Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

PPP ソフトウェアの紹介

PPP のコンポーネントソフトウェアには次のものがあります。

PPP ソフトウェアのインストールが終わると、PPP 用の実行制御スクリプトである /etc/init.d/asppp ファイルが作成されています。このファイルは、実行制御ディレクトリ内の他のいくつかのファイルにリンクしています。

図 21-6 に、PPP の各ソフトウェアコンポーネントと、それぞれの相互作用を示します。

図 21-6 PPP のコンポーネントソフトウェア

Graphic

リンクマネージャ

/usr/sbin/aspppd リンクマネージャは、ユーザーレベルのデーモンで、PPP サービスが必要となったときのリモートホストへの接続プロセスを自動化します。この自動化されたプロセスは、IP トラフィックを生じさせるようななんらかの動作が生じるたびに起動されます (たとえば、ユーザーがリモートマシンにログインしたり、NFS によりマウントされたファイルにアクセスしたりした場合)。リモートホストが接続を確立しようとすると、ローカルホストのリンクマネージャが接続を完了します。

リンクマネージャの詳細は、aspppd(1M) のマニュアルページを参照してください。

ログインサービス

/usr/sbin/aspppls ログインサービスは、ユーザーがダイヤル呼び出しを行い、ログインした後で、PPP を起動するログインシェルとして呼び出されます。このログインサービスの機能は、「UUCP ソフトウェア」で説明する /usr/lib/uucp/uucico コマンドに似ています。マシンをダイヤルインサーバーとして構成するときは、ローカルホストへのダイヤルインが許されているすべての可搬コンピュータについて、/etc/passwd ファイルの中の対応するエントリのログインシェルに aspppls を指定する必要があります。

構成ファイル

asppp.cf ファイルは、ローカルホストの通信相手の各リモートエンドポイントに関する情報を、リンクマネージャに与えます。この情報は、構成ファイル内の path というセクションに定義します。また、path セクションは、使用する PPP インタフェースを定義し、さらにオプションとして、通信をどのように行うかについてのその他の属性 (セキュリティに関する事項など) も定義します。asppp.cf ファイルの各セクションについては、「基本構成ファイルの各部分」で詳しく説明します。例 21-1 に、変更されていない asppp.cf ファイルを示します。


例 21-1 未変更の状態の asppp.cf ファイル


#ident	"@(#)asppp.cf	10	93/07/07 SMI"
#
# Copyright (c) 1993 by Sun Microsystems, Inc.
#
# Sample asynchronous PPP /etc/asppp.cf file
#
#
 
ifconfig ipdptp0 plumb mojave gobi private up
 
path
   inactivity_timeout 120    # Approx. 2 minutes
   interface ipdptp0	  
   peer_system_name Pgobi    # The name this system logs in with when
                             # it dials this server
                             # *OR* the entry we look up in
                             # /etc/uucp/Systems when we dial out.

ログファイル

リンクマネージャは、メッセージを生成し、それをログファイル /var/adm/log/asppp.log に記録します。このファイルに記録される詳細さのレベルは、aspppd-d オプションか、構成ファイル内の debug_level キーワードにより制御されます。詳細については、「構成キーワード」aspppd(1M) のマニュアルページを参照してください。

FIFO ファイル

PPP FIFO ファイル /tmp/.asppp.fifo は、aspppdaspppls の間の通信に用いる名前付きパイプです。PPP ログインサービスがリンクマネージャに接続するためには、このファイルが /tmp に入っていなければなりません。/tmp/.asppp.fifo ファイルは、リンクマネージャが作成、管理、および削除を行います。

UUCP データベース

Solaris PPP は、コンポーネントソフトウェアの他に、/etc/uucp/Systems/etc/uucp/Dialers/etc/uucp/Devices の 3 つの UUCP ファイルを利用して、通信リンクを確立します。ホストが PPP リンクを介してダイヤルアウトできるようにするには、これらのファイルを修正する必要があります。あるいは、/etc/uucp/Sysfiles を使用して、SystemsDevices、および Dialers ファイルに別の名前を指定することもできます。

これらの UUCP ファイルについての詳細は、第 25 章「UUCP の概要」を参照してください。