シナリオ#1: リカバリ・アプライアンスにバックアップを送信するための複数の保護されたデータベースの構成
Enterprise Managerを使用して、複数の保護されたデータベースの構成を管理します。
リカバリ・アプライアンス管理者が保護されたデータベースを登録した後、バックアップおよびREDOをリカバリ・アプライアンスに送信するためにデータベースをローカルで構成する必要があります。この構成手順は、Enterprise Manage (EM)の「バックアップ設定」ページから個々のデータベースに対して実行できます。ただし、EMユーザー・インタフェースを介して複数のデータベースに対してこの手順を実行するのは実用に向かない場合もあります。
複数のデータベースの登録は、EMコマンドライン・インタフェース(EMCLI)およびconfigure_db_ha -configureRABackupコマンドを使用することでより簡単に実現できます。これは複数のデータベースの構成手順を同時に実行します。
次の例では、個々のデータベースおよび複数のデータベースの初期構成を実行するための、このコマンドの様々な使用方法を示します。
単一インスタンス・データベース
次のemcli configure_db_ha –configureRABackupの例では、バックアップおよびREDOをリカバリ・アプライアンスに送信する単一インスタンス・データベースを構成します。
RMANバックアップ・モジュールがデータベースのOracleホームにすでにインストールされている場合、ソフトウェア・ライブラリから最新のRMANバックアップ・モジュールはインストールされません。このコマンドは、EM名前付きデータベースおよびホスト資格証明を使用します。
emcli configure_db_ha –configureRABackup –ra_target_name="Chicago ZDLRA" –ra_user="rauser1" –target_name="Finance" –target_type="oracle_database" –db_cred="DB_USER" –db_host_cred="DB_HOST_USER" –enable_redo_ship
1つのクラスタ・データベース
次のemcli configure_db_ha –configureRABackupの例では、バックアップをリカバリ・アプライアンスに送信する1つのクラスタ・データベースを構成します。
このコマンドでは–enable_redo_shipオプションを使用しないため、REDOログは送信されません。–force_backup_module_installオプションは、最新のRMANバックアップ・モジュールをソフトウェア・ライブラリから各クラスタ・データベース・インスタンスのOracleホームにインストールすることを指定します。このコマンドは、EM名前付きデータベースおよびホスト資格証明を使用します。
emcli configure_db_ha –configureRABackup –ra_target_name="Chicago ZDLRA" –ra_user="rauser1" –target_name="Finance" –target_type="rac_database" –force_backup_module_install
単一インスタンスおよびクラスタ・データベース
次のemcli configure_db_ha –configureRABackupの例では、入力ファイル–input_file="/tmp/dblist"を使用して、構成する単一インスタンスおよびクラスタ・データベースを指定します。
–enable_redo_shipオプションを指定すると、バックアップおよびREDOログがリカバリ・アプライアンスに送信されます。–force_backup_module_installオプションは、最新のRMANバックアップ・モジュールをソフトウェア・ライブラリから各データベースのOracleホームにインストールすることを指定します。このコマンドでは、すべてのデータベースで同じEM名前付きデータベースとホスト資格証明が使用されます。
emcli configure_db_ha –configureRABackup –ra_target_name="Chicago ZDLRA" –ra_user="rauser1" –input_file="/tmp/dblist" –db_cred="DB_USER" –db_host_cred=" DB_HOST_USER" –enable_redo_ship –force_backup_module_install –staging_directory=”/tmp/stage"
この例で使用されている入力ファイル/tmp/dblistの内容は、単一インスタンス・データベースおよびクラスタ・データベースを指定します
target.0.target_name=db1
target.0.target_type=oracle_database
target.1.target_name=rac1
target.1.target_type=rac_database入力ファイルからの複数のデータベース
次のemcli configure_db_ha –configureRABackupの例では、入力ファイル–input_file="/tmp/dblist"を使用して、構成するデータベースを指定します。
–enable_redo_shipオプションを指定すると、バックアップおよびREDOログがリカバリ・アプライアンスに送信されます。RMANバックアップ・モジュールがデータベースのOracleホームにすでにインストールされている場合、ソフトウェア・ライブラリから最新のRMANバックアップ・モジュールはインストールされません。-scheduleオプションは、操作の将来の時間を設定します。このコマンドでは、すべてのデータベースで同じEM名前付きデータベースとホスト資格証明が使用されます。
emcli configure_db_ha –configureRABackup –ra_target_name="Chicago ZDLRA" –ra_user="rauser1" –input_file="/tmp/dblist" –db_cred="DB_USER" –db_host_cred="DB_HOST_USER" –enable_redo_ship -schedule="start_time:2016/06/28 18:31;tz:PST;"
保護されたデータベースの構成のメンテナンス
emcli configure_db_ha -configureRABackupコマンドのバリエーションを必要に応じて同じデータベースに対して再実行して、構成を更新することもできます。
ローカル・データベース構成のすべての側面(ウォレット、バックアップ・モジュール、RMAN構成など)は、コマンドによって起動されるEMデプロイメント・プロシージャによって必要に応じて自動的に更新されます。このようにして、複数のデータベースの構成の継続的なメンテナンスを1つのコマンドで行うことができます。
メンテナンス・シナリオの例を次に示します。
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VPCユーザー・パスワードの変更後に、保護されたデータベースごとに使用される仮想プライベート・カタログ(VPC)資格証明を更新して、リカバリ・アプライアンスにバックアップを送信します。VPCユーザーに対応するEM名前付き資格証明が更新済(このVPCユーザーを使用するEM操作に必要)であることを前提として、EMデプロイメント・プロシージャによって、すべての保護されたデータベースのウォレットが新しい資格証明で自動的に更新されます。
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保護されたデータベースごとのすべてのOracleホームでリカバリ・アプライアンスRMANバックアップ・モジュールを更新します。これは、保護されたデータベース構成全体の一部として、またはスタンドアロン操作として個別に実行できます。データベース構成時に
-force_backup_module_installオプションが指定された場合、EMデプロイメント・プロシージャは、各Oracleホームのバックアップ・モジュールをEMソフトウェア・ライブラリに存在する最新バージョンで更新します。 -
リカバリ・アプライアンスへのREDO送信がまだ有効になっていないデータベースで、REDO送信を有効にします。これは、
-enable_redo_shipオプションと、REDO送信を有効にするデータベースをリストした入力ファイルを指定してコマンドを再実行することで行うことができます。
完全な構文および入力ファイルの形式については、EMコマンドライン・インタフェースを参照してください。