Enterprise Managerで重点的に管理する分野

この項では、重点的に管理する次の分野について簡単に説明します。

フレームワークとインフラストラクチャ

Enterprise Managerは、データ・センター管理のための重要なツールです。セキュアで、スケーラブルかつ可用性の高いフレームワークを持っています。次世代のユーザー・インタフェースとともに、様々なロールにあわせてカスタマイズできる、リッチで直感的なコンソールを提供します。また、Enterprise Managerフレームワークには、自己更新などの高度な機能があります。自己更新は、ターゲットのプラグイン、コンプライアンス・ポリシーおよびデプロイメント・プロシージャなどの主要コンポーネントを、新しいバージョンが提供されるようになったときに自動的に更新できる機能です。

Enterprise Managerフレームワークはエンタープライズ対応であり、エンタープライズ・データ・センターをスムーズに運用できるよう重要な業務処理を管理およびモニターするために設計されています。

エンタープライズ・モニタリング

世界最高クラスのエンタープライズ・モニタリングとは、インフラストラクチャおよびアプリケーションのステータスをモニタリングし、インシデントの発生時に適切なIT担当者に通知し、ITおよびビジネス部門の各関係者にステータス、履歴および傾向をレポートすることです。Enterprise Managerでは、ITインフラストラクチャ(OracleおよびOracle以外)のすべてのコンポーネントおよびそれらで実行されているアプリケーションとサービスをモニタリングするための基盤として、充実したモニタリング機能が提供されます。これらの機能により、IT部門は業務の優先順位に従ってプロアクティブに問題をモニターおよび解決し、モニタリングのための業務上のベスト・プラクティスを導入し、業務目標をサポートする一貫性のある高品質なサービスを提供することができます。

アプリケーション管理

Oracleでは、Oracle E-Business Suite、Siebel、Peoplesoftなどのアプリケーションのための、すぐに使用できる高度なアプリケーション管理ソリューションが提供されています。これらのソリューションに備えられているエンドツーエンドの統合アプリケーション・モニタリングおよび管理機能により、可用性、予測可能性、信頼性が向上します。Enterprise Managerの管理機能としては、ユーザー・エクスペリエンス管理、パフォーマンス管理、変更および構成管理、パッチ適用、プロビジョニング、テスト、統合診断、自動チューニングなどがあります。

Enterprise Managerでは、カスタム・アプリケーション、カスタム統合、カスタム拡張を管理するための高度な管理機能も提供されています。

データベース管理

Enterprise Managerは、Oracle Database環境を管理するための最高のツールです。

データベースの管理には、企業内のデータベースおよびデータベース・グループの監視、管理および保守が含まれ、Enterprise Managerを使用することで次のことが得られます。

  • Oracle Databaseを管理するための完全な統合機能のセット。これにより、次のことが可能になります。
    • 日々のタスクと反復的なジョブの実行
    • 問題の検出と、利用可能なガイド付き解決ワークフローの使用
  • 単一データベースまたは数千のインスタンスの管理を可能にするスケーラビリティ
  • デプロイメントが容易で使用しやすい管理製品

Enterprise Managerでは、Oracle Database Standard Edition One、Oracle Database Standard EditionおよびOracle Database Enterprise Editionの管理がサポートされています。ただし、Enterprise Managerで提供される幅広いデータベース管理機能すべてを使用するには、Oracle Database Enterprise Editionとともに次の管理パックが必要になります:

  • Oracle Diagnostics Pack
  • Oracle Tuning Pack
  • Oracle Database Lifecycle Management Pack
  • Oracle Data Masking and Subsetting Pack
  • Oracle Real Applicationテスト
  • Exadata管理パック
  • Zero Data Loss Recovery Appliance管理パック
  • レガシー: Configuration Management Pack for Oracle Database
  • レガシー: Change Management Pack for Oracle Database
  • レガシー: Provisioning and Patch Automation Pack for Oracle Database

Enterprise ManagerおよびOracle Databaseの一般的な概念については、次を参照してください:

次の各項では、Enterprise Managerで提供されるデータベース管理機能のいくつかに関する情報と、詳細情報へのリンクを示します。

データベース管理

Enterprise Managerを使用すると、Oracle Databaseを使用可能な状態に保ち、効率的に実行されるようにすることができます。

使用可能な管理ツールを使用して、データベース・オブジェクトを管理し、Oracleデータベース内でデータベース操作を開始できます。

次のリストに、実行できるデータベース管理タスクの一部を示します。

  • システム・ストレージを割り当て、将来のストレージ要件を計画します。
  • Oracle Schedulerを使用して、データベース環境における様々なタスクの発生時期と場所を制御します。
  • Oracle自動ストレージ管理を使用するようにデータベース・ストレージを移行します。
  • データベース・リソース・マネージャを使用して、データベース内の実行スケジュールを制御することで様々なセッション間でのリソースの配分を制御します。
  • 表、ビュー、索引などのプライマリ・データベース・オブジェクトを作成および管理します。
  • Oracle XML DB構成ファイルのパラメータの表示や編集など、Oracle XML DBの管理タスクを実行します。
  • データの要約、計算、複製、および配布に使用できるスキーマ・オブジェクトであるマテリアライズド・ビューに対する特定のアクションを作成、管理、および実行します。

詳細は、次を参照してください。

データベースのメンテナンス

Enterprise Managerでは、Oracle Databasesをメンテンスするための機能が用意されています。

次のリストに、実行できるデータベース・メンテナンス・タスクの一部を示します。

  • 次のようなバックアップおよびリカバリ機能を使用します。
    • Oracle’s Recovery Manager (RMAN)コマンドライン・クライアントに組み込まれた物理的なバックアップおよびリカバリ。
    • 完全またはPoint-in-Timeのメディア・リカバリ。
    • フラッシュバック・リカバリ。これは、物理的および論理的バックアップに対する効率的で簡便な代替手段として、一連の物理的および論理的データ・リカバリ・ツールを提供します。
  • Oracle Data Guardを構成し、その包括的な機能を使用してプライマリ・データベースおよびスタンバイ・データベースを管理および監視します。
  • 表領域のトランスポート・ウィザードを使用して、一連の表領域を1つのOracleデータベースから別のOracleデータベースにコピーします。
  • Oracle Real Application Clustersの監視
  • データベース高可用性(HA)コンソールを使用して、データベースHAを監視します。
  • データベースの最大可用性アーキテクチャ(MAA)アドバイザ・ページを使用して、コンピュータの障害、ストレージの障害、および人為的エラーなどの停止タイプに対して推奨されるOracleソリューションを表示します。

詳細は、次を参照してください。

データベース・パフォーマンス管理

Enterprise Managerでは、リアルタイムかつ自動のパフォーマンス診断およびモニタリングの機能を含む、包括的なデータベース・パフォーマンス管理ソリューションが提供されます。

このソリューションは、Oracle Diagnostics PackおよびOracle Tuning Packの一部として提供されます。これにより、データベース環境の問題領域を識別し、チューニング機能を使用してデータベースのパフォーマンスをチューニングできます。

次のリストに、実行できるパフォーマンス管理タスクの一部を示します。

  • データベースの状態およびパフォーマンスを監視し、データベースに対して実行されているワークロードを分析して、問題を識別します。
  • パフォーマンス・ハブを使用して、指定期間のアクティブ・セッション履歴(ASH)分析、監視対象のSQL文データを表示します。
  • 自動データベース診断モニター(ADDM)を使用して、パフォーマンスの問題を自動的に検出および診断します。
  • 自動ワークロード・リポジトリ(AWR)を使用して、データベースの問題検出と自己チューニングの目的でパフォーマンス統計を収集、処理、および維持することにより、データベースの統計収集を自動化します。
  • 次のチューニング・アドバイザを使用して、SQL文または文のセットを調べ、問題の対処方法とデータベース・パフォーマンスの最適化方法を決定します。
    • SQLチューニング・アドバイザ
    • SQLアクセス・アドバイザ
  • 次のReal Application Testingコンポーネントを使用して、Oracleデータベースの実際のテストを実行します。
    • SQLパフォーマンス・アナライザ
    • データベース・リプレイ

詳細は、次を参照してください。

データベース・セキュリティ管理

Enterprise Managerでは、データの保護やどのようにデータベースにアクセスし使用するかの制御のための、セキュリティ機能が提供されます。

次のリストに、実行できるデータベース・セキュリティ・タスクの一部を示します。

  • 柔軟なデータベース・アクセス制御ときめ細かな権限制御を使用して、データへのユーザー・アクセスを制限します。
  • エンタープライズ・ユーザーのセキュリティ機能を使用して、データベース・ユーザーおよび認可を1つの場所で管理します。
  • 透過的データ暗号化(TDE)を使用して、データベースへの書込み時にデータを自動的に暗号化し、データのアクセス時に自動的に複号化します。
  • Oracle Label Security (OLS)を使用して、データを分類し、セキュリティ・ラベルを使用してアクセスを制御します。
  • 仮想プライベート・データベース(VPD)を使用して、行と列のレベルで、データを保護するセキュリティ条件を使用してデータ・アクセスを実施します。
  • 強力なセキュリティ制御のためにOracle Database Vaultを使用して、権限のあるユーザーによる機密情報への不正アクセスを防止し、データベースに対する意図しない変更から保護できます。
  • データ・リダクションを使用して、マスクされたバージョンのデータを非特権ユーザーに提示することでデータを保護します。マスクされたバージョンのデータは、データのフォーマットおよび参照整合性を保持するため、データを使用するアプリケーションは想定どおりに引き続き機能します。
  • Oracle Data Masking and Subsetting (DMS)の使用により、機密データを検出し、そのデータを架空の実際的なデータでマスクし、そのデータを特定の条件に基づいてサブセット化して、非本番環境において安全かつ効率的に使用できるようにします。

詳細は、次を参照してください。

データベース・ライフサイクル管理

Enterprise Managerでは、そのDatabase Lifecycle Management Packにより、すべてを備えたデータベース・ライフサイクル管理ソリューションが提供されます。

このソリューションは、オンプレミス、クラウドまたはハイブリッド環境にデプロイされたOracleデータベースの完全なライフサイクル管理を提供します。

  • アセットの自動検出
  • パッチ適用およびアップグレード用のフリート・メンテナンス
  • データベース構成およびコンプライアンス管理
  • スキーマ変更管理
  • Hybrid Cloud管理

詳細は、次を参照してください。

ミドルウェア管理

Enterprise Managerでは、Oracle WebLogic Server、Oracle Fusion Middleware、およびOracle以外のミドルウェア・テクノロジのための、包括的な管理ソリューションが提供されます。これには、構成およびコンプライアンス管理、および次のようなミドルウェア・ソフトウェアでのプロビジョニングとパッチ適用を含む、すぐに使用可能な可用性およびパフォーマンスのモニタリング、堅牢診断、管理、ライフサイクル管理などが包括的に含まれます。

  • WebLogic Server

  • Coherence

  • Identity Management

  • WebCenter

  • Web Tier

  • Oracle以外のミドルウェア(JBoss Application ServerやIBM WebSphere Application Serverなど)

ハードウェアおよび仮想化管理

Enterprise Managerでは、物理および仮想サーバーのライフサイクル全般の管理のための、コスト効率のよい統合されたソリューションが提供されます。Enterprise ManagerがWebベースのユーザー・インタフェースを介して提供する包括的なプロビジョニング、パッチ適用、モニタリング、管理および構成管理機能によって、Oracle VM、Linux、UNIXおよびWindowsオペレーティング・システム環境の管理に伴う複雑性およびコストが大幅に削減されます。さらに、Oracle Sunハードウェアを使用する企業は、使用中のサーバー、ストレージおよびネットワーク・インフラストラクチャ・レイヤーを詳細に把握し、何千ものシステムをスケーラブルに管理することができます。Enterprise Managerは、お客様が仮想化およびクラウド・コンピューティングを速やかに導入して、ITリソースの最適化、ハードウェア使用率の改善、ITプロセスの合理化、コストの削減を実現するために役立ちます。Enterprise Managerは、OVM 3.0以降と統合されています。

異機種間(Oracle以外)管理

Enterprise Managerは、Oracleテクノロジ向けの最高の管理製品スイートである他、プラグインやコネクタと呼ばれる充実した拡張機能群により、異機種間データ・センター(Microsoft SQL ServerとJBoss Application Serverなど)の管理のための包括的なソリューションを提供します。Enterprise Managerの自己更新メカニズムにより、Oracle、Oracleの多数のパートナ、およびお客様自身が作成した拡張機能を、お客様がダウンロード/インポートおよびデプロイできるようになります。これらの拡張機能は、Oracle製品に使用されるものと同じ管理フレームワークで作成されるため、Oracle製品と同じレベルの安定性と豊富さが確保されています。

詳細は、Oracle Enterprise Manager Extensibility Exchangeを参照してください。

クラウド管理

エンタープライズ・クラウドにより、新たな管理上の課題が提示されています。仮想化へと動いている中、プライベート・クラウドの採用により期待される最大のメリットは、標準化によって作業を効率化してコストを削減できることです。ただし、正常な管理機能がなければ、クラウド・コンピューティングで期待される経済的利益は実現しません。

Enterprise Managerは、Oracleのクラウド・ライフサイクル全般管理ソリューションです。一元化されたポリシー・ベースのリソース管理とのバランスをとったセルフサービス・プロビジョニング、統合されたチャージバック、容量計画、アプリケーションからディスクまで物理環境および仮想環境の完全な可視性を含む、業界初の完全なソリューションです。

詳細は、『Oracle Enterprise Managerライセンス情報ユーザー・マニュアル』クラウド管理を参照してください。

Hybrid Cloud管理

Hybrid Cloud管理に関して、Enterprise Managerでは、オンプレミスおよびOracle Cloudのデプロイメントのモニタリングと管理をすべて同じ管理コンソールから実行するための"一元的な場所"が用意されています。Oracle Cloudサービスを処理するOracle Cloud仮想ホストにHybrid Cloudエージェントをデプロイすることで、他のターゲットを管理する場合と同じように、Oracle Cloudターゲットを管理できます。管理エージェントとオンプレミスのOracle Management Serviceインスタンスの間の通信は外部インタフェースから保護されています。Enterprise Managerでは、そのアーキテクチャの強化に加えて、トンネリングをサポートする外部HTTPプロキシの追加使用がサポートされており、このプロキシをOracle Cloudに接続するように構成できます。

ライフサイクル管理

ライフサイクル管理は、データベース、システム、アプリケーションの管理者が、Oracleテクノロジのライフサイクル管理に必要なプロセスを自動化するのに役立つ包括的なソリューションです。検出、初期プロビジョニング、パッチ適用、構成管理、継続的な変更管理に関連する、時間のかかる手動作業を排除することができます。さらに、このソリューションは業界標準および規制遵守標準をレポートおよび管理するための、コンプライアンス・フレームワークを提供します。最後に、Oracleと顧客との充実したコミュニケーションのために、すべてのオンプレミス・インストゥルメンテーションをリアルタイムでMy Oracle Supportに接続することができます。

アプリケーション・パフォーマンス管理

Enterprise Managerでは、カスタム・アプリケーションとOracleアプリケーションのための、すべてを備えたアプリケーション・パフォーマンス管理(APM)ソリューションが提供されます。APMソリューションはクラウドおよびエンタープライズ・データ・センター両方のデプロイメントを対象に設計されており、OracleプラットフォームとOracle以外のプラットフォームでサポートされています。

Oracle APMは、エンドツーエンドのモニタリングによるビジネス主導型のアプリケーション管理を提供します。

  • ユーザー・エクスペリエンス管理

  • Javaのモニタリングおよび診断

  • インフラストラクチャおよびアプリケーション・トポロジの多層検出

  • 実ユーザーのアクティビティおよびトランザクションのモニタリング・データに関する、充実したレポート機能および分析機能。

アプリケーション品質管理

Oracleのアプリケーション品質管理製品は、Oracle Database、Oracleパッケージ・アプリケーションおよびカスタムWebアプリケーションのための完全なテスト・ソリューションを提供します。

  • インフラストラクチャ・テスト: Real Application Testingでは、データベース・インフラストラクチャの現実的な本番規模のテストが可能です。実際の本番ワークロードを使用して、テスト中のデータベースに対する負荷を生成します。スクリプトの開発やメンテナンスは必要ありません。Real Application Testingでは、テスト時間を80%を超えて減らすことができます。これにより、データベース・インフラストラクチャの変更を検証するための最も効率的で最適化された最高品質のテストができます。

  • テスト・データ管理: Oracleのテスト・データ管理およびデータ・マスキングでは、OracleおよびOracle以外のデータベースに、Oracleパッケージ・アプリケーション用のデフォルト・テンプレートを使用した、自動化された効率的かつセキュアなテスト・システム作成機能を提供します。