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Oracle Database Gatewayインストレーションおよび構成ガイド
11gリリース1(11.1) for Microsoft Windows
E05709-01
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14 Oracle Database Gateway for DRDAの構成

ゲートウェイのインストール後、次のタスクを実行してOracle Database Gateway for DRDAを構成します。

  1. ゲートウェイ初期化パラメータ・ファイルの構成

  2. ゲートウェイ用のOracle Netの構成

  3. 2フェーズ・コミットの構成

  4. DRDAゲートウェイ・パッケージのバインド

  5. データ・ディクショナリ・サポート用の表およびビューの作成

  6. DRDAパッケージに対する権限の付与

  7. ゲートウェイ・アクセス用のOracle Databaseの構成

  8. データベース・リンクの作成

  9. 複数のDRDAデータベースにアクセスするためのゲートウェイの構成

ORACLE2PC表の作成、不要になった表およびビューの削除、データ・ディクショナリ・サポート用の表およびビューの作成など、各作業を実行するためのSQLスクリプトが用意されています。

これらのスクリプトは、実行するためのツールがゲートウェイに付属していないため、データベース固有のツール(DB2/OS390でのSPUFIなど)を使用してDRDAサーバー・プラットフォーム上で実行する必要があります。これらのスクリプトを実行する場合に使用するユーザーIDには、適切な権限を付与する必要があります。

次のリストから、使用しているDRDAサーバー・プラットフォームに適したサブディレクトリを選択してください。

ゲートウェイ初期化パラメータ・ファイルの構成

次のタスクを実行して、ゲートウェイ初期化パラメータ・ファイルを構成します。

  1. ゲートウェイ用のシステム識別子の選択

  2. 初期化パラメータ・ファイルのカスタマイズ

ゲートウェイ用のシステム識別子の選択

ゲートウェイ・システム識別子(SID)は、ゲートウェイ・インスタンスを識別する英数字の文字列です。アクセスするDRDAデータベースごとに、1つのゲートウェイ・インスタンスが(したがって1つのゲートウェイSIDが)必要です。ただし、2つのDRDAデータベースにアクセスする場合は、ゲートウェイのインスタンスごとに1つずつ、合計2つのゲートウェイSIDが必要です。DRDAデータベースが1つのみ存在し、そのアクセスに使用するゲートウェイ・パラメータ設定のセットを状況に応じて使い分ける場合、単一のDRDAデータベースに対して複数のゲートウェイSIDを使用します。SIDは、初期化パラメータ・ファイルのファイル名の一部に使用されます。

初期化パラメータ・ファイルのカスタマイズ

この章では、ゲートウェイの構成プロセスについて説明しています。すべてではありませんが、ほとんどのゲートウェイ・パラメータがinitsid.ora初期化ファイルに移動していることに注意してください。Oracle Database Gateway for IBM DRDA用のホストを構成するには、実際のインストール環境に合せてパラメータ・ファイルを変更する必要があります。


注意:

以前のリリースのゲートウェイでは、初期化パラメータはゲートウェイ・インスタンス・ディレクトリのinitsid.oraおよびinitsid.gtwbootというファイルに格納されていました。リリース10.1.0.2.0のゲートウェイでは、initsid.gtwbootに含まれていたほとんどのパラメータがinitsid.oraに移動しています。initsid.oraの構文は、簡略化されました。詳細は、付録C「初期化パラメータ」を参照してください。

以前のリリースのOracle Database Gateway for DRDAから移行する場合、これらの違いに注意してください。


  1. ゲートウェイ初期化ファイルをコピーします。

    サンプルのゲートウェイ初期化ファイルinitsid.oraが配布メディアに同梱されています。これらのファイルは、ORACLE_HOME\dg4drda\adminディレクトリにあります。

    • initDB2.ora(DB2/OS390リモート・サーバーの場合)

    • initAS400.ora(DB2/400リモート・サーバーの場合)

    • initDB2UDB.ora(DB2/UDBリモート・サーバーの場合)

    これらのサンプル・ファイルの1つを同じディレクトリにコピーし、実際のゲートウェイSIDの名前を使用してファイル名を変更します。たとえば、選択したSIDがDRD1であり、リモート・サーバーがDB2である場合、initDB2.oraファイルをコピーしてその名前をinitDRD1.oraに変更します。

  2. ゲートウェイ初期化パラメータの設定を決定します。

    付録D「DRDAの構成ワークシート」にある構成ワークシートが完成している必要があります。まだ完成していない場合、未完成のエントリを確認し、記載された各項で詳細情報を参照します。ゲートウェイ初期化ファイル(initsid.ora)をカスタマイズするには、この情報が必要です。

    DRDA固有のinitsid.oraパラメータの詳細は、付録C「初期化パラメータ」を参照してください。

    パラメータは次のとおりです。

    • 必須パラメータ

      initsid.oraファイルを編集する場合、付録D「DRDAの構成ワークシート」にある構成ワークシートにリストされたすべてのパラメータ値を、ワークシートの右側の列の値を使用して変更する必要があります。

      特定のグローバリゼーション・サポート用のゲートウェイ・パラメータも設定する必要があります。各パラメータの設定方法の詳細は、付録E「DRDAのグローバリゼーション・サポート」を参照してください。

    • オプション・パラメータ

      いくつかのDRDA固有のパラメータは必須ではありませんが、必要に応じて変更できます。特に記載のないかぎり、これらのパラメータは付録C「初期化パラメータ」で説明されています。

      表14-1 DRDA固有のオプション・パラメータ

      DRDAパラメータ 説明

      DRDA_DISABLE_CALL

      ゲートウェイでストアド・プロシージャがサポートされないDRDAサーバーのストアド・プロシージャ・サポートを無効化します。

      DRDA_ISOLATION_LEVEL

      パッケージの分離レベルを定義します。

      HS_DB_NAME

      データベースSID名を指定します(ゲートウェイSIDに設定される必要があります)。

      DRDA_OPTIMIZE_QUERY

      データ問合せの最適化に使用します。

      DRDA_PACKAGE_COLLID

      パッケージのコレクションIDを定義します。

      DRDA_PACKAGE_NAME

      パッケージの名前を定義します。

      DRDA_PACKAGE_OWNER

      パッケージの所有者を定義します。デフォルトでは、所有者は、g4drutlバインド・ユーティリティの実行時に使用されるユーザーIDです。このパラメータは、SQL/DSでは無効です。

      DRDA_PACKAGE_SECTIONS

      リモート・サーバーにおける同時OPENカーソルの最大数を定義します。

      HS_DB_DOMAIN

      ゲートウェイのデータベース・ドメインを指定します。


      initsid.oraファイルに設定された値は、ほとんどのインストール環境で有効です。変更が必要な場合は、値を編集してください。グローバリゼーション・サポート関連のinitsid.oraパラメータの詳細は、「ゲートウェイ初期化ファイルのグローバリゼーション・サポート・パラメータ」を参照してください。

  3. initsid.oraファイルをカスタマイズします。

    サンプルの初期化ファイルをコピーしたら、実際のインストール環境に合せて変更する必要があります。多くのパラメータはデフォルト値のまま使用できますが、一部のパラメータはゲートウェイを適切に動作させるために変更する必要があります。次のDRDAおよびHSパラメータに注意してください。また、初期化ファイルのセキュリティ面にも注意を払う必要があります。初期化ファイルに組み込まれるパスワードの暗号化の詳細は、第15章「セキュリティ上の考慮事項」を参照してください。各パラメータの詳細は、付録D「DRDAの構成ワークシート」を参照してください。

    • DRDA_CONNECT_PARM

    • DRDA_PACKAGE_COLLID

    • DRDA_PACKAGE_NAME

    • DRDA_PACKAGE_OWNER

    • DRDA_REMOTE_DB_NAME

    • FDS_CLASS

    • HS_DB_NAME

    • HS_DB_DOMAIN

ゲートウェイ用のOracle Netの構成

ゲートウェイでは、Oracle Databaseと通信するためにOracle Netが必要です。ゲートウェイの構成後、次のタスクを実行して、ゲートウェイと連携動作するようにOracle Netを構成します。

  1. ゲートウェイ用のOracle Net Listenerの構成

  2. ゲートウェイ用のOracle Net Listenerの停止および起動

ゲートウェイ用のOracle Net Listenerの構成

Oracle Net Listenerは、Oracle Databaseからの着信リクエストをリスニングします。Oracle Net Listenerでゲートウェイをリスニングするためには、ゲートウェイに関する情報をOracle Net Listenerの構成ファイル(listener.ora)に追加する必要があります。このファイルのデフォルトの場所は、ORACLE_HOME\network\adminです(ORACLE_HOMEはゲートウェイのインストール先のディレクトリです)。

次のエントリをlistener.oraファイルに追加する必要があります。

  • Oracle Net ListenerがリスニングするOracle Netアドレスのリスト

  • Oracle Net Listenerが着信接続リクエストに応じて起動するゲートウェイの実行可能ファイルの名前

listener.oraエントリのサンプル(listener.ora.sample)は、ORACLE_HOME\dg4drda\adminディレクトリにあります(ORACLE_HOMEはゲートウェイのインストール先のディレクトリです)。

listener.oraファイルのエントリの構文

Oracle Databaseは、Oracle Netおよびサポートされている任意のプロトコル・アダプタを使用してゲートウェイと通信します。次に、TCP/IPプロトコル・アダプタを使用してOracle Net Listenerがリスニングするアドレスの構文を示します。

LISTENER=
        (ADDRESS=
          (PROTOCOL=TCP)
          (HOST=host_name)
          (PORT=port_number))

変数の意味は次のとおりです。

変数 説明
host_name ゲートウェイがインストールされているマシンの名前。
port_number Oracle Net Listenerにより使用されるポート番号。同じマシン上で稼働する他のリスナーが存在する場合、port_numberの値は、他のリスナーのポート番号とは異なる必要があります。

着信接続リクエストに応じてゲートウェイを起動するようOracle Net Listenerを構成するには、listener.oraファイルにエントリを追加します。


注意:

listener.oraファイルと次の手順で構成するtnsnames.oraファイルで同じSID値を使用する必要があります。

SID_LIST_LISTENER=
   (SID_LIST=
      (SID_DESC=
         (SID_NAME=gateway_sid)
         (ORACLE_HOME=oracle_home_directory)
         (PROGRAM=g4drsrv)
      )
   )

変数の意味は次のとおりです。

変数 説明
gateway_sid ゲートウェイのSIDを指定します。tnsnames.oraファイルの接続記述子エントリで指定されたゲートウェイSIDと一致させます。
oracle_home_directory ゲートウェイの存在するOracleホーム・ディレクトリを指定します。
g4drsrv Oracle Database Gateway for DRDAの実行可能ファイル名を指定します。

既存のOracle Net Listenerがすでに存在する場合、既存のlistener.oraファイルのSID_LISTに次の構文を追加します。

SID_LIST_LISTENER=
(SID_LIST=
   (SID_DESC=.
     .
   )
   (SID_DESC=.
     .
   )
   (SID_DESC=
      (SID_NAME=gateway_sid)
      (ORACLE_HOME=oracle_home_directory)
      (PROGRAM=g4drsrv)
   )
)

関連項目:

listener.oraファイルの変更方法の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

ゲートウェイ用のOracle Net Listenerの停止および起動

新規設定を反映するには、次のようにOracle Net Listenerを停止して再起動する必要があります。

  1. 「スタート」メニューで、「設定」「コントロール パネル」「サービス」を選択します。

  2. ゲートウェイ用のOracle Net Listenerサービスを選択します。

  3. サービスがすでに実行中の場合、「停止」をクリックしてサービスを停止します。

  4. 「開始」をクリックしてサービスを起動または再起動します。

2フェーズ・コミットの構成

次のように、接続するサーバーに応じて適切なスクリプトを実行します。

DRDAゲートウェイ・パッケージのバインド

この製品では、パッケージをDRDAサーバーでバインドする必要があります。ゲートウェイには、このパッケージを作成するために使用する必要のある内部ストアド・プロシージャが付属します。内部ストアド・プロシージャは、Oracle Databaseによりコールされます。このパッケージをDRDAサーバーでバインドするには、ゲートウェイ初期化ファイルを適切に構成する必要があります。詳細は、付録D「DRDAの構成ワークシート」を参照してください。

DRDAゲートウェイ・パッケージのバインドにおける考慮事項

DRDAゲートウェイ・パッケージをバインドする前に、次の手順を実行してください。

  1. ユーザーが適切な権限を持っていることを確認します。

    DRDAパッケージは、内部ストアド・プロシージャGTW$_BIND_PKGでバインドする必要があります。DRDAパッケージをバインドするのに使用するユーザーIDは、リモート・データベースに対する適切な権限を持っている必要があります(第13章「DRDAサーバーの構成」を参照)。

  2. すべてのDRDAパラメータ設定を確認します。

    バインドを開始する前にすべてのDRDAパラメータ設定をチェックし、それらが正しく設定されていることを確認します。たとえば、DRDA_DISABLE_CALLのデフォルト値は、DRDAデータベースでストアド・プロシージャがサポートされる場合にのみ適切です。サポートされない場合は、設定を変更する必要があります。また、ゲートウェイの以前のリリースがインストールされている場合、DRDA_PACKAGE_NAMEの値は一意である必要があります。新規パッケージにより同じ名前の古いパッケージはすべて置換されるため、古いパッケージを使用するリリースのゲートウェイは動作しなくなります。パラメータとその設定の詳細は、付録C「初期化パラメータ」を参照してください。

DRDAゲートウェイ・パッケージのバインド手順

  1. Oracle Databaseにログオンします。

    SQL*Plusを使用します。

    > sqlplus system/manager
    
  2. DRDAサーバーの構成時に選択したユーザーIDを使用してデータベース・リンクを作成します。

    SQL> CREATE PUBLIC DATABASE LINK dblink
    2 CONNECT TO "userid" IDENTIFIED BY "password"
    3 USING 'tns_name_entry' 
    

    注意:

    パブリック・データベース・リンクを作成するユーザーIDは、CREATE PUBLIC DATABASE LINK権限を持っている必要があります。

  3. ストアド・プロシージャGTW$_BIND_PKGを実行します。

    SQL> exec GTW$_BIND_PKG@dblink;
    SQL> COMMIT;
    

    これにより、パッケージの作成とコミットが行われます。エラーが発生した場合は、必要に応じてゲートウェイ初期化ファイルのパラメータを修正します。

データ・ディクショナリ・サポート用の表およびビューの作成

データ・ディクショナリ変換サポートを有効化するには、ゲートウェイを通じてアクセスするOracle以外のシステムごとに、データ・ディクショナリ表およびビューを作成する必要があります。

次の手順を実行し、データベース固有のツールを使用してデータ・ディクショナリ表およびビューを作成します。

  1. 以前のゲートウェイ・リリースからアップグレードします。

    以前のリリースのゲートウェイからアップグレードする場合、適切なスクリプトを実行して古いデータ・ディクショナリ定義を削除します。

    • DB2/UDBに接続する場合、次のスクリプトを実行します。

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\db2udb\dropold.sql
      
    • DB2/OS390に接続する場合、次のスクリプトを実行します。

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\db2\dropold.sql
      
    • DB2/400に接続する場合、次のスクリプトを実行します。

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\as400\dropold.sql
      
  2. データ・ディクショナリ表を作成します。

    適切なスクリプトを実行してデータ・ディクショナリ表を作成します。

    • DB2/UDBに接続する場合、次のスクリプトを実行します。

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\db2udb\g4ddtab.sql
      
    • DB2/OS390に接続する場合、次のスクリプトを実行します。

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\db2\g4ddtab.sql
      
    • DB2/400に接続する場合、次のスクリプトを実行します。

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\as400\g4ddtab.sql
      
  3. データ・ディクショナリ・ビューを作成します。

    適切なスクリプトを実行してデータ・ディクショナリ・ビューを作成します。

    • DB2/UDBに接続する場合、次のスクリプトを実行します。

      DB2/UDB V7の場合:

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\db2udb\g4ddvwu7.sql
      

      DB2/UDB V8の場合:

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\db2udb\g4ddvwu8.sql
      
    • DB2/OS390に接続する場合、次のスクリプトを実行します。

      DB2/OS390 V7(RACFセキュリティ)の場合:

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\db2\g4ddvwr7.sql
      

      DB2/OS390 V7(DB2セキュリティ)の場合:

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\db2\g4ddvws7.sql
      

      DB2/OS390 V8(RACFセキュリティ)の場合:

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\db2\g4ddvwr8.sql
      

      DB2/OS390 V8(DB2セキュリティ)の場合:

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\db2\g4ddvws8.sql
      
    • DB2/400に接続する場合、次のスクリプトを実行します。

      DB2/400 V5.1の場合:

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\as400\g4ddvw51.sql
      

      DB2/400 V5.2の場合:

      ORACLE_HOME\dg4drda\install\as400\g4ddvw52.sql
      

DRDAパッケージに対する権限の付与

すべてのユーザーにORACLE2PC表を使用するためのアクセス権を付与するには、次から適切なスクリプトを実行します。

ゲートウェイ・アクセス用のOracle Databaseの構成

ゲートウェイを使用してDRDAデータにアクセスする前に、Oracle Databaseを構成してOracle Netを通じたゲートウェイとの通信を使用可能にする必要があります。

Oracle Databaseを構成するには、tnsnames.oraファイルに接続記述子を追加する必要があります。このファイルのデフォルトの場所は、$ORACLE_HOME/network/adminです($ORACLE_HOMEはOracle Databaseのインストール先のディレクトリです)。tnsnames.oraファイルの構成にOracle Net AssistantやOracle Net Easy Configツールを使用することはできません。ファイルは手動で編集してください。

tnsnames.oraエントリのサンプル(tnsnames.ora.sample)は、ORACLE_HOME\dg4drda\adminディレクトリにあります(ORACLE_HOMEはゲートウェイのインストール先のディレクトリです)。


関連項目:

tnsnames.oraファイルの編集方法の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

tnsnames.oraの構成

tnsnames.oraファイルを編集してゲートウェイの接続記述子を追加します。次に、TCP/IPプロトコルを使用するOracle Netエントリの構文を示します。

connect_descriptor=
   (DESCRIPTION=
      (ADDRESS=
         (PROTOCOL=TCP)
         (HOST=host_name)
         (PORT=port_number)
      )
      (CONNECT_DATA=
         (SID=gateway_sid))
      (HS=OK))

変数の意味は次のとおりです。

表14-2 tnsnames.oraファイルのゲートウェイ・パラメータ

変数 説明

connect_descriptor

データベース・リンクの作成時に指定された接続先オブジェクトの記述(dg4drdaなど)。

sqlnet.oraファイルで次のパラメータ設定を確認してください。

names.directory_path = (TNSNAMES)

注意: sqlnet.oraファイルは、通常、ORACLE_HOME\network\adminに格納されています。

TCP

TCP/IP接続に使用されるTCPプロトコル。

host_name

ゲートウェイが稼働しているマシンを指定します。

port_number

ゲートウェイをリスニングしているOracle Net Listenerにより使用されるポート番号と一致させます。Oracle Net Listenerのポート番号は、Oracle Net Listenerにより使用されるlistener.oraファイルで確認できます。「listener.oraファイルのエントリの構文」を参照してください。

gateway_sid

ゲートウェイのSIDを指定します。ゲートウェイをリスニングしているOracle Net Listenerのlistener.oraファイルで指定されたSIDと一致させます。詳細は、「ゲートウェイ用のOracle Net Listenerの構成」を参照してください。

(HS=OK)

この接続記述子でOracle以外のシステムに接続することを指定します。


データベース・リンクの作成

Oracle Databaseに接続されたすべてのOracleクライアントは、ゲートウェイを通じてDRDAデータにアクセスします。OracleクライアントとOracle Databaseは、異なるマシン上に存在できます。ゲートウェイは、Oracle Databaseからの接続のみを受け入れます。

ゲートウェイとの接続は、Oracleセッションでその接続が最初に使用されるときに、データベース・リンクを通じて確立されます。この場合の接続とは、Oracle Databaseとゲートウェイ間の接続を示します。接続は、Oracleセッションが終了するまで確立されたままとなります。別のセッションまたはユーザーが同じデータベース・リンクにアクセスし、ゲートウェイおよびDRDAデータベースに対する別個の接続を取得することも可能です。

データベース・リンクは、ゲートウェイ・セッションの継続時間中はアクティブです。セッション中にデータベース・リンクをクローズする場合は、ALTER SESSION文を使用します。

DRDAサーバーにアクセスするには、データベース・リンクを作成する必要があります。パブリック・データベース・リンクは、最も一般的なデータベース・リンクです。

SQL> CREATE PUBLIC DATABASE LINK dblink CONNECT TO
2  "user" IDENTIFIED BY "password" USING 'tns_name_entry';

変数の意味は次のとおりです。

変数 説明
dblink 完全なデータベース・リンク名。
tns_name_entry ゲートウェイを識別するtnsnames.oraファイルのOracle Net接続記述子を指定します。

データベース・リンクの作成後に、次のようにDRDAデータベースへの接続を確認できます。

SQL> SELECT * FROM DUAL@dblink;

関連項目:

データベース・リンクの使用方法の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』および『Oracle Database Heterogeneous Connectivity管理者ガイド』を参照してください。

複数のDRDAデータベースにアクセスするためのゲートウェイの構成

複数のDRDAデータベースにアクセスするためのゲートウェイの構成作業は、単一のデータベースを対象とするゲートウェイの構成作業とほぼ同じです。構成例の前提条件は次のとおりです。

複数のDRDAデータベースの例: ゲートウェイの構成

DRDAデータベースごとに1つのシステムIDを選択

DRDAデータベースごとにゲートウェイの個別のインスタンスが必要です。各インスタンスには、独自のゲートウェイ・システムID(SID)が必要です。この例では、DRDAデータベースにアクセスするインスタンスに対して次のゲートウェイSIDが選択されます。

  • dg4drda2(データベースdb2にアクセスするゲートウェイ用)。

  • dg4drda3(データベースdb3にアクセスするゲートウェイ用)。

2つの初期化パラメータ・ファイルの作成

ゲートウェイのインスタンスごとに初期化パラメータ・ファイルを作成するため、元の初期化パラメータ・ファイルORACLE_HOME\dg4drda\admin\initdg4drda.oraを2回コピーします。次のように、1つのファイルにはdb2のゲートウェイSIDを含む名前を付け、もう1つのファイルにはdb3のゲートウェイSIDを含む名前を付けます。

> cd ORACLE_HOME\dg4drda\admin
> copy initdg4drda.ora initdg4drda2.ora
> copy initdg4drda.ora initdg4drda3.ora

注意:

状況に応じて異なるゲートウェイ・パラメータ設定を使用するために、同じDRDAデータベースに対して複数のゲートウェイSIDを割り当てる場合も、同じ手順に従ってください。それぞれ異なるSIDと異なるパラメータ設定を持つ複数の初期化パラメータ・ファイルを作成します。

複数のDRDAデータベースの例: Oracle Net Listenerの構成

listener.oraへのエントリの追加

Oracle Net Listener構成ファイルlistener.oraに、2つの新規エントリを追加します。複数のゲートウェイ・インスタンスで同じデータベースにアクセスする場合でも、ゲートウェイ・インスタンスごとに1つのエントリを用意する必要があります。

次の例では、最初にインストールされた元のゲートウェイ用のエントリの次に、新規エントリが続いています。

SID_LIST_LISTENER=
(SID_LIST=
   (SID_DESC=
      (SID_NAME=dg4drda)
      (ORACLE_HOME=oracle_home_directory)
      (PROGRAM=g4drsrv)
   )
   (SID_DESC=
      (SID_NAME=dg4drda2)
      (ORACLE_HOME=oracle_home_directory)
      (PROGRAM=g4drsrv)
   )
   (SID_DESC=
      (SID_NAME=dg4drda3)
      (ORACLE_HOME=oracle_home_directory)
      (PROGRAM=g4drsrv)
   )
)

ここで、oracle_home_directoryは、ゲートウェイが存在するディレクトリです。

複数のDRDAデータベースの例: Oracle Net Listenerの停止および起動

次の手順を実行してください。

  1. 「スタート」メニューで、「設定」「コントロール パネル」「サービス」を選択します。

  2. ゲートウェイ用のOracle Net Listenerサービスを選択します。

  3. 「停止」をクリックします。

  4. 「開始」をクリックします。

複数のDRDAデータベースの例: ゲートウェイ・アクセス用のOracle Databaseの構成

tnsnames.oraファイルに2つの接続記述子エントリを追加します。複数のゲートウェイ・インスタンスで同じデータベースにアクセスする場合でも、ゲートウェイ・インスタンスごとに1つのエントリを用意する必要があります。

この例では、複数のゲートウェイ・インスタンス用にOracle DatabaseでOracle Netを構成する方法について説明します。次の例では、最初にインストールされた元のゲートウェイ用のエントリの次に、新規ゲートウェイ・インスタンス用の2つのエントリが続いています。

old_db_using=(DESCRIPTION=
              (ADDRESS=
                (PROTOCOL=TCP)
                (PORT=port_number)
                (HOST=host_name))
                (CONNECT_DATA=
                    (SID=dg4drda))
               (HS=OK))
new_db2_using=(DESCRIPTION=
              (ADDRESS=
                (PROTOCOL=TCP)
                (PORT=port_number)
                (HOST=host_name))
                (CONNECT_DATA=
                    (SID=dg4drda2))
                (HS=OK))
new_db3_using=(DESCRIPTION=
              (ADDRESS=
                (PROTOCOL=TCP)
                (PORT=port_number)
                (HOST=host_name))
                (CONNECT_DATA=
                    (SID=dg4drda3))
                (HS=OK))

PORTの値は、ゲートウェイをリスニングしているOracle Net ListenerのTCP/IPポート番号です。この番号は、Oracle Net Listenerにより使用されるlistener.oraファイルで確認できます。HOSTの値は、ゲートウェイが稼働しているマシンの名前です。この名前も、Oracle Net Listenerにより使用されるlistener.oraファイルで確認できます。

複数のDRDAデータベースの例: DB2データへのアクセス

次のように入力してdg4drda2ゲートウェイ用のデータベース・リンクを作成します。

SQL> CREATE PUBLIC DATABASE LINK DRDA2 CONNECT TO
  2  "user2" IDENTIFIED BY "password2" USING 'new_db2_using';

次のように入力してdg4drda3ゲートウェイ用のデータベース・リンクを作成します。

SQL> CREATE PUBLIC DATABASE LINK DRDA3 CONNECT TO
  2  "user3" IDENTIFIED BY "password3" USING 'new_db3_using';

データベース・リンクの作成後に、次のように新規DRDAデータベースへの接続を確認できます。

SQL> SELECT * FROM ALL_USERS@DRDA2;
SQL> SELECT * FROM ALL_USERS@DRDA3;