRYPTED_COLUMNS_ONLYパラメータを使用して開始されている場合です。この場合、ジョブへの接続時に暗号化パスワードは必要ありません。 -
そのジョブが実行中でなければ、別のスキーマのジョブに接続することはできません。
-
ジョブのダンプ・ファイル・セットまたはデータ・ポンプ制御表が削除されている場合、接続操作は失敗します。
-
データ・ポンプ制御表をなんらかの方法で変更すると、予測できない結果になります。
例
次に、ATTACHパラメータの使用例を示します。ジョブhr.export_jobがすでに存在するものとします。
> expdp hr ATTACH=hr.export_job
2.4.5 CHECKSUM
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCHECKSUMパラメータを使用すると、エクスポート・ユーティリティでエクスポートのチェックサム検証を実行できます。
デフォルト
デフォルト値は、使用されるチェックサム関連パラメータの組合せによって異なります。チェックサムを有効にするには、パラメータのCHECKSUMまたはCHECKSUM_ALGORITHMを指定する必要があります。
CHECKSUM_ALGORITHMパラメータのみを指定した場合、CHECKSUMはYESにデフォルト設定されます。
CHECKSUMとCHECKSUM_ALGORITHMのどちらのパラメータも指定していないと、CHECKSUMはNOにデフォルト設定されます。
用途
Oracle Data Pumpでエクスポート・ダンプ・ファイル・セットのチェックサムを計算するかどうかを指定します。
チェックサムはジョブの最後に計算されるため、時間はファイルのサイズに従ってスケーリングされます。複数のファイルを並列処理できます。このパラメータを使用すると、ダンプ・ファイルが完全であり、ネットワークを介してオブジェクト・ストアにコピーされた後に破損していないことの検証や、古いダンプ・ファイルの検証ができます。
構文および説明
CHECKSUM=[YES|NO]
YES: Oracle Data Pumpで、エクスポート・ダンプ・ファイル・セット内のダンプ・ファイルごとに、ファイルのチェックサムを計算するように指定します。NO: Oracle Data Pumpでファイル・チェックサムを計算しないことを指定します。
制限事項
このチェックサム機能を使用するには、COMPATIBLE初期化パラメータを 20.0以上に設定する必要があります。
例
この例では、HRスキーマのスキーマ・モード・アンロードを実行し、ダンプ・ファイル・セット内のダンプ・ファイルごとにSHA256 (デフォルトのCHECKSUM_ALGORITHM)チェックサムを生成します。
expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr.dmp CHECKSUM=YES
2.4.6 CHECKSUM_ALGORITHM
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCHECKSUM_ALGORITHMパラメータでは、チェックサムの計算に使用するチェックサム・アルゴリズムを指定します。
デフォルト
デフォルト値は、使用されるチェックサム関連パラメータの組合せによって異なります。チェックサムを有効にするには、パラメータのCHECKSUMまたはCHECKSUM_ALGORITHMを指定する必要があります。
CHECKSUMパラメータをYESに設定して、CHECKSUM_ALGORITHMに値を指定しないと、CHECKSUM_ALGORITHMはSHA256 Secure Hash Algorithmにデフォルト設定されます。
用途
暗号化ハッシュを使用することで、ダンプ・ファイルのヘッダー・ブロック以降の内容の整合性を確保できるようにします。これにより、送信エラーなどの発生原因になることがあるダンプ・ファイル内の意図しないエラーをなくします。設定する値によって、Oracle Data Pumpでエクスポート・ダンプ・ファイル・セットのチェックサム計算するかどうかと、チェックサムの計算に使用するハッシュ・アルゴリズムを指定します。
構文および説明
CHECKSUM_ALGORITHM = [CRC32|SHA256|SHA384|SHA512]
CRC32: Oracle Data Pumpで32ビット・チェックサムを生成するように指定します。SHA256: Oracle Data Pumpで256ビット・チェックサムを生成するように指定します。SHA384: Oracle Data Pumpで384ビット・チェックサムを生成するように指定します。SHA512: Oracle Data Pumpで512ビット・チェックサムを生成するように指定します。
制限事項
このチェックサム機能を使用するには、COMPATIBLE初期化パラメータを 20.0以上に設定する必要があります。
例
この例では、HRスキーマのスキーマ・モード・アンロードを実行し、生成されたダンプ・ファイル・セット内のファイルごとにSHA384チェックサムを生成します。
expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr.dmp CHECKSUM_ALGORITHM=SHA384
2.4.7 CLUSTER
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCLUSTERパラメータでは、データ・ポンプでOracle RACリソースを使用できるかどうかと、ワーカーを他のOracle RACインスタンス上で開始できるかどうかを指定します。
デフォルト
YES
用途
Oracle Data PumpでOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)リソースを使用できるかどうかと、ワーカーを他のOracle RACインスタンス上で開始できるかどうかを決定します。
構文および説明
CLUSTER=[YES | NO]
Oracle Data Pumpエクスポートで、ジョブが開始されたインスタンスのみを使用し、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)より前の動作と同じにするには、CLUSTER=NOを指定します。
特定の既存サービスを指定し、そのサービスに定義されたインスタンスでのみ実行されるようにワーカー・プロセスを制限するには、SERVICE_NAMEパラメータをCLUSTER=YESパラメータとともに使用します。
CLUSTERパラメータを使用すると、エクスポート・ジョブをOracle RACインスタンス間で分散するための追加のオーバーヘッドが発生するため、パフォーマンスに影響する場合があります。ジョブが小さいときは、CLUSTER=NOを指定して、ジョブが開始されたインスタンス上のみでジョブを実行した方がよい場合もあります。CLUSTERパラメータを使用してジョブのパフォーマンスが最もよくなるのは、ジョブのデータ量が多い場合です。
例
次に、CLUSTERパラメータの使用例を示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr_clus%U.dmp CLUSTER=NO PARALLEL=3
この例では、hrスキーマのスキーマ・モード・エクスポート(デフォルト)を実行します。CLUSTER=NOが指定されているため、ジョブでは起動時のインスタンスのみが使用されます。CLUSTERパラメータを指定しない場合は、デフォルト値のYが使用されます。この値を使用すると、必要に応じて、ワーカーはOracle RACクラスタ内の他のインスタンスで開始されます。ダンプ・ファイルは、dpump_dir1ディレクトリ・オブジェクトに指定された場所に書き込まれます。ジョブでは、パラレル処理を最大3つまで実行できます。
2.4.8 COMPRESSION
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCOMPRESSIONパラメータでは、ダンプ・ファイル・セットに書き込む前に圧縮するデータを指定します。
デフォルト
METADATA_ONLY
用途
ダンプ・ファイル・セットに書き込む前に圧縮するデータを指定します。
構文および説明
COMPRESSION=[ALL | DATA_ONLY | METADATA_ONLY | NONE]
-
ALLを指定すると、エクスポート操作全体について圧縮が有効になります。ALLオプションでは、Oracle Advanced Compressionオプションを有効にする必要があります。 -
DATA_ONLYを指定すると、すべてのデータが圧縮形式でダンプ・ファイルに書き込まれます。DATA_ONLYオプションでは、Oracle Advanced Compressionオプションを有効にする必要があります。 -
METADATA_ONLYを指定すると、すべてのメタデータが圧縮形式でダンプ・ファイルに書き込まれます。これはデフォルトです。 -
NONEを指定すると、エクスポート操作全体について圧縮が無効になります。
制限事項
-
これらすべての圧縮オプションを使用するには、
COMPATIBLE初期化パラメータを11.0.0以上に設定する必要があります。 -
METADATA_ONLYオプションは、たとえCOMPATIBLE初期化パラメータが10.2に設定されていても使用できます。 -
ALLまたはDATA_ONLYを使用したデータ圧縮は、Oracle Database 11g以降のEnterprise Editionでのみ有効で、Oracle Advanced Compressionオプションを有効にする必要があります。
例
次に、COMPRESSIONパラメータの使用例を示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr_comp.dmp COMPRESSION=METADATA_ONLY
このコマンドは、スキーマ・モードのエクスポートを実行し、すべてのメタデータを圧縮してからダンプ・ファイルhr_comp.dmpに書き出します。エクスポート・モードが指定されていないため、デフォルトでスキーマ・モードのエクスポートになります。
Oracle Advanced Compressionオプションのライセンス要件の詳細は、Oracle Databaseライセンス情報を参照してください。
2.4.9 COMPRESSION_ALGORITHM
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCOMPRESSION_ALGORITHMパラメータでは、ダンプ・ファイル・データの圧縮時に使用する圧縮アルゴリズムを指定します。
デフォルト
BASIC
用途
ダンプ・ファイル・データを圧縮する場合に使用する圧縮アルゴリズムを指定します。
構文および説明
COMPRESSION_ALGORITHM = [BASIC | LOW | MEDIUM | HIGH]
パラメータ・オプションの定義は次のとおりです。
-
BASIC: 圧縮率と速度の適度な組合せが実現し、使用されるアルゴリズムはOracle Data Pumpの以前のバージョンと同じです。 -
LOW: エクスポート・スループットへの影響が最小です。このオプションは、CPUリソースが制限要因となる環境に適しています。 -
MEDIUM: ほとんどの環境に適しています。このオプションはBASICオプションと同様、圧縮率と処理速度を加味したよい組合せですが、BASICとは異なるアルゴリズムが使用されています。 -
HIGH: ネットワーク速度が限定要因となっている、速度が遅いネットワークでダンプ・ファイルがコピーされる状況に最適です。
圧縮アルゴリズムのパフォーマンスを、そのCPU使用量および圧縮率(非圧縮の入力に対する割合としての圧縮済の出力のサイズ)によって特徴付けます。これらの測定値は、使用される圧縮アルゴリズムの速度に加え、入力のサイズおよびタイプに基づいて変化します。基本的に圧縮率はLOWからHIGHへと高くなります。ただし、圧縮率の上昇に応じて、消費されるCPUリソースが多くなります。
ご使用の環境で、データに対して様々な圧縮レベルをテストすることをお薦めします。エクスポートされるダンプ・ファイル・セットの圧縮レベルがパフォーマンスおよび記憶域要件を満たすようにするには、環境、ワークロードの特性、およびデータのサイズとタイプに基づいて圧縮レベルを選択します。
制限事項
-
この機能を使用するには、データベース互換性を12.0.0以上に設定する必要があります。
-
この機能では、Oracle Advanced Compressionオプションを有効にする必要があります。
例1
この例では、HRスキーマのスキーマ・モード・アンロードを実行し、低い圧縮レベルの圧縮アルゴリズムを使用して表データのみを圧縮します。このコマンド・オプションを使用すると、最適な圧縮率を得ることはできませんが、使用されるCPUリソースの数を抑えることができます。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr.dmp COMPRESSION=DATA_ONLY
COMPRESSION_ALGORITHM=LOW例2
この例では、HRスキーマのスキーマ・モード・アンロードを実行し、基本の圧縮レベルを使用してメタデータと表データの両方を圧縮します。COMPRESSION_ALGORITHMパラメータを完全に省略することは、値としてBASICを指定することと同じです。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr.dmp COMPRESSION=ALL COMPRESSION_ALGORITHM=BASIC2.4.10 CONTENT
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCONTENTパラメータを使用すると、エクスポートでアンロードする内容を、データのみ、メタデータのみ(あるいはその両方)でフィルタ処理できます。
デフォルト
ALL
用途
エクスポート・ユーティリティでアンロードする内容を、データのみ、メタデータのみ(あるいはその両方)でフィルタ処理できます。
構文および説明
CONTENT=[ALL | DATA_ONLY | METADATA_ONLY]
-
ALLを指定すると、データとメタデータの両方がアンロードされます。このオプションはデフォルトです。 -
DATA_ONLYを指定すると、表の行データのみがアンロードされます。データベース・オブジェクト定義はアンロードされません。 -
METADATA_ONLYを指定すると、データベース・オブジェクト定義のみがアンロードされ、表の行データはアンロードされません。CONTENT=METADATA_ONLYを指定した場合、ダンプ・ファイルが後でインポートされるときに、ダンプ・ファイルからインポートされる索引または表の統計はインポート後にロックされることに注意してください。
制限事項
-
CONTENT=METADATA_ONLYパラメータは、TRANSPORT_TABLESPACES(トランスポータブル表領域モード)パラメータまたはQUERYパラメータと組み合せて使用することはできません。
例
次に、CONTENTパラメータの使用例を示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr.dmp CONTENT=METADATA_ONLY
このコマンドでは、hrのスキーマに関連付けられたメタデータのみをアンロードするスキーマ・モード・エクスポートが実行されます。エクスポート・モードが指定されていないため、デフォルトでhrスキーマのスキーマ・モードのエクスポートになります。
2.4.11 CREDENTIAL
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのCREDENTIALパラメータを使用すると、オブジェクト・ストアに格納されるデータをエクスポート・ユーティリティで書き込めるようになります。
デフォルト
なし。
用途
Oracle Data Pumpでオブジェクト・ストアにデータ・ファイルを書き込めるようにします。データ・ファイルについては、オブジェクト・ストアに格納するデータ・ファイルのURIを指定できます。CREDENTIALの値により、エクスポートを開始するユーザーに付与される資格証明を指定します。そうした権限によって、Oracle Data Pumpエクスポートはオブジェクト・ストアへのアクセスと書込みが可能になり、Oracle Cloud Infrastructureオブジェクト・ストアにデータ・ファイルを書き込めるようになります。
構文および説明
CREDENTIAL=user-credential
使用上のノート
CREDENTIALパラメータでは、expdpがDUMPFILEのテキスト文字列を解釈する方法を変更します。CREDENTIALパラメータが指定されていない場合、DUMPFILEパラメータでは、オプションのディレクトリ・オブジェクトおよびファイル名をdirectory-object-name:file-name形式で指定できます。CREDENTIALパラメータを使用すると、DUMPFILEで指定された1つ以上のオブジェクト・ストレージURIに書き込むための認証および認可がexpdpに提供されます。
CREDENTIALパラメータを指定しない場合、DUMPFILE値はURIとしては扱われず、ファイル指定として扱われます。DUMPFILE指定にはファイル名のみが含まれており、パスを含めることはできません。そのため、CREDENTIALパラメータを指定しない場合、次のエラーが発生します。
ORA-39001: invalid argument value
ORA-39000: bad dump file specification
ORA-39088: file name cannot contain a path specification
制限事項
-
資格証明パラメータは、OCIリソース・プリンシパル、Azureサービス・プリンシパル、Amazonリソース名(ARN)またはGoogleサービス・アカウントにはできません。
- クラウド・システムの場合、
UTIL_FILEではクラウドへの書込みがサポートされません。その場合、エクスポート・ユーティリティはDEFAULT_DIRECTORYパラメータで設定された値をログ・ファイルの場所として使用します。また、ディレクトリ・オブジェクトの名前は、LOGFILEのファイル名の一部として指定することもできます。 - ダンプ・ファイルのURIを指定しようとしたときに、
CREDENTIALパラメータが指定されていない場合は、前述の使用上のノートに示すようにエラーORA-39000 bad dumpfile specificationが発生します。
例
次の例では、資格証明sales-deptが提供され、DUMPFILEにより、エクスポートするオブジェクト・ストレージURIを指定しています。
expdp hr DUMPFILE=https://objectstorage.example.com/images_basic.dmp CREDENTIAL=sales-dept
次の例では、資格証明を指定していません。
expdp hr DUMPFILE=dir obj:filename
2.4.12 DATA_OPTIONS
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのDATA_OPTIONSパラメータでは、特定のデータ型に対するエクスポート操作中の処理方法を指定します。
デフォルト
デフォルトはありません。このパラメータが使用されていない場合は、このパラメータで提供される特別なデータ処理オプションは無効になります。
用途
DATA_OPTIONSパラメータは、エクスポート操作時に特定のタイプのデータをどのように処理するかを指定します。
構文および説明
DATA_OPTIONS= [GROUP_PARTITION_TABLE_DATA | VERIFY_STREAM_FORMAT]
GROUP_PARTITION_TABLE_DATA: 各表パーティションを別々の操作としてアンロードするのではなく、1つの操作ですべての表データをアンロードするように、Oracle Data Pumpに指示します。その結果、インポート時に表の定義は考慮されません(インポートでは表全体にロードされる1つのデータ・パーティションが参照されるため)。VERIFY_STREAM_FORMAT: データ・ストリームがOracle Data Pumpダンプ・ファイルに書き込まれる前に、データ・ストリームの形式を検査します。この検証では、ストリームが生成されてからディスクに書き込まれる前に、有効な形式かどうかがチェックされます。これにより、ダンプ・ファイル作成時のエラーがなくなるため、インポート時にストリームが読み取られる際のエラーも回避できます。
制限事項
エクスポート・ユーティリティのDATA_OPTIONSパラメータを使用する場合は、ジョブ・バージョンを11.0.0以上に設定する必要があります。VERSIONを参照してください。
例
この例では、パーティションごとにデータをアンロードする個別のデフォルトの動作ではなく、表のすべてのパーティションのデータが一緒にアンロードされるエクスポート操作を示しています。
> expdp hr TABLES=hr.tab1 DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr.dmp VERSION=11.2 GROUP_PARTITION_TABLE_DATAXMLType表のエクスポートおよびインポートに固有の情報は、Oracle XML DB開発者ガイドを参照してください。
関連トピック
2.4.13 DIRECTORY
Oracle Data Pump Exportコマンドライン・ユーティリティのDIRECTORYパラメータでは、エクスポートがダンプ・ファイル・セットおよびログ・ファイルを書き込むことができるデフォルトの場所を指定します。
デフォルト
DATA_PUMP_DIR
用途
エクスポート・ユーティリティによるダンプ・ファイル・セットおよびログ・ファイルのデフォルトの書込み先を指定します。
構文および説明
DIRECTORY=directory_object
directory_objectは、データベース・ディレクトリ・オブジェクトの名前です。実際のディレクトリのファイル・パスではありません。特権ユーザーにDATA_PUMP_DIRという名前のデフォルトのディレクトリ・オブジェクトへのアクセス権が付与されます。DATA_PUMP_DIRディレクトリの定義は、アップグレード時またはパッチの適用時にOracleによって変更される可能性があります。
デフォルトのDATA_PUMP_DIRディレクトリ・オブジェクトにアクセス可能なユーザーは、DIRECTORYパラメータを使用する必要はありません。
DUMPFILEパラメータやLOGFILEパラメータで指定したディレクトリ・オブジェクトは、DIRECTORYパラメータに指定したディレクトリ・オブジェクトよりも優先されます。
例
次に、DIRECTORYパラメータの使用例を示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=employees.dmp CONTENT=METADATA_ONLY
この例では、employees.dumpが、ディレクトリ・オブジェクトdpump_dir1に関連付けられているパスに書き込まれます。
2.4.14 DUMPFILE
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのDUMPFILEパラメータでは、エクスポート・ジョブのダンプ・ファイルの名前を指定し、オプションで、これらのディレクトリ・オブジェクトを指定します。
デフォルト
expdat.dmp
用途
名前を指定します。指定する場合は、エクスポート・ジョブに対するダンプ・ファイルのディレクトリ・オブジェクトを指定します。
構文および説明
DUMPFILE=[directory_object:]file_name [, ...]
DIRECTORYパラメータを使用してディレクトリ・オブジェクトをすでに指定している場合、directory_objectの指定はオプションです。ここで値を指定する場合は、アクセス権がある既存のディレクトリ・オブジェクトを指定します。DUMPFILEパラメータの一部に指定されるデータベース・ディレクトリ・オブジェクトは、DIRECTORYパラメータによって指定された値またはデフォルトのディレクトリ・オブジェクトよりも優先されます。
ノート:
オブジェクト・ストレージのダンプ・ファイルを資格証明とともに使用する場合は、置換変数の予約文字をその後に使用する場合を除き、URI_fileに%文字が含まれていないことを確認してください。
たとえば、URLでエンコードされたスラッシュ(/)がURI_fileで%2Fとしてエンコードされている場合、このエンコードされた文字によってエラーが発生する可能性があります。
カンマで区切ったリストまたは個別のDUMPFILEパラメータ指定で、複数のfile_name指定を定義できます。ファイル拡張子を指定しない場合は、デフォルトのファイル拡張子.dmpが使用されます。ファイル名には置換変数を含めることができます。次の表に、使用可能な置換変数を示します。
| 置換変数 | 意味 |
|---|---|
%U |
生成されるファイル名では、置換変数が、01から99まで増加する固定幅の2桁の整数に変換されます。ファイル指定に2つの置換変数が含まれている場合は、両方の変数が同時に増加します。たとえば、exp%Uaa%U.dmpは、exp01aa01.dmp、exp02aa02.dmpというように変換されます。
|
%d、%D |
グレゴリオ暦による月の現在の日付をDD形式で指定します。
ノート: この置換変数はインポート・ファイル名には使用できません。 |
%m、%M |
グレゴリオ暦による月をMM形式で指定します。
ノート: この置換変数はインポート・ファイル名には使用できません。 |
%t、%T |
グレゴリオ暦による年、月および日をYYYYMMDD形式で指定します。
ノート: この置換変数はインポート・ファイル名には使用できません。 |
%l、%L |
システムによって生成される一意のファイル名を指定します。
ファイル名には、複数のファイルを生成できることを示す置換変数( たとえば、現在の整数が1の場合、 以降、99までは同様に続きます。その次のファイル名では3桁に置換されます。 以降、999まで同様に続き、その次のファイルでは4桁に置換されます。最大許容置換数(2147483646)まで、置換が続きます。 |
%y、%Y |
年をYYYY形式で指定します。
ノート: この置換変数はインポート・ファイル名には使用できません。 |
FILESIZEパラメータを指定すると、各ダンプ・ファイルがそのサイズを上限とするため、拡張できなくなります。置換変数を持つテンプレートを指定していて、ダンプ・ファイル・セットに必要な領域が不足し、デバイスに余裕がある場合は、FILESIZEパラメータで指定したサイズの新しいダンプ・ファイルが自動的に作成されます。
置換変数が含まれているファイル指定またはファイル・テンプレートは、定義されているとおり、完全修飾されたファイル名としてインスタンス化され、エクスポートによってファイルが作成されます。ファイル指定は、指定した順序で処理されます。ファイル・サイズが上限に達したか、またはパラレル処理をアクティブなままにするためにジョブにファイルを追加する必要がある場合、置換変数を持つファイル・テンプレートが指定されていれば、追加のファイルが作成されます。
DUMPFILEパラメータで複数のファイルを指定することもできますが、エクスポート・ジョブでエクスポート・データを保持するために必要となるのは、それらのファイルのサブセットのみの場合もあります。エクスポート・ジョブの最後に表示されるダンプ・ファイル・セットには、実際に使用されたファイルが示されます。このダンプ・ファイル・セットを使用するインポート操作には、このファイル・リストが必要になります。使用されなかったファイルは無視してかまいません。
DUMPFILEパラメータを指定する場合、置換変数を使用するかどうかに関係なく、ファイル名の競合が発生する可能性があります。ファイル名の競合が発生するexpdpコマンドのいくつかの例を次に示します。これらのすべての例で、「ORA-27308 作成したファイルはすでに存在します」というエラーが返されます。
expdp system/manager directory=dpump_dir schemas=hr DUMPFILE=foo%U.dmp,foo%U.dmpexpdp system/manager directory=dpump_dir schemas=hr DUMPFILE=foo%U.dmp,foo%L.dmpexpdp system/manager directory=dpump_dir schemas=hr DUMPFILE=foo%U.dmp,foo%D.dmpexpdp system/manager directory =dpump_dir schemas=hr DUMPFILE=foo%tK_%t_%u_%y_P,foo%TK_%T_%U_%Y_P制限事項
- 作成されるダンプ・ファイルの名前と既存のダンプ・ファイルの名前が一致すると、エラーが生成されます。既存のダンプ・ファイルが上書きされることはありません。この動作を上書きするには、エクスポート・ユーティリティのパラメータ
REUSE_DUMPFILES=YESを指定します。 - Oracle Data Pumpのパラメータ
VERSION=12を使用してOracle Database 11gリリースで作成したダンプ・ファイルは、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以降でのみインポートできます。
ノート:
Data Pump ExportのDUMPFILEパラメータには、directory-object-name:filenameを使用してオプションのディレクトリ・オブジェクトを指定するオプションがあります。ただし、CREDENTIALが指定されると、DUMPFILEパラメータの指定がオーバーライドされます。
例
次に、DUMPFILEパラメータの使用例を示します。
> expdp hr SCHEMAS=hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=dpump_dir2:exp1.dmp,
exp2%U.dmp PARALLEL=3
ダンプ・ファイルexp1.dmpは、ディレクトリ・オブジェクトdpump_dir2に対応するパスに書き込まれます。これは、dpump_dir2が、ダンプ・ファイル名の一部として指定されたことによって、DIRECTORYパラメータで指定されたディレクトリ・オブジェクトよりも優先されるためです。3つのパラレル処理のすべてに、このジョブの間に実行する作業が与えられるため、指定した置換変数exp2%U.dmpに基づいて、exp201.dmpおよびexp202.dmpという名前のダンプ・ファイルが作成されます。ディレクトリが指定されていないため、作成されたファイルは、DIRECTORYパラメータで指定されたディレクトリ・オブジェクトdpump_dir1に関連付けられたパスに書き込まれます。
2.4.15 ENABLE_SECURE_ROLES
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのENABLE_SECURE_ROLESパラメータでは、エクスポート時の保護されているロールの誤用を防止します。
デフォルト
Oracle Database 19c以降のリリースでは、デフォルト値はNOです。
用途
Oracleロールには、認証が必要なものがあります。そのようなロールをOracle Data Pumpエクスポートで使用する必要がある場合は、ENABLE_SECURE_ROLESパラメータをYESに設定することで明示的に使用可能にする必要があります。
構文
ENABLE_SECURE_ROLES=[NO|YES]
-
NO: 認証が必要なOracleロールを使用できないようにします。 -
YES: 認証が必要なOracleロールを使用可能にします。
例
expdp hr SCHEMAS=hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=dpump_dir2:exp1.dmp,
exp2%U.dmp ENABLE_SECURE_ROLES=YES
2.4.16 ENCRYPTION
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのENCRYPTIONパラメータでは、ダンプ・ファイル・セットに書き込む前にデータを暗号化するかどうかを指定します。
デフォルト
デフォルト値は、使用される暗号化関連パラメータの組合せによって異なります。暗号化を有効にするには、ENCRYPTIONまたはENCRYPTION_PASSWORDパラメータ、あるいは両方を指定する必要があります。
ENCRYPTION_PASSWORDパラメータのみが指定されている場合は、デフォルトでENCRYPTIONパラメータがALLに設定されます。
ENCRYPTIONパラメータのみが指定され、Oracle暗号化ウォレットがオープン状態の場合、デフォルト・モードはTRANSPARENTになります。ENCRYPTIONパラメータのみが指定され、ウォレットが閉じられている場合は、エラーが返されます。
ENCRYPTIONとENCRYPTION_PASSWORDのいずれも指定しない場合、ENCRYPTIONのデフォルト値はNONEとなります。
用途
ダンプ・ファイル・セットに書き込む前にデータを暗号化するかどうかを指定します。
構文および説明
ENCRYPTION = [ALL | DATA_ONLY | ENCRYPTED_COLUMNS_ONLY | METADATA_ONLY | NONE]
-
ALLを指定すると、エクスポート操作ですべてのデータおよびメタデータについて暗号化が有効になります。 -
DATA_ONLYを指定すると、データのみが暗号化形式でダンプ・ファイル・セットに書き込まれます。 -
ENCRYPTED_COLUMNS_ONLYを指定すると、暗号化された列のみが暗号化形式でダンプ・ファイル・セットに書き込まれます。列にはすでに割り当てられた暗号化形式があり、定義によって列が保持できる暗号化形式は1つのみであるため、このオプションをENCRYPTION_ALGORITHMパラメータとともに使用することはできません。ENCRYPTED_COLUMNS_ONLYオプションを使用するには、ENCRYPTION_PASSWORDパラメータも使用する必要があります。ENCRYPTED_COLUMNS_ONLYオプションを使用するには、Oracle Advanced Securityのデータの透過的な暗号化(TDE)を有効にする必要があります。TDEの詳細は、『Oracle Database Advanced Securityガイド』を参照してください。 -
METADATA_ONLYを指定すると、メタデータのみが暗号化形式でダンプ・ファイル・セットに書き込まれます。 -
NONEを指定すると、データは暗号化形式でダンプ・ファイル・セットに書き込まれません。
暗号化に関するSecureFilesの考慮点
エクスポート対象のデータに暗号化の必要なSecureFilesが含まれている場合は、ENCRYPTION=ALLを指定してダンプ・ファイル・セット全体を暗号化する必要があります。ダンプ・ファイル・セット全体の暗号化は、データ・ポンプ・エクスポート操作中にSecureFilesの暗号化セキュリティを実現する唯一の方法です。SecureFilesの詳細は、『Oracle Database SecureFilesおよびラージ・オブジェクト開発者ガイド』を参照してください。
暗号化に関するOracle Database Vaultの考慮点
エクスポート操作が起動されると、データ・ポンプによって、Oracle Database Vaultが有効であるかどうかが確認されます。それが有効であり、ダンプ・ファイルの暗号化がジョブに指定されていない場合、セキュアなデータがセキュアではない方法(クリア・テキスト)でダンプ・ファイル・セットに書き込まれていることを示す警告メッセージが返されます。
ORA-39327: Oracle Database Vault data is being stored unencrypted in dump file set
現在のエクスポート操作を停止し、出力ダンプ・ファイル・セットを暗号化するように指定して新しい操作を開始できます。
制限事項
-
ALL、DATA_ONLYまたはMETADATA_ONLYの各オプションを指定するには、COMPATIBLE初期化パラメータを11.0.0以上に設定する必要があります。 -
このパラメータは、Oracle Database 11g以上のEnterprise Editionでのみ有効です。
-
暗号化パスワードを使用せずに
ALL、DATA_ONLYまたはMETADATA_ONLYオプションを使用する場合、Oracle Advanced Securityオプションを有効にする必要があります。Oracle Advanced Securityオプションのライセンス要件の詳細は、『Oracle Databaseライセンス情報』を参照してください。
例
次の例では、ダンプ・ファイルでデータのみが暗号化されるエクスポート操作を実行します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr_enc.dmp JOB_NAME=enc1 ENCRYPTION=data_only ENCRYPTION_PASSWORD=foobar
2.4.17 ENCRYPTION_ALGORITHM
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのENCRYPTION_ALGORITHMパラメータでは、暗号化の実行に使用する必要のある暗号化アルゴリズムを指定します。
デフォルト
AES256
用途
暗号化の実行に使用する必要のある暗号化アルゴリズムを指定します。
構文および説明
ENCRYPTION_ALGORITHM = 256
制限事項
-
この暗号化機能を使用するには、
COMPATIBLE初期化パラメータを11.0.0以上に設定する必要があります。 -
ENCRYPTION_ALGORITHMパラメータを使用する場合は、ENCRYPTIONまたはENCRYPTION_PASSWORDパラメータも指定する必要があります。指定しないと、エラーが返されます。 -
すでに暗号化されている列に追加の暗号化形式を割り当てることはできないため、
ENCRYPTION_ALGORITHMパラメータをENCRYPTION=ENCRYPTED_COLUMNS_ONLYと組み合せて使用することはできません。 -
このパラメータは、Oracle Database 11g以上のEnterprise Editionでのみ有効です。
-
ENCRYPTION _ALGORITHMパラメータでは、Oracle Advanced Securityを有効にする必要はありませんが、そのオプションを必要とするその他の暗号化関連のパラメータとともに使用できます。Oracle Advanced Securityオプションのライセンス要件の詳細は、『Oracle Databaseライセンス情報』を参照してください。
例
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr_enc3.dmp
ENCRYPTION_PASSWORD=foobar ENCRYPTION_ALGORITHM=AES2562.4.18 ENCRYPTION_MODE
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのENCRYPTION_MODEパラメータでは、暗号化および復号化を実行する際に使用するセキュリティ・タイプを指定します。
デフォルト
デフォルト・モードは、使用されるその他の暗号化関連パラメータによって異なります。ENCRYPTIONパラメータのみが指定され、Oracle暗号化ウォレットがオープン状態の場合、デフォルト・モードはTRANSPARENTになります。ENCRYPTIONパラメータのみが指定され、ウォレットが閉じられている場合は、エラーが返されます。
ENCRYPTION_PASSWORDパラメータが指定され、ウォレットがオープン状態の場合、デフォルト設定はDUALになります。ENCRYPTION_PASSWORDパラメータが指定され、ウォレットが閉じられている場合、デフォルト設定はPASSWORDになります。
用途
暗号化および復号化を実行する際に使用するセキュリティ・タイプを指定します。
構文および説明
ENCRYPTION_MODE = [DUAL | PASSWORD | TRANSPARENT]
DUALモードでは、後から透過的にインポートしたり、デュアルモードで暗号化されたダンプ・ファイル・セットの作成時に使用したパスワードを指定してインポートすることができるダンプ・ファイル・セットを作成します。DUALモードで作成されたダンプ・ファイル・セットを後からインポートするときは、ウォレットまたはENCRYPTION_PASSWORDパラメータで指定されたパスワードのいずれかを使用できます。DUALモードは、ウォレットを使用する場合にはダンプ・ファイル・セットのインポートをオンサイトで行い、ウォレットが使用できない場合にはオフサイトでインポートを行う必要もある場合に最適です。
PASSWORDモードでは、暗号化されたダンプ・ファイル・セットの作成時にパスワードを指定する必要があります。ダンプ・ファイル・セットをインポートするときは同じパスワードを指定する必要があります。PASSWORDモードでは、ENCRYPTION_PASSWORDパラメータを指定する必要もあります。PASSWORDモードは、ダンプ・ファイル・セットが別のデータベースやリモート・データベースにインポートされるときに、転送中もセキュリティで保護する必要がある場合に最適です。
TRANSPARENTモードでは、必要なウォレットを使用できる場合、暗号化されるダンプ・ファイル・セットをデータベース管理者(DBA)の介入なしで作成できます。したがって、ENCRYPTION_PASSWORDパラメータは必要ありません。実際、このパラメータをTRANSPARENTモードで使用すると、エラーが発生します。この暗号化モードは、ダンプ・ファイル・セットをエクスポート元と同じデータベースにインポートする場合に最適です。
制限事項
-
DUALまたはTRANSPARENTモードを使用するには、COMPATIBLE初期化パラメータを11.0.0以上に設定する必要があります。 -
ENCRYPTION_MODEパラメータを使用する場合は、ENCRYPTIONまたはENCRYPTION_PASSWORDパラメータのいずれかを使用する必要もあります。そうでない場合は、エラーが戻されます。 -
ENCRYPTION=ENCRYPTED_COLUMNS_ONLYを使用する場合は、ENCRYPTION_MODEパラメータを使用できません。そうでない場合は、エラーが戻されます。 -
このパラメータは、Oracle Database 11g以上のEnterprise Editionでのみ有効です。
-
DUALモードまたはTRANSPARENTモードを使用するには、Oracle Advanced Securityオプションが有効である必要があります。Oracle Advanced Securityオプションのライセンス要件の詳細は、『Oracle Databaseライセンス情報』を参照してください。
例
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr_enc4.dmp
ENCRYPTION=all ENCRYPTION_PASSWORD=secretwords
ENCRYPTION_ALGORITHM=AES256 ENCRYPTION_MODE=DUAL
2.4.19 ENCRYPTION_PASSWORD
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのENCRYPTION_PASSWORDパラメータにより、暗号化されたダンプ・ファイル・セットへの不正なアクセスを防ぎます。
デフォルト
デフォルト値は設定されていません。ユーザーが値を指定します。
用途
エクスポート・ダンプ・ファイル内の暗号化列のデータ、メタデータまたは表データを暗号化するためのパスワードを指定します。このパラメータを使用すると、暗号化されたダンプ・ファイル・セットへの不正なアクセスを防ぐことができます。
ノート:
Oracle Data Pumpの暗号化機能は、Oracle Database 11gリリース1 (11.1)で変更されています。リリース11.1より前は、ENCRYPTION_PASSWORDパラメータが適用されるのは暗号化列のみでした。しかし、リリース11.1では、新しいENCRYPTIONパラメータが他のタイプのデータを暗号化するためのオプションを提供するようになりました。この変更により、ENCRYPTIONと固有のオプションを指定せずにENCRYPTION_PASSWORDを指定すると、ダンプ・ファイルに書き込まれるすべてのデータが暗号化されるようになりました(ENCRYPTION=ALLを指定した場合と同じ)。暗号化列のみを再暗号化するには、ENCRYPTION_PASSWORDに加えてENCRYPTION=ENCRYPTED_COLUMNS_ONLYを指定する必要があります。
構文および説明
ENCRYPTION_PASSWORD = password
指定するpassword値は、暗号化された表の列、メタデータまたは表データをダンプ・ファイル・セットにクリア・テキストとして書き込まないように、再度暗号化するキーを指定します。エクスポート操作に暗号化された表の列が含まれていて、暗号化パスワードが指定されていない場合、暗号化された列はダンプ・ファイル・セットにクリア・テキストで書き込まれ、警告が発行されます。
入力したパスワードは画面に表示されます。パスワードを入力時に画面に表示しない場合、ENCRYPTION_PWD_PROMPTパラメータを使用します。
暗号化パスワードに許容される最大長は、通常は128バイトです。ただし、ENCRYPTION=ENCRYPTED_COLUMNS_ONLYであり、VERSIONパラメータまたはデータベース互換性のいずれかが12.2未満に設定されている場合、制限は30バイトになります。
エクスポート操作については、ENCRYPTION_MODEパラメータがPASSWORDまたはDUALに設定されている場合に、このパラメータが必要になります。
ノート:
Oracle Data PumpのENCRYPTION_PASSWORDパラメータで指定されたキーと、暗号化された列を含む表が最初に作成されたときにENCRYPTキーワードで指定されたキーとの間には、関連性も依存性もありません。たとえば、次のように、キーがxyzの暗号化列を持つ表を作成するとします。
CREATE TABLE emp (col1 VARCHAR2(256) ENCRYPT IDENTIFIED BY "xyz");
emp表をエクスポートするときは、ENCRYPTION_PASSWORDに任意の値を指定できます。xyzである必要はありません。
制限事項
-
このパラメータは、Oracle Database Enterprise Edition 11g以降でのみ有効です。
-
全体トランスポータブル・エクスポートで、暗号化された表領域および暗号化された列が存在する表を含む表領域を転送する場合、
ENCRYPTION_PASSWORDパラメータが必要です。 -
ENCRYPTION_PASSWORDを指定して、ENCRYPTION_MODEを指定しない場合は、ENCRYPTION_MODEのデフォルトがPASSWORDになるため、Oracle Advanced Securityのデータの透過的データ暗号化を有効にする必要はありません。 -
要求された暗号化モードが
TRANSPARENTの場合、ENCRYPTION_PASSWORDパラメータは無効です。 -
ENCRYPTION_MODEがDUALに設定されている場合、ENCRYPTION_PASSWORDパラメータを使用するには、Oracle Advanced Securityの透過的データ暗号化(TDE)を有効にする必要があります。TDEの詳細は、『Oracle Database Advanced Securityガイド』を参照してください。 -
ネットワーク・エクスポートの場合、
ENCRYPTION_PASSWORDパラメータとENCRYPTION=ENCRYPTED_COLUMNS_ONLYの併用は、暗号化された列を含むユーザー定義の外部表ではサポートされていません。表はスキップされ、エラー・メッセージが表示されますが、ジョブは続行します。
例
次の例では、暗号化パスワード123456がダンプ・ファイルdpcd2be1.dmpに割り当てられています。
> expdp hr TABLES=employee_s_encrypt DIRECTORY=dpump_dir1
DUMPFILE=dpcd2be1.dmp ENCRYPTION=ENCRYPTED_COLUMNS_ONLY
ENCRYPTION_PASSWORD=123456
employee_s_encrypt表の暗号化列は、dpcd2be1.dmpダンプ・ファイルにクリア・テキストとして書き込まれません。その後、この例で作成したdpcd2be1.dmpファイルをインポートする場合は、同じ暗号化パスワードを指定する必要があります。
2.4.20 ENCRYPTION_PWD_PROMPT
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのENCRYPTION_PWD_PROMPTでは、Oracle Data Pumpによって暗号化パスワードの入力を要求するかどうかを指定します。
デフォルト
NO
用途
データ・ポンプによって暗号化パスワードの入力を要求するかどうかを指定します。
構文および説明
ENCRYPTION_PWD_PROMPT=[YES | NO]
コマンドラインでENCRYPTION_PWD_PROMPT=YESと指定すると、ENCRYPTION_PASSWORDパラメータを使用してコマンドラインでパスワードを入力するかわりに、データ・ポンプによって暗号化パスワードの入力を要求されます。この方法のメリットは、プロンプトで入力すると、暗号化パスワードが画面に表示されないことです。これに対し、ENCRYPTION_PASSWORDパラメータを使用してコマンドラインで入力すると、それがプレーン・テキストで表示されます。
プロンプトで入力する暗号化パスワードは、ENCRYPTION_PASSWORDパラメータで説明されているものと同じ基準に従います。
エクスポート操作で暗号化パスワードを指定した場合、インポート操作でもそれを指定する必要があります。
制限事項
-
ENCRYPTION_PWD_PROMPTパラメータとENCRYPTION_PASSWORDパラメータの同時使用は禁止されています。
例
次の構文例では、データ・ポンプによって最初にユーザー・パスワードが要求され、次に暗号化パスワードが要求されます。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr.dmp ENCRYPTION_PWD_PROMPT=YES
.
.
.
Copyright (c) 1982, 2017, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved.
Password:
Connected to: Oracle Database 18c Enterprise Edition Release 18.0.0.0.0 - Production
Version 18.1.0.0.0
Encryption Password:
Starting "HR"."SYS_EXPORT_SCHEMA_01": hr/******** directory=dpump_dir1 dumpfile=hr.dmp encryption_pwd_prompt=Y
.
.
.
2.4.21 ESTIMATE
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのESTIMATEパラメータでは、エクスポート・ジョブ内の各表で使用されるディスク領域(バイト単位)を見積もる場合にエクスポートで使用される方法を指定します。
デフォルト
STATISTICS
用途
エクスポート・ジョブ内の各表で使用されるディスク領域(バイト単位)を見積もる場合にエクスポートで使用される方法を指定します。見積りはログ・ファイルに出力され、クライアントの標準出力デバイスに表示されます。見積りの対象は、表の行データのみです。メタデータは含まれません。
構文および説明
ESTIMATE=[BLOCKS | STATISTICS]
-
BLOCKS- 見積りは、ソース・オブジェクトで使用されるデータベース・ブロックの数に、適切なブロック・サイズを掛けて計算されます。 -
STATISTICS- 見積りは、表別の統計を使用して計算されます。この方法による見積りをできるかぎり正確にするには、すべての表を新しく分析しておく必要があります。(表の分析は、SQLANALYZE文またはDBMS_STATSPL/SQLパッケージのいずれかで実行可能です。)
制限事項
-
圧縮された表がデータ・ポンプのエクスポート・ジョブに含まれている場合、
ESTIMATE=BLOCKSを使用すると、その圧縮表に対するデフォルト・サイズの見積りは不正確になります。この不正確性は、データが圧縮形式で格納されていることが、サイズの見積もりに反映されていないために発生します。圧縮された表に対するサイズ見積りをより正確に行うには、ESTIMATE=STATISTICSを使用してください。 -
QUERYまたはREMAP_DATAのいずれかのパラメータが使用されている場合も、見積りが不正確になる可能性があります。
例
次の例に、ESTIMATEパラメータの使用例を示します。ここでは、employees表に対する統計を使用して見積りが計算されます。
> expdp hr TABLES=employees ESTIMATE=STATISTICS DIRECTORY=dpump_dir1
DUMPFILE=estimate_stat.dmp2.4.22 ESTIMATE_ONLY
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのESTIMATE_ONLYパラメータでは、エクスポートによって、実際のエクスポート操作を実行することなく、ジョブが消費する領域が見積もられるように指定します。
デフォルト
NO
用途
エクスポートによって、実際のエクスポート操作を実行することなく、ジョブが消費する領域が見積もられるように指定します。
構文および説明
ESTIMATE_ONLY=[YES | NO]
ESTIMATE_ONLY=YESの場合、エクスポート・ユーティリティは、使用される領域の見積りを行いますが、実際にエクスポート操作は実行せずに終了します。
制限事項
-
ESTIMATE_ONLYパラメータは、QUERYパラメータと組み合せて使用することはできません。
例
次に、ESTIMATE_ONLYパラメータを使用して、HRスキーマのエクスポートに必要な領域の大きさを指定する例を示します。
> expdp hr ESTIMATE_ONLY=YES NOLOGFILE=YES SCHEMAS=HR2.4.23 EXCLUDE
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのEXCLUDEパラメータを使用すると、エクスポート操作から除外するオブジェクトおよびオブジェクト型を指定して、エクスポート対象のメタデータをフィルタ処理できます。
デフォルト
デフォルトはありません
用途
エクスポート操作から除外するオブジェクトおよびオブジェクト型を指定して、エクスポート対象のメタデータをフィルタ処理できます。
構文および説明
EXCLUDE=object_type[:name_clause] [, ...]
object_typeでは、除外するオブジェクトの型を指定します。object_typeの有効な値のリストを表示するには、DATABASE_EXPORT_OBJECTS (全体モードの場合)、SCHEMA_EXPORT_OBJECTS (スキーマ・モードの場合)、TABLE_EXPORT_OBJECTS (表モードの場合)、TABLESPACE_EXPORT_OBJECTS (表領域モードの場合)、TRANSPORTABLE_EXPORT_OBJECTS (トランスポータブル表領域モードの場合)ビューを問い合せます。OBJECT_PATH列にリストされる値が有効なオブジェクト型です。
EXCLUDE文に指定されたオブジェクト型を除き、指定されたエクスポート・モードに対するすべてのオブジェクト型が、エクスポートに含まれます。オブジェクトが除外される場合、すべての依存オブジェクトも除外されます。たとえば、表を除外すると、その表のすべての索引およびトリガーも除外されます。
name_clauseは、オプションです。このパラメータを使用すると、あるオブジェクト型のうち、特定のオブジェクトを選択できます。その型のオブジェクト名に対するフィルタとして使用されるSQL式です。SQL演算子および指定した型のオブジェクト名の比較対象となる値で構成されています。このname_clauseは、名前付きのインスタンスを持つオブジェクト型にのみ適用されます(たとえば、TABLEには適用されますが、GRANTには適用されません)。それは、コロンでオブジェクト型と区切り、二重引用符(一重引用符は名前文字列を区切るために必要なため)で囲む必要があります。たとえば、EXCLUDE=INDEX:"LIKE 'EMP%'"と設定した場合、EMPで始まる名前を持つすべての索引を除外できます。
name_clauseに指定する名前は、データベース内の既存のオブジェクトに、大文字と小文字も含めて完全に一致させる必要があります。たとえば、指定するname_clauseがEMPLOYEESという表に対するものだった場合は、すべてが大文字のEMPLOYEESという表が存在する必要があります。name_clauseに、Employees、employeesまたは既存の表と一致しないその他のバリエーションを指定した場合、表は検出されません。
name_clauseを指定しない場合、指定した型のすべてのオブジェクトが除外されます。
複数のEXCLUDE文を指定できます。
オペレーティング・システムによっては、このパラメータの値を引用符を使用して指定する場合、エスケープ文字を使用することも必要になる可能性があります。このパラメータはパラメータ・ファイルで指定することをお薦めします。パラメータ・ファイルを使用すると、コマンドラインでは必要なエスケープ文字の数を減らすことができます。
object_typeにCONSTRAINT、GRANTまたはUSERを指定する場合、次に説明する影響があることに注意してください。
制約の除外
次の制約は明示的に除外できません。
-
表の作成とロードを正常に行うために必要な制約。たとえば、索引構成表の主キー制約、
REF列を持つ表のREFSCOPEおよびWITH ROWID制約など
たとえば、次のEXCLUDE文は、次のように解釈されます。
-
EXCLUDE=CONSTRAINTでは、表の正常な作成およびロードに必要な制約を除く、すべての制約を除外します。 -
EXCLUDE=REF_CONSTRAINTは、参照整合性(外部キー)制約を除外します。
権限とユーザーの除外
EXCLUDE=GRANTを指定すると、すべてのオブジェクト型に対するオブジェクト権限およびシステム権限が除外されます。
EXCLUDE=USERを指定すると、ユーザーの定義のみが除外され、そのユーザーのスキーマ内のオブジェクトは除外されません。
特定のユーザーとそのユーザーのすべてのオブジェクトを除外するには、次のコマンドを指定します(hrは除外するユーザーのスキーマ名です)。
expdp FULL=YES DUMPFILE=expfull.dmp EXCLUDE=SCHEMA:"='HR'"
この例では、エクスポート・モードのFULLが指定されています。モードを指定しない場合は、デフォルトのモードが使用されます。デフォルト・モードは、SCHEMASです。ただし、デフォルト・モードを使用する場合、この例では、SCHEMASを指定することで、コマンドによりスキーマのエクスポートと除外を同時に指定することになるため、エラーが発生します。
EXCLUDE=USER:"='HR'"のような文を使用してユーザーを除外しようとすると、CREATE USER hr DDL文内で使用される情報のみが除外され、予期しない結果になる場合があります。
Oracle Database 21c以降、Oracle Data Pumpでは、同じコマンド内でINCLUDEとEXCLUDEの両方のパラメータを設定できます。コマンドに両方のパラメータを含めると、Oracle Data Pumpにより、INCLUDEパラメータが最初に処理され、そのパラメータで識別されるすべてのオブジェクトが含まれます。次に、除外パラメータが処理され、追加されたセットから、除外されたオブジェクトが消去されます。
制限事項
- Oracle Database 23ai以降では、オブジェクト
SQL_FIREWALLによるSQLファイアウォール・メタデータ(取得内容および許可リスト)のエクスポートがサポートされています。ただし、Oracle Data Pumpでは、既存のすべてのSQLファイアウォールの全体的なエクスポートまたはインポートがサポートされています。特定の取得内容または特定の許可リストのインポートやエクスポートはできません。
例
次に、EXCLUDE文の使用例を示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr_exclude.dmp EXCLUDE=VIEW,
PACKAGE, FUNCTION
これにより、この例では、hrスキーマ全体がエクスポートされるスキーマ・モード・エクスポート(デフォルトのエクスポート・モード)が実行されます。ただし、このスキーマのビュー、パッケージおよびファンクションは除外されます。
2.4.24 FILESIZE
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのFILESIZEパラメータでは、各ダンプ・ファイルの最大サイズを指定します。
デフォルト
0 (最大サイズの16TBと同じ)
用途
各ダンプ・ファイルの最大サイズを指定します。ダンプ・ファイル・セット内にあるダンプ・ファイルが最大サイズになると、そのファイルは閉じられ、ファイル指定に置換変数が含まれている場合または追加ダンプ・ファイルがジョブに追加されている場合は、新しいファイルが作成されます。
構文および説明
FILESIZE=integer[B | KB | MB | GB | TB]
integerの後に(スペースを挿入しない)、B、KB、MB、GBまたはTB(それぞれバイト、キロバイト、メガバイト、ギガバイト、テラバイトを示す)を指定できます。デフォルトは、B(バイト)です。作成されるファイルの実際のサイズは、ダンプ・ファイル内で使用されている内部ブロックのサイズと一致するように切り捨てられる場合があります。
制限事項
-
ファイルの最小サイズは、デフォルトのデータ・ポンプ・ブロック・サイズの10倍、つまり4KBです。
-
ファイルの最大サイズは16TBです。
例
次の例は、ダンプ・ファイルのサイズを3MBに設定する方法を示しています。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr_3m.dmp FILESIZE=3MB
このシナリオでは、割り当てられた3MBではすべてのエクスポート・データを保持するのに十分でなかった場合、次のエラーが発生して表示されジョブが停止します。
ORA-39095: Dump file space has been exhausted: Unable to allocate 217088 bytes
割り当てることができなかった実際のバイト数は、場合によって異なります。また、この数字は、エクスポート操作全体を完了するために必要な容量を表しているわけではありません。これは、ジョブがダンプ・ファイルの領域を使い果たした時点でエクスポートされていたオブジェクトのサイズのみを示します。この問題を修正するには、最初に停止したジョブに接続し、ADD_FILEコマンドを使用して1つ以上のファイルを追加した後、操作を再開します。
2.4.25 FLASHBACK_SCN
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのFLASHBACK_SCNパラメータでは、エクスポートで使用されるシステム変更番号(SCN)を指定して、フラッシュバック問合せユーティリティを使用可能にします。
デフォルト
デフォルト: デフォルト値は設定されていません。
用途
エクスポートで使用されるシステム変更番号(SCN)を指定して、フラッシュバック問合せユーティリティを使用可能にします。
構文および説明
FLASHBACK_SCN=scn_value
エクスポート操作は、指定したSCNまでの一貫性のあるデータを使用して実行されます。NETWORK_LINKパラメータが指定されている場合、SCNはソース・データベースのSCNを示します。
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)からは、SCN値をビッグSCN (8バイト)にすることができます。また、ビッグSCNをサポートしていない以前のバージョンでダンプ・ファイルを作成するときも、実際のSCN値は移動されないため、ビッグSCNを指定できます。
制限事項
FLASHBACK_SCNおよびFLASHBACK_TIMEは、相互に排他的なパラメータです。FLASHBACK_SCNパラメータは、Oracle Databaseのフラッシュバック問合せ機能にのみ関係します。フラッシュバック・データベース、フラッシュバック削除およびフラッシュバック・データ・アーカイブには適用できません。- ビッグSCNをサポートしていないバージョンからのネットワーク・エクスポートまたはネットワーク・インポートに対して、ビッグSCNを指定することはできません。
例
次の例では、384632 というSCN値が存在するとします。この例では、hrスキーマをSCN 384632までエクスポートします。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr_scn.dmp FLASHBACK_SCN=384632ノート:
ロジカル・スタンバイ・システムにおいてロジカル・スタンバイのプライマリへのアクセスにネットワーク・リンクを使用する場合は、ロジカル・スタンバイによってSCNが選択されるため、FLASHBACK_SCNパラメータは無視されます。ロジカル・スタンバイ・データベースの詳細は、『Oracle Data Guard概要および管理』 を参照してください。
2.4.26 FLASHBACK_TIME
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのFLASHBACK_TIMEパラメータにより、指定した時間に最も近いSCNを検索します。
デフォルト
デフォルトはありません。
用途
指定した時間に最も近いシステム変更番号(SCN)を検索します。このSCNを使用して、フラッシュバック・ユーティリティを使用可能にします。エクスポート操作は、このSCNまでの一貫性のあるデータを使用して実行されます。
構文および説明
FLASHBACK_TIME="TO_TIMESTAMP(time-value)"
TO_TIMESTAMPの値は引用符で囲まれるため、パラメータ・ファイルに記述することをお薦めします。
または、次のパラメータ設定を入力することもできます。この設定により、現在のシステム時間に基づいた一貫性エクスポートが開始されます。
FLASHBACK_TIME=systimestamp
制限事項
FLASHBACK_TIMEおよびFLASHBACK_SCNは、相互に排他的なパラメータです。FLASHBACK_TIMEパラメータは、Oracle Databaseのフラッシュバック問合せ機能にのみ関係します。フラッシュバック・データベース、フラッシュバック削除およびフラッシュバック・データ・アーカイブには適用できません。
例
DBMS_FLASHBACK.ENABLE_AT_TIMEプロシージャで使用可能な形式で時刻を指定できます。たとえば、次の内容のパラメータ・ファイルflashback.parを作成したとします。
DIRECTORY=dpump_dir1
DUMPFILE=hr_time.dmp
FLASHBACK_TIME="TO_TIMESTAMP('27-10-2012 13:16:00', 'DD-MM-YYYY HH24:MI:SS')"
次のコマンドを発行します。
> expdp hr PARFILE=flashback.par
エクスポート操作は、指定した時間に最も近いSCNと整合性のあるデータで実行されます。
ノート:
ロジカル・スタンバイ・システムにおいてロジカル・スタンバイのプライマリへのアクセスにネットワーク・リンクを使用する場合は、ロジカル・スタンバイによってSCNが選択されるため、FLASHBACK_SCNパラメータは無視されます。ロジカル・スタンバイ・データベースの詳細は、『Oracle Data Guard概要および管理』を参照してください。
フラッシュバック問合せの使用方法の詳細は、Oracle Database開発ガイドを参照してください。
2.4.27 FULL
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのFULLパラメータにより、全データベース・モードでのエクスポートの実行を指定します。
デフォルト
NO
用途
全体データベース・モード・エクスポートの実行を指定します。
構文および説明
FULL=[YES | NO]
FULL=YESと指定すると、すべてのデータおよびメタデータがエクスポートされます。全体エクスポートを実行するには、DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASEロールが必要です。
このエクスポート・モードを使用したエクスポート対象を、フィルタ処理によって制限できます。
トランスポータブル・オプション(TRANSPORTABLE=ALWAYS)を使用して全体モード・エクスポートを実行できます。これは、全体トランスポータブル・エクスポートと呼ばれ、データベースの完全なコピーを作成するために必要なすべてのオブジェクトおよびデータがエクスポートされます。関連する情報を参照してください。
ノート:
全体モード・エクスポートによって作成されたダンプ・ファイルを後でインポートする場合、インポート操作はSYSアカウントのパスワードをソース・データベースからコピーしようとすることに注意してください。これは、失敗する場合があります(パスワードが共有パスワード・ファイル内にある場合など)。失敗した場合は、インポートの完了後に、ターゲット・データベース上のSYSアカウントのパスワードを任意のパスワードに設定する必要があります。
制限事項
FULLパラメータをTRANSPORTABLE(全体トランスポータブル・エクスポート)と組み合せて使用するには、データ・ポンプのVERSIONパラメータを12.0以上に設定するか、COMPATIBLEデータベース初期化パラメータを12.0以上に設定する必要があります。- 全体エクスポートでは、Oracleが管理するデータおよびメタデータを含むシステム・スキーマがデフォルトでエクスポートされません。デフォルトでエクスポートされないシステム・スキーマの例としては、
SYS、ORDSYS、MDSYSなどがあります。 SYSスキーマが所有しているオブジェクトに対する権限はエクスポートされません。- 全体エクスポート操作では、1つのデータベース・エディションのみからオブジェクトがエクスポートされ、デフォルトでは現在のエディションがエクスポートされますが、エクスポートの
SOURCE_EDITIONパラメータを使用して別のエディションを指定することもできます。 - レルムにより保護されているデータをエクスポートする場合は、そのレルムに対する権限が必要です。
- 自動ワークロード・リポジトリ(AWR)は、全データベースのエクスポートおよびインポート操作では移動されません。(Oracle Data Pumpを使用してAWRスナップショットを移動する方法の詳細は、Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照。)
- XDBリポジトリは、全データベースのエクスポートおよびインポート操作では移動されません。ユーザーが作成したXMLスキーマは移動されます。
例
次に、FULLパラメータの使用例を示します。ダンプ・ファイルexpfull.dmpは、dpump_dir2ディレクトリに書き込まれます。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir2 DUMPFILE=expfull.dmp FULL=YES NOLOGFILE=YES
全体トランスポータブル・エクスポートの実行方法の詳細な例は、Oracle Database管理者ガイドを参照してください。レルムの構成方法の詳細は、Oracle Database Vault管理者ガイドを参照してください。
2.4.28 HELP
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのHELPパラメータにより、エクスポート・ユーティリティのオンライン・ヘルプを表示します。
デフォルト
NO
用途
エクスポート・ユーティリティのオンライン・ヘルプを表示します。
構文および説明
HELP = [YES | NO]
HELP=YESが指定されている場合は、エクスポート・ユーティリティによって、そのすべてのコマンドライン・パラメータと対話方式コマンドの要約が表示されます。
例
> expdp HELP = YES
この例では、すべてのエクスポート・パラメータおよびコマンドの簡単な説明が表示されます。
2.4.29 INCLUDE
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのINCLUDEパラメータを使用すると、現行のエクスポート・モードにオブジェクトおよびオブジェクト型を指定して、エクスポート対象のメタデータをフィルタ処理できます。
デフォルト
デフォルトはありません
用途
現行のエクスポート・モードにオブジェクトとオブジェクト型を指定して、エクスポート対象のメタデータをフィルタ処理できます。指定したオブジェクトおよびこれらのオブジェクトのすべての依存オブジェクトがエクスポートされます。これらのオブジェクトに対する権限もエクスポートされます。
構文および説明
INCLUDE = object_type[:name_clause] [, ...]
object_typeは含めるオブジェクトのタイプを指定します。object_typeの有効な値のリストを表示するには、DATABASE_EXPORT_OBJECTS (全体モードの場合)、SCHEMA_EXPORT_OBJECTS (スキーマ・モードの場合)、TABLE_EXPORT_OBJECTS (表モードの場合)、TABLESPACE_EXPORT_OBJECTS (表領域モードの場合)、TRANSPORTABLE_EXPORT_OBJECTS (トランスポータブル表領域モードの場合)ビューを問い合せます。OBJECT_PATH列にリストされる値が有効なオブジェクト型です。
INCLUDE文で明示的に指定されたオブジェクト型とその依存オブジェクトのみがエクスポートされます。他のオブジェクト型(通常、DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASEロールを所有している場合にスキーマ・モード・エクスポートの一部となるスキーマ定義情報など)はエクスポートされません。
name_clauseは、オプションです。これを使用すると、あるオブジェクト型のうち、特定のオブジェクトをファイングレイン選択できます。その型のオブジェクト名に対するフィルタとして使用されるSQL式です。SQL演算子および指定した型のオブジェクト名の比較対象となる値で構成されています。このname_clauseは、名前付きのインスタンスを持つオブジェクト型にのみ適用されます(たとえば、TABLEには適用されますが、GRANTには適用されません)。それは、コロンでオブジェクト型と区切り、二重引用符(一重引用符は名前文字列を区切るために必要なため)で囲む必要があります。
name_clauseに指定する名前は、データベース内の既存のオブジェクトに、大文字と小文字も含めて完全に一致させる必要があります。たとえば、指定するname_clauseがEMPLOYEESという表に対するものだった場合は、すべてが大文字のEMPLOYEESという表が存在する必要があります。name_clauseに、Employees、employeesまたはその他のバリエーションを指定した場合、表は検出されません。
オペレーティング・システムによっては、このパラメータの値を引用符を使用して指定する場合、エスケープ文字を使用することも必要になる可能性があります。このパラメータはパラメータ・ファイルで指定することをお薦めします。パラメータ・ファイルを使用すると、コマンドラインでは入力する必要があるエスケープ文字の数を減らすことができます。
たとえば、次の内容のパラメータ・ファイルhr.parを作成したとします。
SCHEMAS=HR
DUMPFILE=expinclude.dmp
DIRECTORY=dpump_dir1
LOGFILE=expinclude.log
INCLUDE=TABLE:"IN ('EMPLOYEES', 'DEPARTMENTS')"
INCLUDE=PROCEDURE
INCLUDE=INDEX:"LIKE 'EMP%'"
この場合、コマンドラインで他のパラメータを入力しなくても、hr.parファイルを使用してエクスポート操作を開始できます。EMPLOYEESとDEPARTMENTS表、すべてのプロシージャおよびEMP接頭辞を持つすべての索引名が、エクスポートに含まれます。
> expdp hr PARFILE=hr.par制約の追加
指定したobject_typeがCONSTRAINTの場合は、制約の使用による影響に注意してください。
次の制約を明示的に含めることはできません。
-
NOT NULL制約 -
表を正常に作成およびロードするために必要な制約。たとえば、索引構成表に対して主キー制約を含めたり、
REF列を含む表に対してREF SCOPEおよびWITH ROWID制約を含めることはできません。
たとえば、次のINCLUDE文は、次のように解釈されます。
-
INCLUDE=CONSTRAINTでは、NOT NULL制約および表の正常な作成およびロードに必要な制約を除き、すべての制約(非参照)が含まれます。 -
INCLUDE=REF_CONSTRAINTには、参照整合性(外部キー)制約が含まれます。
同じコマンド内でINCLUDEとEXCLUDEの両方のパラメータを設定できます。
コマンドに両方のパラメータを含めると、Oracle Data Pumpにより、INCLUDEパラメータが最初に処理され、そのパラメータで識別されるすべてのオブジェクトが含まれます。その後で、除外パラメータが処理されます。EXCLUDEパラメータで指定されたオブジェクトは、含めるオブジェクトのリストからコマンドの実行時に削除されます。
制限事項
SYSスキーマが所有しているオブジェクトに対する権限はエクスポートされません。- Oracle Database 23ai以降では、オブジェクト
SQL_FIREWALLによるSQLファイアウォール・メタデータ(取得内容および許可リスト)のエクスポートがサポートされています。ただし、Oracle Data Pumpでは、既存のすべてのSQLファイアウォールの全体的なエクスポートまたはインポートがサポートされています。特定の取得内容または特定の許可リストのインポートやエクスポートはできません。
例
次の例では、hrスキーマのすべての表(およびその依存オブジェクト)をエクスポートします。
> expdp hr INCLUDE=TABLE DUMPFILE=dpump_dir1:exp_inc.dmp NOLOGFILE=YES2.4.30 JOB_NAME
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのJOB_NAMEパラメータにより、後続処理でのエクスポート・ジョブを指定します。
デフォルト
SYS_EXPORT_EXPORTまたはSQLFILE_mode_NNという書式のシステム生成による名前
用途
後続処理でのエクスポート・ジョブを指定する場合は、JOB_NAMEパラメータを使用します。たとえば、ATTACHパラメータを使用してジョブに接続する場合、JOB_NAMEパラメータを使用して、接続するジョブの名前を指定します。ビューDBA_DATAPUMP_JOBSまたはUSER_DATAPUMP_JOBSを使用することにより、JOB_NAMEを使用してジョブを指定することもできます。
構文および説明
JOB_NAME=jobname_string
jobname_stringには、エクスポート・ジョブの名前を、128バイト以内で指定します。これらのバイトは印字可能文字と空白を表します。名前にスペースやその他の英数字以外の文字(ハイフンなど)が含まれている場合は、名前を一重引用符で囲む必要があります。たとえば、'Thursday Export'、'Thursday-Export'のようにします。ジョブ名の制限事項の追加情報は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』でデータベース・オブジェクトの名前および修飾子の項目7を参照してください。ジョブ名は、エクスポート操作を実行しているユーザーのスキーマによって暗黙的に修飾されます。ジョブ名は、エクスポート・ジョブを制御するデータ・ポンプ制御インポート・ジョブ表の名前として使用されます。
デフォルトのジョブ名はSYS_EXPORT_mode_NNという形式で、システムによって生成されます。NNは、01から増加する2桁の整数に変換されます。デフォルト名は、'SYS_EXPORT_TABLESPACE_02'などです。
例
次に、ジョブ名exp_jobを割り当てるエクスポート操作の例を示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=exp_job.dmp JOB_NAME=exp_job
NOLOGFILE=YES2.4.31 KEEP_MASTER
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのKEEP_MASTERパラメータは、正常に完了したOracle Data Pumpジョブの最後に、データ・ポンプ制御ジョブ表を削除するか、保持するかを指定します。
デフォルト
NO
用途
正常に完了したOracle Data Pumpジョブの最後に、データ・ポンプ制御ジョブ表を削除するか保持するかを示します。データ・ポンプ制御ジョブ表は、正常に完了しなかったジョブに対して自動的に保持されます。
構文および説明
KEEP_MASTER=[YES | NO]
制限事項
-
なし
例
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=expdat.dmp SCHEMAS=hr KEEP_MASTER=YES2.4.32 LOGFILE
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのLOGFILEパラメータにより、エクスポート・ジョブのログ・ファイルの名前を指定し、オプションで、そのログ・ファイルのディレクトリを指定します。
デフォルト
export log。
用途
エクスポート・ジョブのログ・ファイルの名前を指定します。また、オプションで、そのログ・ファイルを格納するディレクトリを指定します。
構文および説明
LOGFILE=[directory_object:]file_name
directory_objectには、DBAによって作成済であるデータベースのディレクトリ・オブジェクトを指定できます(そのオブジェクトへのアクセス権がある場合)。この設定は、DIRECTORYパラメータに指定されたディレクトリ・オブジェクトよりも優先されます。
file_nameには、ログ・ファイル名を指定します。デフォルトでは、DIRECTORYパラメータで指定されたディレクトリ・オブジェクトが示すディレクトリに、export.logというファイルが作成されます。
処理中の作業、完了した作業および発生したエラーに関するすべてのメッセージがログ・ファイルに書き込まれます。(ジョブのリアルタイムの状態を把握するには、対話方式モードでSTATUSコマンドを使用します。)
NOLOGFILEパラメータを指定しないかぎり、エクスポート・ジョブには、常にログ・ファイルが作成されます。ダンプ・ファイル・セットと同様に、ログ・ファイルの基準となるのは、クライアントではなく、サーバーです。
ノート:
このパラメータで指定された名前と一致する名前の既存のファイルは、既存のファイル拡張子がlog、LOG、lstまたはLSTのいずれかである場合にのみ上書きされます。既存のファイル拡張子がこれらの拡張子のいずれとも一致しない場合は、ORA-02604: 「ファイルがすでに存在します」というメッセージが表示されます。ただし、一致する名前の既存のファイルが見つからない場合、ファイル拡張子の制限はありません。
制限事項
- Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)を使用してOracle Data Pump Exportを実行する場合は、
LOGFILEパラメータで、Oracle ASMの+表記法を指定するのではなくディレクトリ・オブジェクトを指定する必要があります。つまり、ログ・ファイルはディスク・ファイルに書き込まれ、Oracle ASMの記憶域には書き込まれません。かわりに、NOLOGFILE=YESを指定することもできます。ただし、NOLOGFILE=YESを指定すると、この設定によりログ・ファイルの書込みは行われません。
例
次の例に、デフォルトの名前を使用しない場合に、ログ・ファイル名を指定する方法を示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr.dmp LOGFILE=hr_export.logノート:
Oracle Data Pump Exportでは、ログ・ファイルの書き込みでデータベース文字セットが使用されます。クライアントのNLS_LANG環境設定がデータベースの文字セットと異なる文字セットの場合は、ログ・ファイル内の表の名前が、クライアントの出力画面に表示される名前と異なることがあります。
2.4.33 LOGTIME
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのLOGTIMEパラメータでは、エクスポート操作中に表示されるメッセージにタイムスタンプを付けることを指定します。
デフォルト
タイムスタンプは記録されません
用途
エクスポート操作中に表示されるメッセージにタイムスタンプを付けることを指定します。タイムスタンプを使用して、データ・ポンプ操作の異なるフェーズ間の経過時間を計算できます。この情報は、パフォーマンス問題を診断する場合や、将来の同じような操作の時間を見積もる場合に役立ちます。
構文および説明
LOGTIME=[NONE | STATUS | LOGFILE | ALL]
使用可能なオプションの定義は次のとおりです。
NONE: ステータス・メッセージまたはログ・ファイル・メッセージにタイムスタンプを付けません(デフォルトと同じ)。STATUS: ステータス・メッセージにのみタイムスタンプを付けます。LOGFILE: ログ・ファイル・メッセージにのみタイムスタンプを付けます。ALL: ステータス・メッセージとログ・ファイル・メッセージの両方にタイムスタンプを付けます。
制限事項
LOGFILEで指定されたファイルが存在し、ファイル名で複数のドット(具体的には、複合接尾辞)を使用しているなどで、Data Pump LOGFILEとして識別されない場合は、上書きできません。別のファイル名を指定する必要があります。
例
次の例では、エクスポート操作中に表示されるすべてのステータス・メッセージとログ・ファイル・メッセージにタイムスタンプを記録します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=expdat.dmp SCHEMAS=hr LOGTIME=ALL
出力は、次のようになります。
10-JUL-12 10:12:22.300: Starting "HR"."SYS_EXPORT_SCHEMA_01": hr/********
directory=dpump_dir1 dumpfile=expdat.dmp schemas=hr logtime=all
10-JUL-12 10:12:22.915: Estimate in progress using BLOCKS method...
10-JUL-12 10:12:24.422: Processing object type SCHEMA_EXPORT/TABLE/TABLE_DATA
10-JUL-12 10:12:24.498: Total estimation using BLOCKS method: 128 KB
10-JUL-12 10:12:24.822: Processing object type SCHEMA_EXPORT/USER
10-JUL-12 10:12:24.902: Processing object type SCHEMA_EXPORT/SYSTEM_GRANT
10-JUL-12 10:12:24.926: Processing object type SCHEMA_EXPORT/ROLE_GRANT
10-JUL-12 10:12:24.948: Processing object type SCHEMA_EXPORT/DEFAULT_ROLE
10-JUL-12 10:12:24.967: Processing object type SCHEMA_EXPORT/TABLESPACE_QUOTA
10-JUL-12 10:12:25.747: Processing object type SCHEMA_EXPORT/PRE_SCHEMA/PROCACT_SCHEMA
10-JUL-12 10:12:32.762: Processing object type SCHEMA_EXPORT/SEQUENCE/SEQUENCE
10-JUL-12 10:12:46.631: Processing object type SCHEMA_EXPORT/TABLE/TABLE
10-JUL-12 10:12:58.007: Processing object type SCHEMA_EXPORT/TABLE/GRANT/OWNER_GRANT/OBJECT_GRANT
10-JUL-12 10:12:58.106: Processing object type SCHEMA_EXPORT/TABLE/COMMENT
10-JUL-12 10:12:58.516: Processing object type SCHEMA_EXPORT/PROCEDURE/PROCEDURE
10-JUL-12 10:12:58.630: Processing object type SCHEMA_EXPORT/PROCEDURE/ALTER_PROCEDURE
10-JUL-12 10:12:59.365: Processing object type SCHEMA_EXPORT/TABLE/INDEX/INDEX
10-JUL-12 10:13:01.066: Processing object type SCHEMA_EXPORT/TABLE/CONSTRAINT/CONSTRAINT
10-JUL-12 10:13:01.143: Processing object type SCHEMA_EXPORT/TABLE/INDEX/STATISTICS/INDEX_STATISTICS
10-JUL-12 10:13:02.503: Processing object type SCHEMA_EXPORT/VIEW/VIEW
10-JUL-12 10:13:03.288: Processing object type SCHEMA_EXPORT/TABLE/CONSTRAINT/REF_CONSTRAINT
10-JUL-12 10:13:04.067: Processing object type SCHEMA_EXPORT/TABLE/TRIGGER
10-JUL-12 10:13:05.251: Processing object type SCHEMA_EXPORT/TABLE/STATISTICS/TABLE_STATISTICS
10-JUL-12 10:13:06.172: . . exported "HR"."EMPLOYEES" 17.05 KB 107 rows
10-JUL-12 10:13:06.658: . . exported "HR"."COUNTRIES" 6.429 KB 25 rows
10-JUL-12 10:13:06.691: . . exported "HR"."DEPARTMENTS" 7.093 KB 27 rows
10-JUL-12 10:13:06.723: . . exported "HR"."JOBS" 7.078 KB 19 rows
10-JUL-12 10:13:06.758: . . exported "HR"."JOB_HISTORY" 7.164 KB 10 rows
10-JUL-12 10:13:06.794: . . exported "HR"."LOCATIONS" 8.398 KB 23 rows
10-JUL-12 10:13:06.824: . . exported "HR"."REGIONS" 5.515 KB 4 rows
10-JUL-12 10:13:07.500: Master table "HR"."SYS_EXPORT_SCHEMA_01" successfully loaded/unloaded
10-JUL-12 10:13:07.503: ******************************************************************************2.4.34 METRICS
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのMETRICSパラメータでは、ジョブに関する詳細情報をデータ・ポンプ・ログ・ファイルに記録するかどうかを指定します。
デフォルト
NO
用途
ジョブに関する詳細情報をデータ・ポンプ・ログ・ファイルに記録するかどうかを示します。
構文および説明
METRICS=[YES | NO]
METRICS=YESを使用すると、オブジェクト数および経過時間がデータ・ポンプ・ログ・ファイルに記録されます。
制限事項
なし
例
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=expdat.dmp SCHEMAS=hr METRICS=YES2.4.35 NETWORK_LINK
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのNETWORK_LINKパラメータを使用すると、有効なデータベース・リンクで識別された(ソース)データベースからエクスポートできます。
デフォルト
デフォルトはありません
用途
有効なデータベース・リンクによって指定される(ソース)データベースからのエクスポートを使用可能にします。ソース・データベース・インスタンスのデータは、接続されたデータベース・インスタンスのダンプ・ファイル・セットに書き込まれます。
構文および説明
NETWORK_LINK=source_database_link
NETWORK_LINKパラメータは、データベース・リンクを使用してエクスポートを開始します。このエクスポート設定では、expdpクライアントの接続先となるシステムから、source_database_linkで指定されたソース・データベースに接続し、そこからデータを取り出して、接続されたシステムのダンプ・ファイル・セットに書き込みます。
source_database_linkには、使用可能なデータベースへのデータベース・リンク名を指定する必要があります。対象インスタンスのデータベースにデータベース・リンクが指定されていない場合、ユーザーまたはDBAが、SQL CREATE DATABASE LINK文を使用してデータベース・リンクを作成する必要があります。
ソース・データベースが読取り専用の場合、ソース・データベースのユーザーは、デフォルト一時表領域として割り当てられたローカル管理一時表領域を持つ必要があります。それ以外の場合、ジョブは失敗します。Oracle Data Pumpジョブを実行しているデータベースには、タイムゾーン(TSTZ)バージョンを含む独自のタイムスタンプがあります。このバージョンは、ソース・データベースと同じバージョンである場合とそうでない場合があります。バージョンが異なる場合、エクスポート・ジョブは、エクスポート・ジョブが実行されているターゲット・データベースのTSTZバージョンと互換性があるようにソース・データを変換します。
データ・ポンプ・エクスポートでは、次のタイプのデータベース・リンクの使用がサポートされています。
- パブリック固定ユーザー
- パブリック接続ユーザー
- パブリック共有ユーザー(リンク所有者により使用される場合のみ)
- プライベート共有ユーザー(リンク所有者により使用される場合のみ)
- プライベート固定ユーザー(リンク所有者により使用される場合のみ)
注意:
暗号化されていないネットワーク・リンクを介してエクスポート操作が行われる場合、すべてのデータはクリア・テキストとしてエクスポートされます。これは、データがデータベースで暗号化されている場合でも同様です。厳密認証でのネットワーク・セキュリティの詳細は、Oracle Databaseセキュリティ・ガイドを参照してください。
制限事項
-
データ・ポンプ・エクスポートでは、次のタイプのデータベース・リンクの使用はサポートされていません。
-
プライベート接続ユーザー
-
現在のユーザー
-
-
データ・ポンプ操作がネットワーク・リンクを介して行われる場合、ソース・データベースとターゲット・データベースのバージョンの差違が2バージョン以下である必要があります。たとえば、一方のデータベースがOracle Database 12cの場合、他方のデータベースは12c、11gまたは10gである必要があります。データ・ポンプがチェックするのはメジャー・バージョン番号のみ(10g、11g、12cなど)で、具体的なリリース番号(12.1、12.2、11.1、11.2、10.1、10.2など)ではありません。
-
全体トランスポータブル・エクスポートを使用してネットワークを介してデータベースを転送する場合、監査証跡情報自体がユーザー定義の表領域に格納されていると、管理表領域(
SYSTEMやSYSAUXなど)に格納された表に対して監査を有効にすることはできません。 -
NETWORK_LINKパラメータも使用されていると、メタデータはパラレルでエクスポートまたはインポートできなくなります
例
次に、NETWORK_LINKパラメータを使用した構文例を示します。変数source_database_linkを、すでに存在する必要がある有効なデータベース・リンクの名前に置き換えます。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 NETWORK_LINK=source_database_link
DUMPFILE=network_export.dmp LOGFILE=network_export.log
2.4.36 NOLOGFILE
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのNOLOGFILEパラメータにより、ログ・ファイルを作成するかどうかを指定します。
デフォルト
NO
用途
ログ・ファイルを作成するかどうかを指定します。
構文および説明
NOLOGFILE=[YES | NO]
デフォルトでログ・ファイルを作成しないようにするには、NOLOGFILE=YESを指定します。ただし、進捗とエラーに関する情報は、接続されているいずれかのクライアント(元のエクスポート操作を開始したクライアントを含む)の標準出力デバイスに書き込まれます。実行中のジョブに接続されているクライアントが存在しないときにNOLOGFILE=YESを指定すると、重要な進捗情報およびエラー情報が失われる危険性があります。
例
次に、NOLOGFILEパラメータの使用例を示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr.dmp NOLOGFILE=YES
このコマンドによって、ログ・ファイルの書込みを行わないスキーマ・モード・エクスポート(デフォルト),が実行されます。
2.4.37 PARALLEL
Oracle Data Pumpのエクスポート・コマンドライン・ユーティリティのPARALLELパラメータでは、エクスポート・ジョブのために動作するアクティブな実行プロセスの最大数を指定します。
デフォルト
1
用途
エクスポート・ジョブのために動作するアクティブな実行プロセスの最大数を指定します。この実行セットは、ワーカー・プロセスとパラレル入出力(I/O)サーバー・プロセスの組合せで構成されます。パラレル問合せ操作で問合せコーディネータとして機能するデータ・ポンプ制御プロセスおよびワーカー・プロセスは、この合計にカウントされません。
このパラメータを使用して、リソース消費と経過時間のバランスをとることができます。
構文および説明
PARALLEL=integer
integerに指定する値は、ダンプ・ファイル・セット内のファイル数以下にする必要があります(または、ダンプ・ファイル指定に%Uまたは%L置換変数を指定する必要があります)。アクティブなワーカー・プロセッサI/Oサーバー・プロセスは、1つのファイルに対してそれぞれが同時に排他的に書込みを行うため、ファイル数が不足していると、逆効果になります。たとえば、ファイルの待機中に、一部のワーカー・プロセスがアイドル状態になる可能性があるため、そのジョブの全体的なパフォーマンスが低下します。また、パラレルI/Oサーバー・プロセスを共有で実行しているメンバーが出力用ファイルを取得できない場合は、ORA-39095エラーを返してエクスポート操作が停止します。いずれの場合も、データ・ポンプ・エクスポート・ユーティリティを使用してジョブに接続することによって、問題を解決できます。接続後、対話方式モードで、ADD_FILEコマンドを使用してファイルを追加し、ジョブが停止した場合は、ジョブを再開します。
ジョブの実行中にPARALLELの値を増減するには、対話方式コマンド・モードを使用します。並列度を下げても、ジョブに関連付けられたワーカー・プロセスは減少しません。任意の時点で実行されるワーカー・プロセスの数が減少します。また、プロセス数が減少する前に、継続中の処理が適正な完了ポイントに到達する必要があります。そのため、値を小さくした効果の確認に時間がかかる場合があります。アイドル状態のワーカー・プロセスは、ジョブが終了するまで削除されません。
パラレル実行できる処理が存在する場合、並列度の増加はすぐに反映されます。
Oracle RAC環境でのエクスポートにおけるPARALLELの使用
Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境内でPARALLEL=1としてエクスポート操作を実行すると、すべてのOracle Data Pumpプロセスは、ジョブが開始されたインスタンス上に配置されます。そのため、ディレクトリ・オブジェクトは、そのインスタンスのローカル記憶域を示すことができます。
PARALLELを1より大きな値に設定してエクスポート操作を実行する場合は、ジョブが開始されたインスタンス以外のインスタンスにもOracle Data Pumpプロセスを置くことができます。したがって、ディレクトリ・オブジェクトは、すべてのOracle RACクラスタ・メンバーからアクセス可能な共有記憶域を指している必要があります。
制限事項
-
このパラメータは、Oracle Database 11g以上のEnterprise Editionでのみ有効です。
-
パラレルで(パラレル問合せまたはPQワーカー・プロセスを使用して)表または表パーティションをエクスポートするには、
DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASEロールが必要です。 -
トランスポータブル表領域のメタデータは、パラレルでエクスポートできません。
NETWORK_LINKパラメータも使用されていると、メタデータはパラレルでエクスポートできなくなります。- 次のオブジェクトはパラレルでエクスポートできません。
TRIGGERVIEWOBJECT_GRANTSEQUENCECONSTRAINTREF_CONSTRAINT
例
次に、PARALLELパラメータの使用例を示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 LOGFILE=parallel_export.log
JOB_NAME=par4_job DUMPFILE=par_exp%u.dmp PARALLEL=4
この例では、hrスキーマのスキーマ・モード・エクスポート(デフォルトのモード)が実行され、ディレクトリ・オブジェクトdpump_dir1に指定されたパスに、最大で4つのファイルが作成されます。
2.4.38 PARALLEL_THRESHOLD
Oracle Data Pumpのエクスポート・コマンドライン・ユーティリティのPARALLEL_THRESHOLDパラメータでは、表サイズに基づいてデータ・ポンプが潜在的なパラレルDMLを計算するために使用する除数のサイズを指定します。
デフォルト
250MB
用途
PARALLEL_THRESHOLDは、単一の非パーティション表のエクスポート・ジョブまたはインポート・ジョブ、あるいはパーティション表の1つのパーティションでのみ使用する必要があります。ジョブでPARALLELを指定する場合、PARALLEL_THRESHOLDを指定して、インポートおよびエクスポート時にパラレル・データ操作文(PDML)を使用して表をエクスポートまたはインポートする必要があるかどうかをOracle Data Pumpが判断するために使用する除数のサイズを変更できます。デフォルトより小さい値を指定すると、より小さい表サイズでOracle Data Pumpのパラレル・アルゴリズムを使用できます。たとえば、100MBの表があり、PDML 5を使用して5単位に分割する場合は、PARALLEL_THRESHOLD=20Mを指定します。オプティマイザによってSQLに対して生成されるデータベース、オプティマイザおよび実行計画は、ジョブで指定されたオブジェクトのロードまたはアンロードに使用される実際の並列度を決定することに注意してください。
構文および説明
パラメータ値は、しきい値サイズをバイト単位で指定します。
PARALLEL_THRESHOLD=size-in-bytes
単一の表のエクスポートまたはインポートで、より高い並列度が必要な場合は、小さい表または表パーティションの並列度を利用するために、PARALLEL_THRESHOLDを小さい値に設定できます。ただし、このリソース割当ての利点は、ロードまたはアンロード先となるファイル・システムのI/Oのパフォーマンスによって制限される可能性があります。また、表とメタデータ・オブジェクトの両方について、ジョブに複数のオブジェクトが含まれている場合、PARALLELおよびPARALLEL_THRESHOLDで指定されたPQ割当て要求の値は制限されます。表に割り当てられるPQプロセスの実際の量は、Oracle Data Pumpが同時に実行している操作の数の影響を受けており、並列度が共有される必要があります。オプティマイザによってSQLに対して生成されるデータベース、オプティマイザおよび実行計画は、ジョブで指定されたオブジェクトのロードまたはアンロードに使用される実際の並列度を決定します。
このパラメータを使用して、特定のデータ移動の問題を支援できます。たとえば:
- Oracle Data Pumpを使用して、あるデータベースの大きな表を別のデータベースのより大きな表にロードする場合。考えられるユースケースの1つ: OLTPデータベースからレポートまたはビジネス分析のデータ・ウェアハウス・データベースに週次売上データをアップロードします。
- 単一の大きな表をエクスポートするが、最近RDBMS統計を収集していない場合。デフォルト・サイズは表の統計から決定されます。ただし、統計が古い(または一度も実行されていない)と仮定します。その場合、Oracle Data Pumpが使用する値は、表の実際のサイズより小さい可能性があります。このようなケースを補正するには、
parallel_threshold値を小さく指定して、並列度(しきい値量で割った表サイズ)のアルゴリズムによって、より適切な並列度の値が得られるようにします。
制限事項
PARALLEL_THRESHOLDは、PARALLELパラメータに1より大きい値が指定されている場合にのみ、組み合せて使用されます。
例
次に、PARALLEL_THRESHOLDパラメータを使用して表table_to_use_PDMLをエクスポートする例を示します。ここでは、PQプロセスの除数のサイズは1 KBに設定され、変数userおよびuser-passwordはエクスポートを実行しているユーザーのユーザーおよびパスワード(expdp)であり、ジョブ名はparathresh_exampleです。
expdp user/user-password \
directory=dpump_dir \
dumpfile=parathresh_example.dmp
tables=table_to_use_PDML \
parallel=8 \
parallel_threshold=1K \
job_name=parathresh_example
2.4.39 PARFILE
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのPARFILEパラメータは、エクスポート・パラメータ・ファイルの名前を指定します。
デフォルト
デフォルトはありません
用途
parfileとも呼ばれるエクスポート・パラメータ・ファイルの名前を指定します。
構文および説明
PARFILE=[directory_path]file_name
パラメータ・ファイルを使用すると、ファイル内のOracle Data Pumpパラメータを指定できます。その後、個々のコマンドをすべて入力するかわりに、コマンドラインでそのファイルを指定できます。このパラメータ・ファイルを使用すると、同じパラメータの組合せを何度も使用する場合に便利です。値の指定に引用符が必要なパラメータを使用する場合も、パラメータ・ファイルを使用することをお薦めします。
パラメータ・ファイルには、ディレクトリ・オブジェクトを指定しません。サーバーによって作成されて書き込まれるダンプ・ファイル、ログ・ファイルおよびSQLファイルとは異なり、パラメータ・ファイルはexpdpクライアントによって開かれて読み取られるため、ディレクトリ・オブジェクトを指定しません。パラメータ・ファイルのデフォルトの場所は、ユーザーのカレント・ディレクトリです。
パラメータ・ファイル内では、カンマはすべての改行文字に暗黙的に含まれるため、各行の最後にカンマを入力する必要はありません。長い表名など、折返しを含む長い行がある場合、現在の行の最後にバックスラッシュ継続文字(\)を入力して次の行に継続します。
パラメータ・ファイルの内容がデータ・ポンプ・ログ・ファイルに書き込まれます。
制限事項
PARFILEパラメータは、パラメータ・ファイル内には指定できません。
例
サンプルのパラメータ・ファイルhr.parの内容が次のとおりであるとします。
SCHEMAS=HR
DUMPFILE=exp.dmp
DIRECTORY=dpump_dir1
LOGFILE=exp.log
このパラメータ・ファイルを指定するには、次のExportコマンドを実行します:
> expdp hr PARFILE=hr.par2.4.40 QUERY
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのQUERYパラメータを使用すると、エクスポート対象となるデータをフィルタ処理するために使用する問合せ句を指定できます。
デフォルト
デフォルトはありません。
用途
エクスポート対象となるデータをフィルタ処理するために使用する問合せ句を指定できます。
構文および説明
QUERY = [schema.][table_name:] query_clause
通常、query_clauseでは、ファイングレイン行選択のためのSQL WHERE句を使用しますが、任意のSQL句を使用できます。たとえば、ORDER BY句を使用すると、ヒープ構成表から索引構成表への移行を高速化できます。スキーマおよび表名を指定しなかった場合は、エクスポート・ジョブ内のすべての表に問合せが適用されます(この場合、問合せは、これらのすべての表に対して有効である必要があります)。表固有の問合せは、すべての表に適用される問合せより優先されます。
特定の表に問合せを適用する場合は、表名と問合せ句をコロンで区切る必要があります。表固有の問合せは複数指定できますが、1つの表に指定できるのは1つの問合せのみです。
QUERYパラメータと一緒にNETWORK_LINKパラメータを指定する場合、リモート(ソース)ノード上にあるquery_clauseで指定されるすべてのオブジェクトは、NETWORK_LINK値で明示的に修飾する必要があります。それ以外の場合、データ・ポンプではオブジェクトがローカル(ターゲット)ノード上に存在することを前提とし、存在しない場合はエラーが返され、リモート(ソース)システムからの表のインポートは失敗します。
たとえば、NETWORK_LINK=dblink1と指定した場合、QUERYパラメータのquery_clauseは、次の例に示すようにそのリンクを指定する必要があります。
QUERY=(hr.employees:"WHERE last_name IN(SELECT last_name
FROM hr.employees@dblink1)")
使用しているオペレーティング・システムによっては、このパラメータの値を引用符とともに指定する際に、エスケープ文字を使用することが必要になる場合もあります。このパラメータはパラメータ・ファイルで指定することをお薦めします。パラメータ・ファイルを使用すると、コマンドラインでは必要なエスケープ文字の数を減らすことができます。
表固有の問合せで自分のスキーマ以外のスキーマを指定するには、その特定の表に対するアクセス権限が付与されている必要があります。
制限事項
-
QUERYパラメータは次のパラメータとは併用できません。-
CONTENT=METADATA_ONLY -
ESTIMATE_ONLY -
TRANSPORT_TABLESPACES
-
-
表に
QUERYパラメータが指定されている場合、データ・ポンプは外部表を使用してターゲット表をアンロードします。外部表は、SQLのCREATE TABLE AS SELECT文を使用します。QUERYパラメータの値は、CREATE TABLE文のSELECT部分にあるWHERE句です。QUERYパラメータにアンロードする表と一致する名前の列がある他の表への参照が含まれていて、これらの列が問合せで使用される場合は、表別名を使用して、アンロードする表内の列と、SELECT文内の同じ名前を持つ列を区別する必要があります。アンロードする表に対してデータ・ポンプで使用される表別名は、KU$です。たとえば、
sh.customers表にある顧客のクレジットの上限に基づいてsh.sales表のサブセットをエクスポートするとします。次の例では、KU$を使用して、sh.salesをアンロードするためにQUERYパラメータ内のcust_idフィールドを修飾します。この結果、データ・ポンプによって、クレジットの上限が$10,000を超える顧客の行のみがエクスポートされます。QUERY='sales:"WHERE EXISTS (SELECT cust_id FROM customers c WHERE cust_credit_limit > 10000 AND ku$.cust_id = c.cust_id)"'次の問合せでは、表別名に
KU$は使用されません。その結果、すべての行がアンロードされます。QUERY='sales:"WHERE EXISTS (SELECT cust_id FROM customers c WHERE cust_credit_limit > 10000 AND cust_id = c.cust_id)"'
-
QUERY文字列で使用できる最大長は4000バイトで、引用符が含まれます。この制限事項は、許容される実際の最大長は3998バイトであることを意味します。
例
次に、QUERYパラメータの使用例を示します。
> expdp hr PARFILE=emp_query.par
emp_query.parファイルの内容は次のとおりです。
QUERY=employees:"WHERE department_id > 10 AND salary > 10000"
NOLOGFILE=YES
DIRECTORY=dpump_dir1
DUMPFILE=exp1.dmp
この例では、hrスキーマのすべての表がアンロードされます。ただし、アンロードされるのは、問合せ式に適合する行のみです。この場合、hrスキーマ内のすべての表(employeesを除く)のすべての行がアンロードされます。employees表に対しては、問合せ基準を満たす行のみがアンロードされます。
2.4.41 REMAP_DATA
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのREMAP_DATAパラメータを使用すると再マップ・ファンクションを指定できます。これにより、指定した列の元の値をソースとして再マップした値を返し、ダンプ・ファイル内の元の値をこの値に置き換えます。
デフォルト
デフォルトはありません
用途
REMAP_DATAパラメータを使用すると再マップ・ファンクションを指定できます。これにより、指定した列の元の値をソースとして再マップした値を返し、ダンプ・ファイル内の元の値をこの値に置き換えます。このオプションは、一般的に、本番システムからテスト・システムへ移動するときにデータをマスクするために使用されます。たとえば、クレジット・カード番号などの顧客の機密データの列を、REMAP_DATAファンクションで生成された番号に置き換えることができます。機密データを数値に置換することで、重要な書式設定および処理特性を、権限のない担当者に個人データを公開することなく保持できます。
同じファンクションを、ダンプされる複数の列に適用できます。このファンクションは、参照制約で子と親両方の列を再マップするときに整合性を保つ必要がある場合に役立ちます。
構文および説明
REMAP_DATA=[schema.]tablename.column_name:[schema.]pkg.function
次に、各構文要素の説明を構文で出現する順に示します。
schema: 再マップする表を含むスキーマ。デフォルトでは、これはエクスポートを実行するユーザーのスキーマです。
tablename: 列が再マップされる表。
column_name: データが再マップされる列。
schema: 再マップ・ファンクションを含むユーザー作成のPL/SQLパッケージを含むスキーマ。デフォルトでは、これはエクスポートを実行するユーザーのスキーマです。
pkg: 再マップ・ファンクションを含むユーザー作成のPL/SQLパッケージの名前。
function: 指定した表の各行で、列表を再マップする場合にコールされるPL/SQL内のファンクションの名前。
制限事項
-
ソース引数および戻り値のデータ型とサイズはともに、表内の指定した列のデータ型とサイズ一致している必要があります。
-
再マップ・ファンクションでは、自律型トランザクション以外のコミットまたはロール・バックを実行できません。
-
REMAP_DATAパラメータの値としてのシノニムの使用はサポートされていません。たとえば、hrスキーマ内のregions表にregnのシノニムがある場合は、regnをREMAP_DATA仕様の一部として指定した場合にエラーが返されます。 -
リモート表のLOB列データの再マップはサポートされていません。
-
REMAP_DATAでは、ユーザー定義タイプ、ユーザー定義タイプの属性、LONG、REF、VARRAY、ネストした表、BFILEおよびXMLtypeのタイプの列はサポートされていません。
例
次の例では、minus10およびplusxという名前のファンクションが含まれたremapという名前のパッケージが作成されていることを前提としています。これらのファンクションは、employees表のemployee_idおよびfirst_nameの値を変更します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=remap1.dmp TABLES=employees
REMAP_DATA=hr.employees.employee_id:hr.remap.minus10
REMAP_DATA=hr.employees.first_name:hr.remap.plusx 2.4.42 REUSE_DUMPFILES
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのREUSE_DUMPFILESパラメータでは、既存のダンプ・ファイルを上書きするかどうかを指定します。
デフォルト
NO
用途
すでに存在しているダンプ・ファイルを上書きするかどうかを指定します。
構文および説明
REUSE_DUMPFILES=[YES | NO]
通常、データ・ポンプ・エクスポートは、すでに存在するダンプ・ファイル名を指定するとエラーを返します。REUSE_DUMPFILESパラメータを使用すると、動作を変更してダンプ・ファイル名を再利用できます。たとえば、DUMPFILE=hr.dmpおよびREUSE_DUMPFILES=YESを指定してエクスポートを実行すると、hr.dmpは、すでに存在する場合には上書きされます。前の内容は消去され、かわりに現行のエクスポートのデータが格納されます。
Oracle Database 23ai以降、エクスポートにREUSE_DUMPFILES=YESを設定すると、Data Pump Exportは、DUMPFILEで指定されたファイルが実際にOracle Data Pumpダンプ・ファイルであることを確認し、上書きを許可します。ダンプ・ファイルをOracle Data Pump (expdp)ダンプ・ファイルとして検証できない場合は、ORA-31619: ダンプ・ファイルが無効ですというメッセージが表示されます。
例
次のエクスポート操作では、enc1.dmpという名前のダンプ・ファイルが作成されます。これは、この名前の付いたダンプ・ファイルがすでに存在する場合でも同様です。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=enc1.dmp
TABLES=employees REUSE_DUMPFILES=YES2.4.43 SAMPLE
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのSAMPLEパラメータでは、ソース・データベースからサンプリングおよびアンロードするデータ行の割合を指定します。
デフォルト
デフォルトはありません。
用途
ソース・データベースからサンプリングおよびアンロードするデータ行の割合を指定します。
構文および説明
SAMPLE=[[schema_name.]table_name:]sample_percent
このパラメータを使用すると、サンプリングしてエクスポートするデータの割合を指定し、データのサブセットをエクスポートできます。sample_percentは、行がサンプルの一部として選択される可能性を示します。ただし、指定した正確な行数が表から取り出されるわけではありません。sample_percentには、0.000001から100未満の任意の数を指定できます。
特定の表にsample_percentを適用できます。次の例では、HR.EMPLOYEES表の50%がエクスポートされます。
SAMPLE="HR"."EMPLOYEES":50
スキーマを指定する場合は、表も指定する必要があります。ただし、スキーマを指定せずに表を指定できます。このシナリオでは、現在のユーザーが想定されます。表の指定がない場合は、エクスポート・ジョブ全体にsample_percent値が適用されます。
このパラメータとデータ・ポンプ・インポートのPCTSPACE変換を組み合せて使用すると、記憶域の割当てサイズをサンプリングされたデータ・サブセットに合わせることができます。(詳細は、インポートのTRANSFORMパラメータを参照してください)。
制限事項
-
SAMPLEパラメータは、ネットワークのエクスポートに対して無効です。
例
次の例では、表の名前が指定されていないため、全体のエクスポート・ジョブにSAMPLE値70が適用されます。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=sample.dmp SAMPLE=70関連トピック
2.4.44 SCHEMAS
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのSCHEMASパラメータでは、スキーマ・モード・エクスポートを実行することを指定します。
デフォルト
現在のユーザーのスキーマ
用途
スキーマ・モード・エクスポートの実行を指定します。これは、エクスポートのデフォルトのモードです。
構文および説明
SCHEMAS=schema_name [, ...]
DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASEロールがある場合、自分のスキーマ以外の単一のスキーマまたはスキーマ名のリストを指定できます。DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASEロールでは、インポート時にスキーマを再作成できるように、指定した各スキーマのスキーマ・オブジェクト以外の補足情報をエクスポートすることもできます。この補足情報には、ユーザー定義、関連するすべてのシステムおよびロールの権限、ユーザー・パスワードの履歴などが含まれます。スキーマ・モードを使用したエクスポート対象を、フィルタ処理によってさらに制限できます。
制限事項
-
DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASEロールを持っていない場合は、自分のスキーマのみ指定できます。 -
SYSスキーマは、エクスポート・ジョブのソース・スキーマとして使用できません。
例
次に、SCHEMASパラメータの使用例を示します。前述の例でDATAPUMP_EXP_FULL_DATABASEロールがすでに割り当てられているため、ユーザーhrが複数のスキーマを指定できることに注意してください。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=expdat.dmp SCHEMAS=hr,sh,oe
このコマンドで、スキーマ・モード・エクスポートが実行され、dpump_dir1ディレクトリにあるexpdat.dmpダンプ・ファイルに、スキーマhr、shおよびoeが書き込まれます。
関連トピック
2.4.45 SERVICE_NAME
Oracle Data Pumpエクスポートのコマンドライン・ユーティリティのSERVICE_NAMEパラメータは、CLUSTERパラメータと組み合せることで使用するサービス名を指定します。
デフォルト
デフォルトはありません。
用途
CLUSTERパラメータと組み合せることで使用するサービス名を指定します。
構文および説明
SERVICE_NAME=name
SERVICE_NAMEパラメータをCLUSTER=YESパラメータとともに使用して、リソース・グループに属しているOracle Real Application Clusters (Oracle RAC)インスタンスのセットを定義するリソース・グループに関連付けられている、既存のサービスを指定できます。通常、リソース・グループはすべてのOracle RACインスタンスのサブセットです。
サービス名は、リソース・グループおよびそのリソース・グループに対して定義されたインスタンスを決定する目的でのみ使用されます。ジョブが開始されたインスタンスは、そのインスタンスがリソース・グループに含まれているかどうかとは関係なく、常に使用されます。
CLUSTER=NOも指定した場合、SERVICE_NAMEパラメータは無視されます
インスタンスA、B、CおよびDを含むOracle RAC構成があります。インスタンスA、BおよびCのみで構成されるリソース・グループを持つmy_serviceというサービスが存在するとします。そのような場合は、次の内容が成立します。
-
Oracle Data PumpジョブをインスタンスAで開始したときに、
CLUSTER=YESを指定し(またはデフォルトのYをそのまま使用し)、SERVICE_NAMEパラメータを指定しなかった場合、Oracle Data Pumpは、指定されている並列度に応じて、すべてのインスタンス(A、B、CおよびD)にワーカーを作成します。 -
データ・ポンプ・ジョブをインスタンスAで開始し、
CLUSTER=YES,およびSERVICE_NAME=my_serviceを指定した場合、ワーカーは、インスタンスA、BおよびCのみで開始可能です。 -
データ・ポンプ・ジョブをインスタンスDで開始し、
CLUSTER=YES,およびSERVICE_NAME=my_serviceを指定した場合、ワーカーは、インスタンスA、B、CおよびDのみで開始可能です。インスタンスDはmy_serviceに存在しませんが、インスタンスDはジョブが開始されたインスタンスであるため含まれています。 -
データ・ポンプ・ジョブをインスタンスAで開始し、
CLUSTER=NOを指定した場合、SERVICE_NAMEパラメータを指定しても無視されます。すべてのプロセスは、インスタンスAで開始されます。
例
次に、SERVICE_NAMEパラメータの使用例を示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=hr_svname2.dmp SERVICE_NAME=sales
この例では、hrスキーマのスキーマ・モード・エクスポート(デフォルト・モード)を実行します。コマンドラインではCLUSTER=YESは指定されていませんが、それはデフォルトの動作なので、ジョブではサービス名salesに関連付けられたリソース・グループのすべてのインスタンスが使用されます。hr_svname2.dmpという名前のダンプ・ファイルが、ディレクトリ・オブジェクトdpump_dir1で指定された場所に書き込まれます。
関連トピック
2.4.46 SOURCE_EDITION
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのSOURCE_EDITIONパラメータでは、オブジェクトのエクスポート元のデータベース・エディションを指定します。
デフォルト: システム上のデフォルトのデータベース・エディション
用途
オブジェクトのエクスポート元のデータベース・エディションを指定します。
構文および説明
SOURCE_EDITION=edition_name
SOURCE_EDITION=edition_nameを指定すると、そのエディションのオブジェクトがエクスポートされます。データ・ポンプは、変更されずに継承されているすべてのオブジェクトと、変更されているすべての実際のオブジェクトを選択します。
このパラメータが指定されていない場合は、デフォルトのエディションが使用されます。指定されたエディションが存在しない場合や使用できない場合は、エラー・メッセージが返されます。
制限事項
-
このパラメータは、バージョニング可能な同じオブジェクトのバージョンがデータベース内に2つ以上ある場合にのみ有効です。
-
ジョブ・バージョンは、
11.2以上である必要があります。
例
次に、SOURCE_EDITIONパラメータの使用例を示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=exp_dat.dmp SOURCE_EDITION=exp_edition EXCLUDE=USER
この例は、オブジェクトのエクスポート元となるexp_editionというエディションがシステム上に存在することを前提としています。エクスポート・モードは指定されていないため、デフォルトのスキーマ・モードが使用されます。EXCLUDE=userパラメータは、ユーザーの定義のみを除外します。ユーザーのスキーマに含まれるオブジェクトは除外されません。
2.4.47 STATUS
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのSTATUSパラメータでは、ジョブの状態の表示が更新される頻度を指定します。
デフォルト
0
用途
ジョブ状態の表示が更新される頻度を指定します。
構文および説明
STATUS=[integer]
integerに値を入力すると、ロギング・モードでジョブの状態を表示する頻度を秒単位で指定できます。値を入力しなかった場合またはデフォルト値の0を使用した場合、各オブジェクト型、表またはパーティションの完了に関する情報のみ表示されます。
この状態情報は、標準出力デバイスのみに書き込まれ、ログ・ファイルには(使用可能な場合でも)書き込まれません。
例
次に、STATUSパラメータの使用例を示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 SCHEMAS=hr,sh STATUS=300
この例では、hrおよびshスキーマをエクスポートし、エクスポート状態を5分ごと(60秒×5 = 300秒)に表示します。
2.4.48 TABLES
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのTABLESパラメータでは、表モード・エクスポートを実行することを指定します。
デフォルト
デフォルトはありません。
用途
表モード・エクスポートの実行を指定します。
構文および説明
TABLES=[schema_name.]table_name[:partition_name] [, ...]
このモードを使用したエクスポート対象を、フィルタ処理によって制限できます。表およびパーティションまたはサブパーティションをカンマで区切ったリストを指定して、エクスポート対象のデータおよびメタデータをフィルタ処理できます。パーティションの名前を指定する場合は、関連表にあるパーティションまたはサブパーティションの名前にする必要があります。指定した表、パーティションおよびそれらの依存オブジェクトのみがアンロードされます。
パーティション表全体をエクスポートすると、パーティション表として全体的にインポートされます。これが当てはまらないのは、インポート時にPARTITION_OPTIONS=DEPARTITIONが指定されている場合のみです。
指定する表名の先頭にスキーマ名を修飾できます。デフォルトのスキーマは、現在のユーザーのスキーマです。自分のスキーマ以外のスキーマを指定するには、DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASEロールが必要です。
ワイルドカード文字(%)を使用して、表名およびパーティション名を指定できます。
表名には次の制限があります。
-
デフォルトでは、表名は大文字でデータベースに格納されます。表名が大文字と小文字または小文字のみで表記され、大/小文字を区別する場合、名前を引用符で囲む必要があります。したがって、表名は、データベースに格納されている表名と完全に一致するように指定する必要があります。
ただし、オペレーティング・システムによっては、コマンドラインの引用符自体をエスケープする必要がある場合があります。次の例は、異なるエクスポート・モードで大/小文字の区別を保持する方法を示します。
-
コマンドライン・モード
TABLES='\"Emp\"' -
パラメータ・ファイル・モード
TABLES='"Emp"'
-
-
表名を引用符で囲まないと、コマンドラインで指定する表名にポンド記号(
#)は使用できません。同様に、パラメータ・ファイルでは、表名がポンド記号(#)を含んでいると、データ・ポンプ・エクスポート・ユーティリティは、表名が引用符で囲まれていない場合コメントとして解釈します。たとえば、パラメータ・ファイルに次の行が記述されている場合、データ・ポンプ・エクスポートは
emp#の右側をすべてコメントとして解釈するため、表deptとmydataはエクスポートされません。TABLES=(emp#, dept, mydata)ただし、パラメータ・ファイルに次の行が含まれる場合は、
emp#が引用符で囲まれているため、データ・ポンプ・エクスポート・ユーティリティは3つの表をすべてエクスポートします。TABLES=('"emp#"', dept, mydata)ノート:
オペレーティング・システムによっては、エスケープ文字として一重引用符を使用する場合と、二重引用符を使用する場合があります。詳細は、使用するオペレーティング・システム固有のドキュメントを参照してください。表のネーミング方法に制限があるオペレーティング・システムもあります。
たとえば、UNIXのCシェルではドル記号(
$)やポンド記号(#)またはその他の特定の特殊文字には特別な意味があります。このような文字を名前で使用し、それがシェルで無視され、エクスポートによって使用されるようにするには、エスケープ文字を使用する必要があります。
表モード・エクスポート中のトランスポータブル・オプションの使用
表モード・エクスポート中にトランスポータブル・オプションを使用するには、TRANSPORTABLE=ALWAYSパラメータとTABLESパラメータを組み合せて指定します。指定した表、パーティションまたはサブパーティションのメタデータはダンプ・ファイルにエクスポートされます。実際のデータを移動するには、データ・ファイルをターゲット・データベースにコピーします。
表のパーティションの一部のみをエクスポートし、TRANSPORTABLE=ALWAYSパラメータを使用すると、インポート時にそれぞれのパーティションが非パーティション表になります。
制限事項
-
相互スキーマ参照はエクスポートされません。たとえば、指定されたいずれかのスキーマ内の表にトリガーが定義されていても、そのトリガーが、明示的に指定されていないスキーマ内に常駐している場合はエクスポートされません。
-
表で使用される型は、表モードではエクスポートされません。この制限事項により、後でダンプ・ファイルをインポートするときに宛先データベースに型が存在しない場合、表の作成は失敗します。
-
TABLESパラメータの値としてのシノニムの使用はサポートされていません。たとえば、hrスキーマのregions表にregnのシノニムが存在する場合、TABLES=regnを使用すると無効になります。シノニムを使用しようとすると、エラーが返されます。 -
表名にワイルドカード文字(
%)を含む表のエクスポートは、表がパーティションの場合はサポートされません。 -
TABLESパラメータに指定する表名のリストの長さは、最大4MBに制限されます。ただし、NETWORK_LINKパラメータでリリース10.2.0.3以前のOracle Databaseまたは読取り専用のデータベースが設定されている場合は異なります。この場合の上限は4KBです。 -
エクスポートに対して
TRANSPORTABLE=ALWAYSも設定されている場合、1つの表からのパーティションのみを指定できます。
例
次の例に、hrスキーマにある3つ表employees、jobsおよびdepartmentsをエクスポートするためにTABLESパラメータを使用する簡単な例を示します。ユーザーhrは、hrスキーマ内の表をエクスポートしているため、表名の前にスキーマ名を指定する必要はありません。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=tables.dmp
TABLES=employees,jobs,departments
次の例では、ユーザーhrにDATAPUMP_EXP_FULL_DATABASEロールが付与されていることを前提としています。ここでは、TABLESパラメータを使用したパーティションのエクスポートを示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=tables_part.dmp
TABLES=sh.sales:sales_Q1_2012,sh.sales:sales_Q2_2012
この例では、shスキーマのsales表から、パーティションsales_Q1_2012およびsales_Q2_2012をエクスポートします。
2.4.49 TABLESPACES
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのTABLESPACESパラメータでは、表領域モードでエクスポートする表領域名のリストを指定します。
デフォルト
デフォルトはありません。
用途
表領域モードでエクスポートする表領域名のリストを指定します。
構文および説明
TABLESPACES=tablespace_name [, ...]
表領域モードでは、指定した表領域内に存在する表のみがアンロードされます。表がアンロードされると、その表の依存オブジェクトもアンロードされます。オブジェクトのメタデータとデータは、両方ともアンロードされます。指定した表領域内に表の一部が存在する場合、その表とその表のすべての依存オブジェクトがエクスポートされます。特権ユーザーは、すべての表を取得します。権限のないユーザーは、自分のスキーマ内の表のみを取得します
このモードを使用したエクスポート対象を、フィルタ処理によって制限できます。
制限事項
TABLESPACESパラメータに指定する表領域名のリストの長さは、最大4MBに制限されます。ただし、NETWORK_LINKでリリース10.2.0.3以前のOracle Databaseまたは読取り専用のデータベースが設定されている場合は異なります。この場合の上限は4KBです。
例
次に、TABLESPACESパラメータの使用例を示します。この例では、表領域tbs_4、tbs_5およびtbs_6がすでに存在するとします。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=tbs.dmp
TABLESPACES=tbs_4, tbs_5, tbs_6
このコマンドによって、表領域エクスポートが実行され、指定した表領域(tbs_4、tbs_5およびtbs_6)から表(および表の依存オブジェクト)がアンロードされます。
関連トピック
2.4.50 TRANSPORT_DATAFILES_LOG
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・モードのTRANSPORT_DATAFILES_LOGパラメータでは、トランスポータブル・エクスポートに関連付けられたデータファイルのリストが書き込まれるファイルを指定します。
デフォルト
なし
用途
トランスポータブル・エクスポートに関連付けられたデータ・ファイルのリストの書込み先となるファイルを指定します。
構文および説明
TRANSPORT_DATAFILES_LOG=[directory_object:]file_name
directory_objectを指定する場合、これは、データベースで作成済で、自分にアクセス権があるオブジェクトにする必要があります。このパラメータは、DIRECTORYパラメータに指定されたディレクトリ・オブジェクトよりも優先されます。ログ・ファイルfile_nameにはデフォルトがありません。指定した場合、ファイルは、別のdirectory_objectを明示的に指定しないかぎり、DIRECTORYパラメータに指定されたディレクトリ・オブジェクトに作成されます。
ノート:
Oracle Database 23ai以降では、このパラメータで指定された名前と一致する名前の既存のファイルは、既存のファイル拡張子がtdl、TDL、log、LOG、lstまたはLSTのいずれかである場合のみ上書きされます。ファイル名の拡張子がこれらの拡張子のいずれとも一致しない場合は、ORA-02604: 「ファイルがすでに存在します」というメッセージが表示されます。ただし、一致する名前の既存のファイルが見つからない場合、ファイル拡張子の制限はありません。
使用上のノート
TRANSPORT_DATAFILES_LOGファイルとして書き込まれる指定ファイルは、Oracle Data Pumpパラメータ・ファイルとして書式設定されます。このファイルを変更することにより、使用する他の任意のパラメータを追加し、このファイルを後続のインポート時のPARFILEパラメータの値として指定できます。
制限事項
このパラメータはトランスポータブル・モード・エクスポートで有効です
例
次に、TRANSPORT_DATAFILES_LOGパラメータの使用例を示します。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir DUMPFILE=tts.dmp
TRANSPORT_TABLESPACE=tbs_1, tbs_2 TRANSPORT_DATAFILES_LOG=tts.tdl
次に、TRANSPORT_DATAFILES_LOGパラメータを使用して出力として生成されるファイルの例を示します。この例では、target_database_area_pathが表領域ファイルのパスです。
#
# ******************************************************************************
# The dump file set and data files must be copied to the target database area.
# The data file paths must be updated accordingly before initiating the Import.
# ******************************************************************************
#
# Dump file set for SYSTEM.SYS_EXPORT_TRANSPORTABLE_01 is:
# dpumpdir1:ttbs.dmp
#
# Datafiles required for transportable tablespace TBS1:
# /oracle/dbs/tbs1.dbf
#
# Datafiles required for transportable tablespace TBS2:
# /oracle/dbs/tbs2.dbf
#
#
TRANSPORT_DATAFILES=
'target_database_area_pathtbs1.dbf'
'target_database_area_pathtbs2.dbf'
2.4.51 TRANSPORT_FULL_CHECK
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのTRANSPORT_FULL_CHECKパラメータでは、オブジェクト間の依存性をチェックするかどうかを指定します
デフォルト
NO
用途
トランスポータブル・セット内部のオブジェクトと外部のオブジェクト間の依存性をチェックするかどうかを指定します。このパラメータは、トランスポータブル表領域モード・エクスポートでのみ使用可能です。
構文および説明
TRANSPORT_FULL_CHECK=[YES | NO]
TRANSPORT_FULL_CHECK=YESを指定すると、データ・ポンプ・エクスポートによって、トランスポータブル・セット内のオブジェクトとトランスポータブル・セット外のオブジェクトの間に依存性が存在しないことが確認されます。ここでは、双方向の依存性がチェックされます。たとえば、トランスポータブル・セット内に表は存在するが、その表の索引は存在しない場合は、エラーが返され、エクスポート操作が終了します。同様に、トランスポータブル・セット内に索引は存在するが表は存在しない場合も、エラーが返されます。
TRANSPORT_FULL_CHECK=NOを指定すると、エクスポートによって、トランスポータブル・セット外のオブジェクトに依存するオブジェクトが、トランスポータブル・セット内に存在しないことのみ確認されます。ここでは、一方向の依存性がチェックされます。たとえば、表は索引に依存しませんが、索引は表に依存します。これは、索引は表なしでは意味を持たないためです。そのため、トランスポータブル・セット内に表は存在するが、表の索引は存在しない場合、このチェックは正常に終了します。ただし、トランスポータブル・セット内に索引は存在するが表は存在しない場合は、エクスポート操作が終了します。
他のチェックも実行されます。たとえば、データ・ポンプ・エクスポートでは、常に、TRANSPORT_TABLESPACESで指定された表領域セット内に定義されているすべての表(およびその索引)のすべての記憶域セグメントが、表領域セット内に実際に含まれていることが確認されます。
クローズ・チェック全体を制御する現在のコマンドライン・パラメータは、次の2つです。
TTS_FULL_CHECK=[YES|NO]
TRANSPORT_FULL_CHECK=[YES|NO][TTS|TRANSPORT]_FULL_CHECK=YESはTTS_CLOSURE_CHECK=FULLと解釈されます。[TTS|TRANSPORT]_FULL_CHECK=NOはTTS_CLOSURE_CHECK=ONと解釈されます。例
次に、TRANSPORT_FULL_CHECKパラメータの使用例を示します。ここでは、表領域tbs_1が存在するとします。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=tts.dmp
TRANSPORT_TABLESPACES=tbs_1 TRANSPORT_FULL_CHECK=YES LOGFILE=tts.log 2.4.52 TRANSPORT_TABLESPACES
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのTRANSPORT_TABLESPACESパラメータでは、トランスポータブル表領域モードでのエクスポートを実行することを指定します。
デフォルト
デフォルトはありません。
用途
トランスポータブル表領域モードでのエクスポート実行を指定します。
構文および説明
TRANSPORT_TABLESPACES=tablespace_name [, ...]
TRANSPORT_TABLESPACESパラメータは、ソース・データベースからターゲット・データベースにオブジェクト・メタデータがエクスポートされる表領域名のリストを指定するために使用します。
エクスポートのログ・ファイルには、トランスポータブル・セットで使用されているデータ・ファイル、ダンプ・ファイルおよび制約違反が一覧表示されます。
TRANSPORT_TABLESPACESパラメータを使用すると、指定した表領域内のすべてのオブジェクトのメタデータがエクスポートされます。特定の表、パーティションまたはサブパーティションのみのトランスポータブル・エクスポートを実行する場合は、TABLESパラメータとTRANSPORTABLE=ALWAYSパラメータを併用する必要があります。
ノート:
トランスポータブル表領域をエクスポートした後、それよりも古いリリース・レベルのデータベースにインポートすることはできません。ターゲット・データベースのリリース・レベルは、ソース・データベース以上である必要があります。
制限事項
-
トランスポータブル表領域ジョブは、並列度1に制限されなくなりました。
-
トランスポータブル表領域モードでは、
DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASEロールが必要です。 -
エクスポートを実行するユーザーのデフォルトの表領域を、転送対象となっている表領域のいずれかに設定することはできません。
-
SYSTEMおよびSYSAUX表領域は、トランスポータブル表領域モードで転送できません。 -
トランスポータブル・セット内のすべての表領域は、読取り専用に設定する必要があります。
-
データ・ポンプ・エクスポートの
VERSIONパラメータとTRANSPORT_TABLESPACESパラメータと一緒に指定する場合、バージョンはOracle DatabaseCOMPATIBLE初期化パラメータ以上である必要があります。 -
TRANSPORT_TABLESPACESパラメータは、QUERYパラメータと組み合せて使用することはできません。 -
トランスポータブル表領域のジョブでは、データ・ポンプ・エクスポートの
ACCESS_METHODパラメータはサポートされません。
例
次に、TRANSPORT_TABLESPACESパラメータを(ネットワークベースではなく)ファイル・ベースのジョブに使用した例を示します。表領域tbs_1は、移動する表領域です。この例では、表領域tbs_1がすでに存在し、読取り専用に設定されていると仮定しています。また、この例では、このエクスポート・コマンドの実行前にデフォルトの表領域が変更されていると仮定しています。
> expdp hr DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=tts.dmp
TRANSPORT_TABLESPACES=tbs_1 TRANSPORT_FULL_CHECK=YES LOGFILE=tts.logデータベース間の表領域の転送の詳細は、Oracle Database管理者ガイドを参照してください
2.4.53 TRANSPORTABLE
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのTRANSPORTABLEパラメータでは、表モード・エクスポートまたは全体モード・エクスポート中にトランスポータブル・オプションを使用する必要があるかどうかを指定します。
デフォルト
NEVER
用途
表モード・エクスポート(TABLESパラメータで指定)または全体モード・エクスポート(FULLパラメータで指定)中にトランスポータブル・オプションを使用する必要があるかどうかを指定します。
構文および説明
TRANSPORTABLE = [ALWAYS | NEVER]
使用可能な値の定義は、次のとおりです。
ALWAYS - エクスポート・ジョブでトランスポータブル・オプションを使用するように指定します。トランスポータブルが使用できない場合、ジョブは失敗します。
表モード・エクスポートでトランスポータブル・オプションを使用すると、指定した表、パーティションまたはサブパーティションのメタデータのみがエクスポートされるトランスポータブル表領域エクスポートになります。
全体モード・エクスポートでトランスポータブル・オプションを使用すると、データベースの完全なコピーを作成するために必要なすべてのオブジェクトおよびデータがエクスポートされる全体トランスポータブル・エクスポートになります。
NEVER - エクスポート・ジョブでトランスポータブル・オプションではなくダイレクト・パスまたは外部表による方法を使用してデータをアンロードするように指定します。これはデフォルトです。
ノート:
トランスポータブル・モードで表領域全体をエクスポートするには、TRANSPORT_TABLESPACESパラメータを使用します。
-
表のパーティションの一部のみをエクスポートし、
TRANSPORTABLE=ALWAYSパラメータを使用すると、インポート時にそれぞれのパーティションが非パーティション表になります。 -
表のパーティションのサブセットのみをエクスポートし、
TRANSPORTABLEパラメータを使用しない場合、またはそのパラメータがNEVERに設定されている場合(デフォルト)は、インポート時に次のようになります。-
PARTITION_OPTIONS=DEPARTITIONを使用している場合は、ダンプ・ファイル・セットに含まれるそれぞれのパーティションが、非パーティション表として作成されます。 -
PARTITION_OPTIONSを使用していない場合は、完全な表が作成されます。つまり、完全な表内のすべてのメタデータが、ソース上での表定義と同じになるようにターゲット・システム上に存在します。ただし、指定されたパーティション用にエクスポートされたデータのみが表に挿入されます。
-
制限事項
-
TRANSPORTABLEパラメータは、表モード・エクスポートおよび全体モード・エクスポートでのみ有効です。 -
TRANSPORTABLEパラメータを使用するには、COMPATIBLE初期化パラメータを11.0.0以上に設定する必要があります。 -
FULLパラメータをTRANSPORTABLE(全体トランスポータブル・エクスポートの実行)と組み合せて使用するには、データ・ポンプのVERSIONパラメータを12.0以上に設定する必要があります。VERSIONパラメータを指定しない場合、COMPATIBLEデータベース初期化パラメータを12.0以上に設定する必要があります。 -
トランスポータブル・エクスポートを実行するユーザーには、
DATAPUMP_EXP_FULL_DATABASE権限が必要です。 -
表、パーティションおよびサブパーティションに関連付けられている表領域は読取り専用である必要があります。
-
全体トランスポータブル・エクスポートでは、データ移動方法の組合せが使用されます。トランスポータブル表領域に存在するオブジェクトは、そのメタデータのみがアンロードされ、データはデータ・ファイルがソース・システムからターゲット・システムにコピーされるときにコピーされます。コピーする必要のあるデータ・ファイルは、エクスポート操作のログ・ファイルの最後に表示されます。非トランスポータブル表領域に存在するオブジェクト(
SYSTEMやSYSAUXなど)は、そのメタデータとデータの両方がダンプ・ファイル・セットにアンロードされます。(全体トランスポータブル・エクスポートの実行の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。) -
エクスポートを実行するユーザーのデフォルトの表領域を、転送対象となっている表領域のいずれかに設定することはできません。
例
次の例では、shユーザーがDATAPUMP_EXP_FULL_DATABASEロールを持ち、表sales2がパーティション化されて表領域tbs2内に格納されているとします。(tbs2表領域はソース・データベースで読取り専用に設定する必要があります。)
> expdp sh DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=tto1.dmp TABLES=sh.sales2 TRANSPORTABLE=ALWAYS
エクスポートが正常に完了した後は、データ・ファイルをターゲット・データベース領域にコピーする必要があります。次に、PARTITION_OPTIONSとREMAP_SCHEMAの各パラメータを使用してインポート操作を実行し、sales2の各パーティションを固有の表にします。
> impdp system PARTITION_OPTIONS=DEPARTITION TRANSPORT_DATAFILES=oracle/dbs/tbs2 DIRECTORY=dpump_dir1 DUMPFILE=tto1.dmp REMAP_SCHEMA=sh:dp
2.4.54 TTS_CLOSURE_CHECK
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・モードのTTS_CLOSURE_CHECKパラメータは、データ・ポンプのトランスポータブル表領域操作の一部として実行されるクローズ・チェックの程度を示すために使用されます。
デフォルト
デフォルトはありません。
用途
トランスポータブル・エクスポート操作の一環として実行するクローズ・チェックのレベルを指定します。TTS_CLOSURE_CHECKパラメータを使用して、テスト・モードのトランスポータブル表領域操作中に、読取り/書込み可能な状態に表領域を保持することを示すこともできます。このオプションは、エクスポート操作のタイミング要件を取得するために使用されます。これはテスト目的の場合のみです。インポートにはダンプ・ファイルを使用できません。
構文および説明
TTS_CLOSURE_CHECK = [ ON | OFF | FULL | REKEY_OFF | TEST_MODE ]TTS_CLOSURE_CHECKパラメータでは、次のオプションがサポートされます。
ON- 自己完結型クローズ・チェックを実行することを指定しますOFF- クローズ・チェックを実行しないことを指定しますFULL- 完全な双方向クローズ・チェックを実行することを指定しますREKEY_OFF- 同時キー更新チェックをトランスポータブル許容チェックの一環として実行しないことを指定しますTEST_MODE- 表領域を読取り専用モードにする必要がないことを指定します
ON、OFF、FULLおよびREKEY_OFFオプションは相互に排他的です。TEST_MODEとREKEY_OFFは、Oracle Data Pumpエクスポートのみのオプションです。
例
TTS_CLOSURE_CHECK=FULL
2.4.55 VERSION
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのVERSIONパラメータでは、エクスポートするデータベース・オブジェクトのバージョンを指定します。
デフォルト
COMPATIBLE
用途
エクスポートするデータベース・オブジェクトのバージョンを指定します。指定したリリースと互換性のあるデータベース・オブジェクトおよび属性のみがエクスポートされます。VERSIONパラメータを使用して、以前のリリースのOracle Databaseと互換性のあるダンプ・ファイル・セットを作成できます。データ・ポンプ・エクスポートは、Oracle Database10gリリース1 (10.1)より前のOracle Databaseのリリースでは使用できません。データ・ポンプ・エクスポートは、Oracle Database 10gリリース1(10.1)以降でのみ動作します。VERSIONパラメータを使用して可能になるのは、エクスポートするオブジェクトのバージョンの識別のみです。
Oracle Database 23ai以降、ダンプ・ファイルにヘッダー・ブロックを使用する場合は、VERSIONを使用して、VERSION=23で作成された互換性のあるバージョンのダンプ・ファイルを以前のリリースにインポートできないように指定する必要があります。ただし、Data Pumpは、ヘッダー・ブロックを使用して以前のリリースからOracle Database 23aiに引き続きインポートできます。
Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.3)以降では、VERSIONパラメータをVERSION=12とし、FULL=Yとともに指定することで、Oracle Database 12cにインポートできる全体エクスポートのダンプ・ファイルを生成できます。以降のリリース・ターゲットのVERSION値を含むエクスポートには、登録済データベースのオプションおよびコンポーネントからの情報が含まれます。以降のリリース・バージョンを指定するダンプ・ファイル・セットは、Oracle Database 12cリリース1 (12.1.0.1)以降にのみインポートできます。たとえば、VERSION=12をFULL=Yとともに使用して、TRANSPORTABLE=ALWAYSも指定すると、Oracle Database 12cにインポートできる全体トランスポータブル・エクスポート・ダンプ・ファイルが生成されます。詳細は、FULLエクスポート・パラメータ・オプションを参照してください。
構文および説明
VERSION=[COMPATIBLE | LATEST | version_string]
VERSIONパラメータで使用可能な値は、次のとおりです。
-
COMPATIBLE- この値がデフォルト値です。メタデータのバージョンは、COMPATIBLE初期化パラメータで指定したデータベース互換性レベルに対応します。ノート: データベースの互換性は、9.2以降に設定する必要があります。
-
LATEST- メタデータおよび生成されるSQL DDLのバージョンは、互換性レベルに関係なく、データベース・リリースに対応します。 -
version_string- 特定のデータベース・リリース(11.2.0など)。Oracle Database 11gの場合、9.2未満の値は指定できません。
VERSIONで指定したリリースと互換性のないデータベース・オブジェクトまたは属性は、エクスポートされません。たとえば、指定したリリースではサポートされていない新しいデータ型を含む表はエクスポートされません。ダンプ・ファイルをVERSION=19のOracle Cloud Infrastructure (OCI)ネイティブ資格証明ストアにエクスポートしようとすると、エクスポートが失敗し、次のエラーが表示されます。
ORA-39463 "header block format is not supported for object-store URI dump file"
制限事項
-
アーカイブされたLOBがある表を、リリース11.2よりも前のデータベースにエクスポートすることはできません。
-
データ・ポンプ・エクスポートの
VERSIONパラメータをTRANSPORT_TABLESPACESパラメータとともに指定する場合、VERSIONの値はOracle DatabaseCOMPATIBLE初期化パラメータ以上である必要があります。 -
データ・ポンプの
VERSIONパラメータを12.1より前の任意の値に指定すると、4000バイトを超える長さのVARCHAR2またはNVARCHAR2列と、2000バイトを超える長さのRAW列を含む表は、データ・ポンプのダンプ・ファイルから除外されます。 -
データ・ポンプのパラメータ
VERSION=12を使用してOracle Database 11gリリースで作成したダンプ・ファイルは、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)以上でのみインポートできます。
例
次の例は、メタデータのバージョンがデータベースのリリースに対応している場合のエクスポートの例を示します。
> expdp hr TABLES=hr.employees VERSION=LATEST DIRECTORY=dpump_dir1
DUMPFILE=emp.dmp NOLOGFILE=YES2.4.56 VIEWS_AS_TABLES
Oracle Data Pump Exportのコマンドライン・ユーティリティのVIEWS_AS_TABLESパラメータでは、1つ以上のビューを表としてエクスポートすることを指定します。
デフォルト
デフォルトはありません。
注意:
VIEWS_AS_TABLESパラメータによって、暗号化されていない形式のビュー・データはアンロードされ、暗号化されていない表が作成されます。機密データをアンロードする場合、エクスポート操作で暗号化を有効にし、必ず暗号化された表領域に表を作成することをお薦めします。REMAP_TABLESPACEパラメータを使用して、このような表領域に表を移動できます。
用途
1つ以上のビューを表としてエクスポートすることを指定します。
構文および説明
VIEWS_AS_TABLES=[schema_name.]view_name[:table_name], ...
Oracle Data Pumpによって、ビューと同じ列を含み、ビューから取得された行データを含む表がエクスポートされます。Oracle Data Pumpでは、権限や制約などのビューに依存するオブジェクトもエクスポートされます。表に適用されない依存オブジェクト(UNDERオブジェクト権限の付与など)は、エクスポートされません。VIEWS_AS_TABLESパラメータは、単独で使用することも、TABLESパラメータと組み合せて使用することもできます。どちらを使用しても、Oracle Data Pumpでは表モード・エクスポートが実行されます。
構文要素の定義は次のとおりです。
schema_name: ビューが存在するスキーマの名前。スキーマ名を指定しない場合は、デフォルトで、そのエクスポートを実行するユーザーになります。
view_name: 表としてエクスポートするビューの名前。
table_name: エクスポートされるビューのメタデータのソースとなる表の名前。デフォルトでは、Oracle Data Pumpによって、ビューと同じ列およびデータ型を持つ、行の含まれない一時的なテンプレート表が自動的に作成されます。データベースが読取り専用の場合、このテンプレート表のデフォルトの作成には失敗します。この場合、表名を指定できます。
テンプレート表が明示的に指定された複数のビューがエクスポート・ジョブに含まれる場合、それらのテンプレート表はすべて異なっている必要があります。たとえば、2つのビューで同じテンプレート表を使用している次のジョブでは、ビューの1つがスキップされます。
expdp scott/password directory=dpump_dir dumpfile=a.dmp views_as_tables=v1:emp,v2:emp
オブジェクトの省略をレポートするエラー・メッセージが返されます。
テンプレート表は、エクスポート操作の完了後に自動的に削除されます。それらが存在している間は、次の問合せを実行してその名前を表示できます(名前はすべてKU$VATで始まります)。
SQL> SELECT * FROM user_tab_comments WHERE table_name LIKE 'KU$VAT%';
TABLE_NAME TABLE_TYPE
------------------------------ -----------
COMMENTS
-----------------------------------------------------
KU$VAT_63629 TABLE
Data Pump metadata template table for view SCOTT.EMPV制限事項
VIEWS_AS_TABLESパラメータは、TRANSPORTABLE=ALWAYSパラメータと組み合せて使用することはできません。- エクスポートしたビューについてのメタデータのソースの役割を果たす表は、そのビューと同じスキーマにある必要があります。
- エクスポートしたビューについてのメタデータのソースの役割を果たす表は、ヒープ構成があるパーティション化されていないリレーショナル表である必要があります。
- エクスポートしたビューについてのメタデータのソースの役割を果たす表は、ネストされた表にはできません。
VIEWS_AS_TABLESパラメータを使用して作成された表には、指定したビューの一部であった非表示列は含まれません。- 表としてエクスポートするビューは、存在する必要があり、スカラー列のみを含むリレーショナル・ビューである必要があります。無効なビューや存在しないビューを指定すると、そのビューはスキップされてエラー・メッセージが返されます。
VIEWS_AS_TABLESパラメータでは、LONGのデータ型の列のある表をサポートしていません。
例
次の例では、ビューscott.view1の内容をscott1.dmpというダンプ・ファイルにエクスポートします。
> expdp scott/password views_as_tables=view1 directory=data_pump_dir dumpfile=scott1.dmp
ダンプ・ファイルには、ビューから取得された行を持つview1という表が含まれます。