労務スケジュール

労務スケジュールを使用して、個人の給与原価を配分する際に使用する必要がある、プロジェクトおよび非プロジェクト・ベースのルールを指定します。労務配分管理者は、個人割当および支払要素を使用して、「労務費配分」作業領域で労務スケジュールを作成します。

労務スケジュール・コンポーネント

労務スケジュールには、次の3つのコンポーネントが含まれています。

  • 労務スケジュール・ヘッダー: 労務スケジュール・タイプを定義します。

  • 労務スケジュール・バージョン: 労務スケジュールの適用可能なバージョン。

  • 労務スケジュール・バージョン配分ルール: 労務スケジュール・バージョンに関連付けられたコストの配分方法を決定するルール。

労務スケジュール・ヘッダー: 考慮事項

労務スケジュール・ヘッダーでは、労務スケジュールの最上位レベルを定義し、必要な属性が適切に定義されるようにして労務スケジュール・タイプに関連付けます。これらの属性を使用して、給与原価を評価し、原価の配分に使用する必要がある適用可能なバージョンとルールを決定できます。

要素レベルの労務スケジュールを作成および保守する機能を削除できます。詳細は、要素レベルの労務スケジュール保守権限の削除を参照してください。

労務スケジュール・バージョン: 考慮事項

  • 各労務スケジュール・バージョンには開始日と終了日があり、その期間に対してのみアクティブです。1つの労務スケジュール・ヘッダーに複数の労務スケジュール・バージョンを設定できますが、特定の労務スケジュール・タイプの1つの労務スケジュール・バージョンのみを任意の時点でアクティブにできます。

    たとえば、特定の期間に1人の個人に対して1つの支払要素労務スケジュールおよび1つの割当労務スケジュールをアクティブ化できますが、同じ期間に1人の個人に対して2つの割当労務スケジュールをアクティブにすることはできません。

  • 労務スケジュール・バージョンのステータスを「アクティブ」または「非アクティブ」に設定した後は、ステータスを「新規」に戻すまで、開始日と終了日を変更できません。ただし、別のアクティブな労務スケジュールと重複しないかぎり、非アクティブ・バージョンのステータスを「アクティブ」に直接変更することはできます。

労務スケジュール・バージョン配分ルール: 考慮事項

  • 1つの労務スケジュール・バージョンに複数の配分ルールを設定でき、1つの労務スケジュール内のすべての配分ルールの合計は、0より大きく100%以下にする必要がありますが、これを超えることはできません。
  • すべての配分ルールの合計が100%未満の場合は、給与原価のインポート・プロセスによって、残りの給与原価を配分するための差分コストが生成されます。

労務スケジュール・タイプ

労務スケジュールには、次の3つのタイプがあります。

  • 個人割当: 関連する個人割当に基づいて給与原価を配分します。

  • 支払要素: 個人の割当に関係なく、給与原価に関連付けられた給与要素を使用して給与原価を配分します。このタイプはビジネス・ユニットごとにも定義され、給与原価の個人割当からビジネス・ユニットが導出されます。

  • 個人割当支払要素: 個人の割当と給与原価レコードの支払要素の組合せを使用して、給与原価を配分します。この配分により、詳細なビジネス要件を満たすために必要な個人割当および支払要素のルールを指定できます。

労務スケジュール・タイプに基づく給与原価配分の優先度

インポートされた給与原価に3つの労務スケジュール・タイプすべてを適用する必要がある場合、アプリケーションでは、最初に、割当要素の労務スケジュール・タイプを介して給与原価を処理します。次に、支払要素労務スケジュール・タイプを介して給与原価を処理し、最後に、個人割当タイプを介して処理します。

たとえば、あるリソースに次のコストが含まれているとします:

  • プロジェクト・スポンサが負担する個人割当原価

  • 雇用会社が負担する授業料払戻支払要素の原価

  • 一部のプロジェクトによって負担され、その他のプロジェクトでは負担されない駐車料金の支払要素の原価。労務スケジュールを介してプロジェクトに請求する個人は支払要素を指定するように求められます。

これらの各コストは、リソースに適用可能な労務スケジュールに対して評価され、その際、労務スケジュールには優先度があります。したがって、各コストについて、アプリケーションでは、最初にコストと一致する可能性のある割当要素労務スケジュールが検索され、次に、一致する可能性のある支払要素労務スケジュールが検索され、最後に、一致する可能性のある個人割当労務スケジュールが検索されます。

たとえば、前述の3つのリソース・コストは、次の順序で処理されます:

ノート:

太字は一致を示します。

  • プロジェクト・スポンサが負担する個人割当原価
    • 割当要素労務スケジュール
    • 支払要素労務スケジュール
    • 割当労務スケジュール
  • 雇用会社が負担する授業料払戻支払要素の原価
    • 割当要素労務スケジュール
    • 支払要素労務スケジュール
    • 割当労務スケジュール
  • 一部のプロジェクトによって負担され、その他のプロジェクトでは負担されない駐車料金の支払要素の原価。労務スケジュールを介してプロジェクトに請求する個人は支払要素を指定するように求められます
    • 割当要素労務スケジュール
    • 支払要素労務スケジュール
    • 割当労務スケジュール

労務スケジュールのコンポーネント、タイプおよび配分: 例

次に、労務スケジュール・コンポーネントを使用して労務スケジュールを作成する方法、様々なタイプの労務スケジュールを作成する方法、および実行時にこれらを配分する方法を説明する例を示します。

Vision City OperationsのアナリストであるLarry Scanlonは、次のパーソナライズされた労務スケジュールを持っています:

労務スケジュール・タイプ 労務スケジュール・ヘッダー 労務スケジュール・バージョン 配分ルール
割当 Larry Scanlon - アナリスト バージョン1: 2019年7月1日 - 2020年6月30日、アクティブ P1-T1-A1 (50%)
GL: 000-001-0400 (50%)
バージョン2 : 2020年7月1日 - 2021年6月30日 : 新規 GL: 000-001-0510 (100%)
割当要素 Larry Scanlon - アナリスト - 駐車場 バージョン1 : 2019年7月1日 - 2020年6月30日 : アクティブ P2-T1-A1 (50%)
GL: 000-001-0510 (50%)
バージョン2 : 2020年7月1日 - 2021年6月30日 : アクティブ GL: 000-001-0510 (100%)

Vision City Operationsの部長であるHector Camposは、次のパーソナライズされた労務スケジュールを持っています:

労務スケジュール・タイプ 労務スケジュール・ヘッダー 労務スケジュール・バージョン 配分ルール
割当 Hector Campos - プロジェクト・マネージャ バージョン1 : 2019年7月1日 - 2020年6月30日 : 非アクティブ P4-T2-A4 (50%)
GL: 000-001-0400 (50%)
バージョン2 : 2019年7月1日 - 2020年6月30日 : アクティブ P1-T1-A1 (50%)
GL: 000-001-0400 (50%)
バージョン3 : 2020年7月1日 - 2021年6月30日 : アクティブ GL: 000-001-0510 (100%)
Hector Campos - 部長 バージョンなし

さらに、Vision City Operationsには、すべての従業員の給与に対して、次の労務スケジュールによって管理される、2つの支払要素コンポーネントが用意されています:

労務スケジュール・タイプ 労務スケジュール・ヘッダー 労務スケジュール・バージョン 配分ルール
要素 車両手当- Vision City Operations バージョン1 : 2019年7月1日 - 2020年6月30日 : アクティブ GL: 000-410-0000 (100%)
駐車場- Vision City Operations バージョン1 : 2019年7月1日 - 2020年6月30日 : アクティブ GL: 000-710-0000 (100%)

これらをまとめると、この2人の従業員について、労務スケジュールは次のようになります:

Larry ScanlonおよびHector Campos用に作成された労務スケジュールを示す図

次の表は、前述の労務スケジュールに基づいた給与の配分を示しています。「給与原価のインポート」プロセスにより、属性の組合せに一致するコスト・レコードが、適用される労務スケジュール・バージョンおよび配分ルールに対して評価されます。

ヘッダー バージョン 配分ルール 使用の説明

Larry Scanlon (アナリスト)

割当タイプ

バージョン1

開始 = 2019年7月1日

終了 = 2020年6月30日

ステータス = アクティブ

1. プロジェクト1-タスク1-交付1 (50%)

2. GL: 000-001-0400 (50%)

このバージョンはアクティブ・ステータスであり、「給与原価のインポート」プロセスで、適用可能な給与原価の配分に使用されます。

Larry Scanlonおよびそのアナリストとしての割当と一致し、支払期間の開始日と終了日が2019年7月1日から2020年6月30日までであるインポート済給与原価は、ルールで定義されたとおりに配分されます。

Larry Scanlon

(アナリスト - 駐車場)

割当 / 要素タイプ

バージョン1

開始 = 2019年7月1日

終了 = 2020年6月30日

ステータス = アクティブ

1. プロジェクト2-タスク1-交付1 (50%)

2. GL: 000-001-0510 (50%)

このバージョンはアクティブ・ステータスであり、「給与原価のインポート」プロセスで、一致する支払要素属性が「駐車場」である適用可能な給与原価の配分に使用されます。

Larry Scanlon、そのアナリストとしての割当および支払要素「駐車」と一致し、支払期間の開始日と終了日が2019年7月1日から2020年6月30日までであるインポート済給与原価は、ルールで定義されたとおりに配分されます。

優先度に基づいて、このルールが、これらの特定の給与レコードについて優先されます。

Larry Scanlon (アナリスト)

割当タイプ

バージョン2

開始 = 2020年7月1日

終了 = 2021年6月30日

ステータス = 新規

1. GL: 000-001-0510 (100%)

このバージョンは新規ステータスであり、「給与原価のインポート」プロセスで、適用可能な給与原価の配分には使用されません。

Larry Scanlonおよびそのアナリストとしての割当と一致し、支払期間の開始日と終了日が2020年7月1日から2021年6月30日までであるインポート済給与原価は、棄却されます。

Larry Scanlon

(アナリスト - 駐車場)

割当 / 要素タイプ

バージョン2

開始 = 2019年7月1日

終了 = 2020年6月30日

ステータス = アクティブ

1. GL: 000-001-0510 (100%)

このバージョンはアクティブ・ステータスであり、「給与原価のインポート」プロセスで、一致する支払要素属性が「駐車場」である適用可能な給与原価の配分に使用されます。

Larry Scanlon、そのアナリストとしての割当および支払要素「駐車」と一致し、支払期間の開始日と終了日が2020年7月1日から2021年6月30日までであるインポート済給与原価は、ルールで定義されたとおりに配分されます。

優先度に基づいて、このルールがこれらの特定の給与レコードについて優先され、他の支払要素は、上の行で定義されているように棄却されます。

Hector Campos (プロジェクトマネージャ)

バージョン1

開始 = 2019年7月1日

終了 = 2020年6月30日

ステータス = 非アクティブ

1. プロジェクト4-タスク2-交付4 (50%)

2. GL: 000-001-0400 (50%)

このバージョンは非アクティブ・ステータスであり、「給与原価のインポート」プロセスで、適用可能な給与原価の配分には使用されません。
Hector Campos (プロジェクトマネージャ)

バージョン2

開始 = 2019年7月1日

終了 = 2020年6月30日

ステータス = アクティブ

1. プロジェクト1-タスク1-交付1 (50%)

2. GL: 000-001-0400 (50%)

このバージョンはアクティブ・ステータスであり、「給与原価のインポート」プロセスで、適用可能な給与原価の配分に使用されます。

Hector Camposおよびそのプロジェクトマネージャとしての割当と一致し、支払期間の開始日と終了日が2019年7月1日から2020年6月30日までであるインポート済給与原価は、ルールで定義されたとおりに配分されます。

Hector Campos (プロジェクトマネージャ)

バージョン3

開始 = 2020年7月1日

終了 = 2021年6月30日

ステータス = アクティブ

1. GL: 000-001-0510 (100%)

このバージョンはアクティブ・ステータスであり、「給与原価のインポート」プロセスで、適用可能な給与原価の配分に使用されます。

Hector Camposおよびそのプロジェクトマネージャとしての割当と一致し、支払期間の開始日と終了日が2020年7月1日から2021年6月30日までであるインポート済給与原価は、ルールで定義されたとおりに配分されます。

Hector Campos (部長) なし

この個人と割当には、「給与原価のインポート」プロセスで、適用可能な給与原価の配分に使用できる労務スケジュールがありません。

Hector Camposとそのプロジェクト・マネージャとしての割当と一致するインポート済給与原価は、棄却されます。

車両手当(Vision City Operations)

バージョン1

開始 = 2019年7月1日

終了 = 2020年6月30日

ステータス = 非アクティブ

1. GL: 000-410-0000 (100%)

「給与原価のインポート」プロセスでは、Vision City Operationsのビジネス・ユニット内の支払要素が車両手当である割当について、すべての給与原価が配分されます。このタイプの労務スケジュールは2番目の優先度であるため、同じ日に個人割当要素レベルで車両手当の労務スケジュールが存在する場合は、それらの労務スケジュールが該当する日数優先されます。

支払要素が車両手当で、支払期間の開始日と終了日が2019年7月1日から2020年6月30日までであるHector CamposとLarry Scanlonのインポート済給与原価は、ルールで定義されたとおりに配分されます。

駐車場(Vision City Operations)

バージョン1

開始 = 2019年7月1日

終了 = 2020年6月30日

ステータス = 非アクティブ

1. GL: 000-710-0000 (100%)

「給与原価のインポート」プロセスでは、Vision City Operationsのビジネス・ユニット内の支払要素が駐車場である割当について、すべての給与原価が配分されます。このタイプの労務スケジュールは2番目の優先度であるため、同じ日に個人割当要素レベルで駐車場の労務スケジュールが存在する場合は、それらの労務スケジュールが該当する日数優先されます。

支払要素が駐車場で、支払期間の開始日と終了日が2019年7月1日から2020年6月30日までであるHector Camposのインポート済給与原価は、これらのルールで定義されたとおりに配分されます。

支払要素が駐車場で、支払期間の開始日と終了日が2019年7月1日から2020年6月30日までであるLarry Scanlonのインポート済給与原価は、Larryについて前述の割当要素労務スケジュールで定義されたとおりに配分されます。