Oracle DatabaseのOLAPオプションの主な拡張は次のとおりです。
Oracle Database 11gのOLAPオプションについては、特にデータベースとの統合の深化、キューブ、セキュリティおよびメタデータへのSQLアクセスの強化において、Oracle9iとOracle Database 10gから引き続き開発が進められています。OLAPの機能は、SQLアプリケーションから簡単にアクセス可能です。また、Oracle Database 11gでは、リレーショナルOLAP(ROLAP)の実装のサマリー管理ソリューションとしてキューブを導入しています。
OLAPメタデータの統合
キューブおよびディメンションのメタデータはすべて、Oracleデータベースに格納され、データ・ディクショナリ・ビューで表示されるため、SQLでビジネス・モデル全体を問い合せることができます。データ・ディクショナリを使用してメタデータを格納すると、データベース内の次元モデルが正式に体系化され、メタデータの問合せが大幅に向上し、また、キューブやディメンションのSQLオブジェクト・セキュリティなど新しい機能がサポートされます。
キューブ・ビューとディメンション・ビューの自動メンテナンス
Oracle Database 11gでは、データベース内のすべてのキューブ、ディメンションおよび階層について、リレーショナル・ビューの作成とメンテナンスが自動的に行われます。計算済メジャーをキューブに追加するなど、次元オブジェクトを変更した場合、ビューはただちに再作成され、その変更が反映されます。Oracle Databaseは、新しいCUBE_TABLE
ファンクションを使用して、これらのビューを定義します。これにより、SQLオプティマイザの拡張が可能となります。
キューブ・スクリプト
キューブ・スクリプトは、データのクリア、データのロード、集計、PL/SQLの実行、OLAP DMLの実行など、問合せ用のキューブを準備するコマンドを順序付けしたリストです。多くのアプリケーションでは、キューブ・スクリプトにより、キューブを処理するための手続き型プログラムを使用する必要がなくなります。
コストベースの集計
迅速な更新と均一な問合せのパフォーマンスが、OLAPオプションの2つの特徴です。コストベースの集計により、詳細な事前集計方法を実行してスパースなデータセットを非常に効率よく格納し、双方のパフォーマンスが強化されます。
計算式の構文
OLAP計算式は、SQL分析関数の構文を拡張したものです。この構文は、すでにSQL開発者やDBAによく知られているため、独自のOLAP言語やAPIよりも容易に導入できます。
この構文を使用して、動的に計算されるファクトやメジャーなど、キューブに埋め込まれる計算を定義します。
キューブ・マテリアライズド・ビュー
キューブ・マテリアライズド・ビューは、Oracle Databaseの自動リフレッシュおよびクエリー・リライト機能を使用できるように拡張されたキューブです。
キューブ・マテリアライズド・ビューにより、詳細なリレーショナル表を問い合せるアプリケーションで、OLAPオプションの迅速な更新や問合せの機能を使用できます。サマリー・データが生成されてキューブに格納され、クエリー・リライトにより問合せが自動的にキューブ・マテリアライズド・ビューにリダイレクトされます。アプリケーションの問合せのパフォーマンスが向上します。
オブジェクトおよびデータのセキュリティ
Oracle Database 11gでは、OLAPのキューブおよびディメンションに対してオブジェクト・セキュリティとデータ・セキュリティの両方を導入しています。両方のタイプのセキュリティがデータベースのユーザーとロールに付与されます。
オブジェクト・セキュリティは、標準SQLのGRANT
およびREVOKE
構文を使用して、アナリティック・ワークスペース、キューブ、ディメンションへのアクセスを制御します。
データ・セキュリティは、キューブやディメンションのデータへのアクセスを制御します。ディメンション・メンバー(キー)に対し、グローバルに、または特定のキューブのコンテキストで、SELECT
、INSERT
、UPDATE
およびDELETE
権限を付与することにより、キューブ内のデータへのアクセスを制御します。