リカバリ・アプライアンス・ラックの電源の投入と切断

この項の内容は次のとおりです。

緊急時の電源切断の手順

緊急時には、リカバリ・アプライアンスへの電源供給をすぐに停止します。次のような緊急時に、リカバリ・アプライアンスの電源切断が必要な場合があります。

  • 地震、洪水、ハリケーン、竜巻、またはサイクロンなどの自然災害の場合

  • システムから異常な騒音、臭い、または煙が発生した場合

  • 人の安全を脅かす場合

緊急時の電源切断

緊急時には、次のいずれかの作業を実行します。

  • サーキット・ブレーカで電源を切断します。

  • コンピュータ・ルームで緊急時の電源切断スイッチを作動させます。

その後、システムの電源の復旧についてOracleサポート・サービスに連絡します。

緊急時の電源切断スイッチについて

緊急時の電源切断スイッチ(EPO)を使用すると、リカバリ・アプライアンスの電源を停止できます。

EPOスイッチは、5分より長く750を超えるボルトアンペアを供給できるバッテリがコンピュータ機器に含まれる場合に必要になります。このようなバッテリがシステムで使用される場合、そのシステムには、サイトのEPOスイッチまたはリレーに接続するための内部EPOハードウェアがあります。

リカバリ・アプライアンスの停止

緊急でない通常の状況下では、ソフトウェア・サービスおよびハードウェアの電源を正常に切断できます。

ラック・コンポーネントを停止する前にすべてのソフトウェア・サービスを停止します。

リカバリ・アプライアンス・サービスの停止

リカバリ・アプライアンス・サービス、Oracle Databaseファイル・システム、Oracle Databaseおよびクラスタ・サービスを停止する必要があります。racli stop applianceの実装によってこの操作が簡素化されたので、キーストアおよび様々なAPIコマンドの呼出しに関するいくつかの手動ステップをなくすことができました。

リカバリ・アプライアンス・サービスを停止するには:

  1. リカバリ・アプライアンスを停止するには、管理ユーザーとして次のコマンドを実行します。

    [root@myhost ~]# racli stop appliance

    操作のうち、ここでは次が実行されます:

    • キーストアを停止します。

    • Oracle Databaseへの接続をオープンします。

    • サービスのステータスを確認します。

    • リカバリ・アプライアンスのサービスを停止するためのAPIを実行します。

    • Oracle Databaseから切断します。

    • Oracle Secure Backupが関係している場合は、それを停止します。

    • Oracle Databaseを停止します。

  2. rootユーザーに切り替えます。

  3. クラスタのすべてのノード上のOracle Clusterwareスタックを停止します。

    # $GRID_HOME/bin/crsctl stop cluster -all
    CRS-2673: Attempting to stop 'ora.crsd' on 'zdlradb07'
    CRS-2790: Starting shutdown of Cluster Ready Services-managed resources on
    'zdlradb07'
    CRS-2673: Attempting to stop 'ora.LISTENER_SCAN2.lsnr' on 'zdlradb07'
    CRS-2673: Attempting to stop 'ora.LISTENER_SCAN1.lsnr' on 'zdlradb07'
         .
         .
         .
    #

    コマンドが失敗した場合は、-fオプションを使用してコマンドを再入力します。

  4. 計算サーバーごとに、次のコマンドを実行してOracle Cluster Ready Services (CRS)を停止します。

    # $GRID_HOME/bin/crsctl stop crs
    CRS-2791: Starting shutdown of Oracle High Availability Services-managed resources on 'radb08'
    CRS-2673: Attempting to stop 'ora.crf' on 'radb08'
    CRS-2673: Attempting to stop 'ora.mdnsd' on 'radb08'
         .
         .
         .
    CRS-2677: Stop of 'ora.crf' on 'radb08' succeeded
    CRS-2677: Stop of 'ora.mdnsd' on 'radb08' succeeded
    CRS-2793: Shutdown of Oracle High Availability Services-managed resources on 'radb08' has completed
    CRS-4133: Oracle High Availability Services has been stopped.
    
  5. 必要に応じて、次の順序でハードウェアを停止または再起動します。

    1. 計算サーバー

    2. ストレージ・サーバー

    3. ラックおよびスイッチ

サーバーの電源切断

サーバーの電源を切断する前に、「リカバリ・アプライアンスの停止」の説明に従って、サーバー上で動作しているサービスを停止します。

計算サーバーまたはストレージ・サーバーを停止するには:

  1. サーバーにrootとしてログインします。
  2. オペレーティング・システムを停止します。
    # shutdown -h -y now
    

    または、オペレーティング・システムを再起動します。

    # shutdown -r -y now
    

例13-1 dcliユーティリティを使用したリカバリ・アプライアンスの電源の切断

  1. すべての計算サーバー上のOracle Clusterwareを停止します。

    # GRID_HOME/grid/bin/crsctl stop cluster -all
    
  2. ラック内の他の計算サーバーを停止します。

    # dcli -l root -g ra-adm02 shutdown -h -y now
    

    前述のコマンドで、ra01adm02は2番目の計算サーバーの名前です。

  3. すべてのストレージ・サーバーを停止します。

    # dcli -l root -g cell_group shutdown -h -y now
    

    前述のコマンドのcell_groupは、すべてのストレージ・サーバーをリストするファイルです。

  4. ローカルの計算サーバーを停止します。

    shutdown -h -y now
    
  5. ラックの電源を切断します。

dcliユーティリティを使用して、複数のサーバーで同時にshutdownコマンドを実行します。コマンドによって電源が停止するサーバーからはdcliを実行しないでください。

次の例では、cell_groupというファイルにリストされたストレージ・サーバーのグループが停止します。

# dcli -l root -g cell_group shutdown -h -y now

例13-1に、dcliユーティリティを使用して同時に複数のサーバーを停止する場合のラックの電源切断手順を示します。コマンドは計算サーバーから実行されます。

ネットワーク・スイッチの電源の投入

ゲートウェイおよびスパイン・スイッチには電源制御がありません。PDUやデータ・センターのブレーカをオフにして電力が投入されなくなると、これらの電源は切断されます。

リカバリ・アプライアンスの起動

最初にラック・コンポーネントに電源を投入してから、ソフトウェア・サービスを起動します。

リカバリ・アプライアンス・コンポーネントの起動

ラック・コンポーネントに電源を投入するには、次のいずれかの方法を使用します。

起動順序

次の手順でラック・コンポーネントに電源を投入します。

  1. ラックおよびスイッチ

    スイッチが初期化するのを数分待ってから、ストレージ・サーバーを起動します。

  2. ストレージ・サーバー

    ストレージ・サーバーですべてのサービスが開始されるまで5から10分待ちます。必ず初期化が終了してから、計算サーバーを起動します。

  3. 計算サーバー

    計算サーバーの電源が投入されると、オペレーティング・システムとOracle Clusterwareが自動的に起動します。Oracle Clusterwareは、自動的に起動する構成のすべてのリソースを起動します。

リモート・サーバーの電源投入

Oracle ILOMインタフェースを使用すると、リモートでリカバリ・アプライアンス・サーバーの電源を投入できます。Oracle ILOMにアクセスするには、Webコンソール、コマンドライン・インタフェース(CLI)、Intelligent Platform Management Interface (IPMI)またはSimple Network Management Protocol (SNMP)を使用します。

たとえば、IPMIを使用してサーバーra01cel01に電源を供給するには、次のようなコマンドでそのOracle ILOMを使用します。

# ipmitool -H ra01cel01-ilom -U root chassis power on

コマンドを使用するサーバーにIPMItoolがインストールされている必要があります。

関連項目:

Oracle ILOMを使用してサーバーの電源を投入する方法の詳細は、Oracle Integrated Lights Out Manager (ILOM) 3.0ドキュメントを参照してください。

http://docs.oracle.com/cd/E19860-01/index.html

リカバリ・アプライアンス・ソフトウェアの起動

  1. rootとしてリカバリ・アプライアンス計算サーバーにログインします。

  2. Oracle Cluster Ready Services (CRS)が実行されていることを確認します。

    	# $GRID_HOME/bin/crsctl status server
    	  NAME=radb07
    	  STATE=ONLINE
    	
    	  NAME=radb08
    	  STATE=ONLINE
  3. CRSが実行されていない場合は、起動します。

    # $GRID_HOME/bin/crsctl start cluster -all
    CRS-2672: Attempting to start 'ora.evmd' on 'radb07'
    CRS-2672: Attempting to start 'ora.cssdmonitor' on 'radb07'
    CRS-2672: Attempting to start 'ora.cssdmonitor' on 'radb08'
         .
         .
         .
    #
  4. oracleユーザーに切り替えます。

  5. リカバリ・アプライアンスを起動します。

    [root@myhost ~]# racli start appliance

    操作のうち、ここでは次が実行されます:

    • Oracle Databaseを起動します

    • Oracle Secure Backupが有効な場合、このサービスが起動されます。

    • Oracle Databaseに接続します。

    • リカバリ・アプライアンスのステータスをチェックします。

    • サービスがオフの場合は、サービスを起動します。

    • キーストアが有効化されます。