供給中止ストーム・モードの概要

残念なことに、通常、電力会社とその顧客は、AMIネットワークの障害の原因として自然災害の影響を受けます。これらの供給中止イベントは、熱帯低気圧、竜巻、暴風雪、地震、津波などに関連付けることができます。これらの重大な供給中止時には、AMIシステムで、設備から供給中止イベントと復旧イベントを常に提供できるとはかぎりません。これらの供給中止イベントと復旧イベントがない場合、Oracle Utilities Meter Data Managementのプロセスで、顧客情報システムから請求される測定が推定される場合があります。このことは、顧客の不満、潜在的な悪評、および事後の多くの手動によるクリーン・アップ作業をもたらします。

これは、大規模な供給中止イベントの問題ですが、小規模の供給中止(小規模のブラックアウトや計画供給中止など)でも発生することがあります。これは常に潜在的に、AMIネットワークで大多数の設備が通信に失敗する問題に発展します。

このモジュールには、大規模な供給中止時に推定の精度を向上させる供給中止処理が含まれます。受け取る検針の数がユーザー定義の許容範囲を下回る場合に、推定が自動的に停止されます。この許容範囲は、類似の郵便番号、サービス・タイプおよびヘッドエンドのすべての設備の検針率の極端な低下に基づきます。設備が通常の操作に戻ると、推定が自動的に再開されます。これは、周辺の領域の検針率が通常に戻る、設備から通常データを受信する、設備から電力復旧の設備イベントを受信するなど、様々な処理によって行われます。

Oracle Utilities Meter Data Managementには、ストーム・モードを手動で上書きする機能も含まれます。この上書きによって、供給中止が完全には解決されていない場合でも推定を再開できます。これは、ネットワークの修正に時間がかかり、数日後に推定に基づいて顧客に請求することを電力会社が決定した場合に便利です。

注意: 構成の詳細は、管理ガイドの「供給中止ストーム・モード」の関連する項を参照してください。

次の図に、供給中止ストーム・モードの処理の主要なフローを示します。このステップの内容は次のとおりです。

  1. 「ディメンション・スキャナ」バッチ(D1-ADS)によって、「メーター通信追跡ディメンション・スキャナ」ビジネス・オブジェクトがモニターされます。システム内の適用可能なサービス・タイプ、郵便番号およびヘッドエンドごとに、新しい総計計量コンポーネントが作成されます。
  2. 「集計モニター」バッチ(D2-AGG)が実行されて、「メーター通信追跡総計」計量コンポーネントのロジックが実行されます。このロジックは、定義されているサービス・タイプ、郵便番号およびヘッドエンドのすべてのメーターを集計します。その日の検針率が検出されると、総計計量コンポーネントの測定が作成されます。
  3. 「大規模供給中止」バッチ(D2-WSO)が実行されて、いずれかの「メーター通信追跡総計」計量コンポーネントが「メーター・データ管理マスター構成」で定義されたしきい値を下回ったかどうかが判別されます。十分に低下している場合は、影響を受けるサービス・ポイントごとに推定抑制活動が作成されて、「メーター通信追跡総計」計量コンポーネントが「有効な供給」インジケータに設定されます。
  4. サービス・ポイントで推定抑制活動が有効のときにスマート・メーター・モニター・バッチ(D1-SMMTR)が実行されて推定が生成される場合、サービス・ポイントが推定でスキップされるか、「検針なし - 供給中止充てん」の条件コードでサービス・ポイントのすべてのデータがゼロ消費量で埋められます。
  5. 通常の操作を再開して推定抑制活動をクローズするために使用できる方法は、いくつか存在します。これには、次のものがあります。
    1. 検針率が「メーター・データ管理マスター構成」で定義された通常のレベルに再度達しました。これは、「大規模供給中止」バッチ(D2-WSO)で検出されます。
    2. 設備から非推定データを受信したときに、開いている推定抑制活動がクローズされます。
    3. 「標準イベント名」拡張可能参照が「推定抑制の終了」アルゴリズム(D2-EN-ESTSUP)で構成される場合、これが構成される電力復旧イベントによって、開いている推定抑制活動がクローズされます。
    4. 推定抑制活動は、ユーザーが「活動」にナビゲートして、「編集」ボタンを使用して終了日を追加することで、手動でクローズすることもできます。
  6. すべての推定抑制活動に対して「推定抑制モニター」バッチ(D2-ESTSU)が実行されて、関連する「メーター通信追跡総計」計量コンポーネントが「有効な供給」の状態ではなくなったかどうかが判別されます。大規模供給中止が終了した場合、終了日で推定抑制活動が設定されます。
  7. 次にスマート・メーター・モニター・バッチ(D1-SMMTR)が実行されると、通常の構成どおりに推定データが生成されます。

領域に大規模供給中止が発生しているかどうかを判別するために、比較の基準として数日前までの検針率の中央値が使用されます。外れ値の影響が減るように、平均ではなく中央値が選択されています。これは、次の例で示されています。