この章では、データベースをアップグレードまたはダウングレードする方法を説明します。
この章は、次の項で構成されています。
すでにOracle Database 11g リリース1(11.1)をインストールしてある場合は、11.1.0.7パッチ・セットを適用できます。手順については、お使いのプラットフォーム対応の『Oracle Databaseリリース・ノート』を参照してください。
『Oracle Database Patch Set Notes for Microsoft Windows (32-Bit)』
『Oracle Database Patch Set Notes for Microsoft Windows x64』
Oracle Data Miningのアップグレードは、Oracle Databaseのアップグレードと完全に統合されています。Oracle 11gでは、Oracle Databaseのアップグレード時にデータ・マイニングのメタデータがDMSYSからSYSに移行されます。
Oracle Databaseをアップグレードすると、データ・マイニング・モデルもアップグレードされます。アップグレード済のモデルは、新しくアップグレードされた環境で使用でき、以前のリリースと同様に機能します。11gの新しいマイニング機能はすべて、アップグレードした環境で使用できます。
Oracle 11gでは、データ・マイニングのユーザー・アカウントにCREATE MINING MODEL権限を付与する必要があります。この権限は、11gでデータ・マイニング・モデルを作成する際に必要です。詳細は、第4章「データ・マイニング用のユーザーと権限」を参照してください。
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参照: Oracle Databaseのアップグレードについては、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。 |
Oracle Data Mining 10.2(メタデータおよびモデルを含む)は、11gにアップグレード可能です。
Oracle Data MiningのPL/SQL APIで作成されたモデルは、10.1から11gにアップグレードできます。Oracle Data MiningのJava APIで作成されたモデルは、10.1から11gにアップグレードできません。Java APIの10.1バージョンは、Oracle Data Mining 10.2ではサポートされなくなりました。
9.2から11gへのモデルのアップグレードはサポートされていません。
Oracle Database Upgrade Assistantを使用して、データベースを11gにアップグレードできます。アップグレードを実行する際、DMSYSスキーマに存在していたデータ・マイニングのメタデータはすべて、SYSに作成されます。アップグレードが完了すると、データ・マイニング・メタデータはすべてSYSに格納され、DMSYSには存在しなくなります。所有者のスキーマにあるデータ・マイニング・モデルも11gにアップグレードされます。
Windowsプラットフォームでは、Database Upgrade Assistantグラフィカル・ツールを使用して11gにアップグレードできます。Upgrade Assistantを起動するには、次の手順に従います。
Windowsの「スタート」メニューから、Oracleホーム・ディレクトリを選択します。
「コンフィグレーションおよび移行ツール」メニューを選択します。
Upgrade Assistantを起動します。
Linuxプラットフォームでは、DBUAユーティリティを実行してOracle Databaseをアップグレードします。
アップグレード後、アップグレード・ログ・ファイルおよびDBA_REGISTRYをチェックして、アップグレード・プロセスが正常に完了したことを確認します。アップグレードしたデータベースのDBA_MINING_MODELSビューも確認します。新しくアップグレードされたマイニング・モデルが、このビューに表示されます。
アップグレードを検証し、ダウングレードの必要がないことを確認したら、初期化パラメータCOMPATIBLEを11.1に設定する必要があります。この時点で、データベースからDMSYSスキーマを削除できます。DMSYSを削除すると、Oracle Data MiningはDBA_REGISTRYにコンポーネントとして表示されなくなります。
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注意: 11gへのアップグレード後は、Data Miningスコアリング・エンジン(DMSE)に切り替えられなくなります。スコアリング・エンジンは11gでは存在しません。 |
必要に応じて、Oracle Data Miningを手動でアップグレードすることも可能です。以前のバージョンのOracle Databaseで作成されたモデルをエクスポートし、新しい11gデータベースにインポートできます。
データ・マイニング・モデルをダンプ・ファイルにエクスポートするには、第7章のインポートおよびエクスポートに関する手順に従います。
ダンプ・ファイルからインポートする前に、DMEIDMSYSスクリプトを実行して11gデータベースにDMSYSスキーマを作成します。
SQL>CONNECT / as sysdba;
SQL>@ORACLE_HOME/RDBMS/admin/dmeidmsys.sql
SQL>EXIT;
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注意: TEMP表領域がすでに11gデータベースに存在している必要があります。DMEIDMSYSスクリプトは、TEMPおよびSYSAUXを使用してDMSYSスキーマを作成します。 |
ダンプ・ファイルをデータベースにインポートするには、次のコマンドを発行します。
%ORACLE_HOME/bin/impdp system/passwordfile_name= ..... SQL>CONNECT / as sysdba; SQL>EXECUTE dmp_sys.upgrade_models('11.0.0'); SQL>ALTER SYSTEM FLUSH SHARED_POOL; SQL>EXIT;
アップグレードされたマイニング・モデルで操作を実行する前にデータベースを停止する場合、共有プールがフラッシュされます。
インポートが完了したら、データベースからDMSYSスキーマを削除できます。DMSYSを削除すると、Oracle Data MiningはDBA_REGISTRYにコンポーネントとして表示されなくなります。
データベースを以前のバージョンにダウングレードする前に、アップグレードしたデータベースに11gのマイニング・モデルが存在しないことを確認します。確認には、SYSで次のSQL文を発行します。
SQL>SELECT o.name FROM sys.model$ m, sys.obj$ o
WHERE m.obj#=o.obj# AND m.version=2;
データベースに11gのマイニング・モデルがある場合、データベースをダウングレードする前に、DBMS_DATA_MINING.DROP_MODELルーチンを使用して手動で削除します。削除しないと、データベースのダウングレード・プロセスは異常終了します。