5.1.1.1 IORMのobjectiveについて

I/Oリソース管理(IORM)objectiveオプションは、IORMの最適化モードを指定します。

IORMのobjectiveは、CellCLI ALTER IORMPLANコマンドを使用して、すべてのストレージ・サーバーで個別に構成されます。システム全体のパフォーマンスを一貫したものにするには、ストレージ・クラスタ内のすべてのストレージ・サーバーが同じIORM構成設定を使用するようにします。

有効なobjective値は次のとおりです。

  • auto - IORMがアクティブなワークロードおよびリソース・プランに基づいて最適なモードを決定します。IORMは、監視対象のワークロードおよび有効なリソース・プランに基づいて、継続的かつ動的に最適化の目標を決定します。ほとんどのユースケースで、autoがお薦めの値です。

    Oracle Exadata System Softwareリリース21.2.0以降、autoが新規デプロイメントのデフォルト設定です。

  • high_throughput - 高いスループットが要求されるクリティカルなDSSのワークロードを最適化します。この設定により、ディスクのスループットが向上しますが、I/Oレイテンシが長くなります。

  • low_latency - 非常に適切なディスク・レイテンシが要求されるクリティカルなOLTPワークロードを最適化します。この設定により、ディスク使用率が制限され、レイテンシが可能なかぎり最短になりますが、スループットが低下します。

  • balanced - 低ディスク・レイテンシと高スループットのバランスを取ります。これは、クリティカルなOLTPおよびDSSワークロードが混在する場合に役立ちます。この設定により、大きいI/Oのディスク使用率がlow_latencyより小さい範囲に制限され、レイテンシとスループットがバランスします。

  • basic - この設定は、小さいI/Oの最大遅延を制限する場合に使用します。それ以外の場合は、I/Oの優先順位付けを無効にします。これは、Oracle Exadata System Softwareリリース20.1.0以前の新規デプロイメントのデフォルト設定です。具体的には、この設定を使用して、次のようにします。

    • IORMは、スマート・スキャンやその他のディスク集中型のI/O操作の前にログの書込み、バッファ・キャッシュの読取りおよびその他のクリティカルなI/Oを優先順位付けすることで、これらの処理において極端に長い待機時間が発生しないように監視します。
    • IORMでは、フラッシュ・キャッシュおよびFlash Logへのアクセスを管理します。
    • IORMは、異なるワークロード間でリソースが共有されるようにスキャンを管理します。
    • IORMでは、IORMプランの最大使用率制限は強制されません。プラン割当ては、極端に長い待機時間が発生しないように保護するためだけに使用され、プランへの適合は考慮されていません。プランに厳密に適合させるために、最大利用率を制限する場合は、objectiveオプションをbasic以外の値に設定する必要があります。

高容量(HC)ストレージ・サーバーでは、フラッシュIORMは、スマート・スキャンおよび優先度の低いI/Oより先にフラッシュ・デバイスへのクリティカルなI/Oの優先度を設定することでOLTPレイテンシを保護します。これは、objectiveオプションの設定に関係なく、デフォルトで発生します。

Extreme Flash (EF)ストレージ・サーバーでは、IORMのobjectiveによりフラッシュIORMをある程度制御できます。EFストレージ・サーバーでは、objectiveオプションがbasicautoまたはbalancedに設定されている場合、フラッシュIORMはHCサーバーと同じように動作します。ただし、EFストレージ・サーバーでは、high_throughputはクリティカルなI/Oレイテンシを犠牲にしてスキャン・スループットを向上させ、low_latencyは両方のワークロードが同時に実行される場合に、スキャン・スループットが大幅に低下することを犠牲にして最大のレイテンシ保護を提供します。