6.4 高可用性(HA)

HAを設定すると、仮想マシンの安定した可用性を実現できます。HAが構成されている場合にOracle VM Serverが再起動または停止されると、そのOracle VM Serverで実行されている仮想マシンは、別のOracle VM Serverで再起動されるか、別のOracle VM Serverに移行されます。

HAの実装に必要な前提条件は次のとおりです。

HAを使用するには、図6.3「HAの有効化」に示すとおり、HAを最初にサーバー・プールで有効にし、次にすべての仮想マシンで有効にする必要があります。HAをサーバー・プールで有効にしてから仮想マシンに対して有効にすると、Oracle VM Serverが停止したり、Oracle VM Serverで障害が発生した場合に、別の使用可能なOracle VM Serverで仮想マシンの移行または再起動が行われます。HAは、サーバー・プールおよび仮想マシンの両方に対して有効にする必要があります。

図6.3 HAの有効化

この図はHA(高可用性)がサーバー・プールで有効化され、次にすべての仮想マシンで有効化される様子を示しています。

サーバー・プール・クラスタを自動的に構成してサーバー・プールでHAを有効にするには、サーバー・プールの作成時に「Clustered Server Pool」チェック・ボックスを選択します。サーバー・プールの作成の詳細は、6.8項「サーバー・プールの作成」を参照してください。

仮想マシンでHAを有効にするには、仮想マシンの作成または編集時に「Enable High Availability」チェック・ボックスを選択します。仮想マシンの作成および編集の詳細は、7.7項「仮想マシンの作成」および7.10.2項「仮想マシンの編集」を参照してください。

HAが有効で、Oracle VM Serverを再起動、停止または削除する場合、最初にHAが有効な実行中の仮想マシンを別の使用可能なOracle VM Serverに移行する必要があります。仮想マシンの移行の詳細は、7.10.12項「仮想マシンの移行」を参照してください。

使用可能なOracle VM Serverがない場合、仮想マシンは停止され(電源オフ)、Oracle VM Serverが使用可能になると再起動されます。

可能なHAシナリオは次のとおりです。

図6.4「Oracle VM Serverでの障害発生時に有効なHA」は、Oracle VM Serverでの障害発生と、サーバー・プールの他のOracle VM Serverでの仮想マシンの再起動を示しています。

図6.4 Oracle VM Serverでの障害発生時に有効なHA

この図は、Oracle VM Serverでの障害発生と、そこで実行中の仮想マシンの他のOracle VM Serverへの移行を示しています。

HA構成をテストして、実際の障害時に適切に構成されていることを確認する必要があります。

図6.5「Oracle VM Serverでの再起動または停止時に有効なHA」は、Oracle VM Serverでの再起動と停止、およびサーバー・プールの他のOracle VM Serverへの仮想マシンの移行を示しています。この例では、仮想マシンが稼動中のため、ライブ・マイグレーションは実行できますが、仮想マシンは動作を継続し中断されません。ライブ・マイグレーションはHAの機能ではありませんが、HAとともにまたは独立して使用することができます。ライブ・マイグレーションの詳細は、7.10.12項「仮想マシンの移行」を参照してください。

図6.5 Oracle VM Serverでの再起動または停止時に有効なHA

この図は、Oracle VM Serverの再起動と停止、およびそこで実行中の仮想マシンの他のOracle VM Serverへの移行を示しています。

HAを有効化しなかった場合、Oracle VM Serverを停止する前に、(標準の仮想マシンの移行またはライブ・マイグレーションのいずれかを使用して)すべての仮想マシンを別のOracle VM Serverに移行するか、サーバーをメンテナンス・モードに設定することによってそれらを自動的に移行させる必要があります。