NWAM 構成とは

NWAM 構成は、システムのネットワーク構成をできる限り自動的に実行するために、連携して動作する複数のコンポーネントで構成されています。機動性に主要な焦点を当てると、NWAM では、さまざまなネットワークイベントやユーザーの要求に応じて、システムの構成を動的に変更できます。NWAM には、ネットワーク状況の変化 (取り付けられたネットワークインタフェースが取り外された場合や、新しい無線ネットワークが使用可能になった場合など) に対処する動的な機能が備わっています。

NWAM によるネットワーク構成は、さまざまなタイプのプロファイルに関連付けられたプロパティーやその値で構成されます。これらは、構成オブジェクトと呼ばれることもあります。

これらのプロファイルおよび構成オブジェクトには、次の項目が含まれます。

• ネットワーク構成プロファイル (NCP)

  NCP には、ネットワークリンクおよびインタフェースの構成が指定されます。このプロファイルは、NWAM 構成を構成する主要なプロファイルタイプの 1 つです。2 つ目の主要なプロファイルタイプは、場所プロファイルです。

  システムでは常に、Automatic NCP と呼ばれる NCP が定義されます。この NCP は、ユーザーからの入力がない場合にアクティブになります。Automatic NCP はシステムで作成および保守され、変更や削除はできません。

  必要に応じて、ユーザー定義の追加 NCP を作成することもできます。Automatic NCP およびユーザー定義の NCP の詳細は、「Automatic NCP とユーザー定義の NCP の説明」を参照してください。

• ネットワーク構成ユニット (NCU)

  NCU とは、NCP を構成するプロパティーがすべて含まれる個々の構成オブジェクトです。基本的に、NCP は定義する NCU を格納するコンテナです。各 NCU は、システムの個々のリンクまたはインタフェースに関連付けられます。NCU の詳細は、「NCU の説明」を参照してください。

• 場所

  場所プロファイルは、NWAM 構成を構成する 2 つの主要なプロファイルタイプの 1 つです。場所には、システム全体のネットワーク構成 (ネームサービス、ドメイン、IP フィルタ、IPsec の構成など) が指定されます。この情報は、システム全体のネットワーク構成に適用されるプロパティーセットで構成されます。システム定義とユーザー定義の両方の場所があります。場所プロファイルの詳細は、「場所プロファイルの説明」を参照してください。

• 外部ネットワーク修飾子 (ENM)

  ENM とは、NWAM 外部のアプリケーション (VPN アプリケーションなど) を管理するために使用されるプロファイルです。これらのアプリケーションでは、ネットワーク構成の変更および作成が可能です。nwamd デーモンは、ENM の一部として指定されている条件に応じて、ENM をアクティブ化または非アクティブ化します。ENM の詳細は、「ENM の説明」を参照してください。

• 既知の無線ローカルエリアネットワーク (WLAN)

  既知の WLAN とは、システムに認識されている無線ネットワークに関する情報を監視および格納するために NWAN で使用される構成オブジェクトです。NWAN では、このような無線ネットワークの全リストが保持され、使用可能な無線ネットワークへの接続を試みる順序を決定する際に、このリストが参照されます。既知の WLAN の詳細は、「既知の WLAN について」を参照してください。

NWAM の機能コンポーネント

NWAM は、次の機能コンポーネントで構成されています。

• NWAM プロファイルリポジトリ – プロファイルリポジトリは、NWAM 構成データが格納される場所です。プロファイルリポジトリへのアクセスは、リポジトリデーモン netcfgd で管理されます。

  NWAM プロファイルリポジトリには、NWAM が有効であるときのネットワーク構成のスナップショットが含まれています。このデータは、ネットワークの手動構成に戻す必要がある場合に備えて保存されています。詳細は、「NWAM 構成データ」を参照してください。

• プロファイル構成プログラム (ユーザーインタフェース)NWAM アーキテクチャーには、コマンド行インタフェース (CLI) とグラフィカルユーザーインタフェース (GUI) の両方が用意されています。これらのインタフェースでは、似たようなタスク、たとえば、プロファイルの作成と変更、プロファイルの有効化、およびプロファイルに関する情報についてのシステムへの問い合わせなどを実行できます。

  NWAM CLI は、netcfg と netadm の 2 つの管理用コマンドで構成されています。netcfg コマンドを使用すると、プロファイルを作成および変更できます。このコマンドは、対話型モード、コマンド行モード、およびコマンドファイルモードで実行されます。netadm コマンドを使用すると、プロファイルの有効化または無効化や、プロファイル状態に関するレポートの一覧表示などの、特定の操作を実行できます。詳細は、netcfg(1M) および netadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

  NWAM CLI を使用してプロファイルを作成および管理する手順については、第 4 章NWAM プロファイルの構成 (タスク)および第 5 章NWAM プロファイルの管理 (タスク)を参照してください。

  NWAM GUI を使用すると、ネットワークプロファイルを作成および管理することもできます。GUI には、ネットワーク接続のステータスをデスクトップからすばやく表示して監視できる追加の機能があります。また、GUI には、現在のネットワークステータスの変化についてユーザーに警告する通知機能もあります。通知機能は、GUI でのみ使用可能です。NWAM GUI の使用の詳細は、第 6 章NWAM グラフィカルユーザーインタフェースについてまたはオンラインヘルプを参照してください。nwammgr(1M) および nwammgr-properties(1M) のマニュアルページも参照してください。

• ポリシーエンジンデーモン – nwamd デーモンは NWAM のポリシーコンポーネントです。このデーモンは複数の役割で機能し、プロファイルリポジトリに格納されたプロファイルに基づいてネットワーク構成を管理します。また、現在のネットワーク状況に応じてアクティブにするプロファイルを決定し、そのプロファイルをアクティブにします。このタスクを完了するために、デーモンは複数のソースからの情報を統合します。nwamd デーモンが遂行する複数の役割については、「NWAM デーモンの概要」節で詳細に説明します。

• リポジトリデーモン – netcfgd デーモンは、プロファイルおよびその他の構成オブジェクトの構成データがすべて格納される共通のプロファイルリポジトリを制御します。netcfg コマンド、NWAM GUI、および nwamd デーモンはすべて、プロファイルリポジトリへのアクセス要求を送信することによって、netcfgd デーモンと対話します。リポジトリデーモンのジョブは、リポジトリデータへのアクセスを試みるさまざまなプロセスが正しく許可されているかどうかを確認することです。このデーモンは、許可されていないプロセスによるアクセスの試みを禁止 (破棄) します。詳細は、「NWAM リポジトリデーモン (netcfgd) の説明」を参照してください。

• NWAM ライブラリインタフェース – libnwam ライブラリは、プロファイルリポジトリと対話するための機能インタフェースを提供します。これにより、プロファイルに関する情報を NWAM で読み取って変更することができます。

• サービス管理機構 (SMF) ネットワーク - NWAM で使用される複数のネットワークサービスは、すでに Oracle Solaris の一部になっています。ただし、これらの既存サービスは一部変更され、NWAM に固有の新規サービスが導入されています。詳細は、「SMF ネットワークサービス」を参照してください。