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Oracle Label Security管理者ガイド
11g リリース1(11.1)
E05728-01
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8 ユーザーのラベルおよび権限の管理

この章では、ユーザーのラベルおよび権限をOracle Label Securityパッケージを使用して管理する方法を説明します。 これらの管理には、Oracle Enterprise Manager Database ControlまたはGrid Controlで提供されるWebインタフェースを使用することもできます。 この方法については、第4章「Oracle Label Securityスタート・ガイド」で説明しています。

この章の内容は、次のとおりです。

8.1 ユーザーのラベルおよび権限の管理の概要

ユーザーのラベルと権限を管理するには、SA_USER_ADMINパッケージに対するEXECUTE権限を持ち、policy_DBAロールを付与されている必要があります。

SA_USER_ADMINパッケージには、Oracle Label Securityユーザーのセキュリティ属性を管理するためのファンクションが用意されています。また、ユーザーのレベル、区分およびグループを指定するなど、ユーザー・ラベルをコンポーネント別に管理できるように複数のプロシージャが含まれています。さらに、コンポーネントではなくラベル全体の文字列表現を受け入れるプロシージャもあります。レベル、区分およびグループのパラメータでは、各コンポーネントに対して定義された短縮名が使用されることに注意してください。

すべてのラベルおよび権限情報は、Oracle Label Securityのデータ・ディクショナリ表に格納されます。ユーザーがデータベースに接続すると、Oracle Label Securityのデータ・ディクショナリに格納されている情報に基づいてそのセッション・ラベルが確立されます。

ユーザーを複数のポリシーに基づいて認可できることに注意してください。

8.2 SA_USER_ADMINを使用したコンポーネント別のユーザー・ラベルの管理

次のSA_USER_ADMINプロシージャを使用すると、ユーザー・ラベルをラベル・コンポーネント別に管理できます。

8.2.1 SA_USER_ADMIN.SET_LEVELS

SET_LEVELSプロシージャでは、ユーザーに最小レベルと最大レベルを割り当てて、そのユーザーのセッション・ラベルと行ラベルのデフォルト値を識別します。

  • min_levelがNULLの場合は、ポリシーに定義されている最下位レベルに設定されます。

  • def_levelを指定しない場合は、max_levelに設定されます。

  • row_levelを指定しない場合は、def_levelに設定されます。

構文:

PROCEDURE SET_LEVELS (policy_name IN VARCHAR2,
   user_name        IN VARCHAR2,
   max_level        IN VARCHAR2,
   min_level        IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
   def_level        IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
   row_level        IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

表8-1 SA_USER_ADMIN.SET_LEVELSのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。

max_level

読取りアクセスと書込みアクセスの最上位レベルです。

min_level

書込みアクセスの最下位レベルです。

def_level

デフォルト・レベル(最小レベル以上、かつ最大レベル以下)を指定します。

row_level

行レベル(最小レベル以上、かつデフォルト・レベル以下)を指定します。


8.2.2 SA_USER_ADMIN.SET_COMPARTMENTS

SET_COMPARTMENTSプロシージャでは、ユーザーに区分を割り当てて、そのユーザーのセッション・ラベルと行ラベルのデフォルト値を識別します。

  • write_compsがNULLの場合は、read_compsに設定されます。

  • def_compsがNULLの場合は、read_compsに設定されます。

  • row_compsがNULLの場合は、書込みアクセスが認可されているdef_comps内のコンポーネントに設定されます。

レベルが設定されているユーザーのみが、認可された区分を確立できます。

書込み区分を指定する場合は、読取り区分のサブセットにする必要があります。(書込み区分は、ユーザーが書込みアクセス権を必要とする区分です。)

構文:

PROCEDURE SET_COMPARTMENTS (policy_name IN VARCHAR2,
  user_name     IN VARCHAR2,
  read_comps    IN VARCHAR2,
  write_comps   IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
  def_comps     IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
  row_comps     IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

表8-2 SA_USER_ADMIN.SET_COMPARTMENTSのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。

read_comps

読取りアクセスが認可されている区分のカンマ区切りのリストです。

write_comps

書込みアクセスが認可されている区分のカンマ区切りのリストです(read_compsのサブセット)。

def_comps

デフォルトの区分を指定します。この区分はread_compsのサブセットであることが必要です。

row_comps

行の区分を指定します。この区分は、write_compsおよびdef_compsのサブセットであることが必要です。


8.2.3 SA_USER_ADMIN.SET_GROUPS

SET_GROUPSプロシージャでは、ユーザーにグループを割り当てて、そのユーザーのセッション・ラベルと行ラベルのデフォルト値を識別します。

  • write_groupsがNULLの場合は、read_groupsに設定されます。

  • def_groupsがNULLの場合は、read_groupsに設定されます。

  • row_groupsがNULLの場合は、書込みアクセスが認可されているdef_groups内のグループに設定されます。

レベルが設定されているユーザーのみが、認可されたグループを確立できます。

構文:

PROCEDURE SET_GROUPS (policy_name IN VARCHAR2,
  user_name        IN VARCHAR2,
  read_groups      IN VARCHAR2,
  write_groups     IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
  def_group        IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
  row_groups       IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

表8-3 SA_USER_ADMIN.SET_GROUPSのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。

read_groups

読取りが認可されているグループのカンマ区切りのリストです。

write_groups

書込みが認可されているグループのカンマ区切りのリストです。このグループはread_groupsのサブセットであることが必要です。

def_groups

デフォルトのグループを指定します。このグループは次のサブセットであることが必要です。

read_groups

row_groups

行グループを指定します。このグループは次のサブセットであることが必要です。

write_groupsおよびdef_groups


8.2.4 SA_USER_ADMIN.ALTER_COMPARTMENTS

ALTER_COMPARTMENTSプロシージャは、リストにある各区分について、書込みアクセス、デフォルトのラベル・インジケータおよび行ラベル・インジケータを変更します。

構文:

PROCEDURE ALTER_COMPARTMENTS (policy_name IN VARCHAR2,
  user_name    IN VARCHAR2,
  comps        IN VARCHAR2,
  access_mode  IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
  in_def       IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
  in_row       IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

表8-4 SA_USER_ADMIN.ALTER_COMPARTMENTSのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。

comps

変更する区分のカンマ区切りのリストです。

access_mode

認可するアクセスのタイプを指定できる文字列値を含む、2つのパブリック変数の一方です。変数名、値および意味は次のとおりです。

SA_UTL.READ_ONLY READ_ONLY: 書込みアクセス権がないことを示します。

SA_UTL.READ_WRITE READ_WRITE: 書込みが認可されることを示します。

access_modeがNULLの場合、区分のaccess_modeは変更されません。

in_def

指定した区分がデフォルト区分内にあることが必要かどうか(Y/N)を指定します。

in_defがNULLの場合、区分のin_defは変更されません。

in_row

指定した区分が行ラベル内にあることが必要かどうか(Y/N)を指定します。

in_rowがNULLの場合、区分のin_rowは変更されません。


8.2.5 SA_USER_ADMIN.ADD_COMPARTMENTS

このプロシージャでは、ユーザーの認証に区分を追加し、その区分について、読取りとともに書込みも認可するかどうかを指定します。

構文:

PROCEDURE ADD_COMPARTMENTS (policy_name IN VARCHAR2,
user_name      IN VARCHAR2,
comps          IN VARCHAR2,
access_model   IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
in_def         IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
in_row         IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

表8-5 SA_USER_ADMIN.ADD_COMPARTMENTSのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。

comps

追加する読取り区分のカンマ区切りのリストです。

access_mode

認可するアクセスのタイプを指定できる文字列値を含む、2つのパブリック変数の一方です。変数名、値および意味は次のとおりです。

SA_UTL.READ_ONLY READ_ONLY: 書込みアクセス権がないことを示します。

SA_UTL.READ_WRITE READ_WRITE: 書込みが認可されることを示します。

access_modeがNULLの場合は、SA_UTL.READ_ONLYに設定されます。

in_def

指定した区分がデフォルト区分内にあることが必要かどうか(Y/N)を指定します。

in_defがNULLの場合はYに設定されます。

in_row

指定した区分が行ラベル内にあることが必要かどうか(Y/N)を指定します。

in_rowがNULLの場合はNに設定されます。


8.2.6 SA_USER_ADMIN.DROP_COMPARTMENTS

DROP_COMPARTMENTSプロシージャでは、指定した区分をユーザーの認証から削除します。

構文:

PROCEDURE DROP_COMPARTMENTS (policy_name IN VARCHAR2,
  user_name       IN VARCHAR2,
  comps           IN VARCHAR2);

表8-6 SA_USER_ADMIN.DROP_COMPARTMENTSのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。

comps

削除する区分のカンマ区切りのリストです。


8.2.7 SA_USER_ADMIN.DROP_ALL_COMPARTMENTS

DROP_ALL_COMPARTMENTSプロシージャでは、すべての区分をユーザーの認証から削除します。

構文:

PROCEDURE DROP_ALL_COMPARTMENTS (policy_name IN VARCHAR2,
     user_name IN VARCHAR2);

表8-7 SA_USER_ADMIN.DROP_ALL_COMPARTMENTSのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。


8.2.8 SA_USER_ADMIN.ADD_GROUPS

ADD_GROUPSプロシージャでは、ユーザーにグループを追加し、そのグループについて、読取りとともに書込みも認可するかどうかを指定します

構文:

PROCEDURE ADD_GROUPS (policy_name IN VARCHAR2,
  user_name         IN VARCHAR2,
  groups            IN VARCHAR2,
  access_mode       IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
  in_def            IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
  in_row            IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

表8-8 SA_USER_ADMIN.ADD_GROUPSのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。

groups

追加する読取りグループのカンマ区切りのリストです。

access_mode

認可するアクセスのタイプを指定できる文字列値を含む、2つのパブリック変数の一方です。変数名、値および意味は次のとおりです。

SA_UTL.READ_ONLY READ_ONLY: 書込みアクセス権がないことを示します。

SA_UTL.READ_WRITE READ_WRITE: 書込みが認可されることを示します。

access_modeがNULLの場合は、SA_UTL.READ_ONLYに設定されます。

in_def

指定したグループがデフォルト・グループ内にあることが必要かどうか(Y/N)を指定します。

in_defがNULLの場合はYに設定されます。

in_row

指定したグループが行ラベル内にあることが必要かどうか(Y/N)を指定します。

in_rowがNULLの場合はNに設定されます。


8.2.9 SA_USER_ADMIN.ALTER_GROUPS

ALTER_GROUPSプロシージャは、リストにあるグループごとに、書込みアクセス、デフォルトのラベル・インジケータおよび行ラベル・インジケータを変更します。

構文:

PROCEDURE ALTER_GROUPS (policy_name IN VARCHAR2,
  user_name        IN VARCHAR2,
  groups           IN VARCHAR2,
  access_mode      IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
  in_def           IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
  in_row           IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

表8-9 SA_USER_ADMIN.ALTER_GROUPSのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。

groups

変更するグループのカンマ区切りのリストです。

access_mode

認可するアクセスのタイプを指定できる文字列値を含む、2つのパブリック変数です。変数名、値および意味は次のとおりです。

SA_UTL.READ_ONLY READ_ONLY: 書込みアクセス権がないことを示します。

SA_UTL.READ_WRITE READ_WRITE: 書込みが認可されることを示します。

access_modeがNULLの場合、グループのaccess_modeは変更されません。

in_def

指定したグループがデフォルト・グループ内にあることが必要かどうか(Y/N)を指定します。

in_defがNULLの場合、グループのin_defは変更されません。

in_row

指定したグループが行ラベル内にあることが必要かどうか(Y/N)を指定します。

in_rowがNULLの場合、グループのin_rowは変更されません。


8.2.10 SA_USER_ADMIN.DROP_GROUPS

DROP_GROUPSプロシージャでは、指定したグループをユーザーの認証から削除します。

構文:

PROCEDURE DROP_GROUPS (policy_name IN VARCHAR2,
  user_name   IN VARCHAR2,
  groups      IN VARCHAR2);

表8-10 SA_USER_ADMIN.DROP_GROUPSのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。

groups

削除するグループのカンマ区切りのリストです。


8.2.11 SA_USER_ADMIN.DROP_ALL_GROUPS

DROP_ALL_GROUPSプロシージャでは、すべてのグループをユーザーの認証から削除します。

構文:

PROCEDURE DROP_ALL_GROUPS (policy_name IN VARCHAR2,
  user_name  IN VARCHAR2);

表8-11 SA_USER_ADMIN.DROP_ALL_GROUPSのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。


8.3 SA_USER_ADMINを使用したラベル文字列別のユーザー・ラベルの管理

次のSA_USER_ADMINプロシージャを使用すると、ラベル文字列全体を指定してユーザー・ラベルを管理できます。

8.3.1 SA_USER_ADMIN.SET_USER_LABELS

SET_USER_LABELSプロシージャでは、個々のコンポーネントではなくラベル・セットを使用して、ユーザーのレベル、区分およびグループを設定します。

構文:

PROCEDURE SET_USER_LABELS (
  policy_name      IN VARCHAR2,
  user_name        IN VARCHAR2,
  max_read_label   IN VARCHAR2,
  max_write_label  IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
  min_write_label  IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
  def_label        IN VARCHAR2 DEFAULT NULL,
  row_label        IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

表8-12 SA_USER_ADMIN.SET_USER_LABELSのパラメータ

パラメータ 意味

max_read_label

ユーザーが認可される最大読取りラベルの初期化に使用するラベル文字列を指定します。この文字列は、ユーザーの最大レベル、読取りアクセスが認可される区分およびグループで構成されます。

max_write_label

ユーザーが認可される最大書込みラベルの初期化に使用するラベル文字列を指定します。この文字列は、ユーザーの最大レベル、書込みアクセスが認可される区分およびグループで構成されます。max_write_labelを指定しない場合は、max_read_labelに設定されます。

min_write_label

ユーザーが認可される最小書込みラベルの初期化に使用するラベル文字列を指定します。この文字列にはレベルのみが含まれ、区分やグループは含まれません。min_write_labelを指定しない場合は、ポリシーに定義されている最下位レベルに設定され、区分やグループは含まれません。

def_label

レベル、区分、グループなど、ユーザーのセッション・ラベルの初期化に使用するラベル文字列(max_read_labelのサブセット)を指定します。default_labelを指定しない場合は、max_read_labelに設定されます。

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。

row_label

プログラムの行ラベルの初期化に使用するラベル文字列を指定します。この文字列には、レベル、区分およびグループ、つまりmax_write_labelおよびdef_labelのサブセットが含まれます。row_labelを指定しない場合は、def_labelに設定され、書込みアクセスが認可される区分とグループのみが含まれます。


8.3.2 SA_USER_ADMIN.SET_DEFAULT_LABEL

SET_DEFAULT_LABELプロシージャでは、ユーザーの初期セッション・ラベルを指定のラベルに設定します。

構文:

PROCEDURE SET_DEFAULT_LABELS (
  policy_name  IN VARCHAR2,
  user_name    IN VARCHAR2,
  def_label    IN VARCHAR2);

表8-13 SA_USER_ADMIN.SET_DEFAULT_LABELのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。

def_label

ユーザーのデフォルト・ラベルの初期化に使用するラベル文字列を指定します。このラベルには、読取りアクセスが認可されている区分とグループであれば、どれでも含めることができます。


行ラベルが新規の書込みラベルで支配されていれば、ユーザーはセッション・ラベルを次のように設定できます。

  • 各自の最大ラベル以下で、かつ各自の最小ラベル以上のレベルに設定する。

  • 認可された区分リストにある区分を含むように設定する。

  • 認可されたグループ・リストにあるグループを含むように設定する。(認可グループのサブグループは、認可リストに暗黙的に含まれます。)

行ラベルは、セッション・ラベルのリセットによって得られる新規の書込みラベルで支配される必要があります。この条件に該当しない場合は、SET_DEFAULT_LABELプロシージャが失敗します。

たとえば、現行の行ラベルがS:A,Bで、両方の区分への書込みアクセス権を持っているとします。新規のデフォルト・ラベルをC:A,Bに設定する操作を試みると、SET_LABELプロシージャは失敗します。これは、新規の書込みラベルはC:A,Bとなり、現行の行ラベルを支配しないためです。

この場合にセッション・ラベルを正常にリセットするには、最初に行ラベルをリセット後のセッション・ラベルで支配されるように下位の値にする必要があります。

8.3.3 SA_USER_ADMIN.SET_ROW_LABEL

SET_ROW_LABELプロシージャでは、ユーザーの初期の行ラベルを指定のラベルに設定します。

構文:

PROCEDURE SET_ROW_LABEL (
  policy_name   IN VARCHAR2,
  user_name     IN VARCHAR2,
  row_label     IN VARCHAR2);

表8-14 SA_USER_ADMIN.SET_ROW_LABELのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。

row_label

ユーザーの行ラベルの初期化に使用するラベル文字列を指定します。ラベルには、書込みアクセスが認可されるデフォルト・ラベルからの区分とグループのみを含める必要があります。


ユーザーは、独自に行ラベルを設定できますが、含めることができるのは次の要素のみです。

  • セッション・ラベルのレベル以下で、かつ、ユーザーの最小レベル以上のレベル。

  • ユーザーが書込みアクセス権を持つように認可されているセッション・ラベルからの、区分とグループのサブセット。

ユーザーが行ラベルに無効な値の設定を試みると、操作は許可されず、その行ラベル値は変更されません。

8.3.4 SA_USER_ADMIN.DROP_USER_ACCESS

DROP_USER_ACCESSプロシージャでは、指定したユーザーからOracle Label Securityのすべての認可と権限を削除します。このプロシージャは、コマンドラインから発行する必要があります。

構文:

PROCEDURE DROP_USER_ACCESS (
  policy_name      IN VARCHAR2,
  user_name        IN VARCHAR2);

表8-15 SA_USER_ADMIN.DROP_USER_ACCESSのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

ポリシーを指定します。

user_name

ユーザー名を指定します。


8.4 SA_USER_ADMIN.SET_USER_PRIVSを使用したユーザー権限の管理

SET_USER_PRIVSプロシージャでは、ユーザーに対してポリシー固有の権限を設定します。これらの権限は、現行セッションでは有効になりません。ユーザーの次回のログイン時に有効になります。既存の権限は、すべて新しい権限セットで置き換えられます。権限パラメータの値がNULLの場合は、そのユーザーのポリシーに対する権限が削除されます。

ユーザーにポリシー権限を割り当てるには、SA_USER_ADMINパッケージに対するEXECUTE権限を持ち、policy_DBAロールを付与されている必要があります。

構文:

PROCEDURE SET_USER_PRIVS (
  policy_name     IN VARCHAR2,
  user_name       IN VARCHAR2,
  privileges      IN VARCHAR2);

表8-16 SA_USER_ADMIN.SET_USER_PRIVSのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

既存のポリシーの名前を指定します。

user_name

権限を付与するユーザーの名前です。

privileges

ポリシー固有の権限をカンマで区切って文字列として指定します。


8.5 SA_SESSION.SET_ACCESS_PROFILEを使用したラベルおよび権限の設定

SET_ACCESS_PROFILEプロシージャでは、データベース・セッションのOracle Label Securityでの認可と権限を、指定したユーザーの認証と権限に設定します。(元のユーザーは引き続きPROFILE_ACCESS権限を持つことに注意してください。)

SA_SESSION.SET_ACCESS_PROFILEプロシージャを実行するユーザーは、PROFILE_ACCESS権限を持つ必要があります。ログインしたデータベース・ユーザー(OracleユーザーID)は変わらないことに注意してください。そのユーザーには、指定のユーザーの認証と権限のみが想定されます。これに対して、Oracle Label Securityのユーザー名は変更されます。

この管理プロシージャは、次のように様々なタスクに役立ちます。

構文:

PROCEDURE SET_ACCESS_PROFILE (policy_name IN VARCHAR2
  user_name   IN VARCHAR2);

表8-17 SA_SESSION.SET_ACCESS_PROFILEのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

既存のポリシーの名前

user_name

認可と権限を想定する必要があるユーザーの名前


8.6 SA_SESSION.SA_USER_NAMEを使用したユーザー名の戻し

SA_USER_NAMEファンクションは、SET_ACCESS_PROFILEプロシージャで設定された(またはログイン時に設定された)現行のOracle Label Securityユーザーの名前を戻します。これにより、現行ユーザーの識別情報をOracleログイン名ではなくOracle Label Securityに関連付けて判断できます。

構文:

FUNCTION SA_USER_NAME (policy_name IN VARCHAR2)
RETURN VARCHAR2;

表8-18 SA_SESSION.SA_USER_NAMEのパラメータ

パラメータ 意味

policy_name

既存のポリシーの名前


8.7 Oracle Label Securityビューの使用

この項では、管理者によるユーザー認証と権限の割当ての表示に使用できるビューについて説明します。

8.7.1 すべてのユーザーのセキュリティ属性を表示するビュー: DBA_SA_USERS

DBA_SA_USERSビューには、権限、レベル、区分およびグループに割り当てられた値がすべて表示されます。これは、SA_USER_ADMINコマンドライン・インタフェースを通じてそれぞれの値を入力する方法に対応しています。値は次のとおりです。

USER_PRIVILEGES

MAX_READ_LABEL

MAX_WRITE_LABEL

MIN_WRITE_LABEL

DEFAULT_READ_LABEL

DEFAULT_WRITE_LABEL

DEFAULT_ROW_LABEL

USER_LABELS

MAX_READ_LABEL

MAX_WRITE_LABEL

MIN_WRITE_LABEL

DEFAULT_READ_LABEL

DEFAULT_WRITE_LABEL

DEFAULT_ROW_LABEL

この情報はデータ・ディクショナリ表に格納され、ユーザーのログイン時にセッション・ラベルと行ラベルの設定に使用されます。


注意:

DBA_SA_USERSのUSER_LABELSフィールドは下位互換性のために残され、次のリリースでは削除されます。

8.7.2 ユーザー認証をコンポーネント別に表示するビュー

次のビューには、ラベルの各コンポーネントが個別に表示されます。

表8-19 Oracle Label Securityビュー

ビュー 内容

DBA_SA_USER_LEVELS

ユーザーに割り当てられているレベル、つまり、最小レベル、最大レベル、デフォルト・レベルおよび行ラベルのレベルが表示されます。

DBA_SA_USER_COMPARTMENTS

ユーザーに割り当てられている区分が表示されます。

DBA_SA_USER_GROUPS

ユーザーに割り当てられているグループが表示されます。