ネットワーク・ボンディングとは、冗長性やスループットの増加に向けて1つのホスト上でネットワーク・インタフェースを組み合せることです。冗長性は、単一の物理リンクで障害が発生した場合に仮想環境のサービスが失われないようにするという点で非常に重要です。このネットワーク・ボンディングは、Linuxネットワーク・ボンディングまたはOracle Solarisデータ・リンクの集約と同じです。Oracle VMでネットワーク・ボンディングを使用する場合はスイッチ構成が必要となる場合があります。
Oracle VMのネットワーク・ボンディングには3つのモードがあります。
アクティブ・バックアップ: アクティブなNICが1つと、休止状態のNICが1つ存在します。アクティブなNICが停止すると、もう一方のNICがアクティブになります。このモードではスループットは増加しませんが、障害が発生した場合に冗長性が提供されます。アクティブ・バックアップはx86環境でのみサポートされています。
動的リンク・ライブラリ: 集約されたNICが1つのNICとして機能する結果としてスループットが高くなりますが、NICに障害が発生した場合もフェイルオーバーが提供されます。動的リンク・ライブラリにはIEEE 802.3adをサポートしているスイッチが必要です。
適用可能なロード・バランシング: マシンのNICを介してネットワーク・トラフィックが均等にバランス化され、フェイルオーバーもサポートされており冗長性が提供されます。動的リンク・ライブラリとは異なり、適用可能なロード・バランシングには特定のスイッチ構成は必要ありません。適用可能なロード・バランシングはx86環境でのみサポートされています。
動的リンク・ライブラリはSPARCサーバーでのみ現在サポートされています。
Oracle VM Serverのインストール時、ネットワーク・インタフェース(管理ポートのプロンプトで選択)はボンディングされたインタフェースとして構成されます。このボンドは、1つのインタフェースのみを使用して作成されます。これは、Oracle VM Serverの管理インタフェースの再構成がサポートされないためです。元のインタフェースの構成に影響を及ぼすことなく、既存のボンド・デバイスに2つ目のインタフェースを追加できます。図5.2「ネットワーク・ボンディング」にこの構成が示されていますが、2つ目のネットワーク・インタフェースが、インストール時に作成されたネットワーク・ボンドであるbond0に追加されています。デフォルトでは、管理ネットワークのボンディング・モードはアクティブ・バックアップに設定されています。
図5.2「ネットワーク・ボンディング」には、2つ目のボンディングされたインタフェース(bond1)の構成も示されていますが、このボンディングされたインタフェースは仮想マシン機能などの他のネットワークに使用できます。