Enterprise Managerアーキテクチャ
この項では、Enterprise Managerのアーキテクチャの概要を示し、この製品のコア・コンポーネントについて説明します。次の項が含まれます:
Enterprise Managerのアーキテクチャ
Enterprise Managerには次のコンポーネントが含まれています:
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Oracle Management Agent
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Oracle Management Service
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Oracle Management Repository
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プラグイン
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Enterprise Managerコンソール
図1-2はEnterprise Managerの構成の一例を示したもので、これらのコア・コンポーネントがアーキテクチャにどのように組み込まれているのかを示しています。
図1-2 Enterprise Managerアーキテクチャ

ノート:
図1-2にはロード・バランサと複数のOracle Management Service (OMS)インスタンスが示されていますが、これらはあくまでも大規模な組織におけるEnterprise Managerアーキテクチャの構成例を示したものです。Enterprise Managerシステムのインストールの前提条件または要件ではありません。ロード・バランサがなければ、管理エージェントはOMSインスタンスと直接通信します。
Oracle Management Agentについて
管理エージェントは組み込まれたソフトウェア・コンポーネントで、Enterprise Managerシステムで管理対象外ホストを管理対象ホストに変換できます。管理エージェントはプラグインと連携することにより、管理対象ホスト上で実行されているターゲットをモニターします。
初めてOracle Management Service (OMS)をインストールすると、セントラル・エージェントと呼ばれる管理エージェントがデフォルトで提供されますセントラル・エージェントは、最初のOMSホスト、最初のOMS、および最初のOMSホストで実行されている他のターゲットのモニタリングにのみ使用されます。他のホストや、これらのホスト上の他のターゲットをモニターするには、これらのホストそれぞれに個別のスタンドアロン管理エージェントをインストールする必要があります。Enterprise Manager 24ai以降では、リモート・エージェントをインストールすることもできます。これにより、リモート・ホスト上のターゲットをモニターできるようになります。リモート・エージェントにより、管理対象環境にデプロイする必要があるエージェントの数を大幅に削減できます。それにより、デプロイメント・タスクとメンテナンス・タスクが簡略化されます。
Oracle Management Service (OMS)について
Oracle Management Service (OMS)はWebベースのアプリケーションであり、管理エージェントおよびプラグインと連携してターゲットを検出し、そのモニターと管理を行い、将来の参照および分析のために収集した情報をリポジトリに格納します。また、OMSは、Enterprise Manager用のユーザー・インタフェースをレンダリングします。
OMSはミドルウェア・ホームにデプロイされます。ミドルウェア・ホームは、Oracle WebLogic Server、OMS、プラグイン、Java Development Kit (JDK)、Oracle WTディレクトリ、Oracle Common、およびその他関連する構成ファイルやディレクトリが含まれる親ディレクトリです。OMSのインストール中に、Enterprise Managerインストール・ウィザードによってOracle WebLogic ServerおよびJDKが自動的にインストールされます。Enterprise Manager 24ai以降では、停止時間が発生することなくEnterprise Managerのソフトウェア更新を適用できます。すべての管理対象ターゲットでのイベントや、アラート、インシデント、通知、またはコネクタ処理の検出は、中断なしで続行できます。これは、すべてのモニタリング・コンポーネントが、独立したアプリケーション・コンテナであるZero Downtime (ZDT) WebLogicコンテナ内で実行されるためです。
Oracle Management Repositoryについて
Oracle Management Repository (管理リポジトリ)は、管理エージェントによって収集されたすべての情報が格納される記憶域の場所です。データベース・ジョブ、パッケージ、プロシージャ、ビュー、表領域などのオブジェクトから構成されます。
OMSは管理エージェントから受け取ったモニタリング・データを管理リポジトリにアップロードします。その後、管理リポジトリは、データを、OMSでの検索やEnterprise Managerコンソールでの表示が可能になるように編成します。データは、管理リポジトリに格納されているため、Enterprise Managerにアクセスする何人の管理者の間ででも共有できます。
インストール時に、Enterprise Managerインストール・ウィザードによって、既存の動作保証されたデータベース内に管理リポジトリが構成されます。ただし、このウィザードで新規データベースはインストールされません。
プラグインについて
プラグインは、特定のターゲット・タイプにあわせてカスタマイズされた特別な管理機能を提供する、プラガブル・エンティティです。Enterprise Managerでは、プラグインは、OMSおよび管理エージェントと連携して機能し、ご使用の環境内のすべてのターゲットをモニターします。したがって、OMSと管理エージェントの両方にデプロイされます。Enterprise Managerでは、プラグインにより、ご使用の環境内のすべてのタイプのターゲットをモニターできます。
プラグインには、独立したリリース・サイクルがあります。そのため、新しいバージョンのOracle製品がリリースされるたびに、その新しい製品バージョンをEnterprise Managerでモニタリングするために新しいバージョンのプラグインがリリースされます。独立したリリース・サイクルにより新しい製品バージョンのサポートのためにEnterprise Managerシステムのアップグレードを待つ必要がなくなり、プラグインをアップグレードして新しい製品バージョンをモニターできるので、作業が簡単になります。
表1-1は、新しいEnterprise Managerシステムにインストールされるデフォルトのプラグインを示しています。これらのプラグイン以外に、ソフトウェア・キット(DVD、ダウンロードしたソフトウェア・バンドルなど)に含まれている他のプラグインをオプションでインストールできます。オプションのプラグインを選択してインストールできる画面がインストーラで用意されています。
表1-1 Enterprise Managerとともにインストールされるデフォルトのプラグイン
名前 | 説明 |
---|---|
Oracle Database |
Oracle DatabaseおよびOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)、Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)などの関連ターゲットを検出、モニターおよび管理できます。 |
Oracle Fusion Middleware |
Oracle WebLogic Domain、Oracle WebLogic Server、Oracle SOA SuiteなどのOracle Fusion Middleware製品を検出、モニターおよび管理できるようになります。 |
Oracle Exadata |
Oracle Exadataターゲットを検出、モニターおよび管理できます。 |
Oracle Cloud Framework |
クラウド・サービス間共通の基本機能にアクセスできるようになります。 |
システム・インフラストラクチャ |
Oracleハードウェア・システムとSuper Clusterエンジニアド・システム(サーバー・ハードウェア、シャーシ、ラック、電力配分装置、ネットワーク機器、オペレーティング・システムなどを含む)を検出、モニターおよび管理できるようになります。 |
Enterprise Managerで使用可能なプラグインをすべて示すリストは、『Oracle Enterprise Managerリリース・ノート』のこのリリースに含まれているプラグインを参照してください。
Oracle JVMDエンジンについて
Java仮想マシン診断(JVMD)エンジンを使用すると、本番環境におけるJavaアプリケーションのパフォーマンス問題を診断できます。問題を再現する必要性がなくなることにより、こうした問題解決に必要な時間が短縮されるため、アプリケーションの可用性とパフォーマンスが向上されます。
Oracle Fusion Middlewareプラグインのデプロイメントの一部として、デフォルトで、JVMDエンジン1つがOMSにインストールされ構成されます。デプロイする追加OMSごとに、そのOMSとともにデフォルトで1つのJVMDエンジンが提供されます。
JVMDエンジンはデフォルトではOMSホストにインストールされますが、JVMDエージェントはターゲットのJVMに手動でデプロイする必要があります。
Oracle Analytics Serverについて
Enterprise Manager 13.5以降、Oracle Business Intelligence (BI) PublisherはEMインストールにバンドルされず、EMユーティリティのEMCTLおよびEMCLIで管理されなくなりましたBI Publisherは、Oracle Analytics Server (OAS)としてリブランドされ、Enterprise Managerとは無関係にインストールし、OASユーティリティで管理する必要があります。BI PublisherのVerbを参照するすべてのEMCTLまたはEMCLIスクリプトを更新します。
詳細は、Oracle Analytics Server技術概要を参照してください。
Enterprise Managerコンソールについて
Enterprise Managerコンソールは、Enterprise Managerのインストール後に表示されるユーザー・インタフェースです(図1-1)。このコンソールでは、コンピューティング環境全体のモニターおよび管理をネットワーク上の1箇所から行うことができます。エンタープライズ・アプリケーション・システム、データベース、ホスト、ミドルウェア・アプリケーション・サーバー、リスナーなどのすべてのシステムおよびサービスを、単一の場所から簡単に管理できます。
EMCTLについて
EMCTLは、OMSおよび管理エージェントで特定のタスクを実行するためのコマンドライン・ツールです。これは、OMSインスタンスの起動および停止、OMSインスタンスのプロパティの設定、特定の管理エージェントがモニターするターゲットのリストの取得などのタスクに使用できます。EMCTLコマンドは、特定のOMSまたは管理エージェントで実行します。