Oracle VMは、基礎となるクラスタリング・ファイル・システムとしてOCFS2を使用して、その記憶域リポジトリを管理し、共有記憶域へのアクセスを提供します。
クラスタ・ハートビートは、すべてのOCFS2クラスタの必須コンポーネントです。これには、ノード(この場合のノードはOracle VM Server)を停止しているまたは動作しているとして正確に指定する役割があります。OCFS2で使用するハートビートには、次の2つのタイプがあります。
ディスク・ハートビート(クラスタ内のすべてのOracle VM Serverがタイム・スタンプをサーバー・プールのファイル・システム・デバイスに書き込みます)。
ネットワーク・ハートビート(Oracle VM Serverがネットワークを介して通信し、すべてのクラスタ・メンバーが動作していることを相互に確認します)。
クォーラムは、共有記憶域での処理が許可されている、クラスタ内のOracle VM Serverのグループです。クラスタで障害が発生した場合、Oracle VM Serverは、グループ間でではなく、各グループ内および共有記憶域と通信することができるグループに分割されることがあります。この場合、OCFS2は他のグループのフェンシングを続行および開始することができるグループを決定します。フェンシングとは、クラスタからOracle VM Serverを強制的に削除する手法です。OCFS2がマウントされたOracle VM Serverは、障害が発生したクラスタ内にクォーラムが存在しないことを認識した場合、自身のフェンシングを行います。これは、他のOracle VM Serverによるそのクラスタのリソースへのアクセスを妨げないようにするためです。Oracle VM Serverはフェンシングされると再起動され、クラスタに再度参加します。Oracle VM Serverがフェンシングされると、フェンシングされたOracle VM Serverで実行中の仮想マシンは、HAが有効な場合、他のOracle VM Serverで移行および再起動が行われます(HAが有効でない仮想マシンは移行されません)。
クラスタ・ハートビートはネットワークの中断による影響を受けやすいため、クラスタ・ハートビート・ネットワークでは特別な注意を払って個別に扱い、次のことを確認する必要があります。
記憶域やライブ・マイグレーションのネットワークなど負荷の高いネットワークと同じリンクを共有していない。ネットワークの作成の詳細は、5.12.1項「ネットワークの作成」を参照してください。
1つのネットワーク・パスに障害が発生した場合に、操作の続行を保証するボンドを使用した冗長性が提供されている。ボンドの詳細は、5.5項「ネットワーク・ボンディング」および5.10項「ボンディングされたインタフェースの管理」を参照してください。
Oracle VMでのOCFS2の実装の詳細は、6.2項「サーバー・プール・クラスタ」を参照してください。