ヘッダーをスキップ
Oracle Database Net Servicesリファレンス
11g リリース1(11.1)
E05726-02
  目次
目次
索引
索引

戻る
戻る
 
次へ
次へ
 

B Oracle Net Servicesのアップグレードに関する考慮事項

この付録では、Oracle Net Servicesの共存とアップグレードに関する考慮事項について説明します。ここで説明する項目は、次のとおりです。

B.1 サポート対象外のOracle Net Services機能の概要

次の項では、インターネットに関する構成の決定を簡素化するために、サポート対象外となった機能と構成ファイルについて説明します。

IdentixとSecurIDの認証方式

Oracle Advanced Securityが提供するIdentixまたはSecurID認証を使用している場合は、次の認証方式のいずれかにアップグレードすることをお薦めします。

NDS外部ネーミングとNDS認証

Novell Directory Services(NDS)は、認証方式および外部ネーミング・メソッドとしてサポートされていません。 外部ネーミング・メソッドとしてNDSを使用している場合は、かわりにディレクトリ・ネーミングを使用することをお薦めします。

Net8 OPEN

データベースとデータベース以外の両アプリケーションの開発で、プログラマが使用するApplication Program Interface(API)を提供していたNet8 OPENは、現在ではサポートされていません。

protocol.oraファイル

protocol.oraファイルのパラメータは、sqlnet.oraファイルにマージされました。次のパラメータによって、データベースへのアクセス制御を構成し、TCP/IPバッファのフラッシュを遅延なしに行うことができます。次のパラメータがあります。

protocol.oraファイルが、UNIXの場合は$ORACLE_HOME/network/adminディレクトリに、Windowsの場合は%ORACLE_HOME%\network\adminディレクトリにある場合は、Oracle Net Managerの最初の起動時に、パラメータがsqlnet.oraファイルに自動的にマージされます。

ノード固有のprotocol.oraファイルには、オペレーティング・システム固有のパラメータが含まれている場合があります。 このため、オラクル社では、これらのパラメータをマージまたは追加した後は、sqlnet.oraを別のノードと共有しないことをお薦めします。

事前生成済専用サーバー

事前生成済専用サーバー・プロセスは、サポートされていません。かわりに共有サーバー(以前のマルチスレッド・サーバー)を構成して、拡張性とシステム・リソース使用率を改善します。

プロトコル

SPXまたはLU6.2プロトコルを使用しているプロトコル・アドレスは置き換える必要があります。Oracle Netでは、次のネットワーク・プロトコルをサポートしています。

B.2 サポート対象外のパラメータおよび制御ユーティリティ・コマンド


関連項目:


サポート対象外の構成パラメータおよび制御ユーティリティ・コマンドの詳細は、『Oracle Database Net Servicesリファレンス』を参照してください。

B.3 クライアントとデータベースの共存に関する考慮事項

クライアントおよびデータベース・サーバーは、Oracle Net ServicesまたはNet8のリリースと互換性があることが必要です。 たとえば、Oracle9i クライアントにはOracle Net Servicesのインストールが必要であり、Oracle9i データベースにはOracle Net ServicesとOracle Net Listenerのインストールが必要です。

使用環境のアップグレードが適切かどうかを決定する前に、クライアントとデータベース間の接続に関する次の考慮事項を検討してください。

B.3.1 Oracle9i データベースの接続

Oracle9i またはOracle8データベースへの接続用に作成された接続記述子は、サービス名とSERVICE_NAMEパラメータによってデータベースを識別します。

Oracle9i またはOracle8データベースの接続記述子には、次の例に示すようにSERVICE_NAMEパラメータが使用されます。

sales=
(DESCRIPTION=
  (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
  (CONNECT_DATA=
     (SERVICE_NAME=sales.us.example.com)))

SIDパラメータを使用して現在構成されている接続記述子も使用できます。 ただし、クライアント・ロード・バランスや接続時フェイルオーバーなどの新機能を利用するには、SIDSERVICE_NAMEに置き換えることをお薦めします。

SERVICE_NAMEを使用するように接続記述子を変更するには、「Oracle Net Managerによる互換性問題への対応」で説明するように、Oracle Net Managerの互換性モードを使用します。


関連項目:


SIDではなく、SERVICE_NAMEを使用したデータベースの識別の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

リリース8.0クライアントがOracle9i データベースに接続されている環境では、次の質問について検討してください。

  • 使用しているサードパーティ製のアプリケーションでOracle Net Servicesの機能を使用できるか?

    使用不可です。Oracle Netライブラリを使用できるように、アプリケーションを再構築またはアップグレードする必要があります。

  • リモートOracle9i データベースに接続するには、クライアントにOracle Netが必要か?

    不要です。クライアントをリモートOracle9i データベースに接続する必要がある場合、クライアントでは、Net8 Clientリリース8.0のみを構成する必要があります。ただし、Oracle Net Servicesの新機能は、これらのクライアントでは利用できません。

  • ローカルOracle9i データベースに接続するには、クライアントにOracle Netが必要か?

    不要です。 クライアントではNet8 Clientリリース8.0を、Oracle9i ではOracle NetおよびOracle Net ListenerをそれぞれのOracleホームにインストールする必要があります。

B.3.2 Oracle8i またはOracle7データベースの接続

Oracleリリース8.0またはOracle7データベースの接続記述子には、次の例に示すようにSIDパラメータが使用されます。

sales=
(DESCRIPTION=
  (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
  (CONNECT_DATA=
     (SID=sales)))

また、データベース・サーバーのlistener.oraファイルを、リリース8.0データベースのSIDの記述を使用して構成する必要があります。 次の例では、salesというSIDを持つデータベース・サービスsales.us.example.comのリスナーに対して、リスナーが構成されます。

SID_LIST_listener=
(SID_LIST=
 (SID_DESC=
  (GLOBAL_DBNAME=sales.us.example.com)
  (SID_NAME=sales)))

関連項目:


SIDを使用したデータベースの識別の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

Oracle9i クライアントがリリース8.0データベースに接続している環境では、次の質問について検討してください。

  • リモートOracleリリース8.0データベースに接続するには、クライアントにNet8 Clientリリース8.0が必要か?

    不要です。 クライアントをリモート・リリース8.0データベースに接続する必要がある場合、クライアントでは、Net8 Clientの互換性のあるリリースのみを構成する必要があります。唯一の制限事項は、Oracle Net Servicesで利用できる新機能が、この接続タイプでは利用できない点です。

  • ローカル・リリース8.0データベースに接続するには、クライアントにNet8 Clientリリース8.0が必要か?

    必要です。クライアントではOracle Netを、リリース8.0データベースではNet8 Serverを、それぞれのOracleホームにインストールする必要があります。

B.3.3 Oracle Names

ネットワークの一部または全体をOracle9i にアップグレードする場合は、リージョン内のすべてのOracle Names Serverをバージョン9にアップグレードする必要があります。

  • リリース8.0クライアントは、Oracle Namesバージョン9を使用してサービス名を解決できるか?

    可能です。

  • リリース8.0クライアントは、Oracle Namesバージョン9から戻された接続記述子を使用してOracleバージョン8データベースに接続できるか?

    接続記述子がOracle Namesに正しく入力されていれば、接続は可能です。


    注意:


    今後のリリースでは、Oracle Namesの集中化されたネーミング・メソッドはサポートされません。 Oracle Namesには、今後新しい拡張機能が追加されることはありません。したがって、ディレクトリ・ネーミングを使用するか、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』で説明するように、既存のOracle Names構成をディレクトリ・ネーミングにアップグレードすることを検討してください。

B.4 Oracle Net Managerによる互換性問題への対応

パラメータの中には、Oracle9i とリリース8.1でのみ有効なものがあるため、Oracle Net Managerでは、特定リリースのデータベースに接続するクライアント向けに、tnsnames.oraファイルに適切なパラメータを設定できる2つのオプションが用意されています。表B-1は、これらのオプションの詳細を示しています。

表B-1 Oracle Net Managerオプション

Oracle Net Managerオプション 説明

Net8 8.0クライアントと互換性のあるオプションを使用

1つのクライアントに対し、複数のアドレス・パラメータを構成できます。

このオプションを選択すると、Oracle Connection Managerの接続が必要なリリース8.1以前のクライアントで、SOURCE_ROUTEパラメータを使用できるようになります。

このオプションを選択しない場合は、Oracle9i およびリリース8.1クライアントで、SOURCE_ROUTELOAD_BALANCEおよびFAILOVERパラメータを使用できます。

関連項目: アドレス・リスト・パラメータの構成方法の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

Oracle8リリース8.0互換識別子を使用

接続記述子のCONNECT_DATAセクションに、データベース・リリース固有のパラメータを構成できます。

このオプションを選択すると、リリース8.0またはOracle7データベースのSIDを入力できるようになります。

このオプションを選択しない場合は、Oracle9i またはOracle8データベース・サービス名(SERVICE_NAME)を入力できます。

注意: 「サービスの識別」グループの「詳細」ボタンを選択したときに表示される「詳細サービス・オプション」ダイアログ・ボックスも、このオプションを選択するかどうかによって影響を受けます。 一部の設定は、Oracle9i またはOracle8データベース・サービスへの接続にのみ使用できます。

関連項目: 拡張接続データ・パラメータの構成方法の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。


B.5 Oracle Net Servicesへのアップグレード

SQL*Netリリース2.xからOracle Net Servicesへのアップグレード、あるいはNet8リリース8.0または8.1からのアップグレードを行うには、次のタスクを実行します。

手順1: サービス名とインスタンス名の確認

手順2: データベース・サーバーでのソフトウェア・アップグレード

手順3: クライアントでのソフトウェア・アップグレード

手順4: 機能のアップグレード

B.5.1 手順1: サービス名とインスタンス名の確認

tnsnames.oraファイルのサービスとそのインスタンスを識別する場合は、SERVICE_NAMESおよびINSTANCE_NAMES初期化パラメータが初期化パラメータ・ファイルに設定されていることを確認します。

表B-2 SERVICE_NAMESおよびINSTANCE NAMESパラメータ

パラメータ 説明

SERVICE_NAMES

このインスタンスの接続先であるデータベース・サービスに1つ以上の名前を指定します。複数のサービス名を指定すると、同じデータベースの様々な使用方法を区別できます。次に例を示します。

SERVICE_NAMES = sales.us.example.com, widgetsales.us.example.com

このパラメータに指定する名前をドメインで修飾しない場合、OracleではDB_DOMAINパラメータの値が名前の修飾に使用されます。DB_DOMAINが指定されていない場合は、データ・ディクショナリに現在存在するローカル・データベースのドメインが使用されます。

注意: SERVICE_NAMESパラメータの値は、データベースの実行中にSQL ALTER SYSTEMを使用して動的に変更できます。 このパラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。

INSTANCE_NAME

このインスタンスの一意名を指定します。インスタンス名をOracleシステム識別子(Oracle System Identifier: SID)の値に設定します。


B.5.2 手順2: データベース・サーバーでのソフトウェア・アップグレード

データベース・サーバーでソフトウェアをアップグレードするには、Oracle Universal InstallerからOracle NetとOracle Net Listenerの最新リリースをインストールして、最新の実行可能ファイルを取得します。

システム上でリリース9.2以前のデータベースが検出された場合は、Database Upgrade Assistantを使用してデータベースをアップグレードするよう指示するメッセージが表示されます。インストール時にアップグレードを行わない場合は、後からこのアシスタントをインストールして使用することもできます。

Oracle Universal Installerにより、次のタスクが自動的に実行されます。

  • 古いリスナーの停止

  • リリース9.2のリスナーの開始

B.5.3 手順3: クライアントでのソフトウェア・アップグレード

クライアントでソフトウェアをアップグレードするには、Oracle Universal InstallerからOracle Net Servicesの最新リリースをインストールして、最新の実行可能ファイルを取得します。

B.5.4 手順4: 機能のアップグレード

ソフトウェアをアップグレードした後は、Oracle9i の機能を使用しないかぎり、構成ファイルのアップグレードは必要ありません。新機能を利用するには、次の構成ファイルを検討します。

  • sqlnet.ora

  • tnsnames.ora

  • listener.ora

  • protocol.ora

サポートされていないパラメータや名前が変更されたパラメータを置き換えます。


関連項目:


サポートされていない構成パラメータの詳細は、「サポート対象外のパラメータおよび制御ユーティリティ・コマンド」を参照してください。

B.5.4.1 tnsnames.ora

リリース8.1以上のサービスに接続するには、次の例のように、SIDパラメータをSERVICE_NAMEパラメータで置き換えます。

sales=
(DESCRIPTION=
  (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
  (CONNECT_DATA=
     (SERVICE_NAME=sales.us.example.com)))

複数のアドレスがある場合は、次の例のように、クライアント・ロード・バランスと接続時フェイルオーバーを構成できます。

sales=
(DESCRIPTION=
 (ADDRESS_LIST=
  (FAILOVER=on)
  (LOAD_BALANCE=on)
  (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales1-server)(PORT=1521)
  (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales2-server)(PORT=1521))
  (CONNECT_DATA=
     (SERVICE_NAME=sales.us.example.com)))

関連項目:

  • サービス名および複数のアドレスの機能を構成する方法の詳細は、「Oracle Net Managerによる互換性問題への対応」を参照してください。

  • 複数のアドレスの詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。


B.5.4.2 listener.ora

インスタンス情報はOracle9i のリスナーに登録されるため、listener.oraファイルのSID_LIST_listener_nameセクションにインスタンス情報を入力する必要はありません。

しかし、Oracle Enterprise Managerには、引き続きlistener.oraファイル内の静的な情報が要求されます。Oracle Enterprise Managerを使用してデータベース・オブジェクトを管理する場合は、次のようにlistener.oraファイルはデータベースの情報から構成する必要があります。

SID_LIST_listener_name=
  (SID_LIST=
     (SID_DESC=
        (GLOBAL_DBNAME=global_database_name)
        (ORACLE_HOME=oracle_home)
        (SID_NAME=sid)))

表B-3 パラメータの説明

パラメータ 説明

SID_NAME

インスタンスを識別するOracleシステム識別子(SID)。SIDの値は、初期化パラメータ・ファイルのINSTANCE_NAMEパラメータから取得できます。

GLOBAL_DBNAME

グローバル・データベース名は、データベース名とデータベース・ドメイン名で構成されます。GLOBAL_DBNAME値は、SERVICE_NAMESパラメータ、または初期化パラメータ・ファイルのDB_NAMEおよびDB_DOMAINパラメータから取得できます。

ORACLE_HOME

指定するデータベースのOracleホームの位置を識別します。

注意: この設定はUNIXの場合に必要です。



重要:


Oracle Real Application Clusters環境などで接続時フェイルオーバーまたは透過的アプリケーション・フェイルオーバーを使用している場合は、GLOBAL_DBNAMEパラメータを設定しないことをお薦めします。


関連項目:


サービス情報の構成方法、接続時フェイルオーバーおよび透過的アプリケーション・フェイルオーバー(TAF)の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。