買掛/未払金トランザクションに対する税金処理の例
税金決定プロセスでは、税金構成設定およびOracle Fusion Payablesトランザクションの詳細を使用して、トランザクションに適用する税金、およびトランザクションに適用する各税金に対する税額の計算方法を決定します。
Oracle Fusion Taxには、標準請求書、前払金請求書、クレジット・メモ、デビット・メモおよび経費精算書のPayablesイベント区分に対する税金計算が用意されています。税金決定要因は、トランザクション・ヘッダーおよびトランザクション明細の一部です。デフォルト値をレビューし、必要に応じて上書きできます。税金は、税金明細にアクセスする際の検証時に、または「税金の計算」処理によって、自動的に計算されます。
次の各項では、買掛/未払金トランザクションに対する税金処理の例を説明します。
-
標準請求書
-
購買オーダーと照合された請求書
-
前払金および充当済前払金の請求書
-
価格訂正
-
自己申告税金明細
標準請求書
Oracle Fusion Taxでは、文書詳細および関連する税金構成に基づいて、トランザクション税金が自動的に計算されます。税金設定時に指定したセキュリティ設定およびオプションに応じて、次の操作を実行できます。
-
税金属性を上書きして、計算された税金を変更
-
手動税金明細の入力
購買オーダーと照合された請求書
購買オーダーに対して適用可能な税金を自動的に決定するには、Oracle Fusion PurchasingをOracle Fusion Taxと統合します。購買オーダーのヘッダーおよび明細に、税金決定要因と呼ばれる主要な税金関連情報を指定します。この情報は、他のトランザクション情報および定義されている税金設定とともにOracle Fusion Taxで使用され、購買オーダーに適用可能な税金が計算されます。
購買オーダーに対する税金は表示専用で計算されるため、たとえば、税金詳細を直接更新したり上書きすることはできません。ただし、修正された情報に基づいて税金を再計算できるように、購買オーダーの税金決定要因は変更できます。
税金は、購買依頼に対しても見積モードで計算されます。計算された税金は参照目的にのみ使用できます。購買依頼に適用可能な計算済税額合計の控除対象外部分は、購買依頼承認金額の一部として表示されます。購買依頼から購買オーダーを作成する場合は、購買依頼で使用可能な税金決定要因が購買オーダーにコピーされ、購買オーダー日時点で使用可能な税金設定に基づいて税金が再計算されます。
請求書を購買オーダーと照合してPayablesで請求書を作成する場合は、購買オーダー税金明細および税金関連情報が請求書にコピーされ、税金が再計算されます。税金計算に使用される税率は、常に請求日から導出されます。
購買オーダー日と請求日で税率が変わらなかった場合、税金計算による請求書の税金明細は、購買オーダー出荷明細と同じになります。購買オーダー日と請求日で税率が変更された場合は、税金計算で同じ税金明細になります(ただし、使用される税率は請求日に対応します)。
請求書に対する配分の作成時に、Oracle Fusion Taxによって請求書に適用可能な税金と購買オーダーで計算された税金が比較され、2つの差について差異が生成されます。請求書と購買オーダーとの間に生じる可能性がある税金の偏差には、次の原因が考えられます。
-
税金が購買オーダーに適用され、請求書には適用されない: 税金明細は、ゼロの金額で請求書に表示されます。税金配分には、1つがプラスの金額、もう1つがマイナスの同じ金額の2つの税金明細が表示されます。
-
税金が購買オーダーと請求書の両方に適用されるが、異なる金額で適用される: 税金明細は、請求書によって計算された税額で表示されます。税金配分には、購買オーダーの税額に等しい税額の明細、および購買オーダーの税額と請求書の税額の差異に相当する税額の明細の2つの税金明細が表示されます。
照合された購買オーダーと請求書との税額の差異は、請求価格の変更、適用可能な税率の変更、または換算レートの変更(外貨請求書の場合)によって生じる可能性があります。これらの差異の取得には、異なる配分タイプが使用されます。次のものがあります。
-
税金請求価格差異: 請求価格に対する変更の場合
-
税率差異: 適用可能な税率に対する変更の場合
-
税金換算レート差異: 換算レートの変更の場合
適用可能な構成所有者およびイベント区分の「参照文書から税金を決定」税金オプションが使用可能になっている場合、請求書の税金明細には、購買オーダーから対応する税率コードおよび税金控除率コード(適用可能な場合)が継承されますが、税金計算で実際に使用される実際の税率および控除率は、請求日に対応する控除率の期間に対して定義されたレートになります。
-
自己申告税および税込は、購買オーダーの税金機能の一環として処理されません。
次の表は、購買オーダーと照合された3つの請求書と、結果として生じる差異タイプの例です。
文書 |
数量 |
価格 |
請求書通貨 |
税金通貨 |
換算レート |
税率 |
税額 |
差異タイプ |
差異金額 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
購買オーダー |
10 |
100 |
CAD |
USD |
1 |
10% |
100 |
||
請求書-A |
10 |
90 |
CAD |
USD |
1 |
10% |
90 |
税金請求価格差異 |
10 CAD |
請求書-B |
10 |
100 |
CAD |
USD |
1 |
12% |
120 |
税率差異 |
20 CAD |
請求書-C |
10 |
100 |
CAD |
USD |
1.5 |
10% |
100 |
税金換算レート差異 |
50 USD |
前払金および充当済前払金の請求書
請求書に前払金を充当する場合、前払い時点の税率は、前払いを請求書に充当する時点の税率と異なる可能性があります。Oracle Fusion Taxでは、税金レコードの「消込済金額処理」オプションに割り当てられた値に従って、前払いに関して計算された税金が考慮されます。値には「再計算済」と「按分済」があります。
たとえば、合計金額が10,000 USDの請求書に5,000 USDの前払金額を充当します。前払いの時点で適用可能な税率は5% (前払いでの税金が250 USD)で、請求書の作成時点で適用可能な税率は10%です。税金は次のような方法で計算されます。
-
再計算済: 請求書の税率を使用して前払いに対する税金が再計算され、同じ税率が請求書明細金額に適用されます。税金計算では、請求書明細金額に対する税金明細と、前払いに対する税金明細(マイナスの金額)の2つの税金明細が作成されます。請求書の例では、請求書明細金額の税金明細としての1,000 USD (10% * 10,000 USD)と、前払いの税金明細としての-500 USD (10% * -5000 USD)が作成されます。充当された前払金額には、請求書に対して計算された税金が戻し処理されます。前払いに対して計算された税金は保持されます。
-
按分済: 前払いに対して計算された税金は戻し処理され、請求書明細に適用された税率は保持されます。税金計算では、請求書明細金額に対する税金明細と、前払いに対する税金明細(マイナスの金額)の2つの税金明細が作成されます。請求書の例では、請求書明細金額の税金明細としての1,000 USD (10% * 10,000 USD)と、前払いの税金明細としての-250 USD (5% * -5000 USD)が作成されます。税金の合計は750 USDです。
価格訂正
Payablesでは、既存の請求書の数量または金額を訂正するために、新しい請求書を作成できます。訂正によって明細金額が変更(プラスまたはマイナス)されることになります。訂正された当初の請求書の税金に比例して、価格訂正の結果として作成された新しい請求書に対して税金が計算されます。たとえば、当初の請求書には100 USDの明細金額および5 USDと10 USDの2つの税金明細が記載されています。価格訂正によって明細金額から20 USDを減額すると、新しい請求書には-1 USDおよび-2 USDの2つの税金明細が作成されます。
多くの国では、請求書に表示する値を登録するか、請求書を否認する必要があります。すでに支払っている場合は、金額が訂正された新しい請求書および当初の請求書金額に対する控除を要求します。
自己申告税金明細
サプライヤによる税金の徴収はないが、購入者が支払うものと見なされる場合は、受け取る請求書に対して計算された税金を自己申告できます。自己申告を請求書に適用する場合、自己申告税は請求書合計には含まれないため、税金に対するトランザクション明細は作成されません。ただし、「詳細税金明細」リージョンにアクセスすると、自己申告税が計算されて表示されます。さらに、自己申告税の影響を未回収請求書残高として打ち消すように、Payablesの補助元帳で相殺配分が作成されます。相殺税およびレポート専用の税金を使用して税金を自己申告することもできます。相殺税レコードは、税金トランザクションに登録された税債務を削減または完全に相殺するマイナス金額を備えた、一致する重複レコードです。レポート専用の税金では請求書配分は作成されませんが、税金レポート用にトランザクションの追加税金情報を取得するために使用できます。
たとえば、自己申告税を使用して、サプライヤからの1000 USDの請求書を入力します。サプライヤは税金を請求書に計上しませんでしたが、税務処理基準に従って、購入者として品目に対する5%の税金を税務当局に支払う義務があります。自己申告税額は50 USDです。税金設定で自己申告税が許可されている場合は、50 USDが自己申告税額として請求書に適用されます。自己申告税の金額は、サプライヤに支払う金額には影響しません。自己申告税に関して、Payablesの補助元帳での会計借方エントリによって自己申告税費用が取得され、Payablesの補助元帳での対応する会計貸方エントリによって自己申告税債務が取得されます。