1 Identity Directory Servicesの概要

Identity Directory Services (IDS)イニシアチブは、ユーザー、アプリケーションおよびサービス・プロバイダ間でのアイデンティティ関連情報の安全な受渡しを実現します。また、アプリケーションおよびサービス・インフラストラクチャにプライバシと管理のセマンティクスを提供します。

次のトピックでは、Identity Directory Servicesの概要、およびOracleが提供する関連の開発者向けAPIについて説明します:

1.1 Identity Directory Servicesの概要

Identity Directory Servicesでは、標準を定義してアイデンティティ情報の交換を保護することができ、社内でも社外でもアプリケーション間のコンプライアンスが規制されます。アイデンティティ情報には、個々のアイデンティティに関する名前、アドレス、番号などの情報を含めることができます。

Identity Directory Servicesは、次の目標を達成するよう設計されています:

  • 格納場所に関係なく、アイデンティティ情報へのアクセス方法の開発を簡素化すること。

これらの仕様では、使用方法のポリシー、属性要件およびアイデンティティ関連の情報の使用に関する開発者APIを定義するための共通のフレームワークが提供されます。これらによって、ビジネスは、システムおよびアプリケーション全体でのアイデンティティ関連のデータの使用、格納および伝播に関係なく、ドキュメント化、制御および監査を完全に行うことができます。

この項では、次の項目について説明します。

1.1.1 組織にとってのIdentity Directory Servicesの利点

Identity Directory Servicesは、企業のセキュリティをサポートするポリシーと標準を利用し、信頼している当事者によってアイデンティティ情報が適切に保護、管理されているという信頼感をユーザーに与えます。

組織は、顧客、従業員および取引先に関する個人の機密情報の制御と保全を保つ必要があります。社会保障番号、クレジット・カード番号、病歴などに関連するデータは、この種の情報の悪用や盗用を防ぐよう求める規制によって一層の注意が求められています。プライバシに配慮する組織が、業務の妨げとなったり、生産性、柔軟性および効率に影響するような過度に厳格な制御とプロセスを施行してこれらの要求に応えようとすることが多々あります。反対に、この情報を保護するために必要な措置をとらず、十分な監視と制御を行わずにアイデンティティ関連のデータを潜在的に危険な状態にする組織もあります。Identity Directory Servicesによって、エンタープライズ用の標準ベースのメカニズムで、アプリケーション間で"契約"を結び、データが悪用されたり、危険にさらされたり、置き違えられたりしないという信頼性のもと、アイデンティティ関連の情報を安全に共有できます。このフレームワークを使用すると、組織は、ビジネス全体でのアイデンティティ情報の格納、使用および伝播のされ方を完全に可視化できます。これによって、組織は、アイデンティティ関連の情報の機密性を損なうことなく、ビジネス・プロセスを効率化するための制御を自動化できます。

1.1.2 開発者にとってのIdentity Directory Servicesの利点

Identity Directory Servicesは、アプリケーションを記述する際に、アイデンティティ関連データをどのように処理するかを指定するために取り決められたプロセスです。そのため、開発者は標準的なアプローチでアプリケーションを作成でき、ポリシーによってアプリケーションが制御されるようにこのデータを使用できます。このことにより、プライバシを考慮したアプリケーションを短期間で開発できるようになります。

IDSによって、アイデンティティに対応するアプリケーションを特定のデプロイメント・インフラストラクチャから切り離すことができます。具体的には、IDSを使用すると、開発者は、アイデンティティ関連の情報の格納方法およびアプリケーションによるアクセス方法の決定を遅らせることができます。開発者は、SQLデータベースを使用するか、LDAPディレクトリを使用するか、あるいは他のシステムを使用するかについて悩む必要がなくなります。過去には、開発者は特異性の高いコードの記述を余儀なくされ、テクノロジとベンダーの固定化につながっていました。

たとえば、アイデンティティ・ディレクトリAPIは、ドメイン・アイデンティティ・ストアであるディレクトリ・サーバー内でアイデンティティ情報にアクセスし、管理する方法を提供します。エンティティ定義、エンティティ・リレーションシップ、およびその物理的なアイデンティティ・ストアの詳細は、アイデンティティ・ディレクトリの構成APIまたはMbeanを使用して構成できます。Identity Directory Serviceの初期化にはアイデンティティ・ディレクトリAPIを使用します。Identity Directory Serviceは、異なるアイデンティティ・ストアに格納されているユーザーおよびグループ情報にアクセスし、それらを変更するためのインタフェースを提供します。「アイデンティティ・ディレクトリAPIの使用」を参照してください。

1.2 Identity Directory Services APIについて

Identity Directory Servicesは、アイデンティティ・ディレクトリAPIに依存しています。

Identity Directory Servicesに基づいて、次のAPIを使用できます:

  • アイデンティティ・ディレクトリAPI

    アイデンティティ・ディレクトリAPIは、アイデンティティ情報にアクセスして管理するアイデンティティ管理アプリケーションのための共通サービスです。このサービスはJava EEおよびJava SEの両方のモードで使用できます。「アイデンティティ・ディレクトリAPIの使用」を参照してください。

    ノート:

    アイデンティティ・ディレクトリAPIオブジェクトを初期化する必要があるのは一度のみです。それ以降の初期化では、完全なIDSスタックが内部的に起動されます。複数のアイデンティティ・ディレクトリAPIオブジェクトを初期化すると、アプリケーションのパフォーマンスおよび安定性のボトルネックが発生する可能性があります。また、アイデンティティ・ディレクトリAPIオブジェクトの使用が完了した後に、そのオブジェクトがクローズされていることを確認する必要があります。

1.3 Identity Directory Servicesのシステム要件と動作保証

システム要件のマニュアルには、ハードウェアおよびソフトウェア要件、最小ディスク領域およびメモリー要件、必要なシステム・ライブラリ、パッケージ、パッチなどの情報が記載されています。

ハードウェアとソフトウェアの要件、プラットフォーム、データベースおよびその他の情報の詳細は、システム要件と動作要件のドキュメントを参照してください。いずれのドキュメントもOracle Technology Network (OTN)から入手できます。

詳細は、Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様を参照してください。

動作保証のドキュメントには、サポートされているインストール・タイプ、プラットフォーム、オペレーティング・システム、データベース、JDKおよびサードパーティ製品が記載されています。詳細は、Oracle Fusion Middlewareでサポートされるシステム構成を参照してください。