3 スタンドアロンOracle HTTP Serverのアップグレード
この章の構成は、次のとおりです。
スタンドアロンOracle HTTP Serverのアップグレード・プロセスについて
Oracle HTTP Serverのアップグレード・プロセスの概要に関するフローチャートとロードマップを再確認します。
次の表では、スタンドアロンOracle HTTP Serverをアップグレードするために実行する必要があるタスクについて説明します。
表3-1 スタンドアロンOracle HTTP Serverをアップグレードするためのタスク
タスク | 説明 |
---|---|
必須 スタンドアロンOracle HTTP Serverをアップグレードしていることを確認します。 |
既存の環境にどの種類のOracle HTTP Serverが含まれるかを判断するには、Oracle HTTP Serverがスタンドアロンか管理対象(コロケート)かの判断を参照してください。 |
必須 アップグレード前のタスクを実行します。 |
アップグレード前タスクには、本番環境のクローニング、システム要件および動作保証の確認が含まれます。 アップグレード前タスクの完全なリストは、Oracle HTTP Serverのアップグレードの準備を参照してください。 |
必須 スタンドアロンOracle HTTP Serverをインストールします。 |
インストール・プログラムを実行してソフトウェアをインストールします。インストール・タイプスタンドアロンOracle HTTP Server (WebLogic Serverとは切り離して管理)を選択します。これによって、ソフトウェアをシステムに転送し、新しいOracleホーム・ディレクトリを作成します。 スタンドアロンOracle HTTP Serverのインストールを参照してください。 |
必須 既存の環境内のサーバーを停止します。 |
「サーバーとプロセスの停止」を参照 |
必須 既存のドメインを再構成します。 |
新しいインストールから再構成ウィザードを実行して、既存のドメインを再構成します。 「ドメインの再構成について」を参照してください。 |
必須 スタンドアロンのシステム・コンポーネント構成をアップグレードします。 |
「スタンドアロン・システム・コンポーネント構成のアップグレード」を参照してください。 |
必須 サーバーおよびプロセスを再起動します。 |
「サーバーとプロセスの起動」を参照してください。 |
必須 アップグレードを検証します。 |
Oracle HTTP Serverが予期したとおりの機能を続行しているはずです。アップグレード後の問題がある場合は、インストールのトラブルシューティングを実行してアップグレードを再試行する必要があります。 Oracle HTTP Serverの管理のOracle HTTP Serverのトラブルシューティングを参照してください。 |
スタンドアロンOracle HTTP Serverのインストール
アップグレードの開始前に、Oracle HTTP Server 14c (14.1.2.0.0)ディストリビューションをターゲット・システムにダウンロードし、Oracle Universal Installerを使用してインストールします。
システム・コンポーネントの停止
Upgrade Assistantを実行してスキーマおよび構成をアップグレードする前に、アップグレード前の環境を停止する必要があります。
ノート:
次のサーバーを正しい順序で停止することが重要です。
ステップ1: システム・コンポーネントを停止する
Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントを停止するには、stopComponent
スクリプトを使用します。
-
(UNIX)
EXISTING_DOMAIN_HOME/bin/stopComponent.sh component_name
-
(Windows)
EXISTING_DOMAIN_HOME\bin\stopComponent.cmd component_name
システム・コンポーネントは任意の順序で停止できます。
ステップ2: ノード・マネージャの停止
ノード・マネージャを停止するには、それが実行されているコマンド・シェルを閉じます。
またはnodemanager.properties
のQuitEnabled
の属性をtrue
に設定した後(デフォルトはfalse
です)、WLSTを使用して、ノード・マネージャに接続して停止できます。『Oracle WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス』のstopNodeManagerに関する項を参照してください。
ドメインの再構成について
再構成ウィザードを実行して、ドメイン・コンポーネント構成を14c (14.1.2.0.0)にあわせて再構成します。
ノート:
再構成ウィザードでは、ドメインに含まれる独自のアプリケーションは更新されません。-
ドメインの
config.xml
ファイルのドメイン・バージョン番号は、ターゲットのOracle HTTP Serverのバージョンに更新されます。 -
Oracle HTTP Serverの再構成テンプレートが自動的に選択され、ドメインに適用されます。これらのテンプレートは、スタンドアロン・ドメインがターゲットのOracle HTTP Serverバージョンと互換性を持つために必要な再構成タスクを定義します。
-
起動スクリプトが更新されます。
変更済の起動スクリプトを維持する場合は、そのスクリプトをバックアップしてから、再構成ウィザードを開始してください。
ノート:
ドメイン再構成プロセスを開始すると、行う変更を元に戻すことができません。再構成ウィザードの実行前には、アップグレード前チェックリストで説明しているように、ドメインのバックアップが作成されていることを確認してください。再構成ウィザードの実行中にエラーまたは他の割込みが発生した場合、バックアップ場所から元のドメイン・ディレクトリにファイルとディレクトリをコピーすることによって、ドメインをリストアする必要があります。これは、再構成前の元の状態にドメインを復元するための唯一の方法です。ドメインのバックアップ
再構成ウィザードの実行前に、ドメイン・ディレクトリのバックアップ・コピーを作成します。
- ドメイン・ディレクトリのバックアップを作成します。
- 各リモート管理対象サーバーのドメインを更新する前に、各リモート・マシンのドメイン・ディレクトリのバックアップ・コピーを作成します。
- ドメインのバックアップしたバージョンが完全であることを確認します。
再構成ウィザードの起動
ノート:
再構成プロセスを開始する前に、管理サーバーおよびすべてのコロケート管理対象サーバーを停止します。「サーバーとプロセスの停止」を参照再構成ウィザードをグラフィカル・モードで起動するには:
スタンドアロン・システム・コンポーネント構成のアップグレード
Upgrade Assistantを使用して、スタンドアロン・エージェントのコンポーネント構成をアップグレードします。
アップグレード・アシスタントの起動
Upgrade Assistantを実行して、製品のスキーマ、ドメイン・コンポーネント構成、またはスタンドアロンのシステム・コンポーネントを14c (14.1.2.0.0)にアップグレードします。
ノート:
Upgrade Assistantを開始する前に、Upgrade Assistantを実行しているプラットフォームのJVM文字エンコーディングがUTF-8に設定されていることを確認します。文字エンコーディングがUTF-8に設定されていない場合、名前にUnicode文字を含むファイルをダウンロードできません。アップグレードが失敗する可能性があります。文字エンコーディングを設定するには、次を実行します。
UNIXオペレーティング・システムの場合:
export UA_PROPERTIES="-Dfile.encoding=UTF-8 ${UA_PROPERTIES}"
Windowsオペレーティング・システムの場合:
set UA_PROPERTIES=-Dfile.encoding=UTF-8 %UA_PROPERTIES%
oracle_common/upgrade/bin
ディレクトリに移動します。- (UNIX)
ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/bin
- (Windows)
ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\bin
- (UNIX)
- Upgrade Assistantを起動します。
- (UNIX) ./ua
- (Windows) ua.bat
コマンドラインに指定可能なその他のパラメータ(ロギングのパラメータなど)の詳細は、次を参照してください。
Upgrade Assistantのパラメータ
コマンドラインからUpgrade Assistantを起動する際に、追加のパラメータを指定できます。
表3-3 Upgrade Assistantのコマンドライン・パラメータ
パラメータ | 必須またはオプション | 説明 |
---|---|---|
|
準備状況チェックの場合は必須
ノート: スタンドアロン・インストール(WebLogic Serverによって管理されないインストール)では準備状況チェックを実行できません。 |
アップグレードの準備状況チェックを実行します(実際のアップグレードは実行しません)。 スキーマと構成がチェックされます。
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オプション |
スキーマの同時アップグレードまたはスキーマの準備状況チェックに使用可能なスレッドの数を特定します。 値は、1 - 8の正の整数である必要があります。デフォルトは4です。 |
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サイレント・アップグレードまたはサイレント準備状況チェックの場合は必須 |
レスポンス・ファイルに保存した入力を使用して、Upgrade Assistantを実行します。このレスポンス・ファイルは、GUIモードでUpgrade Assistantを実行したときの入力データから生成されます。このパラメータを使用すると、Upgrade Assistantがサイレント・モードで(Upgrade Assistant画面を表示せずに)実行されます。 |
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オプション |
調査フェーズを実行しますが、実際のアップグレードは実行しません。
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オプション |
次のいずれかの属性を指定して、ログイン・レベルを設定します。
デフォルトのロギング・レベルは
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|
オプション |
アップグレード・ログ・ファイルと一時ファイルのデフォルトの場所を設定します。既存の書込み可能なディレクトリを指定する必要があります。Upgrade Assistantは、このディレクトリにログ・ファイルと一時ファイルを作成します。 デフォルトの場所は次のとおりです。 (UNIX)
(Windows)
|
|
オプション |
すべてのコマンドライン・オプションを表示します。 |
アップグレードの確認
ノード・マネージャおよびスタンドアロンOracle HTTP Serverを正しく起動できれば、アップグレードが成功したことを確認できます。
アップグレード後の問題が発生した場合は、インストールのトラブルシューティングを実行してアップグレードを再試行する必要があります。『Oracle HTTP Serverの管理者ガイド』のOracle HTTP Serverのトラブルシューティングに関する項 を参照。
新しくアップグレードした環境を起動できない場合は、OracleウォレットでMD5証明書を使用していることが原因になっている可能性があります。MD5署名を使用しているかどうかおよびSHA-2証明書に置換する方法を確認するには、「SHA-2アルゴリズムを使用して署名された証明書でMD5アルゴリズムを使用して署名された証明書を置き換え」を参照してください。