6.1.1 自動ワークロード・リポジトリ(AWR)
AWRは、Oracle Databaseに組み込まれている統合パフォーマンス診断ツールです。AWRには、Exadataストレージ・サーバーの構成、正常性および統計情報が含まれます。
AWRは、様々なデータベース動的パフォーマンス・ビューから定期的に情報を収集します。各データ収集は、AWRスナップショットです。AWRレポートには、2つのAWRスナップショット間で取得された統計が表示されます。
AWRは、V$SYSSTAT
、V$SYSTEM_EVENT
、V$SEGMENT_STATISTICS
、V$SQL
からのデータベース統計や待機イベントなど、Oracle Databaseに関連する多くの統計データを収集してレポートします。
Oracle Databaseリリース12.1.0.2以上では、AWRはExadataストレージ・サーバーからパフォーマンス統計も収集し、AWRレポートのHTMLバージョンに含めます。したがって、AWRは、Oracle Database統計とExadata Statistics、ストレージ・メトリック、およびすべてのストレージ・サーバーからのアラートを含む包括的で統一されたパフォーマンス情報を提供します。
ノート:
Exadataセクションは、AWRレポートのHTMLバージョンでのみ使用できます。
AWRレポートには、次のExadata固有のセクションが含まれます。
主な利点は次のとおりです:
- AWRは、Oracle DatabaseメトリックとExadataストレージ・メトリック、およびすべてのストレージ・サーバーからのアラートを含む包括的で統一されたパフォーマンス情報を提供します。
- AWRにより、単純な外れ値(Outlier)の検出および分析が可能になります。
- AWR情報の粒度はカスタマイズ可能で、AWR収集間隔(デフォルトでは1時間ごと)に基づいています。
Exadataストレージ・サーバー統計はストレージ・サーバーによって収集および保持されるため、情報は特定のデータベースまたはデータベース・インスタンスに制限されないことに注意してください。したがって、AWRのストレージ関連の統計には、ストレージ・サーバーで実行されているすべてのデータベースのI/Oが含まれますが、データベース統計はAWRをホストしている特定のインスタンスまたはデータベースに関連しています。
コンテナ・データベース(CDB)を使用している場合、AWRレポートのExadata固有のセクションはルート・コンテナでのみ使用できます。
Oracle Databaseの一部として、AWRは新しい統計および分析で継続的に拡張されています。特定のセクションまたは統計の利用可否は、使用しているOracle Databaseのバージョンによって決まります。
Exadata Server Configuration
AWRレポートのExadata Server Configurationセクションには、関連付けられているすべてのストレージ・サーバーの構成情報(セル・ディスク、グリッド・ディスク、ASMディスク・グループおよびIORM Objective、モデル情報、ソフトウェア・バージョンおよびストレージ情報など)が示されます。この情報を調べることで、システムの動作やパフォーマンスに影響を与える可能性のあるストレージ・サーバー間の構成の違いを簡単に確認できます。
次の例は、Exadata Server Configurationセクションの一部を示しています。この例は、14台のX8-2大容量ストレージ・サーバーを備えたシステムに基づいています。この例では、すべてのサーバーのソフトウェア・バージョンが同じです。ただし、ストレージ情報では、1つのセルには2つのフラッシュ・セル・ディスクが含まれ、他のすべてのセルには4つのフラッシュ・セル・ディスクが含まれていることが示されています。
Exadata Server Health Report
AWRレポートのExadata Server Health Report・セクションには、オフライン・ディスクおよびオープン・ストレージ・サーバーのアラートに関する情報が示されます。
ディスクがオフラインの場合、I/O帯域幅の合計が減り、I/Oパフォーマンスに影響する可能性があります。
アラートは、ストレージ・サーバーの機能およびパフォーマンスに影響する可能性のある重要なイベントを表します。オープン・アラートは、管理者が調査済としてマークしていないアラートです。詳細は、Exadataアラートを参照してください。
次の例に示すように、AWRレポートにopen alertsがないことが理想です。
次の例は、オフロード・サーバーを起動できなかったことを示すExadata Alertsの詳細を示しています。これは、システムのスマート・スキャンのパフォーマンスに影響します。
Exadata Statistics
AWRには、様々なExadataストレージ・サーバー・コンポーネントの統計(スマートI/O、スマート・フラッシュ・キャッシュ、スマートFlash Log、XRMEMキャッシュ、XRMEMログ、IOリソース・マネージャなど)が含まれます。これには、オペレーティング・システムとセル・サーバー・ソフトウェアの両方のI/O統計が含まれ、これらのI/O統計に対して単純な外れ値分析を実行します。通常、ExadataはI/O操作をすべてのセルおよびすべてのディスクに均等に分散するため、外れ値は潜在的な問題を示している可能性があり、さらに調査する必要があります。いずれかのセルまたはディスクの動作が異なる場合や、より多くの作業を実行している場合は、システム全体のパフォーマンスが低下する可能性があります。
AWRレポートのExadata Statisticsセクションには、次のサブセクションが含まれます。
- Performance Summary
- Exadata Resource Statistics
- Exadata Outlier Summary
- Exadata OS Statistics Outliers
- Exadata Cell Server Statistics Outliers
- Exadata Outlier Details
- Exadata OS Statistics Top
- Exadata Cell Server Statistics Top
- Exadata Smart Statistics
- Smart IO
- Flash Log
- XRMEM Log
- Flash Cache
- XRMEM Cache
- Exadata IO Reasons
- Top IO Reasons by Requests
- Top IO Reasons by MB
- Internal IO Reasons
- Exadata Top Database Consumers
- Top Databases by Requests
- Top Databases by Requests - Details
- Top Databases by Throughput
- Top Databases by Requests per Cell
- Top Databases by Requests per Cell - Details
- Top Databases by Throughput per Cell
- Exadata IO Latency Capping
- Cancelled IOs - Client
- Cancelled IOs - Cells
- Exadata Flash Wear
主なExadata Statisticsの詳細は、Oracle Exadata System Softwareのコンポーネントの監視の対応するトピックを参照してください。