ベースラインの管理
Oracle Databaseでは、デフォルトで、システム定義の変動ウィンドウ・ベースラインが自動的に保持されます。必要な場合には、ベースラインを手動で作成、削除または名前変更し、ベースラインしきい値の設定を表示できます。また、変動ウィンドウ・ベースラインのウィンドウ・サイズを手動で変更できます。
この項では、ベースラインの管理方法を説明しており、内容は次のとおりです。
関連項目:
ベースラインの詳細は、「ベースライン」を参照してください
ベースラインを管理するためのユーザー・インタフェース
ベースラインを管理するためのプライマリ・インタフェースは、Oracle Enterprise Manager Cloud Control (Cloud Control)です。可能な場合は、Cloud Controlを使用してベースラインを管理してください。
Cloud Controlを使用できない場合、ベースラインは、コマンドライン・インタフェースでDBMS_WORKLOAD_REPOSITORYパッケージを使用して管理します。DBAロールは、DBMS_WORKLOAD_REPOSITORYプロシージャの起動に必要です。
関連項目:
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Cloud Controlを使用したベースラインの管理については、『Oracle Database 2日でパフォーマンス・チューニング・ガイド』を参照してください
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DBMS_WORKLOAD_REPOSITORYパッケージについては、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』を参照してください
ベースラインの作成
Oracle Databaseでは、デフォルトで、システム定義の変動ウィンドウ・ベースラインが自動的に保持されます。ただし、パフォーマンスが低下している期間に取得された別のベースラインまたはスナップショットと比較できるように、最適なレベルで運用されているシステムを表す固定ベースラインを手動で作成することが必要な場合があります。
コマンドライン・インタフェースを使用してベースラインを作成するには、次の例に示すように、CREATE_BASELINEプロシージャを使用します。
BEGIN
DBMS_WORKLOAD_REPOSITORY.CREATE_BASELINE (start_snap_id => 270,
end_snap_id => 280,
baseline_name => 'peak baseline',
dbid => 3310949047,
expiration => 30);
END;
/
この例では、データベース識別子が3310949047のデータベース・インスタンスに、次の設定でベースラインが作成されます。
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開始スナップショットの順序番号は270です。
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終了スナップショットの順序番号は280です。
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ベースライン名は
peak baselineです。 -
ベースラインの有効期限は30日です。
ベースラインが作成されると、Oracle Databaseにより、一意のIDが新規ベースラインに自動的に割り当てられます。
ヒント:
ベースラインに含めるスナップショットの範囲を決定するには、DBA_HIST_SNAPSHOTビューを使用して、既存のスナップショットを確認します。
関連項目:
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DBMS_WORKLOAD_REPOSITORYパッケージについては、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』を参照してください -
DBA_HIST_SNAPSHOTビューの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください
ベースラインの削除
ディスク領域を節約するには、使用されなくなったベースラインを定期的に削除することを検討してください。ベースラインに関連付けられたスナップショットは、ベースラインが明示的に削除されるか、ベースラインが期限切れになるまで無期限に保持されます。
コマンドライン・インタフェースを使用してベースラインを削除するには、次の例に示すように、DROP_BASELINEプロシージャを使用します。
BEGIN
DBMS_WORKLOAD_REPOSITORY.DROP_BASELINE (baseline_name => 'peak baseline',
cascade => FALSE,
dbid => 3310949047);
END;
/
この例では、ベースラインpeak baselineが、データベース識別子が3310949047のデータベース・インスタンスから削除され、関連付けられたスナップショットが保存されます。
ヒント:
削除するベースラインを決定するには、DBA_HIST_BASELINEビューを使用して、既存のベースラインを確認します。
ヒント:
関連付けられているスナップショットをベースラインとともに削除するには、cascadeパラメータをTRUEに設定します。
ベースラインの名前変更
コマンドライン・インタフェースを使用してベースラインの名前を変更するには、RENAME_BASELINEプロシージャを使用します。次の例に、RENAME_BASELINEプロシージャ・コールを示します。
BEGIN
DBMS_WORKLOAD_REPOSITORY.RENAME_BASELINE (old_baseline_name => 'peak baseline',
new_baseline_name => 'peak mondays',
dbid => 3310949047);
END;
/
この例では、データベース識別子が3310949047のデータベース・インスタンスに存在するベースラインの名前が、peak baselineからpeak mondaysに変更されます。
ベースライン・メトリックの表示
コマンドライン・インタフェースを使用して、ベースライン期間におけるメトリック値のサマリー統計を表示するには、SELECT_BASELINE_METRICSファンクションを使用します。
DBMS_WORKLOAD_REPOSITORY.SELECT_BASELINE_METRICS (baseline_name IN VARCHAR2,
dbid IN NUMBER DEFAULT NULL,
instance_num IN NUMBER DEFAULT NULL)
RETURN awr_baseline_metric_type_table PIPELINED;
デフォルトの変動ウィンドウ・ベースラインのサイズ変更
Oracle Databaseでは、デフォルトで、システム定義の変動ウィンドウ・ベースラインが自動的に保持されます。システム定義による変動ウィンドウ・ベースラインのデフォルトのウィンドウ・サイズは、現在のAWR保存期間であり、デフォルトでは8日です。状況によっては、デフォルトの変動ウィンドウ・ベースラインのウィンドウ・サイズを変更することが必要な場合があります。
コマンドライン・インタフェースを使用して、デフォルトの変動ウィンドウ・ベースラインのウィンドウ・サイズを変更するには、次の例に示すように、MODIFY_BASELINE_WINDOW_SIZEプロシージャを使用します。
BEGIN
DBMS_WORKLOAD_REPOSITORY.MODIFY_BASELINE_WINDOW_SIZE (window_size => 30,
dbid => 3310949047);
END;
/
この例では、データベース識別子が3310949047のデータベース・インスタンスのデフォルトの変動ウィンドウ・ベースラインが30日にサイズ変更されます。
ノート:
ウィンドウ・サイズは、AWR保存設定の値以下の値に設定する必要があります。現在のAWR保存期間を超えるウィンドウ・サイズを設定するには、スナップショット設定の変更の手順に従ってあらかじめretentionパラメータの値を増やしておく必要があります。
関連項目:
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変動ウィンドウ・ベースラインの詳細は、「変動ウィンドウ・ベースライン」を参照してください
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DBMS_WORKLOAD_REPOSITORYパッケージについては、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』を参照してください