Oracle Data Guard 概要および管理 11gリリース1(11.1) E05755-03 |
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この付録では、Oracle Recovery Managerを使用してスタンバイ・データベースを作成する方法を説明します。この付録は、次の項目で構成されています。
この付録では、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』のデータベースの複製に関する章を読んでいることを前提としています。DUPLICATE
コマンドを使用してRecovery Managerでスタンバイ・データベースを作成するため、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』のDUPLICATE
コマンドに関する記載を理解しておく必要があります。
この章で説明するRecovery Managerでの作成手順を実行する前に、第3章「フィジカル・スタンバイ・データベースの作成」および第4章「ロジカル・スタンバイ・データベースの作成」のスタンバイ・データベースの作成方法を理解しておいてください。
この項では、Recovery Managerを使用してスタンバイ・データベースを作成する目的および基本概念について説明します。
プライマリ・データベースのバックアップからスタンバイ・データベースを作成するには、手動で行うか、Recovery ManagerのDUPLICATE
コマンドを使用します。Recovery Managerを使用してスタンバイ・データベースを作成すると、手動による作成と比べて次のメリットがあります。
Recovery Managerを使用してスタンバイ・データベースを作成する手順は、複製データベースの作成とほぼ同じです。スタンバイ・データベース固有の問題に対処するために、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』で説明されている複製手順を変更する必要があります。
DUPLICATE
コマンドを使用してスタンバイ・データベースを作成するには、ターゲットとしてプライマリ・データベースに接続し、FOR STANDBY
オプションを指定する必要があります。スタンバイ・データベースに接続してスタンバイ・データベースを追加作成することはできません。Recovery Managerは、制御ファイルをリストアおよびマウントして、スタンバイ・データベースを作成します。Recovery Managerではプライマリ・データベースの制御ファイルの既存のバックアップを使用できるので、スタンバイ・データベース専用に制御ファイルのバックアップを作成する必要はありません。
FOR STANDBY
オプションを指定せずにDUPLICATE
コマンドを使用して作成された複製データベースと異なり、スタンバイ・データベースには新しいDBIDが設定されません。そのため、スタンバイ・データベースをリカバリ・カタログに登録しないでください。
アクティブ複製とバックアップベース複製のいずれかを選択する必要があります。FROM ACTIVE DATABASE
を指定すると、Recovery Managerはデータファイルをプライマリ・データベースからスタンバイ・データベースに直接コピーします。プライマリ・データベースをマウントまたはオープンする必要があります。
FROM ACTIVE DATABASE
を指定しないと、Recovery Managerはバックアップベース複製を実行します。プライマリ・データファイルのバックアップがスタンバイ・データベースにリストアされます。スタンバイ・データベースの作成およびリカバリに必要なバックアップおよびアーカイブREDOログ・ファイルはすべて、スタンバイ・ホストのサーバー・セッションでアクセスできる必要があります。SET UNTIL
コマンドを実行しないかぎり、最新のデータファイルがリストアされます。
FOR STANDBY
オプションを指定せずにDUPLICATE
コマンドを使用して作成された複製データベースと異なり、スタンバイ・データベースには新しいDBIDが設定されません。Data Guard環境でRecovery Managerを使用する場合、常にリカバリ・カタログに接続する必要があります。リカバリ・カタログには、環境内のすべてのプライマリ・データベースとスタンバイ・データベースに関するメタデータを格納できます。スタンバイ・データベースは、リカバリ・カタログに明示的に登録しないでください。
Data Guard環境内のデータベースは、初期化パラメータ・ファイルのDB_UNIQUE_NAME
パラメータによって一意に識別する必要があります。DB_UNIQUE_NAME
は、Recovery ManagerがData Guard環境で正しく機能するために、同じDBIDを持つすべてのデータベース間で一意である必要があります。
デフォルトで、Recovery Managerはスタンバイ・データベースの作成後、リカバリを実行しません。Recovery Managerはスタンバイ・データベースをマウントしたままにしますが、スタンバイ・データベースを手動または管理リカバリ・モードには設定しません。Recovery Managerは接続を切断し、スタンバイ・データベースのメディア・リカバリを実行しません。
Recovery Managerでスタンバイ・データベースの作成後にリカバリを行う場合、リカバリに対してスタンバイ制御ファイルが使用可能である必要があります。次の条件を満たしている必要があります。
これらの条件が満たされていることを確認するには、プライマリ・データベースで制御ファイルをバックアップした後にALTER SYSTEM ARCHIVE LOG CURRENT
文を発行する方法があります。この文は、プライマリ・データベースのオンラインREDOログ・ファイルをアーカイブします。その後、最新のアーカイブREDO・ログ・ファイルをRecovery Managerでバックアップするか、またはアーカイブREDOログ・ファイルをスタンバイ・サイトに移動します。
DUPLICATE
コマンドのDORECOVER
オプションを使用して、Recovery Managerでスタンバイ・データベースをリカバリするように指定します。Recovery Managerは、スタンバイ・データベース・ファイルの作成後に次の手順を実行します。
Recovery Managerは、スタンバイ・データベースでスタンバイREDOログ・ファイルを自動的に作成します。ログ・ファイルは作成後、スタンバイ・データベースによってログ・ファイルの通常のルールに従って管理およびアーカイブされます。
バックアップベース複製を使用した場合、スタンバイ・データベースでスタンバイREDOログ・ファイルに名前を付けるときの唯一のオプションは、スタンバイ制御ファイルで指定されるログ・ファイルのファイル名です。スタンバイでのログ・ファイル名をプライマリのファイル名と異なる名前にする必要がある場合は、スタンバイ初期化パラメータ・ファイルでLOG_FILE_NAME_CONVERT
を設定して、スタンバイREDOログのファイル名を指定する方法を選択できます。
スタンバイ・データベースでスタンバイREDOログ・ファイルのファイル名を指定する際、次の制限事項に注意してください。
LOG_FILE_NAME_CONVERT
パラメータを使用して名前を付ける必要があります。
SET NEWNAME
またはCONFIGURE AUXNAME
コマンドを使用できません。
DUPLICATE
コマンドのLOGFILE
句を使用できません。
DUPLICATE
コマンドのNOFILENAMECHECK
句を指定する必要があります。指定しない場合、スタンバイ・データベースが異なるホスト上で作成されていても、Recovery Managerによりエラーが発生します。
アクティブ・データベース複製を使用すると、スタンバイ・データベースのパスワード・ファイルはターゲット・データベースのパスワード・ファイルの完全コピーである必要があるため、Recovery Managerは常にパスワード・ファイルをスタンバイ・ホストにコピーします。その場合、PASSWORD FILE
句は必要ありません。補助インスタンスの既存のパスワード・ファイルはすべて上書きされます。バックアップベース複製では、Data Guardによるログの送信のために、プライマリで使用されているパスワード・ファイルをスタンバイにコピーする必要があります。
スタンバイ・データベースの作成手順は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』で説明している複製手順と基本的に同じです。
プライマリ・データベースのアクティブなファイルからスタンバイ・データベースを作成するには、FOR STANDBY
とFROM ACTIVE DATABASE
の両方を指定します。必要に応じて、DORECOVER
オプションを指定し、スタンバイの作成後にデータベースをリカバリします。
この使用例では、スタンバイ・ホストおよびプライマリ・データベース・ホストのディレクトリ構造は同じであることを前提にしています。
スタンバイ・データベースをアクティブなデータベース・ファイルから作成するには、次のようにします。
アクティブ・データベース複製を使用するため、補助インスタンス用にパスワード・ファイルを作成し、Oracle Net接続を確立する必要があります。これは、複製操作中に上書きされるので、一時的なパスワード・ファイルです。
この使用例では、スタンバイ・データベース・ファイルには、プライマリ・データベース・ファイルと同じ名前を付けます。
DUPLICATE
コマンドを実行します。次の例に、アクティブ複製でのDUPLICATE
の使用方法を示します。この例では、プライマリ・データベース・ファイルがスタンバイ・データベース・ファイルと同じ名前であるため、NOFILENAMECHECK
オプションが必要です。SPFILEのSET
句は、ログの送信が正常に行われるために必要です。db_unique_name
を設定して、カタログおよびData Guardでこのデータベースがプライマリとは異なるものであると識別できるようにする必要があります。
DUPLICATE TARGET DATABASE FOR STANDBY FROM ACTIVE DATABASE DORECOVER SPFILE SET "db_unique_name"="foou" COMMENT ''Is a duplicate'' SET LOG_ARCHIVE_DEST_2="service=inst3 ASYNC REGISTER VALID_FOR=(online_logfile,primary_role)" SET FAL_CLIENT="inst3" COMMENT "Is standby" SET FAL_SERVER="inst1" COMMENT "Is primary" NOFILENAMECHECK;
Recovery Managerは、サーバー・パラメータ・ファイルをスタンバイ・ホストに自動的にコピーし、そのサーバー・パラメータ・ファイルを使用して補助インスタンスを起動してバックアップ制御ファイルをリストアし、必要なデータベース・ファイルおよびアーカイブREDOログをすべてスタンバイ・ホストにネットワークを介してコピーします。Recovery Managerはスタンバイ・データベースをリカバリしますが、スタンバイ・データベースを手動または管理リカバリ・モードには設定しません。
スタンバイ・データベースをバックアップから作成するには、FOR STANDBY
を指定しますが、FROM ACTIVE DATABASE
は指定しません。必要に応じて、DORECOVER
オプションを指定し、スタンバイの作成後にデータベースをリカバリします。
この使用例では、スタンバイ・ホストおよびプライマリ・データベース・ホストのディレクトリ構造は同じであることを前提にしています。
スタンバイ・データベースをバックアップから作成するには、次のようにします。
この使用例では、スタンバイ・データベース・ファイルには、プライマリ・データベース・ファイルと同じ名前を付けます。
DUPLICATE
コマンドを実行します。次の例に、バックアップベース複製でのDUPLICATE
の使用方法を示します。この例では、プライマリ・データベース・ファイルがスタンバイ・データベース・ファイルと同じ名前であるため、NOFILENAMECHECK
オプションが必要です。
DUPLICATE TARGET DATABASE FOR STANDBY DORECOVER SPFILE SET "db_unique_name"="foou" COMMENT ''Is a duplicate'' SET LOG_ARCHIVE_DEST_2="service=inst3 ASYNC REGISTER VALID_FOR=(online_logfile,primary_role)" SET FAL_CLIENT="inst3" COMMENT "Is standby" SET FAL_SERVER="inst1" COMMENT "Is primary" NOFILENAMECHECK;
Recovery Managerは、サーバー・パラメータ・ファイルをスタンバイ・ホストに自動的にコピーし、そのサーバー・パラメータ・ファイルを使用して補助インスタンスを起動し、必要なデータベース・ファイルおよびアーカイブREDOログをすべてスタンバイ・ホストにリストアします。Recovery Managerはスタンバイ・データベースをリカバリしますが、スタンバイ・データベースを手動または管理リカバリ・モードには設定しません。
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