4 イベント・テンプレートの使用

この章では、IBM Tivoli Netcool/OMNIbus RESTコネクタに付属しているデフォルトのイベント・テンプレートについて説明します。

イベント・テンプレートは、Enterprise Managerイベント属性をNetcool/OMNIbusアラート属性にマップするXML変換スタイル・シートです。

Netcool/OMNIbus RESTイベント・コネクタには、Netcool/OMNIbusシステムでのイベント作成操作用とイベント更新操作用の事前定義されているイベント・テンプレートが含まれています。特定の要件を満たすためにこれらのテンプレートをカスタマイズできます。事前に作成されているこれらのテンプレートは、カスタマイズする前にバックアップすることをお薦めします。

この章では、以下のトピックについて説明します。

デフォルトのテンプレート

この項では、Enterprise Managerイベント・データ・フィールドとNetcool/OMNIbusアラート・データ・フィールドとの間のデフォルト・マッピングについて説明します。

XMLスタイル・シート(XSL)・ファイルには、2つのシステム間のマッピングが含まれています。これらのファイルは、Enterprise Managerへのコネクタのインストールでインストールした自己更新アーカイブにあります。

表4-1で、マッピングを実行するXSLファイルと、それぞれの概要を示します。

表4-1 マッピングを実行するXSLファイル

ファイル 説明

createEvent_request.xsl

Oracle Enterprise Managerイベント・データをcreateEvent操作用のIBM Netcool/OMNIbusアラートの書式に変換します。

updateEvent_request.xsl

Oracle Enterprise Managerイベント・データをupdateEvent操作用のIBM Netcool/OMNIbusアラートの書式に変換します。

作成用イベント・テンプレート

Oracle Enterprise Manager Connectorフレームワークでは、Oracle Enterprise Managerでイベントが生成されるたびにcreateEvent操作が呼び出され、Netcool/OMNIbusコネクタを呼び出すように構成されたルールがあります。このプロセス中に、データをOracle Enterprise Managerの書式からNetcool/OMNIbusアラートの書式に変換するために、createEvent_request.xslが呼び出されます。表4-2で、IBM Tivoli Netcool/OMNIbusアラートとOracle Enterprise Managerイベントの間のデフォルトのフィールド・マッピングを示します。

表4-2 Netcool/OMNIbusフィールド名

Netcool/OMNIbusフィールド名

識別子

イベントEventIdフィールドに設定されます。

Node

イベントTargetNameフィールドに設定されます。

NodeAlias

イベントTargetNameフィールドに設定され、その後にTarget_Hostプロパティ情報が続きます。

Manager

Oracle Enterprise Managerとハードコードされます。

Agent

イベントNotificationRuleNameフィールドに設定されます。

Summary

イベントMessageフィールドに設定されます。

Severity

重大度のマッピングに指定されているイベント重大度に基づいて重大度を設定します。

AlertGroup

イベントEventCategoryフィールドに設定されます。

AlertKey

EventClassフィールドに設定され、その後にイベントEventNameフィールドが続きます。

FirstOccurence

イベントReportedDateフィールドに設定されます。

LastOccurrence

イベントReportedDateフィールドに設定されます。

URL

イベントEventURLフィールドに設定されます。

Type

Problem

更新用イベント・テンプレート

Oracle Enterprise Manager Connectorフレームワークでは、Oracle Enterprise Managerでイベントが更新されるたびにupdateEvent操作が呼び出されます。Netcool/OMNIbus RESTイベント・コネクタを呼び出すように構成されているルールがあります。このプロセスの間に、データをOracle Enterprise Managerの書式からNetcool/OMNIbusアラートの書式に変換するためにupdateEvent_request.xslが呼び出されます。表4-3で、IBM Netcool/OMNIbusアラートとOracle Enterprise Managerイベントの間のデフォルトのフィールド・マッピングを示します。

表4-3 イベントの更新用テンプレートのマッピング

Netcool/OMNIbusフィールド名

Severity

重大度のマッピングに指定されているイベント重大度に基づいて重大度を設定します。

Summary

イベントMessageフィールドに設定されます。

LastOccurrence

イベントReportedDateフィールドに設定されます。

重大度のマッピング

Netcool/OMNIbusアラート重大度は、Enterprise Managerイベント重大度値に基づいて設定されます。表4-4に、Netcool/OMNIbusでアラートを作成するときに使用される値を示します。

表4-4 Netcool/OMNIbusアラート重大度のマッピング

イベント重大度が次の場合 アラート重大度に設定する値

クリア

0

情報

1

マイナー警告

2

警告

2

クリティカル

5

致命的

5

イベント・マッピングのカスタマイズ

あらかじめ用意されているイベント・テンプレートでは要件が満たされない場合は、それらを変更できます。変更するには、既存のテンプレートのいずれかを基本テンプレートとして使用することをお薦めします。そのイベント・テンプレートを新しいファイルにコピーし、変更を加えた後、新しいイベント・テンプレートとして登録します。

テンプレートは、EM CLIコマンドを使用するかわりに、Enterprise Managerで直接編集することもできます。

詳細は、「テンプレートの編集」「テンプレートのリストア」を参照してください。

ほとんどの場合、イベント・テンプレートを変更するときには、そのマッピングのみを変更します。次の例では、このコンセプトについて説明しています。

例4-5 IBM Tivoli Netcool/OMNIbusでの警告重大度を'5'に設定

警告の重大度を緊急度高に変更するためのテンプレートを作成するには、テンプレート内の次の属性の重大度変数で、次の値を変更します:

<xsl:when test="emcf:SystemAttributes/emcf:SeverityCode = 'WARNING'">2</xsl:when>

変更後:

<xsl:when test="emcf:SystemAttributes/emcf:SeverityCode = 'WARNING'">5</xsl:when> 

例4-2 タイプを"問題"から"情報"に変更

IBM Tivoli Netcool/OMNIbusでのイベントが問題としてではなく情報として報告されるようにする場合は、Type fieldというラベルが付いたセクションを見つけ、次のように変更します:

<number name="Type">13</number>

テンプレートは細かくカスタマイズできます。複雑な変更は、XSLTに習熟したユーザーのみが行うことをお薦めします。

イベント・ルールは、イベントに正しいイベント・テンプレートを関連付けるためのフィルタとして使用できます。イベント・テンプレートは、必要な数だけ使用できます。