Warehouse Builderは、データ・ウェアハウスを設計できる設計ツールでもあります。ターゲット・スキーマには、表、ビュー、ディメンション、キューブなど、データ・ウェアハウスに必要なすべてのデータ・オブジェクトがあります。従来のデータ・ウェアハウスの実装では、通常1つのみのターゲット・スキーマがあり、それはデータ・ウェアハウスのターゲットです。データ・オブジェクト・エディタを使用して、リレーショナルおよびディメンショナルの両方でターゲット・スキーマを設計できます。
この章の内容は次のとおりです。
ターゲット・スキーマを作成するには、表13-1にリストされたディメンション・オブジェクトまたはリレーショナル・オブジェクトのいずれかを作成します。リレーショナル・ターゲット・スキーマまたはディメンション・ターゲット・スキーマを設計できます。この項では、ディメンションという用語は、通常のディメンションおよび緩やかに変化するディメンション(SCD)の両方を指します。
リレーショナル・ターゲット・スキーマは、表、ビュー、マテリアライズド・ビューおよび順序などのリレーショナル・データ・オブジェクトを含むターゲット・スキーマです。すべてのウェアハウスのデータはこれらのオブジェクトに格納されています。
リレーショナル・ターゲット・スキーマを設計する手順は、次のとおりです。
ターゲット・スキーマのオブジェクトを含めるOracleモジュールを作成します(まだ作成していない場合)。このモジュールに関連付けられたロケーションがこのターゲット・スキーマを指すことを確認します。
リレーショナル・データ・オブジェクトを作成します。
作成できるリレーショナル・オブジェクトには、表、ビュー、マテリアライズド・ビューおよび順序などがあります。制約、索引およびパーティションなどのリレーショナル・オブジェクトに関する追加構造を作成できます。すでに既存のターゲット・オブジェクトをインポートしている場合があります。追加のデータ・オブジェクトを作成するには、「Oracleデータ・オブジェクトの定義」を参照してください。
この手順で作成するのはワークスペース内のオブジェクトの定義のみであることに注意してください。ターゲット・スキーマ内にオブジェクトを作成するために、これらのオブジェクトを配布する必要があります。
データ・オブジェクトを構成します。
この手順では、データ・オブジェクトの物理プロパティを設定します。たとえば、表を作成する必要のある表領域の名前を指定します。各データ・オブジェクトにはデフォルトの構成プロパティがあります。これらのデフォルト値の変更を選択できます。
「データ・オブジェクトの構成」を参照してください。
データ・オブジェクトの検証
メタデータ定義およびデータ・オブジェクトの構成プロパティが検証されます。検証中に発生したエラーは修正します。
「データ・オブジェクトの検証」を参照してください。
ターゲット・スキーマ内にこれらのデータ・オブジェクトを作成するコードを生成します。
手順2で作成されたデータ・オブジェクトをターゲット・スキーマに作成するために必要なコードが生成されます。
「データ・オブジェクトの生成」を参照してください。
ディメンション・ターゲット・スキーマでは、ディメンション・オブジェクトを使用してデータ・ウェアハウスのデータを格納します。ディメンション・オブジェクトには、ディメンションとキューブがあります。ディメンション・オブジェクトにより、ターゲット・スキーマの視覚化が、表を重視する環境から、よりビジネスに焦点を当てた環境に変換されます。これは、複雑な分析の問合せに対し、高速で効果的な答えを得るのに役立ちます。
ディメンション・ターゲット・スキーマを設計する手順は、次のとおりです。
ディメンション・オブジェクトを含めるOracleモジュールを作成します(まだ作成していない場合)。このモジュールに関連付けられたロケーションがこのターゲット・スキーマを指していることを確認します。
ターゲット・スキーマに必要なディメンションを作成します。
「ディメンションの作成」を参照してください。
時間ディメンションを作成します。
データ・ウェアハウスでは、広範囲に時間ディメンションを使用して一時データを格納します。「時間ディメンションの作成」を参照してください。
ターゲット・スキーマに必要なキューブを作成します。
「キューブの作成」を参照してください。
ディメンションおよびキューブを構成します。
手順2、3および4で作成したディメンション・オブジェクトを構成してこれらのオブジェクトの物理プロパティを設定します。デフォルトのプロパティをそのまま使用するか、または変更します。
「データ・オブジェクトの構成」を参照してください。
ディメンションおよびキューブを検証します。
この手順では、メタデータ定義および手順2、3および4で作成したディメンション・オブジェクトの構成プロパティを検証します。エラーが検出された場合は修正します。
「データ・オブジェクトの検証」を参照してください。
ターゲット・スキーマ内にこれらのディメンションおよびキューブを作成するコードを生成します。
「データ・オブジェクトの生成」を参照してください。
注意: ディメンション・オブジェクトの定義で作成されるのは、ワークスペース内のオブジェクトの定義のみです。ターゲット・スキーマ内にオブジェクトを作成するには、これらのオブジェクトを配布する必要があります。 |
構成により、データ・オブジェクトの物理的な特性が定義されます。たとえば、表領域を定義して、表の構成内に性能パラメータを設定できます。または、ディメンション・オブジェクトの実装タイプを指定できます。配布前であればいつでも、オブジェクトの構成を変更できます。
同じオブジェクト・セットに対して複数の構成を定義できます。この機能は、テスト環境や本番環境など、複数の環境に配布する場合に便利です。
関連項目: Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイドの「追加構成の作成」 |
すべてのオブジェクトには、デフォルトで選択された「配布可能」パラメータが指定されています。オブジェクトの配布を避けるには、このパラメータをクリアします。
データ・オブジェクト・エディタまたはプロジェクト・エクスプローラを使用してオブジェクトを構成できます。データ・オブジェクト・エディタを使用してオブジェクトを構成するには、エディタの「構成」パネルを使用します。このパネルには、キャンバス上で選択された現在のオブジェクトの構成の詳細が表示されます。ドリルダウンし、「エクスプローラ」パネルの「選択したオブジェクト」タブにある表の索引を使用して、構成の詳細を参照します。
プロジェクト・エクスプローラを使用してオブジェクトを構成するには、次の手順を実行してください。
プロジェクト・エクスプローラで、該当するオブジェクトを選択して「構成」アイコンをクリックします。
または
オブジェクトを右クリックして、「構成」を選択します。
「構成プロパティ」ダイアログ・ボックスが表示されます。
パラメータを選択すると、その説明が右側のパネルの下に表示されます。
変更内容を入力して「OK」をクリックします。
検証とは、メタデータ定義および構成パラメータを検証するプロセスです。これらの定義は、スクリプトの生成および配布に進む前に検証する必要があります。
Warehouse Builderにより一連の検証テストが実行され、データ・オブジェクト定義が完全であることとスクリプトが生成および配布可能であることが確認されます。これらのテストが完了すると、結果が表示されます。Warehouse Builderを使用してオブジェクト・エディタを開き、続行する前に、すべての無効なオブジェクトに修正を加えることができます。スタンドアロン操作であることに加えて、オブジェクトを生成または配布するときに検証が暗黙的に実行されます。
潜在的な問題を検出し、発生に応じて問題に対応するために、データ・オブジェクト定義の作成後と、配布するオブジェクトの構成後という2段階で検証できます。この場合、配布するオブジェクトの構成後の方が、オブジェクト定義の作成後よりも検証が広範になります。
ヒント: 発生に応じて問題を解決するために、オブジェクトは作成および構成時に検証してください。設計の検証時と構成の検証時には同じエラー・チェック・プロセスが実行されます。 |
オブジェクトの定義後にオブジェクトを検証する場合、設計したオブジェクトのメタデータ定義にエラーがあるかどうかがチェックされます。たとえば、表を作成する場合、その列を定義する必要があります。このオブジェクトの検証時には、表のすべてのコンポーネントが定義されているかどうかが検証されます。これらのコンポーネントが欠落している場合、検証結果ウィンドウに検証メッセージが表示されます。
オブジェクトの構成後にオブジェクトを検証する場合、オブジェクトを問題なく生成および配布可能かどうかを確認するために、メタデータ定義にエラーがあるかどうかが再チェックされ、構成パラメータがチェックされます。
1つのオブジェクトを検証することも、同時に複数のオブジェクトを検証することも可能です。モジュールやプロジェクトなどのオブジェクトを含むオブジェクトも検証できます。この場合、そのオブジェクトに含まれるすべてのデータ・オブジェクトが検証されます。プロジェクト・エクスプローラまたはデータ・オブジェクト・エディタを使用してデータ・オブジェクトを検証します。
オブジェクトを検証すると、Warehouse Builderにより、検証の結果を示す検証結果ウィンドウが表示されます。このダイアログ・ボックスの詳細は、「ヘルプ」をクリックし、次に「トピック」をクリックします。
プロジェクト・エクスプローラを使用したデータ・オブジェクトの検証
プロジェクト・エクスプローラで、データ・オブジェクトを選択して「検証」アイコンをクリックします。オブジェクトの選択時に、[Ctrl]キーを押したままにすると複数のファイルを選択できます。
または
プロジェクト・エクスプローラで、1つのまたは複数のデータ・オブジェクトを選択します。複数のオブジェクトを選択するには、オブジェクトの選択中に[Ctrl]キーを押し続けます。データ・オブジェクトを右クリックし、「検証」を選択します。複数のオブジェクトを選択した場合は、右クリックするときに[Ctrl]を押し続けていることを確認します。
データ・オブジェクト・エディタを使用したデータ・オブジェクトの検証
データ・オブジェクト・エディタのキャンバス上でデータ・オブジェクトを表すアイコンを右クリックし、「検証」を選択します。
または
キャンバス上のオブジェクトを選択し、「検証」アイコンをクリックするか、または「オブジェクト」メニューから「検証」を選択します。
データ・オブジェクトを生成すると、Warehouse Builderにより、ターゲット・スキーマ内にデータ・オブジェクトを作成するために必要なコードが生成されます。Warehouse Builderにより、次のようなタイプのスクリプトが生成されます。
DDLスクリプト: データベース・オブジェクトを作成または削除します。
SQL*Loader制御ファイル: ファイル・ソースからデータを抽出およびトランスポートします。
ABAPスクリプト: SAPシステムからデータを抽出およびロードします。
生成されたスクリプトを表示し、ファイル・システムにそれらのスクリプトを格納することもできます。
データ・オブジェクトのコードを生成すると、Warehouse Builderにより、最初にオブジェクトが検証され、次にコードが生成されます。検証の手順はスキップして、直接データ・オブジェクトのコードを生成する場合もあります。ただし、オブジェクトを生成する前にオブジェクトを検証することをお薦めします。これを実行することにより、コードが生成される前に、データ・オブジェクト定義内のエラーを検出して修正できます。
プロジェクト・エクスプローラまたはデータ・オブジェクト・エディタを使用してデータ・オブジェクトのコードを生成します。オブジェクトを生成すると、Warehouse Builderにより、生成結果を示す生成結果ウィンドウが表示されます。このウィンドウの詳細は、「ヘルプ」をクリックし、次に「トピック」をクリックします。
プロジェクト・エクスプローラを使用したデータ・オブジェクトの生成
単一のデータ・オブジェクトを生成するには、データ・オブジェクトを選択して「生成」アイコンをクリックします。または、データ・オブジェクトを右クリックして「生成」を選択します。
複数のオブジェクトに対してコードを生成するには、[Ctrl]キーを押しながら複数のオブジェクトを選択し、「生成」アイコンをクリックします。または[Ctrl]キーを押したままで、データ・オブジェクトを選択し、右クリックして「生成」を選択します。
データ・オブジェクト・エディタを使用したオブジェクトの生成
オブジェクトを右クリックして「エディタを開く」を選択することにより、そのデータ・オブジェクトのデータ・オブジェクト・エディタを開きます。キャンバスにデータ・オブジェクトを表すノードが表示されます。
キャンバス上の「データ・オブジェクト」ノードを右クリックし、「生成」を選択します。
または
キャンバス上の「データ・オブジェクト」ノードを選択します。「生成」アイコンをクリックするか、または「オブジェクト」メニューから「生成」を選択します。