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Oracle Data Guard 概要および管理
11gリリース1(11.1)

E05755-03
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2 Data Guardの概説

Data Guard構成には、1つのプライマリ・データベースと、それに対応付けられた最大9個のスタンバイ・データベースが含まれます。この章では、Data Guardの使用を開始するための次の考慮事項について説明します。

2.1 スタンバイ・データベースのタイプ

スタンバイ・データベースは、Oracle本番データベースのトランザクション一貫性のあるコピーで、最初はプライマリ・データベースのバックアップ・コピーから作成されます。スタンバイ・データベースが作成および構成されると、Data Guardは、プライマリ・データベースのREDOデータをスタンバイ・システムに転送し、スタンバイ・データベースに適用することによって、スタンバイ・データベースを自動的にメンテナンスします。

スタンバイ・データベースのタイプには、フィジカル・スタンバイ・データベース、ロジカル・スタンバイ・データベース、スナップショット・スタンバイ・データベースがあります。フィジカル・スタンバイ・データベースまたはロジカル・スタンバイ・データベースは、必要に応じてプライマリ・データベースのロールを担い、本番処理を引き継ぐことができます。Data Guard構成には、これらのタイプのスタンバイ・データベースを任意に組み合せて含めることができます。

2.1.1 フィジカル・スタンバイ・データベース

フィジカル・スタンバイ・データベースは、プライマリ・データベースのブロック単位の完全コピーです。フィジカル・スタンバイ・データベースは、REDO Applyと呼ばれるプロセスにより完全コピーとしてメンテナンスされます。すなわち、データベース・リカバリ・メカニズムを使用して、プライマリ・データベースから受信されたREDOデータがフィジカル・スタンバイ・データベースに継続的に適用されます。

フィジカル・スタンバイ・データベースのメリット

フィジカル・スタンバイ・データベースには次のメリットがあります。

2.1.2 ロジカル・スタンバイ・データベース

ロジカル・スタンバイ・データベースは、最初はプライマリ・データベースと同じ内容のコピーで作成されますが、後で異なる構造に変更できます。ロジカル・スタンバイ・データベースは、SQL文を実行して更新されます。これにより、ユーザーは問合せとレポート生成の目的で、スタンバイ・データベースにいつでもアクセスできます。このように、ロジカル・スタンバイ・データベースは、データ保護操作とレポート生成操作に同時に使用できます。

Data Guardは、ログ・ファイルのデータをSQL文に変換し、ロジカル・スタンバイ・データベースでそのSQL文を実行することによって、アーカイブREDOログ・ファイルまたはスタンバイREDOログ・ファイルの情報をロジカル・スタンバイ・データベースに自動的に適用します。ロジカル・スタンバイ・データベースはSQL文を使用して更新されるため、オープン状態のままであることが必要です。ロジカル・スタンバイ・データベースは読取り/書込みモードでオープンされますが、再生成されたSQLに対するターゲット表は、読取り専用操作用にのみ使用可能です。更新中、これらの表は、レポート生成、要約、問合せなどの他のタスクで同時に使用できます。さらに、これらのタスクは、メンテナンスされている表に追加の索引やマテリアライズド・ビューを作成することによって最適化できます。

ロジカル・スタンバイ・データベースには、データ型、表のタイプ、DDL操作およびDML操作のタイプに関していくつかの制限があります。ロジカル・スタンバイ・データベースのデータ型およびDDLのサポートの詳細は、付録Cを参照してください。

ロジカル・スタンバイ・データベースのメリット

ロジカル・スタンバイ・データベースは、データ・リカバリ(DR)のメリットとともに高可用性(HA)を提供するには理想的です。フィジカル・スタンバイ・データベースと比較して、ロジカル・スタンバイ・データベースは、さらに次の重要なHAのメリットを提供します。

2.1.3 スナップショット・スタンバイ・データベース

スナップショット・スタンバイ・データベースは、全面的に更新可能なスタンバイ・データベースで、フィジカル・スタンバイ・データベースをスナップショット・スタンバイ・データベースに変換して作成します。スナップショット・スタンバイ・データベースは、プライマリ・データベースからREDOデータを受信およびアーカイブしますが、適用はしません。プライマリ・データベースから受信したREDOデータは、スナップショット・スタンバイ・データベースへのローカル更新がすべて破棄された後、スナップショット・スタンバイ・データベースが変換されてフィジカル・スタンバイ・データベースに戻ると適用されます。

スナップショット・スタンバイ・データベースは、通常、時間とともにプライマリ・データベースとは異なってきます。これは、プライマリ・データベースからのREDOデータが受信時に適用されないためです。スナップショット・スタンバイ・データベースに対するローカル更新が原因で、相違はさらに大きくなります。しかし、プライマリ・データベースのデータは完全に保護されます。これは、任意の時点でスナップショット・スタンバイを変換してフィジカル・スタンバイ・データベースに戻すことができ、その後にプライマリから受信したREDOデータが適用されるためです。

スナップショット・スタンバイ・データベースのメリット

スナップショット・スタンバイ・データベースは、全面的に更新可能なスタンバイ・データベースで、フィジカル・スタンバイ・データベースと同様の、障害時リカバリおよびデータ保護のメリットがあります。スナップショット・スタンバイ・データベースは、プライマリ・データベースの一時的かつ更新可能なスナップショットを保持することにメリットがあれば、管理上の複雑さやプライマリ・データベースの障害からリカバリする時間が増えてもかまわない場合に最もよく使用されます。

スナップショット・スタンバイ・データベースの使用には、次のメリットがあります。

スナップショット・スタンバイの作成、テスト、本番環境との再同期化に続いて、再びスナップショット・スタンバイの作成およびテストを実行できることは、必要に応じて何度も繰り返すことができる1サイクルです。同じプロセスを使用して、データへの読取り/書込みアクセスが必要なレポート生成用にスナップショット・スタンバイを簡単に作成し、定期的に更新できます。

2.2 Data Guard構成の管理のためのユーザー・インタフェース

Data Guard構成の構成、実装および管理には、次のインタフェースを使用できます。

2.3 Data Guardの動作要件

次の各項で、Data Guard使用時の動作要件を説明します。

2.3.1 ハードウェアおよびオペレーティング・システムの要件

Oracle Database 11gでは、またMetaLink Note 4134841.1に記載されている現在の制限により、Data Guard構成に対するData Guardの柔軟性が増し、プライマリ・システムおよびスタンバイ・システムに、異なるCPUアーキテクチャ、オペレーティング・システム(WindowsやLinuxなど)、オペレーティング・システムのバイナリ(32ビット/64ビット)またはOracleデータベースのバイナリ(32ビット/64ビット)が存在してもかまいません。混在するプラットフォームのサポートの詳細は、https://metalink.oracle.comからOracle MetaLink Note 413484.1を参照してください。

同じリリースのOracle Database Enterprise Editionをプライマリ・データベースおよびすべてのスタンバイ・データベースにインストールする必要があります。ただし、ロジカル・スタンバイ・データベースを使用したローリング・データベース・アップグレード時を除きます。

関連項目

 

2.3.2 Oracleソフトウェア要件

次のリストに、Data Guard使用時のOracleソフトウェア要件を示します。

2.4 スタンバイ・データベースのディレクトリ構造に関する考慮事項

各種スタンバイ・データベースのディレクトリ構造によってスタンバイ・データファイル、アーカイブREDOログ・ファイルおよびスタンバイREDOログ・ファイルのパス名が決まるため、ディレクトリ構造は重要です。可能であれば、プライマリ・システムとスタンバイ・システムでデータファイル、ログ・ファイルおよび制御ファイルの名前およびパス名を同一にし、Optimal Flexible Architecture(OFA)のネーミング規則を使用する必要があります。スタンバイ・データベースのアーカイブ・ディレクトリも、サイズおよび構造を含めてサイト間で同一であることが必要です。この方法により、バックアップ、スイッチオーバーおよびフェイルオーバーなどの他の操作を同じ手順で実行できるようになり、メンテナンスの複雑さが軽減されます。

関連項目

Optimal Flexible Architecture(OFA)の詳細は、オペレーティング・システム固有のOracleドキュメントを参照してください。 

同一にしない場合は、ファイル名変換パラメータ(表2-1を参照)を設定するか、データファイルの名前を変更する必要があります。ディレクトリ構造が異なるシステムを使用する必要がある場合や、スタンバイ・データベースとプライマリ・データベースのシステムを同じにする必要がある場合は、管理作業を最小限に抑えるようにしてください。

図2-1に、3つの基本構成オプションを示します。構成オプションは、次のとおりです。

表2-1では、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースの可能な構成およびそれぞれの結果的な注意事項について説明します。Data Guard構成の複数のメンバーが同じシステムに存在する場合は、DB_UNIQUE_NAME初期化パラメータに一意の値を指定する必要があります。各データベースが異なるシステムに存在する場合も、DB_UNIQUE_NAME初期化パラメータには常に一意の値を指定することをお薦めします。

表2-1    スタンバイ・データベースの位置とディレクトリ・オプション 
スタンバイ・システム  ディレクトリ構造  結果的な注意事項 

プライマリ・システムと同じ 

プライマリ・システムと異なる(必須) 

  • DB_UNIQUE_NAME初期化パラメータを設定する必要があります。

  • ファイル名を手動で変更するか、スタンバイ・データベースでDB_FILE_NAME_CONVERT初期化パラメータおよびLOG_FILE_NAME_CONVERT初期化パラメータを設定すると、スタンバイ・データベース制御ファイル内のプライマリ・データベースのデータファイル、アーカイブREDOログ・ファイルおよびスタンバイREDOログ・ファイルのパス名を自動的に更新できます。(3.1.4項を参照。)

  • スタンバイ・データベースは、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースが存在しているシステムを破壊するような障害に対する保護には役立ちませんが、計画的なメンテナンスに対するスイッチオーバー機能は提供します。

 

離れたシステム 

プライマリ・システムと同じ 

  • スタンバイ・データベース制御ファイル内のプライマリ・データベースのファイル名、アーカイブREDOログ・ファイルおよびスタンバイREDOログ・ファイル名を変更する必要はありません。ただし、新しいネーミング計画が必要な場合(複数のディスクにファイルを分散する場合など)は、変更しても構いません。

  • スタンバイ・データベースを別の物理メディアに置くことにより、プライマリ・システムを破壊するような障害からプライマリ・データベースのデータを保護できます。

 

離れたシステム 

プライマリ・システムと異なる 

  • ファイル名を手動で変更するか、またはスタンバイ・データベースでDB_FILE_NAME_CONVERT初期化パラメータおよびLOG_FILE_NAME_CONVERT初期化パラメータを設定すると、データファイル名を自動的に変更できます(3.1.4項を参照)。

  • スタンバイ・データベースを別の物理メディアに置くことにより、プライマリ・システムを破壊するような障害からプライマリ・データベースのデータを保護できます。

 

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