4 管理対象Oracle HTTP Serverのアップグレード

この章では、管理対象Oracle HTTP Serverを12c (12.2.1.4.0)から14c (14.1.2.0.0)にアップグレードするための手順について説明します。

この手順は、システムに既存のFusion Middleware Infrastructureがインストールおよび構成(完全JRFまたは制限付きJRFモードのWebLogicドメイン)されていることを想定しています。

ノート:

管理対象/コロケートOracle HTTP Serverを完全JRFまたは制限付きJRFドメインのいずれかでインストールおよび構成できます。2つの主な違いは、制限付きJRFモードの場合、データベースの依存性がないことです。「完全JRFモードと制限付きJRFモードについて」を参照してください。

必要に応じて、完全JRFモードのデータベース・スキーマのみをアップグレードする必要があります。

管理対象Oracle HTTP Serverのアップグレード・プロセスについて

管理対象Oracle HTTP Serverのアップグレード・プロセスの概要に関するフローチャートとロードマップを再確認します。

表4-1では、管理対象Oracle HTTP Serverをアップグレードするために実行する必要があるタスクを説明します。

表4-1 管理対象Oracle HTTP Serverをアップグレードするためのタスク

タスク 説明

必須

管理対象Oracle HTTP Serverをアップグレードしていることを確認します。

既存の環境にどの種類のOracle HTTP Serverが含まれるかを判断するには、Oracle HTTP Serverがスタンドアロンか管理対象(コロケート)かの判断を参照してください。

必須

このガイドの概要に関するトピックを再確認して、アップグレード前のタスクを完了します(まだ実行していない場合)。

アップグレード前タスクには、ご使用の本番環境のクローニング、システム要件および資格証明の確認、未使用データのパージおよび非SYSDBAユーザーの作成が含まれます。

アップグレード前タスクの完全なリストは、Oracle HTTP Serverのアップグレードの準備を参照してください。

必須

14.1.2.0.0 Fusion MiddlewareインフラストラクチャとOracle HTTP Serverのディストリビューションをダウンロードしてインストールします。

インフラストラクチャのディストリビューションには、その他のFusion Middleware製品をインストールするための基盤の設定に必要な、WebLogic ServerおよびJava Required Files (JRF)が同梱されています。

このガイドのアップグレード・トポロジに定義されているように、インフラストラクチャは新規のOracleホームにインストールする必要があります。

Oracle HTTP Serverは、14.1.2.0.0インフラストラクチャのインストール時に作成したOracleホームにインストールする必要があります。

「製品ディストリビューションのインストール」を参照してください。

必須

WLSSchemaDataSourceデータ・ソースのデータベース・ユーザーの確認

このステップが必要なのは、既存のドメインに
WLSSSchemaDataSource
データ・ソースがある場合です。

「WLSSchemaDataSourceデータ・ソースのデータベース・ユーザーの確認」を参照してください

オプション

準備状況チェックを実行します。

Upgrade Assistantを使用した準備状況チェックの実行は、アップグレード前の環境について、アップグレードの準備が整っているかどうかを判断する際に役立ちます。

完全な手順は、「アップグレード前の準備状況チェックの実行」を参照してください。

必須

12cインスタンスを停止します。

アップグレード・プロセスの開始前に、管理サーバー、管理対象サーバーおよび既存のインスタンスを停止します。

「サーバーとプロセスの停止」を参照

必須

Upgrade Assistantを使用して既存のスキーマをアップグレードします。

「製品スキーマのアップグレード」を参照してください。

必須

既存のドメインを再構成します。

再構成ウィザードを14.1.2.0.0 Oracle HTTP Serverインストールから実行して、既存のドメインを再構成します。

再構成ウィザードを使用した既存のドメインの再構成を参照してください。

必須

既存のドメイン構成をアップグレードします。

インストール後、Upgrade Assistantを使用してOracle HTTP Serverおよびシステム・コンポーネント・インフラストラクチャをアップグレードする必要があります。

「Upgrade Assistantを使用したドメイン・コンポーネントのアップグレード」を参照してください。

必須

サーバーおよびプロセスを再起動します。

アップグレード・プロセスは完了です。これで、管理サーバー、管理対象サーバーおよび14.1.2.0.0インスタンスを再起動できます。

「サーバーとプロセスの起動」を参照してください。

必須

アップグレードを検証します。

アップグレードの検証方法は、「アップグレードの確認」を参照してください。

製品ディストリビューションのインストール

アップグレードを開始する前に、14c (14.1.2.0.0)製品ディストリビューションをターゲット・システムにダウンロードし、Oracle Universal Installerを使用してインストールします。

ノート:

アップグレードにInfrastructureが必要な場合は、その他のFusion Middleware製品をインストールする前に、まずOracle Fusion Middleware Infrastructureディストリビューションをインストールする必要があります。ご使用のJDKがサポートされていない場合、またはJDKをインストールしていない場合は、開始前に必要なJava SE JDKをダウンロードする必要があります
14c (14.1.2.0.0)のディストリビューションをインストールするには:
  1. ターゲットのシステムにサインインします。
  2. Oracle Technology NetworkまたはOracle Software Delivery Cloudから、ターゲット・システムに次をダウンロードします。
    • Oracle Fusion Middlewareインフラストラクチャ (fmw_14.1.2.0.0_infrastructure_generic.jar)
    • Oracle HTTP Server (UNIX: fmw_14.1.2.0.0_ohs_linux64.bin)、(Windows: setup_fmw_14.1.2.0.0_ohs_win64.exe)
  3. 使用するマシンが次の要件を満たしていることを確認します。
    • システム、パッチ、カーネルおよびその他の要件が、Oracle HTTP Serverのインストールと構成に指定された内容を満たしていることを確認します。
  4. UNIXプラットフォームで、/etc/oraInst.locファイルが存在する場合はその内容が正しいことを確認します。具体的には、インベントリ・ディレクトリが正しいこと、またそのディレクトリに対する書込み権限が付与されていることを確認します。
    /etc/oraInst.locファイルが存在しない場合は、このステップをスキップできます。
  5. 14c (14.1.2.0.0)製品のディストリビューションをダウンロードしたディレクトリに移動します。
  6. Oracle Fusion Middlewareインフラストラクチャのインストール・プログラムを開始します。
    • (UNIX) JDK_HOME/bin/java -jar fmw_14.1.2.0.0_infrastructure_generic.jar
    • (Windows) JDK_HOME\bin\java -jar fmw_14.1.2.0.0_infrastructure_generic.jar
  7. UNIXオペレーティング・システムでは、このホストにOracle製品を初めてインストールする場合に、「インストール・インベントリの設定」画面が表示されます。
    中央インベントリを作成する場所を指定します。この画面で選択したオペレーティング・システム・グループ名に対して中央インベントリの場所への書込み権限が付与されていることを確認し、「次へ」をクリックします。

    ノート:

    「インストール・インベントリの設定」画面は、Windowsオペレーティング・システムでは表示されません。
  8. 「ようこそ」画面で、情報をレビューしてすべての前提条件を満たしていることを確認します。「次へ」をクリックします。
  9. 「自動更新」画面で、オプションを選択します。
    • この時点でソフトウェアの更新をシステムで確認しないようにする場合は、「自動更新をスキップ」を選択します。

    • パッチ・ファイルをダウンロードした場合は、「ディレクトリからパッチを選択」を選択して、ローカル・ディレクトリに移動します。

    • My Oracle Supportアカウントを持っている場合にソフトウェアの更新を自動でダウンロードするには、「My Oracle Supportで更新を検索」を選択します。Oracle Supportの資格証明を入力して、「検索」をクリックします。インストーラがMy Oracle Supportにアクセスするようにプロキシ・サーバーを構成するには、「プロキシ設定」をクリックします。「接続のテスト」をクリックして接続をテストします。

    「次へ」をクリックします。
  10. 「インストールの場所」画面でOracleホーム・ディレクトリの場所を指定して、「次へ」をクリックします。
    ここでは、WebLogic Serverドメインに同じ場所に配置(コロケート)されたOracle HTTP Serverの標準的なインストール・トポロジをインストールしているため、既存のOracle Fusion Middleware InfrastructureのOracleホームへのパスを入力します。
    詳細は、『Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』インストールおよび構成のためのディレクトリの選択に関する項を参照してください。
  11. 「インストール・タイプ」画面で、次に示す項目を選択します。
    • インフラストラクチャの場合は、「Fusion Middlewareインフラストラクチャ」を選択します。
    • Oracle HTTP Serverの場合は、「同じ場所に配置されたHTTPサーバー(WebLogic Server経由で管理)」を選択します。
    「次へ」をクリックします。
  12. 「前提条件チェック」画面では、ホスト・コンピュータを分析して、特定のオペレーティング・システムの前提条件を満たしているか確認します。
    確認されたタスクのリストを表示するには、「正常なタスクの表示」を選択します。ログの詳細を表示するには、「ログの表示」を選択します。前提条件のチェックが失敗すると、エラー・メッセージが画面の下方に表示されます。エラーを修正し、「再実行」をクリックして再試行します。エラー・メッセージや警告メッセージを無視してインストールを続けるには、「スキップ」をクリックします(非推奨)。
  13. 「インストールの概要」画面で、選択したインストール・オプションを確認します。
    これらのオプションをレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックし、レスポンス・ファイルの場所と名前を入力します。レスポンス・ファイルには、入力したすべての情報が収集して格納され、後で(コマンドラインから)サイレント・インストールを実行するために使用できます。

    「インストール」をクリックしてインストールを開始します。

  14. 「インストールの進行状況」画面で、プログレス・バーが100%完了になったら、「終了」をクリックしてインストーラを閉じるか、「次へ」をクリックしてサマリーを表示します。
  15. 「インストール完了」画面に、インストールの場所とインストールされた機能セットが表示されます。情報を確認し、「終了」をクリックしてインストーラを閉じます。
  16. Oracle Fusion Middlewareインフラストラクチャのインストール後、次に示すコマンドを入力して、製品ディストリビューションのインストーラを起動し、インストーラの各画面を通じて前述のステップを繰り返します。
    (UNIX) ./fmw_14.1.2.0.0_ohs_linux64.bin
    (Windows) setup_fmw_14.1.2.0.0_ohs_win64.exe
これで、Oracle HTTP Serverのコロケート・モードでのインストールが完了しました。

アップグレード前の準備状況チェックの実行

アップグレードにかかわる潜在的な問題を特定するために、アップグレード・プロセスの開始前に、準備状況チェックの実行をお薦めします。準備状況チェックによって、アップグレードにかかわる潜在的な問題をすべて検出できるわけではない点に注意してください。準備状況チェックのレポートが成功を示していても、アップグレードが失敗することもあります。

アップグレード前の準備状況チェックの実行について

Upgrade Assistantを-readinessモードで実行することで、実際のアップグレードを実行する前に問題を検出できます。Upgrade Assistantを使用すると、準備状況チェックはGUIモードで実行できます。また、レスポンス・ファイルを使用するとサイレント・モードで実行できます。

Upgrade Assistantの準備状況チェックは、サポート対象の開始ポイントにあるFusion MiddlewareのスキーマとWebLogicドメインの構成について、読取り専用のアップグレード前確認を実行します。この確認は、読取り専用の操作です。

準備状況チェックでは、フォーマットされ、タイムスタンプの付けられた準備状況レポートが生成され、実際のアップグレードを試みる前に潜在的な問題に対処できます。問題が検出されない場合は、アップグレード・プロセスを開始できます。アップグレードを実行する前に、このレポートを詳細に確認することをお薦めします。

準備状況チェックは、既存のOracle Fusion Middlewareドメインがオンライン(他のユーザーがアクティブに使用している間)またはオフラインである間に実行できます。

準備状況チェックは、実際のアップグレードの実行前に、何度でも実行できます。ただし、アップグレードの実行後には、準備状況チェックを実行しないでください。これは、レポート結果が、アップグレード前の準備状況チェックと異なることがあるためです。

ノート:

パフォーマンスが影響されることを回避するために、オフピーク時に準備状況チェックを実行することをお薦めします。

準備状況モードでのUpgrade Assistantの起動

-readinessパラメータを使用して、Upgrade Assistantを準備状況モードで起動します。

Upgrade Assistantを使用して、アップグレード前の環境に対する準備状況チェックを実行するには:
  1. oracle_common/upgrade/binディレクトリに移動します。
    • (UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/bin
    • (Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\bin
  2. Upgrade Assistantを起動します。
    • (UNIX) ./ua -readiness
    • (Windows) ua.bat -readiness
Upgrade Assistantのパラメータ

コマンドラインからUpgrade Assistantを起動する際に、追加のパラメータを指定できます。

表4-2 Upgrade Assistantコマンドライン・パラメータ

パラメータ 必須またはオプション 説明

-readiness

準備状況チェックの場合は必須

ノート: スタンドアロン・インストール(WebLogic Serverによって管理されないインストール)では準備状況チェックを実行できません。

アップグレードの準備状況チェックを実行します(実際のアップグレードは実行しません)。

スキーマと構成がチェックされます。

-examineパラメータを指定した場合は、このパラメータを指定しないでください。

-threads

オプション

スキーマの同時アップグレードまたはスキーマの準備状況チェックに使用可能なスレッドの数を特定します。

値は、1 - 8の正の整数である必要があります。デフォルトは4です。

-response

サイレント・アップグレードまたはサイレント準備状況チェックの場合は必須

レスポンス・ファイルに保存した入力を使用して、Upgrade Assistantを実行します。このレスポンス・ファイルは、GUIモードでUpgrade Assistantを実行したときの入力データから生成されます。このパラメータを使用すると、Upgrade Assistantがサイレント・モードで(Upgrade Assistant画面を表示せずに)実行されます。

-examine

オプション

調査フェーズを実行しますが、実際のアップグレードは実行しません。

-readinessパラメータを指定した場合、このパラメータを指定しないでください。

-logLevel attribute

オプション

次のいずれかの属性を指定して、ログイン・レベルを設定します。

  • TRACE

  • NOTIFICATION

  • WARNING

  • ERROR

  • INCIDENT_ERROR

デフォルトのロギング・レベルはNOTIFICATIONです。

-logLevel TRACE属性を設定して、より多くのログが記録されるようにすることを検討してください。これは、アップグレードの失敗をトラブルシューティングする際に役立ちます。-logLevel TRACEが使用されると、Upgrade Assistantのログ・ファイルは非常に大きくなる可能性があります。

-logDir location

オプション

アップグレード・ログ・ファイルと一時ファイルのデフォルトの場所を設定します。既存の書込み可能なディレクトリを指定する必要があります。Upgrade Assistantは、このディレクトリにログ・ファイルと一時ファイルを作成します。

デフォルトの場所は次のとおりです。

(UNIX)

ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs
ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/temp

(Windows)

ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\logs
ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\temp

-help

オプション

すべてのコマンドライン・オプションを表示します。

Upgrade Assistantを使用した準備状況チェックの実行

Upgrade Assistantの各画面を通じて、アップグレード前の準備状況チェックを完了します。

準備状況チェックは、サポートされるアップグレードの開始点にあるスキーマまたはコンポーネント構成に対してのみ実行されます。
準備状況チェックを完了するには:
  1. 「ようこそ」画面で、準備状況チェックに関する情報を確認します。「次へ」をクリックします。
  2. 「準備状況チェック・タイプ」画面で、実行する準備状況チェックを選択します。
    • 「個別に選択されたスキーマ」: アップグレード前に確認するスキーマを個別に選択できます。準備状況チェックは、スキーマがアップグレードに対応しているかどうか、またはアップグレードが必要かどうかをレポートします。

      このオプションを選択すると、画面名が「選択したスキーマ」に変更されます。

    • 「ドメイン・ベース」: Upgrade Assistantは、「ドメイン・ディレクトリ」フィールドで指定されたドメイン内で、アップグレード可能なスキーマまたはコンポーネントのすべてを検出して選択するようになります。

      このオプションを選択すると、画面名が「スキーマおよび構成」に変更されます。

      Upgrade Assistantですべてのスキーマとコンポーネント構成をチェックする場合は、デフォルトの選択を変更しないで使用します。それ以外の場合は、次に示す特定のオプションを選択します。
      • 「すべてのスキーマのチェックを含める」: アップグレードに対応したコンポーネントをすべて検出して確認します。

      • 「すべての構成のチェックを含める」: 管理対象WebLogic Serverドメインのコンポーネント構成を確認します。

    「次へ」をクリックします。

  3. 「個別に選択されたスキーマ」を選択した場合: 「使用可能なコンポーネント」画面で、アップグレードに対応可能なスキーマを持つコンポーネントを選択して、準備状況チェックの実行対象にします。
    「ドメイン・ベース」を選択した場合: 「コンポーネント・リスト」画面で、準備状況チェックを実行するドメインに存在するコンポーネントのリストを確認します。
    依存コンポーネントのあるコンポーネントを選択すると、該当するコンポーネントが自動的に選択されます。たとえば、Oracle Platform Security Servicesを選択すると、Oracle Audit Servicesが自動的に選択されます。

    選択したコンポーネントによっては、追加の画面が表示されることがあります。たとえば、次のような作業が必要になることがあります。

    • ドメイン・ディレクトリを指定します。

    • 選択したスキーマに接続するために、次のスキーマ資格証明を指定します: 「データベース・タイプ」「DBAユーザー名」および「DBAパスワード」。次に、「接続」をクリックします。

      ノート:

      Oracleデータベースは、デフォルトのデータベース・タイプです。データベース・タイプに間違いがないことを確認してから続行してください。間違ったデータベースを選択していることに気付いた場合でも、正しいタイプに変更するために、この画面に戻らないでください。そのかわりに、Upgrade Assistantを終了してから、正しいデータベース・タイプを選択した状態で準備状況チェックを再開し、すべてのスキーマに正しいデータベース・タイプが適用されるようにします。
    • 「スキーマ・ユーザー名」オプションを選択して、「スキーマ・パスワード」を指定します。

      ノート:

      Upgrade Assistantでは、デフォルトの資格証明が自動的に有効になります。接続できない場合、スキーマの資格証明を手動で入力し、続行します。
    「次」をクリックして、準備状況チェックを開始します。
  4. 「準備状況サマリー」画面で、選択内容に応じて実行される準備状況チェックのサマリーを確認します。
    選択内容を保存して、今後、レスポンス(サイレンス)モードでUpgrade Assistantを再実行する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックして、レスポンス・ファイルの場所と名前を指定します。サイレント・アップグレードは、Upgrade Assistantとまったく同じ機能を実行しますが、データを手動で再入力する必要はありません。
    詳細レポートを表示するには、「ログの表示」をクリックします。
    「次へ」をクリックします。
  5. 「準備状況チェック」画面で、準備状況チェックのステータスを確認します。このプロセスには、数分かかることがあります。
    複数のコンポーネントをチェックしている場合、それぞれのコンポーネントの進行状況は、それぞれ専用のプログレス・バーで同時に表示されます。
    準備状況チェックが完了したら、「続行」をクリックします。
  6. 「準備状況の終了」画面で、準備状況チェックの結果(「準備状況成功」または「準備状況失敗」)を確認します。
    • 準備状況チェックが成功した場合は、「準備状況レポートの表示」をクリックして完全なレポートを確認します。準備状況チェックが成功した場合でも、実際のアップグレードを実行する前に、準備状況レポートを確認するようにしてください。「検索」オプションは、レポート内の特定の語句を検索する際に使用します。また、このレポートには、完成した準備状況チェック・レポート・ファイルが格納されている場所も示されます。

    • 準備状況チェックで問題またはエラーが発生した場合は、「ログの表示」をクリックしてログ・ファイルを確認し、問題を特定して修正してから、準備状況チェックを再開します。ログ・ファイルは、設定したコマンドライン・オプションによって管理されます。

準備状況レポートの理解

ドメインの準備状況チェックを実行後、レポートを確認して、正常にアップグレードするために何かアクションを実行する必要があるかどうかを判断します。

準備状況レポート・ファイルの形式は、次のとおりです。

readiness<timestamp>.txt

ここで、timestampは、準備状況チェックが実行された日付と時刻を示します。

準備状況レポートには、次に示す情報が含まれています。

表4-3 準備状況レポートの要素

レポートの情報 説明 必要なアクション
全体的な準備状況ステータス: SUCCESSまたはFAILURE レポートの上部には、準備状況チェックが成功したか、または1つ以上のエラーが発生して完了したかが示されます。 1つ以上のエラーが発生してレポートが完了した場合、アップグレードを試みる前に、FAILを検索し、障害の原因となった問題を修正します。準備状況チェックは、アップグレードする前に必要に応じて何度でも再実行できます。

タイムスタンプ

レポートが生成された日付と時刻です。

必要なアクションはありません。

ログ・ファイルの場所

/oracle_common/upgrade/logs

生成されたログ・ファイルのディレクトリの場所です。

必要なアクションはありません。

ドメイン・ディレクトリ ドメインの場所が表示されます 必要なアクションはありません。

準備状況レポートの場所

/oracle_common/upgrade/logs

生成された準備状況レポートのディレクトリの場所です。

必要なアクションはありません。

チェックされたコンポーネントの名前

チェックに含まれるコンポーネントの名前およびバージョンとステータス。

このリリースにアップグレードできないコンポーネント(SOAコア拡張など)がドメインに含まれている場合は、アップグレードを試みないでください。

チェックされたスキーマの名前

チェックに含まれるスキーマの名前および現在のバージョンとステータス。

スキーマのバージョン番号をレビューします。このリリースにアップグレードできないスキーマがドメインに含まれる場合は、アップグレードを試みないでください。

個別のオブジェクトのテスト・ステータス: FAIL

準備状況チェックのテストで、特定のオブジェクトに問題が検出されています。

失敗した問題がすべて解決するまでアップグレードしないでください。

個別のオブジェクトのテスト・ステータス: PASS

準備状況チェックのテストでは、特定のオブジェクトに問題が検出されませんでした。

準備状況チェック・レポートにPASSステータスのみが表示されている場合、環境をアップグレードできます。ただし、準備状況チェックでは、ハードウェアやアップグレード時の接続性などの外部環境に関する問題を検出することはできません。アップグレードの進捗を常に監視する必要があります。

<オブジェクト>の準備状況チェックの完了ステータス: FAILURE 準備状況チェックによって、スキーマ、索引、データ型などの特定のオブジェクトに関する、解決する必要があるエラーが1つ以上検出されました。 失敗した問題がすべて解決するまでアップグレードしないでください。
<オブジェクト>の準備状況チェックの完了ステータス: SUCCESS 準備状況チェック・テストによって問題が検出されませんでした。 必要なアクションはありません。

サーバーとプロセスの停止

Upgrade Assistantを実行してスキーマおよび構成をアップグレードする前に、すべてのアップグレード前のプロセスと管理サーバーや管理対象サーバーを含めたすべてのサーバーを停止する必要があります。

Oracle Fusion Middleware環境は、Oracle WebLogic Serverドメイン、管理サーバー、複数の管理対象サーバー、Javaコンポーネント、システム・コンポーネント、およびメタデータのリポジトリに使用されるデータベースで構成できます。コンポーネントは相互に依存していることがあるため、適切な順序で停止する必要があります。

ノート:

この項の手順では、WLSTコマンド行ユーティリティまたはスクリプトを使用して既存のアップグレード前のサーバーとプロセスを停止する方法について説明します。Oracle Fusion Middleware ControlおよびOracle WebLogic Serverリモート・コンソールを使用することもできます。管理サーバーと管理対象サーバーおよびノード・マネージャの起動と停止を参照してください。

リリース14c (14.1.2.0.0)以降、WebLogic Server管理コンソールは削除されました。同等の機能を使用するには、WebLogicリモート・コンソールを使用する必要があります。詳細は、Oracle WebLogicリモート・コンソールを参照してください。

アップグレード前のFusion Middleware環境を停止するには、アップグレード前のドメインに移動し、次のステップに従います。

ノート:

次のサーバーを正しい順序で停止することが重要です。

ステップ1: システム・コンポーネントを停止する

Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントを停止するには、stopComponentスクリプトを使用します。

  • (UNIX) EXISTING_DOMAIN_HOME/bin/stopComponent.sh component_name

  • (Windows) EXISTING_DOMAIN_HOME\bin\stopComponent.cmd component_name

システム・コンポーネントは任意の順序で停止できます。

ステップ2: 管理対象サーバーの停止

WebLogic Server管理対象サーバーを停止するには、stopManagedWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) EXISTING_DOMAIN_HOME/bin/stopManagedWebLogic.sh managed_server_name admin_url

  • (Windows) EXISTING_DOMAIN_HOME\bin\stopManagedWebLogic.cmd managed_server_name admin_url

プロンプトが表示されたらユーザー名とパスワードを入力します。

ステップ3: 管理サーバーを停止する

管理サーバーを停止するには、stopWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) EXISTING_DOMAIN_HOME/bin/stopWebLogic.sh

  • (Windows) EXISTING_DOMAIN_HOME\bin\stopWebLogic.cmd

プロンプトが表示されたら、管理サーバーのユーザー名とパスワード、およびURLを入力します。

ステップ4: ノード・マネージャを停止する

ノード・マネージャを停止するには、それが実行されているコマンド・シェルを閉じます。

またはnodemanager.propertiesQuitEnabledの属性をtrueに設定した後(デフォルトはfalseです)、WLSTを使用して、ノード・マネージャに接続して停止できます。『Oracle WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス』stopNodeManagerに関する項を参照してください。

製品スキーマのアップグレード

サーバーとプロセスの停止後、Upgrade Assistantを使用して、12.2.1.4.0スキーマをOracle Fusion Middlewareの14c (14.1.2.0.0)リリースにアップグレードします。

ノート:

ドメインにWLSSchemaDataSourceデータ・ソースがある場合は、どのデータベース・ユーザーがそれに割り当てられているかを確認する必要があります。<PREFIX>_WLS_RUNTIMEが割り当てられている場合は、それを<PREFIX>_WLSに変更する必要があります。詳細は、「WLSSchemaDataSourceデータ・ソースのデータベース・ユーザーの確認」を参照してください。

ノート:

14c (14.1.2.0.0)では、将来のリリースへのゼロ・ダウンタイム・アップグレードを支援するために、次のスキーマが変更されています:
  • 14c (14.1.2.0.0)より前に作成された、エディションが無効になっているスキーマを、14c (14.1.2.0.0)にアップグレードすると、エディションが有効になります。

  • 14c (14.1.2.0.0)で作成されたスキーマは、エディションが有効になった状態で作成されます。

アップグレード・アシスタントを使用すると、個別に選択したスキーマまたはドメインに関連付けられているすべてのスキーマをアップグレードできます。選択したオプションによって、表示されるアップグレード・アシスタントの画面は異なります。

アップグレード・アシスタントの起動

Upgrade Assistantを実行して、製品のスキーマ、ドメイン・コンポーネント構成、またはスタンドアロンのシステム・コンポーネントを14c (14.1.2.0.0)にアップグレードします。

Upgrade Assistantを起動するには:

ノート:

Upgrade Assistantを開始する前に、Upgrade Assistantを実行しているプラットフォームのJVM文字エンコーディングがUTF-8に設定されていることを確認します。文字エンコーディングがUTF-8に設定されていない場合、名前にUnicode文字を含むファイルをダウンロードできません。アップグレードが失敗する可能性があります。文字エンコーディングを設定するには、次を実行します。

UNIXオペレーティング・システムの場合:

export UA_PROPERTIES="-Dfile.encoding=UTF-8 ${UA_PROPERTIES}"

Windowsオペレーティング・システムの場合:

set UA_PROPERTIES=-Dfile.encoding=UTF-8 %UA_PROPERTIES%
  1. oracle_common/upgrade/binディレクトリに移動します。
    • (UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/bin
    • (Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\bin
  2. Upgrade Assistantを起動します。
    • (UNIX) ./ua
    • (Windows) ua.bat

コマンドラインに指定可能なその他のパラメータ(ロギングのパラメータなど)の詳細は、次を参照してください。

Upgrade Assistantのパラメータ

コマンドラインからUpgrade Assistantを起動する際に、追加のパラメータを指定できます。

表4-4 Upgrade Assistantコマンドライン・パラメータ

パラメータ 必須またはオプション 説明

-readiness

準備状況チェックの場合は必須

ノート: スタンドアロン・インストール(WebLogic Serverによって管理されないインストール)では準備状況チェックを実行できません。

アップグレードの準備状況チェックを実行します(実際のアップグレードは実行しません)。

スキーマと構成がチェックされます。

-examineパラメータを指定した場合は、このパラメータを指定しないでください。

-threads

オプション

スキーマの同時アップグレードまたはスキーマの準備状況チェックに使用可能なスレッドの数を特定します。

値は、1 - 8の正の整数である必要があります。デフォルトは4です。

-response

サイレント・アップグレードまたはサイレント準備状況チェックの場合は必須

レスポンス・ファイルに保存した入力を使用して、Upgrade Assistantを実行します。このレスポンス・ファイルは、GUIモードでUpgrade Assistantを実行したときの入力データから生成されます。このパラメータを使用すると、Upgrade Assistantがサイレント・モードで(Upgrade Assistant画面を表示せずに)実行されます。

-examine

オプション

調査フェーズを実行しますが、実際のアップグレードは実行しません。

-readinessパラメータを指定した場合、このパラメータを指定しないでください。

-logLevel attribute

オプション

次のいずれかの属性を指定して、ログイン・レベルを設定します。

  • TRACE

  • NOTIFICATION

  • WARNING

  • ERROR

  • INCIDENT_ERROR

デフォルトのロギング・レベルはNOTIFICATIONです。

-logLevel TRACE属性を設定して、より多くのログが記録されるようにすることを検討してください。これは、アップグレードの失敗をトラブルシューティングする際に役立ちます。-logLevel TRACEが使用されると、Upgrade Assistantのログ・ファイルは非常に大きくなる可能性があります。

-logDir location

オプション

アップグレード・ログ・ファイルと一時ファイルのデフォルトの場所を設定します。既存の書込み可能なディレクトリを指定する必要があります。Upgrade Assistantは、このディレクトリにログ・ファイルと一時ファイルを作成します。

デフォルトの場所は次のとおりです。

(UNIX)

ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs
ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/temp

(Windows)

ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\logs
ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\temp

-help

オプション

すべてのコマンドライン・オプションを表示します。

Upgrade Assistantを使用した製品スキーマのアップグレード

Upgrade Assistantの各画面を通じて、製品スキーマをアップグレードします。

注意: アップグレードを開始する前に、必要なすべての前提条件を実行してください。「Oracle HTTP Serverのアップグレードの準備」で説明されているタスクを完了しないと、アップグレードが失敗することがあります。たとえば、既存のドメインにWLSSchemaDataSourceデータ・ソースがある場合、14.1.2.0.0からは、どのデータベース・ユーザーが割り当てられているかを確認する必要があります。<PREFIX>_WLS_RUNTIMEが割り当てられている場合は、それを<PREFIX>_WLSに変更する必要があります。詳細は、「WLSSchemaDataSourceデータ・ソースのデータベース・ユーザーの確認」を参照してください。
スキーマをアップグレードするには:
  1. 「ようこそ」画面で、アップグレード・アシスタントの概要と、重要なアップグレード前のタスクに関する情報を確認します。「次へ」をクリックします。

    ノート:

    Upgrade Assistantの画面の詳細は、画面上の「ヘルプ」をクリックしてください。
  2. 「すべてのスキーマ」画面で、次に示すオプションを選択します。
    • ドメインで使用されるすべてのスキーマ。アップグレード・アシスタントは、「ドメイン・ディレクトリ」シールドに指定されているドメイン内のアップグレード可能なスキーマがあるすべてのコンポーネントを検索し、選択できます。これは、ドメイン支援のスキーマ・アップグレードとも呼ばれています。さらに、Upgrade Assistantはスキーマの入力画面に接続情報を事前に移入します。

      ノート:

      すべての必要なスキーマがアップグレードに含まれるように、ほとんどのアップグレードでは、「ドメインで使用されるすべてのスキーマ」を選択することをお薦めします。
    • 「個別に選択されたスキーマ」: ドメインで使用されるスキーマをすべてアップグレードするのではなく、アップグレードするスキーマを個別に選択する場合のオプションです。

      注意:

      対象の14c (14.1.2.0.0)コンポーネントをサポートするために使用するスキーマのみをアップグレードしてください。Oracle Fusion Middleware 14c (14.1.2.0.0)に含まれていないコンポーネントをサポートするために現在使用しているスキーマは、アップグレードしないでください。

    「ドメイン・ディレクトリ」画面で、12c WebLogicドメイン・ディレクトリを入力します。「参照」をクリックし、ナビゲーション・ツリーを使用して12 WebLogicドメイン・ディレクトリを選択します。Upgrade Assistantがjps-config.xmlファイルにアクセスするために、12cドメインの場所が必要です。

    「次へ」をクリックします。

  3. 「コンポーネント・リスト」画面には、アップグレード可能なスキーマがある、インストール済のOracle Fusion Middlewareコンポーネントのリストが表示されます。コンポーネントを選択すると、スキーマとすべての依存関係が自動的に選択されます。
  4. 「前提条件」画面で、すべてのチェック・ボックスを選択して、前提条件を満たしていることを確認します。「次へ」をクリックします。

    ノート:

    Upgrade Assistantでは、前提条件が満たされているかどうかの確認は行われません。
  5. 「調査」画面で、各スキーマを調査したUpgrade Assistantのステータスを確認して、スキーマのアップグレードの準備が整っていることを検証します。ステータスが「調査が終了しました。」になっている場合は、「次」をクリックします。
    調査フェーズが失敗した場合は、「調査失敗」ダイアログの「いいえ」をクリックして、アップグレードをキャンセルすることをお薦めします。「ログの表示」をクリックしてエラーの原因を確認し、一般的なアップグレード・エラーの解決の詳細をUpgrade Assistantによるアップグレードアップグレードのトラブルシューティングで参照してください。

    ノート:

    • 確認フェーズ中に検出された問題を、アップグレードを進めずに解決した場合は、バックアップからリストアを再び行わずにUpgrade Assistantを開始できます。ただし、「調査失敗」ダイアログ・ボックスで「はい」をクリックして続行した場合は、アップグレード・アシスタントを再起動する前に、アップグレード前の環境をバックアップからリストアする必要があります。

    • 調査プロセスを取り消してもスキーマまたは構成データに影響はありませんが、将来のアップグレード・セッションでは、Upgrade Assistantが収集した情報を再収集する必要があります。

  6. 「アップグレード・サマリー」画面に、アップグレードまたは作成する(あるいはその両方)スキーマがリストされます。
    アップグレード対象の各スキーマについて、正しいソース・バージョンとターゲット・バージョンがリストされていることを確認します。
    これらのオプションを保存して、今後、レスポンス(サイレンス)モードでUpgrade Assistantを再実行する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックして、レスポンス・ファイルの場所と名前を指定します。サイレント・アップグレードは、Upgrade Assistantとまったく同じ機能を実行しますが、データを手動で再入力する必要はありません。
    「次へ」をクリックします。
  7. 「アップグレードの進行状況」画面で、アップグレードのステータスを監視します。

    注意:

    アップグレード・アシスタントにはアップグレードを実行するための十分な時間を与えてください。やむを得ない場合を除き、アップグレード操作は取り消さないでください。これを行うと、環境が不安定になる可能性があります。
    正しくアップグレードされていないスキーマがある場合は、Upgrade Assistantのログ・ファイルで情報を確認します。

    ノート:

    この画面のプログレス・バーには、現在のアップグレード手順の進行状況が表示されます。アップグレードの残り時間を示すものではありません。

    「次へ」をクリックします。

  8. アップグレードが成功した場合: 「アップグレード成功」画面で、「閉じる」をクリックし、アップグレードを完了してウィザードを閉じます。

    アップグレードが失敗した場合: 「アップグレード失敗」画面で、「ログの表示」をクリックし、エラーを表示してトラブルシューティングします。ログは、NEW_ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logsにあります。

    ノート:

    アップグレードが失敗した場合は、バックアップからアップグレード前の環境をリストアし、問題を修正してから、Upgrade Assistantを再起動する必要があります。

スキーマのアップグレードの確認

すべてのアップグレード・ステップを完了したら、schema_version_registryのスキーマ・バージョンが適切に更新されていることをチェックして、アップグレードの成功を検証します。

Oracle Databaseを使用する場合、Oracle DBAを持つユーザーとしてデータベースに接続し、SQL*Plusから次を実行して現行のバージョン番号を取得します。<PREFIX>は、必ずスキーマ接頭辞に置き換えてください。

SET LINE 120
COLUMN MRC_NAME FORMAT A14
COLUMN COMP_ID FORMAT A20
COLUMN VERSION FORMAT A12
COLUMN STATUS FORMAT A9
COLUMN UPGRADED FORMAT A8
SELECT MRC_NAME, COMP_ID, OWNER, EDITION NAME, VERSION, STATUS, UPGRADED FROM SCHEMA_VERSION_REGISTRY where owner like '<PREFIX>_%';

問合せ結果について:

  • EDITION NAME列がORA$BASEとして表示されることを確認します。
  • VERSION列の数値が、そのスキーマの最新のバージョン番号に一致していることを確認します。たとえば、スキーマ・バージョン番号が14.1.2.0.0であることを確認します。

    ノート:

    すべてのスキーマ・バージョンが更新されるわけではありません。一部のスキーマは、このリリースにあわせたアップグレードの必要がなく、アップグレード前のバージョン番号を維持します。

  • STATUSフィールドは、スキーマのパッチ適用操作中はUPGRADINGまたはUPGRADEDのどちらかになり、パッチ適用操作が完了するとVALIDになります。

  • ステータスが「INVALID」と表示された場合は、ステータスの更新が失敗しています。ログ・ファイルを調べて、失敗した理由を判定する必要があります。

  • IAU_APPENDIAU_VIEWERが所有するシノニム・オブジェクトは、INVALIDと表示されますが、失敗を意味するものではありません。

    これらは、シノニムの作成後にターゲット・オブジェクトが変更されるため無効になります。シノニム・オブジェクトは、アクセスされるときに有効になります。これに該当するINVALIDオブジェクトは、無視しても問題ありません。

ドメインの再構成について

再構成ウィザードを実行して、ドメイン・コンポーネント構成を14c (14.1.2.0.0)にあわせて再構成します。

ノート:

ソースがクラスタ環境である場合は、再構成ウィザードをプライマリ・ノードでのみ実行します。

WebLogic Serverドメインを再構成すると、ドメイン内のアプリケーションに応じて、次の項目が自動的に更新されます。

  • WebLogic Serverコア・インフラストラクチャ

  • ドメイン・バージョン

ノート:

ドメインの再構成を開始する前に、次の制限事項に注意してください。

  • 再構成ウィザードでは、ドメインに含まれる独自のアプリケーションは更新されません。

  • アップグレード・プロセス中に、非動的クラスタ・ドメインを動的クラスタ・ドメインに変換することはサポートされていません。

    動的クラスタ機能は、再構成ウィザードの実行中に使用できますが、サポートされているアップグレードは非動的クラスタのアップグレードのみで、その後で動的クラスタを追加することになります。アップグレード・プロセス中に動的クラスタを追加することはできません。

具体的には、ドメインを再構成する場合、次のことが発生します。
  • ドメインのconfig.xmlファイルのドメイン・バージョン番号は、管理サーバーのインストール済WebLogic Serverバージョンに更新されます。

  • すべてのインストール済Oracle製品の再構成テンプレートは、自動的に選択されてドメインに適用されます。これらのテンプレートは、WebLogicドメインが現在のWebLogic Serverバージョンと互換性を持つために必要な再構成タスクを定義します。

  • 起動スクリプトが更新されます。

    変更済の起動スクリプトを維持する場合は、そのスクリプトをバックアップしてから、再構成ウィザードを開始してください。

ノート:

ドメイン再構成プロセスを開始すると、行う変更を元に戻すことができません。再構成ウィザードの実行前には、アップグレード前チェックリストで説明しているように、ドメインのバックアップが作成されていることを確認してください。再構成ウィザードの実行中にエラーまたは他の割込みが発生した場合、バックアップ場所から元のドメイン・ディレクトリにファイルとディレクトリをコピーすることによって、ドメインをリストアする必要があります。これは、再構成前の元の状態にドメインを復元するための唯一の方法です。

ドメインのバックアップ

再構成ウィザードの実行前に、ドメイン・ディレクトリのバックアップ・コピーを作成します。

  1. ドメイン・ディレクトリのバックアップを作成します。
  2. 各リモート管理対象サーバーのドメインを更新する前に、各リモート・マシンのドメイン・ディレクトリのバックアップ・コピーを作成します。
  3. ドメインのバックアップしたバージョンが完全であることを確認します。
なんらかの理由でドメインの再構成が失敗した場合は、すべてのファイルおよびディレクトリをバックアップ・ディレクトリから元のドメイン・ディレクトリにコピーしてドメインを完全に再構成前の元の状態に戻す必要があります。

再構成ウィザードの起動

ノート:

再構成プロセスを開始する前に、管理サーバーおよびすべてのコロケート管理対象サーバーを停止します。「サーバーとプロセスの停止」を参照

再構成ウィザードをグラフィカル・モードで起動するには:

  1. ドメインが存在するシステムにサインインします。
  2. コマンド・シェル(UNIXオペレーティング・システムの場合)またはコマンド・プロンプト・ウィンドウ(Windowsオペレーティング・システムの場合)を開きます。
  3. oracle_common/common/binディレクトリに移動します。
    • (UNIX) NEW_ORACLE_HOME/oracle_common/common/bin
    • (Windows) NEW_ORACLE_HOME\oracle_common\commom\bin
  4. 次に示すロギングオプションを指定して、再構成ウィザードを開始します。
    • (UNIX) ./reconfig.sh -log=log_file -log_priority=ALL
    • (Windows) reconfig.cmd -log=log_file -log_priority=ALL

    log_fileは、ドメイン再構成セッション用に作成するログ・ファイルの絶対パスです。これは、再構成処理をトラブルシューティングする必要がある場合に役立つことがあります。

    パラメータ-log_priority=ALLにより、ログは詳細モードで記録されるようになります。

    ノート:

    このコマンドを実行すると、デフォルトのキャッシュ・ディレクトリが無効であることを示す次のエラー・メッセージが表示される場合があります。

    *sys-package-mgr*: can't create package cache dir
    

    環境変数CONFIG_JVM_ARGSを設定することでキャッシュ・ディレクトリを変更できます。たとえば:

    CONFIG_JVM_ARGS=-Dpython.cachedir=valid_directory

再構成ウィザードを使用したドメインの再構成

再構成ウィザードの各画面を通じて、既存のドメインを再構成します。

ドメインを再構成するには:
  1. 「ドメインの選択」画面でアップグレードするドメインの場所を指定するか、「参照」をクリックして移動し、ドメイン・ディレクトリを選択します。「次へ」をクリックします。
  2. 「再構成セットアップの進行状況」画面で、セットアップ・プロセスの進行状況を確認します。完了したら、「次へ」をクリックします。
    このプロセスでは次の処理が行われます。
    • Fusion Middleware製品を含む、インストール済製品の再構成テンプレートが自動的に適用されます。これにより、config.xmlconfig-groups.xmlsecurity.xmlなどの様々なドメイン構成ファイルが更新されます。

    • ご使用のFusion Middleware製品をサポートするスクリプトおよびその他のファイルが更新されます。

    • ドメイン・アップグレードが検証されます。

  3. 「ドメイン・モードおよびJDK」画面で、ドメインで使用するJDKを選択するか、「参照」をクリックして使用するJDKに移動します。14c (14.1.2.0.0)でサポートされているJDKバージョンは、17.0.12以降です。「次へ」をクリックします。

    ノート:

    ここでは「ドメイン・モード」は変更できません。ドメインは、アップグレード前のドメイン・モードを保持します。ドメインをセキュア・モードに変更する場合は、アップグレード後に「アップグレード後のドメイン・モードの変更」を参照してください。
    特定のプラットフォームでサポートされているJDKのリストは、Oracle Fusion Middlewareでサポートされているシステム構成を参照してください。
  4. 「JDBCデータ・ソース」画面で、ドメイン・ソースで定義したJDBCデータ・ソースを構成します。
    ドメインを作成する製品に関連付けられるJDBCデータ・ソースは、画面の下半分にリスト表示されます。JDBCデータ・ソースには、データ・ソース・インスタンスの作成時、デプロイ時もしくはターゲット指定時、またはサーバー起動時に作成されるデータベース接続のプールが含まれます。 アプリケーションはJNDIツリーでデータ・ソースをルックアップしてから、接続をリクエストします。アプリケーションに接続する必要がなくなった場合は、接続がデータ・ソースの接続プールに戻されます。
    「データソース名」ドロップダウン・リストから、設定を指定するデータ・ソースを選択します。指定した値は、選択されたデータ・ソースのデータ・ソース・リストの適切な列に表示されます。
    データ・ソースがOracle RAC構成の場合は、次の3つのオプションのいずれかを選択できます。
    • GridLinkへ変換
    • RACマルチ・データ・ソースへ変換
    • 変換しない

    各オプションの詳細は、「ヘルプ」をクリックしてください。

    詳細を指定したら、「次へ」をクリックします。
    「JDBCデータ・ソース」画面でデータ・ソースを選択しないと、次に示す警告が表示されます。
    ドライバがありません
    「OK」をクリックして検証せずに続行するか、「取消」をクリックして「JDBCデータ・ソース」ページに戻ります。
    この場合、「OK」をクリックしてもデータ・ソースは検証されません。
  5. 「JDBCデータ・ソース・テスト」画面で、「JDBCデータ・ソース」画面で構成したデータ・ソース接続のチェック・ボックスを選択し、「選択された接続のテスト」をクリックしてデータ・ソース接続をテストします。

    ノート:

    データベースの接続をテストするには、接続するデータベースが実行中である必要があります。接続をテストしない場合は、データ・ソースを選択しません。「次へ」をクリックして続行します。
  6. 「データベース構成タイプ」画面で、「RCUデータ」を選択してサービス表(<PREFIX>_STB) スキーマに接続します。
    ノート: <PREFIX>は、アップグレードされる12.2.1.4ドメインのRCUスキーマ接頭辞です。
    RCUサービス表(<PREFIX>_STB)スキーマ資格証明を使用してデータベース接続の詳細を入力するか、「RCU構成の取得」をクリックします。
    再構成ウィザードは、この接続を使用して、ドメインのコンポーネントに必要なデータソースを自動的に更新します。

    ノート:

    デフォルトでは、Oracleのサービス接続用ドライバ(Thin)、バージョン: 任意は選択されたドライバです。サービス名のかわりに接続の詳細でインスタンス名を指定した場合、Oracleのプールされたインスタンス接続用ドライバ(Thin)、バージョン: 任意を選択する必要があります。ドライバ・タイプを変更しない場合、接続に失敗します。
    チェックに成功したら、「次へ」をクリックします。チェックが失敗した場合は、接続の詳細を正しく入力し直して再試行します。
  7. 「JDBCコンポーネント・スキーマ・テスト」画面で、すべてのコンポーネント・スキーマを選択して「選択された接続のテスト」をクリックして、各スキーマの接続をテストします。テストの結果は、「ステータス」列に表示されます。
    チェックが終了したら、「次へ」をクリックします。
  8. 「ノード・マネージャ」画面は、再構成するドメインで、ホストごとのノード・マネージャが使用されている場合にのみ表示されます。
    「ノード・マネージャ」画面で、再構成したドメインで使用するノード・マネージャ構成を選択します。結果として生成される構成は、「ノード・マネージャ・タイプ」および「ノード・マネージャ構成」で選択したオプションの組合せに応じて異なります。

    表4-5 「ノード・マネージャ」画面のフィールドの説明

    オプション 説明
    ドメインごとのデフォルトの場所

    このオプションを選択すると、ノード・マネージャ・ホームはDOMAIN_NAME/nodemanagerに再定義され、ノード・マネージャ・ホームの編集ができなくなります。

    ドメインごとのカスタムの場所

    このオプションは、このドメインの特定の場所に、ドメインごとのノード・マネージャ構成ファイルを作成する場合に選択します。「ノード・マネージャ・ホーム」フィールドでディレクトリを指定するか、「参照」をクリックしてナビゲーション・ツリーを使用してその場所を選択します。指定するディレクトリは空である必要があります。このディレクトリに、nodemanager.propertiesおよびnodemanager.domainsファイルが作成されます。

    ノード・マネージャ・ホーム

    ドメインごとのカスタムの場所オプションを選択した場合は、「参照」をクリックして、ドメインごとのノード・マネージャ構成の格納に使用するディレクトリの場所に移動します。

    手動ノード・マネージャ・セットアップ

    このオプションを選択した場合は、ドメインのノード・マネージャ構成の作成がスキップされ、残りのフィールドはすべて変更できなくなるため、ドメインでノード・マネージャを使用する場合はノード・マネージャ構成の実行の説明にしたがって、ノード・マネージャを手動で構成する必要があります。再構成されたドメインでは、ホストごとのノード・マネージャ構成が引き続き使用されます。

    既存のドメインがノード・マネージャを使用するように構成されておらず、再構成されたドメインでノード・マネージャを使用しない場合も、このオプションを選択する必要があります。

    ノード・マネージャ構成の詳細は、『Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理』を参照してください。

    ノード・マネージャ構成 次の2つのオプションから1つを選択します。「手動ノード・マネージャ・セットアップ」を選択した場合は、次のフィールドを使用できません。
    新規構成の作成 nodemanager.propertiesのデフォルトの設定を使用して、再構成されたドメインに、ドメインごとのノード・マネージャ構成が自動的に作成されます。ドメインが正常に再構成された後に、必要に応じて、nodemanager.propertiesを変更できます。
    既存の構成を移行 すでに存在するホストごとのノード・マネージャ構成が、再構成されたドメインのドメインごとの構成に移行されます。これには、ListenAddress、ListenPort、StartScriptName、JavaHomeおよびLogFileの環境固有の設定は含まれません。
    ノード・マネージャ・ホーム 「既存の構成を移行」オプションを選択した場合は、再構成したドメインの移行先にするノード・マネージャのホーム・ディレクトリを入力するか、参照してください。
    Oracle推奨デフォルトの適用

    このチェック・ボックスは、「既存の構成を移行」オプションを選択した場合に、nodemanager.propertiesファイルに指定されているOracle推奨のデフォルトを使用するときに選択します。移行されるnodemanager.propertiesファイルの設定を引き続き使用する場合は、このチェック・ボックスの選択を解除してください。

    推奨されるプロパティのデフォルト値は次のとおりです。

    LogLimit=0
    AuthenticationEnabled=true
    LogLevel=INFO
    DomainsFileEnabled=true
    NativeVersionEnabled=true
    LogToStderr=true
    SecureListener=true
    LogCount=1
    StopScriptEnabled=false
    QuitEnabled=false
    LogAppend=true
    StateCheckInterval=500
    CrashRecoveryEnabled=false
    StartScriptEnabled=true
    LogFormatter=weblogic.nodemanager.server.LogFormatter
    ListenBacklog=50
    ノード・マネージャ資格証明: ユーザー名、パスワード 再構成されたドメインで、ノード・マネージャの起動に使用するユーザー名とパスワードを指定します。
  9. 「拡張構成」画面で、拡張構成を実行するすべてのカテゴリを選択できます。選択したカテゴリごとに、詳細構成を行うことができる適切な構成画面が表示されます。

    ノート:

    「拡張構成」画面に表示されるカテゴリは、ドメインで選択したテンプレートに定義されているリソースによって異なります。
    このアップグレードでは、オプションを選択せずに「次へ」をクリックします。
  10. 「構成のサマリー」画面で、ドメインの詳細な構成を確認してから続行します。
    「表示」ドロップダウン・リストからフィルタ・オプションを選択すると、右側のパネルに表示される項目を制限できます。
    構成を変更するには、「戻る」をクリックして適切な画面に戻ります。ドメインを再構成するには、「再構成」をクリックします。

    ノート:

    ドメインの再構成時には、ドメインの場所は変更されません。
  11. 「再構成の進行状況」画面に、再構成プロセスの進行状況が表示されます。
    このプロセスでは次の処理が行われます。
    • ドメイン情報が抽出、保存および更新されます。

    • Fusion Middleware製品をサポートするスキーマ、スクリプトおよび他のファイルが更新されます。

    プログレス・バーに100%が表示されたら、「次へ」をクリックします。
  12. 「構成の終了」画面に、再構成プロセスが成功して完了したか、または失敗したかどうかが示されます。管理サーバーURL(リスニング・ポートを含む)とともに再構成されたドメインの場所も表示します。再構成が成功した場合は、「Oracle Weblogic Serverの再構成に成功しました」と表示されます。
    再構成プロセスが正常に完了しなかった場合は、その理由を示すエラー・メッセージが表示されます。問題を解決するための適切な措置を講じます。問題を解決できない場合は、My Oracle Supportに連絡してください。
    今後の操作での使用に備えて、ドメインの場所と管理サーバーのURLを記録しておきます。

ドメイン・コンポーネント構成のアップグレード

ドメインの再構成後、更新したドメイン構成と一致するように、ドメイン内でUpgrade Assistantを使用してドメイン・コンポーネント構成をアップグレードします。

アップグレード・アシスタントの起動

Upgrade Assistantを実行して、製品のスキーマ、ドメイン・コンポーネント構成、またはスタンドアロンのシステム・コンポーネントを14c (14.1.2.0.0)にアップグレードします。

Upgrade Assistantを起動するには:

ノート:

Upgrade Assistantを開始する前に、Upgrade Assistantを実行しているプラットフォームのJVM文字エンコーディングがUTF-8に設定されていることを確認します。文字エンコーディングがUTF-8に設定されていない場合、名前にUnicode文字を含むファイルをダウンロードできません。アップグレードが失敗する可能性があります。文字エンコーディングを設定するには、次を実行します。

UNIXオペレーティング・システムの場合:

export UA_PROPERTIES="-Dfile.encoding=UTF-8 ${UA_PROPERTIES}"

Windowsオペレーティング・システムの場合:

set UA_PROPERTIES=-Dfile.encoding=UTF-8 %UA_PROPERTIES%
  1. oracle_common/upgrade/binディレクトリに移動します。
    • (UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/bin
    • (Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\bin
  2. Upgrade Assistantを起動します。
    • (UNIX) ./ua
    • (Windows) ua.bat

コマンドラインに指定可能なその他のパラメータ(ロギングのパラメータなど)の詳細は、次を参照してください。

Upgrade Assistantのパラメータ

コマンドラインからUpgrade Assistantを起動する際に、追加のパラメータを指定できます。

表4-6 アップグレード・アシスタントのコマンドライン・パラメータ

パラメータ 必須またはオプション 説明

-readiness

準備状況チェックの場合は必須

ノート: スタンドアロン・インストール(WebLogic Serverによって管理されないインストール)では準備状況チェックを実行できません。

アップグレードの準備状況チェックを実行します(実際のアップグレードは実行しません)。

スキーマと構成がチェックされます。

-examineパラメータを指定した場合は、このパラメータを指定しないでください。

-threads

オプション

スキーマの同時アップグレードまたはスキーマの準備状況チェックに使用可能なスレッドの数を特定します。

値は、1 - 8の正の整数である必要があります。デフォルトは4です。

-response

サイレント・アップグレードまたはサイレント準備状況チェックの場合は必須

レスポンス・ファイルに保存した入力を使用して、Upgrade Assistantを実行します。このレスポンス・ファイルは、GUIモードでUpgrade Assistantを実行したときの入力データから生成されます。このパラメータを使用すると、Upgrade Assistantがサイレント・モードで(Upgrade Assistant画面を表示せずに)実行されます。

-examine

オプション

調査フェーズを実行しますが、実際のアップグレードは実行しません。

-readinessパラメータを指定した場合、このパラメータを指定しないでください。

-logLevel attribute

オプション

次のいずれかの属性を指定して、ログイン・レベルを設定します。

  • TRACE

  • NOTIFICATION

  • WARNING

  • ERROR

  • INCIDENT_ERROR

デフォルトのロギング・レベルはNOTIFICATIONです。

-logLevel TRACE属性を設定して、より多くのログが記録されるようにすることを検討してください。これは、アップグレードの失敗をトラブルシューティングする際に役立ちます。-logLevel TRACEが使用されると、Upgrade Assistantのログ・ファイルは非常に大きくなる可能性があります。

-logDir location

オプション

アップグレード・ログ・ファイルと一時ファイルのデフォルトの場所を設定します。既存の書込み可能なディレクトリを指定する必要があります。Upgrade Assistantは、このディレクトリにログ・ファイルと一時ファイルを作成します。

デフォルトの場所は次のとおりです。

(UNIX)

ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs
ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/temp

(Windows)

ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\logs
ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\temp

-help

オプション

すべてのコマンドライン・オプションを表示します。

Upgrade Assistantを使用したドメイン・コンポーネントのアップグレード

Upgrade Assistantの各画面を通じて、WebLogicドメインのコンポーネント構成をアップグレードします。

再構成ウィザードを実行してWebLogicドメインをOracle Analytics Serverに再構成した後、アップグレード・アシスタントを実行して、ドメイン・コンポーネント構成を更新済ドメイン構成に一致するようにアップグレードする必要があります。

Upgrade Assistantを使用して、ドメイン・コンポーネント構成をアップグレードするには:
  1. 「ようこそ」画面には、Upgrade Assistantの概要と、アップグレード前のいくつかの重要なタスクについての情報が示されます。「次へ」をクリックします。

    ノート:

    Upgrade Assistantの画面の詳細は、画面上の「ヘルプ」をクリックしてください。
  2. 次の画面で、次を実行します。
    • 「ドメインによって使用されるすべての構成」を選択します。画面名が「WebLogicコンポーネント」に変更されます。

    • 「ドメイン・ディレクトリ」フィールドに、WebLogicドメイン・ディレクトリのパスを入力します。

    「次へ」をクリックします。

  3. 「コンポーネント・リスト」画面で、構成をアップグレードするコンポーネントがリストにすべて含まれていることを確認し、「次」をクリックします。
    アップグレードするコンポーネントがリストに含まれていない場合は、「戻る」をクリックして前の画面に戻り、別のドメインを指定します。
  4. 「前提条件」画面で、すべてのチェック・ボックスを選択して、前提条件を満たしていることを確認します。「次へ」をクリックします。

    ノート:

    Upgrade Assistantでは、前提条件が満たされているかどうかの確認は行われません。
  5. 「調査」画面で、各コンポーネントを調査したUpgrade Assistantのステータスを確認して、コンポーネント構成のアップグレードの準備が整っていることを検証します。ステータスが「調査が終了しました。」になっている場合は、「次」をクリックします。
    調査フェーズが失敗した場合は、「調査失敗」ダイアログの「いいえ」をクリックして、アップグレードをキャンセルすることをお薦めします。「ログの表示」をクリックしてエラーの原因を確認し、一般的なアップグレード・エラーの解決の詳細をUpgrade Assistantによるアップグレードアップグレードのトラブルシューティングで参照してください。

    ノート:

    • 確認フェーズ中に検出された問題を、アップグレードを進めずに解決した場合は、バックアップからリストアを再び行わずにUpgrade Assistantを開始できます。ただし、「調査失敗」ダイアログ・ボックスで「はい」をクリックしてアップグレードを続行していた場合は、Upgrade Assistantを再開する前に、バックアップからアップグレード前の環境をリストアする必要があります。

    • 調査プロセスを取り消しても構成データに影響はありませんが、将来のアップグレード・セッションでは、Upgrade Assistantが収集した情報の再収集が必要になります。

  6. 「アップグレード・サマリー」画面で、コンポーネント構成のアップグレードに選択したオプションのサマリーを確認します。
    レスポンス・ファイルには、入力したすべての情報が収集および格納されます。このファイルにより、その後のサイレント・アップグレードの実行が可能になります。サイレント・アップグレードは、Upgrade Assistantとまったく同じ機能を実行しますが、データを手動で再入力する必要はありません。これらのオプションをレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックし、レスポンス・ファイルの場所と名前を指定します。
    「アップグレード」をクリックして、アップグレード・プロセスを開始します。
  7. 「アップグレードの進行状況」画面で、アップグレードのステータスを監視します。

    注意:

    アップグレード・アシスタントにはアップグレードを実行するための十分な時間を与えてください。やむを得ない場合を除き、アップグレード操作は取り消さないでください。これを行うと、環境が不安定になる可能性があります。
    正しくアップグレードされていないコンポーネントがある場合は、Upgrade Assistantのログ・ファイルで情報を確認します。

    ノート:

    この画面のプログレス・バーには、現在のアップグレード手順の進行状況が表示されます。アップグレードの残り時間を示すものではありません。

    「次へ」をクリックします。

  8. アップグレードが成功した場合: 「アップグレード成功」画面で、「閉じる」をクリックし、アップグレードを完了してウィザードを閉じます。新規インストールでコンポーネントを機能させるために手動で実行する必要のあるタスクが、アップグレード後のアクションのウィンドウに表示されます。このウィンドウは、コンポーネントにアップグレード後のステップがある場合にのみ表示されます。
    アップグレードが失敗した場合: 「アップグレード失敗」画面で、「ログの表示」をクリックし、エラーを表示してトラブルシューティングします。ログは、ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logsにあります。

    ノート:

    アップグレードが失敗した場合は、アップグレード前の環境をバックアップからリストアし、問題を修正してから、Upgrade Assistantを再起動する必要があります。

ドメイン固有コンポーネント構成のアップグレードの確認

ドメイン固有コンポーネント構成のアップグレードが成功したことを確認するには、リモート・コンソールにサインインし、アップグレードされた各コンポーネントのバージョン番号が14.1.2.0.0になっていることを確認します。

ノート:

ホストされたWebLogicリモート・コンソールにアクセスするには、ホストされたWebLogicリモート・コンソールをデプロイする必要があります。詳細は、リモート・コンソール・オンライン・ヘルプを参照してください。

リモート・コンソールにサインインするには、http://hostname:port/rconsoleまたはHTTPS、 https://hostname:port/rconsoleに移動します。

ノート:

アップグレードに成功したら、管理ツールは、前のOracleホーム・ディレクトリではなく新しい14c (14.1.2.0.0)のOracleホーム・ディレクトリから必ず実行してください。

アップグレード・プロセス時に、一部のOWSMドキュメント(ポリシー・セット、ポリシーおよびアサーション・テンプレートなどの事前定義ドキュメント)のアップグレードが必要な場合があります。ポリシー・セットまたは事前定義ドキュメントがアップグレードされると、バージョン番号が1増分されます。

Upgrade Assistantを実行するためにFMWユーザーを作成した場合は、アップグレードが成功したことを確認してからアカウントを削除してください。

サーバーおよびプロセスの起動

アップグレードが正常に完了したら、すべてのプロセスと管理サーバーや管理対象サーバーを含めたすべてのサーバーを再起動します。

コンポーネントは相互に依存していることがあるため、適切な順序で起動する必要があります。

ノート:

この項の手順では、WLSTコマンド行ユーティリティまたはスクリプトを使用してサーバーおよびプロセスを起動する方法について説明します。Oracle Fusion Middleware ControlおよびOracle WebLogic Serverリモート・コンソールを使用することもできます。管理サーバーと管理対象サーバーおよびノード・マネージャの起動と停止を参照してください。

リリース14c (14.1.2.0.0)以降、WebLogic Server管理コンソールは削除されました。同等の機能を使用するには、WebLogicリモート・コンソールを使用する必要があります。詳細は、Oracle WebLogicリモート・コンソールを参照してください。

Fusion Middleware環境を起動するには、次のステップに従います。

ノート:

既存のセキュリティ設定によっては、保護された本番モードが有効になっているドメインを管理する前に、追加の構成を実行しなければならない場合があります。詳細は、「WebLogicリモート・コンソールを使用した管理サーバーへの接続」を参照してください

.

ステップ1: 管理サーバーの起動

管理サーバーを起動するには、startWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) NEW_DOMAIN_HOME/bin/startWebLogic.sh

  • (Windows) NEW_DOMAIN_HOME\bin\startWebLogic.cmd

    ノート:

    保護された本番モードを使用する場合は、管理サーバーを起動するための追加パラメータを指定する必要があります。『Oracle WebLogic Serverのセキュリティの管理』WLSTを使用した管理サーバーへの接続に関する項を参照してください。

プロンプトが表示されたら、管理サーバーのユーザー名とパスワード、およびURLを入力します。

ステップ2: ノード・マネージャを起動する

ノード・マネージャを起動するには、startNodeManagerスクリプトを使用します。

  • (UNIX) NEW_DOMAIN_HOME/bin/startNodeManager.sh

  • (Windows) NEW_DOMAIN_HOME\bin\startNodeManager.cmd

ステップ3: すべての管理対象サーバーを起動する

WebLogic Server管理対象サーバーを起動するには、startManagedWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) NEW_DOMAIN_HOME/bin/startManagedWebLogic.sh managed_server_name admin_url

  • (Windows) NEW_DOMAIN_HOME\bin\startManagedWebLogic.cmd managed_server_name admin_url

    ノート:

    保護された本番モードを使用する場合は、管理対象サーバーを起動するための追加パラメータを指定する必要があります。『Oracle WebLogic Serverセキュリティの管理』起動スクリプトを使用した管理対象サーバーの起動に関する項を参照してください。

ノート:

通常、管理対象サーバーを起動すると、そのサーバーにデプロイされているアプリケーションが開始されます。したがって、管理対象サーバーの起動後にアプリケーションを手動で開始する必要はありません。

ステップ4: システム・コンポーネントを起動する

Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントを起動するには、startComponentスクリプトを使用します。

  • (UNIX) NEW_DOMAIN_HOME/bin/startComponent.sh component_name

  • (Windows) NEW_DOMAIN_HOME\bin\startComponent.cmd component_name

システム・コンポーネントは任意の順序で起動できます。

Oracle HTTP Serverの起動

Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用すると、Oracle HTTP Serverを起動、停止および再起動できます。

Oracle HTTP Serverは、ノード・マネージャで起動できます。起動の手順は、『Oracle HTTP Serverの管理』リモートからのOracle HTTP Serverの実行に関する項を参照してください。
Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用して、Oracle HTTP Serverを起動するには:
  1. Oracle HTTP Serverのホーム・ページへ移動します。
  2. 適切な資格証明を使用してEnterprise Managerコンソール・ページにログインします。
  3. 「Oracle HTTP Server」メニューから次の手順を実行します。
    1. 「制御」を選択します。
    2. 「コントロール」メニューから「起動」を選択します。
    または
  4. 「ターゲット・ナビゲーション」ツリーから次の手順を実行します。
    1. 起動するOracle HTTP Serverインスタンスを右クリックします。
    2. 「制御」を選択します。
    3. 「コントロール」メニューから「起動」を選択します。

アップグレードの確認

WebLogic Serverリモート・コンソール、Enterprise Manager Fusion Middleware ControlおよびOHSホーム・ページにログインできれば、アップグレードは正常に完了しています。

アップグレードを確認するには:
  1. WebLogic Serverリモート・コンソールにアクセスします。
    HTTPの場合: HTTP://hostname:port/rconsole
    HTTPSの場合: HTTPS://hostname:port/rconsole
  2. 次のURLを使用して、OHSのデフォルトのホーム・ページにアクセスします:
    http://hostname:port
  3. 次のURLを使用して、Enterprise Manager Fusion Middleware Controlにアクセスします:
    http://hostname:port/em

アップグレード後のタスク

デプロイメントに該当するアップグレード後タスクを実行します。

ノート:

固有の構成に該当するタスクのみを実行してください。

アップグレード後のドメイン・モードの変更

アップグレード後、ドメインは元のアップグレード前のドメイン・セキュリティ・モード設定を保持します。たとえば、ドメイン・モードを変更する場合、セキュリティを強化するには、WebLogicリモート・コンソールを使用するか、DomainMBeanを変更して、設定を明示的に変更する必要があります。

ドメインが現在本番モードに設定されていて、追加のセキュリティを有効にする場合は、アップグレード後にWebLogicリモート・コンソールを使用してドメイン・モードを変更し、保護本番モードを有効にします。Oracle WebLogic Remote Consoleオンライン・ヘルプドメイン・モードの変更に関する項

注意:

ドメイン・モードの変更には、ドメイン全体の再起動が必要です。ローリング再起動では不十分です。ドメイン・モードを変更する前に、すべての管理対象サーバーを停止する必要があります。

ドメインを14c (14.1.2.0.0)にアップグレードするときに、明示的なセキュア・モード設定がない場合、再構成ウィザードはアップグレードされたドメインでセキュア・モードを明示的に「無効」に設定します。これは、元のドメインに存在していた動作を保持するためです。明示的な保護モード設定がある場合は、アップグレード後のドメインでもそれが保持されます。詳細は、『Oracle WebLogic Server本番環境の保護』ドメイン・モードがデフォルトのセキュリティ構成に与える影響の理解に関する項を参照してください。

ノート:

保護された本番モードでは、より制限的で厳しいセキュリティ設定が強制され、脅威に対する脆弱性が軽減されます。ドメインがセキュアであることを確認するには、セキュア本番モードを有効にした後で、証明書の取得および格納、ユーザー・アカウントの保護、ドメインが実行されるネットワークの保護など、ドメインが実行される環境に適したセキュリティ構成オプションを選択する必要があります。これらのオプションが適切に構成されていない場合は、WebLogic Serverの使用がブロックされます。

WebLogicドメインの作成後には、適切なセキュリティ構成の選択など、整合性を確保するための主要なステップがいくつか残っています。詳細は、『Oracle WebLogic Serverセキュリティの管理』作成後のドメインの保護に関する項を参照してください。

htdocsフォルダからのバージョン情報の削除

このステップが必要なのは、オンラインWLSTコマンドohs_createInstanceを使用して作成されたOHSインスタンスを使用する管理対象(コロケート)環境がある場合のみです。

スクリプトversion_suppressor.plを実行して、/htdocsフォルダにあるファイルからバージョン情報を削除する必要があります。このスクリプトは、管理対象OHSインスタンスのランタイム・ディレクトリが存在するホストから実行する必要があります。

このスクリプトは、$ORACLE_HOME/ohs/common/binディレクトリにあります。