エクイティ・ピックアップの概要

背景

法的エンティティは次のように定義できます。

法律の観点から法的地位のある協会、法人、パートナーシップ、事業体、信託または個人。法的エンティティは、契約を締結し、義務、責務および債務を負い、独立して原告または被告となり、その行為に対して責任を負う法的能力を有します。

有限会社(LC)は、会社の株主が負う責任の量を制限する設立の形です。公開有限会社(PLC)は、証券が証券取引所で取引され、誰でも売買可能な会社です。

ほどんどの大企業は、法人事業を設立するために年月を経て集結された多くの会社で構成されます。これらの会社の事業結合は、会社間で所有権を共有することで実行されます。

各会社は、事業を行う管轄の要件に従って財務諸表を報告する必要があります。たとえば、英国で設立されたすべての有限会社は、有限会社の登録を担当する政府組織である企業登記局(Companies House)に報告する必要があります。また、公開有限会社は、登録されている証券取引所の要件に従って報告する必要があります。これらの公開有限会社は、個々の会社のみでなく、所有権の持分を取得している会社の連結業績も報告する必要があります。

他の会社の株式を所有している会社は、持株会社と呼ばれます。この持株会社は、別の会社のすべての株式、多くの株式または若干の株式を直接所有する場合があります。持株会社は、別の会社の株式を所有する会社の株式を所有して、間接的な所有権が生じる場合もあります。持株会社が被所有会社を管理する程度によって、連結結果を表す際に持株会社の結果をどのように組み合せるかが決まります。

一般的に、持株会社が他の会社の議決権株式の50%を超えて所有している場合、その被所有会社は持株会社によって支配されます。持株会社が別の会社の議決権株式の20%を超えて50%未満で所有している場合、持株会社は、被所有会社に対して多大な影響力があるとみなされますが、支配権はありません。持株会社が別の会社の議決権株式の最大20%を所有している場合、持株会社は、被所有会社に対して多大な影響力も支配権もないとみなされます。

法的会社は、現地の規制で義務付けられている場合を除き、通常は原価法を使用して他の法的会社への投資を記録します。原価法の会計では、持株会社によって株式購入が買収日の初期費用で記録され、通常は処分されるまで変更のないままとなります。株式が売却されると、投資の損益が適切に記録されます。もう1つの投資会計処理方法は持分法です。持分法では、取得時に記録された初期費用が、被投資会社によって記録された損益に対する持株会社の持分に基づいて定期的に調整されます。

法的会社による報告に適用される場合、この会計処理方法はエクイティ・ピックアップ(EPU)と呼ばれ、資本連結メソッドと区別されます。エクイティ・ピックアップは、法的会社によって実施され、法的会社の記録に登録された投資に適用されます。資本連結メソッドは、法的会社が直接的または間接的に所有権を取得している会社からデータを集計し、連結結果を報告する際に使用されます。エクイティ・ピックアップ会計および資本連結メソッドの背景にある原則は基本的に同じですが、異なる状況下で適用されます(法的会社の結果と連結された結果)。

エクイティ・ピックアップの結果を記録するために、その期間の資本の変化に対する持株会社の持分(通常は、公表された配当額から持株会社の持分を差し引いた、被所有会社の損益)が収益として、および関連会社の投資価値の対応する増加として、持株会社の会計レコードに記録されます。間接的な被所有会社の持分については、被所有会社の報告された収益に、その会社が所有するすべての会社の持分利益がすでに記録されていることによって記録されます。

複雑なマルチレベルの所有権階層では、正しい結果を得るために、一連の固有のエクイティ・ピックアップ計算が必要です。たとえば、会社Aが会社Bの株式を所有し、会社Bが会社Cの株式を所有している場合は、会社Bに適用される利益および投資の調整が、その後で会社Aに正確に反映されるように、会社Bのエクイティ・ピックアップを計算してから会社Aのエクイティ・ピックアップを計算する必要があります。

前提条件

Financial Consolidation and Closeのエクイティ・ピックアップ機能は、次の構成設定および要件に基づいています。

  • エンティティ・ディメンション階層は、持株会社とEPU適用対象会社との間の直接的な所有権関係を正確に表します。

  • エンティティ・ディメンションのエンティティは、法的会社として識別されます。

  • 各親エンティティの下には持株メソッド会社が1つのみ存在し、持株会社と親エンティティのエンティティ通貨は同じ通貨です。

  • 持株会社ごとに報告されたEPUを、持株会社に直接的または間接的な所有権持分がある各法的会社で識別する場合は、次のようになります。

    エンティティ・ディメンションのすべての法的会社は、エンティティ・ディメンションで「会社間」のフラグを設定し、会社間ディメンションでレベル0エンティティとして存在する必要があります

  • 持株会社ごとに報告されたEPUが、持株会社に直接的な所有権持分のみがあり、間接的な所有権が中間の直接的な被所有持株会社内にグループ化されている状態で、各法的会社によって識別される場合は、次のようになります。

    エンティティ・ディメンションのすべての法的会社およびすべての親エンティティは、エンティティ・ディメンションで「会社間」として指定し、会社間ディメンションでレベル0エンティティとして存在する必要があります。

次のトピックを参照してください。

エクイティ・ピックアップに関する詳細は、次のビデオを参照してください:

ビデオ・アイコン エクイティ・ピックアップ