リカバリ・アプライアンス・ラックの電源の投入と切断
この項の内容は次のとおりです。
緊急時の電源切断の手順
緊急時には、リカバリ・アプライアンスへの電源供給をすぐに停止します。次のような緊急時に、リカバリ・アプライアンスの電源切断が必要な場合があります。
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地震、洪水、ハリケーン、竜巻、またはサイクロンなどの自然災害の場合
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システムから異常な騒音、臭い、または煙が発生した場合
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人の安全を脅かす場合
緊急時の電源切断
緊急時には、次のいずれかの作業を実行します。
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サーキット・ブレーカで電源を切断します。
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コンピュータ・ルームで緊急時の電源切断スイッチを作動させます。
その後、システムの電源の復旧についてOracleサポート・サービスに連絡します。
リカバリ・アプライアンスの停止
緊急でない通常の状況下では、ソフトウェア・サービスおよびハードウェアの電源を正常に切断できます。
ラック・コンポーネントを停止する前にすべてのソフトウェア・サービスを停止します。
リカバリ・アプライアンス・サービスの停止
リカバリ・アプライアンス・サービス、Oracle Databaseファイル・システム、Oracle Databaseおよびクラスタ・サービスを停止する必要があります。racli stop appliance
の実装によってこの操作が簡素化されたので、キーストアおよび様々なAPIコマンドの呼出しに関するいくつかの手動ステップをなくすことができました。
リカバリ・アプライアンス・サービスを停止するには:
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リカバリ・アプライアンスを停止するには、管理ユーザーとして次のコマンドを実行します。
[root@myhost ~]# racli stop appliance
操作のうち、ここでは次が実行されます:
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キーストアを停止します。
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Oracle Databaseへの接続をオープンします。
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サービスのステータスを確認します。
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リカバリ・アプライアンスのサービスを停止するためのAPIを実行します。
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Oracle Databaseから切断します。
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Oracle Secure Backupが関係している場合は、それを停止します。
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Oracle Databaseを停止します。
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root
ユーザーに切り替えます。 -
クラスタのすべてのノード上のOracle Clusterwareスタックを停止します。
# $GRID_HOME/bin/crsctl stop cluster -all CRS-2673: Attempting to stop 'ora.crsd' on 'zdlradb07' CRS-2790: Starting shutdown of Cluster Ready Services-managed resources on 'zdlradb07' CRS-2673: Attempting to stop 'ora.LISTENER_SCAN2.lsnr' on 'zdlradb07' CRS-2673: Attempting to stop 'ora.LISTENER_SCAN1.lsnr' on 'zdlradb07' . . . #
コマンドが失敗した場合は、
-f
オプションを使用してコマンドを再入力します。 -
計算サーバーごとに、次のコマンドを実行してOracle Cluster Ready Services (CRS)を停止します。
# $GRID_HOME/bin/crsctl stop crs CRS-2791: Starting shutdown of Oracle High Availability Services-managed resources on 'radb08' CRS-2673: Attempting to stop 'ora.crf' on 'radb08' CRS-2673: Attempting to stop 'ora.mdnsd' on 'radb08' . . . CRS-2677: Stop of 'ora.crf' on 'radb08' succeeded CRS-2677: Stop of 'ora.mdnsd' on 'radb08' succeeded CRS-2793: Shutdown of Oracle High Availability Services-managed resources on 'radb08' has completed CRS-4133: Oracle High Availability Services has been stopped.
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必要に応じて、次の順序でハードウェアを停止または再起動します。
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計算サーバー
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ストレージ・サーバー
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ラックおよびスイッチ
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サーバーの電源切断
サーバーの電源を切断する前に、「リカバリ・アプライアンスの停止」の説明に従って、サーバー上で動作しているサービスを停止します。
計算サーバーまたはストレージ・サーバーを停止するには:
例13-1 dcliユーティリティを使用したリカバリ・アプライアンスの電源の切断
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すべての計算サーバー上のOracle Clusterwareを停止します。
# GRID_HOME/grid/bin/crsctl stop cluster -all
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ラック内の他の計算サーバーを停止します。
# dcli -l root -g ra-adm02 shutdown -h -y now
前述のコマンドで、
ra01adm02
は2番目の計算サーバーの名前です。 -
すべてのストレージ・サーバーを停止します。
# dcli -l root -g cell_group shutdown -h -y now
前述のコマンドの
cell_group
は、すべてのストレージ・サーバーをリストするファイルです。 -
ローカルの計算サーバーを停止します。
shutdown -h -y now
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ラックの電源を切断します。
dcli
ユーティリティを使用して、複数のサーバーで同時にshutdown
コマンドを実行します。コマンドによって電源が停止するサーバーからはdcli
を実行しないでください。
次の例では、cell_group
というファイルにリストされたストレージ・サーバーのグループが停止します。
# dcli -l root -g cell_group shutdown -h -y now
例13-1に、dcli
ユーティリティを使用して同時に複数のサーバーを停止する場合のラックの電源切断手順を示します。コマンドは計算サーバーから実行されます。
リカバリ・アプライアンスの起動
最初にラック・コンポーネントに電源を投入してから、ソフトウェア・サービスを起動します。
リカバリ・アプライアンス・コンポーネントの起動
ラック・コンポーネントに電源を投入するには、次のいずれかの方法を使用します。
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コンポーネントの前面にある電源ボタンを押します。
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Oracle ILOMにログインして、システムに電源を供給します。「リモート・サーバーの電源投入」を参照してください。
起動順序
次の手順でラック・コンポーネントに電源を投入します。
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ラックおよびスイッチ
スイッチが初期化するのを数分待ってから、ストレージ・サーバーを起動します。
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ストレージ・サーバー
ストレージ・サーバーですべてのサービスが開始されるまで5から10分待ちます。必ず初期化が終了してから、計算サーバーを起動します。
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計算サーバー
計算サーバーの電源が投入されると、オペレーティング・システムとOracle Clusterwareが自動的に起動します。Oracle Clusterwareは、自動的に起動する構成のすべてのリソースを起動します。
リモート・サーバーの電源投入
Oracle ILOMインタフェースを使用すると、リモートでリカバリ・アプライアンス・サーバーの電源を投入できます。Oracle ILOMにアクセスするには、Webコンソール、コマンドライン・インタフェース(CLI)、Intelligent Platform Management Interface (IPMI)またはSimple Network Management Protocol (SNMP)を使用します。
たとえば、IPMIを使用してサーバーra01cel01
に電源を供給するには、次のようなコマンドでそのOracle ILOMを使用します。
# ipmitool -H ra01cel01-ilom -U root chassis power on
コマンドを使用するサーバーにIPMItoolがインストールされている必要があります。
関連項目:
Oracle ILOMを使用してサーバーの電源を投入する方法の詳細は、Oracle Integrated Lights Out Manager (ILOM) 3.0ドキュメントを参照してください。
リカバリ・アプライアンス・ソフトウェアの起動
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root
としてリカバリ・アプライアンス計算サーバーにログインします。 -
Oracle Cluster Ready Services (CRS)が実行されていることを確認します。
# $GRID_HOME/bin/crsctl status server NAME=radb07 STATE=ONLINE NAME=radb08 STATE=ONLINE
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CRSが実行されていない場合は、起動します。
# $GRID_HOME/bin/crsctl start cluster -all CRS-2672: Attempting to start 'ora.evmd' on 'radb07' CRS-2672: Attempting to start 'ora.cssdmonitor' on 'radb07' CRS-2672: Attempting to start 'ora.cssdmonitor' on 'radb08' . . . #
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oracle
ユーザーに切り替えます。 -
リカバリ・アプライアンスを起動します。
[root@myhost ~]# racli start appliance
操作のうち、ここでは次が実行されます:
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Oracle Databaseを起動します
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Oracle Secure Backupが有効な場合、このサービスが起動されます。
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Oracle Databaseに接続します。
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リカバリ・アプライアンスのステータスをチェックします。
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サービスがオフの場合は、サービスを起動します。
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キーストアが有効化されます。
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