通貨換算では、すべての外貨建勘定の為替データが自動的に同時に計算されます。必要に応じて勘定科目が調整されるため、モデルの貸借は一致します。ユーザーが確認できる特別な勘定科目の調整が行われます。
注:
通貨換算では、ファイル内の財務データはすべて同じ通貨であることを前提としています。複数通貨のデータを使用する場合は、ファイルを換算する前に外国の通貨のエントリを運用通貨に変更する必要があります。
通貨換算調整情報は、資金フロー、直接キャッシュ・フロー、間接キャッシュ・フローおよびFAS 95という複数のレポートにあります。他のレポートの通貨換算情報を参照してください。
高インフレの再評価
通貨換算ではFASB 52がサポートされているため、為替レートの変動は収益ではなく資産として記録されます。親会社が低インフレの国にある、高インフレの国の企業をモデリングする場合は、換算する前に企業の財務諸表を再測定します。
再測定した後は、1つの為替レートですべての財務諸表を換算できます。通貨換算では、収益の影響は計算されません。これは、今年度の通貨に基づいて昨年度の会計データを表示する場合に便利です。
調整の例外
通貨換算では、このトピックで示すように、調整が複雑な場合は換算されたデータを独自の方法で調整します。
固定資産
通貨換算では、固定資産式が次のような場合に特別な調整が行われます。
固定資産= | 固定資産(前の期間) |
---|---|
+固定資本投資(FCI) |
|
? 除却額 |
例:
項目 | ドイツ・マルク | レート | ドル | レート情報 |
---|---|---|---|---|
固定資産(1年目) |
6000 |
.75 |
4500 |
年度末のレート(1年目) |
FCI (2年目) |
700 |
.72 |
504 |
加重平均レート |
除却額(2年目) |
(600) |
.72 |
(432) |
加重平均レート |
固定資産(2年目) |
6100 |
.60 |
3660 |
年度末のレート(2年目) |
ドル建ての固定資産式は、4500 + 504 - 432 - 3660で、貸借が一致していません。為替換算ではこの金額が調整され、固定資産の修正(v2170.4.000)に保管されます。
次に、調整式を示します。
固定資産の修正= | 固定資産 | 3660 |
---|---|---|
-固定資産(前の期間) |
4500 |
|
-固定資本投資 |
504 |
|
+除却額 |
432 |
|
結果 |
- 912 |
減価償却累計額
通貨換算では、減価償却累計額式が次のような場合に特別な調整が行われます。
減価償却累計額= | 減価償却累計額(前の期間) |
---|---|
+減価償却費用(資金) |
|
減価償却累計額(除却分) |
例:
減価償却 | ドイツ・マルク | レート | ドル | レート |
---|---|---|---|---|
累計の減価償却(1年目) |
1200 |
.75 |
900 |
年度末のレート(1年目) |
減価償却費(2年目) |
1220 |
.72 |
878.4 |
加重平均レート |
除却額(2年目) |
(120) |
.72 |
(86.4) |
加重平均レート |
累計の減価償却(2年目) |
2300 |
.60 |
1380 |
年度末のレート(2年目) |
この場合、減価償却費用は次の通りです。資金=減価償却費用:ドル列の貸借が一致していないため、換算後ではなく換算前に記帳します。通貨換算により減価償却費用が調整され、878.4に-312を加算して貸借の不一致が修正され、調整値が減価償却累計額の修正(v2190.4.000)勘定科目に保管されます。
調整式:
減価償却累計額の修正= | 減価償却累計額 |
---|---|
- 減価償却累計額(前の期間) |
|
-減価償却費用(資金) |
|
+ 減価償却累計額(除却分) |
固定資産勘定科目
キャッシュ勘定科目とは異なり、固定資産勘定科目は追加と除却分に依存するため、通貨換算ではこれらの勘定科目は異なる方法で調整されます。たとえば、営業権の場合:
営業権= | 営業権(前の期間) |
---|---|
+営業権への追加 |
|
-営業権の償却 |
為替換算では、次のように調整されます。
営業権の調整= | 営業権 |
---|---|
-営業権(前の期間) |
|
-営業権への追加 |
|
+営業権の償却 |
営業権の調整値は、営業権の修正(v2400.4.000)勘定科目に保管されます。
為替換算では、他の固定資産勘定科目は次のように調整されます。
その他無形資産
その他無形資産の修正= | その他無形資産 |
---|---|
-その他無形資産(前の期間) |
|
-その他無形資産への追加 |
|
+その他無形資産の償却 |
|
その他無形資産の修正 |
長期債務
長期債務の修正= | 長期債務: 定期 |
---|---|
-定期長期債務(前の期間) |
|
-定期長期債務の増加 |
|
-長期債務(定期)の非現金利息 |
|
長期債務 |
投資: 持分法
投資の修正: 持分法=
投資: 持分法
投資: 持分法(前の期間)
投資の増加: 持分法
子会社配当金
+投資利益: 持分法
投資の修正: 持分
通貨換算、キャッシュ・フローと評価
営業からのキャッシュ・フロー
為替換算では、1つの通貨から別の通貨への換算時にキャッシュ・フローが作成されたり破棄されたりすることはありません。為替レートが営業からのキャッシュ・フローに適用され、直接換算されます。これは営業からのキャッシュ・フローを構成するアイテムと同じ方法で行われ、貸借が一致しなくなる場合があります。貸借を一致させるため、通貨換算では調整が行われ、調整値は次に示すキャッシュ・フロー修正に保管されます: 通貨(v4090)勘定科目。
キャッシュ・フローの現在価値
通貨換算では、1つの通貨から別の通貨への換算時にキャッシュ・フローが作成されたり破棄されたりすることはありません。昨年度の年度末為替レートがキャッシュ・フローの現在価値に適用され、直接換算されます。
注:
為替レートは変更できます。
資本コスト
通貨換算は営業からのキャッシュ・フローとキャッシュ・フローの現在価値の両方を直接換算するため、各期間の資本コストを計算できます。資本コストは元の通貨の経済要因が反映されるため、換算後は異なる場合があります。換算後は、キャッシュ・フローの現在価値と将来価値が一致します。
残余価額の将来価値
通貨換算では、残余価額の将来価値が直接換算されます。予測期間の前年度の年度末為替レートが残余価額の将来価値に適用され、直接換算されます。
注:
為替レートは、必要に応じて再度割り当てられます。
通貨換算では、選択するメソッドに基づいて残余価額が計算されます。評価勘定科目のモデリングを参照してください。状況によっては、データを換算するとき値の使用が必要になる場合があります。株主価値と配当還元メソッドを参照してください。
株主価値と配当還元メソッド
次は、残余価額メソッドと使用された値です。
メソッド | 特定の値 |
---|---|
永続メソッド |
長期資本コスト |
永続性の成長 |
長期資本コスト |
価値成長期間 |
長期資本コスト |
株価収益率 |
標準利益調整 |
時価簿価比率 |
時価簿価比率 |
清算価額 |
清算価額 |
経済的利益
経済的利益は永続メソッドのみサポートし、その値は残余税引後純営業利益調整になります。
再評価
通貨換算は、貸借対照表勘定科目と、通貨の変動により発生した期間ごとの変更における、実際の増加と減少を区別します。例:
現金 | 2003 | 2004 |
---|---|---|
現金 |
$100 |
$150 |
現金の増加 |
$50 |
次の為替レートを使用して前の金額(ドル)をフランス・フランに換算する場合:
年 | 為替 |
---|---|
2003 |
$1当たり4 FF |
2004 |
$1当たり5 FF |
換算後のデータは次の通りです。
金額 | 2003 | 2004 |
---|---|---|
現金 |
FF400 |
FF750 |
現金の増加 |
FF250 ($50 x 5) |
換算後の現金の増加は、通貨の変動があるため正しくありません。正しい値はFF350です。通貨換算では変動分が調整されます。この場合、FF100が追加され、現金修正額(v2000.04.000)勘定科目に修正値が記録されます。
大部分の貸借対照表勘定科目を同様に調整し、調整値を追加の.04勘定科目に記録する必要があります。通貨換算では、異なる調整が行われることがあります。換算調整勘定を参照してください。
換算調整勘定
通貨換算では、ほとんどの貸借対照表勘定科目は年度末為替レートで換算されます。また、資本勘定科目は純資産取得原価の為替レートで換算されます。予測期間では、利益剰余金は換算されませんが、利益剰余金の構成アイテムの加重平均は換算されます。異なる為替レートを使用していることで貸借が一致しないため、通貨換算ではこのようなデータが修正されます。
デフォルト為替レート割当てを使用しない場合は(通貨換算の為替レートの設定を参照)、通貨換算にこの式を使用して、CTAが計算されます。
CTA = | 換算後の資産合計 |
---|---|
-収益換算後の総負債 |
|
-換算後の資本 |
|
通貨換算調整勘定 |
為替換算では、為替換算調整勘定科目と貸借対照表の資本セクションに値が入力されます。期間の変更は現金と資金フローのレポートに表示されます。
注:
換算後はデータを使用できないため、この勘定科目には分析証跡がありません。
ドル(米)
現金 | 2003 | タイプ | 2004 |
---|---|---|---|
現金 |
100 |
現金 |
100 |
債務 |
100 |
利益剰余金 |
100 |
売上高 |
100 |
売上高収益により負債が支払われます。
期末レート | 2003 | 4 |
---|---|---|
加重平均レート |
2004 |
5 |
期末レート |
2004 |
6 |
換算後:
現金または債務 | 2003 | タイプ | 2004 |
---|---|---|---|
現金 |
400 |
現金 |
600 |
債務 |
400 |
利益剰余金 |
500 |
調整 |
100 |
||
売上高 |
500 |