例: Range関数を使用したローリング・レポートの作成

Rangeメンバー・セレクタ関数は、指定された開始および終了メンバーに基づいて一定範囲のメンバーを返します。一般的に、現在の月の前後の月(たとえば、現在の月の3か月前から3か月後まで)を表示するローリング・レポートを生成するために、時間(期間など)ディメンションでCurrentPOVまたはプロンプトとともに使用されます。

  • Range関数をRelativeMember関数とともに使用すると、年と期間が別個のディメンションにある場合に、オプションでシナリオ・ディメンション全体で(たとえば、実績として1月からCurrentPOV (期間)、プランとしてCurrentPOV +1 (期間)から12月)、単一年を対象にできます。また、RangeおよびRelativeMember関数は、期間と年が同じディメンションにあるFusion ERPまたはカスタムEssbaseキューブ・データ・ソースとともに使用して、単一の時間ディメンションを対象にすることもできます。

  • Range関数をPeriodOffset関数とともに使用すると、指定した年および期間ディメンションを対象とするローリング・レポートを生成できます。

    たとえば、メンバー選択関数が次のように定義されているとします。

    範囲開始: 期間がCurrentPOV - 2のPeriodOffset

    終了: 期間がCurrentPOV + 14のPeriodOffset

    年と期間のCurrentPOVが1月とFY19の場合、レポートの結果は、開始期間がFY18の11月(Current POV – 2)で、終了期間がFY20の3月(CurrentPOV + 14)です。

例1: RangeおよびRelativeMember関数

Narrative Reportingのサンプル・レポート4には、シナリオを横断する1月から12月までのローリング・レポートのためにRangeおよびRelativeMember関数を使用する例が示されています。

これには、行に損益計算書勘定科目、列にシナリオおよび会計カレンダのディメンションが示されるグリッドが含まれています。

  • グリッド列は次のように定義されています。

    • 実績データのPOVには、FY17年1月から現在選択されている月(デフォルトでは6月)が含まれています。

    • プラン・データには、FY18年現在のPOV + 1 (デフォルトでは7月)から12月が含まれています。

  • POVを変更して異なる月を選択できます。これらの列では、現在のPOV、範囲および相対メンバー選択関数を組み合せて使用します。

  • POVに12月が選択されたときに実際のデータのみを表示するために、列BおよびCの条件付き抑制定義に使用される3つ目の非表示データ列(C)があり、POV選択が12月の場合にプラン・データが抑制されます。

レポート設計の概要は次のとおりです。


概要
  • 列A: 1月からCurrentPOVまでの範囲

  • 列B: CurrentPOV + 1の相対メンバーから12月までの範囲

  • 列C (非表示列): CurrentPOV

  • 列D (式列): SUM([A],[B])

列Bの条件付き抑制定義は次のとおりです。


列B

列Cの条件付き抑制定義は次のとおりです。


列C

会計カレンダ・ディメンションに対して6月が選択されたレポート・プレビューは次のとおりです。


レポート・プレビュー

例2: RangeおよびPeriodOffset関数

この例で使用されるレポートは、データ・ソースとしてPlanning Vision Plan1キューブを利用します。この例では、年と期間を横断するローリング・レポートのためにRangeおよびPeriodOffset関数を使用します。グリッドには、時間関連メンバーを簡単に表示するために、列に純利益勘定科目、行に期間およびディメンションがあります。

POVを変更して異なる月および年を選択できます。

レポート設計の概要は次のとおりです。


概要設計

行1:

  • 年ディメンション・メンバーの選択は、CurrentPOVです。

  • 期間ディメンション・メンバーの選択は、YearTotalの期間のCurrentPOV - 2のPeriodOffsetから、YearTotalの期間のCurrentPOV + 14のPeriodOffsetまでの範囲です。

メンバー・セレクタの定義は次のとおりです。

Range関数:


範囲メンバー選択

開始メンバー選択:


開始メンバー選択

終了メンバー選択:


終了メンバー選択

期間ディメンションのPOVに対して1月が選択され、年ディメンションのPOVに対してFY19が選択されたレポート・プレビューは次のとおりです。


レポート・プレビュー