6 コマンドライン・オプション

このトピックでは、様々なHotSpotコマンドライン・オプションを説明し、Oracle JRockitで使用できるコマンドライン・オプションと比較します。

HotSpotコマンドライン・オプションへのOracle JRockitのマッピング

特定のOracle JRockitコマンドライン・オプションは、HotSpotオプションと同様です。

この項では、Oracle JRockitオプションとHotSpotオプションの1対1のマッピングを示すか、またはこのドキュメントの他の項への参照を示します。対応するHotSpot JVMオプションが存在しないOracle JRockitオプションがいくつかあります。また、マップされたHotSpotオプションにもOracle JRockitオプションと完全に同じではないオプションもあり、それらはHotSpot上では若干異なる動作をする可能性があります。

移行時に、Oracle JRockitで使用されているすべてのオプションを類似するHotSpotオプションに単純に変換することはお薦めしません。特にパフォーマンス関連オプションでは、Javaヒープ・サイズおよびガベージ・コレクタ(CMS、G1など)の指定のみから始めることがベスト・プラクティスです。HotSpotの追加チューニングが仮に必要な場合でも、HotSpotで行われた新しいベンチマークおよびプロファイリングに基づいて実行する必要があります。Oracle JRockit構成用のほとんどのJVMレベル・チューニング判断(存在する場合)が、HotSpot構成にも適用できると想定することはお薦めしません。

表6-1 -Xコマンドライン・オプション

Oracle JRockit	HotSpot	注意
`-Xbootclasspath`	同じ	なし
`-Xbootclasspath/a`	同じ	なし
`-Xbootclasspath/p`	同じ	なし
`-Xcheck:jni`	同じ	なし
`-Xdebug`	同じ	なし
`-Xgc`	なし	「ガベージ・コレクションのチューニング」を参照してください。
`-XgcPrio` (非推奨)	なし	「ガベージ・コレクタ」を参照してください。
`-XlargePages`	`-XX:+UseLargePages`	なし
`-Xmanagement`	なし	なし
`-Xms`	同じ	なし
`-Xmx`	同じ	なし
`-XnoClassGC` (非推奨)	同じ	トラブルシューティング以外には使用しないでください。
`-XnoOpt`	なし	「コンパイル最適化」を参照してください。
`-Xns`	同じ	なし
`-XpauseTarget`	`-XX:MaxGCPauseMillis=n`	「ガベージ・コレクタ」を参照してください。
`-Xrs`	同じ	なし
`-Xss`	同じ	なし
`-XstrictFP`	なし	なし
`-Xverbose`	`-verbose`	「ロギング」を参照してください。
`-Xverbosedecorations`	なし	「ロギング」を参照してください。
`-XverboseLog`	なし	「ロギング」を参照してください。
`-XverboseTimeStamp`	なし	「ロギング」を参照してください。
`-Xverify`	同じ	なし

表6-2 -XXコマンドライン・オプション

Oracle JRockit	HotSpot	HotSpotオプションに関する注意
`-XXaggressive`	`-XX:+AggressiveHeap` `-XX:+AggressiveOpts`	`-XX:+AggressiveHeap`は、Javaヒープ最適化を有効にします。これにより、コンピュータの構成(RAMおよびCPU)に基づいて、メモリーが集中的に割り当てられる長時間実行ジョブに最適になるように、各種パラメータを設定します。デフォルトでは、このオプションは無効になっており、ヒープは最適化されません。 `-XX:+AggressiveOpts`は、その他の非ヒープ関連の最適化を有効にします。
`-XX:AllocChunkSize`	関連オプション: `-XX:AllocateInstancePrefetchLines=<lines>` `-XX:AllocatePrefetchDistance=<size>` `-XX:AllocatePrefetchInstr=<instruction>` `-XX:AllocatePrefetchLines=<lines>` `-XX:AllocatePrefetchStepSize=<size>` `-XX:AllocatePrefetchStyle=<style>`	なし
`-XX:+\|-CheckJNICalls`	`-Xcheck:jni`	なし
`-XX:+\|-CheckStacks`	なし	なし
`-XXcompaction`	なし	なし
`-XXcompactRatio` (非推奨)	なし	なし
`-XXcompactSetLimit` (非推奨)	なし	なし
`-XXcompactSetLimitPerObject` (非推奨)	なし	なし
`-XXcompressedRefs`	`-XX:-UseCompressedOops`	「実行時オプション」を参照してください。
`-XX:+\|-CrashOnOutOfMemoryError`	同じ	なし
`-XX:+\|-DisableAttachMechanism`	同じ	なし
`-XXdumpFullState`	なし	HotSpot側には、Windowsプラットフォームの致命的なエラー発生時にミニダンプをダンプできるようにするオプション`CreateMinidumpOnCrash`があります。
`-XXdumpSize`	なし	なし
`-XX:ExceptionTraceFilter`	なし	なし
`-XX:+\|-ExitOnOutOfMemoryError`	同じ	なし
`-XX:ExitOnOutOfMemoryErrorExitCode`	なし	なし
`-XXexternalCompactRatio` (非推奨)	なし	なし
`-XX:+\|-FailOverToOldVerifier`	同じ	なし
`-XX:+\|-FlightRecorder`	同じ	アプリケーション実行時のJava Flight Recorder (JFR)の使用を有効にします。これは、`-XX:+UnlockCommercialFeatures`オプションを同時に指定する必要がある商用機能です。
`-XX:FlightRecorderOptions`	同じ	なし
`-XX:+\|-FlightRecordingDumpOnUnhandledException`	なし	なし
`-XX:FlightRecordingDumpPath`	なし	なし
`-XXfullSystemGC`	関連オプション: `-XX:+DisableExplicitGC` `-XX:+ExplicitGCInvokesConcurrent` `-XX:+ExplicitGCInvokesConcurrentAndUnloadsClasses`	「ガベージ・コレクタ」を参照してください。
`-XXgcThreads`	関連オプション: `-XX:ParallelGCThreads=<threads>` `-XX:ConcGCThreads=<threads>`	「ガベージ・コレクタ」を参照してください。
`-XX:GCTimePercentage`	なし	なし
`-XX:GCTimeRatio`	なし	なし
`-XXgcTrigger`	関連オプション: `-XX:CMSInitiatingOccupancyFraction=<percent`> `-XX:CMSTriggerRatio=<percent>`	「ガベージ・コレクタ」を参照してください。
`-XX:+\|-HeapDiagnosticsOnOutOfMemoryError`	`-XX:OnOutOfMemoryError=<command>`を使用することで同じものを取得可能	例: `java -XX:OnOutOfMemoryError="jmap -heap %p" JavaProgram`
`-XX:HeapDiagnosticsPath`	なし	なし
`-XX:+\|-HeapDumpOnCtrlBreak`	なし	なし
`-XX:+\|-HeapDumpOnOutOfMemoryError`	同じ	なし
-`XX:HeapDumpPath`	同じ	なし
`-XX:HeapDumpSegmentSize`	なし	なし
`-XXheapParts` (非推奨)	なし	なし
`-XXinternalCompactRatio` (非推奨)	なし	なし
`-XX:+\|-JavaDebug`	なし	なし
`-XXkeepAreaRatio`	`XX:SurvivorRatio=<ratio>`	Eden領域サイズとSurvivor領域サイズの比率を設定します。デフォルトでは、このオプションは8に設定されます。スループット・ガベージ・コレクタによって使用されている初期Survivor領域率を設定するための、別のオプション`-XX:InitialSurvivorRatio=ratio`があります。適応型のサイズ変更は、`-XX:+UseParallelGC`および`-XX:+UseParallelOldGC`オプションを使用して、スループット・ガベージ・コレクタによってデフォルトで有効にされ、Survivor領域は、初期値から、アプリケーションの動作に従ってサイズ変更されます。
`-XXlargeObjectLimit` (非推奨)	なし	なし
`-XX:MaxCodeMemory`	`-XX:ReservedCodeCacheSize=<size`>	「コンパイル最適化」を参照してください。
`-XX:MaxDirectMemorySize`	同じ	なし
`-XX:MaximumNurseryPercentage`	`-XX:NewRatio=<ratio>`	Young世代のサイズとOld世代のサイズの比率を設定します。デフォルトでは、このオプションは2に設定されます。
`-XX:MaxLargePageSize`	`-XX:LargePageSizeInBytes=<size`>	「実行時オプション」を参照してください。
`-XX:MaxRecvBufferSize`	なし	なし
`-XXminBlockSize` (非推奨)	なし	なし
`-XXnoSystemGC`	関連オプション: `-XX:+DisableExplicitGC` `-XX:+ExplicitGCInvokesConcurrent` `-XX:+ExplicitGCInvokesConcurrentAndUnloadsClasses`	「ガベージ・コレクタ」を参照してください。
`-XX:OptThreads`	`-XX:CICompilerCount=threads`	「コンパイル最適化」を参照してください。
`-XX:+\|-RedoAllocPrefetch`	関連オプション: `-XX:AllocateInstancePrefetchLines=<lines`> `-XX:AllocatePrefetchDistance=<size`> `-XX:AllocatePrefetchInstr=<instruction`> `-XX:AllocatePrefetchLines=<lines`> `-XX:AllocatePrefetchStepSize=<size>` `-XX:AllocatePrefetchStyle=<style`>	なし
`-XX:+\|-ReserveCodeMemory`	`-XX:ReservedCodeCacheSize=<size>`	「コンパイル最適化」を参照してください。
`-XX:SegmentedHeapDumpThreshold`	なし	なし
`-XXsetGC` (非推奨)	なし	なし
`-XX:+\|-StrictFP`	なし	なし
`-XX:StartFlightRecording`	同じ	なし
`-XXtlaSize`	`XX:TLABSize=<size>`	スレッドローカル割当てバッファ(TLAB)の初期サイズ(バイト単位)を設定します。このオプションが0に設定されている場合、JVMは初期サイズを自動的に選択します。
`-XX:TreeMapNodeSize`	なし	なし
`-XX:+\|-UseAdaptiveFatSpin`	なし	なし
`-XX:+\|-UseAllocPrefetch`	関連オプション: `-XX:AllocateInstancePrefetchLines=<lines>` `-XX:AllocatePrefetchDistance=<size>` `-XX:AllocatePrefetchInstr=<instruction>` `-XX:AllocatePrefetchLines=<lines>` `-XX:AllocatePrefetchStepSize=<size>` `-XX:AllocatePrefetchStyle=<style`	なし
`-XX:+\|-UseCallProfiling`	`-XX:+UseTypeProfile`	なし
`-XX:+\|-UseCfsAdaptedYield`	なし	なし
`-XX:+\|-UseClassGC`	-`Xnoclassgc`	クラスのガベージ・コレクション(GC)を無効にします。これによりGC時間が節約され、アプリケーション実行時の割込みが短くなります。起動時に`Xnoclassgc`を指定すると、GC時にアプリケーションのクラス・オブジェクトがそのままの状態にされ、常にアクティブであるとみなされます。
`-XX:+\|-UseCPoolGC`	なし	なし
`-XX:+\|-UseFastTime`	なし	なし
`-XX:+\|-UseFatSpin`	なし	なし
`-XX:+\|-UseLargePagesFor[Heap\|Code]`	`-XX:+UseLargePages` `-XX:+UseLargePagesInMetaspace`	「実行時オプション」を参照してください。
`-XX:+\|-UseLazyUnlocking`	`-XX:+UseBiasedLocking`	「実行時オプション」を参照してください。
`-XX:+\|-UseLockProfiling`	なし	なし
`-XX:+\|-UseLowAddressForHeap`	なし	直接対応するオプションはHotSpotにはありませんが、`HeapBaseMinAddress`オプションを使用して低ヒープ・ベースを明示的に指定することはできます。
`-XX:+\|-UseNewHashFunction`	同じ	JDK 5のみに適しています。このオプションはJDK 6以降のバージョンで使用しないでください。
`-XX:+\|-UseThreadPriorities`	同じ	HotSpotでは、このオプションはWindowsプラットフォーム上でデフォルトで有効化されています。JRockitでは、このオプションはWindowsプラットフォーム上でデフォルトで有効化されています。

表6-3 診断コマンド

Oracle JRockit	HotSpot
`check_flightrecording`	`JFR.check`
`command_line`	`VM.command_line`
`dump_flightrecording`	`JFR.dump`
`exception_trace_filter`	なし
`force_crash`	なし
`heap_diagnostics`	`GC.heap_info`
`help`	`help`
`hprofdump`	`GC.heap_dump`
`kill_management_server`	`ManagementAgent.stop`
`list_vmflags`	`VM.flags`
`lockprofile_print`	なし
`lockprofile_reset`	なし
`memleakserver`	なし
`print_class_summary`	`GC.class_stats`
`print_exceptions`	なし
`print_memusage`	`VM.native_memory`
`print_object_summary`	`GC.class_histogram`
`print_threads`	`Thread.print`
`print_utf8pool`	`VM.stringtable`および`VM.symboltable`
`print_vm_state`	`VM.info`
`runsystemgc`	`GC.run`
`set_filename`	なし
`start_flightrecording`	`JFR.start`
`start_management_server`	`ManagementAgent.start` `ManagementAgent.start_local`
`stop_flightrecording`	`JFR.stop`
`stop_management_server`	`ManagementAgent.stop`
`timestamp`	なし
`verbosity`	なし
`version`	`VM.version`

jcmdコマンド

次に、jcmdコマンドのリストを示します。

JFR.configure
JFR.stop
JFR.start
JFR.dump
JFR.check
VM.log
VM.native_memory
VM.check_commercial_features
VM.unlock_commercial_features
ManagementAgent.status
ManagementAgent.stop
ManagementAgent.start_local
ManagementAgent.start
Compiler.directives_clear
Compiler.directives_remove
Compiler.directives_add
Compiler.directives_print
VM.print_touched_methods
Compiler.codecache
Compiler.codelist
Compiler.queue
VM.classloader_stats
Thread.print
JVMTI.data_dump
JVMTI.agent_load
VM.stringtable
VM.symboltable
VM.class_hierarchy
GC.class_stats
GC.class_histogram
GC.heap_dump
GC.finalizer_info
GC.heap_info
GC.run_finalization
GC.run
VM.info
VM.uptime
VM.dynlibs
VM.set_flag
VM.flags
VM.system_properties
VM.command_line
VM.version help

コマンドの完全なリストは、Java Platform, Standard Editionツール・リファレンスガイドのjcmdコマンドを参照してください。