バランス・スコアカードとは

バランス・スコアカードを作成することで、組織の様々な側面が明らかとなります。

企業では、従来より、財務的な観点からの戦略に重きが置かれ、他の視点は十分に考慮されていません。財務上の目標は、通常、遡及的で、過去の数値に対する成長という観点から定義される傾向にあるため、将来の市場の状況やレバレッジ目標は考慮されません。バランス・スコアカードは、4つのパースペクティブ(財務、顧客、内部ビジネス・プロセス、学習と成長)で構成される明確な目標、メジャー、ターゲットおよびイニシアチブに組織の戦略をマップする、戦略的な管理システムです。これらのパースペクティブには通常、「ビジョンを達成するためには、顧客にどう配慮すべきか」、「財務的に成功するためには、株主にどう配慮すべきか」などの質問が伴います。1つの方法として、バランス・スコアカードは、複数の関連するパースペクティブを満たす戦略を定義するための言語を企業に提供します。財務諸表(損益計算書、キャッシュ・フロー計算書および貸借対照表)が組織の経営状態を示すのと同じように、バランス・スコアカードは洞察に満ちた一貫した方法で戦略を伝達するための枠組みを提供します。次の図に、これらの4つのパースペクティブを示します。

「スコアカードの4つのパースペクティブにより、短期目標と長期目標、望ましい結果とその結果のパフォーマンス・ドライバ、信頼できる客観的なメジャーとより主観的なメジャーの間のバランスを取ることが可能になる。」(Robert S.Kaplan、David P.Norton共著『Linking the Balanced Scorecard to Strategy』、California Management Review Reprint Series (1996年)、Regents of the University of California CMR、第39巻、1号(1996年秋))。

Oracle Scorecard and Strategy Managementでは、デフォルトで用意されている4つのパースペクティブを使用して、関係のあるすべての視点を網羅する戦略を定義し、あらゆる視点から安定と成功を保証する戦略構造を定義します。

Robert Kaplan博士およびDavid Norton博士により考案されたバランス・スコアカード手法に基づく4つのデフォルトのパースペクティブは、次のとおりです。

  • 財務 - 「株主にどう配慮するか」という質問への解答に役立つ財務上の施策の特定に使用されます。

  • 顧客 - 「自分たちは顧客からどのように見られているか」という質問への解答に役立つ施策の特定に使用されます。

  • 内部プロセス - 「どのプロセスに秀でるべきか」という質問への解答に役立つ施策の特定に使用されます。

  • 学習と成長 - 「どのようにしたら改善と価値の創出を続けることができるか」という質問への解答に役立つ施策の特定に使用されます。

目標、主要なイニシアチブおよびKPIを業務能力に合致させるために、提供されたパースペクティブをカスタマイズするか、独自のパースペクティブを作成できます。

注意:

KaplanおよびNortonの4つのパースペクティブは、特定の組織の戦略を表しています。これらのパースペクティブおよび戦略は、政府、公共部門または非営利組織に必ずしも適しているわけではないため、目的の戦略を獲得するために、目標および重要な質問を修正および補完する必要があります。

Oracle Scorecard and Strategy Managementの詳細は、Oracle Scorecard and Strategy Managementとはを参照してください。

注意:

バランス・スコアカードを生きた文書として扱います。目標、イニシアチブなどを評価するプロセスは反復的です。プロセスでは、量的のみでなく質的にも組織の状態を洞察し、目的の結果を得られるように適切なタイミングで組織を導く必要があります。