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Oracle Data Guard 概要および管理
11gリリース1(11.1)

E05755-03
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3 フィジカル・スタンバイ・データベースの作成

この章では、フィジカル・スタンバイ・データベースを作成する手順について説明します。この章は、次の主な項目で構成されています。

この章で説明する手順では、スタンバイ・データベースが最大パフォーマンス・モードで構成されます。このモードは、デフォルトのデータ保護モードです。別のデータ保護モードの構成については、第5章を参照してください。

関連項目

  • サーバー・パラメータ・ファイルの作成方法および使用方法は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • グラフィカル・ユーザー・インタフェースを使用してフィジカル・スタンバイ・データベースを自動的に作成する方法は、『Oracle Data Guard Broker』およびEnterprise Managerのオンライン・ヘルプを参照してください。

  • Recovery Manager(RMAN)を使用したスタンバイ・データベースの作成方法の詳細は、付録Fを参照してください。

 

3.1 スタンバイ・データベースを作成するためのプライマリ・データベースの準備

スタンバイ・データベースを作成する前に、プライマリ・データベースが正しく構成されていることを確認する必要があります。

表3-1は、フィジカル・スタンバイ・データベースを作成するための準備としてプライマリ・データベースで実行するタスクのチェックリストです。各タスクを詳細に説明している参照先の項も記載されています。

表3-1    フィジカル・スタンバイ・データベースを作成するためのプライマリ・データベースの準備 
参照先  タスク 

3.1.1項 

強制ロギングの有効化 

3.1.2項 

REDO転送の認証の構成 

3.1.3項 

REDOデータを受信するためのプライマリ・データベースの構成 

3.1.4項 

プライマリ・データベースの初期化パラメータの設定 

3.1.5項 

アーカイブの有効化 


注意

これらの準備のためのタスクは、1回のみ実行してください。これらの手順を完了すると、データベースは、1つ以上のスタンバイ・データベースに対するプライマリ・データベースとして機能する準備が整います。 


3.1.1 強制ロギングの有効化

データベースの作成後、次のSQL文を使用して、プライマリ・データベースをFORCE LOGGINGモードにします。

SQL> ALTER DATABASE FORCE LOGGING;

この文は、完了までに非常に時間がかかる場合があります。これは、ログに記録されないダイレクト書込みI/Oがすべて完了するまで待機するためです。

3.1.2 REDO転送の認証の構成

Data Guardでは、Oracle Netセッションを使用してData Guard構成のメンバー間でREDOデータを転送し、メッセージを制御します。これらのREDO転送セッションは、Secure Sockets Layer(SSL)プロトコルまたはリモート・ログイン・パスワード・ファイルのいずれかを使用して認証されます。

SSLは、次の場合に2つのデータベース間のREDO転送セッションの認証に使用されます。

SSL認証の要件が満たされない場合は、リモート・ログイン・パスワード・ファイルを使用するようにData Guard構成の各メンバーを構成する必要があります。また、構成内のすべてのフィジカル・スタンバイ・データベースには、プライマリ・データベースのパスワード・ファイルの最新コピーが必要です。

SYSDBA権限またはSYSOPER権限を付与または取り消すか、これらの権限を持つユーザーのログイン・パスワードを変更するたびに、構成内の各フィジカル・スタンバイ・データベースまたはスナップショット・スタンバイ・データベースで、パスワード・ファイルをプライマリ・データベースのパスワード・ファイルの最新コピーで置き換える必要があります。

関連項目

  • リモート・ログイン・パスワード・ファイルの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

  • 『Oracle Database Advanced Security管理者ガイド』

  • 『Oracle Database Net Services管理者ガイド』

 

3.1.3 REDOデータを受信するためのプライマリ・データベースの構成

このタスクはオプションですが、Data Guard構成の作成時に、REDOデータを受信するようにプライマリ・データベースを構成することをお薦めします。このベスト・プラクティスに従うことで、プライマリ・データベースは、スタンバイ・ロールに速やかに推移してREDOデータの受信を開始できるようになります。

REDOデータを受信するようにデータベースを構成する方法の詳細は、6.2.3項を参照してください。

3.1.4 プライマリ・データベースの初期化パラメータの設定

プライマリ・データベースでは、データベースがプライマリ・ロールで動作している間のREDO転送サービスを制御する初期化パラメータを定義します。また、プライマリ・データベースがスタンバイ・ロールに推移したときにREDOデータの受信と適用サービスを制御するパラメータを追加する必要があります。

例3-1に、プライマリ・データベースでメンテナンスする、プライマリ・ロールの初期化パラメータを示します。この例は、シカゴにプライマリ・データベースがあり、ボストンにフィジカル・スタンバイ・データベースが1つあるData Guard構成を示しています。例3-1に示すパラメータは、シカゴのデータベースがプライマリ・データベース・ロールまたはスタンバイ・データベース・ロールで稼働している場合に有効です。この構成例では、次の表に示す名前を使用しています。

データベース  DB_UNIQUE_NAME  Oracle Netサービス名 

プライマリ 

chicago 

chicago 

フィジカル・スタンバイ 

boston 

boston 

例3-1    プライマリ・データベース: プライマリ・ロールの初期化パラメータ

DB_NAME=chicago
DB_UNIQUE_NAME=chicago
LOG_ARCHIVE_CONFIG='DG_CONFIG=(chicago,boston)'
CONTROL_FILES='/arch1/chicago/control1.ctl', '/arch2/chicago/control2.ctl'
LOG_ARCHIVE_DEST_1=
 'LOCATION=/arch1/chicago/ 
  VALID_FOR=(ALL_LOGFILES,ALL_ROLES)
  DB_UNIQUE_NAME=chicago'
LOG_ARCHIVE_DEST_2=
 'SERVICE=boston ASYNC
  VALID_FOR=(ONLINE_LOGFILES,PRIMARY_ROLE) 
  DB_UNIQUE_NAME=boston'
LOG_ARCHIVE_DEST_STATE_1=ENABLE
LOG_ARCHIVE_DEST_STATE_2=ENABLE
REMOTE_LOGIN_PASSWORDFILE=EXCLUSIVE
LOG_ARCHIVE_FORMAT=%t_%s_%r.arc
LOG_ARCHIVE_MAX_PROCESSES=30

これらのパラメータは、REDO転送サービスがREDOデータをスタンバイ・システムに転送する方法と、ローカル・ファイル・システムでのREDOデータのアーカイブ処理を制御します。例では、LOG_ARCHIVE_DEST_2初期化パラメータにREDOデータを転送する非同期(ASYNC)ネットワーク転送を指定します。これらは推奨設定であり、スタンバイREDOログ・ファイルが必要です(3.1.3項「REDOデータを受信するためのプライマリ・データベースの構成」を参照)。

例3-2に、プライマリ・データベースで定義するスタンバイ・ロールの追加の初期化パラメータを示します。これらのパラメータは、プライマリ・データベースがスタンバイ・ロールに推移すると有効になります。

例3-2    プライマリ・データベース: スタンバイ・ロールの初期化パラメータ

FAL_SERVER=boston
FAL_CLIENT=chicago
DB_FILE_NAME_CONVERT='boston','chicago'
LOG_FILE_NAME_CONVERT=
 '/arch1/boston/','/arch1/chicago/','/arch2/boston/','/arch2/chicago/' 
STANDBY_FILE_MANAGEMENT=AUTO

例3-2に示す初期化パラメータを指定すると、プライマリ・データベースはギャップを解決して新しいプライマリ・データベースからの新規データファイルとログ・ファイルのパス名を変換するように設定され、このデータベースがスタンバイ・ロールで動作しているときの着信REDOデータがアーカイブされます。説明に従ってプライマリおよびスタンバイ・ロールについて初期化パラメータを設定した場合、ロールの推移後に変更が必要なパラメータはありません。

次の表に、例3-1および例3-2に示した各パラメータ設定に関する簡単な説明を示します。

パラメータ  推奨する設定 

DB_NAME 

8文字の名前を指定します。すべてのスタンバイ・データベースに同じ名前を使用してください。 

DB_UNIQUE_NAME
 

各データベースの一意の名前を指定します。この名前はデータベースと固定され、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースのロールが逆になっても変更されません。 

LOG_ARCHIVE_CONFIG
 

このパラメータのDG_CONFIG属性を指定してData Guard構成のプライマリ・データベースとスタンバイ・データベースのDB_UNIQUE_NAMEをリストすると、Oracle RACプライマリ・データベースが最大保護モードまたは最大可用性モードで稼働しているData Guard構成に、スタンバイ・データベースを動的に追加できます。デフォルトでは、LOG_ARCHIVE_CONFIGパラメータを指定すると、データベースはREDOを送受信できます。 

CONTROL_FILES
 

プライマリ・データベースの制御ファイルのパス名を指定します。例3-1は、2つの制御ファイルのパス名を指定する方法を示しています。不良制御ファイルの位置に正常な制御ファイルをコピーした後でインスタンスを簡単に再起動できるように、制御ファイルの第2コピーを使用可能にしておくことをお薦めします。 

LOG_ARCHIVE_DEST_n
 

REDOデータがアーカイブされるプライマリ・システムおよびスタンバイ・システムの位置を指定します。例3-1では、次のようになっています。

  • LOG_ARCHIVE_DEST_1と指定すると、プライマリ・データベースにより生成されたREDOデータは、ローカルのオンラインREDOログ・ファイルから/arch1/chicago/にあるローカルのアーカイブREDOログ・ファイルにアーカイブされます。

  • LOG_ARCHIVE_DEST_2は、プライマリ・ロールにのみ有効です。この宛先を指定すると、REDOデータはリモート・フィジカル・スタンバイ宛先bostonに転送されます。

注意: フラッシュ・リカバリ領域を(DB_RECOVERY_FILE_DEST初期化パラメータを使用して)構成しており、LOCATION属性でローカル・アーカイブ先を明示的に構成していない場合は、デフォルトのローカル・アーカイブ先としてLOG_ARCHIVE_DEST_10初期化パラメータが自動的に使用されます。また、LOG_ARCHIVE_DEST_nの詳細は、第15章を参照してください。 

LOG_ARCHIVE_DEST_STATE_n
 

REDO転送サービスがREDOデータを指定した宛先に転送するのを許可するには、ENABLEを指定します。 

REMOTE_LOGIN_PASSWORDFILE
 

リモート・ログイン・パスワード・ファイルを使用して管理ユーザーまたはREDO転送セッションを認証する場合は、このパラメータをEXCLUSIVEまたはSHAREDに設定する必要があります。 

LOG_ARCHIVE_FORMAT
 

スレッド(%t)、順序番号(%s)およびリセットログID(%r)を使用して、アーカイブREDOログ・ファイルのフォーマットを指定します。 

LOG_ARCHIVE_MAX_PROCESSES =integer
 

Oracleソフトウェアが最初に起動するアーカイバ(ARCn)・プロセスの最大数(1〜30)を指定します。デフォルト値は4です。 

FAL_SERVER
 

FALサーバー(通常はプライマリ・ロールで実行中のデータベース)のOracle Netサービス名を指定します。シカゴのデータベースがスタンバイ・ロールで実行されている場合、ボストンのデータベースが欠落しているログ・ファイルを自動的に送信できなければ、ボストンのデータベースがFALサーバーとして使用され、そこから欠落しているアーカイブREDOログ・ファイルがフェッチ(要求)されます。 

FAL_CLIENT
 

シカゴのデータベースのOracle Netサービス名を指定します。FALサーバー(ボストン)は、欠落しているアーカイブREDOログ・ファイルをシカゴのスタンバイ・データベースにコピーします。 

DB_FILE_NAME_CONVERT
 

プライマリ・データベースのデータファイルのパス名とファイル名の位置を指定し、その後にスタンバイの位置を指定します。このパラメータにより、プライマリ・データベースのデータファイルのパス名がスタンバイ・データファイルのパス名に変換されます。スタンバイ・データベースがプライマリ・データベースと同じシステムにある場合、またはデータファイルが格納されているスタンバイ・サイトのディレクトリ構造がプライマリ・サイトと異なる場合は、このパラメータが必要です。このパラメータは、フィジカル・スタンバイ・データベースのパス名の変換にのみ使用されることに注意してください。このパラメータにより、複数のペアのパスを指定できます。 

LOG_FILE_NAME_CONVERT
 

プライマリ・データベースのオンラインREDOログ・ファイルの位置を指定し、その後にスタンバイの位置を指定します。このパラメータにより、プライマリ・データベースのログ・ファイルのパス名がスタンバイ・データベースのパス名に変換されます。スタンバイ・データベースがプライマリ・データベースと同じシステムにある場合、またはログ・ファイルが格納されているスタンバイ・システムのディレクトリ構造がプライマリ・システムと異なる場合は、このパラメータが必要です。このパラメータにより、複数のペアのパスを指定できます。 

STANDBY_FILE_MANAGEMENT
 

データファイルがプライマリ・データベースに追加または削除された場合に、それに対応してスタンバイ・データベースも自動的に変更されるように、AUTOに設定します。 


注意

変更の必要性がある他のパラメータについては、初期化パラメータ・ファイルを調べてください。たとえば、ダンプ出力先パラメータの変更が必要な場合があります。これは、スタンバイ・データベースのディレクトリ位置がプライマリ・データベースで指定したディレクトリ位置と異なる場合に必要です。 


3.1.5 アーカイブの有効化

アーカイブが有効になっていない場合は、次の文を発行して、プライマリ・データベースをARCHIVELOGモードにし、自動アーカイブを有効にします。

SQL> SHUTDOWN IMMEDIATE;
SQL> STARTUP MOUNT;
SQL> ALTER DATABASE ARCHIVELOG;
SQL> ALTER DATABASE OPEN;

アーカイブの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

3.2 フィジカル・スタンバイ・データベースの作成手順

この項では、フィジカル・スタンバイ・データベースの作成で実行するタスクについて説明します。

表3-2は、フィジカル・スタンバイ・データベースの作成で実行するタスク、および各タスクを実行するデータベースのチェックリストです。各タスクを詳細に説明している参照先の項も記載されています。

表3-2    フィジカル・スタンバイ・データベースの作成 
参照先  タスク  データベース 

3.2.1項 

プライマリ・データベース・データファイルのバックアップ・コピーの作成 

プライマリ 

3.2.2項 

スタンバイ・データベース用の制御ファイルの作成 

プライマリ 

3.2.3項 

スタンバイ・データベース用の初期化パラメータ・ファイルの準備 

プライマリ 

3.2.4項 

プライマリ・システムからスタンバイ・システムへのファイルのコピー 

プライマリ 

3.2.5項 

スタンバイ・データベースをサポートする環境の設定 

スタンバイ 

3.2.6項 

フィジカル・スタンバイ・データベースの起動 

スタンバイ 

3.2.7項 

フィジカル・スタンバイ・データベースが正しく実行されているかどうかの確認 

スタンバイ 

3.2.1 プライマリ・データベース・データファイルのバックアップ・コピーの作成

データベースを完全にリカバリするのに必要なアーカイブREDOログ・ファイルがあるかぎり、プライマリ・データベースのバックアップ・コピーを使用して、フィジカル・スタンバイ・データベースを作成できます。Recovery Manager(RMAN)ユーティリティを使用することをお薦めします。

バックアップの推奨事項は『Oracle高可用性アーキテクチャおよびベスト・プラクティス』を、データベースのバックアップ操作の実行方法は『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

3.2.2 スタンバイ・データベース用の制御ファイルの作成

バックアップ処理のために、プライマリ・データベースを停止する必要がある場合は、次のSQL*Plus文を発行して、プライマリ・データベースを起動します。

SQL> STARTUP MOUNT;

スタンバイ・データベース用の制御ファイルを作成してから、ユーザー・アクセス用にプライマリ・データベースをオープンします。次に例を示します。

SQL> ALTER DATABASE CREATE STANDBY CONTROLFILE AS '/tmp/boston.ctl';
SQL> ALTER DATABASE OPEN;


注意

プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースの両方に単一の制御ファイルを使用することはできません。 


3.2.3 スタンバイ・データベース用の初期化パラメータ・ファイルの準備

次の手順を実行して、スタンバイの初期化パラメータ・ファイルを作成します。

手順1    スタンバイ・データベースにプライマリ・データベース・パラメータ・ファイルをコピーする

プライマリ・データベースで使用されているサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)から、テキストの初期化パラメータ・ファイル(PFILE)を作成します。テキストの初期化パラメータ・ファイルは、スタンバイの位置にコピーして変更できます。次に例を示します。

SQL> CREATE PFILE='/tmp/initboston.ora' FROM SPFILE;

このファイルを変更して、フィジカル・スタンバイ・データベースでの使用に適したパラメータ値を含めます。このファイルは、後述の3.2.5項で、サーバー・パラメータ・ファイルに変換しなおします。

手順2    フィジカル・スタンバイ・データベースで初期化パラメータを設定する

プライマリ・システムからコピーしたテキストの初期化パラメータ・ファイルの初期化パラメータ設定の多くは、フィジカル・スタンバイ・データベースにも適していますが、一部を変更する必要があります。

例3-3は、スタンバイの初期化パラメータ・ファイルの一部です。この中の値は、フィジカル・スタンバイ・データベース用に変更されています。例3-1および例3-2と異なるパラメータ値は、太字で示されています。例3-3に示すパラメータは、ボストンのデータベースがプライマリ・データベース・ロールまたはスタンバイ・データベース・ロールで稼働している場合に有効です。

例3-3    フィジカル・スタンバイ・データベース用の初期化パラメータの変更

.
.
.
DB_NAME=chicago
DB_UNIQUE_NAME=boston
LOG_ARCHIVE_CONFIG='DG_CONFIG=(chicago,boston)'
CONTROL_FILES='/arch1/boston/control1.ctl', '/arch2/boston/control2.ctl'
DB_FILE_NAME_CONVERT='chicago','boston'
LOG_FILE_NAME_CONVERT=
 '/arch1/chicago/','/arch1/boston/','/arch2/chicago/','/arch2/boston/'
LOG_ARCHIVE_FORMAT=log%t_%s_%r.arc
LOG_ARCHIVE_DEST_1=
 'LOCATION=/arch1/boston/
  VALID_FOR=(ALL_LOGFILES,ALL_ROLES) 
  DB_UNIQUE_NAME=boston'
LOG_ARCHIVE_DEST_2=
 'SERVICE=chicago ASYNC
  VALID_FOR=(ONLINE_LOGFILES,PRIMARY_ROLE) 
  DB_UNIQUE_NAME=chicago'
LOG_ARCHIVE_DEST_STATE_1=ENABLE
LOG_ARCHIVE_DEST_STATE_2=ENABLE
REMOTE_LOGIN_PASSWORDFILE=EXCLUSIVE
STANDBY_FILE_MANAGEMENT=AUTO
FAL_SERVER=chicago
FAL_CLIENT=boston
.
.
.

プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースでは、COMPATIBLE初期化パラメータを同じ値に設定する必要があります。値が異なる場合は、REDO転送サービスがREDOデータをプライマリ・データベースからスタンバイ・データベースに転送できない可能性があります。Data Guard構成では、COMPATIBLEを少なくとも9.2.0.1.0に設定する必要があります。ただし、Oracle Database 11gの新機能を利用する場合は、COMPATIBLEパラメータを11.0.0に設定します。

SHOW PARAMETERSコマンドを使用して、他に変更を必要とするパラメータがないかどうかを確認することをお薦めします。

次の表に、例3-3に示したパラメータ設定のうち、プライマリ・データベースとは異なる設定に関する簡単な説明を示します。

パラメータ  推奨する設定 

DB_UNIQUE_NAME
 

このデータベースの一意の名前を指定します。この名前はデータベースと固定され、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースのロールが逆になっても変更されません。 

CONTROL_FILES
 

スタンバイ・データベースの制御ファイルのパス名を指定します。例3-3は、2つの制御ファイルのパス名を指定する方法を示しています。不良制御ファイルの位置に正常な制御ファイルをコピーした後でインスタンスを簡単に再起動できるように、制御ファイルの第2コピーを使用可能にしておくことをお薦めします。 

DB_FILE_NAME_CONVERT
 

プライマリ・データベースのデータファイルのパス名とファイル名の位置を指定し、その後にスタンバイの位置を指定します。このパラメータにより、プライマリ・データベースのデータファイルのパス名がスタンバイ・データファイルのパス名に変換されます。スタンバイ・データベースがプライマリ・データベースと同じシステムにある場合、またはデータファイルが格納されているスタンバイ・サイトのディレクトリ構造がプライマリ・サイトと異なる場合は、このパラメータが必要です。 

LOG_FILE_NAME_CONVERT
 

プライマリ・データベースのオンラインREDOログ・ファイルの位置を指定し、その後にスタンバイの位置を指定します。このパラメータにより、プライマリ・データベースのログ・ファイルのパス名がスタンバイ・データベースのパス名に変換されます。スタンバイ・データベースがプライマリ・データベースと同じシステムにある場合、またはログ・ファイルが格納されているスタンバイ・システムのディレクトリ構造がプライマリ・システムと異なる場合は、このパラメータが必要です。 

LOG_ARCHIVE_DEST_n 

REDOデータのアーカイブ先を指定します。例3-3では、次のようになっています。

  • LOG_ARCHIVE_DEST_1を指定すると、プライマリ・データから受信したREDOデータは/arch1/boston/のアーカイブREDOログ・ファイルにアーカイブされます。

  • LOG_ARCHIVE_DEST_2はプライマリ・ロールのみに有効であるため、この宛先は現在は無視されます。スイッチオーバーが発生して、このインスタンスがプライマリ・データベースになる場合は、REDOデータがリモートのシカゴの宛先に転送されます。

注意: フラッシュ・リカバリ領域を(DB_RECOVERY_FILE_DEST初期化パラメータを使用して)構成しており、LOCATION属性でローカル・アーカイブ先を明示的に構成していない場合は、デフォルトのローカル・アーカイブ先としてLOG_ARCHIVE_DEST_10初期化パラメータが自動的に使用されます。また、LOG_ARCHIVE_DEST_nの詳細は、第15章を参照してください。 

FAL_SERVER
 

FALサーバー(通常はプライマリ・ロールで実行中のデータベース)のOracle Netサービス名を指定します。ボストンのデータベースがスタンバイ・ロールで実行されている場合、シカゴのデータベースが欠落しているログ・ファイルを自動的に送信できなければ、シカゴのデータベースがFALサーバーとして使用され、そこから欠落しているアーカイブREDOログ・ファイルがフェッチ(要求)されます。 

FAL_CLIENT
 

ボストンのデータベースのOracle Netサービス名を指定します。FALサーバー(シカゴ)は、欠落しているアーカイブREDOログ・ファイルをボストンのスタンバイ・データベースにコピーします。 


注意

変更の必要性がある他のパラメータについては、初期化パラメータ・ファイルを調べてください。たとえば、ダンプ出力先パラメータの変更が必要な場合があります。これは、スタンバイ・データベースのディレクトリ位置がプライマリ・データベースで指定したディレクトリ位置と異なる場合に必要です。 


3.2.4 プライマリ・システムからスタンバイ・システムへのファイルのコピー

オペレーティング・システムのコピー・ユーティリティを使用して、次のバイナリ・ファイルをプライマリ・システムからスタンバイ・システムにコピーします。

3.2.5 スタンバイ・データベースをサポートする環境の設定

次の手順を実行して、Windowsベース・サービスの作成、パスワード・ファイルの作成、Oracle Net環境の設定およびSPFILEの作成を行います。

手順1    Windowsベース・サービスを作成する

スタンバイ・データベースのホストがWindowsシステムである場合、ORADIMユーティリティを使用してWindowsサービスを作成します。次に例を示します。

WINNT> oradim -NEW -SID boston -STARTMODE manual

ORADIMユーティリティの使用方法の詳細は、『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイド for Microsoft Windows』を参照してください。

手順2    リモート・ログイン・パスワード・ファイルをプライマリ・データベース・システムからスタンバイ・データベース・システムをコピーする

プライマリ・データベースにリモート・ログイン・パスワード・ファイルがある場合は、そのファイルをフィジカル・スタンバイ・データベース・システムの適切なディレクトリにコピーします。パスワード・ファイルは、SYSDBA権限またはSYSOPER権限が付与または取り消されるか、これらの権限を持つユーザーのログイン・パスワードが変更されるたびに再コピーする必要があります。

この手順は、オペレーティング・システムの認証を管理ユーザーに使用する場合およびSSLをREDO転送の認証に使用する場合はオプションです。

手順3    プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースに対するリスナーを構成する

プライマリ・サイトとスタンバイ・サイトの両方で、Oracle Net Managerを使用して、各データベースに対するリスナーを構成します。

リスナーを再起動して新しい定義を読み込むには、プライマリ・システムとスタンバイ・システムの両方で次のLSNRCTLユーティリティ・コマンドを入力します。

% lsnrctl stop
% lsnrctl start

『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

手順4    Oracle Netサービス名を作成する

プライマリ・システムとスタンバイ・システムの両方で、Oracle Net Managerを使用して、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースのネットワーク・サービス名を作成します。ネットワーク・サービス名はREDO転送サービスで使用されます。

Oracle Netネット・サービス名は、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースに対するリスナーの構成時に指定したものと同じプロトコル、ホスト・アドレス、ポートおよびサービスを使用する接続記述子に解析される必要があります。この接続記述子は、専用サーバーが使用されるように指定する必要もあります。

『Oracle Database Net Services管理者ガイド』および『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

手順5    スタンバイ・データベース用のサーバー・パラメータ・ファイルを作成する

アイドル状態のスタンバイ・データベースで、SQL CREATE文を使用して、手順2で編集したテキストの初期化パラメータ・ファイルから、スタンバイ・データベース用のサーバー・パラメータ・ファイルを作成します。次に例を示します。

SQL> CREATE SPFILE FROM PFILE='initboston.ora';
手順6    プライマリ・データベースの暗号化ウォレットをスタンバイ・データベース・システムにコピーする

プライマリ・データベースにデータベース暗号化ウォレットがある場合は、スタンバイ・データベース・システムにコピーし、そのウォレットを使用するようにスタンバイ・データベースを構成します。


注意

データベース暗号化ウォレットは、マスター暗号化キーが更新されるたびに、プライマリ・データベース・システムから各スタンバイ・データベース・システムにコピーする必要があります。

スタンバイ・データベースの暗号化されたデータには、プライマリ・データベースの現行のマスター暗号化キーを格納するデータベース暗号化ウォレットまたはハードウェア・セキュリティ・モジュールを指すように、スタンバイ・データベースが構成されるまでアクセスできません。 


関連項目

透過的データベース暗号化の詳細は、『Oracle Database Advanced Security管理者ガイド』を参照してください。
 

3.2.6 フィジカル・スタンバイ・データベースの起動

フィジカル・スタンバイ・データベースおよびREDO Applyを起動するには、次の手順を実行します。

手順1    フィジカル・スタンバイ・データベースを起動する

スタンバイ・データベースで、次のSQL文を発行してデータベースを起動およびマウントします。

SQL> STARTUP MOUNT;
手順2    REDOデータを受信するためにスタンバイ・データベースを準備する

REDOデータをプライマリ・データベースから受信してアーカイブするように、6.2.3項で説明する手順を実行して、スタンバイ・データベースを準備します。

手順3    スタンバイ・データベースでオンラインREDOログを作成する

この手順はオプションですが、スタンバイ・データベースの作成時に、オンラインREDOログを作成することをお薦めします。このベスト・プラクティスに従うことで、スタンバイ・データベースは、プライマリ・データベース・ロールに速やかに推移できるようになります。

スタンバイ・データベースのオンラインREDOログにおけるREDOログ・グループのサイズおよび数は、スタンバイ・データベースがプライマリ・ロールに推移した場合に十分に機能するように選択する必要があります。

手順4    REDO Applyを開始する

スタンバイ・データベースで、次のコマンドを発行してREDO Applyを開始します。

SQL> ALTER DATABASE RECOVER MANAGED STANDBY DATABASE USING CURRENT LOGFILE DISCONNECT 
FROM SESSION;

この文にはDISCONNECT FROM SESSIONオプションが指定されているため、REDO Applyはバックグラウンド・セッションで実行されます。詳細は、7.3項「REDOデータのフィジカル・スタンバイ・データベースへの適用」を参照してください。

また、この文にはUSING CURRENT LOGFILE句が指定されているため、REDOを受信後すぐに適用できます。詳細は、7.3.1項「REDO Applyの開始」を参照してください。

3.2.7 フィジカル・スタンバイ・データベースが正しく実行されているかどうかの確認

フィジカル・スタンバイ・データベースを作成してREDO転送サービスを設定した後、データベースの変更がプライマリ・データベースからスタンバイ・データベースに正常に転送されているかどうかの確認が必要な場合があります。

スタンバイ・データベースでREDOデータが受信されていることを確認するには、最初に、スタンバイ・データベースの既存のアーカイブREDOログ・ファイルを識別し、ログ・スイッチを強制実行して、プライマリ・データベースのオンラインREDOログ・ファイルをいくつかアーカイブし、スタンバイ・データベースを再度チェックする必要があります。このタスクの実行手順を次に示します。

手順1    既存のアーカイブREDOログ・ファイルを識別する

スタンバイ・データベースでV$ARCHIVED_LOGビューを問い合せて、アーカイブREDOログの既存のファイルを識別します。次に例を示します。

SQL> SELECT SEQUENCE#, FIRST_TIME, NEXT_TIME
  2  FROM V$ARCHIVED_LOG ORDER BY SEQUENCE#;

 SEQUENCE# FIRST_TIME         NEXT_TIME
---------- ------------------ ------------------
         8 11-JUL-07 17:50:45 11-JUL-07 17:50:53
         9 11-JUL-07 17:50:53 11-JUL-07 17:50:58
        10 11-JUL-07 17:50:58 11-JUL-07 17:51:03

3 rows selected.
手順2    ログ・スイッチを強制実行して現行のオンラインREDOログ・ファイルをアーカイブする

プライマリ・データベースで、ALTER SYSTEM SWITCH LOGFILE文を発行して、ログ・スイッチを強制実行し、現行のオンラインREDOログ・ファイル・グループをアーカイブします。

SQL> ALTER SYSTEM SWITCH LOGFILE;
手順3    新しいREDOデータがスタンバイ・データベースでアーカイブされたことを確認する

スタンバイ・データベースでV$ARCHIVED_LOGビューを問い合せて、スタンバイ・データベースでREDOデータが受信およびアーカイブされたことを確認します。

SQL> SELECT SEQUENCE#, FIRST_TIME, NEXT_TIME
  2>  FROM V$ARCHIVED_LOG ORDER BY SEQUENCE#;

 SEQUENCE# FIRST_TIME         NEXT_TIME
---------- ------------------ ------------------
         8 11-JUL-07 17:50:45 11-JUL-07 17:50:53
         9 11-JUL-07 17:50:53 11-JUL-07 17:50:58
        10 11-JUL-07 17:50:58 11-JUL-07 17:51:03
        11 11-JUL-07 17:51:03 11-JUL-07 18:34:11
4 rows selected.

アーカイブREDOログ・ファイルは、フィジカル・スタンバイ・データベースに適用できます。

手順4    受信したREDOの適用を確認する

スタンバイ・データベースでV$ARCHIVED_LOGビューを問い合せて、受信したREDOが適用されたことを確認します。

SQL> SELECT SEQUENCE#,APPLIED FROM V$ARCHIVED_LOG
  2  ORDER BY SEQUENCE#;

SEQUENCE# APP
--------- ---
        8 YES
        9 YES
       10 YES
       11 IN-MEMORY

4 rows selected.


注意

最後に受信したログ・ファイルのAPPLIED列の値は、そのログ・ファイルが適用されている場合、IN-MEMORYまたはYESのいずれかです。 


3.3 作成後の手順

この時点で、フィジカル・スタンバイ・データベースが実行中であり、最大パフォーマンス・レベルのデータ保護を提供できます。次のリストに、フィジカル・スタンバイ・データベースに対して実行できるその他の準備について説明します。


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