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Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド
11gリリース1(11.1)for Microsoft Windows and UNIX Systems
E05735-03
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10 バージョンと履歴の管理

Warehouse Builderには、バックアップ、履歴管理およびバージョン管理の目的でメタデータをコピーおよび移動する方法が複数用意されています。ユーザーは、メタデータのスナップショットを取得する方法と、メタデータ・ローダー(MDL)ユーティリティを使用する方法のどちらでも利用できます。

注意: 第3の方法としてトランスポータブル・モジュールを使用する方法がありますが、これにはWarehouse Builder Enterprise ETLオプションのライセンスが必要です。詳細は、第12章「トランスポータブル・モジュールによる大量のデータの移動」を参照してください。

スナップショットを取得する方法では、プロジェクト・エクスプローラで作成した設計オブジェクトのメタデータ定義を取得できます。プロジェクト内のすべての設計オブジェクトを取得することも、スナップショットに含めるオブジェクトをプロジェクトから選択することもできます。

メタデータ・ローダー・ユーティリティを使用する方法では、リポジトリにあるすべてのタイプのメタデータ・オブジェクトをコピーしたり移動したりできます。このユーティリティでは、オペレーティング・システムが異なるプラットフォーム上のOracle Databaseリポジトリ間でメタデータを移動できます。

どちらの方法でも、サード・パーティ製バージョン管理ツール(Oracle Repository、ClearCase、SourceSafeなど)にメタデータをエクスポートできます。

この章では、次の項目について説明します。

スナップショットとメタデータ・ローダーの比較

スナップショットとメタデータ・ローダー・ユーティリティの機能は重複するため、状況によってはどちらを使用すべきか迷う場合があります。一般的には、スナップショットは、設計が段階的に進行する過程で発生する変更を追跡管理する開発チームのニーズに重点が置かれています。一方、メタデータ・ローダーは、リポジトリのバックアップ、リストアおよび移行を行う従来型管理作業に役立つようになっています。

最も重要な点は、スナップショットとメタデータ・ローダーでは処理対象のオブジェクトの対象範囲が異なるという点にあります。スナップショットの処理対象は、ユーザーがプロジェクト・エクスプローラで作成した設計オブジェクトにのみ制限されます。一方、メタデータ・ローダーでは、ロケーションとセキュリティ関連の情報およびすべての設計オブジェクトを含めて、リポジトリ内のすべてのオブジェクトが処理されます。

2つのツール間の重要な相違点の一覧は、表10-1を参照してください。

表10-1 スナップショットとメタデータ・ローダーの比較

機能 スナップショット メタデータ・ローダー

対象範囲

プロジェクト・エクスプローラ内のオブジェクトに関連するメタデータのみを取得します。マッピング、プロセス・フローおよびその他の設計オブジェクトのメタデータを取得します。ロケーション、セキュリティおよびユーザー定義オブジェクトに関する情報は取得しません。

ロケーション、セキュリティおよびユーザー定義オブジェクトに関する情報とすべての設計オブジェクトを含めて、リポジトリ関連のメタデータをすべて取得します。

出力

FULLスナップショットを作成し、そこからオブジェクトをリストアできます。または、SIGNATUREスナップショットを作成し、変更を追跡できます。SIGNATUREスナップショットは必要なディスク領域容量は少ないですが、オブジェクトのリストアはできません。どちらのタイプのスナップショットもOracle Databaseに格納されます。

メタデータ・ローダーは、エクスポート時に、拡張子が.mdlのZIPファイルを作成します。この出力を使用して、リポジトリをリストアするか、または別のOracle Databaseに新しいリポジトリを移入できます。

バージョン管理ツールとの統合

出力をファイルとして保存し、そのファイルをバージョン管理ツールにエクスポートできます。

MDLファイルをバージョン管理ツールにエクスポートできます。GUIを使用する場合は、対象オブジェクトをバージョン管理ツールに渡す前に、MDLファイルを抽出する必要があります。OMB Plusスクリプト言語を使用する場合は、「メタデータ・ローダーの制御ファイルについて」の説明にあるように、ZIPFILEFORMAT=Nを設定します。

互換性

スナップショットは、Warehouse Builderの異なるリリース間で互換性はありません。

MDLファイルは、Warehouse Builderの新しいリリースに対して上位互換性があります。以前のリリースのMDLファイルをインポートするときに、メタデータが新しいリリースに自動的にアップグレードされます。

オブジェクトのロック


インポートするには、メタデータ・ローダーではすべてのプライマリ・オブジェクトに対するロックを取得する必要があります。必要なロックを使用できない場合、インポートは失敗し、すべての変更がロールバックされます。

比較

ユーザー・インタフェースでコマンドを実行することで、スナップショットを比較できます。

サード・パーティ製diffツールを使用して、MDLファイルを比較できます。


スナップショットについて

スナップショットを使用すると、メタデータのバックアップやリストアを実行したり、メタデータの変更履歴を保持できます。また、異なるバージョンのメタデータを比較できます。

スナップショットにより、選択したオブジェクトとそれらの関係について、特定の時点におけるすべてのメタデータ情報が取得されます。オブジェクトがワークスペース内で保持できる定義は現行のもののみですが、異なる時点の複数のスナップショットにより、それぞれの時点での定義を保持できます。Warehouse Builderでは、次のタイプのスナップショットがサポートされています。

スナップショットはOracle Databaseに格納されますが、メタデータ・ローダーのエクスポートは別個のディスク・ファイルに格納されます。ただし、スナップショットをディスク・ファイルにエクスポートすることもできます。

スナップショットは、ウェアハウスの管理者と設計者の両方が使用することができます。管理者は、FULLスナップショットを使用することで、ウェアハウスを配置したり、ウェアハウスを以前の特定の時点にリストアしたりするなど、大規模な操作を実行できます。設計者は、開発中の特定のコンポーネントのFULLスナップショットを作成することで、必要に応じて、そのコンポーネントを以前の状態にリストアできます。また、設計者は、SIGNATUREスナップショットを使用することで、特定のコンポーネントに対する変更を追跡できます。

MDLメタデータ・インポートや影響分析などの他の機能とスナップショットを併用することで、メタデータの管理に役立てることができます。たとえば、スナップショットを使用して、現行のメタデータ・ワークスペースに対するMDLメタデータ・インポートの影響を調べることができます。この比較によって判明した情報に基づいて、メタデータをより詳細度の低いレベルでインポートすれば、関連するメタデータ・オブジェクトの定義が上書きされるのを防止できます。

また、スナップショットはごみ箱機能としても使用され、削除されたメタデータ・オブジェクトのリストアに必要な情報を提供します。

この章では、グラフィカル・ユーザー・インタフェースによるメタデータ変更管理機能について説明します。スクリプトによるスナップショットの作成および管理の詳細は、『Oracle Warehouse Builder API and Scripting Reference』を参照してください。

スナップショットの作成

スナップショットを取得するときは、ワークスペースにある特定のオブジェクトやすべてのオブジェクトの特定の時点におけるメタデータを取得します。このスナップショットを使用して、メタデータ内の変更を検出してレポートできます。

プロジェクト・エクスプローラからアクセスできるオブジェクトのスナップショットを作成できます。

コレクションのスナップショットは、コレクション内のショートカット自体のスナップショットではなく、実際のオブジェクトのスナップショットになることに注意してください。

スナップショット作成ウィザードの起動

スナップショット作成ウィザードを起動してスナップショットを作成する手順は次のとおりです。

  1. プロジェクト・エクスプローラで、スナップショットに含めるすべてのコンポーネントを選択します。親オブジェクトまたは子オブジェクトはウィザードにより自動選択されるため選択不要です。

    たとえば、2つのキューブが含まれるコレクションを選択した場合、スナップショットには両方のキューブが含まれ、ディメンション表やソース表などの任意の依存オブジェクトを含めるオプションがあります。

  2. 右クリックして、「スナップショット」→「新規」を選択します。

    または

    「設計」メニューから、「スナップショット」→「新規」を選択します。

  3. 「名前」ページで、スナップショットの名前とタイプを指定します。

    オプションとして説明を入力することもできます。

  4. 次へ」をクリックして、ウィザードの「コンポーネント」ページを開きます。

    スナップショットの取得対象コンポーネントがページに表示されます。コンポーネントがモジュールなどのノード・レベルのオブジェクトの場合は、「カスケード」オプションを選択してサブコンポーネントを含めます。

  5. 「依存性」ページで依存性の深度を指定し、スナップショットに依存オブジェクトを含めます。

  6. 次へ」をクリックして「終了」ページを表示し、作成するスナップショットの詳細を確認します。

  7. 終了」をクリックして、スナップショットを作成します。

スナップショットへのコンポーネントの追加

スナップショットの作成後に、コンポーネントを追加できます。ただし、コンポーネントを追加すると、スナップショットにより提供される履歴レコードが変更され、その作成日付が変わることに注意してください。

スナップショットを更新するには、スナップショットへの追加ウィザードを使用します。

スナップショットへの追加ウィザードの起動

スナップショットへの追加ウィザードを起動して新しいコンポーネントを追加する手順は次のとおりです。

  1. デザイン・センターのプロジェクト・エクスプローラで、スナップショットに追加するコンポーネントをすべて選択します。たとえば、Oracleモジュールから表、マッピングおよびディメンションを選択できます。

  2. 「設計」メニューから、「スナップショット」→「既存へ追加」を選択します。

    または

    右クリックして、「スナップショット」→「既存へ追加」を選択します。

    スナップショットへの追加ウィザードの「ようこそ」ページが表示されます。「ようこそ」ページには、このウィザードの手順が表示されます。

  3. 次へ」をクリックします。

    「スナップショット」ページが表示されます。リストから、コンポーネントの追加先スナップショットを選択します。

  4. 次へ」をクリックします。

    「コンポーネント」ページが表示されます。スナップショットに追加されるコンポーネントがページに表示されます。コンポーネントがモジュールなどのフォルダ・レベルのオブジェクトの場合は、「カスケード」オプションを選択してサブコンポーネントを含めます。

  5. 次へ」をクリックします。

    「終了」ページに、追加されるコンポーネントの詳細が表示されます。

  6. 終了」をクリックして、コンポーネントをスナップショットに追加します。

スナップショットの管理

作成したスナップショットは、デザイン・センターの「メタデータ変更管理」ウィンドウを使用して管理できます。このウィンドウを開くには、「ツール」メニューから「変更マネージャ」を選択します。

「メタデータ変更管理」ウィンドウには、メニュー・バーとツールバーがあります。ほとんどのタスクは、メニューの使用、ツールのクリック、スナップショットやコンポーネントの右クリックなど、複数の方法により開始できます。

「メタデータ変更管理」ウィンドウからは、次の作業を実行できます。

図10-1に、「メタデータ変更管理」ウィンドウを示します。

図10-1 「メタデータ変更管理」ウィンドウ

「メタデータ変更管理」ウィンドウ
「図10-1 「メタデータ変更管理」ウィンドウ」の説明

スナップショットにアクセスする権限の管理

スナップショットへのアクセスは、他のオブジェクトと同様の方法で制御できます。デフォルトでは、スナップショットへの完全なアクセス権限が、すべてのユーザーに付与されます。

アクセス権限を変更する手順は次のとおりです。

  1. 「メタデータ変更管理」ウィンドウの左側のセクションで、スナップショットの名前を右クリックします。

  2. メニューから「セキュリティ」をクリックします。

    「スナップショット権限管理」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. それぞれのロールおよびユーザーに対して、権限を選択して付与するか、権限を選択解除して取り消します。詳細を表示するには、「ヘルプ」をクリックします。

スナップショットの比較

2つのスナップショットを比較したり、スナップショットと現行のワークスペース・オブジェクトを比較したりできます。結果には、すべてのオブジェクトが一覧表示され、両方で同一のオブジェクト、片方にのみ存在するオブジェクト、両方に存在するが同一でないオブジェクトが判別されます。

スナップショットに親オブジェクトと子オブジェクトの変更が取得されている場合、スナップショットを比較すると、親オブジェクトが変更されたものとして表示されます。たとえば、プロジェクトのカスケード・スナップショットを作成すると、そのプロジェクト内のすべてのモジュールが子になります。これらのモジュールが変更された場合、スナップショットとワークスペースの比較結果には、プロジェクトの変更が示されます。

メタデータの「変更マネージャ」は、すべての比較のベースとしてユニバーサル・オブジェクトID(UOID)が使用されます。オブジェクトを削除して同じメタデータを持つオブジェクトを再作成した場合、再作成したオブジェクトはUOIDが異なります。たとえ、UOID以外の特性が削除オブジェクトと同一であってもです。再作成したオブジェクトを元のバージョンと比較すると、結果には、すべてのメタデータの変更が示されます。同様に、インポート処理やインテリジェンス・オブジェクト導出処理を実行中、削除してから再作成したオブジェクトは、同一になりません。

2つのスナップショットの比較

次のどちらかの方法を使用します。

  1. 「メタデータ変更管理」ウィンドウの「スナップショット」メニューから「比較」を選択します。

    または

    比較する2つのスナップショットを選択して右クリックし、「比較」を選択します。

    「2つのスナップショットを比較します」ダイアログ・ボックスが表示されます。「2つのスナップショットを比較します」ダイアログ・ボックスには、「メタデータ変更管理」ウィンドウで選択したスナップショットが選択表示されます。

  2. 比較対象として2つのスナップショットを選択していない場合は、各リストから選択します。

  3. 比較」をクリックします。

    「スナップショット比較」ウィンドウには、2つのオブジェクト間における差異が表示されます。差異がない場合、オブジェクトが同じであることを示すメッセージが出力されます。詳細を調べるには、「ヘルプ」をクリックします。

ワークスペース・オブジェクトとスナップショット・コンポーネントとの比較

現行バージョンのオブジェクトをスナップショット・バージョンと比較する手順は次のとおりです。

  1. デザイン・センターのプロジェクト・エクスプローラから、比較対象となる現行バージョン・オブジェクトを選択します。

  2. 右クリックして、「スナップショット」→「比較」を選択します。

    「スナップショット選択」ダイアログ・ボックスが開き、そのオブジェクトのすべてのスナップショット・バージョンが一覧表示されます。

  3. 現行のワークスペース・オブジェクトと比較するスナップショットを選択します。

  4. OK」をクリックします。

    「スナップショット比較」ウィンドウには、2つのオブジェクト間における差異が表示されます。差異がない場合、オブジェクトが同じであることを示すメッセージが出力されます。

FULLスナップショットからSIGNATUREスナップショットへの変換

バックアップ用として必要でなくなったFULLスナップショットをSIGNATUREスナップショットに変換できます。この変換により、スナップショットの履歴を保持したまま、ワークスペースの領域が大幅に節約されます。


注意:

FULLスナップショットをSIGNATUREスナップショットに変換するということは、メタデータ・オブジェクトのリストアにそのスナップショットを使用できなくなることを意味します。

FULLスナップショットを変換する手順は次のとおりです。

  1. スナップショットの管理」の説明に従って、「メタデータ変更管理」ウィンドウを開きます。

  2. 変換するスナップショットを選択します。

  3. 「スナップショット」メニューから「シグネチャに変換」を選択します。

  4. 「警告」ボックスで、「はい」をクリックします。

スナップショットからのワークスペース・オブジェクトのリストア

ワークスペース内のオブジェクトの現行の定義を、そのオブジェクトのスナップショット・イメージと置換できます。FULLスナップショットのみが使用可能で、SIGNATUREスナップショットからはオブジェクトをリストアできません。スナップショットのすべてのコンポーネントまたは選択したコンポーネントのみをリストアできます。


注意:

スナップショットからコレクションをリストアすると、コレクションと実際のオブジェクトの両方がリストアされます。

同様に、コンテナをリストアすると、そのすべての子オブジェクトもリストアされます。

コレクションのみまたはコンテナ内の選択オブジェクトのみをリストアするには、「コンポーネント」タブを使用します。


スナップショットからオブジェクトをリストアするには:

  1. 現行のセッションで行ったすべての作業を保存します。

  2. スナップショットの管理」の説明に従って、「メタデータ変更管理」ウィンドウを開きます。

  3. リストアするオブジェクトのバージョンが含まれるスナップショットを選択します。

  4. すべてのオブジェクトをリストアするには、スナップショットを右クリックして、「リストア」を選択します。

    または

    選択コンポーネントをリストアするには、「コンポーネント」タブで目的のコンポーネントを選択し、「リストア」を選択します。

    「スナップショットのリストア」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  5. リスト内のオブジェクトを確認し、目的のオブジェクトがリストアされることを確認します。

  6. ワークスペースに親が存在しなくなったコンポーネントをリストアする場合は、「カスケード・アップ」を選択します。Warehouse Builderにより、そのコンポーネントの新しい親オブジェクトが作成されます。このオプションを選択しない場合、手順は失敗します。

  7. リストア」をクリックします。

スナップショットのインポートとエクスポート

FULLスナップショットをMDLファイルにエクスポートし、そのファイルを使用して同じデータベースや異なるデータベースにメタデータ・オブジェクトを再作成できます。SIGNATUREスナップショットまたはスナップショットの個々のコンポーネントはエクスポートできません。

スナップショットをエクスポートするには:

  1. 「メタデータ変更管理」ウィンドウを開き、エクスポートするFULLスナップショットを選択します。

  2. 「スナップショット」メニューから「エクスポート」を選択します。

    「メタデータのエクスポート」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. ダイアログ・ボックスの操作に関する情報を表示するには、「ヘルプ」をクリックします。

スナップショットをインポートするには:

  1. デザイン・センターを起動し、「設計」メニューから「インポート」を選択します。

  2. メニューから「Warehouse Builderメタデータ」を選択します。

    「メタデータのインポート」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. ダイアログ・ボックスの操作に関する情報を表示するには、「ヘルプ」をクリックします。

インポートしたスナップショットは、「メタデータ変更管理」ウィンドウに一覧表示されます。

スナップショットの削除

スナップショットの削除やスナップショット内のコンポーネントの削除は、「メタデータ変更管理」ウィンドウを使用するとできます。

スナップショットを削除するには:

  1. 「メタデータ変更管理」ウィンドウを開き、削除するスナップショットを選択します。

  2. スナップショットを右クリックし、「削除」を選択します。

    または

    「スナップショット」メニューから「削除」を選択します。

    削除を確認するメッセージ・ボックスが表示されます。

  3. はい」をクリックして、選択したスナップショットをワークスペースから削除します。

スナップショットからコンポーネントを削除するには:

  1. 「メタデータ変更管理」ウィンドウを開き、コンポーネントの削除元スナップショットを選択します。

  2. 「コンポーネント」タブで、削除するコンポーネントを選択して右クリックし、「削除」を選択します。

    または

    「スナップショット」メニューから「削除」を選択します。

    削除を確認するダイアログ・ボックスが表示されます。

  3. はい」をクリックして、選択したコンポーネントをスナップショットから削除します。

メタデータ・ローダー(MDL)によるバージョンと履歴の管理

メタデータ・ローダー(MDL)ユーティリティを使用して、プロジェクト・エクスプローラ、グローバル・エクスプローラおよび接続エクスプローラ内のオブジェクトからメタデータのインポートやエクスポートができます。エクスポートしたファイルは、サード・パーティ製バージョン管理ツール(Oracle Repository、ClearCase、SourceSafeなど)に移動できます。MDLエクスポート・ファイルに対して注釈を入力することで、ファイルに含まれる情報を追跡管理できます。

メタデータ・ローダー(MDL)では、新規リポジトリの移入と、既存リポジトリのメタデータ・バックアップの転送、更新およびリストアを実行できます。オペレーティング・システムが異なるプラットフォーム上にリポジトリがある場合でも、それらのリポジトリ間でメタデータ・オブジェクトのコピーや移動ができます。

メタデータ・ローダーへのアクセス

メタデータ・ローダーには、この章で説明するグラフィカル・ユーザー・インタフェースや『Oracle Warehouse Builder Scripting Reference』に説明されているOMB Plusスクリプト言語を使用してアクセスできます。

グラフィカル・インタフェースにより、エクスポートやインポートの標準的作業ができます。一方、OMB Plusスクリプト言語では、エクスポートやインポートで特殊な作業の実行と制御ファイルの管理ができます。

メタデータ・ローダーの制御ファイルについて

メタデータ・ローダー関連のOMB Plusコマンドを使用するときは、制御ファイルにより、オブジェクトのインポートやエクスポートを行う方法をより詳細に制御できます。たとえば、メタデータ・ローダーのデフォルトでは、オブジェクトはバイナリZIP形式にエクスポートされます。ZIPファイルのデフォルト・エクスポート設定よりも優先して処理するには、OMBEXPORT MDL_FILEコマンドのCONTROL_FILEオプションを使用して、オプションZIPFILEFORMAT=Nを構成した制御ファイルを指定します。

メタデータ・ローダーでの制御ファイルの使用の詳細は、『Oracle Warehouse Builder Scripting Reference』の付録を参照してください。各コマンドの詳細は、『Oracle Warehouse Builder Scripting Reference』で次のコマンドの説明を参照してください。

  • OMBIMPORT

  • OMBEXPORT

  • OMUIMPORT

  • OMUIMPORT MDL_FILE

  • OMBIMPORT MDL_FILE

  • OMUEXPORT MDL_FILE

  • OMBEXPORT MDL_FILE

デザイン・センターでのメタデータ・ローダーの使用

デザイン・センターを使用して、メタデータ・ローダー・ユーティリティを実行できます。デザイン・センターが用意しているグラフィカル・インタフェースを使用することで、メタデータのエクスポートやインポートのプロセスを実行できます。

デザイン・センターからのメタデータのエクスポート

デザイン・センターを使用して、ワークスペースのオブジェクトをMDLファイルにエクスポートできます。プロジェクト・エクスプローラ、接続エクスプローラおよびグローバル・エクスプローラの一部であるオブジェクトがこれに含まれます。表の列とその制約、データ・ロード構成パラメータ、名前付き属性セットなど、エクスポート・オブジェクトに関連する情報もエクスポートされます。

メタデータのエクスポートには、2つのオプションがあります。デザイン全体をエクスポートするか、ワークスペース内の選択オブジェクトをエクスポートするかできます。オブジェクトを選択してエクスポートする場合は、同じエクスプローラ内にあるオブジェクトを選択する必要があります。たとえば、プロジェクト・エクスプローラの表とグローバル・エクスプローラのパブリック変換を同時にエクスポートすることはできません。これらは2回の手順に分けてエクスポートできます。

デザイン・センターを使用してワークスペースからメタデータをエクスポートする手順は次のとおりです。

  1. エクスポートするオブジェクトに、自分以外のユーザーがアクセスしていないことを確認します。

    エクスポートするメタデータが最新であることを確実にするには、他のすべてのユーザーに対してワークスペースからログアウトを依頼します。詳細は、「複数セッションの同時実行とMDL」を参照してください。

    また、エクスポートするオブジェクトに対してREAD権限があることを確認します。詳細は、「メタデータのエクスポートに必要なアクセス権限」を参照してください。

  2. デザイン・センターから、エクスポートするオブジェクトを1つ以上選択します。

    複数のオブジェクトを選択するには、[Ctrl]キーを押しながらオブジェクトを選択します。

    表などの個々のオブジェクトやオブジェクトのグループをエクスポートできます。プロジェクトのノードやモジュールをエクスポートすると、それらに含まれるオブジェクトもエクスポートされます。コレクションをエクスポートすると、それらが参照するオブジェクトもエクスポートされます。

  3. 設計」メニューから、「エクスポート」→「Warehouse Builderメタデータ」を選択します。

    エクスポート・ユーティリティを実行する前にリポジトリのメタデータに変更を加えている場合は、警告ダイアログ・ボックスが表示されます。「保存」をクリックすると、変更内容が保存されます。「元に戻す」をクリックすると、最後に保存されたバージョンに戻ります。

    前回のデザイン保存時以降にリポジトリのメタデータに変更が加えられていない場合は、「メタデータのエクスポート」ダイアログ・ボックスが表示されます。

  4. エクスポート先のコンピュータに十分なディスク領域があることを確認します。

    メタデータのエクスポート先のコンピュータに十分なディスク領域がない場合は、エクスポートは失敗します。エクスポート先のコンピュータには、メタデータ・ファイル全体を格納できるだけの領域が必要です。メタデータ・ファイルを部分的に保存することはできません。

メタデータのエクスポートに必要なアクセス権限

メタデータのエクスポートを実行する前に、エクスポート対象のすべてのオブジェクトに対してREAD権限があることを確認します。また、フォルダ・オブジェクトに対してもREAD権限が必要です。プロジェクトやモジュールなどのフォルダ・オブジェクトに対してREAD権限がない場合、フォルダ・オブジェクトとそれに含まれるオブジェクトはエクスポートされません。READ権限のないオブジェクトは、エクスポート時に、メタデータ・エクスポート・ユーティリティによりスキップされます。適切なセキュリティ権限がないためにエクスポートされなかったオブジェクトに関する情報は、メタデータ・ローダーのログ・ファイルに記録されます。

デフォルトでは、すべての登録ユーザーに対して、すべてのワークスペース・オブジェクトに対するREAD権限が付与されます。ユーザー、ロール、ロールの割当て、オブジェクト権限などのセキュリティ情報をエクスポートする場合は、「「エクスポート拡張オプション」ダイアログ・ボックス」を参照してください。

「メタデータのエクスポート」ダイアログ・ボックス

「メタデータのエクスポート」ダイアログ・ボックスには、エクスポートするオブジェクトの名前とタイプが表示されます。また、次の情報も含まれます。

  • 注釈: このフィールドには、エクスポートするオブジェクトを格納するファイルについてのコメントを入力します。

  • ファイル名: エクスポート・ファイルのデフォルトのパスとファイル名が表示されます。このデフォルトをそのまま使用することも、ディレクトリとファイル名を指定することもできます。作成するエクスポート・ファイルの名前を入力するか、「参照」をクリックしてディレクトリまたはファイルを指定します。ファイル名に使用される標準の拡張子は.mdlです。

  • ログ・ファイル: このフィールドには、エクスポートに関する診断情報と統計情報を記録するログ・ファイルのファイル名とパスを指定します。ログ・ファイルの詳細は、「メタデータ・ローダーのログ・ファイル」を参照してください。

  • オブジェクト依存性をすべてエクスポート: エクスポート対象オブジェクトの依存性をすべてエクスポートする場合は、このオプションを選択します。たとえば、このオプションを使用して表をエクスポートすると、表が配置されているロケーションもエクスポートされます。


    注意:

    ロケーション、パブリック変換、パブリック・エキスパート、パブリック・アイコン・セット、パブリック・データ・ルールなどのパブリック・オブジェクトは、PUBLIC_PROJECTという名前のプロジェクトに属します。エクスポート対象として選択されたオブジェクトがパブリック・オブジェクトに依存する場合は、「オブジェクト依存性をすべてエクスポート」オプションを選択すると、PUBLIC_PROJECTとそのオブジェクトをエクスポートできます。

  • 拡張: ユーザー定義プロパティ、セキュリティ情報、追加言語などの別のメタデータをエクスポートする場合は、このボタンを使用します。拡張オプションの詳細は、「「エクスポート拡張オプション」ダイアログ・ボックス」を参照してください。

選択したオブジェクトのメタデータをエクスポートするには、「エクスポート」をクリックします。「メタデータのエクスポート進行状況」ダイアログ・ボックスが表示されます。このダイアログ・ボックスの詳細は、「「メタデータの進行状況」ダイアログ・ボックス」を参照してください。

「メタデータの進行状況」ダイアログ・ボックス

「メタデータの進行状況」ダイアログ・ボックスには、メタデータのエクスポート、インポートまたはアップグレードの進行状況を示すプログレス・バーが表示されます。エクスポートやインポートが成功した場合は、プログレス・バーのすぐ上に、そのことを示すメッセージが表示されます。進行中に発生したエラーも表示されます。

メタデータのエクスポートやインポートに関する詳細な情報を表示するには、「詳細の表示」をクリックします。メッセージ・ログが表示されます。メッセージ・ログには次の情報が含まれます。

  • エクスポートまたはインポートの開始時間

  • エクスポートまたはインポートされたオブジェクトの名前とタイプ

  • 警告メッセージまたはエラー・メッセージ

  • エクスポートまたはインポートの終了時間

  • エクスポートまたはインポートのログ・ファイルの場所

  • エクスポートまたはインポートに要した合計時間(hh:mi:ssまたはミリ秒単位)

メッセージ・ログを非表示にするには、「詳細の非表示 <<」をクリックします。

エクスポートまたはインポートされたオブジェクトの詳細を表示するには、「統計の表示」をクリックします。「メタデータのエクスポート結果」ダイアログ・ボックスが表示されます。このダイアログ・ボックスの詳細は、「メタデータ・ローダーの結果について」を参照してください。

エクスポートまたはインポートが完了したら、「閉じる」ボタンが有効になります。メタデータ・エクスポート・ユーティリティまたはメタデータ・インポート・ユーティリティを終了するには、「閉じる」をクリックします。

「エクスポート拡張オプション」ダイアログ・ボックス

「エクスポート拡張オプション」ダイアログ・ボックスを使用することで、次の情報をエクスポートできます。

  • 追加言語のメタデータ

  • ユーザーが作成した定義

  • セキュリティ情報

このダイアログ・ボックスには、「言語」と「管理」の2つのセクションがあります。

言語

ベース言語」フィールドには、リポジトリのベース言語が表示されます。Warehouse Builderでは、ベース言語でデータがエクスポートされます。

オブジェクトにビジネス名および説明の翻訳が含まれる場合は、エクスポートする追加言語を指定できます。「使用可能な言語」リストには、リポジトリにインストールされている言語の一覧が表示されます。追加言語をエクスポートするには、目的の言語を選択して矢印をクリックし、その言語を「使用可能な言語」リストから「選択された言語」リストに移動します。一度に複数の言語を選択するには、[Ctrl]キーか[Shift]キーを押しながら選択します。


注意:

リポジトリに追加言語がインストールされている場合にのみ、「使用可能な言語」リストに言語エントリが表示されます。

たとえば、リポジトリのベース言語がアメリカ英語で、追加言語としてスペイン語とフランス語がインストールされているとします。リポジトリからメタデータをエクスポートするときは、追加言語としてフランス語を選択できます。メタデータ・エクスポート・ユーティリティでは、オブジェクトのベース言語であるアメリカ英語がエクスポートされ、フランス語翻訳が含まれるオブジェクトに対して追加言語のフランス語がエクスポートされます。ビジネス名および説明の翻訳が含まれるオブジェクトに対してのみ、追加言語がエクスポートされることに注意してください。

管理

管理者権限がある場合は、追加のメタデータをエクスポートできます。追加メタデータをエクスポートする機能には次のオプションがあります。

  • ユーザーが定義した定義のエクスポート: ユーザー定義のオブジェクトおよびユーザー定義のプロパティをエクスポートするときは、このオプションを選択します。このオプションは、エクスポートするオブジェクトに対してユーザー定義のオブジェクトまたはプロパティが作成されている場合にのみ有効です。

  • セキュリティ情報のエクスポート: ユーザーに割り当てられたオブジェクト権限やロールなどのセキュリティ情報をエクスポートに含めるときは、このオプションを選択します。セキュリティの詳細は、『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』を参照してください。

「エクスポート拡張オプション」ダイアログ・ボックスでオプションを指定したら、「OK」をクリックしてこのダイアログ・ボックスを閉じ、「メタデータのエクスポート」ダイアログ・ボックスに戻ります。

デザイン・センターを使用してのメタデータのインポート

デザイン・センターを使用して、メタデータをインポートできます。また、メタデータ・インポート・ユーティリティでは、以前のリリースのWarehouse Builderを使用して作成されたメタデータが現行リリースに自動的にアップグレードされます。メタデータのアップグレードの詳細は、「以前のリリースのメタデータのアップグレード」を参照してください。

メタデータのインポート前の確認事項

メタデータのインポートを実行する前に、次の点について確認する必要があります。

  • 必要なアクセス権限: メタデータのインポートを実行するユーザーには、次の権限が必要です。

    • インポートにより置換対象となる既存オブジェクトに対するEDIT権限

    • インポートによって新規オブジェクトが作成される既存フォルダ・オブジェクトに対するCREATE権限

    デフォルトでは、登録ユーザーに対して、すべてのワークスペース・オブジェクトに対するFULL_CONTROL権限が付与されます。メタデータのインポートを実行するユーザーに対して必要な権限が付与されていないオブジェクトは、メタデータ・インポート・ユーティリティによりスキップされます。適切なセキュリティ権限がないためにインポートされなかったオブジェクトの一覧は、メタデータ・ローダーのログ・ファイルに記録されます。

    ユーザーやロールなどのセキュリティ情報をインポートする場合は、「「インポート拡張オプション」ダイアログ・ボックス」を参照してください。ユーザー・メタデータをインポートする場合は、ユーザーに対応するデータベース・ユーザーが存在しないと、インポートは失敗しエラー・メッセージがメタデータ・ローダーのログ・ファイルに記録されます。

    メタデータ・インポート・ユーティリティによりリポジトリが変更されるため、インポートを実行する前に、メタデータ・オブジェクトのロックが必要です。詳細は、「複数セッションの同時実行とMDL」を参照してください。

  • 現行ワークスペースのバックアップ: 大規模なインポートや複雑なインポートを実行する前に、既存ワークスペースをバックアップ(エクスポートまたはメタデータ・スナップショット形式により実行)することを検討してください。

  • 複数言語サポートのベース言語の互換性: ベース言語はリポジトリで使用されるデフォルト言語で、インストール時にリポジトリ・アシスタントを使用して設定します。この設定は、リポジトリのインストール後に変更できません。リポジトリのベース言語を設定する方法の詳細は、『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』を参照してください。

デザイン・センターを使用してエクスポート・ファイルからオブジェクトをインポートする手順は次のとおりです。

  1. デザイン・センターから、「設計」→「インポート」→「Warehouse Builderメタデータ」を選択します。

    インポート・ユーティリティを実行する前にリポジトリ・メタデータに変更が加えられている場合は、警告ダイアログ・ボックスが表示されます。「保存」をクリックすると、変更内容が保存されます。「元に戻す」をクリックすると、最後に保存されたバージョンに戻ります。

    前回のデザイン保存時以降にリポジトリ・メタデータに変更が加えられていない場合は、「メタデータのインポート」ダイアログ・ボックスが表示されます。

「メタデータのインポート」ダイアログ・ボックス

「メタデータのインポート」ダイアログ・ボックスを使用して、エクスポート・ファイルに含まれるメタデータのインポートに必要な情報を指定します。このダイアログ・ボックスでは、次の情報を指定します。

追加言語、セキュリティ情報またはユーザー定義プロパティのメタデータをインポートする場合は、「拡張」をクリックします。拡張オプションの詳細は、「「インポート拡張オプション」ダイアログ・ボックス」を参照してください。

エクスポート・ファイルの内容の要約を表示するには、「サマリーの表示」をクリックします。エクスポート・ファイルの内容の詳細は、「「ファイル・サマリー」ダイアログ・ボックス」を参照してください。

「メタデータのインポート」ダイアログ・ボックスでオプションを指定したら、「インポート」をクリックしてMDLファイルからメタデータをインポートします。インポートの進行状況を示す「メタデータのインポート進行状況」ダイアログ・ボックスが表示されます。このダイアログ・ボックスの詳細は、「「メタデータの進行状況」ダイアログ・ボックス」を参照してください。


注意:

インポート用に選択したMDLファイルが以前のリリースのWarehouse Builderを使用して作成されている場合は、「サマリーの表示」、「拡張」または「インポート」をクリックすると、「メタデータのアップグレード」ダイアログ・ボックスが表示されます。このダイアログ・ボックスでは、選択したMDLファイルを現行リリースのWarehouse Builderに自動的にアップグレードできます。このダイアログ・ボックスの詳細は、「「メタデータのアップグレード」ダイアログ・ボックス」を参照してください。

ファイル名: MDLファイルの名前を入力するか、「参照」をクリックして、インポートするMDLファイルを指定します。

ログ・ファイル: インポートに関する診断情報と統計情報を記録するログ・ファイルのファイル名とパスを指定します。「参照」をクリックして、ログ・ファイルを指定することもできます。ログ・ファイルの詳細は、「メタデータ・ローダーのログ・ファイル」を参照してください。

オブジェクト選択: メタデータ・インポート・ユーティリティによりMDLファイルからインポートするオブジェクトを選択できます。「オブジェクト選択」セクションには、次のオプションがあります。

  • すべてのオブジェクトをファイルからインポート

    エクスポート・ファイルに格納されているすべてのオブジェクトをインポートするときは、このオプションを選択します。

  • 選択されたオブジェクトをファイルからインポート

    MDLファイルに格納されているオブジェクトの一部のみをインポートするときは、このオプションを選択します。インポートするオブジェクトを選択するには、「オブジェクトの選択」をクリックします。「インポート・オブジェクト選択」ダイアログ・ボックスが表示されます。このダイアログ・ボックスには、「使用可能」と「選択済」の2つのセクションがあります。「使用可能」セクションには、MDLファイルにおいて指定されているプロジェクト、モジュール、表、ビュー、接続などのプライマリ・オブジェクトが表示されます。このセクションのノードを開くと、それに含まれるすべてのオブジェクトが表示されます。ノードを選択すると、それに含まれるすべてのオブジェクトがインポートの対象となります。たとえば、モジュール・ノードを選択した場合は、モジュール内のすべてのオブジェクトがインポートされます。シャトル・ボタンを使用して、選択したオブジェクトを「使用可能」セクションから「選択済」セクションに移動します。

    インポートされるMDLファイルには、管理オブジェクトも含まれます。管理オブジェクトをインポートするには、インポートを実行するユーザーに管理権限が必要です。インポートを実行するユーザーに必要な権限がない場合は、次のようになります。

    • MDLファイルに管理オブジェクトが含まれる場合は、「インポート・オブジェクト選択」ダイアログ・ボックスの「使用可能」セクションに管理オブジェクトは表示されません。

    • MDLファイルの内容が管理オブジェクトのみの場合は、インポートの実行に必要な管理権限がないことを示す警告メッセージが、インポート・ユーティリティにより表示されます。

インポート・オプション: インポート・モードを選択します。インポート・モードには次のいずれかのオプションを選択できます。

  • 新規メタデータのみの作成

    このオプションを選択すると、新しいオブジェクトがワークスペースに追加されます。作成モードと呼ばれます。

  • メタデータの更新(既存のオブジェクトを置き換え、新規メタデータを作成)

    このオプションは更新モードと呼ばれます。このオプションを選択すると、新しいオブジェクトがワークスペースに追加され、既存のオブジェクトはインポート元MDLファイル内の対応オブジェクトにより置換されます。

  • メタデータのマージ (既存のオブジェクトをマージし、新規メタデータを作成)

    このオプションを選択すると、新しいオブジェクトが追加され、ワークスペース内の既存のオブジェクトは、それがMDLファイル内の対応オブジェクトと異なる場合にのみ上書きされます。このオプションはマージ・モードと呼ばれます。マージ・モードでは既存オブジェクトは削除されません。


    注意:

    マージ・モードでは、マッピング、プラッガブル・マッピングおよびデータ監査のメタデータをインポートすることはできません。

  • 既存オブジェクトのみの置換

    このオプションを選択すると、ワークスペース内の既存オブジェクトが置換されます。新しいオブジェクトは追加されません。このモードを使用してメタデータ・オブジェクトをインポートすると、存在するすべてのメタデータが上書きされます。このモードは置換モードと呼ばれます。

更新モードまたは置換モードでメタデータをインポートすると、最終オブジェクトがソース・オブジェクトと完全に同じになるように、既存オブジェクトの子オブジェクトはすべて置換されます。リポジトリ・オブジェクト内にある既存の子オブジェクトで置換されたり追加されたりしないものは削除されます。この処理は、子オブジェクトがマッピング内にある場合でも、子オブジェクトが表やビューにある外部キー、主キー、一意キーの列の場合でも関係なく実行されます。

たとえば、MDLエクスポート・ファイルに、3列で構成されたCUST表があり、その各列の物理名がlast_namefirst_nameおよびmiddle_initであるとします。ワークスペースには、4列で構成された同じ表が存在し、その各列の物理名はlast_namefirst_namestatusおよびlicense_IDです。この場合、置換操作時に、last_name列とfirst_name列は置換され、middle_init列は追加され、status列とlicense_ID列は削除されます。インポート後のワークスペース内の最終的なCUST表には、エクスポート・ファイルのCUST表と同じメタデータが含まれます。


ヒント:

置換モードまたは更新モードでインポートを実行すると、データ制約、メタデータの物理プロパティの設定、データ・ロード・プロパティおよびマッピング属性の接続が失われる場合があります。置換モードまたは更新モードで使用するときは、メタデータをインポートする前の状態にワークスペースをリストアできるように、バックアップを作成してください。

一致基準

メタデータ・インポート・ユーティリティを実行すると、最初にワークスペースに既存メタデータ・オブジェクトが検索され、それらがインポート元ファイル内のオブジェクトと比較されます。既存のワークスペース・メタデータをインポート・ファイル内のメタデータと比較するには、一致基準が使用されます。比較方法は、インポート・モードと、ユーザーが選択した検索方法により決まります。

「一致基準」セクションには、一致基準として次のオプションがあります。

  • ユニバーサルID: インポートするオブジェクトのユニバーサル・オブジェクトID(UOID)を使用してワークスペースを検索します。メタデータ・インポート・ユーティリティは、UOIDを使用して、インポート操作時に、作成、置換またはマージが必要なオブジェクトを判別します。ターゲット・ワークスペースでオブジェクト名が変更されていても、異なるワークスペース間で同じUOIDにより保守管理する場合は、この方法を使用します。

  • 名前: インポートするオブジェクトの名前を使用してワークスペースを検索します。物理名がエクスポート・ファイルにエクスポートされます。この物理名により、インポート操作時に、作成、置換またはマージが必要なオブジェクトが判別されます。ターゲット・スキーマでオブジェクト名が変更されているときに、それらのオブジェクトに対して新しいUOIDを作成する場合は、この方法を使用します。

    デフォルトでは、インポート・ユーティリティはUOIDを使用して検索します。


注意:

MDLによるインポートでは、既存マッピングのマージはサポートされません。

「インポート拡張オプション」ダイアログ・ボックス

「インポート拡張オプション」ダイアログ・ボックスを使用することで、次の情報をインポートできます。

  • 追加言語のメタデータ

  • ユーザーが作成した定義

  • ユーザーに割り当てられたオブジェクト権限やロールなどのセキュリティ情報

「インポート拡張オプション」ダイアログ・ボックスには、「言語」と「管理」の2つのセクションがあります。

言語

「ベース言語」には、リポジトリのベース言語が表示されます。デフォルトでは、ベース言語でデータがインポートされます。

インポートする追加言語を指定できます。メタデータ・インポート・ユーティリティでは、オブジェクトのビジネス名と説明の翻訳がインポートされます。「使用可能な言語」リストには、MDLファイルにおいて指定された言語の一覧が表示されます。たとえば、MDLファイルに、追加言語としてフランス語、ドイツ語およびスペイン語が含まれているとします。一方、リポジトリには、追加言語としてスペイン語とドイツ語のみが含まれているとします。この場合は、「使用可能な言語」リストには、スペイン語とドイツ語のみが表示されます。インポートする言語を選択して矢印をクリックし、「選択された言語」リストに移動します。一度に複数の言語を選択するには、[Ctrl]キーか[Shift]キーを押しながら選択します。追加言語のメタデータのインポートの詳細は、「異なるベース言語のインポート」を参照してください。

管理

このオプションは、インポートを実行するユーザーに管理者権限があり、インポート元MDLファイルに対象メタデータがある場合にのみ使用できます。次のセクションにより、対応する追加メタデータをインポートできます。

  • ユーザーが定義した定義: ユーザー定義オブジェクトおよびユーザー定義プロパティの定義をインポートする場合は、「ユーザーが定義した定義のインポート」オプションを選択します。

  • セキュリティ権限: ユーザーに割り当てられたオブジェクト権限やロールなどのセキュリティ情報をインポートする場合は、「セキュリティ情報のインポート」を選択します。

MDLファイルに対象オブジェクトが含まれている場合、これらの追加メタデータをインポートできます。

MDLファイルを新しいワークスペースにインポートするときに、元のワークスペースからセキュリティ情報を継承する場合は、他のオブジェクトをインポートする前にセキュリティ情報をインポートする必要があります。それには、管理者権限を持つユーザーとしてワークスペースに接続する必要があります。

「インポート拡張オプション」ダイアログ・ボックスで選択したら、「OK」をクリックして選択を保存し、「メタデータのインポート」ダイアログ・ボックスに戻ります。

名前の競合

名前の競合は、次のような場合に生じます。

  • 異なるオブジェクトが同じ名前でターゲット・ワークスペースに存在する場合。

  • 異なるオブジェクトが同じビジネス名でターゲット・ワークスペースに存在する場合。

  • 異なるオブジェクトが同じUOIDでワークスペースに存在する場合。

名前が競合すると、MDLによりエラーが報告され、インポートが終了します。

「ファイル・サマリー」ダイアログ・ボックス

「ファイル・サマリー」ダイアログ・ボックスには、エクスポート・ファイルの内容のサマリー情報が表示されます。このページの情報は、「ファイル」、「管理」および「統計」の3つのセクションに分類されます。

ファイル

「ファイル」セクションには、データ・ファイルの名前、作成タイムスタンプ、エクスポート・ユーザーの名前、ワークスペース接続情報、エクスポートに使用されたデザイン・センターのバージョンおよび注釈が表示されます。

管理

「管理」セクションには、ユーザーとロールに関する情報が表示されます。また、次の詳細情報も表示されます。

  • エクスポート・ファイルのベース言語

  • エクスポート・ファイルにおける追加言語

  • エクスポート・ファイルにおけるセキュリティ情報の有無

  • エクスポート・ファイルにおけるユーザー作成定義の有無

統計

「統計」セクションには、エクスポート・ファイルに含まれるオブジェクトのタイプに関する詳細と、タイプごとのオブジェクト数が表示されます。

インポート・モードと一致基準の組合せ

一致基準として使用される各検索方法は、それぞれのインポート・モードと任意に組み合せて使用できます。それぞれの組合せによって、インポート操作の結果は異なる場合があります。モードの選択により、インポートの前にメタデータ・インポート・ユーティリティによりワークスペースでメタデータ・オブジェクトを検索する方法が決まります。

たとえば、エクスポート・ファイルにあるリポジトリ・オブジェクトの名前を基準に検索を実行する場合は、ワークスペースでオブジェクトの名前がメタデータ・インポート・ユーティリティにより検索されます。該当する名前のオブジェクトが見つからなかった場合、その後の処理は選択したインポート・モードにより異なります。

表10-2に、リポジトリ・オブジェクトと同じ名前のオブジェクトが見つからなかった場合の各インポート・モードの動作を示します。

表10-2 同じ名前がない場合のインポート・モードの動作

インポート・モード 結果

作成モード

新しいオブジェクトが作成されます。

置換モード

オブジェクトがワークスペースに存在しないため置換できないことを警告するメッセージがログ・ファイルに書き込まれます。そのオブジェクトはスキップされます。

更新モード

新しいオブジェクトが作成されます。

マージ・モード

新しいオブジェクトが作成されます。


表10-3に、リポジトリ・オブジェクトと同じ名前のオブジェクトが見つかった場合のインポート・モードの動作を示します。

表10-3 同じ名前がある場合のインポート・モードの動作

インポート・モード 結果

作成モード

オブジェクトが存在するためスキップされたことを示すメッセージがログ・ファイルに書き込まれます。

置換モード

オブジェクトは置換されます。

更新モード

オブジェクトは置換されます。

マージ・モード

オブジェクトはマージされます。


MDLは、インポートされたメタデータを読み取って処理し、ステータスと診断情報をログ・ファイルに書き込みます。

異なるベース言語のインポート

複数言語のメタデータをインポートするときは、ターゲット・リポジトリの言語設定がエクスポート・ファイルの言語設定と異なる場合があります。たとえば、ターゲット・リポジトリでは、ベース言語が英語で、追加言語がフランス語とドイツ語だとします。一方、エクスポート・ファイルでは、ベース言語がフランス語で、追加言語が英語とドイツ語だとします。この項では、このような場合のMDLの動作について説明します。

MDLインポート・ファイルのベース言語とターゲット・リポジトリのベース言語が異なる場合

メタデータのインポート時に、MDLは、インポート・ファイルのベース言語のISO識別とターゲット・リポジトリのベース言語のISO識別を比較します。ISO識別は、言語IDとそれに続くロケールで構成され、language_localeの形式となります。たとえば、en_USはアメリカ英語で、fr_FRはフランス語です。

ISO識別の言語IDが異なる場合は、ベース言語が異なることを警告するダイアログ・ボックスが表示されます。この場合、キャラクタ・セットとベース言語が同じメタデータをインポートすることをお薦めします。インポートを続行するかどうかを選択できます。インポートを続行するには、「はい」をクリックします。インポートを取り消すには、「いいえ」をクリックします。


警告:

ベース言語が異なるときにメタデータのインポートを続行すると、状況によってはインポートされるメタデータが破損する場合があります。

キャラクタ・セットとベース言語が同じリポジトリ間でメタデータを移動することをお薦めします。


ISO識別の言語IDが同じでロケールが異なる場合は、インポートを続行するかどうかを尋ねる警告ダイアログ・ボックスが表示されます。たとえば、エクスポート・ファイルのベース言語が英語で、リポジトリのベース言語がアメリカ英語などの場合です。メタデータをインポートするには、「はい」をクリックします。インポートを取り消すには、「いいえ」をクリックします。

サポート言語のインポート

インポート時に、インポート・ファイルの追加言語がターゲット・リポジトリに存在するかどうかをMDLはチェックします。ターゲット・リポジトリに存在しない追加言語がインポート・ファイルに含まれ、これらの追加言語のインポートが指定されている場合は、追加言語がリポジトリにインストールされていないことを警告するメッセージがMDLログ・ファイルに書き込まれます。

インポートを管理する検証ルール

エクスポートしたメタデータから一連の定義をインポートすると、メタデータ・インポート・ユーティリティによって、プロジェクト内の既存定義を更新できます。ただし、メタデータ定義によっては、更新の検証が必要となる場合があります。次に、可能性のあるエラー例を示します。

  • マッピングの定義: メタデータ・インポート・ユーティリティは、インポートされたマッピング演算子を、それらに関連付けられている物理オブジェクトにバインドします(関連付けられている物理オブジェクトがワークスペースにある場合)。関連付けられている物理オブジェクトがワークスペースにない場合は、インポートされたマッピング演算子はバインドされません。メタデータ・インポート・ユーティリティは、マッピング演算子がバインドされていないことを警告するメッセージをログ・ファイルに書き込みます。ユーザーは、新しいマッピング演算子を、それらに対応する物理オブジェクトと同期化する必要があります。

  • 外部キーの定義: ソースのMDLファイルに、ターゲット・ワークスペースにない一意キーや主キーへの外部キー参照が含まれている場合があります。MDLファイル内の外部キーが参照する一意キーや主キーがターゲット・ワークスペースにない場合、メタデータ・インポート・ユーティリティはログ・ファイルに警告メッセージを書き込みます。このメッセージは、外部キーの参照キーがワークスペースにないことを示します。

以前のリリースのメタデータのアップグレード

以前のリリースを使用して作成されたメタデータは、メタデータのインポート時に、メタデータ・インポート・ユーティリティによって自動的にOracle Warehouse Builder 11gリリース1(11.1)にアップグレードされます。以前のリリースのWarehouse Builderからメタデータを手動でアップグレードする必要はありません。

MDLファイルのインポート時に、ファイルの作成に使用されたリリースが検出されます。MDLファイルが以前のリリースを使用して作成されている場合は、「メタデータのアップグレード」ダイアログ・ボックスが表示されます。このダイアログ・ボックスを使用して、MDLファイルを現行リリースにアップグレードできます。このダイアログ・ボックスの内容の詳細は、「「メタデータのアップグレード」ダイアログ・ボックス」を参照してください。

DB2やInformixなどのゲートウェイ・モジュールのメタデータが含まれる.mdlファイルを、以前のリリースのWarehouse Builderからインポートすると、プロジェクト内の対応するソース・モジュール・フォルダにメタデータがインポートされないことがあります。インポートされたファイルは、プロジェクト・エクスプローラの「その他」ノードに格納されます。ゲートウェイ・モジュールのメタデータを適切なソース・モジュール・フォルダに手動でコピーする必要があります。

メタデータがOracle Warehouse Builder 11gリリース1(11.1)に自動的にアップグレードされるWarehouse Builderの製品リリースは次のとおりです。

  • Oracle Warehouse Builder 2.0.4および2.0.5

  • Oracle Warehouse Builder 2.1.1

  • Oracle Warehouse Builder 3.0および3.1

  • Oracle Warehouse Builder 9.0.2、9.0.3および9.0.4

  • Oracle Warehouse Builder 9.2

  • Oracle Warehouse Builder 10gリリース1

  • Oracle Warehouse Builder 10gリリース2

「メタデータのアップグレード」ダイアログ・ボックス

このダイアログ・ボックスは、インポート元MDLファイルが以前のリリースで作成されていることが検出された場合に自動的に表示されます。「ファイル名」フィールドを使用して、アップグレード対象MDLファイルが格納されているファイルの名前を指定します。または、「参照」をクリックして、ディレクトリやMDLファイルを指定することもできます。

アップグレード」をクリックしてMDLファイルを現在のバージョンにアップグレードします。アップグレードが完了したら、「メタデータのアップグレード」ダイアログ・ボックス」は閉じます。MDLファイルをアップグレードしない場合は、「取消」をクリックします。

Oracle Warehouse Builder 11gリリース1(11.1)へのアップグレード後のワークスペース・オブジェクトに対する変更

アップグレード・ユーティリティを使用して以前のリリースから現行リリースにアップグレードした場合は、ワークスペースのオブジェクトは次のように変更されます。

  • My Project: 物理名の要件に従い、Warehouse Builderに付属するサンプル・プロジェクトの名前が、My ProjectからMY_PROJECTに変更されます。

  • 外部プロセス: 外部プロセスはプロセス・フローの外部プロセス・アクティビティにアップグレードされます。以前のリリースでマッピングに外部プロセスが定義されている場合は、MDLアップグレード・ユーティリティによりそのオブジェクトがプロセス・フローの外部プロセスとして再定義されます。

  • ビジネスエリア: ビジネスエリアはコレクションにアップグレードされます。以前のリリースでビジネスエリアが定義されている場合は、MDLアップグレード・ユーティリティによりビジネスエリア名にモジュール名の接頭辞が付けられ、コレクションとして再定義されます。たとえば、ビジネスエリア名がORDERSでモジュール名がREGION1の場合、アップグレード後のコレクション名はREGION1_ORDERSとなります。

  • 外部プロセスのマッピング: 外部プロセスのマッピングはプロセス・フローに移行されます。

  • ディメンションとキューブのマッピング演算子: ディメンションとキューブのマッピング演算子は表演算子に変換されます。これらの表演算子では、MDLアップグレード・ユーティリティによって作成された物理表がディメンションとキューブとして使用されます。

  • ディメンション: 関連付けられたディメンション表が、ディメンションと同じ名前で作成されます。この表には、以前のリリースでディメンション・エディタの「表のプロパティ」を使用してディメンションに定義した列、制約および属性セットが含まれます。

  • ディメンション階層の表示セットのマッピング: ディメンション階層の名前付き属性セットに基づいて作成された元のマッピング属性はすべて削除されます。これは、ディメンション階層の表示セットが自動的に作成および保持されなくなったためです。

  • ディメンション属性: ディメンションに同じ名前のディメンション属性が存在しない場合は、アップグレードされる各レベル属性に対して、同じ名前のディメンション属性が作成されます。

  • キューブ: 関連付けられたキューブ表が、キューブと同じ名前で作成されます。このキューブ表には、以前のリリースでキューブ・エディタの「表のプロパティ」を使用してキューブに定義した列、制約および属性セットが含まれます。

  • キューブのディメンション参照: キューブの外部キーが最下位レベルのディメンションの一意キーを参照していない場合、ディメンション参照はインポートされません。警告がインポート・ログ・ファイルに書き込まれます。

  • インテリジェンス・オブジェクトとレポート: 以前のリリースでは、インテリジェンス・オブジェクトとレポートはOMB Plusスクリプト言語でのみ利用可能でした。これらのオブジェクトはアップグレードされません。

  • ロケーションとランタイム・リポジトリ接続: ロケーションとランタイム・リポジトリ接続は、ワークスペース全体で共有できるように、それらの所有元のプロジェクトから移動されます。したがって、インポート・ログ・ファイルの統計には、これらのオブジェクトに該当するプロジェクトが追加表示されます。

  • コントロール・センターとロケーション: アップグレード後は、ロケーションと、それが参照するコントロール・センター間の関係がなくなります。「コントロール・センターの編集」ダイアログ・ボックスを使用してコントロール・センターの詳細を確認し、このコントロール・センターに関連付けるロケーションを選択する必要があります。

  • アドバンスト・キュー: 関連付けられたキュー表が、プロパティのAQキュー表名に基づいて作成されます。MDLファイル・アップグレード・ユーティリティによって作成されるキュー表には、データ型が元のアドバンスト・キューのオブジェクト型である列が含まれます。

  • マッピングのアドバンスト・キュー演算子: マッピングのアドバンスト・キュー演算子は、「ペイロード」という名前の1つの属性のみを含むように変更されます。マッピングのアドバンスト・キュー演算子がソースとして使用されている場合は、マッピングのアドバンスト・キュー演算子の後に、新しい拡張演算子が追加されます。マッピングのアドバンスト・キュー演算子がターゲットとして使用されている場合は、マッピングのアドバンスト・キュー演算子の前に、新しい構成演算子が追加されます。

  • マッピング演算子の名前: MDLアップグレード・ユーティリティにより、すべてのマッピング演算子の物理名とビジネス名が一意であることが保証されます。

  • MIVオブジェクト: MIVオブジェクトはアップグレードされません。

警告メッセージとエラー・メッセージのチェック

メタデータのアップグレード後に、ログ・ファイルで警告メッセージとエラー・メッセージをチェックします。

  • アップグレード時に警告が発生した場合、ユーティリティはアップグレードを完了し、ログに警告を記録します。エラーが発生した場合、ユーティリティは終了し、ログにエラーを記録します。

  • アップグレード後に警告とエラーが出力された場合は、ログ・ファイルでWarningとErrorの単語を検索し問題を調べます。

  • 予期せぬエラーが発生しアップグレードが終了した場合は、ログ・ファイルに詳細が記録されています。ログ・ファイルを確認するか、Oracleサポート・サービスに連絡してください。

メタデータ・ローダー・ユーティリティ

メタデータ・ローダーは、次の2つのユーティリティで構成されます。

  • メタデータ・エクスポート・ユーティリティ

    メタデータ・エクスポート・ユーティリティは、ワークスペースからメタデータをエクスポートするときに使用します。

  • メタデータ・インポート・ユーティリティ

    メタデータ・インポート・ユーティリティは、ワークスペースにメタデータをインポートするときに使用します。

MDLでは独自のファイル形式が使用され、メタデータ・インポート・ユーティリティはMDL形式のファイル(メタデータ・エクスポート・ユーティリティで作成されたファイル)のみを読み取ります。MDLファイルは、特別な用途に特化されたZIPファイルです。

メタデータ・エクスポート・ユーティリティ

メタデータ・エクスポート・ユーティリティは、ワークスペースからメタデータ・オブジェクトを抽出し、その情報をZIP形式のファイルに書き込みます。このZIPファイルの拡張子は.mdlで、次のファイルを含みます。

  • メタデータ・ローダーXMLファイル

    このファイルには、ワークスペースから抽出されたオブジェクトがXML形式で記録されています。ファイル名はZIPファイルと同じですが、拡張子が.mdxとなります。

  • カタログ

    カタログ・ファイルは名前がmdlcatalog.xmlで、メタデータ・ローダーXMLファイルに関する内部情報が記述されています。

メタデータ・エクスポート・ユーティリティでは、ファイル名とパスを入力することで、エクスポート先のMDLファイルを指定できます。たとえば、sales.mdlと命名したファイルにリポジトリ・メタデータをエクスポートします。このMDL ZIPファイルを解凍すると、2つのファイルが展開されます。sales.mdxファイルには、リポジトリ・オブジェクトがあります。mdlcatalog.xmlファイルには、MDL XMLファイルに関する内部情報が記述されています。

プロジェクト全体、コレクション、パブリック・オブジェクト、ロケーションまたはオブジェクトの任意のサブセットをエクスポートできます。オブジェクトのサブセットをエクスポートする場合は、選択した各オブジェクトとそのサブセットの所属先親オブジェクトの定義がエクスポートされます。これにより、オブジェクトのツリー関係を保持したまま、メタデータをインポートできます。

たとえば、1つのディメンションをエクスポートすると、エクスポート・ファイルには次の定義が含まれます。

  • ディメンション

  • ディメンションが属するモジュール

  • モジュールが属するプロジェクト

オブジェクトのサブセットをエクスポートする場合は、すべての参照オブジェクトをエクスポートし同様にインポートする必要があります。「メタデータのエクスポート」ダイアログ・ボックスで「オブジェクト依存性をすべてエクスポート」オプションを選択すると、一連のオブジェクトが参照するオブジェクトをエクスポートできます。たとえば、DEPT表をエクスポートするときに、DEPT表にEMP表への外部キー参照が含まれる場合は、DEPT表とともにEMP表をエクスポートできます。

メタデータ・インポート・ユーティリティ

メタデータ・インポート・ユーティリティは、エクスポートされたMDLファイルからメタデータ情報を読み取り、メタデータ・オブジェクトをワークスペースに作成、置換またはマージします。このユーティリティは、表列とその制約、データ・ロード構成パラメータ、名前付き属性セットなど、エクスポートされたメタデータ・オブジェクトに含まれる情報をインポートします。また、インポートするリポジトリ・オブジェクトの参照が解決されていない場合でも、オブジェクトをインポートできます。

メタデータ・インポート・ユーティリティにより、オブジェクトをプロジェクトまたはコレクションにインポートできます。メタデータ・インポート・ユーティリティは、メタデータ・エクスポート・ユーティリティによって作成されたファイルのみを読み取ります。

インポート元MDLファイルが以前の製品リリースを使用して作成されている場合は、自動的に現行リリースにアップグレードされます。MDLファイルの自動アップグレードの詳細は、「以前のリリースのメタデータのアップグレード」を参照してください。

複数セッションの同時実行とMDL

複数のクライアントが、リポジトリ内の同じワークスペースに同時にアクセスできます。Warehouse Builderでは、ロックを使用することで、1人のクライアントに対してのみリポジトリ・オブジェクトの変更が許可されます。オブジェクトがロックされている間、他のクライアントは、ユーザーによる最後のトランザクションが保存された後の状態でオブジェクトを参照することのみできます。

オブジェクトを置換またはマージするとき、MDLは、リポジトリとMDLファイル内の両方のプライマリ・オブジェクトに対してロックを取得します。プロジェクト、モジュール、表、ディメンション、キューブ、マッピング、ビュー、フラット・ファイルなどがプライマリ・オブジェクトに該当しますが、これらに限定されません。列やマッピング属性などのセカンダリ・オブジェクトはロックされません。他のユーザーがプライマリ・オブジェクトをロックしているためロックを取得できない場合、インポートは失敗します。そのため、インポート時には、対象プライマリ・オブジェクトのロックを保持できる必要があります。


ヒント:

メタデータのインポートを確実に成功させるには、インポート時にワークスペースへのアクセスを1人のクライアントのみに限定する必要があります。

メタデータのインポートが成功した場合(エラー・メッセージがないか、情報メッセージか警告メッセージのみの場合)は、ワークスペースに対する変更が保存されます。インポートに失敗した場合は、ロールバックが実行されます。

メタデータ・ローダーのログ・ファイル

リポジトリ・メタデータをエクスポートしたりインポートしたりしたときは、MDLにより診断情報と統計情報がログ・ファイルに書き込まれます。ログ・ファイルの場所は、MDLの実行時に指定できます。

ログ・ファイルにより、エクスポート操作やインポート操作を詳細に監視したりトラブルシューティングしたりできます。このログ・ファイルには、次の情報が含まれます。

  • データ・ファイルの名前

  • エクスポートまたはインポートの開始時間と終了時間

  • エクスポートまたはインポートに要した合計時間(hh:mi:ss形式の時分秒またはミリ秒単位)

  • エクスポートまたはインポートされたオブジェクトのタイプ

  • エクスポートまたはインポートされた各オブジェクト・タイプの数

    インポート・ログ・ファイルには、追加、置換、スキップおよび削除されたオブジェクトの合計数も記録されます。

  • ステータス・メッセージ

    ステータス・メッセージは、インポートまたはエクスポートのプロセスに関する情報を示します。これらのメッセージには次の種類があります。

    • 情報: メタデータ・オブジェクトが見つからない、オブジェクトがインポートされたかどうか、オブジェクトがインポートまたはエクスポートされなかった理由など、インポートまたはエクスポートに関する情報を示します。

    • 警告: オブジェクトのインポートやエクスポートに関する警告情報を示します。エクスポートやインポートの失敗と異常終了は含まれません。警告は、エクスポートやインポートの結果が予期せぬ結果になる可能性があることを示します。

    • エラー: MDLによるエクスポートやインポートが異常終了し、正常に完了しなかったことを示します。エラー・メッセージは、失敗の原因に関する要約説明を示します。

メタデータ・ローダーの結果について

メタデータ・ローダーのエクスポート・ユーティリティやインポート・ユーティリティを使用して、エクスポートやインポートの作業が成功したときは、その結果を表示できます。「メタデータのエクスポート結果」ダイアログ・ボックスや「メタデータのインポート結果」ダイアログ・ボックスにより、すべてのオブジェクトがエクスポートまたはインポートされたことを確認します。結果のダイアログ・ボックスを表示するには、「メタデータのエクスポート進行状況」ダイアログ・ボックスまたは「メタデータのインポート進行状況」ダイアログ・ボックスで、「詳細の表示」をクリックします。これにより「メッセージ・ログ」が表示されます。このログの末尾にある「統計の表示」をクリックします。

結果のダイアログ・ボックスには、次の情報が含まれます。

  • エクスポートまたはインポートされたプロジェクトの名前(該当する場合)

  • エクスポートまたはインポートされた各オブジェクト・タイプの数

  • スキップされた各オブジェクト・タイプの数

    スキップされたオブジェクトの数に関する詳細は、メタデータのインポート時にのみ表示されます。