Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 トラブルシューティングガイド

第 1 章 Directory Server Enterprise Edition のトラブルシューティングの概要

この章では、Directory Server Enterprise Edition の問題のトラブルシューティングに取り組む方法について説明します。この章は、次の各節で構成されています。

問題の範囲の定義

問題のトラブルシューティングを始める前に、最初に問題の範囲を定義する必要があります。範囲を定義する際は、適切に機能しているものと機能していないものを識別する必要があります。場合によっては、期待どおりに機能している別のマシンを識別すると便利です。問題が発生しているサーバーを適切に機能しているサーバーと比較することで、トラブルシューティングが単純化され、より早く解決策に達することができます。

たとえば、職場でメールをチェックしているときに、急に新しいメールの読み書きができなくなったとします。問題をすぐに解決できない場合は、同僚のところに行って、同じ問題が発生しているかどうかを確認できます。同僚にも同じ問題が発生していれば、不安が解消され、その問題がネットワークに関するより大きな問題であると判断できます。同僚には問題がなく、メールが期待どおりに機能している場合は、同僚のプロキシ設定を見て、自分のプロキシ設定がそれと同じかどうかを確認できます。

適切に機能しているものと機能していないものについて、次のようなことを確認すると、問題の範囲を定義するのに役立ちます。

問題があるサーバーのそれぞれで、問題がはじめて観察された日付と時刻を確認します。この日付の直前にシステムに加えられた、構成、アップグレード、インストールなどの変更を特定します。

汎用データの収集

発生している問題の種類に関係なく、収集し、必要に応じて Sun サポートに提供しなければならない最小限のデータセットがあります。問題がトポロジ全体で発生している場合は、トポロジ内部の Directory Server または Directory Proxy Server のすべてのインスタンスについて、この汎用データを提供する必要があります。

収集する Directory Server の汎用データには、次のものを含める必要があります。

汎用データの収集の詳細については、『Sun Gathering Debug Data for Sun Java System Directory Server 5』「To Collect Required Debug Data For Any Directory Server Problem」を参照してください。

汎用データには、Directory Server について収集された汎用データと、次の Directory Proxy Server 情報が含まれます。

トラブルシューティングツールの使用

トラブルシューティング目的で一般的な情報を収集するために使用できるツールがいくつかあります。ここでは、次のトラブルシューティングツールに関する情報を示します。

idsktune コマンドの使用

idsktune コマンドは、システムパラメータ、パッチレベル、チューニングの推奨事項に関する情報を提供します。このコマンドの出力を使用して、スレッドライブラリの問題や不足しているパッチを検出できます。idsktune コマンドの詳細については、idsktune(1M) のマニュアルページを参照してください。

次のように idsktune コマンドを実行します。


./idsktune

注 –

idsktune コマンドは、ZIP 形式の配布ソフトウェアのみに含まれ、dsee_deploy コマンドの次に提供されます。


Solaris での pkg_app スクリプトの使用

Solaris の pkg_app スクリプトは、実行可能ファイルとそのすべての共用ライブラリを、圧縮された 1 つの tar ファイルにパッケージ化します。アプリケーションのプロセス ID、および開くコアファイルの名前 (必要な場合) を指定します。

このスクリプトは http://kaneda.central.sun.com/pkg_app/ でダウンロードできます。このスクリプトは、実行中プロセスの適切なバージョンのバイナリを取得するか、コアから取得し、32 ビットおよび 64 ビットのライブラリで動作します。

ファイルは、ディレクトリパスが取り除かれ、ファイル名のみが維持されて、/app という相対ディレクトリに格納されます。それらは 1 つのディレクトリ内に展開できます。Solaris 9 および Solaris 10 の場合、pkg_app スクリプトにより出力されるファイルの一覧は、プロセスイメージではなくコアファイルに由来します (指定されている場合)。さらに、パス解決に役立つよう、実行中アプリケーションのプロセス ID を指定する必要があります。

superuser として、pkg_app スクリプトを次のように実行します。


# pkg_app server-pid core-file

注 –

コアファイルを指定せずに pkg_app スクリプトを実行することもできます。これにより pkg_app の出力サイズが小さくなります。あとで、変数をコアファイルの正しい場所に設定する必要があります。


dirtracer スクリプトの使用

dirtracer ツールは、Directory Server プロセスの実行、ハングアップ、または停止に関するデバッグ情報を収集するシェルスクリプトです。この情報は、Sun サポートが問題の診断に使用できます。これらのスクリプトは、オペレーティングシステム設定、Directory Server 設定、実行時データ要素、およびログファイル、データベース、コア、gcores、pstack 出力に関する情報を収集します。収集される情報のタイプは、発生している問題のタイプによって異なります。

dirtracer スクリプトは、BigAdmin (http://www.sun.com/bigadmin/scripts/) で入手できます。

superuser として、dirtracer スクリプトを次のように実行します。


#./ dirtracer -f ./dirtracer.config

dirtracer.config ファイルには、dirtracer スクリプトが出力を生成するために使用する構成パラメータが含まれます。dirtracer スクリプトは、コンフィギュレータと呼ばれる、この設定ファイルを生成するツールに付属しています。この対話型シェルスクリプトは、発生している問題のタイプに対応する設定ファイルを自動的に作成します。コンフィギュレータは、ログの収集やコアの収集のパラメータ、およびその他の多数のパラメータを設定します。

その他の情報の参照先

Sun Service Plan のお客様の場合は、多数の専用オンラインリソースにアクセスできます。これには次のものが含まれます。

Sun Service Plan に関する質問については、お住まいの地域の Sun 営業担当者に問い合わせてください。