この章では、Oracle Designerなどのサード・パーティの設計ツールによる設計定義の統合方法を説明します。
この章には、次の項目が含まれます。
Oracle Designerリポジトリに接続するソース・モジュールを作成できます。アプリケーションの定義をOracle Designerリポジトリに格納して管理すると、アプリケーションへの接続の所要時間が短縮されます。
Designer 6i/9iリポジトリでは、ワークエリアを使用してオブジェクトのバージョンが制御されます。ワークエリアを選択することで、リポジトリ・オブジェクトのバージョンを指定できます。Designer 6i/9iで、オブジェクトをワークエリア内のコンテナ要素にグループ化することもできます。コンテナ要素にはオブジェクトのネームスペースの定義と所有権が格納されており、他のユーザーに所有されているオブジェクトも参照できます。Designer 6i/9iのコンテナ要素はワークエリアにより制御されるため、バージョン制御機能があります。ワークエリアとコンテナ要素の詳細は、Designer 6i/9iのマニュアルを参照してください。
Designer 6i/9iのワークエリアまたはコンテナ要素の参照可能なオブジェクトはすべて、データ・ソースとして使用できます。Designer 6i/9iのオブジェクトをソースとして選択する手順は、次のとおりです。
ワークエリアを指定します。
ワークエリア内のコンテナ要素を指定します。
モジュール・エディタにより、接続しているDesignerのバージョンが検出されます。Designer 6i/9iが検出された場合は、「メタデータのロケーション」タブに「ワークエリア」および「コンテナ要素」という2つのリストが表示されます。ワークエリアを選択すると、そのワークエリア内のコンテナ要素が「コンテナ要素」リストに表示されます。
インポート可能なリポジトリ・オブジェクトのリストは、次の基準で決定されます。
オブジェクト・タイプがWarehouse Builderでサポートされている必要があります(表、ビュー、順序およびシノニム)。
オブジェクトは、指定のワークエリアからアクセス可能である必要があります。この基準により、アクセスされるオブジェクトのバージョンが判別されます。
オブジェクトは、指定のコンテナ要素内で参照可能である必要があります。リストには、指定のコンテナ要素の所有オブジェクトと、所有オブジェクトではないが共有されている他のオブジェクトが表示されます。
Designer 6i/9iのソースから定義をインポートするには、データベースからの定義のインポートに示す手順に従う必要があります。
Designer 6i/9iのソース・モジュールを作成する手順は、次のとおりです。
データベース・ソース・モジュールを作成します。
新規に作成したモジュールの名前をダブルクリックしてモジュール・エディタを開きます。
「メタデータのロケーション」タブで、ソース・タイプとして「Oracle Designerリポジトリ」を選択します。Designerオブジェクトが格納されているデータベースのロケーションを選択することもできます。
ソース・タイプとして「Oracle Designerリポジトリ」を選択した場合、「ワークエリア」および「コンテナ要素」の2つのリストが「メタデータのロケーション」タブに表示されます。
ワークエリアからDesigner 6i/9iオブジェクトを選択し、特定のコンテナ要素を選択します。
注意: ソースとして指定するデータベースには、Designer 6i/9iオブジェクトが格納されている必要があります。格納されていないと、「ワークエリア」リストと「コンテナ要素」リストが空になります。 |
「OK」をクリックします。
関連情報は、次の項を参照してください。
シナリオ
ある映画レンタル会社では、様々なベンダーが提供するツールを使用して、データのモデリング、抽出、変換、ロード(ETL)およびレポートの作成を行っています。様々な種類のツールを使用しているため、この会社では、複数のメタデータの統合の問題が発生しています。1つのツールを使用して作成された設計作業が、他には完全に統合されない、または再利用できないという問題が頻繁に発生しています。この会社は、1つのツールを使用して、すべてのメタデータ設計およびETLプロセスを合理化および統合する方法を見つける必要があります。
解決策
Warehouse Builderにより、この会社は様々なツールによるメタデータ設計をインポートおよび統合し、かつ1つのツールのみ使用してデータのモデリングおよびETL用にこのメタデータ設計を使用できます。Warehouse Builderでは、Meta Integration Technology Inc.(MITI)の緊密な統合技術を使用して、メタデータをインポートし、他のサード・パーティのツールにより設計されたデータ・モデルを再利用します。
この事例では、Warehouse Builder内のCA ERwinを使用して、開発された設計ファイルを簡単にインポートする方法を示します。1つのツールを使用して、メタデータを再利用しETLを設計およびレポートを作成できます。Sybase社のPowerDesignerおよびBusiness Objects Designerなどの他のツールからファイルをインポートするためにこのモデルに従うことができます。
事例
この事例では、映画レンタル会社がERwinデータ・モデル設計をWarehouse Builderに移行する方法について説明します。また、ERwinデータ・モデルを使用して他のサード・パーティからの設計をインポートし、主要な表領域で設計メタデータを一元化できます。次の手順に従います。
Warehouse Builderの転送ウィザードを使用して、ERwinメタデータをWarehouse Builderにインポートします。
CA ERwinからメタデータをダウンロード
CA ERwinからローカル・システムに設計メタデータをダウンロードします。
Meta Integration Model Bridgeのインストール
Warehouse Builderを使用すれば、Meta Integration Model Bridges(MIMB)と統合できます。MIMBは独自のメタデータのファイルおよびリポジトリを標準CWMフォーマットに変換し、Warehouse Builderの転送ウィザードを使用してWarehouse Builderにインポートできます。様々な設計ツールからWarehouse Builderにファイルをインポートするには、最初にMIMBライセンスを取得してから、システムにMIMBをインストールする必要があります。インストールを行うには、次の手順に従います。
MIMBをダウンロードする手順は、次のとおりです。
次のWebサイトからModel Bridge製品をダウンロードします。
システム上でセットアップを実行してMIMBをインストールします。
インストール中に、Setup Typeページでインストール・タイプとして「Typical with Java Extensions」を選択します。
コンピュータ上のJDKがセットアップ・プログラムで検出されない場合は、JNIライブラリのディレクトリ・パス名を入力してください。PATH環境変数にはmetaintegration
ディレクトリが含まれている必要があります。含まれていない場合は、次のパスに追加してください。
c:¥program files¥metaintegration¥win32
CA ERwinデータからのMDLファイルの作成
Warehouse Builderを使用してCA ERwinからMDLファイルを作成します。
MIMB製品をインストールした後、これらの手順に従ってERwinおよび他のサード・パーティの設計ツールからMDLファイルを作成します。
プロジェクト・エクスプローラから、メタデータのインポート先の「プロジェクト」ノードを選択して開きます。この例では、ERwinファイルはMY_PROJECT
にインポートされます。
「設計」メニューから、「インポート」、「ブリッジ」を選択し、Warehouse Builderの転送ウィザードを開始します。
このウィザードは、MITI技術と緊密に統合してサード・パーティのメタデータを標準CWMフォーマットに変換し、Warehouse Builderにインポートします。ウィザードに従ってインポートを実行します。
メタデータ・ソースとターゲットの識別ページで、「ソース」フィールド内の「CA ERwin 4.0 SP1から4.1へ」を選択します。
転送パラメータの識別ページで、「Erwin4入力ファイル」フィールド内でのERwinファイルのロケーションを示すパスを指定します。この例では、会社はERwinからEmovies.xml
ファイルをインポートする必要があります。
他のすべてのフィールドについては、デフォルトのオプションを使用します。
「OWBプロジェクト」フィールドで、ERwinファイルのインポート先のWarehouse Builderプロジェクトを入力します。「Warehouse Builder MDL」フィールドで、名前を入力し、生成される.mdlファイルを格納するロケーションを選択します。
ウィザードの残りの手順を完了し、インポート・プロセスを終了します。
Warehouse BuilderへのMDLファイルのインポート
CA ERwinファイルからWarehouse BuilderにメタデータをインポートするためにMDLファイルをインポートします。MDLファイルをインポートする手順は、次のとおりです。
MY_PROJECTを選択し、「設計」メニューから「インポート」、「Warehouse Builderメタデータ」を選択して、「メタデータのインポート」ダイアログ・ボックスを開きます。
「ファイル名」フィールドで、「CA ERwinデータからのMDLファイルの作成」の項で生成したmdl
ファイルの名前を指定します。
「インポート」をクリックしてWarehouse Builderにメタデータをインポートします。
メタデータ・ファイルのバージョンとワークスペースのバージョンで互換性がない場合は、メタデータのアップグレード・ウィンドウが表示されます。「アップグレード」をクリックして.mdl
ファイルを更新します。
Warehouse BuilderへのERwinファイルのインポートが終了した後に、「MY_PROJECT」フォルダ、「データベース」ノード、「Oracle」ノードの順に開きます。図5-2に示すように、インポート済のソース・メタデータ・オブジェクトを表示できます。
表名をダブルクリックし、各表のプロパティを表示します。図5-3に示すように、Warehouse Builderにより、表の列と制約に関する説明および詳細情報を含むすべてのメタデータがインポートされます。
映画レンタル会社の設計者は、これらのソース表を使用して、Warehouse Builder内のETL設計のモデル化、ETLコードの生成、ETL設計のレポート作成を実行します。さらに、Warehouse Builderを使用して、すべての散在したサード・パーティの設計メタデータを簡単にインポートし、それらすべての設計および開発の成果を一元化できます。