ヘッダーをスキップ
Oracle Database Gateway for APPCインストレーションおよび構成ガイド
11gリリース1(11.1) for AIX 5L Based Systems(64-Bit), HP-UX PA-RISC(64-Bit), Solaris Operating System(SPARC 64-Bit), and Linux x86
E05711-01
  目次
目次
索引
索引

戻る
戻る
 
次へ
次へ
 

8 HP-UXでのSNA通信パッケージの構成

Oracle Database Gateway for APPCはSNA Advanced Program to Program Communication(APPC/LU6.2)プロトコルを使用してオンライン・トランザクション処理(OLTP)と通信します。HP-UXシステムのAPPCサポートは、SNAPlus2製品が提供します。

この章では、HP-UXシステムにSNAPlus2をセットアップおよび構成してOracle Database Gateway for APPCを実行する方法を説明します。


注意:

この章の説明に従って操作を完了したら、第5章「Oracle Networkの構成」を参照してネットワーク構成を続行します。

この章に含まれる項は、次のとおりです。

8.1 インバウンド接続の処理

多くのOLTPには、インバウンド(クライアント)APPCセッションのセキュリティ動作を調整するオプションが用意されています。詳細情報は、該当するOLTPのドキュメントを参照してください。

CICSの場合、ゲートウェイによってサポートされていないセキュリティ・オプションが1つあります。CICS CONNECTIONで指定されたATTACHSEC =PERSISTENTが必要とする機能は、まだゲートウェイで使用できません。

ATTACHSEC=LOCALATTACHSEC=IDENTIFYATTACHSEC=VERIFYおよびATTACHSEC=MIXIDPEは、ゲートウェイで完全サポートされています。

8.1.1 通信インタフェースの構成手順

通信インタフェースを構成するには、次の操作を行います。

  1. ゲートウェイ用のSNAPlus2プロファイルを作成します。

  2. ゲートウェイ用のSNA定義を作成します。

  3. 構成をテストします。

8.2 SNAPlus2構成ツール

SNAPlus2製品の構成ではすべてxsnapadminプログラムを使用します。xsnapadminはグラフィカル・インタフェースを提供するX-Windowsアプリケーションで、現在のSNAPlus2構成およびローカルSNAノードの現在の実行状態の表示と変更が可能です。xsnapadminの使用方法の詳細情報は、ベンダー提供の資料を参照してください。

8.3 ゲートウェイ用のSNAPlus2プロファイルの作成

Oracle Database Gateway for APPCは、ゲートウェイとリモート・サーバーとの間の接続をサポートするために、サイド情報プロファイルと呼ばれる定義の格納セットを必要とします。各プロファイルはプロファイル名とプロファイル・タイプで構成されます。これらはプロファイルを記述する一連のフィールドです。あるプロファイル・タイプのフィールドは一般に、プロファイルに関連する他のSNAプロファイルの動作パラメータの値と名前です。モード、リモート・トランザクション・プログラム名および論理ユニット(LU)などのAPPCの各機能部分は、別々のプロファイル・タイプで記述されます。

8.4 独立LUと従属LU

ゲートウェイでは独立LUの使用をお薦めします。これは、並行する複数のセッションや対話がサポートされるためです。これは、複数のOracleクライアント・アプリケーションが独立LUを介して同一のOLTPを使用することで、同時にアクティブな状態にあることが可能なことを意味します。

従属LUでは、アクティブなセッションは1つのみサポートされます。SNAPlus2は、アクティブな対話の背後で、Oracle Database Gateway for APPCからの追加の対話リクエストをキューに入れます。つまり、従属LUの場合、対話はシングル・スレッド対応です。

従属LUが正しく定義されていれば、ゲートウェイの構成、ホスト・トランザクションまたはOLTPの起動方法を変更する必要はありません。

従属LUが運用に与える影響は、最初のクライアント・アプリケーションが、ゲートウェイを介してOLTPとの対話を開始できることです。そしてそのトランザクションがアクティブである間(クライアント・アプリケーションとトランザクションの設計によって数秒、数分、数時間のいずれになるかわかりません)、同一のOLTPインスタンスと対話を始めようとしている他のすべてのクライアント・アプリケーションは、前の対話の終了を待機するため、動作が停止したように見えます。

本番用アプリケーションが実際にも、一度に1つの対話またはトランザクションのみを使用する場合は影響がありません。

ただし、テストまたは他のアプリケーションの開発のために追加の同時対話またはトランザクションが必要になる可能性があります。それぞれ、リモート・ホスト上に定義された追加の従属LUを必要とします。また、HP-UXワークステーション上に追加の従属LUを定義するSNAPlus2ファイルも必要です。対話を開始するTIPは、異なるサイド情報プロファイルを介して、異なるSNAPlus2パートナLUを指定する必要があります。『Oracle Database Gateway for APPCユーザーズ・ガイド』の第2章のPGAU DEFINE TRANSACTION SIDEPROFILEとパラメータに関する説明、および「Sym Dest Name」の項のSNAPlus2シンボリック宛先名に関する説明を参照してください。

ゲートウェイの用途によっては、独立LUを使用できません。たとえば、IMS LU6.1 Adapter for LU6.2では並行セッションがサポートされません。この場合、IMS LU6.1 Adapter for LU6.2を使用した複数同時セッションは、従属LUのプールを定義することで可能になります。各従属LUで「LU in the pool of default LUs」オプションを選択します。対話が必要な場合、SNAPlus2によって、使用できるローカルLUがデフォルトLUプールから自動的に割り当てられます。詳細は、ベンダー提供の資料を参照してください。

8.4.1 Sym Dest Name

このオプションを使用すると、特定のシンボリック宛先名に関連付けられたサイド情報を入力できます。Sym Dest Nameには、最大8文字の英数字を使用できます。シンボリック宛先名は、このガイドの他の箇所では、サイド情報プロファイルと呼ばれます。この名前は、PGAUにトランザクションを定義するために使用されるDEFINE TRANSACTION文で、SIDEPROFILEキーワードにより指定されます。

「Partner TP name」フィールドには、対話のOLTP側で実行されるトランザクションの名前を指定します。このフィールドは指定する必要がありますが、TP名は対話開始時にゲートウェイによってオーバーライドされる可能性があります。

「Partner LU」フィールドには、リモート・ホスト上のOLTPのLU名を指定します。「Mode Name」フィールドには、指定されたOLTPとの対話で使用されるモード名を指定します。

このメニューで指定できるセキュリティ情報はゲートウェイでは使用できません。セキュリティ・パラメータは常に、ゲートウェイ初期値設定パラメータに基づいてゲートウェイにより設定されます。

8.5 ゲートウェイ用SNA定義の作成

SNAPlus2定義は、/etc/opt/snaディレクトリにある次のファイルに格納されています。

これらのファイルはxsnapadminツールで作成および保守されます。SNA定義の保守は、通常、管理者権限を持つユーザーが行います。次の情報の対象読者は、ゲートウェイのSNA定義を作成する担当者です。この項を読む前に、SNAに関する多少の知識が必要です。

8.6 サンプルのSNAPlus2定義

ゲートウェイの$ORACLE_HOME/dg4appc/snaサブディレクトリには、xsnapadminで作成された、ゲートウェイ用のサンプルSNAPlus2定義が一式含まれています。SNA定義はHP 9000ホストとSNAネットワークに固有です。このため、これらのサンプル定義は、ローカル・ホストとSNAネットワークに合せて変更しないと機能しません。

8.7 SNAPlus2の構成

この項では、xsnapadminツールを使用してSNAPlus2用のSNA定義を作成するプロセスを説明します。構成はすべて、xsnapadminの各種のドロップダウン・メニューとパネルを使用して行われます。次の構成手順の説明は、提供されているサンプルに従っています。使用するローカル・ホストとSNAネットワークに合せて各種のSNA値を変更する必要があります。


手順1 xsnapadminの起動

xsnapadminを実行するには次のコマンドを使用します。DISPLAY環境変数を適切に設定する必要があります。ローカルなHP 9000コンソールからxsnapadminを実行する場合、DISPLAYはすでに設定されているはずです。リモートのXからxsnapadminを実行する場合、DISPLAYをディスプレイのホスト名またはIPアドレスに設定します。

$ DISPLAY=xstation10.us.oracle.com:0
$ export DISPLAY
$ xsnapadmin &

xsnapadminを起動するとメイン画面が開き、ローカルSNAノードの現在の構成が表示されます。

手順2 SNAノードの構成

xsnapadminのメイン画面で、「Services」メニューをプルダウンし、「Configure Node Parameters」を選択します。

  1. 「Node Parameters」ダイアログ・ボックスで、APPNサポート・タイプ、制御ポイント名、制御ポイントおよびノードIDを必要に応じて入力します。制御ポイント名は、SNAネットワーク名とローカル・ホストのCP名で構成されています。

  2. 「OK」をクリックします。

手順3 ポートの追加

「Service」メニューから、「Connectivity」「Add Port」の順に選択します。

  1. 「Add to nodename」ダイアログ・ボックスで、使用するポートとタイプを選択し、「OK」をクリックします。

  2. 続く「SAP」ダイアログ・ボックスで、ポート名とネットワーク・カード番号を入力します。ポート名は、使用する物理ネットワーク・カードに論理名を付けるため、およびSNAプロトコル用のサービス・アクセス・ポートをカードにバインドするために使用されます。通常、ダイアログ・ボックスに入力されている値をそのまま使用できます。ただし異なるネットワークカードが必要な場合は、lanscanコマンドでレポートされるカード番号を入力します。

  3. 「OK」をクリックします。

手順4 リンク・ステーションの作成

ポートを定義したら、リンク・ステーションを作成する必要があります。リンク・ステーションはAPPCサーバーのリモート・ホストのSNAノードを表します。ただし、リモート・ノード定義を作成してからでないとリンク・ステーションを作成できません。

  1. 「Services」メニューから、「APPC」「Add Remote Node」の順に選択します。

  2. 「Remote Node」ダイアログ・ボックスで、リモート・ノードのSNA CPNAMEを入力し、「OK」をクリックします。

  3. これでリンク・ステーションを作成する準備ができました。「Services」メニューから、「Connectivity」「Add Link Station」の順に選択します。表示されるダイアログ・ボックスで、前に定義されたポートを選択し、「OK」をクリックします。

  4. 「Link Station」ダイアログ・ボックスで、リンク・ステーション名を入力し、SNAポート名とリンクのアクティブ化タイプを選択します。

  5. LUトラフィック・タイプを選択します。柔軟性を最大にするには、「Any」オプションを選択します。

  6. 「Independent LU traffic」には、リモート・ノード名を指定します。

  7. 「Remote Node」をクリックして、前に作成したノードを選択します。「OK」をクリックします。

  8. 「Dependent LU traffic」には、リモート・ノードIDを選択します。次に連絡先情報を指定します。連絡先情報には、リモート・ホストのMACアドレスとSAP番号が含まれます。リンク・ステーションのその他のパラメータを設定するには、「Advanced」をクリックします。

  9. 「Ethernet Parameters」画面に、リンク・ステーションのその他のパラメータが表示されます。これらのパラメータは、初期XID連絡先と再転送の回数および上限を変更します。デフォルト値を変更する必要はありません。「OK」をクリックします。

手順5 ローカルLUの作成

リモート・ノード定義を作成したら、ローカル・ホストのローカルLU名を作成します。「Services」メニューから、「APPC」「Add Local LU」の順に選択します。

  1. 「Local LU」ダイアログ・ボックスで、ローカルLUの名前と別名を入力します。この名前は、HP 9000ホストのリモート・サーバー・ホスト上でのVTAM定義に対応している必要があります。

  2. 「OK」をクリックします。

手順6 パートナLUの作成

次に、リモート・サーバーが通信に使用するLUを表すパートナLUを定義します。「Services」メニューから、「APPC」「Add Partner LUs and Partner LU on Remote Node」の順に選択します。

  1. 表示されるダイアログ・ボックスで、パートナLUの名前と特性を入力します。パートナLU名には、SNAネットワーク名とリモートLUのLU名が含まれます。

  2. 並行セッション・サポートを有効化します。場所は、リモート・ノード名となる名前です。「Location」をクリックすると、リストが表示されます。

  3. 「OK」をクリックします。

手順7 モード・プロファイルとCPI-Cプロファイルの作成

ローカルLUとリモートLUの定義を作成したら、必要なモード定義とCPI-C定義を作成します。「Services」メニューから、「APPC」「Modes」の順に選択します。

  1. 「Modes」ダイアログ・ボックスで、「Add」をクリックして新しいモードを追加します。

  2. 続く「Mode」ダイアログ・ボックスで、モード名やその他のセッション・パラメータを入力します。APPCモードの推奨名はORAPLU62です。適切なモード・パラメータ名は、リモート・ホストのシステム管理者に問い合せてください。

  3. 「OK」をクリックします。

  4. モードを定義したら、ゲートウェイが接続名として使用するCPI-Cサイド情報プロファイルを作成します。メニューから、「APPC」「CPI-C」の順に選択します。「CPI-C destination names」ダイアログ・ボックスで、「Add」をクリックして新しいプロファイルを追加します。

  5. 「CPI-C destination」ダイアログ・ボックスで、プロファイル名、パートナTP、パートナLU、モードおよびセキュリティ・オプションを入力します。パートナTP名は、ホスト・トランザクション・プログラムの名前、またはTIPでオーバーライドされるダミー値です。

  6. パートナLUには、完全なLU名または前に作成された別名を入力します。モード名にはORAPLU62と入力します。

  7. 最後に、これらのセッションが使用するセキュリティのタイプを選択します。これは、セッションの認証方法に影響を与えます。

  8. 「OK」をクリックします。

8.8 接続のテスト

接続が機能していることを確認します。それにはSNAPlus2 Nodeを開始し、次に個別のリンク・ステーションを起動します。

図8-1に、SNAPlus2の定義とホスト上のVTAM定義の関係を示します。

図8-1 SNAPlus2の定義とリモート・ホスト定義の関係

図8-1の説明が続きます
「図8-1 SNAPlus2の定義とリモート・ホスト定義の関係」の説明

8.9 ゲートウェイ構成の再開

HP-UX用にSNAPlus2を構成し終わったら、第11章「OLTPの構成」に進んでネットワークの構成を続行します。