この付録では、Oracle Net Servicesの共存とアップグレードに関する考慮事項について説明します。ここで説明する項目は、次のとおりです。
次の項では、インターネットに関する構成の決定を簡素化するために、サポート対象外となった機能と構成ファイルについて説明します。
Oracle Advanced Securityが提供するIdentixまたはSecurID認証を使用している場合は、次の認証方式のいずれかにアップグレードすることをお薦めします。
RADIUS
Kerberos
SSL
Novell Directory Services(NDS)は、認証方式および外部ネーミング・メソッドとしてサポートされていません。 外部ネーミング・メソッドとしてNDSを使用している場合は、かわりにディレクトリ・ネーミングを使用することをお薦めします。
データベースとデータベース以外の両アプリケーションの開発で、プログラマが使用するApplication Program Interface(API)を提供していたNet8 OPENは、現在ではサポートされていません。
protocol.ora
ファイルのパラメータは、sqlnet.ora
ファイルにマージされました。次のパラメータによって、データベースへのアクセス制御を構成し、TCP/IPバッファのフラッシュを遅延なしに行うことができます。次のパラメータがあります。
TCP.NODELAY
TCP.EXCLUDED_NODES
TCP.INVITED_NODES
TCP.VALIDNODE_CHECKING
protocol.ora
ファイルが、UNIXの場合は$ORACLE_HOME/network/admin
ディレクトリに、Windowsの場合は%ORACLE_HOME%\network\admin
ディレクトリにある場合は、Oracle Net Managerの最初の起動時に、パラメータがsqlnet.ora
ファイルに自動的にマージされます。
ノード固有のprotocol.ora
ファイルには、オペレーティング・システム固有のパラメータが含まれている場合があります。 このため、オラクル社では、これらのパラメータをマージまたは追加した後は、sqlnet.ora
を別のノードと共有しないことをお薦めします。
事前生成済専用サーバー・プロセスは、サポートされていません。かわりに共有サーバー(以前のマルチスレッド・サーバー)を構成して、拡張性とシステム・リソース使用率を改善します。
SPXまたはLU6.2プロトコルを使用しているプロトコル・アドレスは置き換える必要があります。Oracle Netでは、次のネットワーク・プロトコルをサポートしています。
TCP/IP
SSL付きTCP/IP
Named Pipes
クライアントおよびデータベース・サーバーは、Oracle Net ServicesまたはNet8のリリースと互換性があることが必要です。 たとえば、Oracle9i クライアントにはOracle Net Servicesのインストールが必要であり、Oracle9i データベースにはOracle Net ServicesとOracle Net Listenerのインストールが必要です。
使用環境のアップグレードが適切かどうかを決定する前に、クライアントとデータベース間の接続に関する次の考慮事項を検討してください。
Oracle9i またはOracle8データベースへの接続用に作成された接続記述子は、サービス名とSERVICE_NAME
パラメータによってデータベースを識別します。
Oracle9i またはOracle8データベースの接続記述子には、次の例に示すようにSERVICE_NAME
パラメータが使用されます。
sales=
(DESCRIPTION=
(ADDRESS=
(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
(CONNECT_DATA=
(SERVICE_NAME=sales.us.example.com)))
SID
パラメータを使用して現在構成されている接続記述子も使用できます。 ただし、クライアント・ロード・バランスや接続時フェイルオーバーなどの新機能を利用するには、SID
をSERVICE_NAME
に置き換えることをお薦めします。
SERVICE_NAME
を使用するように接続記述子を変更するには、「Oracle Net Managerによる互換性問題への対応」で説明するように、Oracle Net Managerの互換性モードを使用します。
リリース8.0クライアントがOracle9i データベースに接続されている環境では、次の質問について検討してください。
使用しているサードパーティ製のアプリケーションでOracle Net Servicesの機能を使用できるか?
使用不可です。Oracle Netライブラリを使用できるように、アプリケーションを再構築またはアップグレードする必要があります。
リモートOracle9i データベースに接続するには、クライアントにOracle Netが必要か?
不要です。クライアントをリモートOracle9i データベースに接続する必要がある場合、クライアントでは、Net8 Clientリリース8.0のみを構成する必要があります。ただし、Oracle Net Servicesの新機能は、これらのクライアントでは利用できません。
ローカルOracle9i データベースに接続するには、クライアントにOracle Netが必要か?
不要です。 クライアントではNet8 Clientリリース8.0を、Oracle9i ではOracle NetおよびOracle Net ListenerをそれぞれのOracleホームにインストールする必要があります。
Oracleリリース8.0またはOracle7データベースの接続記述子には、次の例に示すようにSID
パラメータが使用されます。
sales=
(DESCRIPTION=
(ADDRESS=
(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
(CONNECT_DATA=
(SID=sales)))
また、データベース・サーバーのlistener.ora
ファイルを、リリース8.0データベースのSID
の記述を使用して構成する必要があります。 次の例では、sales
というSIDを持つデータベース・サービスsales.us.example.com
のリスナーに対して、リスナーが構成されます。
SID_LIST_listener= (SID_LIST= (SID_DESC= (GLOBAL_DBNAME=sales.us.example.com) (SID_NAME=sales)))
Oracle9i クライアントがリリース8.0データベースに接続している環境では、次の質問について検討してください。
リモートOracleリリース8.0データベースに接続するには、クライアントにNet8 Clientリリース8.0が必要か?
不要です。 クライアントをリモート・リリース8.0データベースに接続する必要がある場合、クライアントでは、Net8 Clientの互換性のあるリリースのみを構成する必要があります。唯一の制限事項は、Oracle Net Servicesで利用できる新機能が、この接続タイプでは利用できない点です。
ローカル・リリース8.0データベースに接続するには、クライアントにNet8 Clientリリース8.0が必要か?
必要です。クライアントではOracle Netを、リリース8.0データベースではNet8 Serverを、それぞれのOracleホームにインストールする必要があります。
パラメータの中には、Oracle9i とリリース8.1でのみ有効なものがあるため、Oracle Net Managerでは、特定リリースのデータベースに接続するクライアント向けに、tnsnames.ora
ファイルに適切なパラメータを設定できる2つのオプションが用意されています。表B-1は、これらのオプションの詳細を示しています。
表B-1 Oracle Net Managerオプション
SQL*Netリリース2.xからOracle Net Servicesへのアップグレード、あるいはNet8リリース8.0または8.1からのアップグレードを行うには、次のタスクを実行します。
手順2: データベース・サーバーでのソフトウェア・アップグレード
tnsnames.ora
ファイルのサービスとそのインスタンスを識別する場合は、SERVICE_NAMES
およびINSTANCE_NAMES
初期化パラメータが初期化パラメータ・ファイルに設定されていることを確認します。
表B-2 SERVICE_NAMESおよびINSTANCE NAMESパラメータ
データベース・サーバーでソフトウェアをアップグレードするには、Oracle Universal InstallerからOracle NetとOracle Net Listenerの最新リリースをインストールして、最新の実行可能ファイルを取得します。
システム上でリリース9.2以前のデータベースが検出された場合は、Database Upgrade Assistantを使用してデータベースをアップグレードするよう指示するメッセージが表示されます。インストール時にアップグレードを行わない場合は、後からこのアシスタントをインストールして使用することもできます。
Oracle Universal Installerにより、次のタスクが自動的に実行されます。
古いリスナーの停止
リリース9.2のリスナーの開始
クライアントでソフトウェアをアップグレードするには、Oracle Universal InstallerからOracle Net Servicesの最新リリースをインストールして、最新の実行可能ファイルを取得します。
ソフトウェアをアップグレードした後は、Oracle9i の機能を使用しないかぎり、構成ファイルのアップグレードは必要ありません。新機能を利用するには、次の構成ファイルを検討します。
sqlnet.ora
tnsnames.ora
listener.ora
protocol.ora
サポートされていないパラメータや名前が変更されたパラメータを置き換えます。
リリース8.1以上のサービスに接続するには、次の例のように、SID
パラメータをSERVICE_NAME
パラメータで置き換えます。
sales=
(DESCRIPTION=
(ADDRESS=
(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
(CONNECT_DATA=
(SERVICE_NAME=sales.us.example.com)))
複数のアドレスがある場合は、次の例のように、クライアント・ロード・バランスと接続時フェイルオーバーを構成できます。
sales= (DESCRIPTION= (ADDRESS_LIST= (FAILOVER=on) (LOAD_BALANCE=on)(ADDRESS=
(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales1-server)(PORT=1521)(ADDRESS=
(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales2-server)(PORT=1521)) (CONNECT_DATA= (SERVICE_NAME=sales.us.example.com)))
インスタンス情報はOracle9i のリスナーに登録されるため、listener.ora
ファイルのSID_LIST_
listener_name
セクションにインスタンス情報を入力する必要はありません。
しかし、Oracle Enterprise Managerには、引き続きlistener.ora
ファイル内の静的な情報が要求されます。Oracle Enterprise Managerを使用してデータベース・オブジェクトを管理する場合は、次のようにlistener.ora
ファイルはデータベースの情報から構成する必要があります。
SID_LIST_listener_name= (SID_LIST= (SID_DESC= (GLOBAL_DBNAME=global_database_name) (ORACLE_HOME=oracle_home) (SID_NAME=sid)))
表B-3 パラメータの説明