パフォーマンスのモニタリング
rastatユーティリティによるパフォーマンス統計の生成
rastat.pl
は、リカバリ・アプライアンスに対するテストを実行してパフォーマンス統計を収集するコマンドライン・ユーティリティで、システムのボトルネックを特定する際に便利です。
テストでは、次の統計が生成されます。
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ネットワーク経由でリカバリ・アプライアンスに送信されたバックアップ・データ
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ネットワーク経由でリカバリ・アプライアンスから受信したリストア・データ
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リカバリ・アプライアンスのASMディスク・グループの読取りまたは書込みI/O
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リカバリ・アプライアンスのコンテナ・ファイルの読取りまたは書込みI/O
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リカバリ・アプライアンスのコンテナ・ファイルの割当て率
このユーティリティは、保護されたデータベースまたはアップストリームのリカバリ・アプライアンスであるLinuxまたはUNIXベースのクライアント・マシンから実行できるPerlのスクリプトです。ただし、I/Oテストはリカバリ・アプライアンス・サーバーから直接実行することもできます。
保護された1つ以上のデータベースで複数のテストを並行して実行すれば、実環境をシミュレートできます。それぞれのテスト結果は、個々のクライアントのパフォーマンスを表します。保護された他のデータベースとリカバリ・アプライアンスのテスト中に、バックアップやリストア、または他のテストなど継続中のアクティビティがあると、統計結果に影響する場合があります。
rastatユーティリティを実行する前提条件
rastatユーティリティを実行する前に、次の前提条件が満たされていることを確認してください。
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rastatを実行するプラットフォームが、LinuxまたはUNIXであること。
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保護されたデータベースからユーティリティを実行する場合は、リカバリ・アプライアンス計算サーバーの
/opt/oracle.RecoveryAppliance/client/
ディレクトリからrastat.pl
ファイルをコピーします。 -
「保護されたデータベースの登録」の説明に従って、保護されたデータベースをリカバリ・アプライアンスに登録するステップを完了します。
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ユーティリティを実行する際に、該当するオプションを使用して設定する予定がない場合は、環境変数
$ORACLE_HOME
と$ORACLE_SID
が構成されていることを確認します。
rastatユーティリティの実行
この項では、rastat.plを実行する方法を説明したうえで、各種のパフォーマンス・テストを実行する方法の例と、その出力サンプルを示します。
ノート:
NETBACKUP
とNETRESTORE
のテストで、標準出力に結果が表示されない場合は、sbtio<pid>.logログ・ファイルを見れば結果を確認できます。
rastatユーティリティを実行するには、次のようにします。
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「rastatユーティリティを実行する前提条件」を参照して、ユーティリティを実行するシステムが前提条件を満たしていることを確認してください。
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コマンド・プロンプト・ウィンドウを開きます。
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実行するテストの適切なコマンド構文を入力し、[Enter]キーを押します。
一般的な構文とテストごとのオプションは、「rastatユーティリティのリファレンス」を参照してください。
例1: rastatを実行してバックアップのパフォーマンスをテスト
次の例では、NETBACKUP
テストを指定して、バックアップ・ファイルのサイズを2048MBに設定し、リカバリ・アプライアンスのVPCユーザー接続文字列を指定して、--parms
オプションでRMAN構成を設定します。
>$ORACLE_HOME/perl/bin/perl rastat.pl --test=NETBACKUP --filesize=2048M --catalog=rman/rman@inst2 --parms='SBT_LIBRARY=/u01/oracle/lib/libra.so, ENV=(RA_WALLET=location=file:/u01/oracle/dbs/ra_wallet credential_alias=ra-scan:1521/zdlra5:dedicated)' NETWORK TEST FROM PROTECTED DATABASE TO RECOVERY APPLIANCE 393 MB/s, 2048 MB sent
例2: rastatを実行して、リカバリ・アプライアンスのASMディスク・グループからの読取りI/Oをテスト
次の例では、ASMREAD
テストを指定して、テスト・ファイルのサイズを2048MBに設定し、リカバリ・アプライアンスのSYSユーザー接続文字列を指定して、読取り元のディスク・グループとして+RCVAREA
を指定します。
>$ORACLE_HOME/perl/bin/perl rastat.pl --test=ASMREAD --filesize=2048M --rasys=admin/admin@inst2 --diskgroup=+RCVAREA RECOVERY APPLIANCE READ IO TEST FROM DISK Disk Group: +RCVAREA 2048 MB, 6.06s read IO time, .65s CPU time, 337.99 MB/s, 10.79% CPU usage PL/SQL procedure successfully completed.
例3: rastatを実行して、リカバリ・アプライアンスのコンテナ・グループからの書込みI/Oをテスト
次の例では、CONTAINERWRITE
テストを指定して、テスト・ファイルのサイズを2048MBに設定し、リカバリ・アプライアンスのSYSユーザー接続文字列を指定して、書込み先のディスク・グループとしてBLOCK_POOL
コンテナ・グループを指定します。
>$ORACLE_HOME/perl/bin/perl rastat.pl --test=CONTAINERWRITE --filesize=2048M --rasys=admin/admin@inst2 --diskgroup=/:BLOCK_POOL RECOVERY APPLIANCE WRITE IO TEST TO CONTAINER FILES Disk Group: /:BLOCK_POOL 2048 MB, 9.55s write IO time, 3.50s CPU time, 214.35 MB/s, 36.60% CPU usage PL/SQL procedure successfully completed.
例4: rastatを実行して、リカバリ・アプライアンスのコンテナ・グループへのファイル割当てをテスト
次の例では、CONTAINERALLOC
テストを指定して、テスト・ファイルのサイズを2048MBに設定し、リカバリ・アプライアンスのSYSユーザー接続文字列を指定して、書込み先のディスク・グループとしてBLOCK_POOL
コンテナ・グループを指定します。
>$ORACLE_HOME/perl/bin/perl rastat.pl --test=CONTAINERALLOC --filesize=2048M --rasys=admin/admin@inst2 --diskgroup=/:BLOCK_POOL RECOVERY APPLIANCE CONTAINER FILE ALLOCATION TEST Disk Group: /:BLOCK_POOL 2048 MB, 6.24s allocation time, 3.69s CPU time, 328.34 MB allocated per second, 59.09% CPU usage PL/SQL procedure successfully completed.
ネットワーク・スループットのテスト
アプライアンスに付属しているnetwork_throughput_test.shスクリプトを使用すると、リカバリ・アプライアンス環境における理論上のネットワーク・スループットを測定できます。
ユーティリティの詳細と使用方法については、My Oracle SupportノートのドキュメントID 2022086.1 (http://support.oracle.com/epmos/faces/DocumentDisplay?id=2022086.1
)を参照してください。