3.5. アップグレードする

3.5.1. Sun Ray Software をアップグレードする前にファームウェアをインストールする
3.5.2. Sun Ray Software をアップグレードする方法
3.5.3. フェイルオーバーグループを使用してアップグレードを計画する
3.5.4. Sun Ray Software 構成データを保持する方法

このセクションでは、以前にインストール済みの Sun Ray サーバーをアップグレードする方法の手順について説明します。

3.5.1. Sun Ray Software をアップグレードする前にファームウェアをインストールする

「Sun Ray Software をインストールする前にファームウェアをインストールする」で説明したように、アップグレードを実行する前に既存の Sun Ray サーバーに最新のファームウェアをインストールすることをお勧めします。ファームウェアは、Sun Ray Software メディアパックに含まれていません。

現在のアップグレード手順では、ファームウェアをダウンロードしてインストールする手順について説明しています。Sun Ray Software アップグレードプロセスとは別にクライアントファームウェアを更新するには、「Sun Ray クライアントでファームウェアを更新する方法」を参照してください。

3.5.2. Sun Ray Software をアップグレードする方法

この手順では、既存の Sun Ray サーバー上の Sun Ray Software をアップグレードする方法について説明します。この手順は、具体的な Sun Ray 構成に依存します。詳細については、2章Sun Ray ネットワーク環境の計画を参照してください。

アップグレードを実行する前に、次の情報を考慮してください。

  • Sun Ray サーバー上のオペレーティングシステムが「オペレーティングシステム要件」で示す Sun Ray Server 5.4 の要件に適合していることを確認します。そうでない場合は、Sun Ray Software アップグレードの一環として Sun Ray サーバー上のオペレーティングシステムをアップグレードする必要があります。

  • Sun Ray Software 5.2 以降からのアップグレードは、Sun Ray Software 5.4. でサポートされます。最新の Sun Ray Software 5.4.x リリース更新を利用できる場合はそれに直接アップグレードできます (つまり、Sun Ray Software 5.4.x へアップグレードする前にまず Sun Ray Software 5.4.x へアップグレードする必要がないということです)。

  • Sun Ray サーバー構成は、命令セットアーキテクチャーの異なるハードウェアプラットフォームには移行できません。たとえば、既存の SPARC ベース Sun Ray サーバー構成は、新しい x86 ベース Sun Ray サーバーに移行できません。

  • Sun Ray サーバー構成を異なるオペレーティングシステム (たとえば、Oracle Linux から Oracle Solaris) に移行することはできません。ただし、同じオペレーティングシステムのメジャーリリース間でのアップグレードは可能です (Oracle Solaris 10 から Oracle Solaris 11 へのアップグレードなどが指定された場合)。

  • ほとんどの環境では不要ですが、構成データは Sun Ray サーバーに保持し、バックアップファイルを別の場所にコピーすることをお勧めします。詳細については、「Sun Ray Software 構成データを保持する方法」を参照してください。

手順
  1. ユーザーにアップグレードを知らせます。

    Sun Ray Software をアップグレードする前に、ユーザーに計画を知らせ、セッションを終了してもらいます。アップグレード手順には、有効なセッションと一時停止しているセッションがすべて失われるという影響があります。

  2. フェイルオーバーグループ内の Sun Ray サーバーをアップグレードする場合は、ダウンタイムを少なくする方法を検討してください。

    詳細については、「フェイルオーバーグループを使用してアップグレードを計画する」を参照してください。

  3. Sun Ray サーバーのスーパーユーザーになります。

    ユーザー環境設定が進められている場合に発生する可能性があるインストールスクリプトエラーを避けるため、次のコマンドを使用します。

    % su - root
  4. 現在の Sun Ray ネットワーク構成を一覧表示し、情報を保持します。アップグレード後は Sun Ray ネットワークを再構成する必要があります。

    # /opt/SUNWut/sbin/utadm -l           
  5. 必要に応じて、「オペレーティングシステム要件」に記載された要件を満たすために Sun Ray サーバーのオペレーティングシステムをアップグレードします。

    Oracle Linux 5.x から 5.8 へのアップグレード
    1. 構成データを Sun Ray サーバーに保存し、バックアップファイルを安全な場所にコピーします。詳細については、「Sun Ray Software 構成データを保持する方法」を参照してください。

    2. Sun Ray サーバー上の Sun Ray Software をアンインストールします。詳細については、「Sun Ray Software を削除する方法」を参照してください。

      注記

      utkiosk グループがそのシステムで引き続き構成されている場合は、それを削除します。そうでない場合、Sun Ray Software のアップグレード中にキオスクモードユーザーアカウントの構成に失敗します。

    3. Sun Ray サーバー上の Oracle Linux をアップグレードします。

    4. 必要に応じて、以前作成した Sun Ray サーバー構成データのバックアップファイル /var/tmp/SUNWut.upgrade/preserve_version.tar.gz をアップグレード済み Sun Ray サーバー上の同じ場所にコピーします。Oracle Linux のアップグレードでこのファイルは保持されるはずです。

    5. 手順 6 に進みます。

    Oracle Linux 5.x から 6.3 へのアップグレード
    1. 構成データを Sun Ray サーバーに保存し、バックアップファイルを安全な場所にコピーします。詳細については、「Sun Ray Software 構成データを保持する方法」を参照してください。

    2. Sun Ray サーバー上の Oracle Linux をアップグレードします。

      Oracle Linux のメジャーリリース間ではインプレースアップグレードがサポートされていないため、既存のシステムのバックアップ作成後に Sun Ray サーバーで Oracle Linux 6.3 の新規インストールを行うことをお勧めします。Oracle Linux のメジャーリリース間のアップグレードの詳細は、Oracle Linux のドキュメントを参照してください。

    3. 以前作成した Sun Ray サーバー構成データのバックアップファイル /var/tmp/SUNWut.upgrade/preserve_version.tar.gz をアップグレード済み Sun Ray サーバー上の同じ場所にコピーします。

    4. 手順 6 に進みます。

    Oracle Solaris 10 のアップグレード
    1. (オプション) 構成データを Sun Ray サーバーに保存し、バックアップファイルを安全な場所に移動します。詳細については、「Sun Ray Software 構成データを保持する方法」を参照してください。

      Oracle Solaris 10 のアップグレードは Sun Ray Software 構成データに影響しないため、この手順は必要ありません。しかし、オペレーティングシステムをアップグレードする前にデータをバックアップすることを常にお勧めします。

    2. Sun Ray サーバー上の Oracle Solaris をアップグレードします。

    3. 手順 6 に進みます。

    Oracle Solaris 10 から Oracle Solaris 11 へのアップグレード
    1. 構成データを Sun Ray サーバーに保存し、バックアップファイルを安全な場所にコピーします。詳細については、「Sun Ray Software 構成データを保持する方法」を参照してください。

    2. Sun Ray サーバー上の Oracle Solaris をアップグレードします。

      Oracle Solaris 10 から Oracle Solaris 11 にアップグレードするためのアップグレードプログラムはありません。既存のシステムのバックアップ作成後に Sun Ray サーバーで Oracle Solaris 11 の新規インストールを行う必要があります。Oracle Solaris 11 へのアップグレードの詳細は、Oracle Solaris 11 のドキュメントを参照してください。

    3. 以前作成した Sun Ray サーバー構成データのバックアップファイル /var/tmp/SUNWut.upgrade/preserve_version.tar.gz をアップグレード済み Sun Ray サーバー上の同じ場所にコピーします。

    4. 手順 6 に進みます。

  6. Sun Ray Software 5.4 メディアパックをダウンロードして解凍し、Sun Ray サーバーからアクセスできるようにします。

    http://www.oracle.com/technetwork/server-storage/sunrayproducts/downloads/index.html を参照してください。

  7. (オプション) 最新の Sun Ray Operating Software (ファームウェア) をダウンロードして解凍し、Sun Ray サーバーからアクセスできるようにします。

    http://www.oracle.com/technetwork/server-storage/sunrayproducts/downloads/index.html を参照してください。

    アップグレード後にクライアントファームウェアをインストールして構成する場合は、「Sun Ray クライアントでファームウェアを更新する方法」を参照してください。

  8. フェイルオーバーグループ内のすべてのサーバーがアップグレードされるまで、すべての Sun Ray クライアントファームウェア更新を無効にします。

    詳細については、「すべての Sun Ray クライアントのファームウェア更新を無効にする方法」を参照してください。

  9. 最新の Sun Ray Operating Software (ファームウェア) をダウンロードした場合は、ディレクトリを解凍されたファームウェアのディレクトリに変更し、Sun Ray Software インストールのアップグレードで利用できるように現在のファームウェアを更新します。

    # ./utfwinstall

    utfwinstall スクリプトは、Sun Ray サーバー上にインストールされている既存のファームウェアを上書きします。

  10. ディレクトリを解凍した Sun Ray Software メディアパックに変更し、Sun Ray サーバー上のSun Ray Software をアップグレードします。

    # ./utsetup

    utsetup スクリプトは、現在の Sun Ray Software 構成データを Sun Ray サーバーに保存し、Sun Ray Software を新しいバージョンにアップグレードして、アップグレード後にその Sun Ray Software 構成データを復元します。手順 5 の説明に従って /var/tmp/SUNWut.upgrade/preserve_version.tar.gz バックアップファイルを作成し、新しくインストールされた OS にコピーしてしまった場合、utsetup スクリプトはそのバックアップファイルを使用して Sun Ray Software 構成データを復元するよう求めるプロンプトを表示します。

    スクリプトが終了すると、ログファイルを入手できます。

    Oracle Linux:

    /var/log/utsetup.year_month_date_hour:minute:second.log

    Oracle Solaris:

    /var/adm/log/utsetup.year_month_date_hour:minute:second.log

    ファイル名の値は、コマンドが開始した時点のタイムスタンプを反映しています。インストールの問題の兆候があるかどうかをこれらのファイルでチェックします。

    utinstall エラーメッセージのリストについては、「インストール (utinstall) のエラーメッセージ」を参照してください。

  11. 手順 4 で確認した以前の構成に基づいて、Sun Ray ネットワークを再構成します。

    外部の DHCP サーバーをサポートする共有ネットワーク (LAN) の場合 (utadm -L on を使用している)

    操作は必要ありません。アップグレード時にこの構成は保持されます。

    Sun Ray サーバーで DHCP をサポートする共有ネットワーク (LAN) の場合

    # /opt/SUNWut/sbin/utadm -A subnet
    

    プライベートネットワークの場合

    # /opt/SUNWut/sbin/utadm -a intf
    
  12. アップグレードの一環として保存ファイルを使用した場合は、utconfig -w を実行してアップグレードを完了する必要があります。

    utconfig -w コマンドは管理 GUI 設定 (Tomcat インストールの場所など) を要求し、管理 GUI は自動的に起動されます。

  13. Windows Connector グループ名を事前に構成していない場合、またはグループ名を rootsys に設定した場合は、Windows Connector を再構成します。これらのシナリオに関するエラーは、インストールログに一覧表示されます。

    # /opt/SUNWut/sbin/utconfig -c
  14. フェイルオーバーグループ内の各サーバーついて手順 1 - 13 を繰り返します。

  15. Sun Ray クライアントで更新された Sun Ray Operating Software (ファームウェア) を同期します。

    このタスクはスタンドアロンの Sun Ray サーバー、またはフェイルオーバーグループでアップグレードした最後の Sun Ray サーバー上で実行する必要があります。utfwsync は、Sun Ray サーバーで現在インストールされて構成されているファームウェアを利用してフェイルオーバーグループ内のすべての Sun Ray サーバーを更新してから、Sun Ray クライアント上のすべてのファームウェアを更新します。Sun Ray クライアントが自動的にリブートし、必要に応じて新しいファームウェアに更新されます。

    # /opt/SUNWut/sbin/utfwsync
  16. Windows 用コネクタを使用する予定の場合は、指定された Windows サーバーで Windows Connector コンポーネントをアップグレードします。

    Windows Connector コンポーネント用のアップグレードプログラムはありません。以前のコンポーネントがインストールされている Windows システムをアップグレードするには、現在の Windows Connector コンポーネントを削除し、新しいバージョンをインストールします。

3.5.3. フェイルオーバーグループを使用してアップグレードを計画する

フェイルオーバーグループ内で 2 つ以上の Sun Ray サーバーを構成することで、1 つのサーバーで問題が発生した場合に、新しいサービスの利用中断を減らすことができます。既存の Sun Ray サーバーをフェイルオーバーグループへと結合するか、または既存のフェイルオーバーグループをアップグレードする計画の場合は、次の点に注意してください。

  • プライマリサーバーをアップグレードするよりも必ず先にセカンダリサーバーをアップグレードするようにしてください。このリリースからの新機能は、フェイルオーバーグループ内のすべてのサーバーがアップグレードされるまで機能しないことがあります。

  • あるサーバーをアップグレードする前に、Sun Ray クライアントユーザーがそれぞれのセッションを終了していることを確認します。

注記

大規模構成内のサーバーを一度にアップグレードするのは都合がよくない場合は、構成全体が完了するまで一度に 1 つまたは 2 つのサーバーをアップグレードします。

  • 4 つ以上のサーバーのグループで最良の結果を得るには、Sun Ray データストアのみを扱うようにプライマリサーバーを構成します。セカンダリサーバーは、データストアを扱うほかにユーザーを直接扱うように構成します。

  • プライマリサーバーをアップグレードする間は、セカンダリサーバーでデータストアに対するどのような更新もできません。

  • このリリースでの新機能を利用するには、フェイルオーバーグループ内で Sun Ray Software の異なるバージョンを混在させないでください。複数のソフトウェアバージョンを使用するフェイルオーバーグループは、もっとも古いバージョンの機能に戻されてしまいます。

  • 管理 GUI を使用して Sun Ray サービスを再起動またはリセットすることは、Sun Ray リリースが異なるサーバーでは動作しません。たとえば、管理 GUI を使用してフェイルオーバーグループ内で最新の Sun Ray Software リリースを実行しているすべてのサーバーを再起動させる場合であっても、以前のバージョンの Sun Ray Software を実行している Sun Ray サーバーは手動で再起動またはリセットするようにしてください。

  • フェイルオーバーグループ内のすべてのサーバーがアップグレードされるまで、すべての Sun Ray クライアントファームウェア更新を無効にします。詳細については、「すべての Sun Ray クライアントのファームウェア更新を無効にする方法」を参照してください。

注記

1 週あたり 1 つまたは 2 つのサーバーをアップグレードする場合でも、グループ内のすべてのサーバーがアップグレードするまで待ってからファームウェアの更新を有効にする必要があります。

  • 構成が専用のプライベートインターコネクトである場合は、サーバーを Sun Ray インターコネクトから切断します。

フェイルオーバートポロジの図など、フェイルオーバーグループについての一般的な説明については、.6章フェイルオーバーグループを参照してください。

3.5.4. Sun Ray Software 構成データを保持する方法

アップグレードを選択すると、utsetup スクリプトは既存の構成情報を自動的に保持します。次の状況のみ、utsetup スクリプトを実行する前に、既存の構成を保持する必要があります。

  • サーバーのディスクの再フォーマットが必要な既存の Sun Ray サーバー上で、オペレーティングシステムをアップグレードしている。

  • 既存の Sun Ray サーバーハードウェアを新しいサーバーと交換している。

  • Sun Ray Software のアップグレードの一環として、Sun Ray サーバー上でオペレーティングシステムをアップグレードしている。

これらすべての場合で、utsetup スクリプトを起動する前に、Sun Ray Software 構成データのバックアップファイルを作成して /var/tmp/SUNWut.upgrade/preserve_version.tar.gz に保存し、新しくインストールまたはアップグレードしたサーバー上の同じ場所に追加する必要があります。utsetup スクリプトは、Sun Ray Software をインストールしたあとで、/var/tmp/SUNWut.upgrade/preserve_version.tar.gz 内の構成データを自動的に復元します。

Sun Ray Software イメージディレクトリ内の utpreserve スクリプトは、次の情報を保持します。

  • X ユーザー設定

  • Sun Ray データストア

  • 認証マネージャー構成ファイル

  • utslaunch プロパティー

  • フェイルオーバーグループの情報

  • キオスクモードの構成

  • Windows Connector で使用されるグループ名

utpreserve スクリプトは、次の情報を保持しません

  • Sun Ray サーバーのネットワークおよび DHCP の構成設定 (utadm -A または utadm -a 構成情報)。Sun Ray Software のアップグレード後に、これらの設定を再構成する必要があります。

  • サーバーの PAM 構成は保存されません。PAM 構成は、Oracle Solaris 10 では /etc/pam.conf にあり、Oracle Solaris 11 または Oracle Linux では /etc/pam.d/* にあります。PAM 構成は手動でバックアップおよび復元する必要があります。

始める前に

構成のサイズに応じて、この手順 (オペレーティングシステムソフトウェアのアップグレードを含む) が完了するには 5 分から数時間、さらにはそれ以上かかる可能性があります。

注記

utpreserve スクリプトを実行すると、Sun Ray デーモンおよびサービス (Sun Ray データストアを含む) はすべて停止し、ユーザーはアクティブと切断の両方のセッションを失います。彼らに計画を説明してください。

手順
  1. ディレクトリを解凍した Sun Ray Software メディアパックに変更します。

  2. Sun Ray 構成を保持します:

    # ./utpreserve

    utpreserve スクリプトは、すべての Sun Ray サービスが停止することを警告し、結果としてすべてのユーザーセッションを終了し、続行するべきかどうかを確認します。

    y と答えた場合、utpreserve スクリプトは:

    • Sun Ray サービスおよび Sun Ray データストアデーモンを停止します。

    • 保存されているファイルを一覧表示します。

    • ファイルの全体リストで、/var/tmp/SUNWut.upgrade/preserve_version.tar.gz ファイルとして tar と圧縮を実行します (version は現在インストールされている Sun Ray Software バージョン)。

    • エラーの兆候が含まれるログファイルが /var/adm/log/utpreserve.year_month_date_hour:minute:second.log (Oracle Solaris の場合) または /var/log/SUNWut/utpreserve.year_month_date_hour:minute:second.log (Oracle Linux の場合) から入手できることを知らせます。

      ここで、yearmonth などは、utpreserve が開始したときを反映した数値によって表現されます。

    • /var/tmp/SUNWut.upgrade/preserve_version.tar.gz バックアップファイルを安全な場所に移動することを勧めします。

注記

以前のバージョンの Sun Ray Software で PAM 構成を変更していた場合は、Sun Ray Software のアップグレード時にその変更が失われる可能性があります。変更が失われないようにするため、更新を実行する前にコピーを保存するしてから、保存済みのコピーを使用して以前の変更を復元してください。